説明

回折表面構造を有するセキュリティ文書、およびその製造方法

本発明は、少なくとも1つのセキュリティ素子を有するセキュリティ文書1と、そのセキュリティ文書1を製造するための方法とに関する。特に、本発明は、少なくとも1つのセキュリティ素子を有するセキュリティ文書1であって、このセキュリティ文書1が、少なくとも1つの回折層2を含む文書体を含み、少なくとも1つの回折層2が上面に、光学的に薄い投影ホログラムとして形成されている回折表面構造4を少なくとも1つのセキュリティ素子として含み、回折表面構造4を読み取るために回折層2の上面6に当たって、回折表面構造4を透過した再生光9、10の、回折層2の上面6を介して戻る全方向の反射を最小限にするために、文書体において、少なくとも1つの回折層2の上面6から見て回折表面構造4の後方に、少なくとも1つのノイズ抑制構造体が形成または配置されているセキュリティ文書1に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのセキュリティ素子を有するセキュリティ文書と、その製造方法に関する。特に、本発明は、少なくとも1つの回折層を含む、好ましくは複数の層から形成された文書体を含むセキュリティ文書であって、少なくとも1つの回折層が上面に、表面レリーフとして形成されている回折表面構造を少なくとも1つのセキュリティ特徴として含むセキュリティ文書に関する。
【背景技術】
【0002】
その文書および物体は、少なくとも1つのセキュリティ素子により、偽造、および/または認可されていないコピーに対して保護されているセキュリティ文書と呼ばれる。ある種のセキュリティ素子は回折構造、特にホログラムである。
【0003】
しばしば、セキュリティ素子には、例えばシリアル番号、証明番号、生物学的データ、写真(パスポート写真)等の個別のデータも含まれている。これらのデータは、平文または画像形態で、あるいは光学的に符号化するかまたは読み取り可能に設けることができる。
【0004】
ある種の回折構造は、いわゆる回折表面レリーフである。このような回折表面レリーフは、多くの場合、エンボス加工ホログラムとも呼ばれるが、その理由は、先行技術から知られている製造が、文書体のまたは層の表面で、レリーフ状の構造をエンボス加工し、その後、その構造を文書体に一体化することを意図するからである。例えば、複数の層をモノリシック文書体に積層する間に、エンボス加工を行うことができる。代わりに、ナノ秒範囲のパルスレーザによって、回折構造を文書に組み込んでもよい。さらにその代わりに、レーザアプリケーション等によって、回折構造を表面に組み込んでもよい。このことは、特に適切には、フェムト秒レーザパルスを用いるとうまくいく。
【0005】
一般に、このように形成された回折表面レリーフは、いわゆる光学的な薄い格子である。理論的な考えは、例えば、正弦波状に形成された格子について、約34%の最大回折効率を実現することができることを示している。光学的に薄い回折構造または薄いホログラムは、再生のための比較的低い角度選択性を有し、さらには、再生における低い波長選択性を有するという特徴を有する。さらに、回折表面レリーフは、本質的に、透過構造であり、すなわち、回折表面レリーフに記憶された情報を見ることができるようにすべきである再生光と呼ばれる、回折表面レリーフを読み取るために使用される光が、本質的に透過されるような構造である。それにもかかわらず、回折表面レリーフにおける反射が境界面効果として行われる。この境界面効果は、表面レリーフが形成されている表面に隣接する媒体が、表面レリーフが形成されている材料とは異なる回折率を有するということに基づいている。表面レリーフがセキュリティ文書の最上層に形成されている場合、通常一桁のパーセント範囲にある反射が行われる空気と文書表面との境界面が存在する。典型的な空気とポリマーとの境界層において、当たる光の約4%が回折表面レリーフによって反射回折され、すなわち反射的に回折される。
【0006】
セキュリティ文書は、通常、透明ではなく、不透明な層、特に、印刷層または着色層を含むので、再生光の透過した部分は、通常、文書で拡散散乱される。拡散散乱により出射する再生光の部分は、通常、表面レリーフに直接反射回折された再生光の部分よりも非常に極めて大きいので、回折表面レリーフに含まれた情報の読み取りがもはや困難になる可能性がある。
【0007】
したがって、先行技術から、回折表面レリーフを金属層で覆うこと、例えば、この金属層を蒸着することが知られている。これにより、回折表面レリーフの反射が改善される。しかし、このような金属化は高価であり、さらには、回折表面レリーフの領域における透過性に悪影響を与える。したがって、本発明の技術的課題は、回折表面レリーフを金属化することなく、この回折表面レリーフに含まれた情報の読み取りをより適切に行うことができるセキュリティ文書、およびその製造方法を提供することである。
定義
セキュリティ素子は、少なくとも1つのセキュリティ特徴を含む構造ユニットである。セキュリティ素子は、有価証券でもあり得るセキュリティ文書と結合し、例えば接着することができる独立した構造ユニットであることができる。さらに、セキュリティ素子は、セキュリティ文書の一体化された構成要素であることもできる。前者の例は、セキュリティ文書に接着可能なビザである。後者の例は、証明書にエンボス加工された回折表面レリーフである。
【0008】
セキュリティ特徴は、(簡単なコピーに対しては)費用が単に増加するか、あるいは不正に作成または再現することが全くできない構造である。
【0009】
一例として、セキュリティ文書と呼ばれるものは、身分証明書、パスポート、IDカード、入場許可証、ビザ、印紙、チケット、運転免許証、車検証、有価証券、特に紙幣、小切手、郵便切手、クレジットカード、任意のチップカードおよび(例えば、製品を保証するための)保証ラベルである。有価証券も含むこのようなセキュリティ文書は文書体を備える。
【0010】
複数の層から製造された文書体は、少なくとも2つの層から製造されている物体である。この層の少なくとも1つは、典型的に、プラスチック層または紙層である。複数の層は、通常、1つまたは複数の印刷層も含む。単一のまたは複数の層から製造された文書体は、例えば、印刷層に貼り付けられているプラスチックフィルムを含む。しかし、通常、文書体は、積層法によってモノリシック文書体に結合されている複数のプラスチック層および/または紙層および/または印刷層からなる。
【0011】
フーリエホログラムとも呼ばれる投影ホログラムは、再生を行うために、この場合、スクリーンで撮像を行うために、適切な入射角度で、適合する波長の光(再生光)を照射することができるホログラムである。再生光は通常レーザ光である。典型的に、画像(情報)が、フーリエレンズを介したコヒーレント光によって撮像され、フーリエ面において、干渉を行うために、このフーリエ面に対するコヒーレント参照光により移動されることによって、フーリエホログラムが形成される。干渉パターンは、フーリエ面にあるホログラフィック記録材料に記憶される。吸収の空間変調(振幅ホログラム)、または屈折率の空間変調(位相ホログラム)によって、表面レリーフで記憶を行うことができる。
【0012】
層、および/または2つの異なる層の間の境界面の表面に形成されたレリーフ状の回折構造、特にホログラムは、ホログラフィック表面構造または回折表面構造と呼ばれ、このホログラムは、いわゆる薄い回折構造または薄いホログラムである。このような構造は、回折構造またはホログラムに含まれた情報の再生に関する低い角度選択性および低い波長選択性を有する。
【0013】
これに対して、体積ホログラムは、この場合用いられる関連において、常に、厚いホログラフィック構造であり、この厚いホログラフィック構造は、そこに記憶された情報の再生に関する高い波長選択性および角度選択性を有する。
【0014】
回折表面構造が組み込まれているかまたは組み込まれる層は、回折層と呼ばれる。その層は、層として固有の存在であるか、あるいは他の本体の、例えば文書体またはセキュリティ文書のいわば概念的に分割された構成要素であり得る。
【0015】
パターンは、典型的に、隣接して配置された多数のパターンユニットまたはピクセル点からなる。パターンのパターンユニットまたはピクセルは、互いに割り当てられており、規定の方法において、典型的に、1つまたは2つの空間寸法において、互いに横方向に配置されており、全体的な観察において、描写、例えば、画像、シンボル、商標、書体(文字、数字、英数字記号)またはコード(例えばバーコード)を形成する。個別パターンは、個別化のために用いられるパターンである。
【0016】
パターンは、個人または物体、あるいは人々または物体の群について、人々または物体のより大きな全体からの唯一のものである場合に個別化される。国の全人口のある群の人々に対して個別化されるコードは、例えば住所である。個人に対して個別化されるコードは、例えば、身分証明書の番号またはパスポート写真である。紙幣の全体数のある群の紙幣に対して個別化されるコードは価値である。紙幣のために、シリアル番号が個別化される。全体の全ての素子について同一であるパターンは個別化されない。紙幣では、このパターンは、例えば、全ての紙幣に印刷されている紋章である。
【0017】
光学干渉によって記録材料に記憶されたホログラムの個別化は、例えば、この場合用いられる光の空間変調により可能である。この場合、いわゆる空間光変調器が使用される。
【0018】
空間光変調器(SLM)は、変調強度によって、ほぼ平坦な物体の2次元の位置解像照明または位置解像照射を可能にする。この場合、その空間光変調器は、例えば、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)チップ、LCD(液晶ディスプレイ)透過ディスプレイまたはLCoS(液晶オンシリコン)ディスプレイである。多数のSLMピクセルが形成されており、この場合、各SLMピクセルが、他のSLMピクセルとは独立して作動可能または停止可能であり(中間段階も可能であり)、このようにして、SLMピクセルの対応する制御により、パターンまたは画像を投影できることは全て共通である。自由な制御性によって、例えばパスポート写真の形態の異なる画像またはパターンを時系列で前後に簡単に形成することもできる。
【0019】
構造に当たった光が、2πの空間角度範囲において、等方的に構造の前方に戻るように導かれず、好ましくは、少なくとも1つの限定された空間角度範囲において導かれる反射は、指向性反射とみなされる。幾何学的な光学系の法則に従う少なくとも1つの波長の、好ましくは異なる波長の光をほぼ完全に反射し、すなわち、ある空間角度に導く層は、ミラー層とみなされる。したがって、ミラー反射は、指向性反射の際立った形態である。指向性反射とは対照的なものが、光の戻り拡散散乱である。
【0020】
回折表面構造の反射では、それぞれ1つの反射回折が意図されている。この回折は、回折表面構造が設けられている回折層の表面または上面、すなわち境界面に生じる。したがって、境界面で「反射する」光は、表面構造によって回折された光である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】独国特許出願公開第102004053367A1号明細書
【非特許文献】
【0022】
【非特許文献1】T.G.Coombsら著、SPIE Vol.6075,60750I−1(2006)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記課題を解決するために、少なくとも1つのセキュリティ素子を有するセキュリティ文書であって、このセキュリティ文書が、少なくとも1つの回折層を含む、好ましくは複数の層から形成された文書体を含み、少なくとも1つの回折層が上面に、光学的に薄い投影ホログラムとして形成されている回折表面構造を少なくとも1つのセキュリティ素子として含み、回折表面構造を読み取るために回折層の上面に当たって、回折表面構造を透過した再生光の、回折層の上面を介して戻る全方向の反射を最小限にするために、文書体において、少なくとも1つの回折層の上面から見て回折表面構造の後方に、少なくとも1つのノイズ抑制構造体が形成および配置されているセキュリティ文書を提供することが提案される。さらに、少なくとも1つのセキュリティ素子を有するセキュリティ文書を製造するための方法であって、少なくとも1つの回折層を含む文書体を作成するステップと、光学的に薄い投影ホログラムとして形成される回折表面構造をセキュリティ素子として、回折層の上面に形成するステップとを含む方法であって、文書体において、少なくとも1つの回折層の上面から見て回折表面構造の後方に、少なくとも1つのノイズ抑制構造体が形成または配置され、この少なくとも1つのノイズ抑制構造体が、回折表面構造を読み取るために回折層の上面に当たって、回折表面構造を透過した再生光の、回折層の上面を介して戻る全方向の反射を減少させるかまたは最小限にする方法が提供される。ノイズ抑制構造体を設けることにより、回折表面構造の再生時に、回折表面構造に回折されるかまたは直接反射された再生光と、回折表面構造の再生時にこれを透過する、文書体で拡散散乱されて透過した再生光との間の信号対雑音比が改善される。したがって、ノイズ抑制構造体は、回折表面構造を透過した再生光の光学的拡散に影響を与える構造として形成されている。
【0024】
本発明の好ましい実施形態では、透明なチャネルがノイズ抑制構造体として形成され、この透明なチャネルが、回折表面構造を透過した再生光の少なくとも一部を、文書の少なくとも1つの回折層の上面の反対面から出すことを可能にし、この場合、透過チャネルが、少なくとも部分的に不透明または半透明である複数の層の少なくとも1つを介して延びることが意図されている。透明なチャネルはノイズ抑制構造体として形成されるので、回折表面構造を透過した再生光の少なくとも一部が、回折層の上面とは反対側の文書体の面から出射する。したがって、回折表面構造で反射回折された再生光は、スクリーンでほとんど干渉を受けずに撮像および利用することができる。さらに、透過チャネルから出射する光を別のスクリーンに撮像し、これによって、回折表面構造に記憶された情報を読み取ることができる。
【0025】
本発明の他の実施形態は、回折表面構造の情報をより良く読み取ることができるようにするために、回折表面構造を透過した再生光の少なくとも一部の指向性反射が利用されることを意図する。この場合、例えば、記憶された情報が、透過した再生光のより大きな回折パターンに含まれていることを利用することができる。透過した再生光を適切に反射することによって、回折表面構造に含まれた情報を撮像するために使用されるスクリーンに、この透過した再生光を導くことができる。したがって、本発明の好ましい実施形態は、ノイズ抑制構造体が、回折表面構造を透過した再生光の少なくとも一部の指向性反射を支持する反射素子を含むことを意図する。
【0026】
本発明の実施形態では、ミラー層が反射素子として設けられるか、またはミラー部が層に付与されることが意図されている。例えば、研磨された金属箔がこのようなミラー層である。さらに、印刷技術で塗布することができ、ミラーのようにも作用する色素が当業者に知られている。代わりに、例えば層の領域に金属を蒸着してもよい。
【0027】
本発明の実施形態は、回折表面構造を透過した再生光が、回折表面構造の境界面で反射回折された再生光と重なり合うような方法で、反射素子で反射されるように、反射素子が配置および形成されていることを意図する。この場合、境界面の反射強度も、回折表面構造を介して回折されている、反射素子で反射して透過した再生光の強度も、スクリーンで情報を撮像するために利用される。
【0028】
他の実施形態では、少なくとも1つまたは複数の波長のまたはスペクトル領域の指向性反射を支持する印刷色を用いることができる。
【0029】
本発明の好ましい実施形態は、反射素子が、光学可変色素(光学可変インク(optical variable ink))で覆われた部分を含み、この場合、少なくとも1つのスペクトル色素の反射が、幾何学的な光学系に従って反射角度からの偏差角度だけずれる観察角度において、最大値を有することを意図する。このような色素は非等方性の反射特性を有し、このことは、回折表面構造から情報を読み取る際に、信号雑音比を減少させるために利用することができる。この場合、回折表面構造は、好ましくは、相応してノイズ抑制構造体として使用される光学可変色素に適合される。
【0030】
本発明の好ましい実施形態では、読み取りのために、再生光の際立った入射角度が存在するように、回折表面構造が形成されており、その結果、この際立った入射角度で回折表面構造に当たった再生光が、光学可変色素の偏差角度でこの光学可変色素に当たり、これによって回折層の上面に対して垂直に戻るように反射されることが意図されている。この場合、垂直とは、回折層の表面全体に関するものであり、表面レリーフの局所的な表面素子に関するものではない。これによって、組み合わされたセキュリティ特徴が提供される。回折表面構造を再生するために、際立った入射角度で照射された正確な波長の再生光が、幾何学的な光学系または回折特性から、およびこれに関連して、回折表面構造に対する再生光の回折/反射に基づく反射特性で生じる角度からずれた角度において、回折表面レリーフに記憶されている情報を再生する。つまり、回折表面構造が含まれているが、それに応じて、光学可変色素がノイズ抑制素子として文書体に設けられていないセキュリティ文書において、回折表面構造に記憶された情報は、すなわち、際立った入射角度による照射で再生することができるが、最大強度を有するセキュリティ文書に対して垂直の観察角度で見ることができない。
【0031】
本発明の他の実施形態では、ノイズ抑制構造体が、代わりにまたはさらに、回折表面構造を透過した再生光を少なくとも部分的に吸収する吸収素子を含むことが意図されている。このため、特に、回折表面構造が再生される、再生光の波長によって画定された色素には、黒色層または相補的な色素の層が適している。例えば、赤色再生光で再生を行うように、回折表面構造が形成されている場合、好ましくは、赤色波長領域では吸収を行わないシアン色素が吸収色素として使用される。この吸収により、拡散散乱された光が文書体から出射せず、回折表面構造の境界面に直接発生された再生光の検出が困難になる。
【0032】
さらに、本発明の他の実施形態は、ノイズ抑制構造体が、さらにまたは代わりに、透過した再生光の少なくとも1つの回折パターンを回折および/または反射する体積ホログラムを含むことを意図する。この場合、体積ホログラムが、1つ、複数または全ての回折パターンの透過した再生光に適切な影響を与えるように、その体積ホログラムを適切に形成することができる。
【0033】
本発明の実施形態では、体積ホログラムは、中性線に接続された回折パターンの透過した再生光を反射する。この透過した再生光が、回折表面構造の境界面で直接反射回折された再生光と重なり合わないような角度で適切に反射されることによって、再生光の強度の本質的な部分を含む、中性線に接続されたパターンの透過光に影響を与えずに、この透過した再生光をスクリーンに撮像および検出することができる。ノイズ抑制構造体が、さらに透過チャネルを含む場合、中性線に接続されたパターンの透過した再生光に悪影響を与えることなく、回折層の上面とは反対側の文書面で、より大きなおよび/またはより小さな回折パターンに含まれた情報を検出することも可能である。
【0034】
異なる角度で体積ホログラムを複数回露光するか、または複数の体積ホログラムを使用することによって、1つまたは複数の体積ホログラムが、透過した再生光における回折表面構造の異なる回折パターンを選択的に回折および/または反射できることを実現することができる。
【0035】
例えば、回折表面構造が、エンボス加工によって形成された表面レリーフである場合、回折表面構造の個別化が、選択された製造方法により非常に高価になるか、さらには実際の観点から不可能になるので、形成のために使用されるコヒーレント光が、空間光変調器によって空間的に振幅変調されることにより、光学ホログラフィック的に形成される体積ホログラムを簡単に個別化して形成することができる。したがって、本発明の好ましい実施形態は、体積ホログラムに、少なくとも1つのパターンが符号化されていることを意図する。
【0036】
本発明の好ましい実施形態では、体積ホログラムに符号化されたパターンが全パターンのパターン構成要素であり、表面レリーフの境界面における反射が全パターンの別のパターン構成要素を再生し、読み取りのために、回折表面構造に当たった再生光の別の際立った入射角度が存在し、その結果、少なくとも1つのパターン構成要素が再生され、全パターンに対して別のパターン構成要素を補足するように、この別の際立った入射角度で回折表面構造に当たって、回折表面構造を透過した再生光の少なくとも1つの回折パターンが、体積ホログラムを再生することが意図されている。したがって、体積ホログラムに記憶されたパターンの再生と、回折表面構造に記憶された別のパターンの再生とが、回折表面構造の照明時に、別の際立った入射角度で重なり合って、全パターンを再生するように、体積ホログラムが形成および配置され、回折表面構造によって調整される。回折表面構造は再生角度について比較的非選択的であるので、回折表面構造の照明時に、別の際立った入射角度とは異なる再生角度で、回折表面構造に記憶されている別のパターンのみを再生することができる。さらに、別の際立った入射角度においてのみ、体積ホログラムに記憶されたパターンが同様に再生され、全パターンに対して別のパターンと重なり合う。さらに、組み合わされたこのセキュリティ特徴は、回折表面構造のみよりも、偽造に対して非常に厳しい。
【0037】
例えば、さらに記載される実施形態において、別の際立った入射角度に一致しない角度では、透過した再生光が、境界面で反射回折された再生光の検出を妨害することを実現するために、好ましい実施形態では、さらに、吸収素子が、体積ホログラムを透過した光を吸収するために、体積ホログラムの回折表面構造の反対面に配置されている。この実施形態は他の実施形態にも適しており、例えば、透過した再生光の第1の回折パターンの光が反射され、中性線に接続された回折パターンの光が体積ホログラムを介して回折および/または反射されないように、体積ホログラムを形成することができる。ここで、この中性線に接続された回折パターンの光は、吸収素子によって吸収することができる。
【0038】
したがって、好ましい実施形態では、回折表面構造を透過した再生光の、例えば中性線に接続されたパターンとは異なる少なくとも1つの回折パターンが、回折層の上面を介して反射されて戻るように回折すべく、体積ホログラムが形成されていることが意図されている。
【0039】
体積ホログラムは、さらに、あるパターンを含むことができるので、回折表面構造を透過した再生光が反射回折される体積ホログラムを再生するために、回折表面構造を透過した再生光の中性線に接続されたパターンが使用される実施形態も有利であり得る。
【0040】
本発明の実施形態では、上面を介した再生光の出射が、少なくとも、回折表面構造の境界面で直接反射回折された再生光の方向において、例えば境界面における全反射により著しく減少されているかまたは発生しないように配向されているノイズ抑制構造体が、再生光の散乱を引き起こすことが意図されている。
【0041】
可視光線、紫外線および/または赤外線によって、記憶された情報を光学的に再生するために、回折表面構造、1つまたは複数の体積ホログラムを形成することができる。それに対応して、関連する波長領域から再生光の波長を選択することができる。
【0042】
セキュリティ文書に、異なる別のまたは同一の多数のセキュリティ素子を一体化することができることが当業者に明らかである。好ましくは積層法において、複数の層が、好ましくはカード形態を有するモノリシック文書体に結合される。
【0043】
図面を参照して、本発明について以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】回折表面構造を有するセキュリティ文書の概略図である。
【図2】セキュリティ文書における透過チャネルの最小の広がりを示すためのセキュリティ文書の概略図である。
【図3】ノイズ抑制構造体としての反射素子を有するセキュリティ文書の概略図である。
【図4】ノイズ抑制構造体としての吸収素子を有するセキュリティ文書の概略図である。
【図5】回折表面構造と、光学可変色素を含む、ノイズ抑制構造体としての反射素子とを有するセキュリティ文書の概略図である。
【図6】ノイズ抑制素子として、回折パターンを反射する体積ホログラムと吸収素子とを含む、回折表面構造を有するセキュリティ文書の別の概略図である。
【図7a】回折表面構造と、体積ホログラムと、体積ホログラムおよび回折表面構造に全パターンのそれぞれ1つの部分パターンが記憶されている、ノイズ抑制構造体としての吸収素子とを有し、再生のために、際立った照射角度でセキュリティ文書に再生光が照射されるセキュリティ文書の別の概略図である。
【図7b】再生光の照射光が、再生のために、際立った照射角度とは異なる角度で照射される図7aによるセキュリティ文書の図である。
【図7c】図7aおよび図7bによるセキュリティ文書のために、異なる照射角度に対して塗られた、スクリーンで見るべき異なる再生結果の図である。
【図8】回折表面構造と、透過した再生光の中性線に接続された回折パターンを反射する体積ホログラムとして形成されたノイズ抑制構造体とを有するセキュリティ文書の別の実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1には、セキュリティ文書1が概略的に示されている。このセキュリティ文書は回折層2と好ましくは複数の別の層3とから製造されている。回折層2および複数の層3は、好ましくはプラスチック層、印刷層、および/または紙ベースからなる層である。使用されるプラスチックは、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびその誘導体、特にPET−G、ならびにポリカーボネート、特にビスフェノール−A−ポリカーボネートである。他のプラスチックとしては、ポリビニルクロライド(PVC)、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、およびテスリン等の結合材料が使用される。さらに、例えばPETおよびPCを含む他の結合材料が使用される。その上、特に、マイクロチップおよび/またはRFIDアンテナ等をセキュリティ文書に一体化するために、セキュリティ文書を製造するためのポリウレタン層が使用される。さらに、紙層が使用されるが、その理由は、特に、この紙層が、印刷技術に関連して特に適切に加工されており、例えば透かし模様等の別のセキュリティ特徴を含むことができるからである。その上、このプラスチック層および/または紙層には印刷層を付与することができる。必要に応じて印刷されたプラスチック層および/または紙層は、好ましくは、積層法において、50バール以上の圧力下で100℃よりも高い、好ましくは120℃よりも高い、最も好ましくは140℃よりも高い範囲の温度で、モノリシック文書体に積層される。特に好ましくは、積層工程は真空条件下で時間制御されて行われる。
【0046】
セキュリティ文書1の製造時、回折層2には、セキュリティ文書1の少なくとも1つのセキュリティ素子として回折表面構造4が設けられる。回折表面構造4は、情報が記憶されているホログラフィック構造である。従来のホログラフィでは、記憶された情報が第2のコヒーレント光ビームの干渉パターンに存在しており、この干渉パターンは写真材料に記録される。これは、干渉するコヒーレント光ビームの空間強度分布が得られることを意味する。従来のホログラフィにおいて、このホログラフィは、例えば、表面レリーフによって、あるいは吸収の空間変調(振幅ホログラム)または屈折率の空間変調(位相ホログラム)によって、ホログラフィック記録材料の強度分布を撮像する。2つの平面波形の干渉の簡単な例では、
【0047】
【数1】

【0048】
次式の空間周波数によって、周期的な表面変調が得られ、
【0049】
【数2】

【0050】
式中、
Λ=λ/2n sinθであり、
λは波長であり、nは材料の屈折率であり、両方のコヒーレント光ビームが角度2θで交互に当たる。両方のコヒーレント光ビームの強度が理想的に同じである場合、干渉パターンの光度は周期的にゼロに戻る。ホログラフィック構造のみが表面レリーフとして回折層2の表面に設けられる場合、通常、いわゆる光学的に薄いホログラムが得られる。これは、ホログラムにおいて、通常、ホログラフィック構造により発生されている光の波長に対応する再生波長の選択性、およびホログラムの製造時の形状によって固定されている、再生のための照射角度の選択性がそれぞれ低くなっていることを意味する。記録されたホログラフィック構造が体積領域を介して延び、これにより、いわゆるブラッグ条件を正確に満たす必要があり、高い角度選択性も、高い波長選択性も与えられている光学的に厚いホログラムとは対照的に、光学的に薄い回折表面構造の場合、回折効率を低下させることなく、異なる波長および異なる照射角度の光によって、記憶された情報の再生を行うことができる。
【0051】
しかし、全体的には、光学的に薄いホログラフィック構造である回折表面構造の最大にすべき回折効率は、例えば正弦格子のために、理論的には約34%に制限されている。
【0052】
干渉記録によって、情報が記憶されているホログラフィック構造、すなわち回折構造を記録材料に形成する方法に加えて、別の方法がある。その方法とは、表面レリーフを表面にエンボス加工する方法である。この場合、エンボス加工された回折構造の最適な深さは、バイナリ格子の場合の最大の回折効率のために、次式で示すことができる。
【0053】
【数3】

【0054】
式中、dはエンボス加工構造の深さを示しており、λは波長を示しており、θは、表面法線に対する再生光の入射角度を示している。約635nmの赤色波長領域の光が発生する典型的なダイオードレーザでは、0.4の典型的な屈折率差において、表面レリーフの境界面に約780nmの深さが生じる。典型的な深さ距離は、回折表面構造を照射する再生光、例えばレーザ光と、再生された光との間で例えば20°の角度が形成され得る検証条件から得られる。これによって、1.3μm以下の範囲の深さ距離が得られる。このようにして、回折表面構造をエンボス加工するために、1.3μm以下の「隆起部から隆起部までの」典型的な距離を有する約350〜875nmの深さを有する回折構造を備えるエンボス加工板が必要となる。
【0055】
このようなエンボス加工板の回折構造が典型的に計算される。エンボス加工板は、所望の回折表面構造のネガを備え、したがって、隆起構造を含む必要がある。一般に、当業者には、エンボス加工されるこのような回折表面構造を製造するための方法が知られている。エンボス加工板を製造するための方法では、例えば、光学リソグラフィ法または電子ビームリソグラフィ法が用いられる。
【0056】
原則として、回折表面構造を文書体にエンボス加工する種々の方法が提供されている。エンボス加工工程は、積層中に、すなわち加熱状態で行われるか、または低温状態で、既に完成された文書体に行われることができる。前者の方法では、回折層4の材料がエンボス加工板に熱的に適合して膨張できるようにしなければならず、冷却時には、エンボス加工板の形状が変化することに留意されたい。しかし、エンボス加工構造の計算時に、この熱効果を計算して含めることができる。既に完成された文書体において、エンボス加工が低温状態で行われる場合、温度に依存するこのような影響を考慮する必要はない。
【0057】
代わりに、パルスホログラフィによって、回折構造を文書体に設けてもよい。このため、文書体には、適切な波長のレーザビームがホログラフィック照射される。適切な波長は、回折層の材料の表面に、高い吸収率を有することによって特徴付けられる。この方法では、例えばレーザパルスがビームスプリッタによって分割される。第1の部分パルスは、例えば空間光変調器によって形成されているパターンに当たる。空間光変調器は、個別のパターンまたは個別ではない静的パターンであり得る。さらに、空間光変調器の代わりに、静的パターンを使用してもよい。空間光変調器を介してその断面で振幅変調された部分パルスは、フーリエレンズを介して送られてフーリエ変換され、文書に撮像される。第2の部分パルスは直接または撮像光学系を介して文書に当たるので、文書表面には両方の部分パルスのコヒーレンス条件が与えられている。したがって、第2の部分パルスはホログラフィの参照ビームの役割を果たす。回折層の材料の適切な吸収、およびコヒーレント光(レーザ光)の適切なエネルギーにより、表面レリーフが回折表面構造として形成される。コヒーレント光のこの場合用いられるパルス長は、好ましくは、ナノ秒範囲にある。
【0058】
表面レリーフとして鋳造された回折表面構造は、それらに当たる再生光5の最大部分を透過する。図1において、再生光5が、最適な回折効率のために、回折層2の上面6に対して垂直に当たるように、回折層2の回折表面構造4が計算されて製造されており、例えば、回折層2と複数の別の層3との積層時に、回折表面構造4が文書体にエンボス加工される。例えば、再生光5の4%の割合が、セキュリティ文書を囲む空気(または必要に応じて真空)と回折表面構造4の回折層2との間の境界面で反射的に回折される。反射回折されたこの再生光7は、回折表面構造4に記憶された情報を含む。反射回折された再生光をスクリーン8に撮像する際に、この情報を見ることができる。
【0059】
表面構造4の境界面で直接反射回折されない再生光の部分は、回折表面構造4によって透過される。図1には、中性線に接続された回折パターンの透過した再生光9と、第1の両方の回折パターンの透過回折された再生光10とが概略的に示されている。直接反射回折された再生光7と同様に、透過回折された再生光10を別のスクリーン11に集光することができるので、この場合例えば顔として示されている、回折表面構造に記憶された情報12を見ることができる。
【0060】
図1による文書の従来の説明は、回折層も、再生光用の複数の別の層3も透明であることに基づいている。しかし、通常は、印刷層を含むこともできる複数の別の層3は全てが透明ではない。
【0061】
次に、例えば、回折層2に隣接する別の層3’が不透明または半透明等であることを想定した場合、この別の層3’において、透過した再生光9、10の拡散散乱が生じる。拡散散乱されたこの再生光13は、再び、回折層を介して上面6を通過するように進み、スクリーン8において、直接反射回折された再生光7と重なり合う。拡散散乱されたこの再生光13は破線で示されている。再生光の最大部分は、最初に回折表面構造4を介して透過し、次に拡散散乱されているので、拡散散乱された再生光13の強度は、通常、直接反射回折された再生光7の強度よりも大きく、その結果、スクリーン8の情報の観察が困難または不可能である。ここで、直接反射回折された再生光7を介して提供される信号は、拡散散乱された再生光13により表されるノイズとの比率において小さくなる。このことは、ノイズ比に対する信号が、ノイズ(拡散散乱された再生光13)に支配されることを意味する。
【0062】
ノイズ比に対するこの信号を改善するために、異なるノイズ抑制構造体が記載されている。その都度、透過した再生光の拡散散乱を最小限にすることおよび/または完全に防止することが目的である。
【0063】
図2には、透過チャネル21を含む回折表面構造4を有するセキュリティ文書の実施形態が示されている。この文書は、少なくとも部分的に不透明である複数の層3の全てが、透明なチャネル21の領域では透明であるように形成される。複数の層3の不透明な層3’は通常印刷層である。これらの層は、透明なチャネル21の領域において、色素が塗布されないか、または透過した再生光9のために透明である色素が塗布されることによって、透明に形成することができる。透過した再生光9、10のために不透明または半透明等であるプラスチック層の場合、切り欠きを設けることができるので、透明な再生チャネル21が得られる。この場合、好ましくは、積層法の間に、個別の層3’の切り欠きが、その上またはその下にある透明層3からなる材料によって満たされるように、文書が構成される。
【0064】
複数の別の層3が紙材料から製造されている場合、化学物質を添加することによって、対応する領域を透明な状態に移行することができる(このことは、例えば特許文献1に記載されている)。
【0065】
少なくとも、反射回折された再生光の観察を妨害する透過回折パターン10と、透過した再生光ビーム9とが、透明なチャネル21を通過して出ることができるように、回折層2の上面6からの距離d 23に基づいて、透明なチャネル21の最小の広がりa 22を選択しなければならない。図2において、dは回折層2の上面6からの垂直距離23を示しており、nはセキュリティ文書1の外側の屈折率を示しており、nはセキュリティ文書1の材料の屈折率を示しており(この場合、回折層2と複数の別の層3とが同じ屈折率nを有することが前提となる)、αは、回折層2の上面6の面法線24に対して測定される再生光5の入射角度を示しており、そしてφは、文書の中性線に接続されたパターン9のビーム10と比較した第1のパターン10の回折角度を示している。
【0066】
透過チャネル21をノイズ抑制構造体として含むセキュリティ文書1の場合、文書の回折層の上面6の反対面25に隣接して配置されているスクリーン11において、回折表面構造に記憶された情報の再生が行われる。
【0067】
透過チャネルの最小の広がりが提供されている。もちろん、この広がりをより広く形成することができる。
【0068】
図3には、反射素子31がノイズ抑制構造体として設けられているセキュリティ文書1の別の実施形態が示されている。図示例では、反射素子31がミラーで形成されており、少なくとも、所定の再生波長の透過光9、10が、幾何学的な光学系の法則に従ってほぼ完全に反射することが想定されている。反射素子として、例えば、一実施形態では、複数の層の1つを部分層として形成することができ、この部分層は、例えば、複数の層3のおよび/または回折層2の他のものと接着されている。さらに、別の層3の1つの一部に金属層を蒸着することができる。その上、積層前に、金属箔の部分を複数の別の層3の1つに貼り付けること、例えば接着することが可能である。図示した実施形態では、中性線に接続されたパターンの透過した再生光9は、入射した再生光5の方向に戻るように反射される。より大きな回折パターンの透過した再生光10は、回折層2の上面6を通過して反射され、直接反射回折された再生光7と共に、スクリーン8に集光することができ、このようにして、顔として概略的に示されている、回折表面構造4に記憶された情報12の画像を支持する。
【0069】
図4に示されている代替実施形態では、ノイズ抑制構造体は吸収素子41として形成されている。この実施形態では、透過した全ての再生光9、10が吸収素子41によって吸収される。この吸収素子は、好ましくは、再生光5の色に対して相補的である色素で形成されている。回折表面構造4が例えば赤色レーザ光によって再生される場合、吸収素子は好ましくはシアン色素で形成されている。例えば、複数の別の層3の印刷層は、透過した再生光9、10がこの印刷層に向かうその位置に、対応するシアン色素領域を含む。さらに、吸収が完全に行われない場合でも、少なくとも、透過した再生光9、10の全方向の散乱が著しく減少される。同様に、吸収層が黒色であり、したがって、可視スペクトル領域の全ての波長の光を吸収する実施形態が有利である。
【0070】
図5には、ノイズ抑制構造体が、反射のための光学可変色素(光学可変インク(optical variable ink))を側面に含む反射素子31を含むセキュリティ文書1の別の実施形態が示されている。この場合、好ましくは、再生光5の波長のために、少なくとも、幾何学的な光学系による反射に対する偏差角度で最大反射強度を有する光学可変色素が使用される。非特許文献1に記載されているように、最適な観察角度が、色素の照射角度に一致する反射角度から約10°だけずれる光学可変色素がある。図5に示した実施形態では、より大きな回折パターン(中性線に接続されない回折パターン)、好ましくは、透過した再生光10の+/−の第1の(±1.)回折パターンが、正確にこの偏差角度において、光学可変色素で形成された反射素子31に当たるように、回折表面構造4が形成されている。ここで、この透過した再生光10は、反射素子31から回折層の上面6に対して垂直に反射する。したがって、回折パターンが正確にこの偏差角度で光学可変色素に当たる選択された照射角度では、幾何学的な光学系に従って予想される方向とは異なり、上面6に対して垂直の記憶された情報12の再生の最大強度を観察することができる。これによって、組み合わされたセキュリティ特徴が得られる。正確な際立った偏差角度を有する光学可変色素が、セキュリティ素子1のノイズ抑制構造体の反射素子31として、正確な位置に配置されていないならば、最大強度が上面に対して垂直に生じないように、回折表面構造が正確に複製されているコピー文書により、選択された照射角度で再生が行われる。
【0071】
図6には、吸収素子に加えて、回折表面構造4と吸収素子41との間に、体積ホログラム61がノイズ抑制構造体として形成されているかまたは設けられているセキュリティ文書1の別の実施形態が示されている。この体積ホログラム61は、好ましくは、例えば、所定の波長の再生光の正または負の第1の(±1.)回折パターンが、再生時に、際立った入射角度で、回折層2を介して戻り、回折層2の上面6から反射するように形成されている。好ましくは、この反射は、境界面の空気回折層で直接反射と重なり合うように行われている。さらに、体積ホログラム61から反射および/または回折されない透過した再生光9、10は、この実施形態では、吸収素子41によって吸収される。再生光5が、最適な再生角度で回折表面構造4に当たらない場合には、存在しない回折パターンのために、体積ホログラム61の再生条件が満たされているので、透過した全ての再生光9、10は、体積ホログラムを通過し、吸収素子41によって吸収される。
【0072】
さらに、体積ホログラムは、反射中に読み取ることができる固有のホログラフィック情報を記憶する方法を有する。したがって、例えば、セキュリティ文書1が割り当てられている個別のもの、例えば個人のものであり得るパターンを体積ホログラムに記憶することができる。さらに、同様に、個別ではない情報を体積ホログラムに記憶することもできる。
【0073】
図7aには、体積ホログラム61に記憶されたパターンが全パターンの構成要素であるセキュリティ文書の実施形態が示されている。全パターンの別の構成要素が回折表面構造4に記憶されている。すなわち、回折表面構造4に記憶された情報は別のパターンを含む。例えば図6に対応する最適な再生形状において、回折表面構造4に記憶されている情報、この場合、円71が、直接反射的に回折された再生光7で再生される。回折パターンの、この場合、負の第1の(−1.)回折パターンの透過した再生光は、体積ホログラムを再生し、ここで、体積ホログラム61に記憶されているパターン、この場合、囲み円71なしの顔情報が、スクリーンにおいて、直接反射回折された再生光7と重ね合わされるように、再生光が反射回折される。全パターン(囲み円71を含む完全な顔)は、この場合、再生時にのみ、選択された最適な再生形状で見ることができる。他の実施形態は、透過した再生光の中性線に接続された回折パターンが体積ホログラムを再生することを意図する。透過した再生光の他の回折パターンは吸収素子41によって吸収される。
【0074】
図7bには、再生光5が、際立った再生形状の際立った再生角度で回折表面構造4に入射する状態が示されている。この場合、透過した全ての再生光9、10はノイズ抑制構造体の吸収素子41によって吸収されるが、その理由は、存在しない回折パターンのために、透過した再生光9、10が体積ホログラム61の再生条件を満たすからである。この体積ホログラム61は、回折表面構造を再生するために使用される波長において、最大回折効率が実現されるように形成されている。さらに、再生のために、選択された所望の照射方向で、回折表面構造4に再生光5が照射される場合、体積ホログラムの最適な再生角度、すなわち、体積ホログラム61が回折効率の最大値を達成する角度は、透過した再生光9、10が体積ホログラムに、回折表面構造4に当たるその角度範囲にある。体積ホログラムの回折効率は、好ましくは、75%よりも高く、さらに好ましくは、ほぼ100%である。
【0075】
図7cには、異なる入射角度で、図7aおよび図7bによるセキュリティ文書に再生光が照射される場合の、スクリーンで検出される種々の画像が示されている。入射角度に基づいて、回折表面構造4に記憶されている再生された情報12(この場合、円)が移動する。際立った再生形状(再生光5の際立った入射角度または照射角度)においてのみ、図7aに示されているような少なくとも1つの回折パターン、この場合、負の第1の回折パターンのために、体積ホログラム61の再生条件も満たされている。ここで、スクリーンにおいて、全パターンに対して、体積ホログラム61の再生された情報12’、この場合、内部の顔情報と、囲み円71とが重なり合う。入射角度がさらに変化する場合、回折表面構造4に記憶されている再生された情報12がさらに移動する。このようにして、この実施形態では、2つのホログラフィック構造を含み、かつ所定の最適な再生形状においてのみ完全に撮像することができる複雑なセキュリティ特徴が得られる。したがって、検証のために、好ましくは、異なる照射角度で、このようなセキュリティ文書に、最適な再生形状に対応する再生光が照射される。
【0076】
図8には、反射素子としての体積ホログラム61のみがノイズ抑制構造体として形成されているセキュリティ文書1の別の実施形態が示されている。再生光5の照射時に、中性線に接続されたパターンの透過光9が、選択された再生角度で反射されるように、体積ホログラム61が形成されている。セキュリティ文書1がさらに透過チャネル21を備える場合、回折表面構造に記憶された情報をセキュリティ文書1の後方のスクリーンに撮像することができる。その代わりにおよび/またはそれに加えて、中性線に接続されたパターンの透過した再生光の反射は、この光が、直接反射回折された再生光7によるスクリーン8への情報の撮像に悪影響を与えないように反射されるべく行うことができる。
【0077】
説明してきた実施形態は、ノイズ抑制構造体を備えるセキュリティ文書の例示的な実施形態に過ぎない。回折表面構造に記憶された情報の改善された再生が可能であるセキュリティ文書を提供するために、個別の素子、反射素子、吸収素子および体積ホログラムを、共に、対にして等々、互いに組み合わせることができる。
【0078】
さらに、図1に関連して説明したセキュリティ文書のまたは文書体の製造を、説明してきた他の実施形態に用いることができる。その上、セキュリティ文書が、単に、回折層2であるプラスチック層、さらに、例えば印刷層を含むことが可能である。積層工程の代わりに、他の方法で、複数の層を文書体に結合し、例えば、互いに接着または印刷することができる。
【0079】
回折表面構造4、すなわち、表面レリーフを保護するために、これを塗料層で覆うことができるが、この塗料層は、回折層とは著しく異なる屈折率を有する必要がある。
【符号の説明】
【0080】
1 セキュリティ文書
2 回折層
3 別の層
4 回折表面構造
5 (入射した)再生光
6 上面
7 (直接)反射回折された再生光
8 スクリーン
9 透過した再生光(中性線に接続された回折パターン)
10 透過した再生光(+/−の第1の回折パターン)
11 別のスクリーン
12 情報
13 拡散散乱された再生光
21 透明なチャネル
22 広がり(a)
23 距離(d)
24 面法線
25 反対面
31 反射素子
41 吸収素子
61 体積ホログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのセキュリティ素子を有するセキュリティ文書(1)であって、
前記セキュリティ文書(1)が、少なくとも1つの回折層(2)を含む文書体を含み、前記少なくとも1つの回折層(2)が上面に、光学的に薄い投影ホログラムとして形成されている回折表面構造(4)を前記少なくとも1つのセキュリティ素子として含むセキュリティ文書(1)において、
前記回折表面構造(4)を読み取るために前記回折層(2)の前記上面(6)に当たって、前記回折表面構造(4)を透過した再生光(9、10)の、前記回折層(2)の前記上面(6)を介して戻る全方向の反射を最小限にするために、前記文書体において、前記少なくとも1つの回折層(2)の前記上面(6)から見て前記回折表面構造(4)の後方に、少なくとも1つのノイズ抑制構造体が形成または配置されていることを特徴とするセキュリティ文書(1)。
【請求項2】
前記文書体が、好ましくは積層工程によって、前記回折層(2)と少なくとも1つの別の層(3)とから製造されていることを特徴とする請求項1に記載のセキュリティ文書(1)。
【請求項3】
前記ノイズ抑制構造体が、透明なチャネルを含み、前記透明なチャネルが、前記回折表面構造(4)を透過した前記再生光(9、10)の少なくとも一部を、前記文書体の前記少なくとも1つの回折層の前記上面(6)の反対面から出すことを可能にし、前記透過チャネル(21)が、少なくとも部分的に不透明である前記複数の層の少なくとも1つを介して延びることを特徴とする請求項1または2に記載のセキュリティ文書(1)。
【請求項4】
前記ノイズ抑制構造体が反射素子(31)を含み、前記反射素子(31)が、前記回折表面構造(4)を透過した前記再生光(9、10)の少なくとも一部の指向性反射を支持することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のセキュリティ文書(1)。
【請求項5】
前記回折表面構造(4)を透過した前記再生光が、前記回折表面構造(4)の境界面で反射回折された再生光(7)と重なり合うような方法で、前記反射素子(31)で反射されるように、前記反射素子(31)が配置および形成されていることを特徴とする請求項4に記載のセキュリティ文書(1)。
【請求項6】
前記反射素子(31)がミラー部を含むことを特徴とする請求項4または5に記載のセキュリティ文書(1)。
【請求項7】
前記反射素子(31)が、光学可変色素(光学可変インク(optical variable ink))で覆われた部分を含み、少なくとも1つのスペクトル色素の反射が、幾何学的な光学系に従って反射角度からの偏差角度だけずれる観察角度において、最大値を有することを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載のセキュリティ文書(1)。
【請求項8】
読み取りのために、再生光(5)の際立った入射角度が存在するように、前記回折表面構造(4)が形成されており、その結果、前記際立った角度で前記回折表面構造(4)に当たった前記再生光(5)が、読み取りのために、前記偏差角度で前記光学可変色素(OVI色素)に当たり、前記回折層(2)の前記上面(6)を介して垂直に戻るように反射されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のセキュリティ文書(1)。
【請求項9】
前記ノイズ抑制構造体が吸収素子(41)を含み、前記吸収素子(41)が、前記回折表面構造(4)を透過した前記再生光(9、10)を少なくとも部分的に吸収することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のセキュリティ文書(1)。
【請求項10】
前記ノイズ抑制構造体が光学的体積ホログラム(61)を含み、前記光学的体積ホログラム(61)が、前記透過した再生光(9、10)の少なくとも1つの回折パターンを回折または反射回折することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のセキュリティ文書(1)。
【請求項11】
前記体積ホログラム(61)が、前記中性線に接続された回折パターンの透過した再生光(9)を反射することを特徴とする請求項10に記載のセキュリティ文書(1)。
【請求項12】
前記体積ホログラム(61)に、少なくとも1つのパターンが符号化されていることを特徴とする請求項10または11に記載のセキュリティ文書(1)。
【請求項13】
前記体積ホログラム(61)に符号化された前記パターンが全パターンのパターン構成要素であり、前記回折表面構造(4)の境界面における反射が前記全パターンの別のパターン構成要素を再生し、前記回折表面構造(4)に当たった前記再生光(5)の別の際立った入射角度が存在し、その結果、前記少なくとも1つのパターン構成要素が再生され、前記全パターンに対して前記別のパターン構成要素を補足するように、前記別の際立った入射角度で前記回折表面構造(4)に当たって、前記回折表面構造(4)を透過した前記再生光(9、10)の少なくとも1つの回折パターンが、前記体積ホログラム(61)を再生することを特徴とする請求項12に記載のセキュリティ文書(1)。
【請求項14】
前記吸収素子(41)が、前記体積ホログラム(61)を透過した前記再生光(9、10)を吸収するために、前記体積ホログラム(61)の表面レリーフの反対面に配置されていることを特徴とする請求項10〜13のいずれか一項に記載のセキュリティ文書(1)。
【請求項15】
前記回折表面構造(4)を透過した前記再生光(9、10)の、好ましくは前記中性線に接続されたパターンとは異なる少なくとも1つの回折パターンが、前記回折層(2)の前記上面(6)を介して反射されて戻るように回折すべく、前記体積ホログラム(61)が形成されていることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載のセキュリティ文書(1)。
【請求項16】
少なくとも1つのセキュリティ素子を有するセキュリティ文書を製造するための方法であって、
少なくとも1つの回折層を含む文書体を作成するステップと、
光学的に薄い投影ホログラムとして形成される前記回折表面構造(4)を前記セキュリティ素子として、前記回折層(2)の上面(6)に形成するステップと、
を含む方法において、
前記文書体では、前記少なくとも1つの回折層(2)の前記上面(6)から見て前記回折表面構造(4)の後方に、少なくとも1つのノイズ抑制構造体が形成または配置され、前記少なくとも1つのノイズ抑制構造体が、前記回折表面構造(4)を読み取るために前記回折層(2)の前記上面(6)に当たって、前記回折表面構造(4)を透過した再生光(9、10)の、前記回折層(2)の前記上面(6)を介して戻る全方向の反射を減少させるかまたは最小限にすることを特徴とする方法。
【請求項17】
前記文書体を作成するステップが、前記回折層(2)および複数の別の層(3、3’)を設けるステップと、好ましくは積層法によって、前記回折層および前記複数の別の層(3、3’)から前記文書体を形成するステップとを含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ノイズ抑制構造体が、透明なチャネル(21)として形成され、前記透明なチャネル(21)が、前記透過した再生光(9、10)の少なくとも一部を、前記文書体の前記少なくとも1つの回折層(2)の前記上面(6)の反対面から出すことを可能にし、前記透過チャネル(21)が、少なくとも部分的に不透明であるかまたはそのように形成される前記複数の層(3、3’)の少なくとも1つを介して延びることを特徴とする請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
反射素子(31)がノイズ抑制構造体として前記文書体に組み込まれ、前記反射素子(31)が、前記回折表面構造(4)を透過した前記再生光(9、10)の少なくとも一部の指向性反射を支持することを特徴とする請求項16〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
ミラー層が反射素子(31)として設けられるか、またはミラー部が層に付与されることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ミラー層が反射素子(31)として設けられるか、またはミラー部が層の1つに付与されることを特徴とする請求項19または20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
光学可変色素(OVI色素−光学可変インク(optical variable ink))が反射素子(31)として、層の1つの少なくとも一部に塗布され、前記光学可変色素において、少なくとも1つのスペクトル色素の反射が、幾何学的な光学系に従って反射角度からの偏差角度だけずれる観察角度において、最大強度を有することを特徴とする請求項19〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
読み取りのために、再生光(5)の際立った入射角度が存在するように、前記回折表面構造(4)が形成され、その結果、前記際立った角度で前記回折表面構造(4)に当たった前記再生光(5)が、前記偏差角度で前記光学可変色素(OVI色素)に当たり、前記回折層(2)の前記上面(6)を介して垂直に戻るように反射されることを特徴とする請求項19〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
吸収素子(41)がノイズ抑制構造体として設けられ、前記吸収素子(41)が、前記回折表面構造(4)を透過した前記再生光(9、10)を吸収することを特徴とする請求項16〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
少なくとも1つの別の層(3)が吸収素子(41)として設けられ、前記少なくとも1つの別の層(3)が吸収色素を含むか、または前記少なくとも1つの別の層(3)に吸収色素が塗布され、特に印刷され、前記少なくとも1つの別の層(3)が、特に、読み取りのために設けられた再生光(5)の色素に対して相補的な色素であることを特徴とする請求項16〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
体積ホログラム(61)がノイズ抑制構造体またはその構成要素として形成され、前記体積ホログラム(61)が、前記透過した再生光(9、10)の少なくとも1つの回折パターンを回折または反射回折することを特徴とする請求項16〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記回折表面構造(4)の前記中性線に接続された回折パターンの透過した再生光(9)が前記体積ホログラム(61)を介して反射回折されるように、前記体積ホログラム(61)が形成され、層の1つで露光されるかまたは層の1つに付与されることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記体積ホログラム(61)に、少なくとも1つのパターンが符号化されることを特徴とする請求項26または27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記体積ホログラム(61)に符号化された前記パターンが全パターンのパターン構成要素であり、前記回折表面構造の前記境界面における反射が前記全パターンの別のパターン構成要素を再生し、読み取りのために、前記回折表面構造(4)に当たった前記再生光(5)の別の際立った入射角度が存在するように、前記体積ホログラムおよび前記回折表面構造(4)が形成され、互いに配置され、その結果、前記少なくとも1つのパターン構成要素が再生され、前記全パターンに対して前記別のパターン構成要素を補足するように、前記別の際立った入射角度で前記回折表面構造(4)に当たって、前記回折表面構造(4)を透過した前記再生光(9、10)の少なくとも1つの回折パターンが、前記体積ホログラム(61)を再生することを特徴とする請求項26〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記吸収素子(41)が、前記体積ホログラム(61)を透過した再生光(9、10)を吸収するために、前記体積ホログラム(61)の前記回折表面構造(4)の反対面に配置されることを特徴とする請求項26〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記回折表面構造(4)を透過した前記再生光(9、10)の、好ましくは前記中性線に接続されたパターンとは異なる少なくとも1つの回折パターンが、前記回折層(2)の前記上面(6)を介して反射されて戻るように回折すべく、前記体積ホログラム(61)が形成されることを特徴とする請求項26〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記複数の層(3)が前記文書体に積層されることを特徴とする請求項16〜31のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−502063(P2011−502063A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531471(P2010−531471)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【国際出願番号】PCT/EP2008/009349
【国際公開番号】WO2009/056359
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(510058829)ブンデスドルッケライ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (10)
【Fターム(参考)】