説明

四塩基性硫酸鉛からなる塩素含有重合体用安定剤

【課題】 動的熱安定性のみならず静的安定性にも優れた四塩基性硫酸鉛からなる塩素含有重合体用安定剤を提供する。
【解決手段】 下記式(1):
R=I202/I230×100 …(1)
式中、I202は面指数(202)のX線回折ピークであり、
230は面指数(230)のX線回折ピークである、
で定義されるピーク強度比Rが20%より高く40%以下であり、且つ平均粒径(D50)が0.2乃至3.0μmの範囲にある四塩基性硫酸鉛粒子からなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、四塩基性硫酸鉛からなる塩素含有重合体用安定剤に関する。
【背景技術】
【0002】
塩素含有重合体、例えば塩化ビニル樹脂は熱及び光に曝されるとその分子鎖内で脱塩酸を生じ、分解、変色等が生じる。この熱分解に対して塩化ビニル樹脂を安定化するために、従来種々の安定剤或いは安定剤組成物が提案され、広く使用されている。
【0003】
塩素含有重合体の熱安定化剤としては、三塩基性硫酸鉛が一般的なものであり、熱安定性にも優れていることから、工業的な塩素含有重合体成形品の熱安定化に広く使用されている。この三塩基性硫酸鉛は、下記式:
3PbO・PbSO・H
で表されるものであり、結晶水を含有していることに関連して、これが配合された塩素含有重合体の射出成形品に銀条(シルバーストリーク)が発生するという問題があった(特許文献1参照)。
【0004】
一方、三塩基性硫酸鉛に特有のシルバーストリークが防止された安定剤として、特許文献2には、下記式(1):
R=I202/I230×100 …(1)
式中、I202は面指数(202)のX線回折ピークであり、
230は面指数(230)のX線回折ピークである、
で定義されるピーク強度比Rが20%以下である四塩基性硫酸鉛が提案されている。また、上記特許文献1にも、四塩基性硫酸鉛がシルバーストリークの防止に有効であることが開示されている。
【特許文献1】特開平9−241459号公報
【特許文献2】特開平10−1312号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
即ち、四塩基性硫酸鉛は、下記式:
4PbO・PbSO
で表され、結晶水を含有していないため、前述したシルバーストリークを有効に防止できるというものであるが、静的熱安定性(ギヤオーブン耐熱性、耐熱安定性など)が不満足であり、成形品に着色を生じるという問題があった。例えば、特許文献2に開示されている四塩基性硫酸鉛は、動的熱安定性(プラスト耐熱性)には優れているのであるが、静的熱安定性の点で不満足である。
【0006】
従って本発明の目的は、動的熱安定性のみならず静的安定性にも優れた四塩基性硫酸鉛からなる塩素含有重合体用安定剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、四塩基性硫酸鉛粒子は、湿式粉砕によって該粒子を微粒化していくと、驚くべきことに該粒子の結晶性が次第に低下していき、あるレベルにまで結晶性が低下し、所定の粒度に達したものは、動的熱安定性は勿論のこと、静的熱安定性にも優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明によれば、下記式(1):
R=I202/I230×100 …(1)
式中、I202は面指数(202)のX線回折ピークであり、
230は面指数(230)のX線回折ピークである、
で定義されるピーク強度比Rが20%より高く40%以下であり、且つ平均粒径(D50)が0.2乃至3.0μmの範囲にある四塩基性硫酸鉛粒子からなることを特徴とする塩素含有重合体用安定剤が提供される。
【0009】
本発明において、上記の四塩基性硫酸鉛粒子は、
(1)前記四塩基性硫酸鉛粒子が、200℃までの強熱減量が0.7重量%以下であること、
(2)前記四塩基性硫酸鉛粒子が、前記ピーク強度比が20%以下の四塩基性硫酸鉛粒子を湿式粉砕することにより得られたものであること、
(3)前記四塩基性硫酸鉛粒子が、脂肪酸乃至その誘導体によって表面被覆されていること、
が好ましい。
【0010】
本発明によればまた、前記塩素含有重合体用安定剤と、塩素含有重合体とからなる樹脂組成物が提供される。
【0011】
上記の樹脂組成物においては、前記塩素含有重合体用安定剤を、塩素含有重合体100重量部当り0.1乃至10重量部の量で含有していることが好適である。
【0012】
尚、本明細書において、静的熱安定性とは、安定剤粒子が混練されている塩化ビニル樹脂を190℃の温度に加熱保持したときに着色するまでの時間で評価されるギヤオーブン耐熱性と、このような塩化ビニル樹脂から塩化水素の脱離を生じるまでの時間で評価される耐熱安定性とを意味する。また、動的熱安定性とは、安定剤粒子が混練されている塩化ビニル樹脂を190℃の温度で加熱混練したときに、塩化ビニル樹脂が分解するまでの時間で評価されるプラスト耐熱性を意味する。これらは、いずれも長いほど、熱安定性が優れているといえる。具体的な試験方法については、後述する実施例を参照されたい。
【発明の効果】
【0013】
本発明においては、塩素含有重合体用安定剤として用いる四塩基性硫酸鉛粒子は、結晶水を含有していないため、射出成形品でのシルバーストリークの発生を有効に抑制することができるが、さらに後述する実施例からも理解されるように、動的熱安定性のみならず、静的熱安定性にも極めて優れており、例えば成形時等で生じる着色や塩化水素の発生を有効に抑制することができる。
【0014】
ところで、本発明において用いる四塩基性硫酸鉛粒子は、例えば前述した特許文献2に開示の方法で製造された四塩基性硫酸鉛を、さらに湿式粉砕して、所定の粒度に調整することにより得られ、この結果として、前記式(1)で表されるX線回折ピーク強度比Rが20%より高く40%以下であり、且つ平均粒径(D50)が0.2乃至3.0μmの範囲にあり、このような特性によって、優れた動的安定性や静的安定性を示すものである。
【0015】
図1乃至図4を参照されたい。図1は、所定の方法(特許文献2に記載の方法)で製造された四塩基性硫酸鉛粒子を脂肪酸で表面処理した物(実験例1での試料H−1)のSEM写真であり、この四塩基性硫酸鉛粒子は、アスペクト比の大きな針状形状を有していることが判る。また、図2乃至図4は、図1の四塩基性硫酸鉛粒子を、ボールミル粉砕処理した四塩基性硫酸鉛粒子のSEM写真であり、図2は、湿式粉砕時間が6時間(試料S−1)、図3は、湿式粉砕時間が12時間(試料S−2)、図4は、湿式粉砕時間が72時間(試料H−2)であり、図2及び図3の四塩基性硫酸鉛粒子(試料S−1、S−2)が、本発明の安定剤である。尚、粉砕条件は後述する実施例中の実験例1に記載されている。
【0016】
図1〜図4から理解されるように、湿式粉砕を続けていくに従い、針状の四塩基性鉛粒子は、アスペクト比が1に近い立方体形状もしくは球形状の微細な粒子に粉砕されていき、粉砕時間が長くなると、粒子の凝集を生じ、図4のものでは大きな凝集体となっていることが理解される。
【0017】
また、図5は、上記の湿式粉砕時間に対して、レーザ回折散乱法で測定した粒子の平均粒径(D50)をプロットした曲線を示している。この図から明らかな通り、この四塩基酸硫酸鉛粒子の平均粒径は、粉砕時間が32時間程度で極小となり、さらに攪拌を続行すると、粒子の再凝集によって、その平均粒径は増大していくことが判る。
【0018】
さらに、図6は、上記の湿式粉砕時間に対して、前述した式(1)のX線回折ピーク強度比Rをプロットした曲線を示している。この図6から明らかな通り、ピーク強度比Rは、湿式粉砕開始前(即ち、図1の四塩基性硫酸鉛粒子)では、10%であるが、湿式粉砕に伴って増大し、粉砕時間が約48時間を超えると、ほぼ45%で平衡値に達し、それ以上のピーク強度比Rの上昇は認められない。
【0019】
ここで重要なことは、図1に示す四塩基性硫酸鉛粒子を、ジェットミルなどを用いての乾式粉砕では、図6に示されているようなピーク強度比Rの増大は認められないということである。即ち、図2や図3などに示す微細な粒子は、乾式粉砕によっても得ることができるが、そのような乾式粉砕で得られた微細粒子は、ピーク強度比Rが粉砕前のものと実質的に同一であり、そのピーク強度比Rは20%以下となっている。このような粉砕手段によってピーク強度比Rに相違が生じる理由は、正確に解明されたわけではないが、本発明者等は、次のように推定している。
【0020】
即ち、湿式粉砕では、水等の液体媒体を通して粉砕が行われるため、所定のレベルまで微細な粒径に粉砕するまでにかなりの時間を要する。従って、四塩基性硫酸鉛粒子に長時間にわたって負荷が加わり、この結果、結晶構造が徐々に崩壊していき、式(1)中の分母である面指数(230)のX線回折ピーク(I230)は、湿式粉砕に伴って次第に減少していく。このため、式(1)のピーク強度比Rが次第に増大していくものと考えられる。一方、乾式粉砕では、直接、粒子に剪断力などの負荷が加わるため、所定のレベルの微細な粒径にするまで著しく短時間でよく、湿式粉砕と比較すれば瞬時といってよい時間である。従って、この乾式粉砕に際しては、結晶構造の崩壊はほとんど生じることがなく、従って、面指数(230)のX線回折ピーク(I230)の減少は認められず、図6に示されているようなピーク強度比Rの増大は、全く生じないものと考えられる。
【0021】
以上の事実から理解されるように、本発明において、ピーク強度比Rが20%より高く、40%以下であることは、湿式粉砕前の粒子に比して、非晶質性が高められていると同時に、凝集をほとんど生じていないレベルで一定の微細な平均粒径(0.2乃至3.0μm;図5において、粉砕時間が3乃至36時間のレベルに相当)を有していることを物語っている。即ち、このような四塩基性硫酸鉛粒子からなる本発明の安定剤は、凝集をほとんど生じていないレベルで微細な平均粒径を有しているため、塩素含有重合体に均一に分散でき、しかも、該粒子は非晶質性を有しているため、塩素含有重合体に対して、優れた動的及び静的熱安定性を示すのである。
【0022】
例えば、乾式粉砕により上記と同等レベルの微細な平均粒径に調整された四塩基性硫酸鉛粒子では、結晶構造が崩壊されておらず、ピーク強度比Rが20%以下であるため、各原子が結晶格子中に安定に組み込まれているため、分散性は良好であるものの、反応性に乏しい。従って、動的条件下での熱安定性(動的熱安定性)は満足し得るものの、静的条件下での熱安定性(静的熱安定性)は、不満足なものとなってしまう。しかるに、湿式粉砕により所定レベルの微細な平均粒径に調整された四塩基性硫酸鉛粒子(実験例1での試料S−1、S−2)は、分散性が良好であることに加え、結晶構造の崩壊が進行しているため、反応性が高く、動的熱安定性及び静的熱安定性も良好となっており、特に、三塩基性硫酸鉛(比較試料H−3)に比しても、これらの熱安定性は優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(四塩基性硫酸鉛の製造)
本発明において、湿式粉砕に供する四塩基性硫酸鉛は、例えば特許文献2に記載されている製法に準拠して、一酸化鉛と硫酸とを酸触媒の存在下で反応させることによって得られる。
【0024】
上記反応に際して、一酸化鉛と硫酸とは、反応当量で使用されるが、酸触媒の使用量は、PbO 1モル当たりのモル数で0.1モル以下、特に0.001乃至0.05モルの範囲とする。酸触媒の使用量が上記範囲を上回ると、生成する四塩基性硫酸鉛が三塩基性硫酸鉛に転化する傾向がある。一方、酸触媒の使用量が余りにも少ないと、反応速度が低下するので、0.001モル以上存在させるのが好ましい。
【0025】
また、上記反応は、一酸化鉛の水性スラリーに、酸触媒の存在下に、化学量論量の硫酸を徐々に注加させるのがよい。即ち、形成される硫酸鉛に対して四塩基に相当するPbOが存在することが、四塩基性硫酸鉛の生成にとって必須不可欠であるが、硫酸の注加速度が大きいと、局部的に上記塩基度が不足し、三塩基性硫酸鉛が生成するようになってしまうからである。例えば、反応系のpHが8乃至10の範囲に維持されるように、一般に1時間以上、特に2時間以上かけて硫酸を注加するのが好ましい。
【0026】
一酸化鉛の水性スラリーは、PbOとしての濃度が、5乃至60W/V%、特に20乃至40W/V%の範囲にあるのが望ましく、一方硫酸濃度は0.5乃至18モル/L、特に1乃至15モル/Lの範囲にあるのが望ましい。
【0027】
酸触媒としては、酢酸等の有機酸、硝酸等の無機酸が使用でき、一般に一塩基酸が好適である。遊離の酸を反応系に添加する代わりに、これらの酸の鉛塩を用いることもできる。
【0028】
また、四塩基性硫酸鉛の結晶を揃えるために、反応生成物を熟成すること、及び生成した四塩基性硫酸鉛の結晶を回収するために、熟成後の生成物を固液分離することが必要であり、反応開始から固液分離までの反応系の温度を80℃以上、特に90℃以上の温度に維持するのがよい。反応系の温度は勿論であるが、熟成時の温度や固液分離時の温度が上記範囲を下回ると、せっかく生成した四塩基性硫酸鉛が三塩基性硫酸鉛に転化するようになってしまうので注意を要する。
【0029】
尚、熟成は、0.5乃至5時間、特に1乃至3時間程度行うのがよい。当然のことながら、前述した硫酸の注加や、この熟成は、反応系を撹拌しながら行うのがよい。この場合、硫酸の注加を比較的短い時間で行うときには、熟成時間を長くすることが好ましい。反応は常圧で十分に進行するが、加圧下に反応を行ってもよい。
【0030】
上記のような方法によれば、容易に且つ安価に入手しうる一酸化鉛と硫酸とを原料として、四塩基性硫酸鉛を高選択率で収率よく、純粋な形で合成できる。
【0031】
熟成後、固液分離し、乾燥して得られた四塩基性硫酸鉛は、前記式(1)で定義されるピーク強度比(R)が20%以下、特に10%以下であるX線回折像を示す。下記表1は、本発明において、後述する湿式粉砕に供する四塩基性硫酸鉛のX線回折(Cu−α)の回折角、面指数、相対強度を、ASTMカード記載の値と対比して示す。
【0032】
【表1】

【0033】
表1によると、一般的な四塩基性硫酸鉛では、前記式(1)のピーク強度比(R)が45%であるのに対して、本発明の原料で用いる四塩基性硫酸鉛は、この値が20%以下、特に10%以下であることが判る。
【0034】
また、上記で得られた四塩基性硫酸鉛は、図1に示されているように、針状の結晶であり、大寸法として測定される粒径は一般に5乃至30μmであり、アスペクト比は3乃至20の範囲である。
【0035】
(安定剤)
本発明では、上記のようにして得られた四塩基性硫酸鉛を湿式粉砕することにより、安定剤として用いる四塩基性硫酸鉛粒子を得ることができる。この場合、湿式粉砕に先立って、必要により、適度な粒径に乾式粉砕を行っておくことも可能である。
【0036】
湿式粉砕は、それ自体公知の方法で行うことができ、例えば液体媒体として水を使用し、上記の四塩基性硫酸鉛と水との混合物(四塩基性硫酸鉛濃度が10乃至40重量%程度とするのがよい)を、ボールミル処理することにより行うことができる。
【0037】
この湿式粉砕により、アスペクト比が1に近く、平均粒径(D50)が0.2乃至3.0μm、特に0.5乃至2.0μmの範囲に微粒化するが、既に述べたように、湿式粉砕に伴って、ピーク強度比Rが増大していく。本発明では、このピーク強度比Rが20%よりも高く40%以下、特に20.5乃至35%の範囲となる程度に湿式粉砕を行う。即ち、ピーク強度比Rが、上記範囲よりも高くなるまで湿式粉砕を行ってしまうと、粒子の凝集の程度が大きくなってしまい、平均粒径が上記範囲内であっても、塩素含有重合体に対する分散安定性が損なわれてしまい、目的とする動的及び静的熱安定性を得ることができない。また、ピーク強度比Rが20%以下のときは、動的安定性を確保することはできても、静的熱安定性を得ることができない。
【0038】
尚、平均粒径が上記範囲内にあり、且つピーク強度比Rが上記範囲内となるようにするためには、湿式粉砕に供する四塩基性硫酸鉛の粒径や湿式粉砕条件(例えば用いるボールの大きさ個数、処理量など)に応じて、適宜、湿式粉砕時間を調整すればよい。因みに、後述する実施例中の実験例1の条件では、湿式粉砕時間を3乃至40時間、特に3乃至32時間程度に設定すればよい。
【0039】
かくして得られた四塩基性硫酸鉛粒子を乾燥して、塩素含有重合体用安定剤として使用することができる。
【0040】
このような四塩基性硫酸鉛粒子は、結晶水を有していないため、シルバーストリーク防止性に優れているのは勿論であるが、前述した式(1)のX線ピーク強度比Rが所定の範囲にあり、且つ所定の微細な平均粒径を有していることから、優れた動的及び熱的安定性を示す。
【0041】
また、このような安定剤として使用する四塩基性硫酸鉛粒子は、ピーク強度比Rが所定の範囲内となる程度の湿式粉砕が行われていることに関連して、200℃までの強熱減量が0.7重量%以下であるという特性を有している。即ち、表面に付着した水分量或いは表面OH基量が極めて少なく、この結果、塩素含有重合体に配合したときに発泡等の不都合を有効に防止することができる。
【0042】
上記のような特性を有する四塩基性硫酸鉛粒子は、そのまま塩素含有重合体に配合することもできるが、これに脂肪酸或いはその誘導体を添加混合して、表面を被覆して安定剤として用いることが、分散性等の点から好ましい。また、この被覆は、湿式粉砕の前で行っても、後で行ってもよいが、湿式粉砕時に四塩基性硫酸鉛粒子と脂肪酸或いはその誘導体を一緒にして、粉砕を行うことが作業性等の点から好ましい。このような脂肪酸乃至誘導体としては、脂肪酸とグリセリン等の多価アルコールのモノエステル等を用いることができる。脂肪酸及びその誘導体の量は、四塩基性硫酸鉛100重量部当たり0.1乃至5重量部が適当である。
【0043】
[樹脂組成物]
本発明では、塩素含有重合体100重量部に、上記の安定剤を0.1乃至10重量部、特に0.5乃至5重量部配合して、安定化された樹脂組成物として使用する。
【0044】
塩素含有重合体としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−塩化プロピレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、内部可塑化ポリ塩化ビニル等の重合体、及びこれらの塩素含有重合体とポリエチレン、ポリブテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ポリスチレン、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合体等のブレンド物等を挙げることができる。
【0045】
また、上記のような樹脂組成物には、それ自体公知の各種添加剤、例えば非金属系安定剤、塩基性無機酸塩等の他の安定剤乃至は安定助剤、可塑剤、多価アルコール類、酸化防止剤、光安定剤、造核剤、充填剤、エポキシ安定剤、有機キレーター、顔料、帯電防止剤、防曇剤、プレートアウト防止剤、難燃剤等を、その安定性が損なわれない範囲内において添加配合することが可能である。また、無機系の安定剤、例えばゼオライト、亜鉛等でイオン交換されるゼオライト、含水もしくは無水の非晶質ケイ酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ハイドロタルサイト類化合物、亜鉛型ハイドロタルサイト類化合物、過塩素酸型ハイドロタルサイト類化合物、リチウムアルミニウム複合水酸化物及び過塩素酸型のリチウムアルミニウム複合酸化物等を配合することができる。これらの配合剤は、0.01乃至30重量部の範囲から、目的に応じて適宜配合できる。
【0046】
可塑剤としては、フタル酸エステル系可塑剤、アジピン酸エステル系可塑剤等のエステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、燐酸エステル系可塑剤、塩素系可塑剤などがあげられる。
【0047】
多価アルコールとしては、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールまたはジペンタエリスリトールのステアリン酸部分エステル、ビス(ジペンタエリスリトール)アジペート、グリセリン、ジグリセリン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどがあげられる。
【0048】
酸化防止剤としてはフェノール系酸化防止剤・硫黄系酸化防止剤・ホスファイト系酸化防止剤が挙げられ、上記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチルフェノール)、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−第二ブチル−6−第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス〔2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}〕エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕などがあげられる。
【0049】
上記硫黄系酸化防止剤としては例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、ジミリスチル、ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート類及びペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)等のポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類があげられる。
【0050】
上記ホスファイト系酸化防止剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス〔2−第三ブチル−4−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノ(ジノニルフェニル)ビス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(C12-15 混合アルキル)−4,4’−n−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)(オクチル)ホスファイトなどがあげられる。
【0051】
光系安定剤としてはヒンダードアミン系光安定剤があげられ、例えば2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ドデシルコハク酸イミド、1−〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕−2,2,6,6−テトラメチル−4ピペリジル−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチルー4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン、テトラ(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、テトラ(1,2,2,6,6−ペンタメチルー4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)ブタンテトカルボキシレート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2,−{トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、1,5,8,12−テトラキス〔4,6−ビス{N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミノ}−1,3,5−トリアジン−2−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジメチル縮合物、2−第三オクチルアミノ−4,6−ジクロロ−s−トリアジン/N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン縮合物、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン/ジブロモエタン縮合物などがあげられる。
【0052】
造核剤としては、アルミニウム−p−第三ブチルベンゾエート、ジベンジリデンソルビト−ル、ビス(4−メチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(4−第三ブチルフェニル)ホスフェートナトリウム塩、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)ホスフェートナトリウム塩などがあげられる。
【0053】
エポキシ化合物としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化魚油、エポシ化トール油脂肪酸エステル、エポキシ化牛脂油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ化サフラワー油、エポキシ化アマニ油脂肪酸ブチル、(エポキシステアリン酸メチル,−ブチル,−2−エチルヘキシルまたは−ステアリル)、トリス(エポキシプロピル)イソシアヌレート、3−(2−キセノキシ)−1、2−エポキシプロパン、エポキシ化ポリブタジエン、ビスフェノール−Aジグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジエポキサイド、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシル−6−メチルエポキシシクロヘキサンカルボキシレートなどがあげられる。
【0054】
β−ジケトン化合物としては、デヒドロ酢酸、1,3−シクロへキサジオン、メチレンビス−1,3−シクロヘキサジオン、2−ベンジル−1,3−シクロヘキサジオン、アセチルテトラロン、パルミトイルテトラロン、ステアロイルテトラロン、ベンゾイルテトラロン、2−アセチルシクロヘキサノン、2−ベンゾイルシクロヘキサノン、2−アセチル−1,3−シクロヘキサジオン、ベンゾイル−p−クロルベンゾイルメタン、ビス(4−メチルベンゾイル)メタン、ビス(2−ヒドロキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセトン、トリベンゾイルメタン、ジアセチルベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタン、ラウロイルベンゾイルメタン、ジベンゾイルメタン、ビス(4−クロルベンゾイル)メタン、ビス(メチレン−3,4−ジオキシベンゾイル)メタン、ビス(メチレン−3,4−ジオキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセチルフェニルメタン、ステアロイル(4−メトキシベンゾイル)メタン、ブタノイルアセトン、ジステアロイルメタン、ビス(4−クロルベンゾイル)メタン、ビス(メチレン−3,4−ジオキシベンゾイル)メタン、ビス(メチレン−3,4−ジオキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセチルフェニルメタン、ステアロイル(4−メトキシベンゾイル)メタン、ブタノイルアセトン、ジステアロイルメタン、アセチルアセトン、ステアロイルアセトン、ビス(シクロヘキサノイル)メタン、ジビバロイルメタンなどがあげられ、これらの金属塩も同様に有用である。
【0055】
また、β−ケト酸エステルとしては、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸プロピル等のアセト酢酸エスチル、プロピオニル酢酸メチル、プロピオニル酢酸エチル等のプロピオニル酢酸エステル、ベンゾイル酢酸メチル、ベンゾイル酢酸ブチル等のベンゾイル酢酸エステル等を例示することができ、最も好適なものとしてはアセト酢酸エステルを挙げることができる。
【実施例】
【0056】
本発明を次の例で説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。実施例における測定は、以下の方法で行った。
【0057】
(1)X線回折測定
理学電機(株)製のRAD−IBシステムを用いて、Cu−Kαにて測定した。
ターゲット Cu
フィルター 湾曲結晶グラファイトモノクロメーター
検出器 SC
電圧 40KVP
電流 20mA
カウントフルスケール 700c/s
スムージングポイント 25
走査速度 1°/min
ステップサンプリング 0.02°
スリット DS1° RS0.15mm
SS1°
照角 6°
【0058】
(2)平均粒径測定
平均粒径(メジアン径;μm)はコールターカウンター社製のレーザ回折型粒子サイズアナライザー(コールターR LS130)を用いて測定した。
【0059】
(3)熱重量分析(強熱減量)
セイコー電子工業製SSC−5200TG−DTAシステムを用いて測定した。
【0060】
(4)ギヤオーブン耐熱性:静的熱安定性試験
下記配合Aの塩化ビニルシートをオーブン中にて190℃に加熱し、劣化着色するまでの時間を測定してシートの耐熱性を評価した。
<配合A>
塩化ビニル樹脂(重合度700) 100重量部
ステアリン酸鉛 0.3重量部
ステアリン酸カルシウム 0.3重量部
顔料 0.5重量部
試料(表3参照) 3.0重量部
【0061】
(5)塩化水素捕捉能(C.R.)
JIS.K−6723に準拠し、前記配合Aの塩化ビニルシートを1.0mm×1.0mmに裁断し(試料チップ)、コンゴーレッド紙を装着した試験管に試料チップ2gを充填、190℃に加熱し、塩化ビニルの熱分解による塩化水素脱離時間を測定した。
【0062】
(6)プラスト耐熱:動的熱安定性試験
東洋精機製作所製ラボプラストミルで、前記配合Aの塩化ビニルシートが分解するまでのプラスト耐熱時間を測定した。
<試験条件>
ラボプラストミル型式 20R200
ローラーミキサ型式 R−60H
容量 約60cc
ブレード形状 ローラー型
ブレード回転比 2:3(L:R)
温度 195℃
回転数 45rpm
PVC充填量 60g
【0063】
(実験例1)
リサージ178.6g(0.8モル)を水600mlに懸濁させ、この懸濁液に酢酸0.36g(0.006モル)を添加し、これに濃度4.0M/Lの硫酸40.0mlを徐々に注加して85℃の温度で反応した。その後、2時間熟成後、濾過、水洗し、110℃で4時間乾燥後、粉砕して四塩基性硫酸鉛を得た。次に、得られた四塩基性硫酸鉛100重量部を脂肪酸3重量部で表面処理した(試料H−1とする)。得られた、四塩基性硫酸鉛の物性測定の結果を表2に、SEM写真を図1にそれぞれ示す。
前記試料H−1(脂肪酸で表面処理した四塩基性硫酸鉛)80gに、水400mlを加えスラリーを調製後、容量1.5Lの磁性ポットミルに入れ、アルミナボールを粉砕媒体として、湿式粉砕を行った。粉砕時間6、12、24、72時間後で各試料を得た(試料S−1〜S−3及びH−2)。それぞれの試料について、物性測定を行い、結果を表2に示す。また、粉砕時間6、12、72時間後の試料のSEM写真を図2〜4にそれぞれ示す。
【0064】
(実験例2)
水澤化学製の三塩基性硫酸鉛を用いた。これを試料H−3とする。物性測定を行い、結果を表2に示す。
【0065】
【表2】

【0066】
(実施例1〜3、比較例1〜3)
実験例1及び2で製造した試料をそれぞれ配合した配合A組成物について、ギヤオーブン耐熱試験、塩化水素捕捉能試験、プラスト耐熱試験を行った。その結果を表3に示す。
【0067】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】所定の方法で製造された四塩基性硫酸鉛粒子(試料H−1)のSEM写真(倍率:3000倍)である。
【図2】ボールミルで6時間湿式粉砕処理した四塩基性硫酸鉛粒子(試料S−1)のSEM写真(倍率:3000倍)である。
【図3】ボールミルで12時間湿式粉砕処理した四塩基性硫酸鉛粒子(試料S−2)のSEM写真(倍率:3000倍)である。
【図4】ボールミルで72時間湿式粉砕処理した四塩基性硫酸鉛粒子(試料H−2)のSEM写真(倍率:3000倍)である。
【図5】湿式粉砕時間に対して、レーザ回折散乱法で測定した粒子の平均粒径(D50)をプロットした曲線を示す図である。
【図6】湿式粉砕時間に対して、X線回折ピーク強度比Rをプロットした曲線を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1):
R=I202/I230×100 …(1)
式中、I202は面指数(202)のX線回折ピークであり、
230は面指数(230)のX線回折ピークである、
で定義されるピーク強度比Rが20%より高く40%以下であり、且つ平均粒径(D50)が0.2乃至3.0μmの範囲にある四塩基性硫酸鉛粒子からなることを特徴とする塩素含有重合体用安定剤。
【請求項2】
前記四塩基性硫酸鉛粒子が、200℃までの強熱減量が0.7重量%以下である請求項1に記載の塩素含有重合体用安定剤。
【請求項3】
前記四塩基性硫酸鉛粒子が、前記ピーク強度比が20%以下の四塩基性硫酸鉛粒子を湿式粉砕することにより得られたものである請求項1または2に記載の塩素含有重合体用安定剤。
【請求項4】
前記四塩基性硫酸鉛粒子が、脂肪酸乃至その誘導体によって表面被覆されている請求項1乃至3の何れかに記載の塩素含有重合体用安定剤。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の塩素含有重合体用安定剤と、塩素含有重合体とからなる樹脂組成物。
【請求項6】
前記塩素含有重合体用安定剤を、塩素含有重合体100重量部当り0.1乃至10重量部の量で含有している請求項5に記載の樹脂組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−28340(P2006−28340A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−209403(P2004−209403)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(000193601)水澤化学工業株式会社 (50)
【Fターム(参考)】