四肢における血流およびリンパ液流の循環を促進する携帯装置
本発明は四肢の循環を促進する携帯型装置を提供し、これは、四肢を囲む少なくとも1本の帯、モータ、および上記モータで駆動される機構を含み、帯の解放状態から収縮状態への第1の遷移、および収縮状態から解放状態への第2の遷移を間欠的に駆動する。この機構は、モータと帯の間に作動的に配置された少なくとも1つのエネルギー蓄積要素、およびエネルギー蓄積要素および帯の間を連結する少なくとも1つのエネルギー解放機構を含む。エネルギー解放機構によって、上記蓄積要素に蓄積されたエネルギーが高速に解放され、こうして解放されたエネルギーを使用して上記解放状態と収縮状態との間の少なくとも1つの急激な遷移を行なう。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本発明は、循環を促進し滞留関連DVTを防止する携帯装置と題する2002年3月3日付国際特許出願番号PCT/IL02/00157の部分継続出願であり、その内容をすべてここに参照により組み入れ、2004年2月2日付出願されたイスラエル特許出願第160185号の優先権を主張する。
【発明の背景】
【0002】
【発明の分野】
【0003】
本発明は、一般に、四肢と胴体における血流およびリンパ液流の促進に関するものである。具体的には、本発明は、循環を促進し、高圧から低圧へ、またその逆に、勾配を制御した急速な遷移を可能にする携帯自立式装置に関するものである。
【0004】
四肢における、とくに下肢における「凝血」または深部静脈血栓症(DVT)の発生は重大な健康障害である。これに冒された四肢には、赤熱、痛みおよび腫れなどの局部的症状および徴候が生じる。これはさらに、少量の凝固した血液を肺へ送って肺の血行を阻害し(肺塞栓症と呼ばれる)、肺、ときには心臓の機能をも低下させて生命の危険をもたらす。DVTの発生は、病理学的にはフィルヒョー三元素に関連していると考えられる。具体的には、脈管構造内で3つの条件、すなわち、うっ血(血流の減少)、高凝結性(通常状態における血管内での凝固傾向の増大)および内皮損傷(血管の内層への損傷が凝血形成を促進する)が満たされ場合に、DVTの発病率が増大している。
【0005】
歩行可能な人であれば、足の筋肉が足の深部静脈組織を圧迫して、心臓へ血液を押し出している。このような現象は「マッスルポンプ」と言われている。ふくらはぎの筋肉は昔から、「マッスルポンプ」のメカニズムに関係しているとされている。運動ができない時期に生じるうっ血は、DVT形成の大きな危険要因となると考えられている。運動ができないということには、例えばベッドまたは椅子にいる人など、仰向けに寝たきりであったり座ったままの姿勢であったりして身体的な活動が不足している期間、長い自動車旅行の期間、長時間の飛行機旅行、座位での長時間作業などが含まれる。
【0006】
最近、医学界が長時間旅行におけるDVTの形成を「旅行者血栓症」と命名している。顕在化したDVTの約5%は旅行中に発生していると考えられる。これは、長時間、とくに座位で運動ができないために発生するものと考察される。このような姿勢をとると、座位中に四肢の静脈がねじれるため、さらに血流に障害を生じる。また飛行中に搭乗員の静脈血流を(圧迫装置を利用して)促進すると、不快、四肢の腫れ、疲労および痛みが軽減されることが分かった。
【0007】
四肢の腫れおよび不快は、乳房切除後、リンパ細胞を切除する骨盤手術後のようなリンパ液流の停止状態や、その他、リンパ液流の心臓への循環が悪化した状態においても発生する。四肢の血液循環の減少はさらに、糖尿病(DM)などの動脈系統に影響を及ぼす条件においても観察されている。動脈壁が厚くなり弾性を失うアテローム性動脈硬化症の加速、毛細管に影響を及ぼす糖尿病に起因する微小脈管症、ならびに神経症(神経の失調および機能不全)などのさまざまな管束組織の変質が、糖尿病に起因する四肢における循環障害に原因と考えられている。四肢への血流の減少は、遠位の四肢におけるうっ血および阻血症を引き起こす。この阻血症が組織の死滅(壊死)と二次感染および炎症をもたらす。さらには、糖尿病に起因する神経症による知覚神経によって皮膚感覚が欠乏し、そのため患者は上述の状態の進行に気づくのを妨げられる。同様な影響を有する他の状態には、動脈系統に対して広範囲の損傷を与える疾病が含まれる。
【0008】
運動ができない期間に四肢の血流を促進することはすでに、四肢におけるDVT形成を予防する確立された方法になっている。この方法によれば、一般にDVTから発生する肺塞栓症(PE)の発生を予防するという、二次的な予防効果もある。下肢からの静脈還流を促進すれば、運動ができない期間の四肢の浮腫、痛みおよび不快感の発生も予防可能である。うっ血に関連したDVTの予防は一般に、大きく扱いにくい装置により行なわれている。かかる装置のほとんどは、訓練を受けた医療職員しか扱うことができない。かかる装置は次の2つの方法のいずれかによって作動する。すなわち、空気圧式もしくは液圧式間欠圧搾、または「マッスルポンプ」の直接的間欠電気刺激である。空気圧式/液圧式装置は袋体を有するスリーブまたは加圧帯を用い、気体または液体圧搾器により袋体を膨張および収縮させ、それによって生理的「マッスルポンプ」の刺激を生じさせる。こうした空気圧式および液圧式装置は通常、一連の精巧な管および弁、圧搾器、液体供給源および高度なコンピュータ制御装置を必要とする。さらに、こうした装置は作動中に相当な騒音を発生する。電気式刺激器は、ふくらはぎの筋肉に対して電気インパルスを与えて作用するものである。これらの装置は精巧な電子装置を必要とし、患者に痛みや苛々感を与える。DVTの予防を目的の既存の装置のほとんどは、訓練された人により医療環境において使用するように設計されている。さらに、既存の装置は膨張または収縮時間が緩慢であるばかりでなく、作動時中は四肢の広い表面面積を覆うことになる。これらの作動パラメータによって、血流不足状態の処置および予防が役立たなくなっている。
【0009】
したがって本発明は、四肢の血流およびリンパ液流を促進し、運動ができない期間中のDVTおよび他の病気の発生を予防する装置を提供し、この装置は、間欠的に四肢の筋肉を圧迫をシミュレートし、携帯式かつ自立式で、外部の動力源に依存せず、しかし互換性があり、運び易く小型で軽量であることを目的とする。さらに本発明は、動脈の樹枝状分岐血管における血流を促進し、それによって糖尿病による足の疾病および他の動脈関連の疾病の予防および治癒に役立つ装置を提供することを目的とする。本発明はさらに、医療分野で特別に訓練されていない素人でも操作が容易で、四肢へ簡単に帯で縛り、あるいは取付け可能であり、いかなる体格の人に対しても容易に調節可能な装置を提供することを目的とする。本発明はさらに、空気圧を必要とせず、静かに作動し、それによって飛行中などの人口稠蜜な室内、または患者の自宅でも周囲に騒音による不快感を与えることなく作動するDVTおよび他の病気の予防装置を提供することを目的とする。さらに本発明は、機械的手段によって、具体的には電気もしくは磁気エネルギーを機械的動きに変換することによる間欠的な筋肉の圧迫手段を提供することを目的とする。本発明はさらに、継続的低動力入力のエネルギー源を利用しつつ、短時間の大きな動力の出力を行なって、急速で間欠的な筋肉の圧迫および解放を行なう、エネルギー的に効果的で、効率的な装置を提供することを目的とする。本発明は、製造が容易で低コストのDVTおよび他の疾病の予防装置を提供することを更なる目的とする。
【本発明の概要】
【0010】
本発明の1つの態様によれば、四肢に対して間欠的な圧迫を加える小型携帯可能の患者装着式軽量機構が提供され、これは、高圧迫状態と解放状態の間で高速遷移を圧力プロファイルに与えることができる。この機構は、低速エネルギー充填機構および高速エネルギー放出機構を有し、このエネルギーが組織に対して放出される。低速エネルギー充填間隔は、望ましくは組織へ保存されるエネルギーの送出時間より長くする。この機構は、血液および他の体液の循環を改善し、抹消血管症患者の血液循環を改善し、病気予防に役立ち、あるいは深部静脈血栓の危険を減少すると考えられる。この機構はまた、動脈もしくは心臓疾患、抹消動脈疾患および四肢虚血症の患者にも役に立つことができ、さらに抹消部の潅流を改善することができる。人の四肢に対するこの機構の作用によって、なかでも、低圧でも吸引作用を達成し、これが静脈圧を低下させ、末端組織の勾配を改善して、潅流を改善することができる。この機構は慢性静脈不全患者の改善に、またはリンパ浮腫の患者のリンパ液流の改善に役立てることができる。この機構は、虚血性間動脈症および心臓機能不全の患者の冠動脈潅流を始めとする遠隔操作による血管機能手段において改善を行なうものである。
【0011】
本発明の第2の態様によれば、四肢における血液循環を促進する携帯装置を提供し、これは、四肢を包囲する調節可能な帯と、モータと、このモータにより駆動され帯の解放状態から帯の収縮状態への第1の遷移および収縮状態から解放状態への第2の遷移を間欠的に行なわせ第1の遷移が収縮期間の第1の時間間隔の後に生じる機構とを有し、この機構は、モータと帯との間に作動可能に配置されたエネルギー充填可能な要素と、このエネルギー充填可能要素と帯との間に連結されたエネルギー放出機構とを含み、前記機構は、前記充填可能要素内に保存されたエネルギーの迅速な放出と、このようにして放出されたエネルギーを用いて前記解放および収縮状態の間での少なくとも1回の突然の遷移を行なうことを可能にしている。この高出力による急速遷移は、10秒未満にすることができる。また、この高出力による急速遷移は、1秒未満にすることができる。さらにこの高出力による迅速な遷移は、300ミリ秒未満にすることができる。またさらに、この高出力による遷移は、30ミリ秒未満にすることができる。さらにこの高出力による遷移は、第1または第2の遷移にすることができる。各サイクルは、0.5ないし300秒の範囲内にし、1つの周期は第1および第2の時間間隔と、第1および第2の遷移とを含むことができる。第1の時間間隔は、300ミリ秒から15秒の範囲内にすることができる。本装置はさらに頻度調整器を含む。収縮期間中に四肢に対して加えられる圧迫は、15〜180 mmHgの範囲にすることができる。本装置はさらに、第1の遷移中に四肢に対して加えられる圧迫を調節する力調節機構を含む。エネルギー蓄積要素は、解放期間中に負荷することができる。このエネルギー蓄積要素は、バネにすることができる。本装置にはさらに、第2のエネルギー蓄積要素と、この第2のエネルギー蓄積要素および帯の間に連結された第2のエネルギー解放機構とを有することができ、前記第2のエネルギー解放機構によって、前記第2のエネルギー蓄積要素に保存されたエネルギーを迅速に解放し、さらにその解放されたエネルギーを用いて少なくとも1回の高出力による急速遷移に対して反対の方向に第2の高出力による急速遷移を行なわせることができる。本装置を用いて吸引作用を誘発させることができるが、この場合、第1の遷移は30ミリ秒から15秒の範囲であり、第1の時間間隔は、300ミリ秒から15秒の範囲にすることができ、第2の遷移は30秒ミリ秒〜200ミリ秒に範囲にすることができ、さらに全サイクルは5ないし60秒にすることができる。第1のエネルギー蓄積要素から解放されたエネルギーの一部は、第2のエネルギー蓄積要素へ充填することができる。第2のエネルギー蓄積要素はバネにすることができる。本装置には連続作動するモータを組み込むことができる。本装置にはさらに、使用者が本装置の作動パラメータを事前設定することができるマイクロコンピュータを持たせることができる。本装置の作動用パラメータには、収縮期間中に四肢に加わる圧迫力を含めることができる。この機構およびモータはさらに、ハウジングに収容することができる。このハウジングにさらに、モータへの給電する電源を収容することができる。この電源は、1つ以上の充電式もしくは非充電式電池、またはそれと同様の電源にすることができる。本機構にはさらに、それぞれが帯の一方の端部へ連結可能な2つの直線運動が可能なアームを含めることができ、これらの2つの可動アームを互いの方へ移動させて第1の遷移を行なわせ、2つのアームを互いから離れるように移動させて第2の遷移を行なわせる。帯の端部はローラへ固定することができ、その場合、前記ローラは、反対の方向に交互に回転させて前記第1および第2の遷移を起こさせ、帯をこのローラに巻き付けたり巻き戻したりする。帯は、収縮機構を備えた帯ローラに収縮可能に巻き付けることができる。この収縮機構は、第1の遷移前に自動的にロックして帯の使用可能長を一定に保ち、さらに第2の遷移後に自動的にロック解除して、解放期間中に四肢に対する帯の有効長を連続的に調節することができる。
【0012】
本発明の第3の態様によれば、四肢における血液循環を促進する携帯装置が提供され、これは、四肢を包囲する1つ以上の帯と、1つ以上のモータと、第1の充填可能要素、および前記第1のエネルギー蓄積要素に保存されたエネルギーを迅速に放出し、このように放出されたエネルギーを用いて前記少なくとも1つの帯の解放状態から収縮状態への第1の急激な遷移を起こさせることができる第1のエネルギー解放機構からなる帯収縮機構と、第2の充填可能要素、および前記第2の充填可能要素に保存されたエネルギーを迅速に解放し、そのように解放されたエネルギーを用いて前記帯の収縮状態から解放状態への第2の遷移を起こさせることができる第2のエネルギー解放機構からなる帯解放機構とを含む。この第1のエネルギー解放機構による第1の充填可能要素によって解放されたエネルギーの一部を用いて、第2の充填可能要素へ充填することができる。第2のエネルギー解放機構による第2の充填可能要素によって解放されたエネルギーの一部を用いて、第1の充填可能用へ充填することができる。第1もしくは第2の充填可能要素は、バネ、または他のエネルギー蓄積要素もしくは装置にすることができる。
【0013】
本発明の第4の態様によれば、四肢を包囲する帯を間欠的に収縮および解放することによって四肢における血液循環を促進する携帯装置が提供され、この装置は、2つの端部を有し、四肢を包囲する少なくとも1つの帯と、モータと、互いに他方のアームの方へ向いている近端部および前記帯の一方の端部へ連結可能な遠端部をそれぞれ有する2つの直線運動可能なアームと、前記2つのアームの急激な内方への移動を互いの方に行なわせ、それによって前記帯の解放状態から収縮状態への第1の遷移を行なわせる帯収縮機構と、前記帯収縮機構に連結され、前記2つのアームの急激な外方への移動を互いに離れるように行なわせ、それによって所定の時間に収縮状態から解放状態への第2の遷移を行なわせる帯解放機構とを含む。この帯収縮機構は、可動アームの近端部間に挿設された帯収縮タイミングディスクと、前記可動アームを互いの方へ内方に押し付けるように配置された2つの付勢バネとを含み、前記ディスクは、2つの凹部により遮断された一定の半径の2つの弧を含む周縁を有する。
【0014】
本発明の第5の態様によれば、四肢を包囲する帯を間欠的に収縮および解放することによって四肢における血液循環を促進する携帯装置が提供され、この装置は、2つの端部を有し四肢を包囲する1つ以上の帯と、1つ以上のモータと、それぞれが他方のアームの方へ向いている近端部および帯の一方の端部へ連結可能な遠端部を有する2つの直線運動可能なアームと、前記可動アームの近端部間に挿設され、2つの凹部によって遮断された一定の半径の2つの弧の周縁を有する帯収縮タイミングディスクと、2つの直線運動可能な帯解放アームと、前記2つの可動解放アームの間に挿設され、漸増する半径がそれぞれが尖頭で終端する2つの弧を含む周縁を有する帯解放タイミングディスクと、第1のコイルバネに連結され、一方の端部が可動アームの一方に係合し、第2の端部が前記帯解放アームのうちの一方に係合する第1の回転可能アーム、および前記第1の回転可能アームを介して前記帯収縮ディスクに対して内方へ押し付けるように配置された第1のコイルバネをそれぞれが含む2つの第1のバネアセンブリと、前記帯解放アームに係合された第2の回転可能アーム、および前記帯解放アームを前記第2の回転可能アームを介して帯解放タイミングディスクに対して内方へ押し付けるように配置された第2のコイルバネとを含み、第2のコイルバネによって第1の回転可能アームに加えられる力は、第1のコイルバネによって前記第1のアームに対して加えられる力より大きい。作動中、収縮タイミングディスクおよび解放タイミングディスクは継続して回転し、両ディスクは、可動アームが帯収縮タイミングディスクの一定の半径の弧に対して摺動すると、解放アームが帯解放タイミングディスクの漸増する半径の弧に対して摺動するように配置され、帯解放タイミングディスクの尖頭部が帯収縮アームが帯収縮タイミングアームの凹部へ入り込んだ後、帯解放アームに対して反対の位置に到達する。帯の両端部は、可動アームの遠端部に回転可能に取り付けられた回転要素によって可動アームに連結することができる。帯は、可動アームのうちの1つの遠端部に取り付けられた帯ローラに収縮するように巻き付けることができ、この帯ローラには収縮機構を設けている。この帯ローラにはさらに、収縮ロック/解除機構が設けられ、可動アームが内方へ移動する前に収縮機構を自動的にロックし、さらに可動アームが外方へ移動した後に前記収縮機構を解除する。この収縮ロック/解除機構は、帯ローラの一方の端部に取り付けたラチェットホイールと、偏向させてこのラチェットホイールに係合させて前記帯ローラの回転を妨げるラッチとを含む。第2のバネアセンブリのうちの一方の回転アームには、実質的に帯解放タイミングディスクが解放アームとは反対の位置に到達すると、前記ラッチおよびラチェットホイールを外すように配置された翼部を設けることができる。本装置はさらに、力調節機構を有し、前記2つの可動アームが内方へ移動すると、四肢に対して加わる圧迫を調節することができる。この力調節機構は、前記第1のコイルバネへ連結した力調節歯車アセンブリを有し、第1のコイルバネに対して負荷して所望のトルクを得ることができる。本装置はさらに、強度調節目盛りを有し、使用者が圧迫を所望の値に調節できる。
【0015】
本発明の第6の態様によれば、四肢における血液循環を促進する携帯装置が提供され、この装置は、少なくとも1つのモータと、2つの平行するローラと、四肢を包囲する2つの部分を含み、それぞれの部分が一方の端部を前記2つのローラのうちの一方へ固定し、第2の自由端部が他方の部分の自由端部へ連結可能にした少なくとも1つの帯と、前記モータにより駆動され、反対の方向にこれら前記ローラを間欠的に回転させて、これらのローラに前記帯を巻き付けたり、巻き戻したりする機構とを含む。本装置はさらに、前記ローラ、モータおよび機構を収容するハウジングを有することができる。さらに本装置は、前記ハウジング内に収容された電源を含むことができる。前記機構は、一方の端部が遊星伝動手段を介して主バネクラッチによってモータへ連結され、第2の端部が主バネ歯車へ固定され、前記モータによって負荷されるように配置された主バネと、前記主バネ歯車の回転運動を前記ローラへ伝え、前記ローラを相対する方向に回転させるよう配置され、クラッチが解除されると前記ローラの回転運動を妨げるように配置された帯収縮機構が設けられた伝動歯車アセンブリと、前記伝導歯車アセンブリにより駆動され、前記主バネが解除されると負荷されるように配置された帯戻しバネと、前記帯収縮クラッチを解除して第1の所定時間において帯のローラへの急激な巻付け行なわせ、主バネクラッチを解除して第2の所定時間に帯の急激な巻戻しを行なわせるように配置されたタイミングアセンブリとを含む。このタイミング機構はさらに、タイミングシャフトと、そのタイミングシャフトに取り付けられ、帯収縮クラッチと係合して前記第1の所定時間にクラッチを解除するように構成された第1のカムと、前記主バネクラッチと係合して第2の所定時間に前記主バネクラッチを係合解除するように構成された第2のカムとを含むことができる。このタイミングシャフトは、第2のモータによって駆動することができる。本装置はさらに、少なくとも1つのモータおよび第2のモータの作動を制御するマイクロ制御装置を含むことができる。また装置はさらに、作動パラメータを読み取る符号器を含むことができる。前記2つの帯部分は、緊締装置によって接合することができる。本装置はさらに、四肢の周囲に装着するスリーブ様の衣料を含むことができ、その場合、前記帯部分はこのスリーブ様の衣料へ緊締される。
【0016】
本発明の第7の態様によれば、四肢に対して周期的圧迫力の遷移を与えることによって四肢における血液の循環を促進する携帯装置が提供され、この周期的遷移は、低圧迫状態から高圧迫状態への第1の遷移と、高圧迫状態から低圧迫状態への第2の遷移とを含み、前記遷移のうちの少なくとも一方は、迅速な遷移である。この迅速遷移は、200ミリ秒未満にすることができる。本装置は、吸引作用を誘起するのに用いることができ、この場合、迅速遷移が前記第2の遷移になる。
【0017】
本発明の第8の態様によれば、吸引作用を誘起して四肢における動脈流を促進する方法を提供するが、これは、四肢に対して圧迫を加えることと、前記四肢に対して加えられた圧迫を迅速に解放することとを含む。
【0018】
本発明は、図面を参照して以下の詳細な説明からより十分に理解および評価される。
【好ましい実施例の詳細な説明】
【0019】
四肢の筋肉の間欠的圧搾を行ない、四肢における血流およびリンパ液流を促進する装置を開示する。本発明は、四肢、とくに下肢に対して周期的圧搾力を加えることによって、深部静脈血栓症(DVT)の予防に役立て、リンパ浮腫を減少させ、糖尿病、ならびに他の動脈不全の症状の発病および合併症をも予防し減じることができる。具体的には、本発明は四肢の血行を促進し、四肢から、とりわけ下肢から心臓へのリンパ液および静脈血液の循環を促進し、DVTの発生、浮腫の形成およびリンパ浮腫の危険を減じ、さらに、運動ができない期間の四肢全体の血流、すなわちうっ血の増加、ならびに糖尿病患者、術後患者などの循環障害の症状を改善することを目的とする携帯自立式機構に関するものである。本発明は、最小のエネルギー入力で最大の出力の装置作動を可能にする、有利なエネルギー上の特性を有する機構およびその作動方法を開示している。本発明の装置および作動方法は、省エネルギー機構を有しそれによってエネルギー出力を高める低エネルギー入力手段の利用によって、具体的には、エネルギー供給源の最適化、すなわち内部機構の省エネルギー特性によって最高のエネルギー効率で作動し、組織特性によって本装置の有利なエネルギープロファイルが高まり、装置のエネルギー条件が減少する。本発明はさらに、多数の目的に、とくに四肢全体の静脈、動脈ならびにリンパ液の流れを促進するのに適したさまざまなエネルギープロファイルで作動することができる。
【0020】
本発明による携帯装置は全体として100で図1に示し、着座している者のふくらはぎへ装着されている。本装置100は裸の四肢に直接装着可能であり、あるいは、この装置の使用者が着用しているズボンなどの衣服の上から装着することもできる。装置100は2つの主要構成部分、すなわちこの装置の作動を請負うすべての機械部品を含むアセンブリボックス2と、上記アセンブリボックスに連結され、人の四肢を包囲する閉ループ(符号50で示す。図2参照)を形成する帯1とを有する。この装置の電源は、充電式もしくは非充電式の低電圧直流電池などの内蔵電源方式を用いてよく、あるいは、3〜12V・1アンペアの変圧器などの交直変換器を介して接続され、電力が電線を通じて本装置のソケット(図示せず)へ供給される外部電力差込口などの外部電源を用いてもよい。図1に示すように、帯1は望ましくは中央部で幅が広く、アセンブリボックス2へ連結する両端部で幅が狭い。しかし、帯1は他のいかなる形状としてもよく、幅が一定のベルトとしてもよい。この帯は、例えば薄いプラスチックや織物など、皮膚を刺激しないいかなる可燃性材料で作ってもよい。帯1は1種類の材料から製造してよく、あるいは2種類以上の材料を組み合わせて製造してもよい。例えば、帯1を非伸縮性材料および伸縮材料の両方で作ってもよい。その場合、帯1の中央に配した、例えばゴム繊維などの伸縮性材料と、伸縮性材料を側面に配しつつ帯の残部を構成するプラスチックなどの非伸縮材料とで構成することができる。このような構成によれば、より均一な伸縮力が帯に与えられ、帯の四肢からの滑落が防止される。図1に示す実施例を、以下、前当て式ボックスの実施例と称する。帯1は筋肉に当接させ、アセンブリボックス2はふくらはぎの骨に当接させている。しかし、本発明の他の実施例のように、アセンブリボックス2を筋肉に当接させてもよく、これを以下、後当て式ボックスの実施例と称する。
【0021】
図2A、図2Bは本発明による装置の2つの可能な実施例を示す。図2Aは本装置の好ましい実施例を示し、これは四肢の筋肉を圧迫して四肢の血流およびリンパ液流の増大を促進する。本実施例は、帯1を締めたり緩めたりして、四肢を包囲するループ50の有効長さを間欠的に縮めることによって機能する。本実施例は、本発明の前当て式ボックスの実施例として用いるのが望ましい。しかし、図2Aに示す装置が後当て式実施例としても使用可能であることは、明らかである。図2Bは本装置の他の実施例を示し、アセンブリボックスに取り付けられた可動板3によって、アセンブリボックス2を能動間欠圧搾部とするものである。この実施例は専ら後当て式ボックスの実施例として用いられ、これについては図6に関連して説明する。
【0022】
図2Aに戻る。アセンブリボックス2は薄く、湾曲したフラスコ様のケーシング25を有し、これは帯1を間欠的に引いたり弛めたりする内部機構のすべての部品を収納する。ケーシング25は、皮膚に刺激を与えず、安価に生産できるプラスチック成形品、軽金属または他の軽量な材料から作るのが好ましいが、これらに限定されるものではない。帯1は2つのバックル4および42によってケーシング25の両側でアセンブリボックス2の両端部に連結されている(バックル42は図示せず)。上記各バックルのうちの少なくとも一方(ここではバックル4)は可動式バックルであり、これはケーシング25からスリット(開口部)61を介して出し入れができ、これによって帯1が収縮位置と解放位置とに変位するよう、締めたり弛めたりすることができる。伸縮運動によって帯1の有効長さを短縮したり伸ばしたりすることができ、それによって四肢に内在する筋肉の間欠圧迫を行ない、内在する血管内の血流およびリンパ液流を増進することができる。以下、帯1の間欠引張の作動を請負う使用可能な内部機構を図3ないし図6に関連して説明する。装置100を作動させる場合、帯1の両端部のうちの少なくとも一方を、対応するバックルを通して自由に動かして帯1を四肢の寸法に調節し、上記端部で帯を引っ張ることによって、前記四肢の周囲に締め付け可能である。上記端部はこうして適切な位置に固定する。ここに示す実施例では、帯は折り返され、その重なっている部分は緊締手段65によって互いに止め合わされている。固定手段65は、Velco(商標)帯、スナップファスナまたは他のいかなる締結もしくは固定手段でもよい。あるいは、上記帯の端部は、ケーシング25および帯1に設けたVelco帯、対向歯型突起部などの固定手段によって、ケーシング25へ固定してもよい。帯1の他方の端部は、結び目もしくはボルトなどの取付け手段により、恒久的な方式で対応するバックルへ接続するか、あるいは上述のものと同様の方式で調節可能としてよい。これにより、両端部とも同時に引いたり固定したりすることができ、良好な調節が実現される。また、本発明の他の実施例によれば、帯は、ケーシング25の一方の側に配置した収縮機構の周囲に巻き付けることも可能である。一方、帯の自由端部にはバックルを設け、上述の手段の1つまたは迅速接合器のいずれかを用いて、ケーシング25の他方の側へ通して接続可能である。外側のケーシングボックス25はまた、オンオフスイッチ6と、帯1によってふくらはぎ筋肉に対して及ぼす力を調節する力調節装置5と、間欠圧迫頻度を加減する加減装置7とを有する。あるいは、力調節装置5およびオンオフスイッチ6を組み合わせて1つのボタンにしてもよい。力の調節は、例えば帯の収縮位置と伸長位置との距離間隔を制御する方法により可能である。この収縮位置と解放位置との離間距離は、望ましくは1〜50ミリメートルであるが、これに限定されるものではない。圧迫頻度の加減は、内部機構の速度を加減する方法によって可能であるが、これに限定されるものではない。本発明を四肢(上肢および下肢)における動脈および静脈の血流およびリンパ液流の促進に用いることができることは、当業者にとっては明らかである。以下に説明する実施例は一例にすぎず、本発明の使用法に制限を課すものではない。
【0023】
図3Aおよび図3Bを参照すると、図2Aの装置用の第1の内部機構の側面図および平面図をそれぞれ示す。参照符号は両図に共通である。この実施例によれば、帯1の一方の端部はアセンブリボックス2へ固定取付け具42を介してボルト、結び目、接着剤その他の手段によって接続されている。第2の端部は可動式バックル4によって接続され、これはケーシング25の側面にあるスリット61を通過している。バックル4は上述のように開口部61を通して収縮および伸長可能である。可動式バックル4は、剛性の押し/引きロッド24へ取り付けることによって、内部機構に接続されている。ここで、可動バックル4の運動を請負うこの内部機構を説明する。低電圧直流電池などのエネルギー源20は、電気エネルギーを、たとえば3〜12Vの、だがこれに限定されない直流モータなどの電動機21へ電線などの電気接続を介して供給する。電動機21は、電気エネルギーを運動エネルギーに変換して、螺旋溝付き(ウォーム)中央シャフト22を回転させる。シャフト22は、螺旋溝を補完する逆螺旋外周溝もしくは歯を有する(減速)ホイール23に連結され、ホイール23の表面に対して垂直でホイール23を中心で固定する軸18を中心にホイール23を回転させる。細長い接合板26は、その一方の端部でホイール23の中心から外れた点53へ回転可能に連結され、接合板26の第2の端部は点54でロッド24へ回転可能に連結され、ホイール23の回転によってアクチュエータ板26を動かし、ロッド24をクランクシャフト形式で押したり引いたりする。したがって、可動バックル4はスリット61を通ってケーシングの内方および外方へ間欠的に引っ張られ、それによってループ50の周部を間欠的に短縮する。
【0024】
図3Cに示す改造型機構は、図3Aおよび図3Bと比べると次のように改変されている。電動機21および回転ウォームシャフト22を電磁モータ21'(伸縮ソレノイド191C、新電元工業株式会社販売)に変えて、このモータは往復中心ロッド22'を有し、ロッド22'はその端部に上方に傾斜したスパイク歯突起部50を備えている。ロッド22'は、突起部50を介して、補完する歯を有するホイール23へ連結されている。往復ロッド22'は、モータ本体からわずかに突出したり引っ込んだりするのに応じて、突起部50は、ロッド22'が突出するとホイール23の連続している歯部にかみ合い、ロッド22'が引っ込むとホイール23を引っ張り、これによってホイール23はその軸を中心として回転する。図3Cのメカニズムは大きな力を出力するが、電力入力は最小になる。このような機構は非常に費用効果が高い。上述の説明によれば、提案する装置の内部機構がいかに作用してループ50を間欠的に短縮し、四肢の筋肉の間欠的圧迫を最高潮にし、静脈血流を増進させ、深部静脈血栓症の発生の予防に役立つかは、明瞭である。
【0025】
図2Aの装置実施例の他の機構実施例を図4A、図4Bおよび図4Cに示す。図4Aは、ケーシング25の前部を取り除いてアセンブリボックス2の内部を示す斜視図である。図4Bおよび図4Cは、図4Aに示す実施例のそれぞれ側面図および平面図である。本実施例によれば、帯1の両端部はアセンブリボックス2の内部機構へ、移動可能な2つの可動式バックル4および24によって連結され、これらのバックルはそれぞれスリット61および61'を通ってケーシング25の内方および外方へ移動可能である。この実施例は次の要素の組合せによるものである。すなわち、その1つは、ケーシング25の一方の側壁に近接し、スリット61に隣接して配置された矩形板33である。板33は、2つの平行な矩形表面、参照符号45および46で示す2つの幅の狭い垂直のエッジ、および2つの幅の狭い水平なエッジを有している。板33は、その幅の狭い水平エッジでケーシング25の天井壁および底壁へ、回動手段39によって回動可能に取り付けられ、回動手段39を連結する垂直軸を中心として回転運動が可能である。他の1つは、中央部が蝶番連結された矩形板33の一方の垂直エッジ(45)のほぼ中央点に、往復中心ロッド32を介して連結された伸縮電磁モータ31(新電元工業株式会社販売の引き管状ソレノイド190など)である。さらにひとつは、ケーシング25の全長にわたる長手ロッド35である。上記長手ロッド35は、一方の端部が板33の反対側の垂直エッジ(46)へ連結され、第2の端部がケーシング25の他方の側に位置する可動バックル34へ連結されている。中央部が蝶番連結された矩形板33はこのように、一方の側で中心ロッド32を介して電磁モータ31へ連結され、また他方の側で長手ロッド35に連結されている(図4Cに最も明確に示す)。可動バックル4も板33の幅の狭いエッジ45へ連結されているが、スリット61を通して、ロッド32および35とは反対方向の外側へも延びている。
【0026】
図4Cに最も明確に示すように、ロッド32の往復運動によって板33はその中心軸を中心として前後に回転し、その回転角度の変位は20度ないし60度の範囲とするのが望ましい。したがって、バックル4(板33に直接連結)およびバックル34(連結ロッド35介して連結)は、同期してケーシング25の内方へ引かれたり、外方へ押し出されたりし、四肢を包囲するループを間欠的に短縮させる。この実施例の有利な点は、長手ロッド35によって両方のバックル34および4が互いに同時に接近可能となり、これによって、(電磁モータ31の往復変位を推進することによる)装置の効率が高まり、必要なエネルギーが少なくてすむことである。
【0027】
図5Aおよび図5Bは、図2Aの装置の実施例用のさらに他の機構を示す。図5Aの実施例も伸縮式電磁モータを駆動力として用いているが、図4に示す実施例の中央からずれているロッド32に「L」形レバーバー40を追加することによって、力を強化している。本実施例によれば、帯1の一方のエッジはバックル42へ固定されているが、第2の端部は可動バックル4へ連結され、このバックル4は側面スリット61を通じてケーシング25を横断している。この可動バックル4は、図4について説明したのと同様な方法で、中心がヒンジ連結された矩形板33へ連結されている。本実施例によれば、電磁モータ32はその後端部が回動手段99によって基部へ回動可能に取り付けられている。「L」形レバーバー40は、その長い方のアーム端部で往復ロッド32へ回動手段39によって回動可能に取り付けられ、その短い方のアーム端部で板33の幅の狭いエッジ46へ取付け手段42によって取り付けられ、その際、レバーバーが前記エッジを上下にスライドさせるようにする。このような取付け手段は、例えば、レバー40の短い方のアームのエッジに沿って刻んだ溝と、板33の幅の狭いエッジ46から突出し溝に適合するレールとで構成されるレール手段によって実現できる。「L」形バー40の直角の角部は、そのバー表面に垂直な軸41によって、ケーシング25に回動可能に取り付けられている。図5Aは「解放」モード(すなわち、バックル4が突出した位置にある)を示す、図5Bは「収縮」モード(バックルが引き戻された位置にある)を示す。ここで、本実施例の動作を理解するために、「解放」モードの状態説明とそれに続いて「収縮」モードの説明を行なう。図5Aの「解放」モードは、電磁モータ32がケーシング25の基部に対して垂直の姿勢にあり、「L」形レバー41が往復ロッド32に対して垂直な位置にあることを示す。
【0028】
「収縮」モードは図5Bに示す。往復ロッド32が電磁モータ31の中へ引っ込むと「L」形が軸41を中心に回転し、連結部69は電磁モータ31および矩形板33の方向へ移動する。この回転は、電磁モータ31のピボットアタッチメント99および「L」形レバーバー40のピボットアタッチメント41によって可能になっている。「L」形レバーバー41の他方の端部は、矩形板33のエッジ46上で上方へ摺動すると同時に、板33を押してそれを反時計回りに回転させ、エッジ45、およびこれに伴うバックル4をケーシング25の中深くに引き込む。往復ロッド32がその往復運動をすると、「L」形バー41がその「解放」の垂直位置(図5A)へ戻り、その結果、エッジ45はバックル4と共に外方へ押し出される。このように、これらの一連の事象により、四肢を包囲するループ(50)の効率的な間欠短縮および内在筋肉の間欠圧迫となり、血流が促進される。
【0029】
図6は本発明のさらに他の実施例を示す。これは非対称の収縮−解放サイクルを可能にする手段、とりわけ、迅速な収縮に続いて、より長時間の解放を可能にする手段を有する。このようなサイクルパターンは、血流およびリンパ液流の促進に最も有益な効果を有することが分かっている。本実施例によれば、帯1の間欠引張りおよび解放を請負う機構の構成部品は、ウォームシャフト122を有するモータ121と、ホイール124および126を有しシャフト122へ連結された減速装置と、周囲形状が変則的でホイール126に同心状に装着されたディスク128とからなる。2重歯ディスク128は、曲率半径が変動する2つの同じ半体で形成され、それぞれの半体は、一方の端部になだらかな傾斜を有し、第2の端部に半径が最大から最小に急激に変化する尖端部129を有し、2つの端部間では曲率半径はほぼ一定である。モータおよびホイールを含むこの機構の構成部品は、ケーシング25の中央の仕切り部屋に収容されている。両側の仕切り部屋110および140は、横方向に移動可能な帯コネクタ105および145をそれぞれ収容している。仕切り部屋110および140には側面スリット114および141が設けられ、これらを通じて帯1が滑り込み、あるいは滑りだすことが可能である。ここに示す実施例によれば、帯1はケーシング25の一方の側(仕切り部屋110)において引込み可能に取り付けられ、帯1の自由端部には迅速雄コネクタを有し、コネクタは、これを補完する仕切り部屋140内の雌コネクタへ連結される。この帯連結装置によって、帯を四肢の寸法に合うように迅速、簡単に調節可能であり、筋肉に主圧を及ぼすことができる。したがって、コネクタ105は垂直ロッド102を含み、これは2つの水平の梁116と117との間で回転可能に取り付けられ、ロッド102はその軸を中心として回転し、帯1の巻き取りもしくは巻き戻しを行なう。帯1は、一方の端部でロッド102へ取り付けられ、このロッドに巻き付けられる。ロッド102は帯1用のスプールとして機能し、引込み機構(図示せず)を有する。引込み機構は、公知のいかなるバネ負荷引込み機構もしくは他のいかなる引込み機構としてもよく、例えば、シートベルト、計測用テープその他に使用されているものにしてよい。例えば、引込み機構は、一方の端部をロッド102へ取り付けた螺旋状リーフスプリングを含んでよく、帯1が引かれた時にそのロッドにトルクを与え、帯1の自由端部が解放されると帯が巻き戻るようにしてよい。ロッド102の上端部は、頭部115とバネ118上に取り付けた大径のキャップ116とで終端している。キャップ116の内面は頭部115の外面に嵌り、キャップ115が下方へ押し下げられると頭部115が固定され、ロッド102の自由な回転が防止され、したがって、帯1の巻取りおよび巻出しが防止される。帯1の第2の自由端部はバックル11で終端し、これはコネクタ145を補完する受入れ用凹部142へ嵌り、ケーシング25の第2の側へ迅速に連結可能となっている。ここに示す実施例では、バックル111は矢形をなし、コネクタはこれを補完する矢形凹部142を有し、これには、バネ146に取り付けられた傾斜突起部144が設けられている。バックル11(図6の右側に説明の便宜上、重複して示したもの)が凹部142の方へ押されると、突起部144は横に押し除けられた後、バックル11の矢頭の裏へ落ち、バックルを固定する。
【0030】
この装置にはさらに、オンオフスイッチ130が設けられ、これは、ボタンヘッド132、導電材料で作られた電気コネクタ134、および底部突起部136を有する。スイッチ130がヘッド132によって左方へ押されると、コネクタ134が電気回路(破線で示す)を閉成し、装置を作動状態にする。同時に、突起部136がキャップ116を下方へ押し下げ、ヘッド115を固定し、ロッド102がその軸を中心として回転するのを防止し、帯1の使用可能長を固定する。ボタン132にはさらに、頻度加減用の力調整器を設けてもよい。可動コネクタ105および145は、開口部103を通って中央仕切り部屋120の中へ伸びディスク128の周囲に接触している水平ロッド106によって本機構の構成部分へ連結されている。水平ロッド106は軸受109で終端し、この軸受により、ディスク128がその軸を中心に回転すると、ディスクに沿ってロッドが円滑に摺動する。したがって、2つのロッド106は、ディスク128の外形をなぞって変化し、その結果、四肢を包囲するループの周部もディスク128の外形をなぞって周期的に変化することとなる。軸受109とディスク128との接触を一定に保ち、帯の解放位置と収縮位置と間で急速に変位させるために、ロッド106は各壁105の間に配置された偏向バネ108に取り付けられ、ロッドの軸に対して垂直な板107を設けてバネ108に対して押し付けている。こうしてバネ108は、コネクタ105および145を互いに内側の方向に付勢する。ディスク128がその軸を中心に回転すると、ディスク128の半径が変化するのに従って、バネ108は板107によって圧搾される。ディスク128の両方の尖頭部129が同時に軸受109に対面する点へ回転した時、ロッド106は瞬間的にディスク128との接触を失い、バネ105内に蓄積された一エネルギーが解放されて、ロッド106を内側へ押す。このように帯1は両方のロッド106によって突然内方へ押され、四肢の筋肉が強く圧搾されることになる。四肢を包囲する帯の収縮状態と解放状態との間の間隔は、尖頭129における半径の変化に直接比例し、したがって、筋肉に作用する圧搾力もこれに直接比例することは、明らかである。この突然の帯の収縮に次いで、ロッドが徐々に外方へ押し出されて帯の解放モードになるが、これは実質的には半回で終る。したがって、ディスク128がその軸を中心として1回転すると、短時間の帯の収縮が2回、生じる。典型的には、解放から接触位置への変位は約0.5秒かかり、収縮から解放位置への変位は約5秒かかり、解放位置は約50秒間維持される。しかし、ディスク128の周囲形状は、いかなる所望の収縮−解放サイクルのパターンでも得られるように容易に形成可能である。例えば、2つよりもむしろ4つの尖頭を有する他のディスク128の形を用いることによって、各サイクルを半分に短縮し、各サイクルの出力を変化させることが可能である。さらに、変化する半径を有するディスク128によれば、エネルギーの面で効率的であり、安定して形成されたエネルギーを各サイクル中にバネ108に保存し、各サイクルの最後に短時間バーストの高エネルギー出力で放出することが可能なことは、容易に理解できる。作動中、モータ121の作動用の電源20によって、低エネルギーの出力が継続的に行なわれる。モータ121によって継続的な低エネルギー入力が供給されて、ディスク128をウォームシャフト、ならびにシャフト122へ連結された減速ギアホイール124および126を介して回転させる。バネ108へ押しロッド106を介して連結されたディスク128の回転によって、軸受109がディスク128の外周を横断するにつれ、安定したバネの圧搾を生じる。軸受109が尖頭129に到達するまで、エネルギーがバネ108に継続的に蓄積され、尖頭129がディスク128の最大径から最小径へ落ちると、押しロッドがディスク128の中心へ向かって迅速に摺動することができ、ベルト1を圧搾しているバネ108の蓄積エネルギーが放出される。このような作動がエネルギー的に効率的であることは、当業者に容易に理解されるところである。さらに、本発明で用いるモータ10を一定の電力で作動させることは、不利である。これは、バネ108を圧搾するのに必要な力が圧搾中に増大することによる。本装置のエネルギー効率をさらに高めるために、モータへ印加する電圧を制御してモータ出力を調整し系の条件の変化に対応する電気制御装置を本装置に設け、それによってモータの効率を最適化することができる。この制御装置は、サイクル行程中のシステム条件を知って事前にプログラムすることができ、またはモータ自体によって、もしくはシステムの他の構成部分によって供給されるフィードバックに従って作動することができる。
【0031】
図13Aは本発明のエネルギーのモデル、具体的にはバネのエネルギー量のグラフを示す。これ以降および図13Aないし13Cに記載のエネルギーモデルは、図6の本発明の周期的作動中の図6のバネ108ばかりでなく、本発明の内部機構を示す他の図のもののエネルギー量の変化を示す絵図面である。以下に説明する関連部分は、図6に示す本発明の部分と同じである。図13Aは、本発明の周期的作動中の時間対バネ108のエネルギー量を示すグラフである。横軸340は時間の直線的流れを秒などで示している。他の尺度としてはミリ秒、分その他を用いてもよい。縦軸342はジュール単位のエネルギー量を示している。縦軸342を仕事量、圧力、バネ長などのエネルギー積を示す他の要素を示してもよい。横軸340と縦軸342は点344で交わるが、点344は、バネ108のエネルギー量が零の時の任意点であり、この時点は、本発明の1作動周期サイクルの時間として任意に表される。この点はさらに、本発明によるエネルギー流が、以後さらに説明するように、本発明の内部作動を介して蓄積し始めた時も表している。
【0032】
ここで、バネ108のエネルギー量を、図6を参照して本発明の作動説明の一部に関連して説明する。点344において、ロッド106およびそれらの対応する軸受109が尖頭129の基部に密接に近接して配置されている。この点において、バネ108は引張りが上記バネに対して発生していない解放状態にあり、さらに上記バネの長さがエネルギー零の状態でバネの自然長になっている。モータ121が運動を始めると、一定の低エネルギーが生成される。このエネルギーは継続的に、ウォームシャフト122ならびにホイール124および126を有する減速歯車を介して非一定半径のディスク128へ伝達される。ディスク128はその軸を中心として一定の速度で回転し、この速度は、モータ121の速度出力によって決まり、さらにウォームシャフト122の形および寸法、ならびに減速歯車124および126によっても決まる。ディスク128が回転し始めると、ディスク128表面に常時接触するようにそれらの軸受で設置された水平ロッドは、ディスク128の周囲に沿って摺動し始める。ディスク128は非一定の半径を有し、各尖頭基部で最小の直径となり、各尖頭頂点で最大の直径になる。水平ロッド106はディスク128に沿って最小直径から最大直径へ摺動する。このような合理的なディスク128の動きによって、上記水平ロッド106に直線運動が与えられ、ディスク128の直径が大きくなるに従って側部仕切り110および140の方へ押し出される。ロッド106は、上記運動中にこれらのロッドに対して水平の板107を介してバネ108を押す。バネ108が縮小するに従って、運動エネルギーがバネの位置エネルギーに換わる。この増大するバネの位置エネルギーの過程を線348として図13Aに示す。バネの位置エネルギー348は、ロッド106が直線的に側部仕切り110および140の方向に移動するに従って、累積される。ロッド106がディスク128の大径の尖頭129の頂点に到達すると、バネ108はその最大の圧搾を受け、最小の長さになる。この時点362において、そこに蓄積された位置エネルギーは最大にとなるが、これを図13Aの点350によって示す。図12Aの時間間隔として示す点346から点350までの距離、もしくはバネの完全解放状態からバネ108完全収縮状態までの時間の長さは、典型的には5秒かかるが、本発明を最適に機能させるために、0.5〜5秒の範囲にすることができる。本発明の作動のこの時点において、ロッド106は、ディスク128の周囲との接触を瞬間的に失い、尖頭129の頂点から尖頭129の基部へ、ディスク128の中心の方へ俊敏に動く。ロッド106のバネ108から離れる迅速な動きによって、バネ108に対する板107の圧搾が解放される。バネ108はそこで、その位置エネルギーを迅速に放出させながら、それぞれの自然の解放状態に迅速に戻る。バネ108の俊敏なエネルギーの解放352を図13Aに線352で示す。このバネの位置エネルギーは、バネ108を伸張させながら放出される。これが帯1をディスク128の中央部の方へ引くのに利用される迅速な仕事を発生し、本発明が取り付けられている四肢に対して帯1の締付け力を付勢する。この俊敏なエネルギーの放出時間358の長さは、典型的に0.2であるが、本発明を最適に機能させるために、0.05ないし0.5秒の範囲にすることができる。ディスク128はその軸を中心に連続して回転し続け、それによってバネの収縮−解放の次のサイクルが始まる。これを他のエネルギーパターン360によって示す。当業者に明らかなように、図13Aに示すエネルギーパターンは、ディスク128の直径を変え、ディスク128の回転速度を変えることによって、またロッド106の各サイクル中の運動の速度および回転率に対して影響を及ぼすことが可能な内部機構に他の要素を追加することによって、変えることができる。
【0033】
図13Bは、以前、図13Aに示したエネルギー量のグラフにディスク128の速度変化の作用を例示したものであり、同じ番号は同様の部分を示す。図13Aに記載のバネ108のエネルギー量のグラフは、図12Bに示すが、バネのエネルギー量ゼロから最大までの時間間隔は間隔372で示し、バネ108のピークエネルギー量は点350で示す。ディスク128の回転速度が、図13Aで説明しグラフAで示すディスク速度の2倍まで増すと、新たなバネエネルギー量のグラフBを生ずる。この場合、バネの位置エネルギー348は、図13Aに記載した速度の2倍で蓄積され、線364で示す。バネ108の最大エネルギー量384にも高速で達する。完全解放から完全収縮までの新たな時間間隔を示す時間間隔374もまた、半分まで短縮し、かくして時間間隔374は時間間隔356の半分になる。したがって、異なる作動モードにおいて、またはディスク128を高速で回転可能に改変した内部機構(図示せず)を有する同じ装置において、エネルギーがバネ108内に蓄積され、それによって本発明の作動の迅速な繰返しを可能にしている。俊敏なエネルギーの放出時間378は、俊敏なエネルギー放出時間358と同じである。それは、バネ108が変化せず、俊敏な放出時間358および378が内部バネ特性の関数になるからである。さまざまなバネ定数(K)を有するさまざまなバネを用いることができ、バネ108の放出時間を調整する内部機構によって俊敏なエネルギー放出時間358および378を修正し、さらにバネのエネルギー量グラフを修正できることは、当業者には明らかである。また、ディスク128を低速で回転させることによって類似であるが同じではないエネルギー量グラフ(図示せず)を生成できることは、当業者に明らかである。
【0034】
図13Cは、さらに他のバネエネルギー量のグラフを示す。グラフAは図13Bのグラフと似ている。2つのバネエネルギー量のグラフを示す。すなわち、図13Aのバネエネルギー量のグラフAと同じであり図6に示す内部機構に関連したバネエネルギー量と、ここに言葉で説明する本発明の更なる他の内部機構の特性を示す新規のバネエネルギー量のグラフCである。バネエネルギー量のグラフCは、線388上の点390で始まっている。この点で、バネ108は完全には解放されておらず、各作動サイクルの開始時のそれらのエネルギー量は、零でない。これは、ストッパ(図6に示さず)などの機械的要素もしくは他の要素によって、バネ108が完全な解放状態まで伸びないようにすることを意味している。バネの位置エネルギーの蓄積392を図13Cに、点390で始まり点394で終端する非直線で示す。この非直線392は、ディスク(図6に示さず)の非線形の直径変化を表わしている。このような非線形直径のディスクによって本装置の作動モードを変えて、装置を用いる者それぞれの個々の必要性に合わせることができる。本発明の内部機構内の他の要素もまた、弾性材料で作られたロッド106を有しバネ等が介挿された2つのロッド106を有するようなバネ位置エネルギー蓄積392に寄与することができる。両バネのピークバネエネルギーの図から明らかなように、俊敏なエネルギー放出396は、同じ内部定数のバネを示す俊敏なエネルギー放出352と傾斜が類似している。しかし、俊敏なエネルギーの放出396は、点398で終っているが、この点において、バネ106内に蓄積されたすべての位置エネルギーが仕事として放出されわけではない。これは、本発明の内部機構を有するがそのような結果を達成する公知のストッパ(図示せず)もしくは他の要素(本発明の他の実施例に示すように)を設けることで、達成される。当業者に明らかなように、バネの機能の一部だけをバネエネルギー量のグラフCで達成して、上記グラフCのバネの容量の何分の一かで伸縮させる。このような設計は本発明の或る種の作動モードには有利である。
【0035】
図13Aないし図13Cは、異なるエネルギー量のグラフを示し、これは実際に、図2Aの帯1の異なる伸長および解放時ならびに強度を示し、本発明を適用する目的を達成して、本発明を使用する者の四肢における血流およびリンパ液流を促す。各状況によって、上記別な内部機構の改変を用いることによって達成される最良の結果について異なる動作モードが必要である。たとえば、関連する循環障害を罹病している糖尿病患者には、図1Aの帯1の急速な解放が最良の循環パターンの達成に有利である。これは、図6のディスク128を使用して直径を小さくし解放時間を減少させることによって、達成される。これはまた、図6の異なるバネ108にまた、急速に収縮可能な特性を持たせることによっても、達成できる。帯1のこの比較的急速な解放によって、組織内に真空様の効果が生じ、これは上記患者の血流の促進に適している。明らかに、本発明を用いる者の管内の圧力勾配および流量は、同じ目的に使用する間欠的圧搾空気収縮(IPC)装置で発生するものとは、使用する機構および材料が異なるために、異なっている。同じく当業者に明らかなように、伸張および解放パターンならびに上述の材料およびパラメータ変化から生ずるエネルギーパターンの変化パラメータは、比較的容易に達成され、実現される。
【0036】
本装置はまた、本発明の使用者の人体組織(脚組織)もコイルバネとして使用する。本発明の使用者の人体組織の急速は圧搾中、ある位置エネルギーが組織の張力要素に蓄積される。解放期間が到来すると、この運動エネルギーは、解放された組織を解して開放された帯1へ伝達され、これによって図6のモータ121の作動を間接的に補助する。これによって、小型で出力の小さいモータを使用して、同じ結果を達成することができる。上述の各例では、本発明は、血流およびリンパ液流の促進の目的にとって非常に効率的な装置でもあることが分かる。
【0037】
さらに、モータを定出力で作動させると、本発明で使用する際に有利である。これは、バネを圧縮中、圧縮に必要な力が上昇するからである。本装置のエネルギー効率をさらに高めるためには、本装置に電気制御装置を設け、モータへの印加電圧を制御して、モータ出力を調整し、系の変動条件に適合させて、モータ効率を最適にしてもよい。制御装置は、サイクル過程中のシステム条件を知って前もってプログラムしてもよく、またはモータ自体によって、もしくはシステムの他の要素によって与えられるフィードバックに応じて作動することができる。
【0038】
本発明の異なる実施例を図2Bに示し、これは、ボックスアセンブリ2が能動間欠圧縮部となるものである。この実施例によれば、アセンブリボックス2はさらに、圧縮板32を有し、これは、ケーシング25と実質的に平行で、その表面から所定の距離にある。この実施例によれば、アセンブリ2は、より具体的には、前記圧縮晩3が筋肉に対して押され、間欠的にケーシング25から伸びたり後退したりして、ふくらはぎ筋肉の完結的圧迫を行なう。この実施例によれば、帯1は、スリットを有する2つの固定したラッチによってケーシング2に連結され、帯1の少なくとも一端は、ラッチ68の1つに通されて、2つに折り曲げられ、図2Bについて記載のように、快適な装着を行なえる。図2Bにおけるのと同様の方法で、オンオフスイッチ6、電源調整器5および速度調整器7が装置の上部に配置されている。
【0039】
図2Bの装置実施例による機構実施例の上面図を図7に示す。電源20は電気モータ10に給電し、これは中心に位置するシャフト11を有する。上記中心シャフト11は減速歯車12に連結され、これはロッド11の回動速度を減じて動力出力を増す。減速歯車12は中心ロッド13を有し、これは、偏心配置されたロッド15を有するドラム14に接続されている。偏心ロッド15は、伝導L字型バー16の長いほうのアームに垂直に連結され、ここで、上記L字型バー16の短い方のアームは、圧縮板3に接続手段17により連結されている。連結手段17は、たとえばボルト、ネジ、ピンなどでよい。電気モータ10は、電気エネルギーを中心ロッド11の回動に蓄積される運動エネルギーに変換する。上記中心ロッド11の回動に蓄積された運動エネルギーは、上記減速歯車12によって動力に変換される。上記減速歯車12に連結された上記中心ロッド13に蓄積された動力は、上記偏心ロッド15を有する上記ドラム14の回転に変換される。上記偏心ロッド15の円運動は、上記伝動ロッド16および連結手段17によって上記圧縮板3の伸縮に変換される。この装置によれば、偏心ロッド15の円運動は、板3の周期的運動に転換される。板3の上記周期的運動は、伸縮方向における第1の周期的運動(すなわち板3とケーシング25の間の距離の増減)と上記第1の周期的運動に垂直な第2の周期的運動との組合せである。かくして、板3の伸縮運動によって四肢に間欠的な圧迫を加える明瞭な効果に加えて、本実施例は、「メッセージ的な」効果も与える。当業者に明瞭となるように、図3〜図7に記載の各実施例は単なる例にすぎず、特定の実施例について別に記載の様々な特徴を本発明の装置の構成に組み合わせることができる。たとえば、図6に示すような退行帯の特徴を、これまでに説明した、および以下に説明する他の実施例のいずれとも組み合わせることができる。ほぼ同じく、図6のディスク128のような非対称要素を他の実施例のいずれかに追加して、特定のパターンの伸縮サイクルを可能とする。
【0040】
さて、図8を参照すると、本発明の更なる実施例で高度な収縮−解放内部機構を有するものが示されている。これは、逆推進機構を提供するものである。とくに、本実施例は、解放状態から収縮状態へ、および収縮状態から解放状態への高速遷移を実現する。収縮状態から解放状態への高速遷移は、血管の急激な拡張を誘起するが、ある種の循環不良、たとえば糖尿病、充血性心臓病等にはとくに効果的である。さらに本実施例は、電力消費の点で非常に効率的であるが、これは、比較的低い出力モータを利用して位置エネルギーをバネに蓄え、高速の高出力遷移を可能としているためである。
【0041】
図8Aおよび図8Bは、全体を800で示す、それぞれ逆推進装置の後面図および前面図である。装置800は、水筒状のケーシング801であり、これは、形状が図2Aのケーシング25に類似し、前面カバー802および後面カバー803を有する。装置800は、さまざまな形状のケーシングに収容することができる。ボックスの内部に収容された帯ローラ822の周囲に帯805が巻付け可能に収容され(図8Cでよく見える)、この帯は帯フック804で終端し、開口807を通して引っ張ると、回転バックル806に係合する。このバックルは、開口808から突出し、帯は、使用者の四肢(図示せず)を囲むことになる。帯ローラ解除ラッチ825が前面カバー802から伸び、これによって使用者は、しよう前に帯びを引いて装置を四肢に装着したり、装置を使用後、外したりする。使用中は、解放状態から収縮状態に遷移する前に、ローラ帯825を自動的にロックし、収縮状態から解放状態に遷移した後、自動的にロックを解除するが、これについて以下に説明する。バネ力調節ホイール891が力調節機構890に連結され、これによって、操作前に四肢に加わる力を使用者の必要に応じて調節することができる。力の値は、力の目盛894上にポインタ892で透明窓810を通して指示される。ケーシング801の上部には、帯ローラカバー822a、電池カバー815a、オンオフスイッチ809およびバッテリ電力低下を表示するLED表示器811も示されている。
【0042】
装置800の内部要素の全体像が図8Cないし図8Fに様々な斜視図で与えられている。図8Aから図8Hを通して、同じ数字は同様の要素を示す。
【0043】
装置800はモータ812によって駆動され、モータは、電池室815に収容されている電池によってオンオフスイッチ809を通して給電される。好ましくは、モータ812は、1.2〜1.5 Vの1個以上のAA電池によって給電される小型軽量モータである。モータウォームシャフト813の回転運動は、第1および第2の減速歯車814および816を有する伝動機構によって、840で全体を示す逆推進アセンブリの歯車842へ、歯車816のウォーム歯車817を介して(図8Eでよく見える)伝達される。逆推進機構840は、直状アーム850を間欠的に前後に引くことによって帯び805の伸縮サイクルを行ない、これによってバックル806および帯ローラアーム830をそれぞれ軸806aおよび835を中心に回動させ、アーム850が内方に引かれると帯805の張力を増し、アームが外方に引かれると張力を緩める。装置800の内部要素は、帯ローラアセンブリ820および力調節アセンブリ890も含んでいる。簡単のために、以下の説明は、ローラ帯アセンブリ820、逆推進機構アセンブリ840および力調節アセンブリ890の別々な説明に分ける。しかし、この分割は技術的なものであり、異なったアセンブリを互いに組み合わせて共通の要素を共有することを理解すべきである。ローラアセンブリ820は、帯ローラアーム830に装着された帯ローラ822とローラロック/解除ラッチ825とを有する。帯ロール822は中心軸835を有し、これは、ローラアーム830の2枚の水平板832aおよび832bの間に装着され、それらから伸びている。軸835の一方の端部は螺旋巻きバネ824に連結され、帯805に引込み力を与えている。帯805の引込み力を選択して、一定の低圧を解放期間中、四肢に与えるようにする。この低圧は、「予張力」と称するが、好ましくは、5〜15 mmHgの範囲にある。軸835の他方の端部には、これに固定的に装着されたラチェットホイール826が設けられている。ロック/解除ラッチ825は、バネ825aによってラチェットホイール826の方へ付勢され、ラチェットホイール826と係合して、係合中、図8Eで最もよく見えるように軸835の自由な回転を防ぎ、したがってバネ824を消勢して帯805がローラ822の周囲に巻かれたりまき戻されたりしないように構成されている。こうして、ラッチ825およびラチェット826が係合すると、帯805の有効全長は一定に維持される。ローラアーム830はさらに、固定ロッド825を有し、これは、板830aおよび830bの外角の間に伸び、それらの周りを帯805が通過する。ローラアーム830は軸835を中心に回転可能に装着され、直状アーム850にヒンジ851によって回動可能に連結され、ヒンジはアーム850の遠端に設けられている(図8Fでよく見える)。ローラアーム835をアーム850によって内方に引くと、アーム830が軸835を中心に時計方向(CW)に回転し、ロッド828を前面カバー802の方へ四肢から離れるように動かすことが分かる。また、ロッド806bは、軸806aを中心に回転可能に装着されヒンジ851によって対応するアーム850に連結された回転バックル806が内方に引かれると、同様の(しかし鏡像関係で)動きをすることも分かる。こうして、アーム850を内方に引くことで、帯の張力が増すことになる。このとき、ラッチ825および826を係合させて帯の利用可能長を一定に維持すると、帯の張力を解放することができず、帯の有効長が短くなる。ローラアーム830およびバックル830の緩い帯状態と収縮帯状態の間の変位は、図8C(緩い状態)と図8D(収縮状態)を比較することで、よく理解できる。帯ローラアセンブリ820は、逆推進機構840に直状アーム950のみならずウイング888によっても連結され、ウイングは、後述のように解放状態でラッチ825をラチェットホイール826から離脱させて、帯825を使用者の四肢に継続的に調節することができる。この帯の継続的調節によって、帯の再調節のために作動を停止させる必要なく長時間、本装置を連続作動させることができる。
【0044】
さて、図8Gに移って、逆推進機構アセンブリ840は、上述のようにモータ812によって歯車842で継続的に駆動され、歯車842はウオーム歯車817と係合している。アセンブリ842は、2本の収縮アーム850の間に介挿された歯車842に同心的に装着された帯収縮タイミングディスク845、および2本の解放アーム860の間に介挿された歯車862に固定的に装着されたS字型ディスク865を含む。歯車842および846は互いに係合し、ディスク845および865を反対方向に回転させる。ディスク845周縁は2つの弧843からなり、これは一定の半径を有し、小さい半径の対抗する2つの凹部844で切り欠かれている。S字型ディスク865は、半径が増大し尖頭で終端する2つの弧を有する形状であり、この尖頭で半径が最大から最小に急激に変化する。アセンブリ840はさらに、バネアセンブリ、収縮バネアセンブリ870および解放バネアセンブリ880を2組有する。収縮バネアセンブリ870は、これに装着されたバネ872および回転タイミングアーム874を含み、これは、遠端874aおよび近端874bを有する。解放バネアセンブリ880は、これに装着されたバネ882および回転可能アーム964を有する。ローラアセンブリ820に近いバネアセンブリ880にはさらに、ウイング888が設けられて、解放期間中、ラッチ825を押してラチェットホイール826から離し、軸835との係合を解除する。これらのバネおよびアームは、バネアセンブリのアームの図8Gの左側の時計方向の回転およびアームの図8Gの右側の反時計方向の回転で対応のバネを付勢するように構成されている。収縮アーム850はそれぞれ、収縮バネアセンブリ870のタイミングアーム874の近端874bを受け入れる開口852を有し、それぞれ内方端に軸受854が設けられ、各アームがディスク845の周縁に沿って摺動することができる。容易に分かるように、アーム850がディスク845の弧843に接している限り、帯は解放位置にあり、またアームが凹部844内に移動する際は、帯が収縮位置にある。解放アーム860はそれぞれ、解放バネアセンブリ880の回転アーム884を受け入れる後開口866、および収縮バネアセンブリ870のタイミングアーム874の遠端を受け入れる広い中央開口867を有して、タイミングアーム874が解放アーム860と収縮アーム850の間に連結するようにする。アーム860の内方端には軸受868が設けられ、ディスク865の周縁に沿って摺動することができる。帯収縮バネ872は付勢され、アーム850をアーム874を介して収縮タイミングディスク845の方へ押す。解放バネ882は付勢され、解放アーム860をアーム884を介して内方へ押し、軸受868がS字型ディスク865に対して定常的に押圧され、ディスク外形に追従するようにする。バネ872および882を選択して、バネ882のトルクが常時、バネ872のそれより高く、作動の全段階でアーム850にバネ882によって加わる(アーム884および874を経由して)力がそのアームにバネ872によって加わる対抗力に打ち勝つようにする。各バネ間のこの力関係は、ディスク845および865の間の位置関係と組み合わせて、これらがその中心に対して回転するにつれ、アーム850を急速に引き出すことができる。これについて、以下にさらに詳細に説明する。
【0045】
ここで本実施例の作動説明に移ると、当業者に容易に分かるであろうが、本発明の両側が一体的に作動し、したがって見るべきである。やはり分かるように、以下の説明は順次的であるが、これから説明する作動のいくつかは同時に発生し、簡潔の目的で断片的に説明するにすぎない。
【0046】
作動中、歯車ディスク845および865は、それぞれ反時計方向および時計方向に連続して回転し、これを各矢印で示す。ディスク845および865がそれぞれその中心に対して回転すると、解放アーム960がS字型ディスク865の周縁に追従し、これとともに収縮アーム850がディスク845の周縁に追従する。ディスク845および865は、アーム860がディスク865の増大する半径の弧884を追従する際、アーム850がディスク845の定半径弧843と接触するように構成されている。こうして、凹部844がアーム850の方に向かない限り、アーム850はディスク845に対して摺動し、帯が解放状態にあるとともに、同じタイミングアーム860がディスク865の半径の増大により外方にバネ882に対して押されてバネ882を付勢し、同時にアーム870の遠端874aを解放して開口867内で自由に動く。解放期間中はまた、左アーム880のウイング825がラッチ825を押してラチェットホイール826から離し、ローラ822の自由回転を可能にする。こうして、解放期間中の帯805における唯一の圧力は、収縮バネ824の低い力によるものであり、帯の利用可能長は、四肢の周縁の変化に応じて調節される。しかし、アーム860が外方に押されると、左アーム880のウイング888は、ラチェット825と接しつつもこれから離れる方に内方に回転する。ウイング888は、凹部884がアーム850に対向する位置に達する直前にラッチ810とわずかに接触するように構成され、これによってラッチ825がラチェットホイール826に係合して帯805の利用可能長を一定に維持する。凹部844がアーム850との対向位置に達すると、アームは、バネ872によりアーム870を介して加わる力によって急激に凹部に落ち込む。こうして、バックル806およびローラアーム830の急激な回転が生じ、その結果、帯805の有効長が急速に収縮し、四肢の急激な圧搾が生ずる。この点で、ディスク865は、アーム860がディスク尖頭に非常に接近し、しかし到達はせず、バネ882が最大値近くに付勢去れるような位置にある。各ディスクがその中心に対して回転を続けると、アーム860がディスク865の尖頭を越えて摺動し、バネ882で加わる力により内方に落ちる。同時に、アーム850は、凹部844から外方に急激な力によって急激に引かれ、この力は、アーム870の遠端874aに内方から加わり、これは、近端874bにバネ872によって加わる反体力に打ち勝ち、帯の解放が生ずる。こうして、タイミングアーム874によって、解放アーム860の急激な内方の動きがアーム850の急激な外方の動きに伝達される。この段階で、ウイング888がラッチ825から依然として離れるので、ラッチ825は依然としてホイール826と係合し、帯805の利用可能長を一定に維持する。各ディスクがさらに回転するにつれ、アーム860は、ディスク865の弧864の半径の増加により外方に押され、アーム874の遠端974aを解放し、アーム850に加わる唯一の力はバネ872のそれとなり、その結果、収縮アーム850が内方に押されて、再びディスク845の弧843に接触し、ウイング888はラッチ825と接触してローラ822との係合を解除するに至り、全サイクルが再び始まる。
【0047】
当業者に分かるであろうが、図8に示すような機構800は、急速収縮に続いて直ちに休息解放が行なわれるように構成されているが、本実施例は、解放と収縮の間に時間遅延が可能なように構成されている。これはたとえば、凹部844を拡大することによって、および各ディスク865の尖頭を一致させて、アーム850が凹部の終わりに到達する直前に対向アーム860に到達することによって、達成することができる。これに代わって、またはこれに追加して、ディスク845を歯車842に装着して、ディスクと歯車の間の限定した相対的回転を、たとえば歯車842の上面に刻んだ弧状溝にディスク845を装着することによって、可能とすることができる。これによって、ディスク845がアーム850によってロック状態を保ちながら、ディスク865を適切に選択するまでディスク842が回転し続け、アーム850が凹部814から退出し、ディスク812がさらに回転することができるようになる。ディスク845と歯車843との間の限定された相対的回転によってまた、アーム850が凹部844に落ち込むと、ディスク845の後退も許容し、機械的応力による円滑な遷移が容易に行なわれる。
【0048】
上述から分かるように、四肢に加わる圧搾力は、アーム950が凹部844に落ち込む直前のバネ872の位置エネルギーに直接比例し、これは、バネの初期エネルギーによって決まる。図8Fに示す力調節アセンブリ890によって、バネ872の力を調節できるが、これは、バネ872の第2の端部に連結された歯車898によってバネを巻回することによって可能である。その場合、体1の端部はアーム970に接続されている。アセンブリ890は軸895を有し、これには、その一端に前面カバー802から突出するホイール891が設けられ、これは、それに装着されウオーム歯車999で終端する同心的ウオーム歯車896を有している。ホイール898はウオーム歯車896に歯車897を接続する手段で連結され、ホイール891が一方向に回転するとバネ872が巻回してバネ力が増し、ホイールを反対の方向に巻回するとバネ力が減少するようになっている。バネ972の力は、ウオーム歯車899に装着された可動ポインタ892で指示され、軸894に固定的に装着された目盛894上を軸895の回転とともにウオーム歯車に沿って動く。ホイール891による力の調節は、本装置の作動に先立って使用者が行なう。典型的には、バネ972の力は2〜10 Kgの範囲で変化し、30〜90 mmHgの範囲で圧力が加わる。明らかになろうが、使用者が異なれば、同じ圧力を得る力も異なり、これは、四肢に加わる圧力が四肢を囲む帯の面積に依存するためであり、これは、装置を当てている場所の四肢の周縁によって決まる。かくして、四肢の周縁が大きい使用者は、小さい四肢を有する使用者より大きな力で作動する装置を必要とすることになる。さらに、装置900には、目盛894で読み取る力と四肢の周縁の関数として得られる圧力との間に相関比を与える相関表を設けてもよい。
【0049】
本実施例の作動を完全に理解するために、2組のバネアッセンブ装置900にリを読者に明らかにしなければならない。すなわち、種薄くバネアセンブリ870と解放バネアセンブリ880である。これらは、帯805の高速収縮と高速解放を可能にする力を提供する。この点で重要なことは、糖尿病血流などのある医療状況を有する者は、促進される液流が帯の解放時間に直接比例することである。本実施例の機構は、帯の急速な解放を行ない、したがってこれらの状態での血液およびリンパ液の循環を非常に高める。
【0050】
さて図9に移って、別の実施例を説明するが、これは、コイルバネ、歯車およびローラの回転運動が使用者の四肢を囲む帯の解放状態および収縮状態の間の間欠的高速遷移を生ずるものである。ここに記載の実施例は、全体を900で示し、図9Aに示す外部ケースおよび図9Bないし図9Fに詳細に示す内部機構を有する。
【0051】
図9Aを参照すると、ケース901は実質的に長い矩形の箱であり、これは、混合金属、強化プラスチック等の軽量で強力な材料からなる。箱901は、その上に内部機構が装着された実質的に矩形の平坦な基板902、ならびに2対の側板904および906を有している。2本の長いローラ、右ローラ910および左ローラ912がそれぞれ軸942および944に回転可能に装着され、対向板904の間で箱の長さ方向に伸びている。2本の帯909aおよび909bがそれぞれローラ910および912の周りに巻回され、互いに連結されて使用者の四肢の周囲に閉ループを形成し、ローラが反対方向に回動すると、組み合わせた帯の有効長がローラ回動方向に応じて伸縮するようになっている。帯909aおよび909bは、当業者に公知の、Velcro帯、様々なバックル等の様々な緊締手段によって互いに緊締してもよい。または、装置900に帯909aおよび909bの相対的に短い自由端を設けて、装置の着用前に、四肢にまとった靴下様の円筒状衣料にそれを固定することもできる。好ましくは、帯909の少なくとも1本に少なくとも1つの弾性要素を組み込んで、帯に限定的弾性を与える。板908をローラ910および912の間に配置し、ケース901の中央部分を覆い、板とローラとの間に間隙を残して、帯909のローラを中心とした回転を許容する。板908は、四肢に快適に適合するように構成された曲状の板である。板902、904、906および908は、接着剤、ボルト等の当業者に公知の何らかの手段によって互いに固定されている。実施零900は、人の四肢(図示せず)に帯909を介していた908で取り付けられ、図1Aの前部箱におけるのと類似の方法で四肢に接触する。
【0052】
図9Bおよび図9Dを参照すると、内部機構は、主モータ914、遊星伝動機構918、および遊星伝動機構918に主バネクラッチ920を介して連結された主バネ916を含んでいる。螺旋バネ916が上部主バネ926とクラッチ920のクラッチ歯車921との間に固定的に支持されている。クラッチ920は、歯車921にギア923を介して連結された外部クラッチバネ922を含み、クラッチバネ922のトルクが主バネ916のトルクに比例するようになっている。ラチェット機構924があり、その詳細は図9Eに示すが、これによって歯車921のラチェットホイール925を介した逆回転を防ぎ、その結果、クラッチ920がロックされている限り、バネ916の再付勢を防いでいる。上部主バネ926は、一方の側では右ローラ上部歯車928と係合し、他方では連結歯車934と係合して、これは次に、左ローラ上部歯車940と係合し、主バネ916とローラ910および912との間を連結し、これによって歯車926の回転でローラ910および912が同時に反対方向に回転する。主バネ916よりバネ定数の低い帯戻りバネ936が歯車934に連結されている。螺旋バネ936は、主バネ916とは反対の方向に付勢されるように構成されている。ここで図9Bないし図9Dの下部に移って、帯収縮クラッチ932が右ローラ底部歯車930に帯収縮クラッチ歯車931を介して連結されている。クラッチ932は、歯車931をロックし、ロック解除したりし、したがって歯車928、926、934および940を介してローラ910および912をロックし、ロック解除したりする。この機構はさらに、タイミングアセンブリを有し、これは、伝動機構952を介してタイミングシャフト954に連結されたタイミングモータ950を有する。2枚の偏心した2重歯カム解放ディスク960および970がシャフト954に装着され、これらは、それぞれ主バネクラッチ920および帯伸長クラッチ932と整列し、それらと係合して対応のクラッチをロック解除するように構成されている。ここに示す本実施例によれば、この機構はさらに、クラッチ920のバネ922の軸に装着されて主バネ916のトルクを読み取る主バネ符号器927、タイミングシャフト946に」装着されてディスク960および970の角度位置を読み取るタイミングシャフト符号器958、および歯車934の軸に装着され遷移中の帯の有効長および速度を読み取る帯長符号器937を有する。符号器927、958および937の読取り値は、マイクロプロセッサ(図示せず)に供給され、これもモータ914および954を制御する。
【0053】
以下の説明は、3つの期間の内部機構の作動に分かれている。第1の期間は、主バネ916が付勢され帯の有効長が解放状態で一定に留まる負荷期間である。第2の期間は、急激な圧搾力が包囲された四肢に加わり、帯の有効長が第3の期間の開始まで収縮状態に留まる所定の期間がこれに続く帯短縮期間である。第3の期間は、帯有効長が高速遷移によりその海邦町に戻る解放機関である。この3つの期間は互いに時間的に続くものであり、解放状態から収縮状態へ、およびその反対に間欠的な高速遷移が行なわれる。
【0054】
負荷期間。負荷期間中、帯解放クラッチ920および932はロックされる。負荷期間は、帯の有効長が解放状態にあって、モータ914の付勢により開始する。クラッチ920および932がロックしたまま、モータ914は伝動機構918を介して主バネ916を付勢するが、これは、バネの(モータ914に近い近端の回転運動を付勢することで行なわれる。主モータ914は定速で作動し、またはモータ814が可変出力で作動し、バネ916のトルクがそのように増大するにつれ、モータ914の出力も増してバネ付勢速度を一定の速度に維持するようになる。遊星歯車918は、その内部構成が図示されていないが、角速度が回転軸に沿って減少する公知の何らかの遊星伝動機構でよい。既述のように、負荷期間中、帯収縮クラッチ932がロックされ、歯車930、928、926、934および940のいずれかの回転運動を防ぐ。こうして、主バネ916に形成されるトルクが歯車826を経由して上部ローラ歯車828および840に伝達されるが、ローラ910および912は回転できず、その結果、帯の有効長が一定に維持される。主バネ916に形成されるトルクは、符号器927でモニタされる。
主バネ916が所定の値に到達すると、モータ914が遮断され、これによってバネの更なる付勢が停止する。この段階で、モータ914に電圧が印加されないと、ロッキングラチェット924によって歯車921の逆方向の回転が防止され、したがって主バネ916の解放が防止され、主バネトルクを維持する。
【0055】
短縮期間。短縮期間中、クラッチ920はロックされている。解放状態から収縮状態への遷移は、タイミング機構によって制御され、これは、係合すると帯収縮クラッチ932をロック解除するように構成された解放ディスク970を介して行なわれる。短縮期間はモータ950の通電によって開始し、これによって回転運動が電動機構948を経由してタイミングシャフト954に伝達される。その結果、ディスク970は、ディスク歯がクラッチ932の外側円筒の対応する歯と係合する位置まで回転し、図9Eに示すように、クラッチの2つの部分をロック解除し、デスク921はその軸を中心に自由に回転することができる。ディスク931のロック解除で、ディスク928、926、934および940もロック解除される。こうして、クラッチ920が依然としてロックされてディスク921の回転運動を防止したままクラッチ932をロック解除すると直ちに、主バネ歯車926の時計方向回転運動によって系の力が部分的に解放され、その結果、右ローラ910の反時計方向の回転および左ローラ912の時計方向の回転が生ずる。これによって、帯の有効長の急激な短縮および四肢への高い圧搾力が生じ、これは四肢の抵抗による更なる短縮ができなくなるまで続く。主バネ916が部分的に負荷を解かれると、戻りバネ936が連結歯車934の自然動作によって付勢される。こうして、クラッチ932の解放で帯909の短縮と戻りバネ936の付勢の両方が生ずる。連結歯車934の回転は、帯909の長さを短縮する間隔に比例するが、符号器937によって読み取られる。
【0056】
解放期間。解放期間は、モータ950を第2の短い期間、再駆動することで開始し、これによってシャフト946のこのときの更なる回転が可能になり、解放ディスク960は、ディスク歯が歯車921と係合して主バネ916をラチェット機構924からロック解除する位置まで動く。これによって、主バネ916は、ディスク921の半時計方向の回転でさらに解放することができる。ディスク926に主バネ916で加わるトルクが減少するにつれ、四肢筋肉によって加わり帯戻りバネ936の対向トルクと組み合わさって帯有効長を増すように作用する力によってディスク926が反時計方向に回転し、系における過剰な力を逃がしている。こうして、ロック解除クラッチ920は直ちに、主バネ916をその初期位置へ解放するとともに、帯809を急速に解放有効長まで歯車926、928、930,934および940によって伸長させ、それらの前負荷位置を回復し、ローラ910および912を前負荷位置まで回転させることになる。全要素の前負荷状態への解放によってまた、クラッチ920および932もその初期位置に戻り、すなわち再度ロックされ、負荷−短縮−解放の全サイクルが再び始まる。
【0057】
図9Eは、ラッチェト機構924の例を示し、ラチェット機構の動作を時系列的に示す。ラチェット機構924は、ケース980の基板904に固定されたラチェット本体980と、軸984に本体980の凹部内で回動可能に装着され凹部内での爪982の限定的回転を許容する爪982と、爪982を基板のほうへ弾くように付勢されたバネ986とを有する。爪982の自由端は、ラチェット歯車925の傾斜した歯925aと係合する。シーケンスステップI〜VIで明らかにわかるように、ラチェット機構924は、ホイール925の時計方向の回転のみを許容し、これは、爪982の自由端を引き上げながら(ステップI〜IV)半時計方向の回転(ステップV〜VI)を妨げて歯925aが爪982を本体980に対して押圧して更なる回転を防止することによって行なわれる。
【0058】
図9Fは、歯車931を本体板904にロックしたりロック解除したりするクラッチ932の例を示す。このクラッチにわずかな修正を加えたものも、クラッチ920として機能し、主バネ916およびラチェットホイール925を連結/分離することができる。ステップI〜VIIは、クラッチ932を通って回転軸に垂直な面における断面として示されている。クラッチ932は、3つの半円凹部992aをその周縁に有する内側円筒部992と、3つの長い凹部996aをその内側周縁に有する外側環996と、これらの間の空間に介挿されたセグメント状冠状要素994とを有する。要素992、994および996は、軸915を中心として同心的に配置されている。3本の円形ロッド995が冠状要素994の隣接するセグメントの間に介挿されている。ロッド995は、他の部分のいずれにも接続されていないが、半径方向に押していずれかの凹部992aまたは996aを占有することができるが、常時、セグメント994に制限されている。外側環996は、バネ998の一端998aに連結され、その第2の端部998bは環998を反時計方向に付勢するケース901に固定的に連結されている。環996の外縁には歯996bが設けられてカム970の2重スパイク971と係合する。要素994および992はそれぞれ、連結したり分離したりする2つの部分の一方の一体的部分である。たとえば、要素994は、前面本体壁904から垂直に伸び、また円筒状要素992は、歯車931の中心から垂直に伸びている。こうして、クラッチ931が要素992および994の間で係合すると、歯車931が本体901にロックされる。図9EのステップIは、ロックされた位置のクラッチ932を示す。この位置において、ロッド995は外側環996によって凹部992aの中へ押され、円筒部992がいずれかの方向に回転するのを防ぐ。カム970の2重スパイク971は、クラッチ932から離れる方を向いている。ステップIIでカム970の2重スパイク971は歯996bに近づいて、ステップIIIおよびIVで歯996bと係合し、環996を時計方向に回転させる。環996の固定要素994に対するこの回転により凹部996aがロッド995の方へ進み、円筒部992が反時計方向に回転することができてロッド995を凹部996aの中へ押す。こうして、歯車931がロック解除されて負荷期間中、系に形成される力を部分的に解放する。歯車931の回転は、帯の更なる収縮が四肢の抵抗によって妨げられると、停止し(ステップV)、歯車930がさらに回転するのを防ぎ、その結果、歯車931も回転しない(上述の短縮期間を参照)。2重スパイク971が歯996bを通過した後、環996は再びバネ998によって付勢され、反時計方向に回転する。これをステップVIに示す。しかし、環996の回転は、このとき部分的に凹部996a内に位置しているロッド995によって防いでいる。こうして、クラッチ932は非連結状態を維持し、円筒状部992の自由回転を許容する。上述の解放期間を参照すると、クラッチ920もロック解除された後、系のすべての余分な力が解放され、歯車930の反時計方向の回転、したがって、ステップVIIに示すように、歯車931および要素992の時計方向の回転によって帯が解放されることになる。要素992が回転すると、ステップVIIIに示すように、このとき自由に回転できるようになった外側環996によってロッド995が凹部992a内に戻され、クラッチ932がステップIのロック位置に戻る。
【0059】
当業者に明らかになろうが、図9Eおよび図9Fに示すラチェット機構およびクラッチ機構の特定の構成は、例示にすぎず、本発明の範囲を逸脱することなく同じ機構機能を有する他の同等の機構要素を使用できる。
【0060】
上述のように、実施例900はマイクロプロセッサによって制御される。マイクロプロセッサはモータ914および954を制御し、使用者が与える入力パラメータおよび符号器927、958および937から受け取る読取り値に従って解放および収縮状態の間の遷移をタイミング制御する。典型的なユーザインタフェースを図9Fに示す。ユーザインタフェース500は、パラメータキーボード502、所望の値を入力する英数字キーボード504、表示パネル506およびオンオフスイッチ508を有する。パラメータキーボード502において、Taは解放期間の長さを表わし、Tcは収縮期間の長さを表わし、Fは主バネ916の力を表わし、Tbは解放状態から収縮状態への遷移時間を表わし、Tdは収縮状態から解放状態への遷移時間を表わし、Xbは解放状態と訓練状態との間の帯の有効長を表わす。作動前に使用者は、Ta、TcおよびFの値を入力する。Tb、TdおよびXbの値は、使用者が決めるのではなく、符号器の測定によって決まるのみである。作動中、これらのパラメータと符号器で測定したTb、TdおよびXbの実際の値が表示パネル906に表示され、それぞれの値が対応するパラメータの次に表示される。
【0061】
図9によって説明した実施例は高度の融通性を有し、これは、帯の収縮−解放サイクルのさまざまなパラメータを別々に選択できるためである。こうして、実施例800はとりわけ、さまざまな条件や使用者に最適化されたパラメータを引き出す実験的プロトタイプの装置に適している。実施例900はまた、各使用者ごとに適したパラメータを調整する医療従事者によって有用な装置として使用してもよい。しかし、明らかなように、実施例900の廉価な機械制御タイプも構成可能であり、これは、実施例900と同じ主収縮−解放機構を有するが2個のモータではなく連続作動モータを1個のみ有するものである。
【0062】
明らかなように、両装置800および900とも、心臓から四肢への動脈流または四肢から心臓への静脈流を促進するように構成されたさまざまなサイクルパターンが可能に構成することができる。これも明らかなように、1つ以上の減速機構を装置800および900の機構に連結して、少なくとも1つの遷移の遷移時間を制御することもできる。そのような緩動作機構は、たとえば推進型機構でもよい。減速機構によって、遷移中の圧力勾配プロファイルを微調整することができる。たとえば、圧力を制御して、滑らかな単調関数で目標値に到達し、または目標値を過渡的にオーバシュートさせることができる。こうして、本発明による装置は、圧力を高速に形成し、また圧力を緩やかに解放してもよく、これは、たとえばDVTの危険性を減らすのに適している。または、静脈吸引効果を含めることで圧力を緩やかに形成し高速に解放し、動脈流を促進するのに適している。この効果は、「吸引効果」と称し、各圧力サイクルの終りに圧力を急激に低下させることによって生じ、これによって静脈の血圧が正常以下に低下して、末端組織を通る迅速な灌流を容易にする。この効果は、「吸引効果」と称し、以下に示すように、高血圧か否かによらず、末端組織の灌流を改善することができる。したがって、末端部への液流を増すために、本装置を調整して四肢に圧力を与え、静脈を圧迫し、その圧力を急激に解放する。好ましくは、高圧から低圧への遷移時間は、1秒未満であり、さらに好ましくは、300ミリ秒、100ミリ秒、30ミリ秒もしくは10ミリ秒未満である。
【0063】
吸引効果を誘起し動脈流を促進する典型的な作動パラメータは、次の通りである。すなわち、圧迫状態の圧力は15 mmHgより高く、好ましくは15〜180の範囲に、より好ましくは30〜120の範囲に、また最適には60〜100 mmHgの範囲にある。全サイクルは0.5〜300秒の範囲にあり、好ましくは2〜120秒の範囲にあり、より好ましくは5〜75秒の範囲にあり、最適には10〜30秒の範囲にある。圧縮期間の長さは15秒未満であり、好ましくは8秒未満であり、より好ましくは1.5秒未満もしくは300ミリ秒未満である。圧縮状態から解放状態への遷移時間は3秒未満であり、好ましくは1秒未満であり、より好ましくは200ミリ秒未満であり、また最適には100もしくは30ミリ秒未満である。さらに、解放状態から圧縮状態への遷移時間は100ミリ秒〜3秒の範囲内である。
【0064】
静脈流を促進してDVTの危険を減らす典型的な作動パラメータは、次の通りである。すなわち、圧迫状態の圧力は15 mmHgより高く、好ましくは15〜120の範囲に、より好ましくは25〜60の範囲に、また最適には30〜50 mmHgの範囲にある。全サイクルは5秒を超え、好ましくは15〜300秒の範囲にあり、より好ましくは30〜150秒の範囲にあり、最適には40〜80秒の範囲にある。圧縮期間の長さは15秒未満であり、好ましくは8秒未満であり、より好ましくは3未満、最適には1.5ミリ秒未満である。圧縮状態から解放状態への遷移時間は10秒未満であり、好ましくは3秒未満であり、より好ましくは1未満であり、また最適には200、100もしくは30ミリ秒未満である。
【0065】
図10Aは、本発明の実施例900による装置を適用することによって得られた典型的な圧力プロファイルであり、圧力の上昇および下降を時間の関数として示す。比較のため、図10Bに図10Aと同じ時間メモリで示す圧力プロファイルは、典型的な市販のIPC(間欠圧搾空気圧縮)装置(Aircast社 VenaFlow)により得られたものである。両装置とも同様の圧力に収束するように調整した。明らかに分かるように、本発明により得られた圧力上昇および下降の時間は、従来の圧搾空気圧装置で得られたものよりはるかに短い。やはり分かるのは、2つの装置の圧力プロファイルがかなり異なることである。図10Aおよび図10Bに示す測定によれば、本装置が最大圧力地に達するのにわずかに約0.06秒かかり、圧力がその基底線値に下降するのに約0.08秒かかる。一方、IPC装置では、最大圧力に達するのに約0.96秒かかり、最小値の75%に下降するのに約0.68秒、その基底線値に達するのに約4.6秒かかっている。図10Aに与えられるfプロファイルが一例にすぎず、上昇および下降時間、ならびに圧力形成中および圧力下降中の過渡的勾配が装置の機械的パラメータの変更で容易に変えることができることは、明らかであろう。
【0066】
実験結果
図11は、本発明の装置の適用によって得られたドップラー超音波試験結果の例を示す。ここに示す結果は、図9の実施例900による装置を仰向けの健常者に適用し、約50 mmHgの間欠的圧力を加えて得たものである。本装置を被検体の右ふくらはぎに当て、装置位置から遠く右足首に近い位置にある静脈から測定値を取った。これらの測定値は、市販のデュプレックス超音波/ドップラー装置によって得た。白抜き領域は遠い静脈の血流を示し、白抜き領域を通る細い黒線は瞬時の平均流を示す。装置の作動前の被検体の静脈中の血流は、図11の左側に見られ、基底線と称する。分かるように、装置を起動して圧力を最初にふくらはぎに加えると、遠い静脈の血流が一時的に零に向かって低下し(基底線に続く黒領域で示すように)、次に、装置を圧縮状態にすると、江気流が実質的に基底値まで回復する。そこで、圧力を急速に解放した後、血流の大きな上昇があるが、これは、同図の右側に白抜き領域のピークで明瞭に示されている。図11は、上述の静脈吸引効果、すなわち圧力サイクルの終わりで圧力が急激に下降することに起因した遠い組織を通る灌流の増加を示している。
【0067】
図12Aおよび図12Bは、2つのドップラー超音波図表示を示し、健康な49歳男性の四肢に、それぞれ図8の実施例800による本発明の装置を適用することによって、および既存の市販IPC装置(3室Tyco)を適用することによって、得られた流速を示す。これらの図は、超音波循環器技術者が超音波/ドップラー装置を使用し、200 Hzで作動する変換器を使って得たものであり、深部大静脈頭部における本装置の位置への血流および血液速度を測定した。測定は、皮膚表面から約3 cm下に位置する7ミリメートル静脈で行なった。両装置の通常作動中、毎分3サイクルで作動させ、測定値を得た。本発明の装置によって与えた圧力は、約25 mmHgであり、市販装置によるそれは、約40 mmHgであった。このドップラー図は明らかに、本発明を使用した後、IPC装置と比較して血流が大きく上昇したことを示している。本装置の圧力プロファイル、すなわち高圧と低圧との間の高速遷移がこの血流増加の促進に寄与していると考えられる。図11および図12は、例示にすぎない。正確な測定は以下の各表にまとめて示す。
【0068】
表1は、被検体の下肢における血液流量の基底線血流に対する平均増加パーセントを示し、この場合、装置を下肢に適用しなかった。表1に示す平均結果値は、多重試験結果から算出したものであり、ランダムな測定誤差を除去してある。
【0069】
【表1】
この実験で使用したTyco装置(IPC)で得られた結果は、この装置について公開されたデータと一致し、本分野で四肢の血流促進に使用された同様の装置で得られた公開結果値と両立している。上述のこれらの結果から分かるように、本発明で得られたピーク流の増加平均値(基底線の344%)は、IPC装置で得られたもの(基底線の224%)よりはるかに高い。さらに分かるように、本発明で得られた血流の増加平均値の範囲は、IPC装置で得られたもの(基底線の105〜335%)より広い(基底線の113〜215%)。これが意味のある結果であるのは、本発明の使用によって大きな吸引効果が被検体の四肢の静脈内に生じ、これが四肢における血流および循環の大きな促進の原因となっていると、思われるからである。やはり分かるように、基底線より上の平均血流の増加平均値は、本発明の場合、IPC装置の場合より幾分高い。この実験で使ったIPC装置の作動パラメータは、本分野で使用する他の同様の装置と同等である。したがって、本発明の技術は、IPC装置を45 mmHgにて使用して得たのと同じ流速を25 mmHgで達成している。本発明によって得た他のデータは、装置の吸引効果に関するデータを得る目的で装置を適用した位置から遠い静脈における血流の特殊な測定値を含んでいる。分かったことは、本発明は、IPC装置と比較して、使用圧力がかなり低くても、装置から遠い静脈においてかなりの吸引効果を生ずることである。
【0070】
他の実験設定では、本発明の実施例900による装置で異なる10被検体を扱った。これは、装置を被検体のふくらはぎに適用し、エコードップラーを使って表面大腿部管(SFV)で流速および流量を測定した。装置は、毎分1サイクルで作動させ、約40 mmHgの圧力パルスを12秒間、印加した。測定値を取ったのは、基底線値を得るため装置の取付け前、装置の被検体への取付け後その起動前、装置の作動中、および装置遮断後の休止状態であった。表2は、10件について得られた平均の結果をまとめたものである。
【0071】
【表2】
45 mmHgで12秒の圧力パルスを本発明の装置によりふくらはぎに与えて扱った10件について得られた平均結果値
さらに1組の試験を行なった。これは、実施例900の装置を使用し、約80 mmHgの圧力パルスを約3秒間、与えた。装置はふくらはぎに取り付けた。試験は、毎分2サイクルと6サイクル行なった。測定したパラメータは、エコードップラー、TcpO2および組織ドップラーを使用して大腿部動脈および大腿部静脈体積流であった。10件について得られた平均結果値を表3にまとめて示す。
【0072】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の着座している者のふくらはぎへ帯で縛った絵図面である。
【図2A】アセンブリ本体および帯で形成されるループの周部を間欠的に縮めることによって四肢の筋肉への圧迫を行なう本装置の前当て式ボックスの好ましい実施例の外観側面図である。
【図2B】アセンブリボックスを、ふくらはぎの筋肉に当接して配置される能動間欠圧搾部分とする、後当て式ボックスの一実施例の側面図である。
【図3A】図2Aに示す装置のアセンブリボックスの第1の内部機構を示す断面図である。
【図3B】図3Aに示す装置の平面図である。
【図3C】図3Aおよび図3Bの実施例を改変した機構を示す図である。
【図4A】電磁モータと、中心がヒンジ連結された矩形回転板と、帯の両側を連結する長手バーとを用いた、図2Aに示す実施例用の他の機構の絵図面である。
【図4B】および
【図4C】図4Aに示す実施例の、それぞれ側面図および平面図である。
【図5A】および
【図5B】L形レバーバーにより促進される動力伝達機構を用いた、図2Aに示す実施例用の他の機構を示す図である。
【図6】本発明による装置の他の実施例の側面図である。
【図7】図2Bに示す前当て式ボックスの実施例による装置のアセンブリボックスの内部機構を示す平面図である。
【図8】逆推進実施例と称される本発明の改善実施例を示す。
【図8A】および
【図8B】逆推進実施例による装置のそれぞれ裏面および前面斜視図である。
【図8C】図8Aおよび図8Bの逆推進実施例を上下反対にして後部カバーを外し、帯が緩んでいる状態で内部部分を見えるようにした裏面斜視図である。
【図8D】図8Cにおけると同様に、前後両カバーを外し、収縮状態で内部部分を見せるようにした逆推進実施例の裏面斜視図である。
【図8E】および
【図8F】両カバーを外して水平位置にある逆推進実施例の、それぞれ裏面および前面斜視図である。
【図8G】帯の解放収縮状態間の変化を行なわせることが可能な、逆推進機構と称する主機構の斜視図である。
【図8H】逆推進実施例の力調整機構の斜視図である。
【図9】本発明のさらに他の改善実施例である。
【図9A】上記実施例の上部立面斜視外面図である。
【図9B】上部カバーおよび両側壁を除去して内部部分を見せるようにした図9Aの実施例の立面斜視図である。
【図9C】上部カバーと両側壁とローラを除去した図9Aの実施例の立面斜視図である。
【図9D】時間の関数としてラチェット機構の作動を示す、図9Bに示す実施例のラチェット機構の一連の側面図である。
【図9E】回転軸に対して垂直な面におけるクラッチの作動を示す、図9Bの実施例のクラッチの時系列的一連の断面図である。
【図9F】図9A〜図9Cに示す実施例の代表的なユーザーインターフェースの図である。
【図10A】および
【図10B】本発明による装置および市販のIPC装置により得られるそれぞれの代表的な圧力プロファイルである。
【図11】図9の実施例による本発明の適用によって得られるドップラー超音波試験結果の例である。
【図12A】および
【図12B】本発明の図8の実施例の適用および市販のIPC装置によってそれぞれ得られるドップラー超音波試験結果の例である。
【図13A】、
【図13B】および
【図13C】本発明の装置および方法のエネルギーパターンの例である。
【関連出願】
【0001】
本発明は、循環を促進し滞留関連DVTを防止する携帯装置と題する2002年3月3日付国際特許出願番号PCT/IL02/00157の部分継続出願であり、その内容をすべてここに参照により組み入れ、2004年2月2日付出願されたイスラエル特許出願第160185号の優先権を主張する。
【発明の背景】
【0002】
【発明の分野】
【0003】
本発明は、一般に、四肢と胴体における血流およびリンパ液流の促進に関するものである。具体的には、本発明は、循環を促進し、高圧から低圧へ、またその逆に、勾配を制御した急速な遷移を可能にする携帯自立式装置に関するものである。
【0004】
四肢における、とくに下肢における「凝血」または深部静脈血栓症(DVT)の発生は重大な健康障害である。これに冒された四肢には、赤熱、痛みおよび腫れなどの局部的症状および徴候が生じる。これはさらに、少量の凝固した血液を肺へ送って肺の血行を阻害し(肺塞栓症と呼ばれる)、肺、ときには心臓の機能をも低下させて生命の危険をもたらす。DVTの発生は、病理学的にはフィルヒョー三元素に関連していると考えられる。具体的には、脈管構造内で3つの条件、すなわち、うっ血(血流の減少)、高凝結性(通常状態における血管内での凝固傾向の増大)および内皮損傷(血管の内層への損傷が凝血形成を促進する)が満たされ場合に、DVTの発病率が増大している。
【0005】
歩行可能な人であれば、足の筋肉が足の深部静脈組織を圧迫して、心臓へ血液を押し出している。このような現象は「マッスルポンプ」と言われている。ふくらはぎの筋肉は昔から、「マッスルポンプ」のメカニズムに関係しているとされている。運動ができない時期に生じるうっ血は、DVT形成の大きな危険要因となると考えられている。運動ができないということには、例えばベッドまたは椅子にいる人など、仰向けに寝たきりであったり座ったままの姿勢であったりして身体的な活動が不足している期間、長い自動車旅行の期間、長時間の飛行機旅行、座位での長時間作業などが含まれる。
【0006】
最近、医学界が長時間旅行におけるDVTの形成を「旅行者血栓症」と命名している。顕在化したDVTの約5%は旅行中に発生していると考えられる。これは、長時間、とくに座位で運動ができないために発生するものと考察される。このような姿勢をとると、座位中に四肢の静脈がねじれるため、さらに血流に障害を生じる。また飛行中に搭乗員の静脈血流を(圧迫装置を利用して)促進すると、不快、四肢の腫れ、疲労および痛みが軽減されることが分かった。
【0007】
四肢の腫れおよび不快は、乳房切除後、リンパ細胞を切除する骨盤手術後のようなリンパ液流の停止状態や、その他、リンパ液流の心臓への循環が悪化した状態においても発生する。四肢の血液循環の減少はさらに、糖尿病(DM)などの動脈系統に影響を及ぼす条件においても観察されている。動脈壁が厚くなり弾性を失うアテローム性動脈硬化症の加速、毛細管に影響を及ぼす糖尿病に起因する微小脈管症、ならびに神経症(神経の失調および機能不全)などのさまざまな管束組織の変質が、糖尿病に起因する四肢における循環障害に原因と考えられている。四肢への血流の減少は、遠位の四肢におけるうっ血および阻血症を引き起こす。この阻血症が組織の死滅(壊死)と二次感染および炎症をもたらす。さらには、糖尿病に起因する神経症による知覚神経によって皮膚感覚が欠乏し、そのため患者は上述の状態の進行に気づくのを妨げられる。同様な影響を有する他の状態には、動脈系統に対して広範囲の損傷を与える疾病が含まれる。
【0008】
運動ができない期間に四肢の血流を促進することはすでに、四肢におけるDVT形成を予防する確立された方法になっている。この方法によれば、一般にDVTから発生する肺塞栓症(PE)の発生を予防するという、二次的な予防効果もある。下肢からの静脈還流を促進すれば、運動ができない期間の四肢の浮腫、痛みおよび不快感の発生も予防可能である。うっ血に関連したDVTの予防は一般に、大きく扱いにくい装置により行なわれている。かかる装置のほとんどは、訓練を受けた医療職員しか扱うことができない。かかる装置は次の2つの方法のいずれかによって作動する。すなわち、空気圧式もしくは液圧式間欠圧搾、または「マッスルポンプ」の直接的間欠電気刺激である。空気圧式/液圧式装置は袋体を有するスリーブまたは加圧帯を用い、気体または液体圧搾器により袋体を膨張および収縮させ、それによって生理的「マッスルポンプ」の刺激を生じさせる。こうした空気圧式および液圧式装置は通常、一連の精巧な管および弁、圧搾器、液体供給源および高度なコンピュータ制御装置を必要とする。さらに、こうした装置は作動中に相当な騒音を発生する。電気式刺激器は、ふくらはぎの筋肉に対して電気インパルスを与えて作用するものである。これらの装置は精巧な電子装置を必要とし、患者に痛みや苛々感を与える。DVTの予防を目的の既存の装置のほとんどは、訓練された人により医療環境において使用するように設計されている。さらに、既存の装置は膨張または収縮時間が緩慢であるばかりでなく、作動時中は四肢の広い表面面積を覆うことになる。これらの作動パラメータによって、血流不足状態の処置および予防が役立たなくなっている。
【0009】
したがって本発明は、四肢の血流およびリンパ液流を促進し、運動ができない期間中のDVTおよび他の病気の発生を予防する装置を提供し、この装置は、間欠的に四肢の筋肉を圧迫をシミュレートし、携帯式かつ自立式で、外部の動力源に依存せず、しかし互換性があり、運び易く小型で軽量であることを目的とする。さらに本発明は、動脈の樹枝状分岐血管における血流を促進し、それによって糖尿病による足の疾病および他の動脈関連の疾病の予防および治癒に役立つ装置を提供することを目的とする。本発明はさらに、医療分野で特別に訓練されていない素人でも操作が容易で、四肢へ簡単に帯で縛り、あるいは取付け可能であり、いかなる体格の人に対しても容易に調節可能な装置を提供することを目的とする。本発明はさらに、空気圧を必要とせず、静かに作動し、それによって飛行中などの人口稠蜜な室内、または患者の自宅でも周囲に騒音による不快感を与えることなく作動するDVTおよび他の病気の予防装置を提供することを目的とする。さらに本発明は、機械的手段によって、具体的には電気もしくは磁気エネルギーを機械的動きに変換することによる間欠的な筋肉の圧迫手段を提供することを目的とする。本発明はさらに、継続的低動力入力のエネルギー源を利用しつつ、短時間の大きな動力の出力を行なって、急速で間欠的な筋肉の圧迫および解放を行なう、エネルギー的に効果的で、効率的な装置を提供することを目的とする。本発明は、製造が容易で低コストのDVTおよび他の疾病の予防装置を提供することを更なる目的とする。
【本発明の概要】
【0010】
本発明の1つの態様によれば、四肢に対して間欠的な圧迫を加える小型携帯可能の患者装着式軽量機構が提供され、これは、高圧迫状態と解放状態の間で高速遷移を圧力プロファイルに与えることができる。この機構は、低速エネルギー充填機構および高速エネルギー放出機構を有し、このエネルギーが組織に対して放出される。低速エネルギー充填間隔は、望ましくは組織へ保存されるエネルギーの送出時間より長くする。この機構は、血液および他の体液の循環を改善し、抹消血管症患者の血液循環を改善し、病気予防に役立ち、あるいは深部静脈血栓の危険を減少すると考えられる。この機構はまた、動脈もしくは心臓疾患、抹消動脈疾患および四肢虚血症の患者にも役に立つことができ、さらに抹消部の潅流を改善することができる。人の四肢に対するこの機構の作用によって、なかでも、低圧でも吸引作用を達成し、これが静脈圧を低下させ、末端組織の勾配を改善して、潅流を改善することができる。この機構は慢性静脈不全患者の改善に、またはリンパ浮腫の患者のリンパ液流の改善に役立てることができる。この機構は、虚血性間動脈症および心臓機能不全の患者の冠動脈潅流を始めとする遠隔操作による血管機能手段において改善を行なうものである。
【0011】
本発明の第2の態様によれば、四肢における血液循環を促進する携帯装置を提供し、これは、四肢を包囲する調節可能な帯と、モータと、このモータにより駆動され帯の解放状態から帯の収縮状態への第1の遷移および収縮状態から解放状態への第2の遷移を間欠的に行なわせ第1の遷移が収縮期間の第1の時間間隔の後に生じる機構とを有し、この機構は、モータと帯との間に作動可能に配置されたエネルギー充填可能な要素と、このエネルギー充填可能要素と帯との間に連結されたエネルギー放出機構とを含み、前記機構は、前記充填可能要素内に保存されたエネルギーの迅速な放出と、このようにして放出されたエネルギーを用いて前記解放および収縮状態の間での少なくとも1回の突然の遷移を行なうことを可能にしている。この高出力による急速遷移は、10秒未満にすることができる。また、この高出力による急速遷移は、1秒未満にすることができる。さらにこの高出力による迅速な遷移は、300ミリ秒未満にすることができる。またさらに、この高出力による遷移は、30ミリ秒未満にすることができる。さらにこの高出力による遷移は、第1または第2の遷移にすることができる。各サイクルは、0.5ないし300秒の範囲内にし、1つの周期は第1および第2の時間間隔と、第1および第2の遷移とを含むことができる。第1の時間間隔は、300ミリ秒から15秒の範囲内にすることができる。本装置はさらに頻度調整器を含む。収縮期間中に四肢に対して加えられる圧迫は、15〜180 mmHgの範囲にすることができる。本装置はさらに、第1の遷移中に四肢に対して加えられる圧迫を調節する力調節機構を含む。エネルギー蓄積要素は、解放期間中に負荷することができる。このエネルギー蓄積要素は、バネにすることができる。本装置にはさらに、第2のエネルギー蓄積要素と、この第2のエネルギー蓄積要素および帯の間に連結された第2のエネルギー解放機構とを有することができ、前記第2のエネルギー解放機構によって、前記第2のエネルギー蓄積要素に保存されたエネルギーを迅速に解放し、さらにその解放されたエネルギーを用いて少なくとも1回の高出力による急速遷移に対して反対の方向に第2の高出力による急速遷移を行なわせることができる。本装置を用いて吸引作用を誘発させることができるが、この場合、第1の遷移は30ミリ秒から15秒の範囲であり、第1の時間間隔は、300ミリ秒から15秒の範囲にすることができ、第2の遷移は30秒ミリ秒〜200ミリ秒に範囲にすることができ、さらに全サイクルは5ないし60秒にすることができる。第1のエネルギー蓄積要素から解放されたエネルギーの一部は、第2のエネルギー蓄積要素へ充填することができる。第2のエネルギー蓄積要素はバネにすることができる。本装置には連続作動するモータを組み込むことができる。本装置にはさらに、使用者が本装置の作動パラメータを事前設定することができるマイクロコンピュータを持たせることができる。本装置の作動用パラメータには、収縮期間中に四肢に加わる圧迫力を含めることができる。この機構およびモータはさらに、ハウジングに収容することができる。このハウジングにさらに、モータへの給電する電源を収容することができる。この電源は、1つ以上の充電式もしくは非充電式電池、またはそれと同様の電源にすることができる。本機構にはさらに、それぞれが帯の一方の端部へ連結可能な2つの直線運動が可能なアームを含めることができ、これらの2つの可動アームを互いの方へ移動させて第1の遷移を行なわせ、2つのアームを互いから離れるように移動させて第2の遷移を行なわせる。帯の端部はローラへ固定することができ、その場合、前記ローラは、反対の方向に交互に回転させて前記第1および第2の遷移を起こさせ、帯をこのローラに巻き付けたり巻き戻したりする。帯は、収縮機構を備えた帯ローラに収縮可能に巻き付けることができる。この収縮機構は、第1の遷移前に自動的にロックして帯の使用可能長を一定に保ち、さらに第2の遷移後に自動的にロック解除して、解放期間中に四肢に対する帯の有効長を連続的に調節することができる。
【0012】
本発明の第3の態様によれば、四肢における血液循環を促進する携帯装置が提供され、これは、四肢を包囲する1つ以上の帯と、1つ以上のモータと、第1の充填可能要素、および前記第1のエネルギー蓄積要素に保存されたエネルギーを迅速に放出し、このように放出されたエネルギーを用いて前記少なくとも1つの帯の解放状態から収縮状態への第1の急激な遷移を起こさせることができる第1のエネルギー解放機構からなる帯収縮機構と、第2の充填可能要素、および前記第2の充填可能要素に保存されたエネルギーを迅速に解放し、そのように解放されたエネルギーを用いて前記帯の収縮状態から解放状態への第2の遷移を起こさせることができる第2のエネルギー解放機構からなる帯解放機構とを含む。この第1のエネルギー解放機構による第1の充填可能要素によって解放されたエネルギーの一部を用いて、第2の充填可能要素へ充填することができる。第2のエネルギー解放機構による第2の充填可能要素によって解放されたエネルギーの一部を用いて、第1の充填可能用へ充填することができる。第1もしくは第2の充填可能要素は、バネ、または他のエネルギー蓄積要素もしくは装置にすることができる。
【0013】
本発明の第4の態様によれば、四肢を包囲する帯を間欠的に収縮および解放することによって四肢における血液循環を促進する携帯装置が提供され、この装置は、2つの端部を有し、四肢を包囲する少なくとも1つの帯と、モータと、互いに他方のアームの方へ向いている近端部および前記帯の一方の端部へ連結可能な遠端部をそれぞれ有する2つの直線運動可能なアームと、前記2つのアームの急激な内方への移動を互いの方に行なわせ、それによって前記帯の解放状態から収縮状態への第1の遷移を行なわせる帯収縮機構と、前記帯収縮機構に連結され、前記2つのアームの急激な外方への移動を互いに離れるように行なわせ、それによって所定の時間に収縮状態から解放状態への第2の遷移を行なわせる帯解放機構とを含む。この帯収縮機構は、可動アームの近端部間に挿設された帯収縮タイミングディスクと、前記可動アームを互いの方へ内方に押し付けるように配置された2つの付勢バネとを含み、前記ディスクは、2つの凹部により遮断された一定の半径の2つの弧を含む周縁を有する。
【0014】
本発明の第5の態様によれば、四肢を包囲する帯を間欠的に収縮および解放することによって四肢における血液循環を促進する携帯装置が提供され、この装置は、2つの端部を有し四肢を包囲する1つ以上の帯と、1つ以上のモータと、それぞれが他方のアームの方へ向いている近端部および帯の一方の端部へ連結可能な遠端部を有する2つの直線運動可能なアームと、前記可動アームの近端部間に挿設され、2つの凹部によって遮断された一定の半径の2つの弧の周縁を有する帯収縮タイミングディスクと、2つの直線運動可能な帯解放アームと、前記2つの可動解放アームの間に挿設され、漸増する半径がそれぞれが尖頭で終端する2つの弧を含む周縁を有する帯解放タイミングディスクと、第1のコイルバネに連結され、一方の端部が可動アームの一方に係合し、第2の端部が前記帯解放アームのうちの一方に係合する第1の回転可能アーム、および前記第1の回転可能アームを介して前記帯収縮ディスクに対して内方へ押し付けるように配置された第1のコイルバネをそれぞれが含む2つの第1のバネアセンブリと、前記帯解放アームに係合された第2の回転可能アーム、および前記帯解放アームを前記第2の回転可能アームを介して帯解放タイミングディスクに対して内方へ押し付けるように配置された第2のコイルバネとを含み、第2のコイルバネによって第1の回転可能アームに加えられる力は、第1のコイルバネによって前記第1のアームに対して加えられる力より大きい。作動中、収縮タイミングディスクおよび解放タイミングディスクは継続して回転し、両ディスクは、可動アームが帯収縮タイミングディスクの一定の半径の弧に対して摺動すると、解放アームが帯解放タイミングディスクの漸増する半径の弧に対して摺動するように配置され、帯解放タイミングディスクの尖頭部が帯収縮アームが帯収縮タイミングアームの凹部へ入り込んだ後、帯解放アームに対して反対の位置に到達する。帯の両端部は、可動アームの遠端部に回転可能に取り付けられた回転要素によって可動アームに連結することができる。帯は、可動アームのうちの1つの遠端部に取り付けられた帯ローラに収縮するように巻き付けることができ、この帯ローラには収縮機構を設けている。この帯ローラにはさらに、収縮ロック/解除機構が設けられ、可動アームが内方へ移動する前に収縮機構を自動的にロックし、さらに可動アームが外方へ移動した後に前記収縮機構を解除する。この収縮ロック/解除機構は、帯ローラの一方の端部に取り付けたラチェットホイールと、偏向させてこのラチェットホイールに係合させて前記帯ローラの回転を妨げるラッチとを含む。第2のバネアセンブリのうちの一方の回転アームには、実質的に帯解放タイミングディスクが解放アームとは反対の位置に到達すると、前記ラッチおよびラチェットホイールを外すように配置された翼部を設けることができる。本装置はさらに、力調節機構を有し、前記2つの可動アームが内方へ移動すると、四肢に対して加わる圧迫を調節することができる。この力調節機構は、前記第1のコイルバネへ連結した力調節歯車アセンブリを有し、第1のコイルバネに対して負荷して所望のトルクを得ることができる。本装置はさらに、強度調節目盛りを有し、使用者が圧迫を所望の値に調節できる。
【0015】
本発明の第6の態様によれば、四肢における血液循環を促進する携帯装置が提供され、この装置は、少なくとも1つのモータと、2つの平行するローラと、四肢を包囲する2つの部分を含み、それぞれの部分が一方の端部を前記2つのローラのうちの一方へ固定し、第2の自由端部が他方の部分の自由端部へ連結可能にした少なくとも1つの帯と、前記モータにより駆動され、反対の方向にこれら前記ローラを間欠的に回転させて、これらのローラに前記帯を巻き付けたり、巻き戻したりする機構とを含む。本装置はさらに、前記ローラ、モータおよび機構を収容するハウジングを有することができる。さらに本装置は、前記ハウジング内に収容された電源を含むことができる。前記機構は、一方の端部が遊星伝動手段を介して主バネクラッチによってモータへ連結され、第2の端部が主バネ歯車へ固定され、前記モータによって負荷されるように配置された主バネと、前記主バネ歯車の回転運動を前記ローラへ伝え、前記ローラを相対する方向に回転させるよう配置され、クラッチが解除されると前記ローラの回転運動を妨げるように配置された帯収縮機構が設けられた伝動歯車アセンブリと、前記伝導歯車アセンブリにより駆動され、前記主バネが解除されると負荷されるように配置された帯戻しバネと、前記帯収縮クラッチを解除して第1の所定時間において帯のローラへの急激な巻付け行なわせ、主バネクラッチを解除して第2の所定時間に帯の急激な巻戻しを行なわせるように配置されたタイミングアセンブリとを含む。このタイミング機構はさらに、タイミングシャフトと、そのタイミングシャフトに取り付けられ、帯収縮クラッチと係合して前記第1の所定時間にクラッチを解除するように構成された第1のカムと、前記主バネクラッチと係合して第2の所定時間に前記主バネクラッチを係合解除するように構成された第2のカムとを含むことができる。このタイミングシャフトは、第2のモータによって駆動することができる。本装置はさらに、少なくとも1つのモータおよび第2のモータの作動を制御するマイクロ制御装置を含むことができる。また装置はさらに、作動パラメータを読み取る符号器を含むことができる。前記2つの帯部分は、緊締装置によって接合することができる。本装置はさらに、四肢の周囲に装着するスリーブ様の衣料を含むことができ、その場合、前記帯部分はこのスリーブ様の衣料へ緊締される。
【0016】
本発明の第7の態様によれば、四肢に対して周期的圧迫力の遷移を与えることによって四肢における血液の循環を促進する携帯装置が提供され、この周期的遷移は、低圧迫状態から高圧迫状態への第1の遷移と、高圧迫状態から低圧迫状態への第2の遷移とを含み、前記遷移のうちの少なくとも一方は、迅速な遷移である。この迅速遷移は、200ミリ秒未満にすることができる。本装置は、吸引作用を誘起するのに用いることができ、この場合、迅速遷移が前記第2の遷移になる。
【0017】
本発明の第8の態様によれば、吸引作用を誘起して四肢における動脈流を促進する方法を提供するが、これは、四肢に対して圧迫を加えることと、前記四肢に対して加えられた圧迫を迅速に解放することとを含む。
【0018】
本発明は、図面を参照して以下の詳細な説明からより十分に理解および評価される。
【好ましい実施例の詳細な説明】
【0019】
四肢の筋肉の間欠的圧搾を行ない、四肢における血流およびリンパ液流を促進する装置を開示する。本発明は、四肢、とくに下肢に対して周期的圧搾力を加えることによって、深部静脈血栓症(DVT)の予防に役立て、リンパ浮腫を減少させ、糖尿病、ならびに他の動脈不全の症状の発病および合併症をも予防し減じることができる。具体的には、本発明は四肢の血行を促進し、四肢から、とりわけ下肢から心臓へのリンパ液および静脈血液の循環を促進し、DVTの発生、浮腫の形成およびリンパ浮腫の危険を減じ、さらに、運動ができない期間の四肢全体の血流、すなわちうっ血の増加、ならびに糖尿病患者、術後患者などの循環障害の症状を改善することを目的とする携帯自立式機構に関するものである。本発明は、最小のエネルギー入力で最大の出力の装置作動を可能にする、有利なエネルギー上の特性を有する機構およびその作動方法を開示している。本発明の装置および作動方法は、省エネルギー機構を有しそれによってエネルギー出力を高める低エネルギー入力手段の利用によって、具体的には、エネルギー供給源の最適化、すなわち内部機構の省エネルギー特性によって最高のエネルギー効率で作動し、組織特性によって本装置の有利なエネルギープロファイルが高まり、装置のエネルギー条件が減少する。本発明はさらに、多数の目的に、とくに四肢全体の静脈、動脈ならびにリンパ液の流れを促進するのに適したさまざまなエネルギープロファイルで作動することができる。
【0020】
本発明による携帯装置は全体として100で図1に示し、着座している者のふくらはぎへ装着されている。本装置100は裸の四肢に直接装着可能であり、あるいは、この装置の使用者が着用しているズボンなどの衣服の上から装着することもできる。装置100は2つの主要構成部分、すなわちこの装置の作動を請負うすべての機械部品を含むアセンブリボックス2と、上記アセンブリボックスに連結され、人の四肢を包囲する閉ループ(符号50で示す。図2参照)を形成する帯1とを有する。この装置の電源は、充電式もしくは非充電式の低電圧直流電池などの内蔵電源方式を用いてよく、あるいは、3〜12V・1アンペアの変圧器などの交直変換器を介して接続され、電力が電線を通じて本装置のソケット(図示せず)へ供給される外部電力差込口などの外部電源を用いてもよい。図1に示すように、帯1は望ましくは中央部で幅が広く、アセンブリボックス2へ連結する両端部で幅が狭い。しかし、帯1は他のいかなる形状としてもよく、幅が一定のベルトとしてもよい。この帯は、例えば薄いプラスチックや織物など、皮膚を刺激しないいかなる可燃性材料で作ってもよい。帯1は1種類の材料から製造してよく、あるいは2種類以上の材料を組み合わせて製造してもよい。例えば、帯1を非伸縮性材料および伸縮材料の両方で作ってもよい。その場合、帯1の中央に配した、例えばゴム繊維などの伸縮性材料と、伸縮性材料を側面に配しつつ帯の残部を構成するプラスチックなどの非伸縮材料とで構成することができる。このような構成によれば、より均一な伸縮力が帯に与えられ、帯の四肢からの滑落が防止される。図1に示す実施例を、以下、前当て式ボックスの実施例と称する。帯1は筋肉に当接させ、アセンブリボックス2はふくらはぎの骨に当接させている。しかし、本発明の他の実施例のように、アセンブリボックス2を筋肉に当接させてもよく、これを以下、後当て式ボックスの実施例と称する。
【0021】
図2A、図2Bは本発明による装置の2つの可能な実施例を示す。図2Aは本装置の好ましい実施例を示し、これは四肢の筋肉を圧迫して四肢の血流およびリンパ液流の増大を促進する。本実施例は、帯1を締めたり緩めたりして、四肢を包囲するループ50の有効長さを間欠的に縮めることによって機能する。本実施例は、本発明の前当て式ボックスの実施例として用いるのが望ましい。しかし、図2Aに示す装置が後当て式実施例としても使用可能であることは、明らかである。図2Bは本装置の他の実施例を示し、アセンブリボックスに取り付けられた可動板3によって、アセンブリボックス2を能動間欠圧搾部とするものである。この実施例は専ら後当て式ボックスの実施例として用いられ、これについては図6に関連して説明する。
【0022】
図2Aに戻る。アセンブリボックス2は薄く、湾曲したフラスコ様のケーシング25を有し、これは帯1を間欠的に引いたり弛めたりする内部機構のすべての部品を収納する。ケーシング25は、皮膚に刺激を与えず、安価に生産できるプラスチック成形品、軽金属または他の軽量な材料から作るのが好ましいが、これらに限定されるものではない。帯1は2つのバックル4および42によってケーシング25の両側でアセンブリボックス2の両端部に連結されている(バックル42は図示せず)。上記各バックルのうちの少なくとも一方(ここではバックル4)は可動式バックルであり、これはケーシング25からスリット(開口部)61を介して出し入れができ、これによって帯1が収縮位置と解放位置とに変位するよう、締めたり弛めたりすることができる。伸縮運動によって帯1の有効長さを短縮したり伸ばしたりすることができ、それによって四肢に内在する筋肉の間欠圧迫を行ない、内在する血管内の血流およびリンパ液流を増進することができる。以下、帯1の間欠引張の作動を請負う使用可能な内部機構を図3ないし図6に関連して説明する。装置100を作動させる場合、帯1の両端部のうちの少なくとも一方を、対応するバックルを通して自由に動かして帯1を四肢の寸法に調節し、上記端部で帯を引っ張ることによって、前記四肢の周囲に締め付け可能である。上記端部はこうして適切な位置に固定する。ここに示す実施例では、帯は折り返され、その重なっている部分は緊締手段65によって互いに止め合わされている。固定手段65は、Velco(商標)帯、スナップファスナまたは他のいかなる締結もしくは固定手段でもよい。あるいは、上記帯の端部は、ケーシング25および帯1に設けたVelco帯、対向歯型突起部などの固定手段によって、ケーシング25へ固定してもよい。帯1の他方の端部は、結び目もしくはボルトなどの取付け手段により、恒久的な方式で対応するバックルへ接続するか、あるいは上述のものと同様の方式で調節可能としてよい。これにより、両端部とも同時に引いたり固定したりすることができ、良好な調節が実現される。また、本発明の他の実施例によれば、帯は、ケーシング25の一方の側に配置した収縮機構の周囲に巻き付けることも可能である。一方、帯の自由端部にはバックルを設け、上述の手段の1つまたは迅速接合器のいずれかを用いて、ケーシング25の他方の側へ通して接続可能である。外側のケーシングボックス25はまた、オンオフスイッチ6と、帯1によってふくらはぎ筋肉に対して及ぼす力を調節する力調節装置5と、間欠圧迫頻度を加減する加減装置7とを有する。あるいは、力調節装置5およびオンオフスイッチ6を組み合わせて1つのボタンにしてもよい。力の調節は、例えば帯の収縮位置と伸長位置との距離間隔を制御する方法により可能である。この収縮位置と解放位置との離間距離は、望ましくは1〜50ミリメートルであるが、これに限定されるものではない。圧迫頻度の加減は、内部機構の速度を加減する方法によって可能であるが、これに限定されるものではない。本発明を四肢(上肢および下肢)における動脈および静脈の血流およびリンパ液流の促進に用いることができることは、当業者にとっては明らかである。以下に説明する実施例は一例にすぎず、本発明の使用法に制限を課すものではない。
【0023】
図3Aおよび図3Bを参照すると、図2Aの装置用の第1の内部機構の側面図および平面図をそれぞれ示す。参照符号は両図に共通である。この実施例によれば、帯1の一方の端部はアセンブリボックス2へ固定取付け具42を介してボルト、結び目、接着剤その他の手段によって接続されている。第2の端部は可動式バックル4によって接続され、これはケーシング25の側面にあるスリット61を通過している。バックル4は上述のように開口部61を通して収縮および伸長可能である。可動式バックル4は、剛性の押し/引きロッド24へ取り付けることによって、内部機構に接続されている。ここで、可動バックル4の運動を請負うこの内部機構を説明する。低電圧直流電池などのエネルギー源20は、電気エネルギーを、たとえば3〜12Vの、だがこれに限定されない直流モータなどの電動機21へ電線などの電気接続を介して供給する。電動機21は、電気エネルギーを運動エネルギーに変換して、螺旋溝付き(ウォーム)中央シャフト22を回転させる。シャフト22は、螺旋溝を補完する逆螺旋外周溝もしくは歯を有する(減速)ホイール23に連結され、ホイール23の表面に対して垂直でホイール23を中心で固定する軸18を中心にホイール23を回転させる。細長い接合板26は、その一方の端部でホイール23の中心から外れた点53へ回転可能に連結され、接合板26の第2の端部は点54でロッド24へ回転可能に連結され、ホイール23の回転によってアクチュエータ板26を動かし、ロッド24をクランクシャフト形式で押したり引いたりする。したがって、可動バックル4はスリット61を通ってケーシングの内方および外方へ間欠的に引っ張られ、それによってループ50の周部を間欠的に短縮する。
【0024】
図3Cに示す改造型機構は、図3Aおよび図3Bと比べると次のように改変されている。電動機21および回転ウォームシャフト22を電磁モータ21'(伸縮ソレノイド191C、新電元工業株式会社販売)に変えて、このモータは往復中心ロッド22'を有し、ロッド22'はその端部に上方に傾斜したスパイク歯突起部50を備えている。ロッド22'は、突起部50を介して、補完する歯を有するホイール23へ連結されている。往復ロッド22'は、モータ本体からわずかに突出したり引っ込んだりするのに応じて、突起部50は、ロッド22'が突出するとホイール23の連続している歯部にかみ合い、ロッド22'が引っ込むとホイール23を引っ張り、これによってホイール23はその軸を中心として回転する。図3Cのメカニズムは大きな力を出力するが、電力入力は最小になる。このような機構は非常に費用効果が高い。上述の説明によれば、提案する装置の内部機構がいかに作用してループ50を間欠的に短縮し、四肢の筋肉の間欠的圧迫を最高潮にし、静脈血流を増進させ、深部静脈血栓症の発生の予防に役立つかは、明瞭である。
【0025】
図2Aの装置実施例の他の機構実施例を図4A、図4Bおよび図4Cに示す。図4Aは、ケーシング25の前部を取り除いてアセンブリボックス2の内部を示す斜視図である。図4Bおよび図4Cは、図4Aに示す実施例のそれぞれ側面図および平面図である。本実施例によれば、帯1の両端部はアセンブリボックス2の内部機構へ、移動可能な2つの可動式バックル4および24によって連結され、これらのバックルはそれぞれスリット61および61'を通ってケーシング25の内方および外方へ移動可能である。この実施例は次の要素の組合せによるものである。すなわち、その1つは、ケーシング25の一方の側壁に近接し、スリット61に隣接して配置された矩形板33である。板33は、2つの平行な矩形表面、参照符号45および46で示す2つの幅の狭い垂直のエッジ、および2つの幅の狭い水平なエッジを有している。板33は、その幅の狭い水平エッジでケーシング25の天井壁および底壁へ、回動手段39によって回動可能に取り付けられ、回動手段39を連結する垂直軸を中心として回転運動が可能である。他の1つは、中央部が蝶番連結された矩形板33の一方の垂直エッジ(45)のほぼ中央点に、往復中心ロッド32を介して連結された伸縮電磁モータ31(新電元工業株式会社販売の引き管状ソレノイド190など)である。さらにひとつは、ケーシング25の全長にわたる長手ロッド35である。上記長手ロッド35は、一方の端部が板33の反対側の垂直エッジ(46)へ連結され、第2の端部がケーシング25の他方の側に位置する可動バックル34へ連結されている。中央部が蝶番連結された矩形板33はこのように、一方の側で中心ロッド32を介して電磁モータ31へ連結され、また他方の側で長手ロッド35に連結されている(図4Cに最も明確に示す)。可動バックル4も板33の幅の狭いエッジ45へ連結されているが、スリット61を通して、ロッド32および35とは反対方向の外側へも延びている。
【0026】
図4Cに最も明確に示すように、ロッド32の往復運動によって板33はその中心軸を中心として前後に回転し、その回転角度の変位は20度ないし60度の範囲とするのが望ましい。したがって、バックル4(板33に直接連結)およびバックル34(連結ロッド35介して連結)は、同期してケーシング25の内方へ引かれたり、外方へ押し出されたりし、四肢を包囲するループを間欠的に短縮させる。この実施例の有利な点は、長手ロッド35によって両方のバックル34および4が互いに同時に接近可能となり、これによって、(電磁モータ31の往復変位を推進することによる)装置の効率が高まり、必要なエネルギーが少なくてすむことである。
【0027】
図5Aおよび図5Bは、図2Aの装置の実施例用のさらに他の機構を示す。図5Aの実施例も伸縮式電磁モータを駆動力として用いているが、図4に示す実施例の中央からずれているロッド32に「L」形レバーバー40を追加することによって、力を強化している。本実施例によれば、帯1の一方のエッジはバックル42へ固定されているが、第2の端部は可動バックル4へ連結され、このバックル4は側面スリット61を通じてケーシング25を横断している。この可動バックル4は、図4について説明したのと同様な方法で、中心がヒンジ連結された矩形板33へ連結されている。本実施例によれば、電磁モータ32はその後端部が回動手段99によって基部へ回動可能に取り付けられている。「L」形レバーバー40は、その長い方のアーム端部で往復ロッド32へ回動手段39によって回動可能に取り付けられ、その短い方のアーム端部で板33の幅の狭いエッジ46へ取付け手段42によって取り付けられ、その際、レバーバーが前記エッジを上下にスライドさせるようにする。このような取付け手段は、例えば、レバー40の短い方のアームのエッジに沿って刻んだ溝と、板33の幅の狭いエッジ46から突出し溝に適合するレールとで構成されるレール手段によって実現できる。「L」形バー40の直角の角部は、そのバー表面に垂直な軸41によって、ケーシング25に回動可能に取り付けられている。図5Aは「解放」モード(すなわち、バックル4が突出した位置にある)を示す、図5Bは「収縮」モード(バックルが引き戻された位置にある)を示す。ここで、本実施例の動作を理解するために、「解放」モードの状態説明とそれに続いて「収縮」モードの説明を行なう。図5Aの「解放」モードは、電磁モータ32がケーシング25の基部に対して垂直の姿勢にあり、「L」形レバー41が往復ロッド32に対して垂直な位置にあることを示す。
【0028】
「収縮」モードは図5Bに示す。往復ロッド32が電磁モータ31の中へ引っ込むと「L」形が軸41を中心に回転し、連結部69は電磁モータ31および矩形板33の方向へ移動する。この回転は、電磁モータ31のピボットアタッチメント99および「L」形レバーバー40のピボットアタッチメント41によって可能になっている。「L」形レバーバー41の他方の端部は、矩形板33のエッジ46上で上方へ摺動すると同時に、板33を押してそれを反時計回りに回転させ、エッジ45、およびこれに伴うバックル4をケーシング25の中深くに引き込む。往復ロッド32がその往復運動をすると、「L」形バー41がその「解放」の垂直位置(図5A)へ戻り、その結果、エッジ45はバックル4と共に外方へ押し出される。このように、これらの一連の事象により、四肢を包囲するループ(50)の効率的な間欠短縮および内在筋肉の間欠圧迫となり、血流が促進される。
【0029】
図6は本発明のさらに他の実施例を示す。これは非対称の収縮−解放サイクルを可能にする手段、とりわけ、迅速な収縮に続いて、より長時間の解放を可能にする手段を有する。このようなサイクルパターンは、血流およびリンパ液流の促進に最も有益な効果を有することが分かっている。本実施例によれば、帯1の間欠引張りおよび解放を請負う機構の構成部品は、ウォームシャフト122を有するモータ121と、ホイール124および126を有しシャフト122へ連結された減速装置と、周囲形状が変則的でホイール126に同心状に装着されたディスク128とからなる。2重歯ディスク128は、曲率半径が変動する2つの同じ半体で形成され、それぞれの半体は、一方の端部になだらかな傾斜を有し、第2の端部に半径が最大から最小に急激に変化する尖端部129を有し、2つの端部間では曲率半径はほぼ一定である。モータおよびホイールを含むこの機構の構成部品は、ケーシング25の中央の仕切り部屋に収容されている。両側の仕切り部屋110および140は、横方向に移動可能な帯コネクタ105および145をそれぞれ収容している。仕切り部屋110および140には側面スリット114および141が設けられ、これらを通じて帯1が滑り込み、あるいは滑りだすことが可能である。ここに示す実施例によれば、帯1はケーシング25の一方の側(仕切り部屋110)において引込み可能に取り付けられ、帯1の自由端部には迅速雄コネクタを有し、コネクタは、これを補完する仕切り部屋140内の雌コネクタへ連結される。この帯連結装置によって、帯を四肢の寸法に合うように迅速、簡単に調節可能であり、筋肉に主圧を及ぼすことができる。したがって、コネクタ105は垂直ロッド102を含み、これは2つの水平の梁116と117との間で回転可能に取り付けられ、ロッド102はその軸を中心として回転し、帯1の巻き取りもしくは巻き戻しを行なう。帯1は、一方の端部でロッド102へ取り付けられ、このロッドに巻き付けられる。ロッド102は帯1用のスプールとして機能し、引込み機構(図示せず)を有する。引込み機構は、公知のいかなるバネ負荷引込み機構もしくは他のいかなる引込み機構としてもよく、例えば、シートベルト、計測用テープその他に使用されているものにしてよい。例えば、引込み機構は、一方の端部をロッド102へ取り付けた螺旋状リーフスプリングを含んでよく、帯1が引かれた時にそのロッドにトルクを与え、帯1の自由端部が解放されると帯が巻き戻るようにしてよい。ロッド102の上端部は、頭部115とバネ118上に取り付けた大径のキャップ116とで終端している。キャップ116の内面は頭部115の外面に嵌り、キャップ115が下方へ押し下げられると頭部115が固定され、ロッド102の自由な回転が防止され、したがって、帯1の巻取りおよび巻出しが防止される。帯1の第2の自由端部はバックル11で終端し、これはコネクタ145を補完する受入れ用凹部142へ嵌り、ケーシング25の第2の側へ迅速に連結可能となっている。ここに示す実施例では、バックル111は矢形をなし、コネクタはこれを補完する矢形凹部142を有し、これには、バネ146に取り付けられた傾斜突起部144が設けられている。バックル11(図6の右側に説明の便宜上、重複して示したもの)が凹部142の方へ押されると、突起部144は横に押し除けられた後、バックル11の矢頭の裏へ落ち、バックルを固定する。
【0030】
この装置にはさらに、オンオフスイッチ130が設けられ、これは、ボタンヘッド132、導電材料で作られた電気コネクタ134、および底部突起部136を有する。スイッチ130がヘッド132によって左方へ押されると、コネクタ134が電気回路(破線で示す)を閉成し、装置を作動状態にする。同時に、突起部136がキャップ116を下方へ押し下げ、ヘッド115を固定し、ロッド102がその軸を中心として回転するのを防止し、帯1の使用可能長を固定する。ボタン132にはさらに、頻度加減用の力調整器を設けてもよい。可動コネクタ105および145は、開口部103を通って中央仕切り部屋120の中へ伸びディスク128の周囲に接触している水平ロッド106によって本機構の構成部分へ連結されている。水平ロッド106は軸受109で終端し、この軸受により、ディスク128がその軸を中心に回転すると、ディスクに沿ってロッドが円滑に摺動する。したがって、2つのロッド106は、ディスク128の外形をなぞって変化し、その結果、四肢を包囲するループの周部もディスク128の外形をなぞって周期的に変化することとなる。軸受109とディスク128との接触を一定に保ち、帯の解放位置と収縮位置と間で急速に変位させるために、ロッド106は各壁105の間に配置された偏向バネ108に取り付けられ、ロッドの軸に対して垂直な板107を設けてバネ108に対して押し付けている。こうしてバネ108は、コネクタ105および145を互いに内側の方向に付勢する。ディスク128がその軸を中心に回転すると、ディスク128の半径が変化するのに従って、バネ108は板107によって圧搾される。ディスク128の両方の尖頭部129が同時に軸受109に対面する点へ回転した時、ロッド106は瞬間的にディスク128との接触を失い、バネ105内に蓄積された一エネルギーが解放されて、ロッド106を内側へ押す。このように帯1は両方のロッド106によって突然内方へ押され、四肢の筋肉が強く圧搾されることになる。四肢を包囲する帯の収縮状態と解放状態との間の間隔は、尖頭129における半径の変化に直接比例し、したがって、筋肉に作用する圧搾力もこれに直接比例することは、明らかである。この突然の帯の収縮に次いで、ロッドが徐々に外方へ押し出されて帯の解放モードになるが、これは実質的には半回で終る。したがって、ディスク128がその軸を中心として1回転すると、短時間の帯の収縮が2回、生じる。典型的には、解放から接触位置への変位は約0.5秒かかり、収縮から解放位置への変位は約5秒かかり、解放位置は約50秒間維持される。しかし、ディスク128の周囲形状は、いかなる所望の収縮−解放サイクルのパターンでも得られるように容易に形成可能である。例えば、2つよりもむしろ4つの尖頭を有する他のディスク128の形を用いることによって、各サイクルを半分に短縮し、各サイクルの出力を変化させることが可能である。さらに、変化する半径を有するディスク128によれば、エネルギーの面で効率的であり、安定して形成されたエネルギーを各サイクル中にバネ108に保存し、各サイクルの最後に短時間バーストの高エネルギー出力で放出することが可能なことは、容易に理解できる。作動中、モータ121の作動用の電源20によって、低エネルギーの出力が継続的に行なわれる。モータ121によって継続的な低エネルギー入力が供給されて、ディスク128をウォームシャフト、ならびにシャフト122へ連結された減速ギアホイール124および126を介して回転させる。バネ108へ押しロッド106を介して連結されたディスク128の回転によって、軸受109がディスク128の外周を横断するにつれ、安定したバネの圧搾を生じる。軸受109が尖頭129に到達するまで、エネルギーがバネ108に継続的に蓄積され、尖頭129がディスク128の最大径から最小径へ落ちると、押しロッドがディスク128の中心へ向かって迅速に摺動することができ、ベルト1を圧搾しているバネ108の蓄積エネルギーが放出される。このような作動がエネルギー的に効率的であることは、当業者に容易に理解されるところである。さらに、本発明で用いるモータ10を一定の電力で作動させることは、不利である。これは、バネ108を圧搾するのに必要な力が圧搾中に増大することによる。本装置のエネルギー効率をさらに高めるために、モータへ印加する電圧を制御してモータ出力を調整し系の条件の変化に対応する電気制御装置を本装置に設け、それによってモータの効率を最適化することができる。この制御装置は、サイクル行程中のシステム条件を知って事前にプログラムすることができ、またはモータ自体によって、もしくはシステムの他の構成部分によって供給されるフィードバックに従って作動することができる。
【0031】
図13Aは本発明のエネルギーのモデル、具体的にはバネのエネルギー量のグラフを示す。これ以降および図13Aないし13Cに記載のエネルギーモデルは、図6の本発明の周期的作動中の図6のバネ108ばかりでなく、本発明の内部機構を示す他の図のもののエネルギー量の変化を示す絵図面である。以下に説明する関連部分は、図6に示す本発明の部分と同じである。図13Aは、本発明の周期的作動中の時間対バネ108のエネルギー量を示すグラフである。横軸340は時間の直線的流れを秒などで示している。他の尺度としてはミリ秒、分その他を用いてもよい。縦軸342はジュール単位のエネルギー量を示している。縦軸342を仕事量、圧力、バネ長などのエネルギー積を示す他の要素を示してもよい。横軸340と縦軸342は点344で交わるが、点344は、バネ108のエネルギー量が零の時の任意点であり、この時点は、本発明の1作動周期サイクルの時間として任意に表される。この点はさらに、本発明によるエネルギー流が、以後さらに説明するように、本発明の内部作動を介して蓄積し始めた時も表している。
【0032】
ここで、バネ108のエネルギー量を、図6を参照して本発明の作動説明の一部に関連して説明する。点344において、ロッド106およびそれらの対応する軸受109が尖頭129の基部に密接に近接して配置されている。この点において、バネ108は引張りが上記バネに対して発生していない解放状態にあり、さらに上記バネの長さがエネルギー零の状態でバネの自然長になっている。モータ121が運動を始めると、一定の低エネルギーが生成される。このエネルギーは継続的に、ウォームシャフト122ならびにホイール124および126を有する減速歯車を介して非一定半径のディスク128へ伝達される。ディスク128はその軸を中心として一定の速度で回転し、この速度は、モータ121の速度出力によって決まり、さらにウォームシャフト122の形および寸法、ならびに減速歯車124および126によっても決まる。ディスク128が回転し始めると、ディスク128表面に常時接触するようにそれらの軸受で設置された水平ロッドは、ディスク128の周囲に沿って摺動し始める。ディスク128は非一定の半径を有し、各尖頭基部で最小の直径となり、各尖頭頂点で最大の直径になる。水平ロッド106はディスク128に沿って最小直径から最大直径へ摺動する。このような合理的なディスク128の動きによって、上記水平ロッド106に直線運動が与えられ、ディスク128の直径が大きくなるに従って側部仕切り110および140の方へ押し出される。ロッド106は、上記運動中にこれらのロッドに対して水平の板107を介してバネ108を押す。バネ108が縮小するに従って、運動エネルギーがバネの位置エネルギーに換わる。この増大するバネの位置エネルギーの過程を線348として図13Aに示す。バネの位置エネルギー348は、ロッド106が直線的に側部仕切り110および140の方向に移動するに従って、累積される。ロッド106がディスク128の大径の尖頭129の頂点に到達すると、バネ108はその最大の圧搾を受け、最小の長さになる。この時点362において、そこに蓄積された位置エネルギーは最大にとなるが、これを図13Aの点350によって示す。図12Aの時間間隔として示す点346から点350までの距離、もしくはバネの完全解放状態からバネ108完全収縮状態までの時間の長さは、典型的には5秒かかるが、本発明を最適に機能させるために、0.5〜5秒の範囲にすることができる。本発明の作動のこの時点において、ロッド106は、ディスク128の周囲との接触を瞬間的に失い、尖頭129の頂点から尖頭129の基部へ、ディスク128の中心の方へ俊敏に動く。ロッド106のバネ108から離れる迅速な動きによって、バネ108に対する板107の圧搾が解放される。バネ108はそこで、その位置エネルギーを迅速に放出させながら、それぞれの自然の解放状態に迅速に戻る。バネ108の俊敏なエネルギーの解放352を図13Aに線352で示す。このバネの位置エネルギーは、バネ108を伸張させながら放出される。これが帯1をディスク128の中央部の方へ引くのに利用される迅速な仕事を発生し、本発明が取り付けられている四肢に対して帯1の締付け力を付勢する。この俊敏なエネルギーの放出時間358の長さは、典型的に0.2であるが、本発明を最適に機能させるために、0.05ないし0.5秒の範囲にすることができる。ディスク128はその軸を中心に連続して回転し続け、それによってバネの収縮−解放の次のサイクルが始まる。これを他のエネルギーパターン360によって示す。当業者に明らかなように、図13Aに示すエネルギーパターンは、ディスク128の直径を変え、ディスク128の回転速度を変えることによって、またロッド106の各サイクル中の運動の速度および回転率に対して影響を及ぼすことが可能な内部機構に他の要素を追加することによって、変えることができる。
【0033】
図13Bは、以前、図13Aに示したエネルギー量のグラフにディスク128の速度変化の作用を例示したものであり、同じ番号は同様の部分を示す。図13Aに記載のバネ108のエネルギー量のグラフは、図12Bに示すが、バネのエネルギー量ゼロから最大までの時間間隔は間隔372で示し、バネ108のピークエネルギー量は点350で示す。ディスク128の回転速度が、図13Aで説明しグラフAで示すディスク速度の2倍まで増すと、新たなバネエネルギー量のグラフBを生ずる。この場合、バネの位置エネルギー348は、図13Aに記載した速度の2倍で蓄積され、線364で示す。バネ108の最大エネルギー量384にも高速で達する。完全解放から完全収縮までの新たな時間間隔を示す時間間隔374もまた、半分まで短縮し、かくして時間間隔374は時間間隔356の半分になる。したがって、異なる作動モードにおいて、またはディスク128を高速で回転可能に改変した内部機構(図示せず)を有する同じ装置において、エネルギーがバネ108内に蓄積され、それによって本発明の作動の迅速な繰返しを可能にしている。俊敏なエネルギーの放出時間378は、俊敏なエネルギー放出時間358と同じである。それは、バネ108が変化せず、俊敏な放出時間358および378が内部バネ特性の関数になるからである。さまざまなバネ定数(K)を有するさまざまなバネを用いることができ、バネ108の放出時間を調整する内部機構によって俊敏なエネルギー放出時間358および378を修正し、さらにバネのエネルギー量グラフを修正できることは、当業者には明らかである。また、ディスク128を低速で回転させることによって類似であるが同じではないエネルギー量グラフ(図示せず)を生成できることは、当業者に明らかである。
【0034】
図13Cは、さらに他のバネエネルギー量のグラフを示す。グラフAは図13Bのグラフと似ている。2つのバネエネルギー量のグラフを示す。すなわち、図13Aのバネエネルギー量のグラフAと同じであり図6に示す内部機構に関連したバネエネルギー量と、ここに言葉で説明する本発明の更なる他の内部機構の特性を示す新規のバネエネルギー量のグラフCである。バネエネルギー量のグラフCは、線388上の点390で始まっている。この点で、バネ108は完全には解放されておらず、各作動サイクルの開始時のそれらのエネルギー量は、零でない。これは、ストッパ(図6に示さず)などの機械的要素もしくは他の要素によって、バネ108が完全な解放状態まで伸びないようにすることを意味している。バネの位置エネルギーの蓄積392を図13Cに、点390で始まり点394で終端する非直線で示す。この非直線392は、ディスク(図6に示さず)の非線形の直径変化を表わしている。このような非線形直径のディスクによって本装置の作動モードを変えて、装置を用いる者それぞれの個々の必要性に合わせることができる。本発明の内部機構内の他の要素もまた、弾性材料で作られたロッド106を有しバネ等が介挿された2つのロッド106を有するようなバネ位置エネルギー蓄積392に寄与することができる。両バネのピークバネエネルギーの図から明らかなように、俊敏なエネルギー放出396は、同じ内部定数のバネを示す俊敏なエネルギー放出352と傾斜が類似している。しかし、俊敏なエネルギーの放出396は、点398で終っているが、この点において、バネ106内に蓄積されたすべての位置エネルギーが仕事として放出されわけではない。これは、本発明の内部機構を有するがそのような結果を達成する公知のストッパ(図示せず)もしくは他の要素(本発明の他の実施例に示すように)を設けることで、達成される。当業者に明らかなように、バネの機能の一部だけをバネエネルギー量のグラフCで達成して、上記グラフCのバネの容量の何分の一かで伸縮させる。このような設計は本発明の或る種の作動モードには有利である。
【0035】
図13Aないし図13Cは、異なるエネルギー量のグラフを示し、これは実際に、図2Aの帯1の異なる伸長および解放時ならびに強度を示し、本発明を適用する目的を達成して、本発明を使用する者の四肢における血流およびリンパ液流を促す。各状況によって、上記別な内部機構の改変を用いることによって達成される最良の結果について異なる動作モードが必要である。たとえば、関連する循環障害を罹病している糖尿病患者には、図1Aの帯1の急速な解放が最良の循環パターンの達成に有利である。これは、図6のディスク128を使用して直径を小さくし解放時間を減少させることによって、達成される。これはまた、図6の異なるバネ108にまた、急速に収縮可能な特性を持たせることによっても、達成できる。帯1のこの比較的急速な解放によって、組織内に真空様の効果が生じ、これは上記患者の血流の促進に適している。明らかに、本発明を用いる者の管内の圧力勾配および流量は、同じ目的に使用する間欠的圧搾空気収縮(IPC)装置で発生するものとは、使用する機構および材料が異なるために、異なっている。同じく当業者に明らかなように、伸張および解放パターンならびに上述の材料およびパラメータ変化から生ずるエネルギーパターンの変化パラメータは、比較的容易に達成され、実現される。
【0036】
本装置はまた、本発明の使用者の人体組織(脚組織)もコイルバネとして使用する。本発明の使用者の人体組織の急速は圧搾中、ある位置エネルギーが組織の張力要素に蓄積される。解放期間が到来すると、この運動エネルギーは、解放された組織を解して開放された帯1へ伝達され、これによって図6のモータ121の作動を間接的に補助する。これによって、小型で出力の小さいモータを使用して、同じ結果を達成することができる。上述の各例では、本発明は、血流およびリンパ液流の促進の目的にとって非常に効率的な装置でもあることが分かる。
【0037】
さらに、モータを定出力で作動させると、本発明で使用する際に有利である。これは、バネを圧縮中、圧縮に必要な力が上昇するからである。本装置のエネルギー効率をさらに高めるためには、本装置に電気制御装置を設け、モータへの印加電圧を制御して、モータ出力を調整し、系の変動条件に適合させて、モータ効率を最適にしてもよい。制御装置は、サイクル過程中のシステム条件を知って前もってプログラムしてもよく、またはモータ自体によって、もしくはシステムの他の要素によって与えられるフィードバックに応じて作動することができる。
【0038】
本発明の異なる実施例を図2Bに示し、これは、ボックスアセンブリ2が能動間欠圧縮部となるものである。この実施例によれば、アセンブリボックス2はさらに、圧縮板32を有し、これは、ケーシング25と実質的に平行で、その表面から所定の距離にある。この実施例によれば、アセンブリ2は、より具体的には、前記圧縮晩3が筋肉に対して押され、間欠的にケーシング25から伸びたり後退したりして、ふくらはぎ筋肉の完結的圧迫を行なう。この実施例によれば、帯1は、スリットを有する2つの固定したラッチによってケーシング2に連結され、帯1の少なくとも一端は、ラッチ68の1つに通されて、2つに折り曲げられ、図2Bについて記載のように、快適な装着を行なえる。図2Bにおけるのと同様の方法で、オンオフスイッチ6、電源調整器5および速度調整器7が装置の上部に配置されている。
【0039】
図2Bの装置実施例による機構実施例の上面図を図7に示す。電源20は電気モータ10に給電し、これは中心に位置するシャフト11を有する。上記中心シャフト11は減速歯車12に連結され、これはロッド11の回動速度を減じて動力出力を増す。減速歯車12は中心ロッド13を有し、これは、偏心配置されたロッド15を有するドラム14に接続されている。偏心ロッド15は、伝導L字型バー16の長いほうのアームに垂直に連結され、ここで、上記L字型バー16の短い方のアームは、圧縮板3に接続手段17により連結されている。連結手段17は、たとえばボルト、ネジ、ピンなどでよい。電気モータ10は、電気エネルギーを中心ロッド11の回動に蓄積される運動エネルギーに変換する。上記中心ロッド11の回動に蓄積された運動エネルギーは、上記減速歯車12によって動力に変換される。上記減速歯車12に連結された上記中心ロッド13に蓄積された動力は、上記偏心ロッド15を有する上記ドラム14の回転に変換される。上記偏心ロッド15の円運動は、上記伝動ロッド16および連結手段17によって上記圧縮板3の伸縮に変換される。この装置によれば、偏心ロッド15の円運動は、板3の周期的運動に転換される。板3の上記周期的運動は、伸縮方向における第1の周期的運動(すなわち板3とケーシング25の間の距離の増減)と上記第1の周期的運動に垂直な第2の周期的運動との組合せである。かくして、板3の伸縮運動によって四肢に間欠的な圧迫を加える明瞭な効果に加えて、本実施例は、「メッセージ的な」効果も与える。当業者に明瞭となるように、図3〜図7に記載の各実施例は単なる例にすぎず、特定の実施例について別に記載の様々な特徴を本発明の装置の構成に組み合わせることができる。たとえば、図6に示すような退行帯の特徴を、これまでに説明した、および以下に説明する他の実施例のいずれとも組み合わせることができる。ほぼ同じく、図6のディスク128のような非対称要素を他の実施例のいずれかに追加して、特定のパターンの伸縮サイクルを可能とする。
【0040】
さて、図8を参照すると、本発明の更なる実施例で高度な収縮−解放内部機構を有するものが示されている。これは、逆推進機構を提供するものである。とくに、本実施例は、解放状態から収縮状態へ、および収縮状態から解放状態への高速遷移を実現する。収縮状態から解放状態への高速遷移は、血管の急激な拡張を誘起するが、ある種の循環不良、たとえば糖尿病、充血性心臓病等にはとくに効果的である。さらに本実施例は、電力消費の点で非常に効率的であるが、これは、比較的低い出力モータを利用して位置エネルギーをバネに蓄え、高速の高出力遷移を可能としているためである。
【0041】
図8Aおよび図8Bは、全体を800で示す、それぞれ逆推進装置の後面図および前面図である。装置800は、水筒状のケーシング801であり、これは、形状が図2Aのケーシング25に類似し、前面カバー802および後面カバー803を有する。装置800は、さまざまな形状のケーシングに収容することができる。ボックスの内部に収容された帯ローラ822の周囲に帯805が巻付け可能に収容され(図8Cでよく見える)、この帯は帯フック804で終端し、開口807を通して引っ張ると、回転バックル806に係合する。このバックルは、開口808から突出し、帯は、使用者の四肢(図示せず)を囲むことになる。帯ローラ解除ラッチ825が前面カバー802から伸び、これによって使用者は、しよう前に帯びを引いて装置を四肢に装着したり、装置を使用後、外したりする。使用中は、解放状態から収縮状態に遷移する前に、ローラ帯825を自動的にロックし、収縮状態から解放状態に遷移した後、自動的にロックを解除するが、これについて以下に説明する。バネ力調節ホイール891が力調節機構890に連結され、これによって、操作前に四肢に加わる力を使用者の必要に応じて調節することができる。力の値は、力の目盛894上にポインタ892で透明窓810を通して指示される。ケーシング801の上部には、帯ローラカバー822a、電池カバー815a、オンオフスイッチ809およびバッテリ電力低下を表示するLED表示器811も示されている。
【0042】
装置800の内部要素の全体像が図8Cないし図8Fに様々な斜視図で与えられている。図8Aから図8Hを通して、同じ数字は同様の要素を示す。
【0043】
装置800はモータ812によって駆動され、モータは、電池室815に収容されている電池によってオンオフスイッチ809を通して給電される。好ましくは、モータ812は、1.2〜1.5 Vの1個以上のAA電池によって給電される小型軽量モータである。モータウォームシャフト813の回転運動は、第1および第2の減速歯車814および816を有する伝動機構によって、840で全体を示す逆推進アセンブリの歯車842へ、歯車816のウォーム歯車817を介して(図8Eでよく見える)伝達される。逆推進機構840は、直状アーム850を間欠的に前後に引くことによって帯び805の伸縮サイクルを行ない、これによってバックル806および帯ローラアーム830をそれぞれ軸806aおよび835を中心に回動させ、アーム850が内方に引かれると帯805の張力を増し、アームが外方に引かれると張力を緩める。装置800の内部要素は、帯ローラアセンブリ820および力調節アセンブリ890も含んでいる。簡単のために、以下の説明は、ローラ帯アセンブリ820、逆推進機構アセンブリ840および力調節アセンブリ890の別々な説明に分ける。しかし、この分割は技術的なものであり、異なったアセンブリを互いに組み合わせて共通の要素を共有することを理解すべきである。ローラアセンブリ820は、帯ローラアーム830に装着された帯ローラ822とローラロック/解除ラッチ825とを有する。帯ロール822は中心軸835を有し、これは、ローラアーム830の2枚の水平板832aおよび832bの間に装着され、それらから伸びている。軸835の一方の端部は螺旋巻きバネ824に連結され、帯805に引込み力を与えている。帯805の引込み力を選択して、一定の低圧を解放期間中、四肢に与えるようにする。この低圧は、「予張力」と称するが、好ましくは、5〜15 mmHgの範囲にある。軸835の他方の端部には、これに固定的に装着されたラチェットホイール826が設けられている。ロック/解除ラッチ825は、バネ825aによってラチェットホイール826の方へ付勢され、ラチェットホイール826と係合して、係合中、図8Eで最もよく見えるように軸835の自由な回転を防ぎ、したがってバネ824を消勢して帯805がローラ822の周囲に巻かれたりまき戻されたりしないように構成されている。こうして、ラッチ825およびラチェット826が係合すると、帯805の有効全長は一定に維持される。ローラアーム830はさらに、固定ロッド825を有し、これは、板830aおよび830bの外角の間に伸び、それらの周りを帯805が通過する。ローラアーム830は軸835を中心に回転可能に装着され、直状アーム850にヒンジ851によって回動可能に連結され、ヒンジはアーム850の遠端に設けられている(図8Fでよく見える)。ローラアーム835をアーム850によって内方に引くと、アーム830が軸835を中心に時計方向(CW)に回転し、ロッド828を前面カバー802の方へ四肢から離れるように動かすことが分かる。また、ロッド806bは、軸806aを中心に回転可能に装着されヒンジ851によって対応するアーム850に連結された回転バックル806が内方に引かれると、同様の(しかし鏡像関係で)動きをすることも分かる。こうして、アーム850を内方に引くことで、帯の張力が増すことになる。このとき、ラッチ825および826を係合させて帯の利用可能長を一定に維持すると、帯の張力を解放することができず、帯の有効長が短くなる。ローラアーム830およびバックル830の緩い帯状態と収縮帯状態の間の変位は、図8C(緩い状態)と図8D(収縮状態)を比較することで、よく理解できる。帯ローラアセンブリ820は、逆推進機構840に直状アーム950のみならずウイング888によっても連結され、ウイングは、後述のように解放状態でラッチ825をラチェットホイール826から離脱させて、帯825を使用者の四肢に継続的に調節することができる。この帯の継続的調節によって、帯の再調節のために作動を停止させる必要なく長時間、本装置を連続作動させることができる。
【0044】
さて、図8Gに移って、逆推進機構アセンブリ840は、上述のようにモータ812によって歯車842で継続的に駆動され、歯車842はウオーム歯車817と係合している。アセンブリ842は、2本の収縮アーム850の間に介挿された歯車842に同心的に装着された帯収縮タイミングディスク845、および2本の解放アーム860の間に介挿された歯車862に固定的に装着されたS字型ディスク865を含む。歯車842および846は互いに係合し、ディスク845および865を反対方向に回転させる。ディスク845周縁は2つの弧843からなり、これは一定の半径を有し、小さい半径の対抗する2つの凹部844で切り欠かれている。S字型ディスク865は、半径が増大し尖頭で終端する2つの弧を有する形状であり、この尖頭で半径が最大から最小に急激に変化する。アセンブリ840はさらに、バネアセンブリ、収縮バネアセンブリ870および解放バネアセンブリ880を2組有する。収縮バネアセンブリ870は、これに装着されたバネ872および回転タイミングアーム874を含み、これは、遠端874aおよび近端874bを有する。解放バネアセンブリ880は、これに装着されたバネ882および回転可能アーム964を有する。ローラアセンブリ820に近いバネアセンブリ880にはさらに、ウイング888が設けられて、解放期間中、ラッチ825を押してラチェットホイール826から離し、軸835との係合を解除する。これらのバネおよびアームは、バネアセンブリのアームの図8Gの左側の時計方向の回転およびアームの図8Gの右側の反時計方向の回転で対応のバネを付勢するように構成されている。収縮アーム850はそれぞれ、収縮バネアセンブリ870のタイミングアーム874の近端874bを受け入れる開口852を有し、それぞれ内方端に軸受854が設けられ、各アームがディスク845の周縁に沿って摺動することができる。容易に分かるように、アーム850がディスク845の弧843に接している限り、帯は解放位置にあり、またアームが凹部844内に移動する際は、帯が収縮位置にある。解放アーム860はそれぞれ、解放バネアセンブリ880の回転アーム884を受け入れる後開口866、および収縮バネアセンブリ870のタイミングアーム874の遠端を受け入れる広い中央開口867を有して、タイミングアーム874が解放アーム860と収縮アーム850の間に連結するようにする。アーム860の内方端には軸受868が設けられ、ディスク865の周縁に沿って摺動することができる。帯収縮バネ872は付勢され、アーム850をアーム874を介して収縮タイミングディスク845の方へ押す。解放バネ882は付勢され、解放アーム860をアーム884を介して内方へ押し、軸受868がS字型ディスク865に対して定常的に押圧され、ディスク外形に追従するようにする。バネ872および882を選択して、バネ882のトルクが常時、バネ872のそれより高く、作動の全段階でアーム850にバネ882によって加わる(アーム884および874を経由して)力がそのアームにバネ872によって加わる対抗力に打ち勝つようにする。各バネ間のこの力関係は、ディスク845および865の間の位置関係と組み合わせて、これらがその中心に対して回転するにつれ、アーム850を急速に引き出すことができる。これについて、以下にさらに詳細に説明する。
【0045】
ここで本実施例の作動説明に移ると、当業者に容易に分かるであろうが、本発明の両側が一体的に作動し、したがって見るべきである。やはり分かるように、以下の説明は順次的であるが、これから説明する作動のいくつかは同時に発生し、簡潔の目的で断片的に説明するにすぎない。
【0046】
作動中、歯車ディスク845および865は、それぞれ反時計方向および時計方向に連続して回転し、これを各矢印で示す。ディスク845および865がそれぞれその中心に対して回転すると、解放アーム960がS字型ディスク865の周縁に追従し、これとともに収縮アーム850がディスク845の周縁に追従する。ディスク845および865は、アーム860がディスク865の増大する半径の弧884を追従する際、アーム850がディスク845の定半径弧843と接触するように構成されている。こうして、凹部844がアーム850の方に向かない限り、アーム850はディスク845に対して摺動し、帯が解放状態にあるとともに、同じタイミングアーム860がディスク865の半径の増大により外方にバネ882に対して押されてバネ882を付勢し、同時にアーム870の遠端874aを解放して開口867内で自由に動く。解放期間中はまた、左アーム880のウイング825がラッチ825を押してラチェットホイール826から離し、ローラ822の自由回転を可能にする。こうして、解放期間中の帯805における唯一の圧力は、収縮バネ824の低い力によるものであり、帯の利用可能長は、四肢の周縁の変化に応じて調節される。しかし、アーム860が外方に押されると、左アーム880のウイング888は、ラチェット825と接しつつもこれから離れる方に内方に回転する。ウイング888は、凹部884がアーム850に対向する位置に達する直前にラッチ810とわずかに接触するように構成され、これによってラッチ825がラチェットホイール826に係合して帯805の利用可能長を一定に維持する。凹部844がアーム850との対向位置に達すると、アームは、バネ872によりアーム870を介して加わる力によって急激に凹部に落ち込む。こうして、バックル806およびローラアーム830の急激な回転が生じ、その結果、帯805の有効長が急速に収縮し、四肢の急激な圧搾が生ずる。この点で、ディスク865は、アーム860がディスク尖頭に非常に接近し、しかし到達はせず、バネ882が最大値近くに付勢去れるような位置にある。各ディスクがその中心に対して回転を続けると、アーム860がディスク865の尖頭を越えて摺動し、バネ882で加わる力により内方に落ちる。同時に、アーム850は、凹部844から外方に急激な力によって急激に引かれ、この力は、アーム870の遠端874aに内方から加わり、これは、近端874bにバネ872によって加わる反体力に打ち勝ち、帯の解放が生ずる。こうして、タイミングアーム874によって、解放アーム860の急激な内方の動きがアーム850の急激な外方の動きに伝達される。この段階で、ウイング888がラッチ825から依然として離れるので、ラッチ825は依然としてホイール826と係合し、帯805の利用可能長を一定に維持する。各ディスクがさらに回転するにつれ、アーム860は、ディスク865の弧864の半径の増加により外方に押され、アーム874の遠端974aを解放し、アーム850に加わる唯一の力はバネ872のそれとなり、その結果、収縮アーム850が内方に押されて、再びディスク845の弧843に接触し、ウイング888はラッチ825と接触してローラ822との係合を解除するに至り、全サイクルが再び始まる。
【0047】
当業者に分かるであろうが、図8に示すような機構800は、急速収縮に続いて直ちに休息解放が行なわれるように構成されているが、本実施例は、解放と収縮の間に時間遅延が可能なように構成されている。これはたとえば、凹部844を拡大することによって、および各ディスク865の尖頭を一致させて、アーム850が凹部の終わりに到達する直前に対向アーム860に到達することによって、達成することができる。これに代わって、またはこれに追加して、ディスク845を歯車842に装着して、ディスクと歯車の間の限定した相対的回転を、たとえば歯車842の上面に刻んだ弧状溝にディスク845を装着することによって、可能とすることができる。これによって、ディスク845がアーム850によってロック状態を保ちながら、ディスク865を適切に選択するまでディスク842が回転し続け、アーム850が凹部814から退出し、ディスク812がさらに回転することができるようになる。ディスク845と歯車843との間の限定された相対的回転によってまた、アーム850が凹部844に落ち込むと、ディスク845の後退も許容し、機械的応力による円滑な遷移が容易に行なわれる。
【0048】
上述から分かるように、四肢に加わる圧搾力は、アーム950が凹部844に落ち込む直前のバネ872の位置エネルギーに直接比例し、これは、バネの初期エネルギーによって決まる。図8Fに示す力調節アセンブリ890によって、バネ872の力を調節できるが、これは、バネ872の第2の端部に連結された歯車898によってバネを巻回することによって可能である。その場合、体1の端部はアーム970に接続されている。アセンブリ890は軸895を有し、これには、その一端に前面カバー802から突出するホイール891が設けられ、これは、それに装着されウオーム歯車999で終端する同心的ウオーム歯車896を有している。ホイール898はウオーム歯車896に歯車897を接続する手段で連結され、ホイール891が一方向に回転するとバネ872が巻回してバネ力が増し、ホイールを反対の方向に巻回するとバネ力が減少するようになっている。バネ972の力は、ウオーム歯車899に装着された可動ポインタ892で指示され、軸894に固定的に装着された目盛894上を軸895の回転とともにウオーム歯車に沿って動く。ホイール891による力の調節は、本装置の作動に先立って使用者が行なう。典型的には、バネ972の力は2〜10 Kgの範囲で変化し、30〜90 mmHgの範囲で圧力が加わる。明らかになろうが、使用者が異なれば、同じ圧力を得る力も異なり、これは、四肢に加わる圧力が四肢を囲む帯の面積に依存するためであり、これは、装置を当てている場所の四肢の周縁によって決まる。かくして、四肢の周縁が大きい使用者は、小さい四肢を有する使用者より大きな力で作動する装置を必要とすることになる。さらに、装置900には、目盛894で読み取る力と四肢の周縁の関数として得られる圧力との間に相関比を与える相関表を設けてもよい。
【0049】
本実施例の作動を完全に理解するために、2組のバネアッセンブ装置900にリを読者に明らかにしなければならない。すなわち、種薄くバネアセンブリ870と解放バネアセンブリ880である。これらは、帯805の高速収縮と高速解放を可能にする力を提供する。この点で重要なことは、糖尿病血流などのある医療状況を有する者は、促進される液流が帯の解放時間に直接比例することである。本実施例の機構は、帯の急速な解放を行ない、したがってこれらの状態での血液およびリンパ液の循環を非常に高める。
【0050】
さて図9に移って、別の実施例を説明するが、これは、コイルバネ、歯車およびローラの回転運動が使用者の四肢を囲む帯の解放状態および収縮状態の間の間欠的高速遷移を生ずるものである。ここに記載の実施例は、全体を900で示し、図9Aに示す外部ケースおよび図9Bないし図9Fに詳細に示す内部機構を有する。
【0051】
図9Aを参照すると、ケース901は実質的に長い矩形の箱であり、これは、混合金属、強化プラスチック等の軽量で強力な材料からなる。箱901は、その上に内部機構が装着された実質的に矩形の平坦な基板902、ならびに2対の側板904および906を有している。2本の長いローラ、右ローラ910および左ローラ912がそれぞれ軸942および944に回転可能に装着され、対向板904の間で箱の長さ方向に伸びている。2本の帯909aおよび909bがそれぞれローラ910および912の周りに巻回され、互いに連結されて使用者の四肢の周囲に閉ループを形成し、ローラが反対方向に回動すると、組み合わせた帯の有効長がローラ回動方向に応じて伸縮するようになっている。帯909aおよび909bは、当業者に公知の、Velcro帯、様々なバックル等の様々な緊締手段によって互いに緊締してもよい。または、装置900に帯909aおよび909bの相対的に短い自由端を設けて、装置の着用前に、四肢にまとった靴下様の円筒状衣料にそれを固定することもできる。好ましくは、帯909の少なくとも1本に少なくとも1つの弾性要素を組み込んで、帯に限定的弾性を与える。板908をローラ910および912の間に配置し、ケース901の中央部分を覆い、板とローラとの間に間隙を残して、帯909のローラを中心とした回転を許容する。板908は、四肢に快適に適合するように構成された曲状の板である。板902、904、906および908は、接着剤、ボルト等の当業者に公知の何らかの手段によって互いに固定されている。実施零900は、人の四肢(図示せず)に帯909を介していた908で取り付けられ、図1Aの前部箱におけるのと類似の方法で四肢に接触する。
【0052】
図9Bおよび図9Dを参照すると、内部機構は、主モータ914、遊星伝動機構918、および遊星伝動機構918に主バネクラッチ920を介して連結された主バネ916を含んでいる。螺旋バネ916が上部主バネ926とクラッチ920のクラッチ歯車921との間に固定的に支持されている。クラッチ920は、歯車921にギア923を介して連結された外部クラッチバネ922を含み、クラッチバネ922のトルクが主バネ916のトルクに比例するようになっている。ラチェット機構924があり、その詳細は図9Eに示すが、これによって歯車921のラチェットホイール925を介した逆回転を防ぎ、その結果、クラッチ920がロックされている限り、バネ916の再付勢を防いでいる。上部主バネ926は、一方の側では右ローラ上部歯車928と係合し、他方では連結歯車934と係合して、これは次に、左ローラ上部歯車940と係合し、主バネ916とローラ910および912との間を連結し、これによって歯車926の回転でローラ910および912が同時に反対方向に回転する。主バネ916よりバネ定数の低い帯戻りバネ936が歯車934に連結されている。螺旋バネ936は、主バネ916とは反対の方向に付勢されるように構成されている。ここで図9Bないし図9Dの下部に移って、帯収縮クラッチ932が右ローラ底部歯車930に帯収縮クラッチ歯車931を介して連結されている。クラッチ932は、歯車931をロックし、ロック解除したりし、したがって歯車928、926、934および940を介してローラ910および912をロックし、ロック解除したりする。この機構はさらに、タイミングアセンブリを有し、これは、伝動機構952を介してタイミングシャフト954に連結されたタイミングモータ950を有する。2枚の偏心した2重歯カム解放ディスク960および970がシャフト954に装着され、これらは、それぞれ主バネクラッチ920および帯伸長クラッチ932と整列し、それらと係合して対応のクラッチをロック解除するように構成されている。ここに示す本実施例によれば、この機構はさらに、クラッチ920のバネ922の軸に装着されて主バネ916のトルクを読み取る主バネ符号器927、タイミングシャフト946に」装着されてディスク960および970の角度位置を読み取るタイミングシャフト符号器958、および歯車934の軸に装着され遷移中の帯の有効長および速度を読み取る帯長符号器937を有する。符号器927、958および937の読取り値は、マイクロプロセッサ(図示せず)に供給され、これもモータ914および954を制御する。
【0053】
以下の説明は、3つの期間の内部機構の作動に分かれている。第1の期間は、主バネ916が付勢され帯の有効長が解放状態で一定に留まる負荷期間である。第2の期間は、急激な圧搾力が包囲された四肢に加わり、帯の有効長が第3の期間の開始まで収縮状態に留まる所定の期間がこれに続く帯短縮期間である。第3の期間は、帯有効長が高速遷移によりその海邦町に戻る解放機関である。この3つの期間は互いに時間的に続くものであり、解放状態から収縮状態へ、およびその反対に間欠的な高速遷移が行なわれる。
【0054】
負荷期間。負荷期間中、帯解放クラッチ920および932はロックされる。負荷期間は、帯の有効長が解放状態にあって、モータ914の付勢により開始する。クラッチ920および932がロックしたまま、モータ914は伝動機構918を介して主バネ916を付勢するが、これは、バネの(モータ914に近い近端の回転運動を付勢することで行なわれる。主モータ914は定速で作動し、またはモータ814が可変出力で作動し、バネ916のトルクがそのように増大するにつれ、モータ914の出力も増してバネ付勢速度を一定の速度に維持するようになる。遊星歯車918は、その内部構成が図示されていないが、角速度が回転軸に沿って減少する公知の何らかの遊星伝動機構でよい。既述のように、負荷期間中、帯収縮クラッチ932がロックされ、歯車930、928、926、934および940のいずれかの回転運動を防ぐ。こうして、主バネ916に形成されるトルクが歯車826を経由して上部ローラ歯車828および840に伝達されるが、ローラ910および912は回転できず、その結果、帯の有効長が一定に維持される。主バネ916に形成されるトルクは、符号器927でモニタされる。
主バネ916が所定の値に到達すると、モータ914が遮断され、これによってバネの更なる付勢が停止する。この段階で、モータ914に電圧が印加されないと、ロッキングラチェット924によって歯車921の逆方向の回転が防止され、したがって主バネ916の解放が防止され、主バネトルクを維持する。
【0055】
短縮期間。短縮期間中、クラッチ920はロックされている。解放状態から収縮状態への遷移は、タイミング機構によって制御され、これは、係合すると帯収縮クラッチ932をロック解除するように構成された解放ディスク970を介して行なわれる。短縮期間はモータ950の通電によって開始し、これによって回転運動が電動機構948を経由してタイミングシャフト954に伝達される。その結果、ディスク970は、ディスク歯がクラッチ932の外側円筒の対応する歯と係合する位置まで回転し、図9Eに示すように、クラッチの2つの部分をロック解除し、デスク921はその軸を中心に自由に回転することができる。ディスク931のロック解除で、ディスク928、926、934および940もロック解除される。こうして、クラッチ920が依然としてロックされてディスク921の回転運動を防止したままクラッチ932をロック解除すると直ちに、主バネ歯車926の時計方向回転運動によって系の力が部分的に解放され、その結果、右ローラ910の反時計方向の回転および左ローラ912の時計方向の回転が生ずる。これによって、帯の有効長の急激な短縮および四肢への高い圧搾力が生じ、これは四肢の抵抗による更なる短縮ができなくなるまで続く。主バネ916が部分的に負荷を解かれると、戻りバネ936が連結歯車934の自然動作によって付勢される。こうして、クラッチ932の解放で帯909の短縮と戻りバネ936の付勢の両方が生ずる。連結歯車934の回転は、帯909の長さを短縮する間隔に比例するが、符号器937によって読み取られる。
【0056】
解放期間。解放期間は、モータ950を第2の短い期間、再駆動することで開始し、これによってシャフト946のこのときの更なる回転が可能になり、解放ディスク960は、ディスク歯が歯車921と係合して主バネ916をラチェット機構924からロック解除する位置まで動く。これによって、主バネ916は、ディスク921の半時計方向の回転でさらに解放することができる。ディスク926に主バネ916で加わるトルクが減少するにつれ、四肢筋肉によって加わり帯戻りバネ936の対向トルクと組み合わさって帯有効長を増すように作用する力によってディスク926が反時計方向に回転し、系における過剰な力を逃がしている。こうして、ロック解除クラッチ920は直ちに、主バネ916をその初期位置へ解放するとともに、帯809を急速に解放有効長まで歯車926、928、930,934および940によって伸長させ、それらの前負荷位置を回復し、ローラ910および912を前負荷位置まで回転させることになる。全要素の前負荷状態への解放によってまた、クラッチ920および932もその初期位置に戻り、すなわち再度ロックされ、負荷−短縮−解放の全サイクルが再び始まる。
【0057】
図9Eは、ラッチェト機構924の例を示し、ラチェット機構の動作を時系列的に示す。ラチェット機構924は、ケース980の基板904に固定されたラチェット本体980と、軸984に本体980の凹部内で回動可能に装着され凹部内での爪982の限定的回転を許容する爪982と、爪982を基板のほうへ弾くように付勢されたバネ986とを有する。爪982の自由端は、ラチェット歯車925の傾斜した歯925aと係合する。シーケンスステップI〜VIで明らかにわかるように、ラチェット機構924は、ホイール925の時計方向の回転のみを許容し、これは、爪982の自由端を引き上げながら(ステップI〜IV)半時計方向の回転(ステップV〜VI)を妨げて歯925aが爪982を本体980に対して押圧して更なる回転を防止することによって行なわれる。
【0058】
図9Fは、歯車931を本体板904にロックしたりロック解除したりするクラッチ932の例を示す。このクラッチにわずかな修正を加えたものも、クラッチ920として機能し、主バネ916およびラチェットホイール925を連結/分離することができる。ステップI〜VIIは、クラッチ932を通って回転軸に垂直な面における断面として示されている。クラッチ932は、3つの半円凹部992aをその周縁に有する内側円筒部992と、3つの長い凹部996aをその内側周縁に有する外側環996と、これらの間の空間に介挿されたセグメント状冠状要素994とを有する。要素992、994および996は、軸915を中心として同心的に配置されている。3本の円形ロッド995が冠状要素994の隣接するセグメントの間に介挿されている。ロッド995は、他の部分のいずれにも接続されていないが、半径方向に押していずれかの凹部992aまたは996aを占有することができるが、常時、セグメント994に制限されている。外側環996は、バネ998の一端998aに連結され、その第2の端部998bは環998を反時計方向に付勢するケース901に固定的に連結されている。環996の外縁には歯996bが設けられてカム970の2重スパイク971と係合する。要素994および992はそれぞれ、連結したり分離したりする2つの部分の一方の一体的部分である。たとえば、要素994は、前面本体壁904から垂直に伸び、また円筒状要素992は、歯車931の中心から垂直に伸びている。こうして、クラッチ931が要素992および994の間で係合すると、歯車931が本体901にロックされる。図9EのステップIは、ロックされた位置のクラッチ932を示す。この位置において、ロッド995は外側環996によって凹部992aの中へ押され、円筒部992がいずれかの方向に回転するのを防ぐ。カム970の2重スパイク971は、クラッチ932から離れる方を向いている。ステップIIでカム970の2重スパイク971は歯996bに近づいて、ステップIIIおよびIVで歯996bと係合し、環996を時計方向に回転させる。環996の固定要素994に対するこの回転により凹部996aがロッド995の方へ進み、円筒部992が反時計方向に回転することができてロッド995を凹部996aの中へ押す。こうして、歯車931がロック解除されて負荷期間中、系に形成される力を部分的に解放する。歯車931の回転は、帯の更なる収縮が四肢の抵抗によって妨げられると、停止し(ステップV)、歯車930がさらに回転するのを防ぎ、その結果、歯車931も回転しない(上述の短縮期間を参照)。2重スパイク971が歯996bを通過した後、環996は再びバネ998によって付勢され、反時計方向に回転する。これをステップVIに示す。しかし、環996の回転は、このとき部分的に凹部996a内に位置しているロッド995によって防いでいる。こうして、クラッチ932は非連結状態を維持し、円筒状部992の自由回転を許容する。上述の解放期間を参照すると、クラッチ920もロック解除された後、系のすべての余分な力が解放され、歯車930の反時計方向の回転、したがって、ステップVIIに示すように、歯車931および要素992の時計方向の回転によって帯が解放されることになる。要素992が回転すると、ステップVIIIに示すように、このとき自由に回転できるようになった外側環996によってロッド995が凹部992a内に戻され、クラッチ932がステップIのロック位置に戻る。
【0059】
当業者に明らかになろうが、図9Eおよび図9Fに示すラチェット機構およびクラッチ機構の特定の構成は、例示にすぎず、本発明の範囲を逸脱することなく同じ機構機能を有する他の同等の機構要素を使用できる。
【0060】
上述のように、実施例900はマイクロプロセッサによって制御される。マイクロプロセッサはモータ914および954を制御し、使用者が与える入力パラメータおよび符号器927、958および937から受け取る読取り値に従って解放および収縮状態の間の遷移をタイミング制御する。典型的なユーザインタフェースを図9Fに示す。ユーザインタフェース500は、パラメータキーボード502、所望の値を入力する英数字キーボード504、表示パネル506およびオンオフスイッチ508を有する。パラメータキーボード502において、Taは解放期間の長さを表わし、Tcは収縮期間の長さを表わし、Fは主バネ916の力を表わし、Tbは解放状態から収縮状態への遷移時間を表わし、Tdは収縮状態から解放状態への遷移時間を表わし、Xbは解放状態と訓練状態との間の帯の有効長を表わす。作動前に使用者は、Ta、TcおよびFの値を入力する。Tb、TdおよびXbの値は、使用者が決めるのではなく、符号器の測定によって決まるのみである。作動中、これらのパラメータと符号器で測定したTb、TdおよびXbの実際の値が表示パネル906に表示され、それぞれの値が対応するパラメータの次に表示される。
【0061】
図9によって説明した実施例は高度の融通性を有し、これは、帯の収縮−解放サイクルのさまざまなパラメータを別々に選択できるためである。こうして、実施例800はとりわけ、さまざまな条件や使用者に最適化されたパラメータを引き出す実験的プロトタイプの装置に適している。実施例900はまた、各使用者ごとに適したパラメータを調整する医療従事者によって有用な装置として使用してもよい。しかし、明らかなように、実施例900の廉価な機械制御タイプも構成可能であり、これは、実施例900と同じ主収縮−解放機構を有するが2個のモータではなく連続作動モータを1個のみ有するものである。
【0062】
明らかなように、両装置800および900とも、心臓から四肢への動脈流または四肢から心臓への静脈流を促進するように構成されたさまざまなサイクルパターンが可能に構成することができる。これも明らかなように、1つ以上の減速機構を装置800および900の機構に連結して、少なくとも1つの遷移の遷移時間を制御することもできる。そのような緩動作機構は、たとえば推進型機構でもよい。減速機構によって、遷移中の圧力勾配プロファイルを微調整することができる。たとえば、圧力を制御して、滑らかな単調関数で目標値に到達し、または目標値を過渡的にオーバシュートさせることができる。こうして、本発明による装置は、圧力を高速に形成し、また圧力を緩やかに解放してもよく、これは、たとえばDVTの危険性を減らすのに適している。または、静脈吸引効果を含めることで圧力を緩やかに形成し高速に解放し、動脈流を促進するのに適している。この効果は、「吸引効果」と称し、各圧力サイクルの終りに圧力を急激に低下させることによって生じ、これによって静脈の血圧が正常以下に低下して、末端組織を通る迅速な灌流を容易にする。この効果は、「吸引効果」と称し、以下に示すように、高血圧か否かによらず、末端組織の灌流を改善することができる。したがって、末端部への液流を増すために、本装置を調整して四肢に圧力を与え、静脈を圧迫し、その圧力を急激に解放する。好ましくは、高圧から低圧への遷移時間は、1秒未満であり、さらに好ましくは、300ミリ秒、100ミリ秒、30ミリ秒もしくは10ミリ秒未満である。
【0063】
吸引効果を誘起し動脈流を促進する典型的な作動パラメータは、次の通りである。すなわち、圧迫状態の圧力は15 mmHgより高く、好ましくは15〜180の範囲に、より好ましくは30〜120の範囲に、また最適には60〜100 mmHgの範囲にある。全サイクルは0.5〜300秒の範囲にあり、好ましくは2〜120秒の範囲にあり、より好ましくは5〜75秒の範囲にあり、最適には10〜30秒の範囲にある。圧縮期間の長さは15秒未満であり、好ましくは8秒未満であり、より好ましくは1.5秒未満もしくは300ミリ秒未満である。圧縮状態から解放状態への遷移時間は3秒未満であり、好ましくは1秒未満であり、より好ましくは200ミリ秒未満であり、また最適には100もしくは30ミリ秒未満である。さらに、解放状態から圧縮状態への遷移時間は100ミリ秒〜3秒の範囲内である。
【0064】
静脈流を促進してDVTの危険を減らす典型的な作動パラメータは、次の通りである。すなわち、圧迫状態の圧力は15 mmHgより高く、好ましくは15〜120の範囲に、より好ましくは25〜60の範囲に、また最適には30〜50 mmHgの範囲にある。全サイクルは5秒を超え、好ましくは15〜300秒の範囲にあり、より好ましくは30〜150秒の範囲にあり、最適には40〜80秒の範囲にある。圧縮期間の長さは15秒未満であり、好ましくは8秒未満であり、より好ましくは3未満、最適には1.5ミリ秒未満である。圧縮状態から解放状態への遷移時間は10秒未満であり、好ましくは3秒未満であり、より好ましくは1未満であり、また最適には200、100もしくは30ミリ秒未満である。
【0065】
図10Aは、本発明の実施例900による装置を適用することによって得られた典型的な圧力プロファイルであり、圧力の上昇および下降を時間の関数として示す。比較のため、図10Bに図10Aと同じ時間メモリで示す圧力プロファイルは、典型的な市販のIPC(間欠圧搾空気圧縮)装置(Aircast社 VenaFlow)により得られたものである。両装置とも同様の圧力に収束するように調整した。明らかに分かるように、本発明により得られた圧力上昇および下降の時間は、従来の圧搾空気圧装置で得られたものよりはるかに短い。やはり分かるのは、2つの装置の圧力プロファイルがかなり異なることである。図10Aおよび図10Bに示す測定によれば、本装置が最大圧力地に達するのにわずかに約0.06秒かかり、圧力がその基底線値に下降するのに約0.08秒かかる。一方、IPC装置では、最大圧力に達するのに約0.96秒かかり、最小値の75%に下降するのに約0.68秒、その基底線値に達するのに約4.6秒かかっている。図10Aに与えられるfプロファイルが一例にすぎず、上昇および下降時間、ならびに圧力形成中および圧力下降中の過渡的勾配が装置の機械的パラメータの変更で容易に変えることができることは、明らかであろう。
【0066】
実験結果
図11は、本発明の装置の適用によって得られたドップラー超音波試験結果の例を示す。ここに示す結果は、図9の実施例900による装置を仰向けの健常者に適用し、約50 mmHgの間欠的圧力を加えて得たものである。本装置を被検体の右ふくらはぎに当て、装置位置から遠く右足首に近い位置にある静脈から測定値を取った。これらの測定値は、市販のデュプレックス超音波/ドップラー装置によって得た。白抜き領域は遠い静脈の血流を示し、白抜き領域を通る細い黒線は瞬時の平均流を示す。装置の作動前の被検体の静脈中の血流は、図11の左側に見られ、基底線と称する。分かるように、装置を起動して圧力を最初にふくらはぎに加えると、遠い静脈の血流が一時的に零に向かって低下し(基底線に続く黒領域で示すように)、次に、装置を圧縮状態にすると、江気流が実質的に基底値まで回復する。そこで、圧力を急速に解放した後、血流の大きな上昇があるが、これは、同図の右側に白抜き領域のピークで明瞭に示されている。図11は、上述の静脈吸引効果、すなわち圧力サイクルの終わりで圧力が急激に下降することに起因した遠い組織を通る灌流の増加を示している。
【0067】
図12Aおよび図12Bは、2つのドップラー超音波図表示を示し、健康な49歳男性の四肢に、それぞれ図8の実施例800による本発明の装置を適用することによって、および既存の市販IPC装置(3室Tyco)を適用することによって、得られた流速を示す。これらの図は、超音波循環器技術者が超音波/ドップラー装置を使用し、200 Hzで作動する変換器を使って得たものであり、深部大静脈頭部における本装置の位置への血流および血液速度を測定した。測定は、皮膚表面から約3 cm下に位置する7ミリメートル静脈で行なった。両装置の通常作動中、毎分3サイクルで作動させ、測定値を得た。本発明の装置によって与えた圧力は、約25 mmHgであり、市販装置によるそれは、約40 mmHgであった。このドップラー図は明らかに、本発明を使用した後、IPC装置と比較して血流が大きく上昇したことを示している。本装置の圧力プロファイル、すなわち高圧と低圧との間の高速遷移がこの血流増加の促進に寄与していると考えられる。図11および図12は、例示にすぎない。正確な測定は以下の各表にまとめて示す。
【0068】
表1は、被検体の下肢における血液流量の基底線血流に対する平均増加パーセントを示し、この場合、装置を下肢に適用しなかった。表1に示す平均結果値は、多重試験結果から算出したものであり、ランダムな測定誤差を除去してある。
【0069】
【表1】
この実験で使用したTyco装置(IPC)で得られた結果は、この装置について公開されたデータと一致し、本分野で四肢の血流促進に使用された同様の装置で得られた公開結果値と両立している。上述のこれらの結果から分かるように、本発明で得られたピーク流の増加平均値(基底線の344%)は、IPC装置で得られたもの(基底線の224%)よりはるかに高い。さらに分かるように、本発明で得られた血流の増加平均値の範囲は、IPC装置で得られたもの(基底線の105〜335%)より広い(基底線の113〜215%)。これが意味のある結果であるのは、本発明の使用によって大きな吸引効果が被検体の四肢の静脈内に生じ、これが四肢における血流および循環の大きな促進の原因となっていると、思われるからである。やはり分かるように、基底線より上の平均血流の増加平均値は、本発明の場合、IPC装置の場合より幾分高い。この実験で使ったIPC装置の作動パラメータは、本分野で使用する他の同様の装置と同等である。したがって、本発明の技術は、IPC装置を45 mmHgにて使用して得たのと同じ流速を25 mmHgで達成している。本発明によって得た他のデータは、装置の吸引効果に関するデータを得る目的で装置を適用した位置から遠い静脈における血流の特殊な測定値を含んでいる。分かったことは、本発明は、IPC装置と比較して、使用圧力がかなり低くても、装置から遠い静脈においてかなりの吸引効果を生ずることである。
【0070】
他の実験設定では、本発明の実施例900による装置で異なる10被検体を扱った。これは、装置を被検体のふくらはぎに適用し、エコードップラーを使って表面大腿部管(SFV)で流速および流量を測定した。装置は、毎分1サイクルで作動させ、約40 mmHgの圧力パルスを12秒間、印加した。測定値を取ったのは、基底線値を得るため装置の取付け前、装置の被検体への取付け後その起動前、装置の作動中、および装置遮断後の休止状態であった。表2は、10件について得られた平均の結果をまとめたものである。
【0071】
【表2】
45 mmHgで12秒の圧力パルスを本発明の装置によりふくらはぎに与えて扱った10件について得られた平均結果値
さらに1組の試験を行なった。これは、実施例900の装置を使用し、約80 mmHgの圧力パルスを約3秒間、与えた。装置はふくらはぎに取り付けた。試験は、毎分2サイクルと6サイクル行なった。測定したパラメータは、エコードップラー、TcpO2および組織ドップラーを使用して大腿部動脈および大腿部静脈体積流であった。10件について得られた平均結果値を表3にまとめて示す。
【0072】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の着座している者のふくらはぎへ帯で縛った絵図面である。
【図2A】アセンブリ本体および帯で形成されるループの周部を間欠的に縮めることによって四肢の筋肉への圧迫を行なう本装置の前当て式ボックスの好ましい実施例の外観側面図である。
【図2B】アセンブリボックスを、ふくらはぎの筋肉に当接して配置される能動間欠圧搾部分とする、後当て式ボックスの一実施例の側面図である。
【図3A】図2Aに示す装置のアセンブリボックスの第1の内部機構を示す断面図である。
【図3B】図3Aに示す装置の平面図である。
【図3C】図3Aおよび図3Bの実施例を改変した機構を示す図である。
【図4A】電磁モータと、中心がヒンジ連結された矩形回転板と、帯の両側を連結する長手バーとを用いた、図2Aに示す実施例用の他の機構の絵図面である。
【図4B】および
【図4C】図4Aに示す実施例の、それぞれ側面図および平面図である。
【図5A】および
【図5B】L形レバーバーにより促進される動力伝達機構を用いた、図2Aに示す実施例用の他の機構を示す図である。
【図6】本発明による装置の他の実施例の側面図である。
【図7】図2Bに示す前当て式ボックスの実施例による装置のアセンブリボックスの内部機構を示す平面図である。
【図8】逆推進実施例と称される本発明の改善実施例を示す。
【図8A】および
【図8B】逆推進実施例による装置のそれぞれ裏面および前面斜視図である。
【図8C】図8Aおよび図8Bの逆推進実施例を上下反対にして後部カバーを外し、帯が緩んでいる状態で内部部分を見えるようにした裏面斜視図である。
【図8D】図8Cにおけると同様に、前後両カバーを外し、収縮状態で内部部分を見せるようにした逆推進実施例の裏面斜視図である。
【図8E】および
【図8F】両カバーを外して水平位置にある逆推進実施例の、それぞれ裏面および前面斜視図である。
【図8G】帯の解放収縮状態間の変化を行なわせることが可能な、逆推進機構と称する主機構の斜視図である。
【図8H】逆推進実施例の力調整機構の斜視図である。
【図9】本発明のさらに他の改善実施例である。
【図9A】上記実施例の上部立面斜視外面図である。
【図9B】上部カバーおよび両側壁を除去して内部部分を見せるようにした図9Aの実施例の立面斜視図である。
【図9C】上部カバーと両側壁とローラを除去した図9Aの実施例の立面斜視図である。
【図9D】時間の関数としてラチェット機構の作動を示す、図9Bに示す実施例のラチェット機構の一連の側面図である。
【図9E】回転軸に対して垂直な面におけるクラッチの作動を示す、図9Bの実施例のクラッチの時系列的一連の断面図である。
【図9F】図9A〜図9Cに示す実施例の代表的なユーザーインターフェースの図である。
【図10A】および
【図10B】本発明による装置および市販のIPC装置により得られるそれぞれの代表的な圧力プロファイルである。
【図11】図9の実施例による本発明の適用によって得られるドップラー超音波試験結果の例である。
【図12A】および
【図12B】本発明の図8の実施例の適用および市販のIPC装置によってそれぞれ得られるドップラー超音波試験結果の例である。
【図13A】、
【図13B】および
【図13C】本発明の装置および方法のエネルギーパターンの例である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
四肢を包囲する少なくとも1つの可調節帯と、
モータと、該モータにより駆動され、前記少なくとも1つの帯の解放状態から前記少なくとも1つの帯の収縮状態への第1の遷移を間欠的に、および前記収縮状態から前記解放状態への第2の遷移を間欠的に作動させる機構とを含み、第1の遷移の後に第1の時間間隔の収縮期間が続き、第2の遷移の後に第2の時間間隔の解放期間が続き、前記機構は、前記モータおよび前記少なくとも1つの帯の間に作動可能に配置された少なくとも1つのエネルギー充填可能な要素と、前記少なくとも1つのエネルギー充填可能な要素および前記少なくとも1つの帯の間に連結された少なくとも1つのエネルギー解放機構とを含み、該エネルギー解放機構は、前記充填可能要素内に蓄積したエネルギーを迅速に解放し、こうして解放されたエネルギーを使用して前記解放状態および収縮状態の間に少なくとも一回の急速な遷移を生じさせることを特徴とする四肢における血液循環を促進する携帯装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、前記少なくとも一回の急速な遷移は10秒未満であることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、前記少なくとも一回の急速な遷移は1秒未満であることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置において、前記少なくとも一回の急速な遷移は300ミリ秒未満であることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置において、前記少なくとも一回の急速な遷移は30ミリ秒未満であることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置において、前記少なくとも一回の急速な遷移は第1の遷移であることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置において、前記少なくとも一回の急速な遷移は第2の遷移であることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置において、第1の時間間隔は300ミリ秒ないし15秒の範囲内にあることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置において、第1の遷移、第1の時間間隔、第2の遷移および第2の時間間隔を含む一完全サイクルは、0.5ないし300秒の範囲内であることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置において、該装置はさらに頻度調整装置を含むことを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1に記載の装置において、収縮期間中、前記四肢に15ないし180 mmHg の範囲内の圧力を加えることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項1に記載の装置において、該装置はさらに、第1の遷移中に前記四肢に加える力を調節する力調整機構を含むことを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項1に記載の装置において、前記少なくとも1つのエネルギー充填可能要素は前記解放期間中に充填されることを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項1に記載の装置において、前記少なくとも1つのエネルギー充填可能要素はバネであることを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項1に記載の装置において、該機構はさらに、少なくとも1つの第2エネルギー充填可能要素と、該少なくとも1つの第2エネルギー充填可能要素および前記少なくとも1つの帯の間を連結する少なくとも1つの第2エネルギー解放要素とを含み、第2エネルギー解放機構は、第2エネルギー充填可能要素内に保存されているエネルギーの迅速な解放を可能にし、こうにして解放されたエネルギーを用いて前記少なくとも1回の急速な遷移とは反対の方向に第2の急速な遷移を発生させることを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項15に記載の装置において、第1のエネルギー蓄積保存要素により解放されたエネルギーの少なくとも一部を用いて第2のエネルギー蓄積要素を充填することを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項15に記載の装置において、第2のエネルギー充填可能要素はバネであることを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項1に記載の吸引作用を誘起するのに使用する装置において、第1の遷移は30ミリ秒ないし15秒の範囲内にあり、第1の時間間隔は300ミリ秒ないし15秒の範囲内にあり、第2の遷移は30ミリ秒ないし200ミリ秒の範囲内にあり、一完全サイクルは5ないし60秒の範囲であることを特徴とする装置。
【請求項19】
前記請求項のいずれかに記載の装置において、前記モータは連続作動することを特徴とする装置。
【請求項20】
請求項1に記載の装置において、該装置はさらに、前記モータにかかる電圧を制御して該モータの出力を調節し該モータの効率を最適化する電気制御装置を含むことを特徴とする装置。
【請求項21】
前記請求項のいずれかに記載の装置において、該装置はさらに、使用者が該装置の操作パラメータを事前設定できるマイクロ制御装置を含むことを特徴とする装置。
【請求項22】
請求項21に記載の装置において、前記操作パラメータは、前記収縮期間中に前記四肢に加わる力、第1および第2の時間間隔および頻度を含むことを特徴とする装置。
【請求項23】
請求項1に記載の装置において、前記機構およびモータはハウジングに収容されていることを特徴とする装置。
【請求項24】
請求項23に記載の装置において、前記ハウジングはさらに、前記モータへ給電する電源を収容していることを特徴とする装置。
【請求項25】
請求項24に記載の装置において、前記電源は、少なくとも1つの充電式もしくは非充電式電池であることを特徴とする装置。
【請求項26】
請求項1に記載の装置において、該装置はさらに、前記少なくとも1つの帯へ連結され該帯に所定の張力を加える収縮機構を含むことを特徴とする装置。
【請求項27】
請求項26に記載の装置において、該装置はさらに、前記収縮機構に連結された自動固定機構を含み、該自動ロック機構は、第1の遷移の前に前記収縮機構をロックし、第2の遷移の後に該収縮機構をロック解除することを特徴とする装置。
【請求項28】
請求項1に記載の装置において、前記機構は、前記帯の一方の端部へそれぞれ接続可能な2つの直線運動可能なアームを含み、該2つの可動アームを互いの方へ移動させて第1の遷移を行なわせ、該2つのアームを互いから離すように移動させて第2の遷移を行なわせることを特徴とする装置。
【請求項29】
請求項1に記載の装置において、前記少なくとも1つの帯の少なくとも一方の端部はローラへ固定され、第1および第2の遷移は、前記ローラを反対の方向に交互に回転させることで起動されて、前記ローラの周囲に前記帯を巻き付け、巻き戻すことを特徴とする装置。
【請求項30】
請求項1に記載の装置において、前記少なくとも1つの帯は、収縮機構を設けた帯ローラに収縮可能に巻き付けられることを特徴とする装置。
【請求項31】
請求項30に記載の装置において、前記収縮機構は、第1の遷移前に自動的にロックして前記帯の利用可能長を一定に維持し、第2の遷移の後に自動的にロック解除して前記解放期間中に前記四肢に対する該帯の連続調節を可能とすることを特徴とする装置。
【請求項32】
四肢を包囲する少なくとも1つの帯と、
少なくとも1つのモータと、
少なくとも1つの第1の充填可能要素、および少なくとも1つの第1のエネルギー解放機構を含む帯収縮機構とを含み、該帯収縮機構は、第1のエネルギー蓄積要素に蓄積されるエネルギーの迅速な解放、および解放されたエネルギーを用いて前記少なくとも1つの帯の解放状態から収縮状態への第1の急速な遷移の発生を可能にし、さらに、
少なくとも1つの第2の充填可能要素、および少なくとも1つの第2のエネルギー解放機構を含む帯解放機構とを含み、該帯解放機構は、第2のエネルギー充填可能要素に蓄積されるエネルギーの迅速な解放、および解放されたエネルギーを用いて前記少なくとも1つの帯の前記収縮状態から前記解放状態への第2の急速な遷移の発生を可能にすることを特徴とする四肢の血液循環を促進する携帯装置。
【請求項33】
請求項32に記載の携帯装置において、第1の充填可能要素によって解放されたエネルギーの一部を第1のエネルギー解放機構によって用いて第2の充填可能要素を充填することを特徴とする携帯装置。
【請求項34】
請求項32に記載の携帯装置において、第2の充填可能要素によって解放されたエネルギーの一部を第2のエネルギー解放機構によって用いて第1の充填可能要素を充填することを特徴とする携帯装置。
【請求項35】
請求項32に記載の携帯装置において、前記少なくとも1つの第1の充填可能要素はバネであることを特徴とする携帯装置。
【請求項36】
請求項32に記載の携帯装置において、前記少なくとも1つの第2の充填可能要素はバネであることを特徴とする携帯装置。
【請求項37】
請求項32に記載の携帯装置において、該装置は、少なくとも1つの制御可能な減速機構を含み、該機構は、エネルギー解放機構の少なくとも1つへ連結され、第1および第2の急速な遷移のいずれか1つの時間中に圧力勾配プロファイルを調整することを特徴とする携帯装置。
【請求項38】
四肢の血液循環を該四肢を包囲する帯を間欠的に収縮および解放することによって促進する携帯装置において、該装置は、
2つの端部を有し、前記四肢を包囲する少なくとも1つの帯と、
モータと、
他方のアームへ向かう近端部および前記帯の一方の端部に接続可能な遠端部をそれぞれが有する2つの直線移動可能なアームと、
該2つのアームを互いの方へ急速に内側へ移動させ、これにより前記帯の解放状態から収縮状態への第1の遷移を発生させる帯収縮機構と、
該帯収縮機構へ連結され、前記2つのアームを互いから離して急速に外側方向へ移動させ、これにより所定時に前記収縮状態から前記解放状態への第2の遷移を発生させる帯解放機構とを含むことを特徴とする携帯装置。
【請求項39】
請求項38に記載の携帯装置において、前記帯収縮機構は、前記可動アームの近端部の間に挿設された帯収縮タイミングディスクと、該可動アームを互いに向けて内方へ押し付けるように配置された2つの装荷バネとを含み、前記ディスクは、2つの凹部によって遮断された一定半径の2つの弧を含む外周を有することを特徴とする携帯装置。
【請求項40】
四肢の血液循環を、該四肢を包囲する帯を間欠的に収縮および解放することによって促進する携帯装置において、該装置は、
2つの端部を有し、前記四肢を包囲する少なくとも1つの帯と、
モータと、
他方のアームへ向かう近端部および前記帯の一方の端部に接続可能な遠端部をそれぞれが有する2つの直線移動可能なアームと、
可動アームの近端部間に挿設され、2つの凹部によって遮断された一定の半径の2つの弧を含む周縁を有する帯収縮タイミングディスクと、
2つの直線可動帯解放アームと、
前記2つの可動解放アームの間に挿設、それぞれの半径が漸増して尖頭で終る2つの弧を含む外周を有する帯解放タイミングディスクと、
第1のコイルばねおよびこれに連結した第1の回転可能アームをそれぞれが含む2つの第1バネアセンブリとを含み、第1の回転可能アームは、一方の端部が前記可動アームの一方に係合し、第2の端部が帯解放アームの一方の端部に係合し、第1のコイルバネは、該可動アームを第1の回転可能アームを介して前記帯収縮ディスクに対して内方へ押し付けるように配置され、
該装置はさらに、第2のコイルバネおよび第2の回転可能アームをそれぞれが含む2つの第2のバネアセンブリを含み、第2の回転可能アームは、前記帯解放アームに係合し、第2のコイルバネは、前記帯解放アームを第2の回転可能アームを介して前記帯解放タイミングディスクに内方へ押し付けるように配置され、
第2のコイルバネによって第1の回転可能アームに行使される力は、第1のコイルバネによって第1のアームに対して行使される力より大きいことを特徴とする携帯装置。
【請求項41】
請求項40に記載の装置において、該装置は、作動中、前記収縮タイミングディスクおよび前記解放タイミングディスクが連続回転し、両ディスクは、前記可動アームが帯収縮タイミングディスクの一定半径の弧に対して摺動すると、前記解放アームが前記帯解放タイミングディスクの漸増半径の弧に対して摺動するように配置され、前記帯収縮アームが前記帯収縮タイミングアームの凹部の中へ落ち込んだ後、前記帯解放タイミングディスクの尖頭が該帯解放アームとは反対の位置に到達することを特徴とする装置。
【請求項42】
請求項40に記載の装置において、前記帯の両端部は、前記回転可能アームの遠端部において回転可能に取り付けた回転要素によって前記可動アームへ連結されていることを特徴とする装置。
【請求項43】
請求項40に記載の装置において、前記帯は、前記可動アームの一方の遠端部に取り付けた帯ローラに収縮可能に巻き付けられ、該帯ローラには収縮機構が設けられていることを特徴とする装置。
【請求項44】
請求項43に記載の装置において、前記帯ローラにはさらに、収縮ロック/ロック解除機構が設けられ、前記可動アームが内方へ移動する前に該収縮機構を自動的にロックし、該可動アームが外方へ移動した後は該収縮機構のロックを解除することを特徴とする装置。
【請求項45】
請求項44に記載の装置において、前記ロック/ロック解除機構は、前記帯ローラの一方の端部に取り付けられたラチェットホイールと、該ラチェットホイールに係合するラッチとを含み、該帯ローラの回転を妨げることを特徴とする装置。
【請求項46】
請求項45に記載の装置において、第2のバネアセンブリのうちの一方の回転アームにはウイングを設け、前記帯解放タイミングディスクが前記解放アームの反対の位置に到達すると、前記ラッチおよラチェットホイールを実質的に外すことを特徴とする装置。
【請求項47】
請求項40に記載の装置において、該装置はさらに、前記2つの可動アームを内方へ動かす際、前記四肢に加わる力を調節する力調節機構を含むことを特徴とする装置。
【請求項48】
請求項47に記載の装置において、前記力調節機構は、該第1のコイルバネへ連結された力調節歯車アセンブリを含み、第1のコイルバネに負荷をかけて所望のトルクを得ることを特徴とする装置。
【請求項49】
請求項47に記載の装置において、該装置はさらに、力調節目盛りを含み、使用者が圧力を所望の値に調節できることを特徴とする装置。
【請求項50】
少なくとも1つのモータと、
2つの平行ローラと、
四肢を包囲する2つの部分を含む少なくとも1つの帯とを含み、各部分は、一つの端部が前記2つのローラのうちの一方に固定され、第2の自由端部が他方の部分の自由端部へ連結可能であり、さらに、
前記モータによって駆動され、前記ローラを間欠的に反対の方向に回転させて前記帯を該ローラに巻き付け、巻き戻す機構を含むことを特徴とする四肢における血液循環を促進する携帯装置。
【請求項51】
請求項50に記載の装置において、該装置はさらに、前記ローラ、モータおよび機構を収納するハウジングを含むことを特徴とする装置。
【請求項52】
請求項51に記載の装置において、該装置はさらに動力源を該ハウジング内に収容して有していることを特徴とする装置。
【請求項53】
請求項50に記載の装置において、該機構は、
一方の端部が主バネによって遊星伝動装置を介して前記モータへ連結され、第2の端部が主バネ歯車へ固定され、前記モータによって負荷されるように配置された主バネと、
該主バネの歯車の回転運動を前記ローラへ伝え、前記ローラを互いに反対方向に回転させ、クラッチがロックされると、前記ローラの回転運動を妨げるように配置された帯収縮クラッチ機構が設けられた伝導歯車アセンブリと、
該伝導歯車アセンブリによって駆動され、前記主バネが負荷から解放されると負荷されるように配置された帯戻しバネと、
前記帯収縮クラッチのロックを解除して第1の所定の時間に前記ローラに前記帯の迅速な巻き付けを行なわせ、前記主バネをロック解除して第2の所定の時間に前記帯の迅速な巻き戻しを行なわせるように配置したタイミングアセンブリとを含むことを特徴とする装置。
【請求項54】
請求項53に記載の装置において、前記タイミングアセンブリは、タイミングシャフトと、該タイミングシャフトに装着され、前記帯収縮クラッチと係合するように構成され、第1の所定の時間に前記クラッチを解除する第1のカムと、前記主バネのクラッチと係合するように構成され、第2の所定の時間に前記主バネのクラッチをロック解除する第2のカムとを含むことを特徴とする装置。
【請求項55】
請求項54に記載の装置において、前記タイミングシャフトは第2のモータで駆動されることを特徴とする装置。
【請求項56】
請求項55に記載の装置において、該装置はさらに、前記少なくとも1つのモータおよび第2のモータの作動を制御するマイクロ制御装置を含むことを特徴とする装置。
【請求項57】
請求項50に記載の装置において、該装置はさらに、作動用パラメータを読み取る少なくとも1つの符号器を含むことを特徴とする装置。
【請求項58】
請求項50に記載の装置において、前記2つの帯部分を緊締装置で接続することを特徴とする装置。
【請求項59】
請求項50に記載の装置において、該装置はさらに、前記四肢の周囲に着用するスリーブ様の衣料を含み、前記スリーブ様衣料に前記帯部分を緊締することを特徴とする装置。
【請求項60】
四肢における血液の循環を該四肢に周期的圧力遷移を与えることによって促進する携帯装置において、該周期的圧力遷移は、低圧状態から高圧状態への第1の遷移と、高圧状態から低圧状態への第2の遷移とを含み、該遷移のうちの少なくとも一方が迅速遷移であることを特徴とする装置。
【請求項61】
請求項60に記載の装置において、前記迅速遷移は1秒未満であることを特徴とする装置。
【請求項62】
請求項60に記載の装置において、前記迅速遷移は500ミリ秒未満であることを特徴とする装置。
【請求項63】
請求項60に記載の装置において、前記迅速遷移は200ミリ秒未満であることを特徴とする装置。
【請求項64】
吸引作用の誘起に使用する請求項60に記載の装置において、前記迅速遷移は第2の遷移であることを特徴とする装置。
【請求項65】
請求項60に記載の装置において、第1および第2の遷移は1秒未満であることを特徴とする装置。
【請求項66】
四肢に対する圧迫と、該四肢に対し行なった圧迫の迅速解放とを含むことを特徴とする四肢における血液循環を促進させる吸引作用を誘起する方法。
【請求項67】
請求項66に記載の方法において、前記四肢への圧迫の解放は1秒未満で行なうことを特徴とする方法。
【請求項68】
請求項66に記載の方法において、前記四肢への圧迫の解放は300ミリ秒未満で行なうことを特徴とする方法。
【請求項69】
請求項66に記載の方法において、前記四肢への圧迫の解放は30ミリ秒未満で行なうことを特徴とする方法。
【請求項1】
四肢を包囲する少なくとも1つの可調節帯と、
モータと、該モータにより駆動され、前記少なくとも1つの帯の解放状態から前記少なくとも1つの帯の収縮状態への第1の遷移を間欠的に、および前記収縮状態から前記解放状態への第2の遷移を間欠的に作動させる機構とを含み、第1の遷移の後に第1の時間間隔の収縮期間が続き、第2の遷移の後に第2の時間間隔の解放期間が続き、前記機構は、前記モータおよび前記少なくとも1つの帯の間に作動可能に配置された少なくとも1つのエネルギー充填可能な要素と、前記少なくとも1つのエネルギー充填可能な要素および前記少なくとも1つの帯の間に連結された少なくとも1つのエネルギー解放機構とを含み、該エネルギー解放機構は、前記充填可能要素内に蓄積したエネルギーを迅速に解放し、こうして解放されたエネルギーを使用して前記解放状態および収縮状態の間に少なくとも一回の急速な遷移を生じさせることを特徴とする四肢における血液循環を促進する携帯装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、前記少なくとも一回の急速な遷移は10秒未満であることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、前記少なくとも一回の急速な遷移は1秒未満であることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置において、前記少なくとも一回の急速な遷移は300ミリ秒未満であることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置において、前記少なくとも一回の急速な遷移は30ミリ秒未満であることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置において、前記少なくとも一回の急速な遷移は第1の遷移であることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置において、前記少なくとも一回の急速な遷移は第2の遷移であることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置において、第1の時間間隔は300ミリ秒ないし15秒の範囲内にあることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置において、第1の遷移、第1の時間間隔、第2の遷移および第2の時間間隔を含む一完全サイクルは、0.5ないし300秒の範囲内であることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置において、該装置はさらに頻度調整装置を含むことを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1に記載の装置において、収縮期間中、前記四肢に15ないし180 mmHg の範囲内の圧力を加えることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項1に記載の装置において、該装置はさらに、第1の遷移中に前記四肢に加える力を調節する力調整機構を含むことを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項1に記載の装置において、前記少なくとも1つのエネルギー充填可能要素は前記解放期間中に充填されることを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項1に記載の装置において、前記少なくとも1つのエネルギー充填可能要素はバネであることを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項1に記載の装置において、該機構はさらに、少なくとも1つの第2エネルギー充填可能要素と、該少なくとも1つの第2エネルギー充填可能要素および前記少なくとも1つの帯の間を連結する少なくとも1つの第2エネルギー解放要素とを含み、第2エネルギー解放機構は、第2エネルギー充填可能要素内に保存されているエネルギーの迅速な解放を可能にし、こうにして解放されたエネルギーを用いて前記少なくとも1回の急速な遷移とは反対の方向に第2の急速な遷移を発生させることを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項15に記載の装置において、第1のエネルギー蓄積保存要素により解放されたエネルギーの少なくとも一部を用いて第2のエネルギー蓄積要素を充填することを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項15に記載の装置において、第2のエネルギー充填可能要素はバネであることを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項1に記載の吸引作用を誘起するのに使用する装置において、第1の遷移は30ミリ秒ないし15秒の範囲内にあり、第1の時間間隔は300ミリ秒ないし15秒の範囲内にあり、第2の遷移は30ミリ秒ないし200ミリ秒の範囲内にあり、一完全サイクルは5ないし60秒の範囲であることを特徴とする装置。
【請求項19】
前記請求項のいずれかに記載の装置において、前記モータは連続作動することを特徴とする装置。
【請求項20】
請求項1に記載の装置において、該装置はさらに、前記モータにかかる電圧を制御して該モータの出力を調節し該モータの効率を最適化する電気制御装置を含むことを特徴とする装置。
【請求項21】
前記請求項のいずれかに記載の装置において、該装置はさらに、使用者が該装置の操作パラメータを事前設定できるマイクロ制御装置を含むことを特徴とする装置。
【請求項22】
請求項21に記載の装置において、前記操作パラメータは、前記収縮期間中に前記四肢に加わる力、第1および第2の時間間隔および頻度を含むことを特徴とする装置。
【請求項23】
請求項1に記載の装置において、前記機構およびモータはハウジングに収容されていることを特徴とする装置。
【請求項24】
請求項23に記載の装置において、前記ハウジングはさらに、前記モータへ給電する電源を収容していることを特徴とする装置。
【請求項25】
請求項24に記載の装置において、前記電源は、少なくとも1つの充電式もしくは非充電式電池であることを特徴とする装置。
【請求項26】
請求項1に記載の装置において、該装置はさらに、前記少なくとも1つの帯へ連結され該帯に所定の張力を加える収縮機構を含むことを特徴とする装置。
【請求項27】
請求項26に記載の装置において、該装置はさらに、前記収縮機構に連結された自動固定機構を含み、該自動ロック機構は、第1の遷移の前に前記収縮機構をロックし、第2の遷移の後に該収縮機構をロック解除することを特徴とする装置。
【請求項28】
請求項1に記載の装置において、前記機構は、前記帯の一方の端部へそれぞれ接続可能な2つの直線運動可能なアームを含み、該2つの可動アームを互いの方へ移動させて第1の遷移を行なわせ、該2つのアームを互いから離すように移動させて第2の遷移を行なわせることを特徴とする装置。
【請求項29】
請求項1に記載の装置において、前記少なくとも1つの帯の少なくとも一方の端部はローラへ固定され、第1および第2の遷移は、前記ローラを反対の方向に交互に回転させることで起動されて、前記ローラの周囲に前記帯を巻き付け、巻き戻すことを特徴とする装置。
【請求項30】
請求項1に記載の装置において、前記少なくとも1つの帯は、収縮機構を設けた帯ローラに収縮可能に巻き付けられることを特徴とする装置。
【請求項31】
請求項30に記載の装置において、前記収縮機構は、第1の遷移前に自動的にロックして前記帯の利用可能長を一定に維持し、第2の遷移の後に自動的にロック解除して前記解放期間中に前記四肢に対する該帯の連続調節を可能とすることを特徴とする装置。
【請求項32】
四肢を包囲する少なくとも1つの帯と、
少なくとも1つのモータと、
少なくとも1つの第1の充填可能要素、および少なくとも1つの第1のエネルギー解放機構を含む帯収縮機構とを含み、該帯収縮機構は、第1のエネルギー蓄積要素に蓄積されるエネルギーの迅速な解放、および解放されたエネルギーを用いて前記少なくとも1つの帯の解放状態から収縮状態への第1の急速な遷移の発生を可能にし、さらに、
少なくとも1つの第2の充填可能要素、および少なくとも1つの第2のエネルギー解放機構を含む帯解放機構とを含み、該帯解放機構は、第2のエネルギー充填可能要素に蓄積されるエネルギーの迅速な解放、および解放されたエネルギーを用いて前記少なくとも1つの帯の前記収縮状態から前記解放状態への第2の急速な遷移の発生を可能にすることを特徴とする四肢の血液循環を促進する携帯装置。
【請求項33】
請求項32に記載の携帯装置において、第1の充填可能要素によって解放されたエネルギーの一部を第1のエネルギー解放機構によって用いて第2の充填可能要素を充填することを特徴とする携帯装置。
【請求項34】
請求項32に記載の携帯装置において、第2の充填可能要素によって解放されたエネルギーの一部を第2のエネルギー解放機構によって用いて第1の充填可能要素を充填することを特徴とする携帯装置。
【請求項35】
請求項32に記載の携帯装置において、前記少なくとも1つの第1の充填可能要素はバネであることを特徴とする携帯装置。
【請求項36】
請求項32に記載の携帯装置において、前記少なくとも1つの第2の充填可能要素はバネであることを特徴とする携帯装置。
【請求項37】
請求項32に記載の携帯装置において、該装置は、少なくとも1つの制御可能な減速機構を含み、該機構は、エネルギー解放機構の少なくとも1つへ連結され、第1および第2の急速な遷移のいずれか1つの時間中に圧力勾配プロファイルを調整することを特徴とする携帯装置。
【請求項38】
四肢の血液循環を該四肢を包囲する帯を間欠的に収縮および解放することによって促進する携帯装置において、該装置は、
2つの端部を有し、前記四肢を包囲する少なくとも1つの帯と、
モータと、
他方のアームへ向かう近端部および前記帯の一方の端部に接続可能な遠端部をそれぞれが有する2つの直線移動可能なアームと、
該2つのアームを互いの方へ急速に内側へ移動させ、これにより前記帯の解放状態から収縮状態への第1の遷移を発生させる帯収縮機構と、
該帯収縮機構へ連結され、前記2つのアームを互いから離して急速に外側方向へ移動させ、これにより所定時に前記収縮状態から前記解放状態への第2の遷移を発生させる帯解放機構とを含むことを特徴とする携帯装置。
【請求項39】
請求項38に記載の携帯装置において、前記帯収縮機構は、前記可動アームの近端部の間に挿設された帯収縮タイミングディスクと、該可動アームを互いに向けて内方へ押し付けるように配置された2つの装荷バネとを含み、前記ディスクは、2つの凹部によって遮断された一定半径の2つの弧を含む外周を有することを特徴とする携帯装置。
【請求項40】
四肢の血液循環を、該四肢を包囲する帯を間欠的に収縮および解放することによって促進する携帯装置において、該装置は、
2つの端部を有し、前記四肢を包囲する少なくとも1つの帯と、
モータと、
他方のアームへ向かう近端部および前記帯の一方の端部に接続可能な遠端部をそれぞれが有する2つの直線移動可能なアームと、
可動アームの近端部間に挿設され、2つの凹部によって遮断された一定の半径の2つの弧を含む周縁を有する帯収縮タイミングディスクと、
2つの直線可動帯解放アームと、
前記2つの可動解放アームの間に挿設、それぞれの半径が漸増して尖頭で終る2つの弧を含む外周を有する帯解放タイミングディスクと、
第1のコイルばねおよびこれに連結した第1の回転可能アームをそれぞれが含む2つの第1バネアセンブリとを含み、第1の回転可能アームは、一方の端部が前記可動アームの一方に係合し、第2の端部が帯解放アームの一方の端部に係合し、第1のコイルバネは、該可動アームを第1の回転可能アームを介して前記帯収縮ディスクに対して内方へ押し付けるように配置され、
該装置はさらに、第2のコイルバネおよび第2の回転可能アームをそれぞれが含む2つの第2のバネアセンブリを含み、第2の回転可能アームは、前記帯解放アームに係合し、第2のコイルバネは、前記帯解放アームを第2の回転可能アームを介して前記帯解放タイミングディスクに内方へ押し付けるように配置され、
第2のコイルバネによって第1の回転可能アームに行使される力は、第1のコイルバネによって第1のアームに対して行使される力より大きいことを特徴とする携帯装置。
【請求項41】
請求項40に記載の装置において、該装置は、作動中、前記収縮タイミングディスクおよび前記解放タイミングディスクが連続回転し、両ディスクは、前記可動アームが帯収縮タイミングディスクの一定半径の弧に対して摺動すると、前記解放アームが前記帯解放タイミングディスクの漸増半径の弧に対して摺動するように配置され、前記帯収縮アームが前記帯収縮タイミングアームの凹部の中へ落ち込んだ後、前記帯解放タイミングディスクの尖頭が該帯解放アームとは反対の位置に到達することを特徴とする装置。
【請求項42】
請求項40に記載の装置において、前記帯の両端部は、前記回転可能アームの遠端部において回転可能に取り付けた回転要素によって前記可動アームへ連結されていることを特徴とする装置。
【請求項43】
請求項40に記載の装置において、前記帯は、前記可動アームの一方の遠端部に取り付けた帯ローラに収縮可能に巻き付けられ、該帯ローラには収縮機構が設けられていることを特徴とする装置。
【請求項44】
請求項43に記載の装置において、前記帯ローラにはさらに、収縮ロック/ロック解除機構が設けられ、前記可動アームが内方へ移動する前に該収縮機構を自動的にロックし、該可動アームが外方へ移動した後は該収縮機構のロックを解除することを特徴とする装置。
【請求項45】
請求項44に記載の装置において、前記ロック/ロック解除機構は、前記帯ローラの一方の端部に取り付けられたラチェットホイールと、該ラチェットホイールに係合するラッチとを含み、該帯ローラの回転を妨げることを特徴とする装置。
【請求項46】
請求項45に記載の装置において、第2のバネアセンブリのうちの一方の回転アームにはウイングを設け、前記帯解放タイミングディスクが前記解放アームの反対の位置に到達すると、前記ラッチおよラチェットホイールを実質的に外すことを特徴とする装置。
【請求項47】
請求項40に記載の装置において、該装置はさらに、前記2つの可動アームを内方へ動かす際、前記四肢に加わる力を調節する力調節機構を含むことを特徴とする装置。
【請求項48】
請求項47に記載の装置において、前記力調節機構は、該第1のコイルバネへ連結された力調節歯車アセンブリを含み、第1のコイルバネに負荷をかけて所望のトルクを得ることを特徴とする装置。
【請求項49】
請求項47に記載の装置において、該装置はさらに、力調節目盛りを含み、使用者が圧力を所望の値に調節できることを特徴とする装置。
【請求項50】
少なくとも1つのモータと、
2つの平行ローラと、
四肢を包囲する2つの部分を含む少なくとも1つの帯とを含み、各部分は、一つの端部が前記2つのローラのうちの一方に固定され、第2の自由端部が他方の部分の自由端部へ連結可能であり、さらに、
前記モータによって駆動され、前記ローラを間欠的に反対の方向に回転させて前記帯を該ローラに巻き付け、巻き戻す機構を含むことを特徴とする四肢における血液循環を促進する携帯装置。
【請求項51】
請求項50に記載の装置において、該装置はさらに、前記ローラ、モータおよび機構を収納するハウジングを含むことを特徴とする装置。
【請求項52】
請求項51に記載の装置において、該装置はさらに動力源を該ハウジング内に収容して有していることを特徴とする装置。
【請求項53】
請求項50に記載の装置において、該機構は、
一方の端部が主バネによって遊星伝動装置を介して前記モータへ連結され、第2の端部が主バネ歯車へ固定され、前記モータによって負荷されるように配置された主バネと、
該主バネの歯車の回転運動を前記ローラへ伝え、前記ローラを互いに反対方向に回転させ、クラッチがロックされると、前記ローラの回転運動を妨げるように配置された帯収縮クラッチ機構が設けられた伝導歯車アセンブリと、
該伝導歯車アセンブリによって駆動され、前記主バネが負荷から解放されると負荷されるように配置された帯戻しバネと、
前記帯収縮クラッチのロックを解除して第1の所定の時間に前記ローラに前記帯の迅速な巻き付けを行なわせ、前記主バネをロック解除して第2の所定の時間に前記帯の迅速な巻き戻しを行なわせるように配置したタイミングアセンブリとを含むことを特徴とする装置。
【請求項54】
請求項53に記載の装置において、前記タイミングアセンブリは、タイミングシャフトと、該タイミングシャフトに装着され、前記帯収縮クラッチと係合するように構成され、第1の所定の時間に前記クラッチを解除する第1のカムと、前記主バネのクラッチと係合するように構成され、第2の所定の時間に前記主バネのクラッチをロック解除する第2のカムとを含むことを特徴とする装置。
【請求項55】
請求項54に記載の装置において、前記タイミングシャフトは第2のモータで駆動されることを特徴とする装置。
【請求項56】
請求項55に記載の装置において、該装置はさらに、前記少なくとも1つのモータおよび第2のモータの作動を制御するマイクロ制御装置を含むことを特徴とする装置。
【請求項57】
請求項50に記載の装置において、該装置はさらに、作動用パラメータを読み取る少なくとも1つの符号器を含むことを特徴とする装置。
【請求項58】
請求項50に記載の装置において、前記2つの帯部分を緊締装置で接続することを特徴とする装置。
【請求項59】
請求項50に記載の装置において、該装置はさらに、前記四肢の周囲に着用するスリーブ様の衣料を含み、前記スリーブ様衣料に前記帯部分を緊締することを特徴とする装置。
【請求項60】
四肢における血液の循環を該四肢に周期的圧力遷移を与えることによって促進する携帯装置において、該周期的圧力遷移は、低圧状態から高圧状態への第1の遷移と、高圧状態から低圧状態への第2の遷移とを含み、該遷移のうちの少なくとも一方が迅速遷移であることを特徴とする装置。
【請求項61】
請求項60に記載の装置において、前記迅速遷移は1秒未満であることを特徴とする装置。
【請求項62】
請求項60に記載の装置において、前記迅速遷移は500ミリ秒未満であることを特徴とする装置。
【請求項63】
請求項60に記載の装置において、前記迅速遷移は200ミリ秒未満であることを特徴とする装置。
【請求項64】
吸引作用の誘起に使用する請求項60に記載の装置において、前記迅速遷移は第2の遷移であることを特徴とする装置。
【請求項65】
請求項60に記載の装置において、第1および第2の遷移は1秒未満であることを特徴とする装置。
【請求項66】
四肢に対する圧迫と、該四肢に対し行なった圧迫の迅速解放とを含むことを特徴とする四肢における血液循環を促進させる吸引作用を誘起する方法。
【請求項67】
請求項66に記載の方法において、前記四肢への圧迫の解放は1秒未満で行なうことを特徴とする方法。
【請求項68】
請求項66に記載の方法において、前記四肢への圧迫の解放は300ミリ秒未満で行なうことを特徴とする方法。
【請求項69】
請求項66に記載の方法において、前記四肢への圧迫の解放は30ミリ秒未満で行なうことを特徴とする方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図8G】
【図8H】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図8G】
【図8H】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【公表番号】特表2007−519464(P2007−519464A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−550482(P2006−550482)
【出願日】平成16年6月9日(2004.6.9)
【国際出願番号】PCT/IL2004/000487
【国際公開番号】WO2005/072674
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VELCRO
【出願人】(506088539)フロウメディック リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月9日(2004.6.9)
【国際出願番号】PCT/IL2004/000487
【国際公開番号】WO2005/072674
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VELCRO
【出願人】(506088539)フロウメディック リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
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