説明

回収装置、貼合システム及び回収方法

【課題】光学部材の欠点を効果的に回収する。
【解決手段】光学部材とセパレータF3とが分離可能に積層されてなるシート片をナイフエッジ20の先端部19に巻きかけて移送する移送部と、ナイフエッジ20の先端部19へ移送されるシート片の光学部材が欠点を含まない良品光学部材であるか欠点を含む不良品光学部材であるかを判定する判定部と、ナイフエッジ20の先端部19へ移送されるシート片の光学部材が不良品光学部材であると判定部に判定されたときに、ナイフエッジ20の先端部19と対向する位置に配置され、不良品光学部材がナイフエッジ20の先端部19でセパレータF3から剥離しないように不良品光学部材をセパレータF3に向けて押し付ける治具29と、ナイフエッジ20を経由して移送された不良品光学部材を含むシート片を回収する回収部21と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回収装置、貼合システム及び回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液晶表示装置の製造等に用いられる装置として、偏光板の欠点を含む部分を除去する回収装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の回収装置は、セパレータで保護された長尺の偏光板をその長手方向に搬送するとともに、搬送途中で偏光板の欠点を検査し、検出された欠点を除去することができる。詳しくは、上記の回収装置は、検査結果に基づいて、偏光板の厚み方向にセパレータを残して欠点を含む偏光板を切断(ハーフカット)することができる。また、上記の回収装置は、切断した偏光板をセパレータとは別の除去用フィルムへ転移させて、欠点を除去用フィルムとともに回収(除去)することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭57−52017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の回収装置は、セパレータとは別の除去用フィルムを欠点とともに回収するので、欠点を除去するたびに除去用フィルムが廃材になってしまう。また、上記の回収装置は、セパレータを回収する装置とは別に、除去用フィルムを回収する装置が必要になるので、装置構成が複雑になるおそれもある。本発明は、上記の事情に鑑み成されたものであって、欠点を含んだ光学部材を効果的に回収可能な回収装置、貼合システム及び回収方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様の回収装置は、光学部材とセパレータとが分離可能に積層されてなるシート片をナイフエッジの先端部に巻きかけて移送する移送部と、前記ナイフエッジの先端部へ移送される前記シート片の光学部材が欠点を含まない良品光学部材であるか欠点を含む不良品光学部材であるかを判定する判定部と、前記ナイフエッジの先端部へ移送される前記シート片の光学部材が前記不良品光学部材であると前記判定部に判定されたときに、前記ナイフエッジの先端部と対向する位置に配置され、前記不良品光学部材が前記ナイフエッジの先端部で前記セパレータから剥離しないように前記不良品光学部材を前記セパレータに向けて押し付ける治具と、前記ナイフエッジを経由して移送された前記不良品光学部材を含むシート片を回収する回収部と、を備える。
【0006】
第1の態様の回収装置において、前記治具は、前記ナイフエッジの先端部に沿って屈曲する凹面を有し、前記凹面と前記ナイフエッジの先端部との間に前記シート片を挟みこむことで、前記不良品光学部材を前記セパレータに向けて押し付けてもよい。
【0007】
第1の態様の回収装置は、前記ナイフエッジの先端部を経由したシート片を前記ナイフエッジとの間に挟みこむことで前記不良品光学部材を前記セパレータに向けて押し付ける押圧部材を備えていてもよい。
【0008】
第1の態様の回収装置において、前記押圧部材は、前記治具に対する相対位置が固定されていてもよい。
【0009】
本発明の第2の態様の貼合システムは、第1の態様の回収装置と、前記判定部に前記良品光学部材と判定され、前記ナイフエッジの先端部において前記セパレータから分離した光学部材を、貼合対象物に貼合する貼合ローラと、を備える。
【0010】
第2の態様の貼合システムは、前記治具が前記ナイフエッジと対向する位置に配置される際に前記貼合ローラが前記治具と干渉しないように前記貼合ローラを移動する移動機構を備えていてもよい。
【0011】
第2の態様の貼合システムは、前記治具を前記貼合ローラと干渉しないように移動して、前記治具を前記ナイフエッジと対向する位置に配置する第2の移動機構を備えていてもよい。
【0012】
第2の態様の貼合システムにおいて、前記回収装置は、前記ナイフエッジの先端部を経由したシート片を前記ナイフエッジとの間に挟みこむことで前記不良品光学部材を前記セパレータに向けて押し付ける押圧部材を備え、前記第2の移動機構は、前記押圧部材を前記貼合ローラと干渉しないように前記治具ととともに移動して配置してもよい。
【0013】
第2の態様の貼合システムにおいて、前記押圧部材は、前記治具に対する相対位置が固定されていてもよい。
【0014】
第2の態様の貼合システムは、前記光学部材の欠点を検出する検出装置を備えていてもよい。
【0015】
第2の態様の貼合システムは、光学部材とセパレータとが分離可能に互いに積層された光学シートをその厚み方向に前記セパレータを残して切断して前記シート片を形成する切断装置を備えていてもよい。
【0016】
本発明の第3の態様の回収方法は、光学部材とセパレータとが分離可能に積層されてなるシート片をナイフエッジの先端部に巻きかけて移送することと、前記ナイフエッジの先端部へ移送される前記シート片の光学部材が欠点を含まない良品光学部材であるか欠点を含む不良品光学部材であるかを判定することと、前記ナイフエッジの先端部へ移送される前記シート片の光学部材が前記不良品光学部材であると判定されたときに、前記不良品光学部材が前記ナイフエッジの先端部で前記セパレータから剥離しないように、前記不良品光学部材を前記セパレータに向けて押し付けることと、前記ナイフエッジを経由して移送された前記不良品光学部材を含むシート片を回収することと、を含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、欠点を含んだ光学部材を効果的に回収可能な回収装置、貼合システム及び回収方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態の貼合システムの概略構成を示す図である。
【図2】液晶パネルの一例を示す平面図である。
【図3】光学シートの一例を示す断面図である。
【図4】本実施形態の切断装置の動作を示す図である。
【図5】本実施形態の切断装置の動作を示す図である。
【図6】本実施形態の貼合処理中の貼合装置及び回収装置を示す図である。
【図7】本実施形態の欠点回収処理中の貼合装置及び回収装置を示す図である。
【図8】本実施形態の回収方法の処理フローを示す図である。
【図9】本実施形態において、貼合処理と欠点回収処理とを切替えるときの処理フローを示す図である。
【図10】回収装置の変形例を示す図である。
【図11】回収装置の第2の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0020】
図1は、本実施形態の貼合システムの概略構成を示す図である。図1に示す貼合システム1は、本実施形態の回収装置2を備える。貼合システム1は、貼合エリアA1において、例えば液晶パネルや有機ELパネル等の貼合対象物に、偏光板や反射防止フィルム、光拡散フィルム等の光学部材を貼合することができる。これにより、貼合システム1は、貼合対象物及び光学部材を含んだデバイスを製造することができる。貼合システム1は、上記のデバイスを製造する製造システムの一部又は全部であってもよい。
【0021】
本実施形態の回収装置2は、光学部材を含んだ光学シートから欠点を含む部分の光学部材を貼合エリアA1へ向かう経路から排除し、回収することができる、すなわち、貼合システム1は、欠点を含まない光学部材を貼合対象物に貼合することができる。貼合システム1の詳細な説明に先立ち、まず光学シートの構成例及び液晶パネルの構成例について説明する。
【0022】
図2は、液晶パネルの構成例を示す平面図である。図2には、液晶層の厚み方向から平面視した液晶パネルが図示されている。図2に示す液晶パネルPは、第1基板P1と、第1基板P1に対向して配置された第2基板P2と、第1基板P1と第2基板P2との間に封入された液晶層P3と、を備える。液晶パネルPは、平面視した液晶層P3の外周の内側に収まる範囲が表示領域P4になっている。
【0023】
図3は、光学シートの構成例を示す断面図である。本例の光学シートは、長尺の帯状であり、その長手方向に直交する断面が図3に図示されている。以下の説明では、光学シートの長手方向を単に長手方向ということがある。
【0024】
図3に示す光学シートFは、フィルム状の光学部材F1と、光学部材F1の一方の面に設けられた粘着層F2と、粘着層F2を介して光学部材F1と分離可能に積層されたセパレータF3と、光学部材F1の他方の面に設けられた表面保護フィルムF4とを有する。本例の光学シートFの光学部材F1は、偏光板として機能し、液晶パネルPの表示領域P4の全域とその周辺領域とにわたって、貼合される。
【0025】
光学部材F1は、光学部材F1の表面に粘着層F2を残しつつ粘着層F2からセパレータF3が分離された状態で、貼合対象物に粘着層F2を介して貼合される。セパレータF3は、粘着層F2から分離されるまでの間に、粘着層F2及び光学部材F1を保護している。表面保護フィルムF4は、光学部材F1とともに貼合対象物に貼合されて、光学部材F1に対して貼合対象物とは反対側に配置される。本例の表面保護フィルムF4は、適宜選択されるタイミングで光学部材F1から分離される。表面保護フィルムF4は、光学部材F1から分離されるまでの間に、光学部材F1を保護する。
【0026】
なお、上記のように光学部材F1が表面保護フィルムF4を含んでいなくてもよいし、光学部材F1が表面保護フィルムF4を含んでいてもよく、また光学シートFが表面保護フィルムF4を含んでいなくてもよい。また、表面保護フィルムF4は、光学部材F1から分離されなくてもよい。以下の説明において、光学シートFからセパレータF3を除いた部分を貼合シートF5ということがある。
【0027】
光学部材F1は、偏光子F6と、偏光子F6の一方の面に接着剤等で接合された第1フィルムF7と、偏光子F6の他方の面に接着剤等で接合された第2フィルムF8とを有する。第1フィルムF7と第2フィルムF8は、例えば、偏光子を保護する保護フィルムである。この保護フィルムの具体例としては、トリアセチルセルロースフィルム、PETフィルム等が挙げられる。
【0028】
なお、光学部材F1は、1層の光学層からなる単層構造でもよく、複数の光学層が互いに積層された積層構造でもよい。光学層は、上記の偏光子F6の他に、位相差フィルムや輝度向上フィルム等でもよい。第1フィルムF7と第2フィルムF8の少なくとも一方は、液晶表示素子の最外面を保護するハードコート処理やアンチグレア処理を含む防眩などの効果が得られる表面処理が施されていてもよい。また、第1フィルムF7と第2フィルムF8の少なくとも一方は、設けられていなくてもよい。例えば、光学シートFは、第1フィルムF7が省略されており、セパレータF3が光学部材F1の一方の面に粘着層F2を介して貼り合わされている構造でもよい。
【0029】
次に、本実施形態の貼合システム1について、詳しく説明する。
図1に示す貼合システム1は、光学シートFを搬送しながら、光学部材F1の欠点を検出し、また光学シートFをハーフカットすることにより長手方向の複数の位置に切込線を形成し、切込線によって長手方向に区画された複数のシート片を形成することができる。貼合システム1は、複数のシート片のうちで光学部材F1が欠点を含まない良品シート片の貼合シートと、液晶表示素子の製造ラインの上流から搬送されてくる各液晶パネルPとを貼合エリアA1で貼合することができる。貼合システム1は、複数のシート片のうちで光学部材F1が欠点を含む不良品シート片を、その貼合シートを液晶パネルPと貼合することなく、回収することができる。
【0030】
本実施形態において、液晶パネルPは、表示領域P4の長辺と平行な方向に搬送されながら、液晶パネルPと平行に搬送される光学部材F1と貼合される。光学シートの長手方向に直交する幅方向の寸法は、例えば液晶パネルPの表示領域P4の短辺の長さ以上であって、表示領域P4の短辺と平行な方向の液晶パネルPの外寸以下に設定される。液晶パネルと貼合されるシート片の長手方向の長さ(以下、単位長さという)は、例えば液晶パネルPの表示領域P4の長辺の寸法以上であって、表示領域P4の長辺と平行な方向の液晶パネルPの外寸以下に設定される。
【0031】
なお、貼合システム1は、液晶パネルPが表示領域P4の短辺に平行な方向に搬送され、液晶パネルPと平行に搬送される光学部材F1と貼合される態様でもよい。この態様において、光学シートFの幅方向の寸法及び上記の単位長さは、液晶パネルPの表示領域P4の短辺の寸法や長辺の寸法等に応じて、適宜変更される。
【0032】
貼合システム1は、光学シートFが巻回されたロールRから光学シートFを繰り出して、光学シートFのうちの少なくともセパレータF3を長手方向に搬送可能な搬送装置3を備える。搬送装置3は、セパレータF3をキャリアとして、貼合シートF5をセパレータF3とともに搬送する。
【0033】
搬送装置3は、セパレータF3の搬送経路(以下、単に搬送経路という)の始点に相当する光学シート供給部4と、搬送経路の終点に相当する巻取機5と、光学シート供給部4と巻取機5との間にセパレータF3の搬送経路を形成する複数のローラと、複数のローラの少なくとも1つに設けられた測長器6とを備える。以下の説明において、搬送経路上の任意の位置に対して、搬送経路の始点(光学シート供給部4)へ近づく側を上流側、搬送経路の終点(巻取機5)へ近づく側を下流側という。
【0034】
本実施形態の貼合システム1は、搬送経路に配置されて搬送中の光学シートFに対して処理を施す複数の装置を備える。貼合システム1は、光学シート供給部4よりも搬送経路の下流に配置されて光学部材F1の欠点を検出する検出装置7と、検出装置7よりも搬送経路の下流に配置されて光学シートFにハーフカットを施す切断装置8と、切断装置8よりも搬送経路の下流に配置された回収装置2と、貼合エリアA1に配置された貼合装置9と、貼合システム1の各部を制御する制御装置10と、を備える。
【0035】
搬送装置3の光学シート供給部4は、繰出機によって構成されている。この繰出機は、ロールRを保持して回転させることができ、ロールRから搬送経路へ光学シートFを繰り出すことができる。巻取機5は、光学部材F1がセパレータF3と分離されている場合に、ほぼセパレータF3のみを回収する。巻取機5は、光学部材F1がセパレータF3と分離されていない場合に、セパレータF3及び貼合シートF5を回収する。
【0036】
搬送装置3の複数のローラは、光学シートFのうちの少なくともセパレータF3が掛け渡されることによって、搬送経路を形成する。搬送装置3の複数のローラは、搬送中の光学シートFの進行方向を変化させるローラや搬送中の光学シートFのテンションを調整可能なローラ等から選択されるローラによって構成されている。
【0037】
測長器6は、測長器6が取り付けられたローラの回転角及び外周の長さに基づいて、光学シートFが搬送された距離(搬送距離)を測定することができる。測長器6の測定結果は、制御装置10へ出力される。制御装置10は、測長器6の測定結果に基づいて、光学シートFが搬送されている間の任意の時刻に光学シートFの長手方向の各点が搬送経路上のいずれの位置に存在しているかを示すシート位置情報を生成する。
【0038】
なお、搬送装置3の構成は、所定の搬送経路で光学シートを搬送可能なように、適宜変更可能である。また、測長器6は、その測定結果に基づいて上記のシート位置情報を生成することが可能であって、生成したシート位置情報を制御装置10へ出力可能でもよい。測長器6がシート位置情報を生成し、制御装置10がシート位置情報を生成しなくてもよい。
【0039】
検出装置7は、搬送中の光学シートFの光学部材F1に内在する欠点を検出することができる。本実施形態の検出装置7は、搬送中の光学シートFに対して、反射検査、透過検査、斜め透過検査、クロスニコル透過検査等の検査処理を実行することによって、光学部材F1の欠点を検出することができる。
【0040】
検出装置7は、光学シートFに光を照射可能な照明部11と、照明部11から照射されて光学部材F1を経由(反射と透過の一方又は双方)した光の、光学部材F1における欠点の有無による変化を検出可能な光検出器12とを備える。光学部材F1の欠点は、例えば、光学部材F1の内部において固体と液体と気体の少なくとも1つからなる異物が存在する部分や、光学部材F1の表面に凹凸やキズが存在する部分、光学部材F1の歪や材質の偏り等によって輝点となる部分等である。
【0041】
照明部11は、上記のような検出装置7で行う検査の種類に応じて光強度や波長、偏光状態等が調整された光を、照射することができる。本実施形態の光検出器12は、CCD等の撮像素子で構成されており、照明部11によって光が照射されている部分の光学シートFを撮像することができる。光検出器12の検出結果(撮像結果)は、制御装置10へ出力される。制御装置10は、光検出器12によって撮像された画像を解析して、欠点の有無を判定することができる。制御装置10は、光学部材F1に欠点が存在すると判定したときに、測長器6の測定結果を参照して、欠点の光学シートF上での位置を示す欠点位置情報を生成する。
【0042】
なお、検出装置7の構成は、光学部材F1の欠点を検出可能なように、適宜変更可能である。例えば、検出装置7は、光検出器12の検出結果に基づいて欠点の有無を判定する判定部を備え、判定部の判定結果を制御装置10へ出力可能でもよい。検出装置7が判定部の判定結果を制御装置10へ出力し、制御装置10が欠点の有無を判定しなくてもよい。また、欠点の位置を示す符号が光学シート上に形成されており、検出装置7は、欠点の位置を示す符号を読み取ることによって、光学部材の欠点を検出する構成でもよい。このような光学シートは、例えば、検出装置7まで搬送されてくるよりも前に欠点の有無が検査されており、この検査結果に基づいて欠点の位置を示す符号が光学シートに形成されたものである。
【0043】
図4及び図5は、本実施形態の切断装置の動作を示す図である。切断装置8は、光学シートFの長手方向と直交する幅方向の全幅にわたって、光学シートFの厚み方向の一部を幅方向にわたって切断(ハーフカットと呼ばれることもある)することができる。本実施形態の切断装置8は、光学部材F1に対してセパレータF3とは反対側から光学部材F1に向って進退可能に設けられて光学部材F1を切断可能な切断刃13と、切断刃13を光学シートFに向って進退移動することが可能な駆動部14とを備える。
【0044】
駆動部14は、搬送中にセパレータF3に働くテンションによってセパレータF3が破断しない厚み以上のセパレータF3が残るように、粘着層F2とセパレータF3との界面の近傍まで切断刃13を進出させることができる。駆動部14が切断刃13を進出させると、光学部材F1及び表面保護フィルムF4が光学シートFの厚み方向に切断されて、光学シートFの幅方向の全幅にわたって切込線が形成される。切込線は、光学シートFの長手方向の複数の位置に形成される。光学シートFは、複数の切込線によって長手方向に区画され、長手方向に隣り合う1対の切込線に挟まれる区画のそれぞれが1つのシート片になる。
【0045】
なお、切断装置8の構成は、光学シートFの厚み方向の切込線の寸法(深さ)及び長手方向の切込線の位置を制御可能なように、適宜変更可能である。例えば、切断装置は、丸刃カッター及び駆動部を備え、駆動部が丸刃カッターを光学シートFに接触させて光学シートFの幅方向に移動(横断)させることによって、光学シートFにハーフカットを施す構成でもよい。上記の丸刃カッターは、例えば円板状であり、その外周に沿って刃が設けられた構造である。上記の駆動部は、丸刃カッターを回転させないで光学シートFの幅方向に移動させてもよいし、回転させながら移動させてもよい。また、切断装置8は、複数の丸刃カッターを備えていてもよく、複数の丸刃カッターのうちの1つ以上が回転しながら移動し、他の丸刃カッターが回転しないで移動してもよい。
【0046】
制御装置10は、上記の欠点位置情報を参照して、切断装置8によって形成された第1の切込線から光学部材F1の長手方向の単位長さに相当する区間(以下、次のシート片の区間という)に、光学部材F1の欠点が存在するか否かを判定する。制御装置10は、次のシート片の区間に欠点が存在するか否かに応じて、次に形成する切込線の位置を決定し、切込線の光学シートF上での形成位置を示す切込線位置情報を生成する。
【0047】
図4に示すように、制御装置10は、次のシート片の区間に欠点が存在しないと判定したときに、前回形成した切込線(以下、第1の切込線L1という)から次に形成する切込線(以下、第2の切込線L2という)までの光学シートF上の距離が上記の単位長さになるように、第2の切込線L2の形成位置を決定する。制御装置10は、第1の切込線L1が形成された位置から光学シートFが単位長さだけ搬送されたタイミングで、切断装置8が第2の切込線L2を形成するように、駆動部14を制御する。
【0048】
第1の切込線L1から第2の切込線L2までの区間の光学シートFは、セパレータF3と、欠点を含まない光学部材F1(良品光学部材)を含む良品貼合シートF9とを有する良品シート片F10になる。
【0049】
制御装置10は、次のシート片の区間に光学部材F1の欠点F11が存在すると判定したときに、欠点F11よりも搬送経路の上流側に切込線(以下、第3の切込線L3という)の形成位置を決定する。制御装置10は、欠点F11よりも搬送経路の上流側に切断装置8が第3の切込線L3を形成するように、駆動部14を制御する。
【0050】
図5に示すように、第1の切込線L1から第3の切込線L3までの区間の光学シートFは、セパレータF3と、欠点F11を含む光学部材F1(不良品光学部材)を含む不良品貼合シートF12とを有する不良品シート片F13になる。
【0051】
本実施形態の貼合システム1は、良品貼合シートF9と貼合する液晶パネルPを貼合エリアA1へ搬送可能なパネル搬送装置15を備える。パネル搬送装置15は、液晶パネルPを保持可能なパネル保持部16と、貼合システム1へ液晶パネルPが搬入される搬入エリアから貼合エリアA1までパネル保持部16を移動可能なパネル移動部17と、貼合エリアA1にて液晶パネルPを所定の方向に送ることが可能なコンベアー18とを備える。本実施形態において、パネル搬送装置15の各部は、制御装置10に動作タイミング等が制御される。
【0052】
パネル保持部16は、液晶表示素子の製造ラインの上流からコンベアー等によって搬入エリアへ運ばれた液晶パネルPを、制御装置10により制御されて、真空吸着等によって着脱可能に保持する。パネル移動部17は、コンベアー18に対してパネル保持部16を垂直方向及び水平方向に移動可能である。パネル移動部17は、パネル保持部16に液晶パネルPが保持されている状態で、パネル保持部16を搬入エリアから貼合エリアA1まで移動し、実質的に液晶パネルPを貼合エリアA1まで移動することができる。
【0053】
パネル保持部16は、制御装置10に制御されて、貼合エリアA1にて液晶パネルPの吸着を解除し、液晶パネルPをコンベアー18へ受け渡すことができる。コンベアー18は、貼合エリアA1まで運ばれた液晶パネルPと、貼合エリアA1まで運ばれて液晶パネルPと貼合される良品貼合シートF9とを互いに位置合わせするように、貼合装置9に液晶パネルPを供給することができる。パネル移動部17及びコンベアー18は、切断装置8によって形成された良品シート片F10が貼合エリアA1に運ばれてくるタイミングで液晶パネルPが貼合エリアA1に到着するように、制御装置10により制御される。
【0054】
図6は、本実施形態の貼合処理中の回収装置及び貼合装置を示す図である。図7は、本実施形態の欠点回収処理中の回収装置及び貼合装置を示す図である。
【0055】
図6に示すように、本実施形態の回収装置2は、良品シート片F10のうちの良品貼合シートF9とセパレータF3とを互いに分離する分離処理を実行することができる。貼合装置9は、セパレータF3と分離された良品貼合シートF9を、貼合エリアA1へ搬送されてくる液晶パネルPと貼合する貼合処理を、実行することができる。回収装置2は、良品貼合シートF9と分離されたセパレータF3を回収するセパレータ回収処理を実行することができる。図7に示すように、回収装置2は、不良品シート片F13のうちの不良品貼合シートF12をセパレータF3とともに回収する欠点回収処理を実行することができる。
【0056】
回収装置2は、セパレータF3をキャリアとしてシート片をナイフエッジ20に巻きかけて移送(搬送)する移送部と、ナイフエッジ20へ移送されるシート片が不良品シート片F13であるか、若しくは良品シート片10であるかを判定する判定部と、不良品シート片F13のうちの不良品貼合シートF12がナイフエッジ20でセパレータF3から分離しないように、不良品貼合シートF12をガイドするガイド部22と、ナイフエッジ20を経由して移送された不良品シート片F13を回収する回収部21と、を備える。
【0057】
本実施形態の移送部は、ナイフエッジ20と、搬送装置3を構成する複数の搬送ローラのうちでナイフエッジ20とともにセパレータF3が掛け渡されるローラと、を含んで構成されている。ナイフエッジ20とともにセパレータF3が掛け渡されるローラのうちの1つは、ナイフエッジ20よりも搬送経路の下流に配置されたガイドローラ25である。
【0058】
本実施形態の判定部は、制御装置10に含まれている。本実施形態の判定部(制御装置10)は、上記のシート位置情報と、欠点位置情報と、切込線位置情報とに基づいて、ナイフエッジ20へ搬送されてくるシート片が不良品シート片F13であるか良品シート片10であるかを判定する。
【0059】
本実施形態の回収部21は、搬送装置3の一部である。本実施形態の回収部21は、巻取機5、及び搬送装置3を構成する複数のローラのうちでガイドローラ25よりも搬送経路の下流側に配置されたローラの少なくとも1つを含んで構成されている。なお、回収部21は、巻取機5のみで構成されていてもよい。
【0060】
本実施形態のガイド部22は、不良品貼合シートF12をセパレータF3に向けて押し付ける治具29と、治具29を、ナイフエッジ20を経由する不良品シート片に接触する第1の位置X1と、ナイフエッジ20を経由する良品シート辺に接触しない第2の位置X2との間で移動する第1移動部30と、を備える。
【0061】
本実施形態のナイフエッジ20は、光学シートFの幅方向に延びる柱状であり、ナイフエッジ20へ搬送されてくる光学シートFに向かい合う第1面23と、第1面23に対して鋭角(0°より大きく90°未満の角度)をなす第2面24とを有する。先端部19は、第1面23に隣接する第2面24の端部と、第2面24に隣接する第1面23の端部とを含む。
【0062】
本実施形態において、回収装置2まで搬送された光学シートFは、その片面をナイフエッジ20の第1面23に対向させながら、先端部19へ向って搬送される。セパレータF3は、先端部19とガイドローラ25とに掛け渡されて、先端部19よりも搬送経路の下流側の部分の光学部材F1に対して鋭角をなす方向へ搬送されることによって、先端部19を支点として屈曲する。一方で、良品貼合シートF9は、第1面23と第2面24との先端部19から概ね第1面23と平行な方向へ進行する。これにより、セパレータF3は、長手方向における搬送経路の下流側(第1の切込線L1側)から上流側(第2の切込線L2側)へ向って順に良品貼合シートF9から分離する。このようにして、分離処理が実行される。良品貼合シートF9と分離されたセパレータF3は、ガイドローラ25を介して巻取機5へ巻き取られて回収される。このようにして、セパレータ回収処理が実行される。
【0063】
本実施形態の貼合装置9は、1対の貼合ローラ26と、貼合ローラ26を移動可能な移動機構(以下、第2移動部27という)とを備える。1対の貼合ローラ26は、互いの回転軸がほぼ平行になるように、配置されている。貼合ローラ26は、貼合処理が実行されるときに第3の位置X3に配置される。第3の位置X3は、第3の位置X3に配置された1対の貼合ローラ26の間が、先端部19を経由した良品貼合シートF9の向う先に配置されるように、設定されている。貼合エリアA1へ搬送された液晶パネルPは、第3の位置X3に配置された1対の貼合ローラ26の間に、コンベアー18によって搬送される。
【0064】
互いに貼合される液晶パネルP及び良品貼合シートF9は、貼合後に互いに接触するそれぞれの面が互いに平行かつ1対の貼合ローラ26の回転軸に対して平行になるように、1対の貼合ローラ26の間に運ばれる。1対の貼合ローラ26は、貼合処理中に、1対の貼合ローラ26の間に運ばれた液晶パネルP及び良品貼合シートF9を、挟み込んで互いに押し合せて貼合する。良品貼合シートF9と貼合された液晶パネルPは、液晶表示素子の製造ラインの下流へ搬送される。このようにして、貼合処理が実行される。
【0065】
本実施形態のガイド部22の治具29は、欠点回収処理中に使用される部材である。治具29は、不良品貼合シートF12がセパレータF3に沿ってナイフエッジ20の先端部19を回るように、不良品貼合シートF12の進行方向を変更することができる。
【0066】
貼合処理中において、治具29は、ナイフエッジ20の先端部19を経由した良品貼合シートF9に接触しない第2の位置X2に、配置されている。本実施形態において、第2の位置X2は、第2の位置X2に配置された治具29が貼合処理中の貼合装置9の動作を妨げないように、設定されている。ここでは、第2の位置X2は、第2の位置X2に配置された治具29が1対の貼合ローラ26及び液晶パネルPのいずれにも接触しないように、設定されている。
【0067】
本実施形態の治具29は、凹面28を有する。欠点回収処理中(図7参照)において、治具29は、凹面28がナイフエッジ20の先端部19と対向するように、第1の位置X1に配置される。治具29の凹面28は、治具29が第1の位置X1に配置されたときに、ナイフエッジ20の先端部19に沿うように屈曲した形状である。本実施形態において、凹面28は、ナイフエッジ20の先端部19に到達するときの光学シートFの幅方向から見てV字型(またはU字型)である。
【0068】
上記の第1の位置X1は、第1の位置X1に配置された治具29の凹面28がナイフエッジ20の近傍で先端部19を囲むように、設定されている。第1の位置X1に配置された治具29の凹面28と、ナイフエッジ20の先端部19の周囲の第1面23あるいは第2面24との間隔は、例えば光学シートFの厚みの1倍よりも大きく10倍以下に設定され、ここでは、光学シートFの厚みの1倍よりも大きく2倍以下に設定されている。
【0069】
欠点回収処理中において、1対の貼合ローラ26は第4の位置X4に配置される。第4の位置X4は、第4の位置X4に配置された1対の貼合ローラ26が第1の位置X1に配置されている治具29と干渉しないように、設定されている。
【0070】
欠点回収処理中において、ナイフエッジ20の先端部19へ搬送された不良品シート片F13のセパレータF3は、上記の分離処理中と同様に、先端部19を支点として屈曲して、ガイドローラ25に向って搬送される。欠点回収処理中において、ナイフエッジ20の先端部19を経由する不良品貼合シートF12は、第1の位置X1に配置されている治具29の凹面28に沿って屈曲しながら送られることによって、セパレータF3に向けて押し付けられる。治具29は、不良品貼合シートF12の少なくとも一部が先端部19で屈曲したセパレータF3と先端部19よりも搬送経路の下流側で接触しているように、不良品貼合シートF12を屈曲させる。本実施形態において、治具29の凹面28の形状及び第1の位置X1は、治具29によって屈曲した不良品貼合シートF12と、先端部19で屈曲したセパレータF3とが互いにほぼ分離しないように、設定されている。
【0071】
ナイフエッジ20の先端部19を経由した不良品貼合シートF12は、セパレータF3とともにガイドローラ25を経由して巻取機5に巻き取られ、セパレータ回収処理中のセパレータF3と同様に、回収部21に回収される。このようにして、欠点回収処理が実行される。
【0072】
第1移動部30は、第1の位置X1と第2の位置X2との間で、治具29を移動することができる。第1移動部30は、治具29を第2の位置X2から第1の位置X1まで移動する治具配置処理と、治具29を第1の位置X1から第2の位置X2まで移動する治具配退避処理とを実行することができる。制御装置10は、第1移動部30を制御して、第1移動部30に治具配置処理と治具配退避処理のそれぞれを実行させることができる。
【0073】
第2移動部27は、第3の位置X3と第4の位置X4との間で、1対の貼合ローラ26を移動することができる。第2移動部27は、一対の貼合ローラ26を第4の位置X4から第3の位置X3まで移動する貼合ローラ配置処理と、一対の貼合ローラ26を第3の位置X3から第4の位置X4まで移動する貼合ローラ配退避処理とを実行することができる。制御装置10は、第2移動部27を制御して、第2移動部27に貼合ローラ配置処理と貼合ローラ配退避処理のそれぞれを実行させることができる。
【0074】
本実施形態の制御装置10は、コンピュータシステムを含んで構成されている。このコンピュータシステムは、CPU等の演算処理部と、メモリーやハードディスク等の記憶部とを備える。本実施形態の制御装置10は、コンピュータシステムの外部の装置との通信を実行可能なインターフェースを含む。制御装置10には、入力信号を入力可能な入力装置が接続されていてもよい。上記の入力装置は、キーボード、マウス等の入力機器、あるいはコンピュータシステムの外部の装置からのデータを入力可能な通信装置等を含む。制御装置10は、貼合システム1の各部の動作状況を示す液晶表示ディスプレイ等の表示装置を含んでいてもよいし、表示装置と接続されていてもよい。
【0075】
制御装置10の記憶部には、コンピュータシステムを制御するオペレーティングシステム(OS)がインストールされている。制御装置10の記憶部には、演算処理部に貼合システム1の各部を制御させることによって、貼合システム1の各部に不良品シート片F13を排除するための処理を実行させるプログラムが記録されている。記憶部に記録されているプログラムを含む各種情報は、制御装置10の演算処理部が読み取り可能である。制御装置10は、貼合システム1の各部の制御に要する各種処理を実行するASIC等の論理回路を含んでいてもよい。
【0076】
次に、本実施形態の回収方法を含んだ貼合方法について説明する。図8は、本実施形態の回収方法の処理フローを示す図である。
【0077】
本実施形態の貼合方法は、光学シートFを所定の搬送方向に搬送する搬送処理と、搬送処理と並行して実行される複数の処理を含む。光学シートFの一部に着目すると、複数の処理のうちの各処理は、この一部に対して時間順次で実行される。以下、光学シートFの一部に着目して、複数の処理の処理フローを説明する。
【0078】
なお、光学シートFの全体に着目すると、複数の処理から適宜選択される第1の処理が光学シートFの第1の部分に対して実行されている間に、第1の部分とは異なる第2の部分に対して、複数の処理から適宜選択される第2の処理が第1の処理と並行して実行される。
【0079】
本実施形態の貼合方法は、光学シートFの光学部材F1の欠点を検出する検出処理S1と、検出処理S1が実行された部分の光学シートFの搬送方向の複数の位置に切込線を形成して良品シート片F10又は不良品シート片F13を形成するシート片形成処理S2と、を実行する。
【0080】
本実施形態の制御装置10は、搬送装置3を制御して、光学シート供給部4から巻取機5までの搬送経路に沿ってセパレータF3を搬送する搬送処理を搬送装置3に実行させる。制御装置10は、検出装置7を制御して、検出装置7に検出処理S1を実行させる。制御装置10は、測長器6の測定結果及び検出装置7の検出結果に基づいて、次に形成する切込線の光学シートF上での位置を示す切込線位置情報を生成する。制御装置10は、切込線位置情報に基づいて切断装置8を制御し、切断装置8にシート片形成処理S2を実行させる。
【0081】
また、本実施形態の貼合方法は、シート片形成処理S2で形成されてナイフエッジ20の先端部19へ向うシート片が良品シート片F10であるか否かを判定する判定処理S3と、ナイフエッジ20の先端部19へ向うシート片が良品シート片F10であるときに、良品シート片F10の良品貼合シートF9とセパレータF3とを互いに分離する分離処理S4と、貼合エリアA1に良品シート片F10が搬送されてくるタイミングと同期させて貼合エリアA1へ貼合対象物(液晶パネルP)を搬送するパネル搬送処理S5と、分離処理S4でセパレータF3と分離した良品貼合シートF9を貼合対象物と貼合する貼合処理S6と、分離処理S4で良品貼合シートF9と分離したセパレータF3を回収するセパレータ回収処理S7と、を実行する。
【0082】
本実施形態の制御装置10は、測長器6の測定結果と欠点位置情報に基づいて、判定処理S3を実行する。制御装置10は、ナイフエッジ20の先端部19へ向かうシート片が良品シート片F10であると判定したときに、回収部21を制御して、回収部21に分離処理S4及びセパレータ回収処理S7を実行させ、パネル搬送装置15を制御してパネル搬送装置15にパネル搬送処理S5を実行させ、また貼合装置9を制御して貼合装置9に貼合処理S6を実行させる。
【0083】
また、本実施形態の貼合方法は、ナイフエッジ20の先端部19へ向うシート片が不良品シート片F13であるときに、貼合エリアA1への貼合対象物(液晶パネルP)の搬入を停止させるか、又は貼合エリアA1から貼合対象物を退避させるパネル退避処理S8と、このパネル退避処理S8の後に、不良品貼合シートF12をセパレータF3とともに回収する欠点回収処理S9と、を実行する。
【0084】
本実施形態の制御装置10は、判定処理S3でナイフエッジ20の先端部19へ向かうシート片が良品シート片F10でない(不良品シート片F13である)と判定したときに、パネル搬送装置15を制御してパネル搬送装置15にパネル退避処理S8を実行させ、またガイド部22及び回収部21に欠点回収処理S9を実行させる。
【0085】
図9は、本実施形態において、貼合処理と欠点回収処理とを切替えるときの処理フローを示す図である。
本実施形態の貼合方法は、貼合処理S6の対象の良品シート片F10に続くシート片が不良品シート片F13であるときに、パネル退避処理S8を実行した後に、第3の位置X3に配置されている1対の貼合ローラ26を第4の位置X4へ移動する貼合ローラ配退避処理S10と、この貼合ローラ配退避処理S10の終了後に、第2の位置X2に配置されている治具29を第1の位置X1へ移動する治具配置処理S11と、を実行し、この治具配置処理S11の終了後に、ナイフエッジ20の先端部19に次に到着する不良品シート片F13に対する欠点回収処理S9と、を実行する。
【0086】
なお、2以上の良品シート片F10が連続的に貼合エリアA1に運ばれる場合に、貼合処理S6は、1対の貼合ローラ26の位置と治具29の位置を保持したまま、2以上の良品シート片F10に連続して、実行される。
【0087】
本実施形態の制御装置10は、前のシート片に対する貼合処理S6の終了後に、パネル搬送装置15を制御してパネル退避処理S8を実行させ、このパネル退避処理S8の終了後に、第2移動部27を制御して第2移動部27に貼合ローラ配退避処理S10を実行させ、この貼合ローラ配退避処理S10の終了後に、第1移動部30を制御して第1移動部30に治具配置処理S11を実行させ、この治具配置処理S11の終了後にパネル退避処理S8及び次のシート片に対する欠点回収処理S9を実行させる。
【0088】
本実施形態の貼合方法は、欠点回収処理S9の対象の不良品シート片F13に続くシート片が良品シート片F10であるときに、第1の位置X1に配置されている治具29を第2の位置X2へ移動する治具退避処理S12と、この治具退避処理S12の終了後に、第4の位置X4に配置されている1対の貼合ローラ26を第3の位置X3へ移動する貼合ローラ配置処理S13と、を実行し、この貼合ローラ配置処理S13の終了後に、ナイフエッジ20の先端部19に次に到着する良品シート片F10に対する分離処理S4、パネル搬送処理S5、貼合処理S6、及びセパレータ回収処理S7を実行する。
【0089】
なお、2以上の不良品シート片F13が連続的にナイフエッジ20の先端部19へ運ばれる場合に、欠点回収処理S9は、1対の貼合ローラ26の位置と治具29の位置を保持したまま、2以上の不良品シート片F13に連続して実行される。
【0090】
本実施形態の制御装置10は、前のシート片に対する欠点回収処理S9の終了後に、第1移動部30を制御して第1移動部30に治具退避処理S12を実行させ、この治具退避処理S12の終了後に、第2移動部27を制御して第2移動部27に貼合ローラ配置処理S13を実行させ、この貼合ローラ配置処理S13の終了後に次のシート片に対する分離処理S4、パネル搬送処理S5、貼合処理S6、及びセパレータ回収処理S7を実行させる。
【0091】
以上のように、本実施形態の貼合方法は、光学シートFから形成される複数のシート片のうちで、光学部材F1が欠点を含まない良品貼合シートF9を貼合対象物(液晶パネルP)に貼合するとともに、不良品貼合シートF12を貼合対象物と貼合しないで回収することができる。
【0092】
上記のように、本実施形態の制御装置10は、コンピュータシステムによって構成されており、制御装置10の記憶部に記憶されているプログラムに従って、貼合システム1の各部を制御する。このプログラムは、コンピュータに、欠点を含んだ光学部材を回収する回収装置の制御を実行させるプログラムであって、光学部材とセパレータとが分離可能に積層されてなるシート片をナイフエッジの先端部に巻きかけて移送することと、前記ナイフエッジの先端部へ移送される前記シート片の光学部材が欠点を含まない良品光学部材であるか欠点を含む不良品光学部材であるかを判定することと、前記ナイフエッジの先端部へ移送される前記シート片の光学部材が前記不良品光学部材であると判定されたときに、前記不良品光学部材が前記ナイフエッジの先端部で前記セパレータから剥離しないように、前記不良品光学部材を前記セパレータに向けて押し付けることと、前記ナイフエッジを経由して移送された前記不良品光学部材を含むシート片を回収することと、を実行させるプログラムである。
【0093】
以上のような構成の回収装置2は、光学部材F1が欠点F11を含んでいる不良品貼合シートF12を、セパレータF3とともに回収することができる。したがって、不良品貼合シートF12をセパレータF3とは別の除去用フィルム等に転移させて除去する手法と比較して、除去用フィルムを省くことができ、除去用フィルムに要するコストを省くことができる。また、回収装置2は、セパレータF3を回収する回収部21を利用して不良品貼合シートF12を回収することができるので、例えば除去用フィルムを回収する装置を回収部21とは別に設ける必要が低くなり、装置構成をシンプルにすることができる。
【0094】
以上のように、本実施形態の回収装置2は、光学部材F1の欠点F11を効果的に除去することができる。また、本実施形態の貼合システム1は、光学部材F1の欠点F11を効果的に除去しつつ、欠点F11を含まない光学部材F1(良品貼合シートF9)を貼合対象物と貼合することができる。また、本実施形態の回収方法は、セパレータF3とは別の除去用フィルム等を用いなくても不良品貼合シートF12を除去することができるので、光学部材F1の欠点F11を効果的に除去することができる。
【0095】
次に、回収装置の変形例について説明する。図10は、本実施形態の回収装置の変形例を示す図である。
【0096】
図10に示す回収装置2Bは、ナイフエッジ20の先端部19を経由した不良品シート片F13をナイフエッジ20の第2面24との間に挟みこむことで、不良品光学部材(不良品貼合シートF12)をセパレータF3に向けて押し付ける押圧部材31を備える。本例の押圧部材31は、先端部19を経由する不良品貼合シートF12の幅方向に平行な回転軸周りに回転可能なローラで構成されている。
【0097】
貼合処理S6中において、押圧部材31は、ナイフエッジ20の先端部19を経由した良品貼合シートF9に接触しない第5の位置X5に、配置されている。本実施形態において、第5の位置X5は、第5の位置X5に配置された押圧部材31が貼合処理S6中の貼合装置9の動作を妨げないように、設定されている。ここでは、第5の位置X5は、第5の位置X5に配置された押圧部材31が1対の貼合ローラ26及び液晶パネルPのいずれにも接触しないように、設定されている。
【0098】
欠点回収処理S9中において、押圧部材31は、ナイフエッジ20の第2面24との間に不良品貼合シートF12とセパレータF3とを挟むように、第6の位置X6に配置される。本例において、ガイド部22の第1移動部30は、制御装置10に制御されて、押圧部材31を第5の位置X5と第6の位置X6との間で移動させることができる。
【0099】
第6の位置X6に配置された押圧部材31は、不良品シート片F13を第2面24に向かって押圧することによって、不良品貼合シートF12とセパレータF3とを互いに押し合わせて密着させる。これにより、例えば先端部19を経由したときに不良品貼合シートF12の一部がセパレータF3から剥離していた場合でも、不良品貼合シートF12とセパレータF3とが互いに密着するので、不良品貼合シートF12が巻取機5へ巻き取られる前にセパレータF3から脱離することが抑制され、不良品貼合シートF12を効果的に回収することができる。
【0100】
次に、回収装置の第2の変形例について説明する。図11は、本実施形態の回収装置の第2の変形例を示す図である。
【0101】
図10に示す回収装置2Cは、治具29と、押圧部材31と、第1移動部30(第2の移動機構)を備える。本例の治具29は、搬送方向の下流側の凹面28の端部にて押圧部材31を回転可能に保持している。すなわち、押圧部材31は、治具29に対する相対位置が固定されている。以下、互いに位置が固定された治具29及び押圧部材31を剥離抑制ユニット32という。
【0102】
貼合処理S6中において、剥離抑制ユニット32は、ナイフエッジ20の先端部19を経由した良品貼合シートF9に接触しない第7の位置X7に、配置される。また、欠点回収処理S9中において、剥離抑制ユニット32は、治具29がナイフエッジ20を経由する不良品シート片に接触する第1の位置X1に配置され、かつ、押圧部材31がナイフエッジ20の第2面24との間に不良品貼合シートF12とセパレータF3とを挟むように、第8の位置X8に配置される。第1移動部30は、制御装置10に制御されて、治具29及び押圧部材31のそれぞれが貼合ローラと干渉しないように、剥離抑制ユニット32を第7の位置X7と第8の位置X8との間で移動することができる。
【0103】
第2の変形例の回収装置2Cは、不良品貼合シートF12が巻取機5へ巻き取られる前にセパレータF3から脱離することが抑制され、不良品貼合シートF12を効果的に回収することができる。また、治具29と押圧部材31とが一体化されて剥離抑制ユニット32を構成しており、第1移動部30が剥離抑制ユニット32を移動するので、治具29と押圧部材31とを個別に移動する構成よりも第1移動部30の構成や制御方法をシンプルにすることができる。
【0104】
なお、治具29及び押圧部材31は、治具29と押圧部材31のいずれとも異なる固定部材によって互いの相対位置を固定されて剥離抑制ユニットを構成していてもよい。また、押圧部材31は、治具29に対する相対位置が可変であってもよい。また、押圧部材31を移動して所定の位置に配置する機構は、治具29を移動して所定の位置に配置する機構とは別に設けられていてもよい。
【0105】
なお、本発明の技術範囲は上記の実施形態に限定されるものではない。本発明の主旨を逸脱しない範囲内で多様な変形が可能である。
【0106】
上記の貼合システム1は、検出装置7によって光学部材F1の欠点F11を検出しているが、搬送する前に予め検査された光学シートFを用いるとともに、制御装置10が、その検査結果を用いて良品シート片であるか否かの判定を行ってもよい。上記の検査結果は、符合等の形態で光学シートFに形成されていてもよいし、例えばロールRの長手方向の端からの欠点の位置を示すデータとして、制御装置に入力されてもよい。このように、予め検査された光学シートFを用いる場合に、検出装置7は省略されていてもよい。
【0107】
また、上記の貼合システム1は、切断装置8によって切込線を形成することによって、光学シートFを複数のシート片に区画しているが、予め複数のシート片に区画された光学シートFを用いてもよく、この場合に、切断装置8は省略されていてもよい。
【0108】
また、上記の貼合システム1は、光学シートFが巻回されたロールRから光学シートFを繰り出しているが、搬送装置3の光学シート供給部4は光学シートFの製造装置であってもよい。この光学シートFの製造装置は、貼合システム1の一部であってもよいし、貼合システム1の外部の装置であってもよい。
【0109】
上記の実施形態では、先端部19を経由した不良品貼合シートF12がセパレータF3からほぼ分離しない例を説明したが、不良品貼合シートF12は、一部がセパレータF3と分離していてもセパレータF3から脱離しない程度に密着していれば、セパレータF3とともに回収することができる。また、上記の変形例のように、先端部19を経由した後の不良品貼合シートF12とセパレータF3との密着性を高めてもよい。
【0110】
上記の第1移動部30及び第2移動部27は、貼合ローラ26と治具29とを連動して移動可能なリンク機構を含んだ1つの移動機構に含まれていてもよく、この移動機構は制御装置10によって制御されてもよい。
【符号の説明】
【0111】
1・・・貼合システム、2、2B・・・回収装置、3・・・搬送装置(移送部、回収部)7・・・検出装置、8・・・切断装置、9・・・貼合装置、10・・・制御装置(判定部)、19・・・先端部、20・・・ナイフエッジ、21・・・回収部、26・・・貼合ローラ、27・・・第2移動部(移動機構)、28・・・凹面、29・・・治具、30・・・第1移動部(第2の移動機構)、31・・・押圧部材、F・・・光学シート、F1・・・光学部材、F3・・・セパレータ、X1・・・第1の位置、F9・・・良品貼合シート(良品光学部材)、F10・・・良品シート片、F11・・・欠点、F12・・・不良品貼合シート(不良品光学部材)、F13・・・不良品シート片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学部材とセパレータとが分離可能に積層されてなるシート片をナイフエッジの先端部に巻きかけて移送する移送部と、
前記ナイフエッジの先端部へ移送される前記シート片の光学部材が欠点を含まない良品光学部材であるか欠点を含む不良品光学部材であるかを判定する判定部と、
前記ナイフエッジの先端部へ移送される前記シート片の光学部材が前記不良品光学部材であると前記判定部に判定されたときに、前記ナイフエッジの先端部と対向する位置に配置され、前記不良品光学部材が前記ナイフエッジの先端部で前記セパレータから剥離しないように前記不良品光学部材を前記セパレータに向けて押し付ける治具と、
前記ナイフエッジを経由して移送された前記不良品光学部材を含むシート片を回収する回収部と、を備える回収装置。
【請求項2】
前記治具は、前記ナイフエッジの先端部に沿って屈曲する凹面を有し、前記凹面と前記ナイフエッジの先端部との間に前記シート片を挟みこむことで、前記不良品光学部材を前記セパレータに向けて押し付ける請求項1に記載の回収装置。
【請求項3】
前記ナイフエッジの先端部を経由したシート片を前記ナイフエッジとの間に挟みこむことで前記不良品光学部材を前記セパレータに向けて押し付ける押圧部材を備える請求項1又は2に記載の回収装置。
【請求項4】
前記押圧部材は、前記治具に対する相対位置が固定されている請求項3に記載の回収装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の回収装置と、
前記判定部に前記良品光学部材と判定され、前記ナイフエッジの先端部において前記セパレータから分離した光学部材を、貼合対象物に貼合する貼合ローラと、を備える貼合システム。
【請求項6】
前記治具が前記ナイフエッジと対向する位置に配置される際に前記貼合ローラが前記治具と干渉しないように前記貼合ローラを移動する移動機構を備える請求項4に記載の貼合システム。
【請求項7】
前記治具を前記貼合ローラと干渉しないように移動して、前記治具を前記ナイフエッジと対向する位置に配置する第2の移動機構を備える請求項5又は6に記載の貼合システム。
【請求項8】
前記回収装置は、前記ナイフエッジの先端部を経由したシート片を前記ナイフエッジとの間に挟みこむことで前記不良品光学部材を前記セパレータに向けて押し付ける押圧部材を備え、
前記第2の移動機構は、前記押圧部材を前記貼合ローラと干渉しないように前記治具ととともに移動して配置する請求項7に記載の貼合システム。
【請求項9】
前記押圧部材は、前記治具に対する相対位置が固定されている請求項8に記載の貼合システム。
【請求項10】
前記光学部材の欠点を検出する検出装置を備える請求項5ないし9のいずれか一項に記載の貼合システム。
【請求項11】
光学部材とセパレータとが分離可能に互いに積層された光学シートをその厚み方向に前記セパレータを残して切断して前記シート片を形成する切断装置を備える請求項5ないし10のいずれか一項に記載の貼合システム。
【請求項12】
光学部材とセパレータとが分離可能に積層されてなるシート片をナイフエッジの先端部に巻きかけて移送することと、
前記ナイフエッジの先端部へ移送される前記シート片の光学部材が欠点を含まない良品光学部材であるか欠点を含む不良品光学部材であるかを判定することと、
前記ナイフエッジの先端部へ移送される前記シート片の光学部材が前記不良品光学部材であると判定されたときに、前記不良品光学部材が前記ナイフエッジの先端部で前記セパレータから剥離しないように、前記不良品光学部材を前記セパレータに向けて押し付けることと、
前記ナイフエッジを経由して移送された前記不良品光学部材を含むシート片を回収することと、を含む回収方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−189972(P2012−189972A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88166(P2011−88166)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【特許番号】特許第4844857号(P4844857)
【特許公報発行日】平成23年12月28日(2011.12.28)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】