説明

噴霧器計量室

【課題】物質を噴霧するための霧化装置と、計量室を有する貯留槽とを備える噴霧器を提供する。
【解決手段】噴霧器1は、メッシュプレート3の領域で振動するようにホーン5を駆動させるために超音波変換器4を有し、噴霧される物質を霧化装置に供給するように構成された計量室6、および計量室6に保持される量を超えたその物質のいずれをも保留するように構成された第2室7を有する。流体センサ17が計量室6とメッシュプレート3との間に配置され、霧化される物質がほとんど全部エーロゾル化された時ことが検出され、超音波変換器4はオフにスイッチされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、患者による吸入のために薬剤を霧化し、それによって霧化された薬剤がその者の肺への沈着を通じて患者に投与されるための噴霧器に関するものである。物質は、粉末、液体または微粒子懸濁液としてよいが、これらの3形態の物質だけに限定されない。本明細書において、「液体」または「液滴」といった特定の形態にある薬剤の言及は、別様に指定されていなければ、他の形態も包含するものと理解しなければならない。
【背景技術】
【0002】
いくつかの異なる形式の噴霧器が知られており、最も一般的であるのは、噴霧器に接続された圧縮空気源により動作する空気圧式噴霧器である。他の形式の噴霧器は、物質を霧化するために圧電結晶を使用する超音波式噴霧器、液滴を生成するために微細メッシュを通じて物質を液状に強制するメッシュ式噴霧器、電気流体力学式(EHD)噴霧器および毛細管マイクロジェット噴霧器を含む。
【0003】
薬剤が患者の肺に送達される医療用途の場合、薬物粒子または液滴の最適な直径は約1〜5ミクロンである。粒子または液滴がこれより大きい場合、それらは、肺に到達する前にそれらが患者の気道に衝撃を与える傾向があり、しかしそれらがその範囲より小さければ、それらは吸気の間に肺に入り、肺の中に沈着することなく呼気時に再び肺から搬出される傾向がある。最善の結果を得るには、薬剤のできる限り大きな割合が、できる限り肺の内部深くに到達し沈着しなければならない。
【0004】
噴霧器の形式の各々は、それ自身の長所および短所を有する。例えば、一般的な空気圧式噴霧器は通常、貯留槽から適切な大きさの液滴で霧化された薬剤を放出する際に50%の効率にすぎず、合体した粗大な液滴を収集し、再循環のために貯留槽内に戻すためのバッフルを必要とする。対照的に、メッシュ式噴霧器はたいてい、ほぼ90%の効率を有するであろう。電気流体力学式噴霧器や毛細管マイクロジェット噴霧器といった、他の形式の噴霧器も高効率を有し、その場合、噴霧器薬剤の極めて大部分が正しい液滴粒径範囲にある。これらの噴霧器のいずれも、薬剤を再循環させる必要はなく、従ってそれらはシングルパス噴霧器と呼べるかもしれない。
【0005】
これらの噴霧器は、治療を行うごとに薬剤が充填されることも理解しなければならない。充填は様々な形態をとり得る。噴霧器は、薬剤が注入される貯留槽を備えるかもしれないし、または、各治療ごとに、薬剤がそこから噴霧される薬剤容器を挿入することもできる。容器は適切な単位用量の薬剤を含有し得る。
【0006】
空気圧式噴霧器は、装置の寿命を通じて著しくは変化しない出力レートを有するように開発することができ、それは、治療の間に患者に送達される薬剤の量が正確に測定され、それにより処方量の薬剤が患者の肺に送達された時に、噴霧が自動的に停止され得るようにすることを意味する。1つのそうした測定構成はアダプティブ・エーロゾル・デリバリー(Adaptive Aerosol Delivery)(商標)として知られ、ハロライト(Halolite)の名称によりメディック・エイド・リミテッド(Medic-Aid Limited)社が販売する噴霧器において存在しており、特許文献1および特許文献2のもとに公開された2つの欧州特許出願の首題であり、それらの内容は参照によってここに採り入れられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願第0910421号公報
【特許文献2】欧州特許出願第1124602号公報
【特許文献3】国際特許出願第WO99/63946号公報
【特許文献4】欧州特許出願第1142600号公報
【特許文献5】国際特許出願第WO00/38770号公報
【特許文献6】米国特許第6119953号明細書
【特許文献7】欧州特許出願第0627266号公報
【特許文献8】国際特許出願第WO99/17888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、メッシュ穴が詰まってくるようになり、それが送達率に影響を及ぼすことから、メッシュ式噴霧器の出力レートは噴霧器の寿命を通じてたいてい劣化するはずである。従って、上に簡単に述べたアダプティブ・エーロゾル・デリバリー(商標)システムにおいて使用されるような噴霧器出力の事前較正されたレートが、必ずしも適切であるとは限らない。それよりむしろ、患者への送達のために所定の用量を貯留槽に満たすことが適切である。用量の全部が送達されれば、治療は完了する。同じ問題は、製品の寿命にわたり変化するエーロゾル発生サイト(site)の数という点で、EHD噴霧器および毛細管マイクロジェット噴霧器にも当てはまる。EHDシステムでは、発生した静電界におけるあらゆる乱れが霧化サイト(site)を形成する少ないコーン(cone)の生成を生じることがあり、それは出力レートを変化させるであろう。毛細管マイクロジェット噴霧器の場合、十分な質量出力を伴うエーロゾルを生成するために、通常、数百もの多数のマイクロジェットが必要とされる。個々のマイクロジェットの詰まりは、製品の出力レートに影響を及ぼす。
【0009】
空気圧式噴霧器はメッシュ式噴霧器よりもはるかに普及しているので、多くの既存の調合薬剤は、空気圧式噴霧器用に開発されているが、これらの調合剤における薬剤の量は、メッシュ式噴霧器での使用にははるかに多すぎる。明らかに、薬剤を測定する単純で信頼できる方法が使用されることは、これらの装置の安全な使用にとって重要である。
【0010】
特許文献3はメッシュ式噴霧器を開示しており、その動作は当該出願の図3において最善に見られる。メッシュが開口に差し渡して取り付けられており、噴霧器は、メッシュを振動させるために圧電素子が使用されるように構成されている。液体の液滴がメッシュの背面に付着すると、圧電素子からの振動が液体をメッシュの穴を通過させ、メッシュの前面から放出される液滴を形成する。
【0011】
特許文献4は、液体が管を通じてメッシュと圧電素子との間の狭空間に供給される噴霧形成装置を開示している。メッシュは、圧電素子が振動した時に液体が通過する穴を備える。
【0012】
EHDおよび毛細管マイクロジェット噴霧器の例は、それぞれ特許文献5および特許文献6に見ることができ、それらの開示はこの引用によって全体としてここに採り入れられる。
【0013】
特許文献7には空気圧式噴霧器が示されており、この場合、加圧空気源からの空気が空気出口穴から流出し、その穴のまわりには霧化される液体が主貯留槽から引き出される穴が配置されている。それらの穴の各々は、空気出口穴のまわりで第2の貯留槽を形成する溝の内部にある。デフレクタバーが、空気出口から流出する空気の経路にそれを横切って配置されており、それにより、空気は空気出口から流出するとただちに液体出口穴の頂部を横切ってそらされ、それによって低圧領域を生じ、それによって下方の主貯留槽から液体を引き上げ、その液体を穴から引き出される際に霧化させる。このようにして生成された液滴は、吸入のために患者へ搬送される。霧化は、噴霧器への加圧空気の供給をオンオフにスイッチすることによって開閉され得る。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の実施態様によれば、噴霧器は、物質を噴霧するための霧化装置と、噴霧される物質を霧化装置に供給するように構成された計量室、および第2室を有する貯留槽とを含み、計量室および第2室は、物質が噴霧器の外側から計量室に注入され、また第2室が噴霧される物質の量を規定する計量室の量を超えた物質のいずれをも受け入れて保留するように構成されている。これは、噴霧される物質の小瓶の単位用量を貯留槽へ注入できるようにするが、物質の超過または残りが第2室に保留されるので、治療の間に計量室の測定量だけが噴霧され得るようにする。これは、シングルパス式噴霧器を、現在可能であるよりも、よりいっそう多量の調合薬剤とともに使用できるようにする。それは当然、薬剤のまさしく正しい量が、それが単に計量室を満たすだけであることから、第2室へあふれ出ることなく供給される場合にも、使用され得る。
【0015】
計量室と第2室との間に仕切りが配設されることが好ましい。これは、構成に関し比較的単純であるという長所を有し、仕切りが適所に置かれただけで過剰薬剤が第2室に保留され得るようにする。
【0016】
また、仕切りは計量室と第2室との間の位置決めのためのシーリング部材であることが好ましい。好ましい実施形態において、仕切りはまた、それが噴霧されるにつれて物質に取って代わるために空気がそれを通じて計量室に入ることを可能にする空気口を備える。
【0017】
貯留槽を閉じるように構成された蓋を備えることが有利であり、また、仕切りは蓋によって保持され、それにより蓋が閉められた時に仕切りは計量室と第2室とを自動的に分離することがさらに好ましい。
【0018】
有利には、計量室は、仕切りがそれと接してシールを形成し得る縁を備え得る。また、計量室の頂部の下方に第2室の底面を有することに利点があるかもしれない。
【0019】
別の実施形態によれば、貯留槽は、第2室につながるあふれ穴を計量室の頂部に備える。この場合、あふれ穴は、計量室の頂部の全部またはほとんどの割合部分のまわりに配置され得る。貯留槽を閉めるために蓋を設けることができ、空気が貯留槽に入るのを可能にする空気口を設けることができる。
【0020】
また、噴霧される物質が全部またはほぼ全部噴霧された時を検知するように構成されているセンサが設けられ、また制御装置が設けられた場合、センサが物質の全部またはほぼ全部が噴霧されたことを検知した時に、制御装置は霧化装置の動作を停止することも好ましい。
【0021】
噴霧器は、好ましくはシングルパス式噴霧器である。例えば、それは、霧化装置がそれを通じて物質が噴霧されるメッシュを備える噴霧器とするか、または物質がそれを通じて噴霧される複数の毛細管を備える噴霧器とすることができる。代替的に、霧化装置は、物質がそれによって噴霧される静電界発生器を備え得る。これらの形式の噴霧器の全部は、再霧化のために物質の、特に大きい液滴の貯留槽への再循環を伴わずに、物質を噴霧する。
【0022】
本発明の第2の実施態様によれば、霧化装置および貯留槽を有する噴霧器に装入する方法であって、噴霧される物質の容積を画定する計量室における噴霧される物質を貯留槽の計量室に注入する工程と、計量室の量を超えた貯留槽内の物質のいずれをも、それが霧化装置に供給されないように、第2室に保留する工程とを含む。
【0023】
超過物質を保留するために貯留槽内に仕切りが配置されることと、その仕切りは貯留槽の蓋を閉じると超過物質を保留するように配置され得ることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に従ったメッシュ式噴霧器の概略図である。
【図2】充填中の図1の噴霧器の部分の概略図である。
【図3】充填後の図1の噴霧器の部分の概略図である。
【図4】使用中の図1の噴霧器の部分の概略図である。
【図5】薬剤の送達完了時の図1の噴霧器の部分の概略図である。
【図6】本発明に従ったメッシュ式噴霧器の第2の実施形態を示す。
【図7】あふれ穴を備える第3の実施形態の概略図である。
【図8】充填中の図7の噴霧器の概略図である。
【図9】噴霧中の図7の噴霧器の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態は以下に図面に関して例としてのみ開示される。
【0026】
本発明があらゆる形式のシングルパス形式の噴霧器に関連することを理解しなければならない。以下の実施形態において、メッシュ式噴霧器を例として説明するが、本発明は他のシングルパス噴霧器にも適用される。
【0027】
第1の実施形態に従った噴霧器が図1に示されており、この噴霧器の部分が図2〜5に動作中において図示されている。図1において、噴霧器1は、メッシュプレート3の領域で振動するようにホーン(horn)5を駆動させるために超音波変換器4を使用することによってメッシュプレート3により調合薬剤のエーロゾル2を発生させるメッシュ式噴霧器である。ホーン5は、メッシュプレート3の背面の近くに配置され、超音波変換器4によって振動させられ、それによってエーロゾル2がメッシュプレート3の前面から発生する。エーロゾル2に霧化される物質はメッシュプレート3の背面と流体接触し、そしてそれが、振動ホーン5によってメッシュプレート3の穴を通じて放出される。
【0028】
各回の治療の間、霧化される物質のある一定量が、霧化される物質をその背面に供給するためにメッシュプレート3の上方に配置された計量室6内に入れられる。流体センサ17が計量室6とメッシュプレート3との間に配置され、それにより霧化される物質がほとんど全部エーロゾル化された時にそのことが検出され、その結果、超音波変換器4は霧化される物質が全部またはほぼ全部霧化されたら治療の終了時にオフにスイッチされ得るようになっている。
【0029】
計量室6の上方に上室7がある。計量室は上縁8が上室7の内部に位置しており、上室7の底面9は計量室の縁8から外方に配置されている。上室7および計量室6は、一緒に流体貯留槽10を構成する。
【0030】
上室7の頂部には、蓋11がヒンジ12によって取り付けられており、それが上室7の頂部を閉じる。ヒンジ12は、いずれかの形態の留め具(図示せず)によって確実に閉じられる。蓋11から、計量室の縁8と係合するシーリング部材13が垂下しており、そのシールの少なくとも一部はエラストマー材料で作られており、それによってシーリング部材13と縁8の間でシールが形成され得る。シーリング部材13は、蓋11が閉じられている間に、液体が上室7と計量室6との間で移動するのを防ぐように意図されている。蓋11が閉じられている間にシールが維持されるように、留め具によるなどして確実に閉じる蓋11を有することが有利であるのは、その理由からである。
【0031】
蓋11およびシーリング部材13は、噴霧器が動作すると、計量室6内部の液面が低下できるようにする空気口16を備える。
【0032】
エーロゾル化を励起するために動力が要求されるので、電源14が噴霧器に給電するために使用される。電子制御装置15が超音波変換器4を制御し、それにより例えば、霧化される液体がまったく残っていないことを流体センサ17が検知すると、超音波変換器4がオフにスイッチされるようになっている。加えて、患者の呼吸が測定され、患者の呼吸パターンの吸気部分の間にのみ霧化が生じるような、より精巧な制御装置がここで使用することができる。そのような制御システムの詳細は、上記した特許文献1に記載されており、メディック・エイド・リミテッド(Medic-Aid Limited)社により製造されたハロライト(Halolite)噴霧器において使用されており、さらなる詳細は上記した特許文献2に見ることができる。これらの出願では、各呼吸の継続時間が測定され、最近3呼吸の平均吸気期間が計算される。以降の呼吸に際して、エーロゾル化された薬剤は、計算された平均吸気期間の一部分(通常50%)の間、放出される。そのようにして、放出される薬剤の全部が、上気道内に留まって、それが沈着されなければならない肺に到達する以前に吐出されることなく、実際に患者の肺に到達することになる。
【0033】
この特許明細書の導入部より、メッシュ式、EHD式およびマイクロジェット毛細管式噴霧器といった一部の形式の噴霧器は、薬剤の放出の点で大部分の空気圧式噴霧器より効率的であるので、使用可能な調合薬剤がそうした噴霧器における使用について過度に多くの薬剤を供給し、また、それらの噴霧器からの出力レートが噴霧器の寿命を通じて変化することから、アダプティブ・エーロゾル・デリバリー(商標)は患者が受け入れる薬剤の量を監視するために適切ではないことが了解されるであろう。
【0034】
図1の噴霧器の動作は、以下に図2〜5に関して説明されるが、それらから本発明が、使用可能な先行技術の噴霧器に関係する難題をどのように克服するかが理解されるはずである。
【0035】
霧化による患者の肺への送達のための大部分の薬剤に関して、調合薬剤は、薬剤小瓶に包装されたある一定量の液体である。患者の肺に送達されなければならない薬剤の量は、計量室6の量に等しいが、小瓶の量は通常もっと多いはずである。図2に関して、シーリング部材13を流体貯留槽10内部から取り出す蓋が開けられる。その後、液体薬剤が、それが計量室6の全部および上室7の一部を満たすことになる流体貯留槽10に注入され得る。この時点で、メッシュプレート3に到達し得る薬剤の量を制限するために、上室7の蓋11を閉じる必要がある。そうするには、シーリング部材13が計量室6の縁8に接してシールを形成するように、蓋11が単に閉じられる。このようにして、上室7内の液体は、図3に示すように、計量室6内の液体と完全に分離される。
【0036】
図4において、液体のほぼ半分が霧化されて、計量室6内の液面が低下したことがわかるであろう。蓋11の空気口16は、空気が、上室7から液体を引き込むことなく、霧化されている液体に取って代わるために計量室6に入るのを可能にする。
【0037】
図5において、計量室6内の液体が、センサ17が液体によってもはや覆われず、従って霧化が停止されるほど低く、低下したことがわかるであろう。この時点で、電子制御装置15は治療が完了したということを知り、たとえ患者がその後に蓋11を繰り返し開閉したとしても、電子制御装置15は治療を再開させないであろう。
【0038】
適格なセンサ17が、特許文献8に開示されており、それは、流体と接触する2本の電極を使用する単純な電気回路であり、流体が電極と接触している時に回路を通過する電流を検出する。このものの代わりに、種々の周知の液体センサがここで使用できるであろう。
【0039】
ここで図6に関して、この図は、流体センサがまさしく底部に、メッシュプレート3のいっそう近くに示されていること以外、図1に示されたものに極めて類似の構成を示している。また、この場合、計量室6とメッシュプレート3の背面との間の首部は、計量室6がメッシュプレート3に直接到るように取り除かれている。図1においてとまったく同様、メッシュプレート3には計量室6から重力供給される。超音波メッシュプレート3の周辺の流体流れの構成が残留量を最小限にするように最適化されるのであれば、室のまさしく底に液体センサを配置することが可能である。これは、治療の終了後のシステムにおける液体の残留量を最小限にし、装置を洗浄することをより容易にさせ得る。
【0040】
当然ながら、液体センサの使用は、液体の全部が霧化された時を判定する唯一の方法ではない。例えば、代替例として、振動の周波数および振幅を監視することによってメッシュで液体の全部が霧化された時を超音波制御電子装置から決定することが可能である。それは、物質が霧化されている時と液体がまったく存在しない時とが極めて異なるはずであり、これがセンサ17の代わりに使用できるであろう。
【0041】
図7、8および9は、本発明の別の実施形態を示す。最初に図7に言及すれば、メッシュプレートホーンおよび超音波変換器を含む霧化装置が示されていないが、それらは図1に示したのと同様に配置され得る。図7において、可能な場合、図1においてと同じ参照番号が使用される。
【0042】
図7において、流体室10は、先行実施形態においてと同様に計量室6を含むが、他方の室の構成は異なる。この場合、他方の室21は、計量室6のまわりに配置されたあふれ室である。計量室6の頂部には、あふれ穴22があり、それはこの場合、計量室6の頂部のまわりにまっすぐに拡張する穴として図示されている。しかし、穴22は、このように拡張していなくてもよく、霧化される物質のあらゆる超過があふれ室21へあふれ出るのを可能にするように配置されたまったく単一の比較的小さい穴とすることもできよう。あふれ穴22の上側縁端は、計量室6と概ね整列している通路24を画成する管23によって画成される。通路24の目的は、図8について説明する際に以下でより明白になるであろう。
【0043】
流体貯留槽10の頂部は、あふれ室の頂部を覆って嵌る蓋25によって閉じられる。蓋25は、通路24と合致する中心穴26を画成する内側縁端を備える。蓋25は、ヒンジで枢転するように取り付けられている。また、中心穴26を閉じることができることが望ましく、それは、やはりヒンジで枢転式に取り付けられる充填蓋27によって達成される。この充填蓋27は、噴霧器が充填できるようにするために開けることができ、その後、異物の進入を防ぐとともに、こぼれを防ぐために閉じることができる。充填蓋27は空気口28を備える。
【0044】
図8に関して、噴霧器は充填操作中として示されている。最初に、充填蓋27は通路24を開くために持ち上げられる。その後、単位用量小瓶が開けられて、内容物が通路24を通じて噴霧器へ注入される。小瓶からの液体は管23によって計量室に誘導されて、計量室6を満たし、それを超えたあらゆる液体はあふれ穴22を通じてあふれ室21にあふれる。単位用量小瓶が空になると、充填蓋27は閉じることができ、その後、噴霧器は使用できる。計量室6内の液面は、液体が霧化されるにつれて減少し、空気は充填蓋27の空気口28を通じて流体貯留槽10に入ることができる。
【0045】
図9は、計量室内の液面が低下した時の流体貯留槽10を示す。あふれ室21内の液体は、あふれ室で保留される。治療が完了すると、蓋25は開けられ、超過物質は空けることができ、装置は洗浄できる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
上述の実施形態において、超音波変換器はホーンを振動させる。当然、この構成をある程度変更することが可能である。例えば、ホーンを振動させる代わりに、霧化は代わってメッシュプレートを振動させることによって達成され得るであろう。これらの構成の両方とも、用語「メッシュ式噴霧器」に該当する。
【符号の説明】
【0047】
1 噴霧器
2 エーロゾル
3 メッシュプレート
4 超音波変換器
5 ホーン
6 計量室
7 上室
8 縁
9 底面
10 流体貯留槽
11 蓋
12 ヒンジ
13 シーリング部材
14 電源
15 電子制御装置
16 空気口
17 流体センサ
21 室
22 穴
23 管
24 通路
25 蓋
26 中心穴
27 充填蓋
28 空気口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴霧器であって、
物質を噴霧するための霧化装置と、
噴霧される物質を霧化装置に供給するように構成された計量室、および第2室を有する貯留槽とを含み、計量室および第2室は、物質が噴霧器の外側から計量室に注入され、また第2室が噴霧される物質の量を規定する計量室の量を超えた物質のいずれをも受け入れて保留するように構成されていることを特徴とする噴霧器。
【請求項2】
計量室と第2室との間に配設された仕切りをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の噴霧器。
【請求項3】
仕切りは計量室と第2室との間の位置決めのためのシーリング部材であることを特徴とする請求項2項記載の噴霧器。
【請求項4】
仕切りは空気が計量室に入るのを可能にする空気口を備えることを特徴とする請求項2又は3記載の噴霧器。
【請求項5】
貯留槽を閉じるために構成された蓋をさらに含むことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項記載の噴霧器。
【請求項6】
仕切りは蓋によって保持されていることを特徴とする請求項5記載の噴霧器。
【請求項7】
計量室は、仕切りが接してシールを形成することができる縁を備えることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項記載の噴霧器。
【請求項8】
貯留槽は、第2室につながるあふれ穴を計量室の頂部に備えることを特徴とする請求項1記載の噴霧器。
【請求項9】
あふれ穴は計量室の頂部の全部または相当部分のまわりに拡張していることを特徴とする請求項8記載の噴霧器。
【請求項10】
貯留槽を閉じるために構成された蓋をさらに含むことを特徴とする請求項8又は9記載の噴霧器。
【請求項11】
空気が貯留槽に入るのを可能にする空気口をさらに含むことを特徴とする請求項10記載の噴霧器。
【請求項12】
第2室は計量室の頂部より下方にある底面を備えることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項記載の噴霧器。
【請求項13】
噴霧される物質が全部またはほぼ全部噴霧された時を検知するように構成されたセンサをさらに含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項記載の噴霧器。
【請求項14】
霧化装置の動作を制御し、物質の全部またはほぼ全部が噴霧されたことをセンサが検知すると噴霧器装置を停止するように構成されている、制御装置をさらに含むことを特徴とする請求項13記載の噴霧器。
【請求項15】
噴霧器はシングルパス式噴霧器であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項記載の噴霧器。
【請求項16】
霧化装置は、物質がそれを通じて噴霧されるメッシュを含むことを特徴とする請求項15記載の噴霧器。
【請求項17】
霧化装置は、物質がそれを通じて噴霧される複数の毛細管を含むことを特徴とする請求項15記載の噴霧器。
【請求項18】
霧化装置は、物質がそれによって噴霧される静電界発生器を含むことを特徴とする請求項15記載の噴霧器。
【請求項19】
霧化装置および貯留槽を有する噴霧器に装入する方法であって、
噴霧される物質の容積を画定する計量室における貯留槽の計量室に噴霧される物質を注入する工程と、
計量室の量を超えた貯留槽内の物質のいずれをも、それが霧化装置に供給されないように、第2室に保留する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
超過物質を保留するために貯留槽内に仕切りが配置されることを特徴とする請求項19記載の方法。
【請求項21】
仕切りは、貯留槽の蓋を閉じることによって超過物質を保留するために配置されていることを特徴とする請求項20記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−88917(P2010−88917A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−279008(P2009−279008)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【分割の表示】特願2003−561681(P2003−561681)の分割
【原出願日】平成15年1月17日(2003.1.17)
【出願人】(502291632)レスピロニクス・レスピラトリー・ドラッグ・デリバリー・(ユーケー)・リミテッド (3)
【Fターム(参考)】