回路基板、回路付きサスペンション基板及びそれらの製造方法
【課題】金属箔基材上のポリイミド樹脂からなる絶縁層を有する回路基板において、ポリイミド樹脂が大きい伸び率を有し、従って、厳しい折り曲げ加工によっても、ポリイミド樹脂層に割れが発生しない回路基板と、それを用いる回路付きサスペンション基板を提供することにある。
【解決手段】本発明による回路基板は、金属箔基材上にポリイミド樹脂からなる絶縁層を有する回路基板において、上記ポリイミド樹脂が(A)(a) m−フェニレンジアミン、及び(b) 1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン及び1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンから選ばれる少なくとも1種からなる芳香族ジアミンと、(B)3,4,3',4' −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物との反応によって得られるポリイミド樹脂であることを特徴とする。本発明による回路付きサスペンション基板は、このような回路基板上に導体層からなる所要の回路をパターニング技術によって形成してなる。
【解決手段】本発明による回路基板は、金属箔基材上にポリイミド樹脂からなる絶縁層を有する回路基板において、上記ポリイミド樹脂が(A)(a) m−フェニレンジアミン、及び(b) 1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン及び1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンから選ばれる少なくとも1種からなる芳香族ジアミンと、(B)3,4,3',4' −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物との反応によって得られるポリイミド樹脂であることを特徴とする。本発明による回路付きサスペンション基板は、このような回路基板上に導体層からなる所要の回路をパターニング技術によって形成してなる。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回路基板、回路付きサスペンション基板及びそれらの製造方法に関し、詳しくは、金属箔基材上にポリイミド樹脂からなる絶縁層を有する回路基板、そのような回路基板上に導体層からなるパターン回路を設けた回路付きサスペンション基板、それらの製造方法に関する。
【0002】例えば、コンピュータ等の外部記憶装置として用いられるハードディスク装置等の磁気ディスク装置において、磁気記録や再生を行なうには、上記磁気ディスクと磁気ヘッドとを相対的に走行させ、これによって生じる空気流に抗して、磁気ヘッドを磁気ディスクに弾性的に押し付けて、磁気ヘッドと磁気ディスクとの間に一定の微小な間隔を保つことが必要である。このように、磁気ヘッドを空気流に抗して磁気ディスクに弾性的に押し付ける磁気ヘッド支持装置がサスペンションである。本発明は、そのような回路付きサスペンション基板を製造するために好適に用いることができる回路基板、そのような回路基板上に導体層からなる回路をパターニング技術によって形成してなるパターン回路付きサスペンション基板、及びそれらの製造方法に関する。
【0003】
【従来の技術】近年、半導体の高密度実装や高速信号処理を目的とした薄膜多層回路基板として、金属箔にポリイミド樹脂からなる絶縁層を設けてなる回路基板が用いられるようになっている。このような回路基板は、場合によっては、厳しい折り曲げ加工が施されるが、従来より知られている回路基板では、ポリイミド樹脂の伸びが不十分であることから、折り曲げによって、樹脂層に割れが生じることがある。
【0004】他方、コンピュータやその周辺機器である記憶装置は、容量の向上の一方で小型化や低価格が求められており、このような要望を背景として、なかでも、ハードディスクドライブの技術が著しい進歩をみせている。磁気ヘッドにおいても、従来からのメタルインギャップ(MIG)に対して、最近では、コイル部分を薄膜化した薄膜磁気ヘッド(TFH)や、更には、読み書き兼用で且つ記憶容量も飛躍的に大きい薄膜−磁気抵抗複合ヘッド(MR)の開発が急がれている。
【0005】しかしながら、従来のように、所要の配線をサスペンション基板上に導線を引き回して構成する技術によっては、その導線がサスペンションの弾性率に影響を与えて、前記浮上量の変動を招来し、場合によっては、磁気ディスクとの接触によって、磁気ディスク装置の耐久性を低下させることもある。そこで、近年、ヘッドを実装するサスペンション基板上に直接、電気回路を形成してなるサスペンションが実用化されるに至っている。しかし、このようなサスペンションの製造において、上述したように、回路基板に折り曲げ加工を行なった場合に、折り曲げ部位において、ポリイミド樹脂に割れが発生し、絶縁不良を生じ、最終的に得られる製品に性能不良をもたらすことがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の金属箔上にポリイミド樹脂からなる絶縁層を有する回路基板や、それを用いる回路付きサスペンション基板における上述したような問題を解決するためになされたものであって、厳しい折り曲げ加工によっても、ポリイミド樹脂層に割れが発生しない回路基板、それを用いる回路付きサスペンション基板、及びそれらの製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明による回路基板は、金属箔基材上にポリイミド樹脂からなる絶縁層を有する回路基板において、上記ポリイミド樹脂が(A)(a) m−フェニレンジアミン、及び(b) 1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン及び1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンから選ばれる少なくとも1種からなる芳香族ジアミンと、(B)3,4,3',4' −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物との反応によって得られるポリイミド樹脂であることを特徴とする。
【0008】より詳細には、上記ポリイミド樹脂は、(A)(a) m−フェニレンジアミン、及び(b) 1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン及び1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンから選ばれる少なくとも1種からなる芳香族ジアミンと、(B)3,4,3',4' −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物より得られるポリイミド樹脂前駆体を感光剤の存在下で反応して得られるポリイミド樹脂である。
【0009】本発明による回路基板の製造方法は、金属箔基材上に感光性ポリイミド樹脂前駆体からなる被膜を形成し、露光させ、露光後加熱し、現像し、加熱してイミド化させて、ポリイミド樹脂からなる絶縁層を有する回路基板を製造する方法において、上記感光性ポリイミド樹脂前駆体が(A)(a) m−フェニレンジアミン、及び(b) 1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン及び1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンから選ばれる少なくとも1種からなる芳香族ジアミンと、(B)3,4,3',4' −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物との反応によって得られるポリアミド酸に感光剤を配合してなることを特徴とする。
【0010】この方法によれば、金属箔基材上に感光性ポリイミド樹脂前駆体からなる被膜を所定のパターンに従って露光させ、露光後加熱し、現像して、上記前駆体からなる所定のパターンを形成させ、これを最終的に高温に加熱してイミド化させることによって、パターン化したポリイミド樹脂からなる絶縁層を有する回路基板を得ることができる。
【0011】本発明による回路付きサスペンションは、金属箔基材上にポリイミド樹脂からなる絶縁層を有し、その上に導体層からなるパターン回路を有する回路付きサスペンション基板において、ポリイミド樹脂が前記した芳香族ジアミンとテトラカルボン酸二無水物との反応によって得られるポリイミド樹脂であることを特徴とする。
【0012】また、本発明による回路付きサスペンションの製造方法は、前記回路基板のポリイミド樹脂からなる絶縁層の上に導体層からなるパターン回路を形成する回路付きサスペンション基板の製造方法において、感光性ポリイミド樹脂前駆体が前記芳香族ジアミンとテトラカルボン酸二無水物との反応によって得られるポリアミド酸に感光剤を配合してなることを特徴とする。
【0013】即ち、この方法は、所定のパターン化したポリイミド樹脂からなる絶縁層を有する前記回路基板を形成し、次いで、上記絶縁層の上に導体層からなるパターン回路を形成することによって、回路付きサスペンション基板を得るものである。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明によれば、金属箔基材上にポリイミド樹脂からなる絶縁層を有する回路基板において、上記ポリイミド樹脂が(A)(a) m−フェニレンジアミン
【0015】
【化9】
【0016】及び(b) 1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン
【0017】
【化10】
【0018】及び1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン
【0019】
【化11】
【0020】から選ばれる少なくとも1種からなる芳香族ジアミンと、(B)3,4,3',4' −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(ジフタル酸二無水物)
【0021】
【化12】
【0022】との反応によって得られるポリイミド樹脂である。
【0023】本発明において、金属箔基材は、特に、限定されるものではないが、通常、ステンレス箔、銅箔、アルミニウム箔、銅−ベリリウム箔、リン青銅箔、42アロイ箔等が用いられる。更に、本発明によれば、このような金属箔基材は、長尺物が好ましく用いられる。即ち、長尺の金属箔基材にポリイミド樹脂からなる絶縁層を一定のパターンを繰り返すようにして設け、それぞれパターン化した絶縁層の上にそれぞれ導体層からなる所要のパターン回路を形成し、かくして、最終的に、個々のパターン回路ごとに金属箔基材を裁断すれば、個々の回路付きサスペンション基板を得ることができる。
【0024】そこで、本発明によれば、回路基板は、好ましくは、長尺の金属箔基材、通常、長尺のステンレス箔上に感光性ポリイミド樹脂前駆体の溶液を塗布し、乾燥させて、被膜を形成した後、この被膜を所定のパターンを有するマスクを介して、紫外線に露光させ、加熱(露光後加熱)し、現像し、この後、加熱硬化(ポリアミド酸のポリイミド化)を行なって、ポリイミド樹脂からなる所定のパターンを形成させて、これを絶縁層とすることによって得ることができる。
【0025】上記感光性ポリイミド樹脂前駆体は、上記芳香族ジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを実質的に等モル比にて適宜の有機溶剤、例えば、N−メチル−2−ピロリドンやジメチルアセトアミド等の中で反応させて、ポリアミド酸(ポリアミック酸)を生成させ、これに感光剤を配合してなる液状の組成物である。
【0026】本発明によれば、上記芳香族ジアミンのうち、(a)成分であるm−フェニレンジアミンの割合は60〜80モル%、好ましくは、65〜75モル%の範囲であり、(b)成分である1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン及び1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンから選ばれる少なくとも1種の割合は40〜20モル%、好ましくは、35〜25モル%の範囲であり、本発明によれば、このような割合の2種類の芳香族ジアミンを3,3',4,4' −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と共に用いることによって、通常、20%以上の高い伸び率を有するポリイミド樹脂を得ることができる。
【0027】本発明において、上記芳香族ジアミンにおける(a)成分及び(b)成分の割合(モル%)は、(a)成分及び(b)成分のモル数をそれぞれa及びbとするとき、それぞれ(a/(a+b))×100及び(b/(a+b))×100で定義される。
【0028】更に、本発明によれば、芳香族ジアミンのうち、m−フェニレンジアミンは、得られるポリイミド樹脂を紫外線に対して透明とし、後述するように、感光剤を含む感光性ポリイミド樹脂前駆体を紫外線に対して高感度とし、他方、1,3−又は1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンは、感光性ポリイミド樹脂前駆体を露光させ、加熱し、現像するときに、露光部と未露光部の現像剤への溶解速度の差を大きくし、高コントラストの画像を与え、従って、精密なパターニング加工を行なうことを可能とする。
【0029】上記感光剤としては、その詳細が特開平6−75376号公報に記載されているように、一般式(I)
【0030】
【化13】
【0031】(式中、X1 からX4 はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子、ニトロ基、メトキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、シアノ基又はフッ化アルキル基を示し、Y1 はシアノ基又は一般式−COR3 を示し、Y2 はシアノ基又は一般式−COR4 を示し、ここに、R3 及びR4 はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基若しくはアルコキシ基、アニリノ基、トルイジノ基、ベンジルオキシ基、アミノ基又はジアルキルアミノ基を示し、R1 、R2 及びR5 はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。R1 とR3 、R2 とR4 は、ケト基を含む5員環、6員環又は複素環の形成可能な員環となることができる。)で表わされるジヒドロピリジン誘導体が用いられる。
【0032】具体例としては、例えば、4−o−ニトロフェニル−3,5−ジメトキシカルボニル−2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジン(以下、ニフェジピンという。)、4−o−ニトロフェニル−3,5−ジメトキシカルボニル−2,6−ジメチル−1−メチル−4−ヒドロピリジン(以下、N−メチル体という。)、4−o−ニトロフェニル−3,5−ジアセチル−1,4−ジヒドロピリジン(以下、単にアセチル体という。)等を挙げることができる。これらは単独で、又は2種以上の混合物として用いられる。必要に応じて、現像剤に対する溶解助剤として、イミダゾールが適当量用いられる。
【0033】本発明においては、上記ジヒドロピリジン誘導体は、芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物の合計量1モル部に対して、通常、0.05〜0.5モル部の範囲で用いられる。イミダゾールも、必要に応じて、芳香族ジアミンを含むジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物の合計量1モル部に対して、通常、0.05〜0.5モル部の範囲で用いられる。
【0034】このような感光性ポリイミド樹脂前駆体は、その溶液を適宜の基材上に塗布し、乾燥させ、これに紫外線を照射して露光(紫外線照射)させた後、加熱(露光後加熱)することによって、ポジ型又はネガ型の潜像を形成し、これを現像して、ポジ型又はネガ型の画像、即ち、所要のパターンを得る。そこで、これを最終的に高温に加熱して、ポリアミド酸をイミド化すれば、ポリイミド樹脂からなるパターン被膜を得ることができる。
【0035】より詳細には、上記感光性ポリイミド樹脂前駆体は、用いる感光剤の種類によって幾らか異なるものの、露光後加熱の温度が140℃前後の比較的低温であるときは、露光部が現像剤に溶解して、ポジ型画像を形成し、他方、上記露光後加熱の温度が約170℃以上の比較的高温であるときは、未露光部が現像剤に溶解して、ネガ型画像を形成する。
【0036】ここに、上記現像剤としては、通常、水酸化テトラメチルアンモニウム等のような有機アルカリの水溶液や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリの水溶液が用いられる。アルカリ濃度は、通常、2〜5重量%の範囲が適当である。必要に応じて、上記アルカリ水溶液には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等の低級脂肪族アルコールを加えてもよい。アルコールの添加量は、通常、50重量%以下である。また、現像温度は、通常、25〜50℃の範囲が適当である。
【0037】本発明において用いる感光性ポリイミド樹脂前駆体によれば、露光後加熱の温度が140℃前後の比較的低温であるときは、未露光部においては、前記ジヒドロピリジン誘導体の1位置のイミノ基水素とポリアミド酸のカルボキシル基との間に水素結合を形成して、ポリイミド樹脂の親水性と被膜の現像液への拡散速度とが低下し、結果として、被膜の現像剤への溶解速度が低下し、他方、露光部においては、露光によって、中性化合物である前記ジヒドロピリジン誘導体が塩基性のピリジン化合物に変化し、これがポリアミド酸と弱い塩構造を形成し、その結果として、被膜の親水性が増大し、現像剤への溶解速度が増す。このように、露光部の現像剤への溶解速度が未露光部よりも大きいために、露光、露光後加熱及び現像後の被膜は、ポジ型画像を与える。
【0038】他方、本発明において用いる感光性ポリイミド樹脂前駆体によれば、露光後加熱の温度が約170℃以上の比較的高温であるときは、未露光部は、露光後加熱の温度が140℃前後の比較的低温であるときと同様に、被膜の現像剤への溶解速度が低下するが、他方、露光部においては、前記ジヒドロピリジン誘導体が露光によって塩基性のピリジン化合物に変化し、これがポリアミド酸のポリイミド化を促進し、被膜の現像剤への溶解速度を低下させると同時に、上記ピリジン化合物自身も露光後加熱によって更に不溶性の環化化合物に変化すると共に、ポリアミド酸のポリイミド化を促進し、その結果として、露光部の被膜の現像剤に対する溶解性が上記未露光部に比べて一層低下する。このように、露光後の上記加熱温度が約170℃以上の比較的高温であるときは、露光部の現像剤への溶解速度が未露光部に比べて著しく小さいので、露光、露光後加熱及び現像後の被膜は、ネガ型画像を与える。
【0039】本発明によれば、長尺の金属箔基材上に上述したような感光性ポリイミド樹脂前駆体の溶液を塗布し、加熱乾燥させて、前駆体被膜を形成し、これにマスクを介して紫外線を照射して所定のパターンを露光させ、露光後加熱し、現像し、好ましくは、所定のパターンを有するネガ画像を形成した後、これを加熱硬化して、イミド化反応を起こさせることによって、ポリイミド樹脂からなる絶縁層を形成して、本発明による回路基板を得ることができる。
【0040】このように、ポリイミド樹脂前駆体を加熱してポリイミド化するには、好ましくは、その被膜を真空下又は不活性ガス雰囲気下に350〜400℃程度に数時間、加熱するのが好ましい。この後、この絶縁層の上に常法に従って所定のパターンを有する導体層からなる所定の回路を形成すると共に、所要の端子を形成し、次いで、長尺の金属箔基材を所要の形状に化学的に切り抜くことによって、本発明による回路付きサスペンション基板を得ることができる。
【0041】本発明によれば、得られるポリイミド樹脂の基材に対する接着性を向上させるために、必要に応じて、ジアミン成分の一部として、アミノ基含有2官能性ポリシロキサンを用いてもよい。このようなアミノ基含有2官能性ポリシロキサンの具体例として、例えば、一般式(II)
【0042】
【化14】
【0043】(式中、R1 は炭素数1〜18のアルキレン基、R2 は炭素数1〜18のアルキル基を示し、nは1〜100の整数である。)で表わされるポリシロキサンを挙げることができる。このようなアミノ基含有2官能性ポリシロキサンは、ジアミン成分の10モル%以下の範囲で用いられる。
【0044】本発明において、上記アミノ基含有2官能性ポリシロキサンの割合(モル%)は、前記芳香族ジアミン(a)成分及び(b)成分のモル数をそれぞれa及びbとし、アミノ基含有2官能性ポリシロキサンのモル数をcとするとき、(c/(a+b+c))×100で定義される。
【0045】特に、本発明においては、上記一般式(I)において、R1 は炭素数1〜7のアルキレン基であることが好ましく、具体例として、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキシレン等のアルキレン基を挙げることができる。R2 は炭素数1〜7のアルキル基であることが好ましく、具体例として、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル等のアルキル基を挙げることができる。また、nは好ましくは1〜40である。なかでも、アミノ基含有2官能性ポリシロキサンとして、ビス(アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンが好ましく用いられる。
【0046】次に、本発明による回路付きサスペンション基板は、前述したようにして、回路基板を製造した後、パターニング技術の常法に従って、ポリイミド樹脂からなる絶縁層の上に導体層からなるパターン回路を形成すると共に、所要の端子を形成した後、最終的に前記絶縁層を含む所要の形状にステンレス箔を化学的に切り抜くことによって、個々の回路付きサスペンション基板を得ることができる。
【0047】このようにして、本発明によれば、前述したような高い伸び率を有するポリイミド樹脂からなる絶縁層を有する回路基板上に所要の加工を行なって、回路付きサスペンション基板とするので、厳しい折り曲げ加工によっても、ポリイミド樹脂に割れが発生せず、従って、絶縁不良等を起こすことがない。しかも、本発明によれば、前述したように、高感度高コントラストにて精密なパターニング加工を行なうことができるので、回路付きサスペンション基板の高容量小型化が可能である。
【0048】以下に、図面に基づいて本発明による回路付きサスペンション基板及びその製造について詳細に説明する。
【0049】図1は、本発明による回路付きサスペンション基板1の一例を示す斜視図であり、ステンレス箔基材2の上にポリイミド樹脂からなる絶縁層(図示せず)を有し、その上に導体層3からなる所定のパターン回路が薄膜として形成されている。先端には、基材への切込みによって、ジンバル4が基材に一体に形成されており、この上に磁気ヘッドを有するスライダ(図示せず)が固定される。前後の端部にはそれぞれ所要の端子5及び6が形成されている。但し、図1においては、基板の表面を被覆保護する被覆層(カバー・レイ)が剥離されている状態を示す。
【0050】図2は、図1において、A−A線に沿う断面図であり、ステンレス箔基材2の上にポリイミド樹脂からなる絶縁層7を有し、その上にクロム薄膜23を介して銅導体層3からなる所定のパターン回路が薄膜として形成されている。この導体層は、ニッケル薄膜28からなる被覆にて保護されており、更に、その上に端子5が形成されている。端子を除く全表面は、被覆層8によって被覆保護されている。
【0051】図3は、図1において、B−B線に沿う断面図であり、ステンレス箔基材2の上にポリイミド樹脂からなる絶縁層7を有し、その上にクロム薄膜23を介して銅導体層3からなる所定のパターン回路が薄膜として形成されている。この導体層は、ニッケル薄膜28からなる被覆にて保護されており、更に、被覆層8によって被覆保護されている。長尺のステンレス箔基材2としては、通常、その厚みが10〜60μm、好ましくは、振動特性の観点から、15〜30μmで、幅が50〜500mm、好ましくは、125〜300mmの範囲のものが用いられる。しかし、これらに限定されるものではない。
【0052】図4から図5は、本発明による回路基板の製造工程を示し、図6から図16は、本発明による回路付きサスペンションの製造工程を示す。
【0053】先ず、図4に示すように、上述したようなステンレス箔基材2の全面に、得られる樹脂層の厚みが2〜20μm、好ましくは、5〜10μmとなるように、感光性ポリイミド樹脂前駆体の溶液を塗布し、60〜150℃、好ましくは、80〜120℃で加熱して、上記感光性ポリイミド樹脂前駆体の被膜21を形成する。
【0054】次に、この感光性ポリイミド樹脂前駆体の被膜に適宜のマスクを介して紫外線を照射し、所定のパターンに露光させる。ここに、露光積算光量は、100〜1000mJ/cm2 、好ましくは、200〜700mJ/cm2 の範囲であり、露光波長は、通常、300〜450nm、好ましくは、350〜420nmの範囲である。この露光の後、被膜を80〜200℃、好ましくは、120〜180℃の温度で約2〜10分程度加熱(露光後加熱)し、次いで、現像処理を行なう。本発明においては、ネガ型画像を得るのが好ましい。この後、このようにして得られたポリイミド樹脂前駆体のパターン被膜を高温に加熱して、ポリイミド化し、かくして、図5に示すように、ステンレス箔基材2上にポリイミド樹脂からなるパターン化した絶縁層22を形成して、本発明による回路基板を得る。
【0055】次いで、図6に示すように、パターン化したポリイミドの絶縁層22を有するステンレス箔基材2の全面にクロム薄膜23と銅薄膜24とをスパッタリングにて連続して順次に形成する。クロム薄膜23は、ポリイミドからなる絶縁層22上に銅薄膜24を密着させるのに有用である。ここに、膜厚は、クロム薄膜が100〜600オングストローム、銅薄膜が500〜2000オングストロームの範囲が好ましい。このようにして得られる銅薄膜の表面抵抗は、通常、0.6Ω/□以下である。
【0056】この後、図7に示すように、上記銅薄膜24の上に厚さ2〜15μm程度の電解銅めっきを行なって、銅からなる導体層25を形成する。図7においては、前記クロム薄膜は図示されていない。
【0057】次いで、図8及び図9に示すように、常法に従って、フォトレジスト26又はドライフィルムラミネートを用いるパターニング技術によって、露光及び現像処理を行なった後、非パターン部の銅導体層25をエッチングにて除去し、かくして、前記ポリイミド樹脂からなる絶縁層22の上に上記銅からなる所定の導体パターン27を形成する。ここに、銅のエッチングにはアルカリエッチングによることが好ましい。
【0058】このような非パターン部の銅導体層のエッチング除去の後、更に、前記クロム薄膜23をエッチング除去して、図10に示すように、前記ポリイミド樹脂からなる絶縁層22の上に所定の導体パターン27を得る。クロム薄膜23のエッチングには、例えば、フェリシアン化カリウム系のエッチング液や、このほか、過マンガン酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム系等のエッチング液が用いられる。
【0059】このようにして、基材上の不必要なクロム薄膜を除去した後、無電解ニッケルめっきを行なって、図11に示すように、上記銅導体層27とステンレス箔基材2の表面に硬質のニッケル薄膜28を形成して、銅導体層の表面を被覆、保護する。従って、このニッケルめっきの膜厚は、下層の銅導体層が露出しない程度であればよく、通常、0.05〜0.1μmの範囲である。この後、配線部分の導体パターン27を前記した感光性ポリイミド樹脂前駆体を用いて被覆保護すると共に、所要の端子部には端子を形成し、これを残して、表面を同様に被覆保護して、被覆層(カバー・レイ)を形成する。図1212以下において、基材の左側は配線部の形成を示し、右側は端子部の形成を示す。
【0060】即ち、図12に示すように、配線部では、ポリイミド樹脂29にて導体パターン27を被覆し、端子部では、パターニングによって、端子部を残すと共に、端子を電解めっきにて形成するためのリード部30を残して、前記感光性ポリイミド樹脂前駆体を用いて、前記同様の塗布、露光、露光後加熱、現像及び加熱硬化(イミド化)を行なって、ポリイミド樹脂にて被覆し、被覆層31を形成する。
【0061】次いで、図13に示すように、端子部においては、先ず、導体パターン27の表面を保護していた無電解ニッケルめっき薄膜28(図11参照)を剥離し、同時に、ステンレス箔基材2上の無電解ニッケルめっき薄膜28も除去する。この後に、常法に従って、通常のフォトレジストを用いる方法によって、端子部のみを残して、ステンレス箔基材、導体パターン27及びポリイミド樹脂被覆層31をレジストにて被覆した後、上記端子部に電解ニッケルめっき32と電解金めっき33を順次に行なって、端子34を形成する。ここに、電解ニッケルめっきと電解金めっきの厚さは、いずれも、1〜5μm程度が適当である。この後、上記レジストを除去する。
【0062】次いで、図14に示すように、端子34を形成した導体パターン27において、上記電解めっきに用いたリード部30(図12参照)を化学エッチングにて除去する。リード部の銅及びクロムの除去は、前述したと同じ方法によればよい。このようにして、リード部を除去した後、ステンレス箔基材2を化学エッチングによって所要の形状に切り抜くために、常法に従って、フォトレジスト35又はドライフィルムラミネートを用いて、露光、現像を行なって、図15に示すように、ステンレス箔基材2上に所要のパターンを形成した後、ステンレス箔基材をエッチングにて所要の形状に切り抜く。ここに、エッチング液としては、例えば、塩化第二鉄、塩化第二銅等の水溶液が用いられる。
【0063】このエッチング処理の後、純水にて洗浄し、乾燥すれば、図16に示すように、本発明による回路付きサスペンション基板1を得ることができる。即ち、この回路付きサスペンション基板は、ステンレス箔基材2上にポリイミド樹脂からなる絶縁層22を有し、その上に導体層の薄膜からなる導体パターン27、即ち、パターン回路を有し、端子34を除いて、全表面がポリイミド樹脂からなる被覆層31にて被覆保護されている。
【0064】
【発明の効果】以上のように、本発明による回路基板は、金属箔基材の上に、所定の割合の2種類の芳香族ジアミンとジフタル酸二無水物との反応によって得られるポリイミド樹脂層を絶縁層として有し、このポリイミド樹脂が20%以上の高い伸び率を有するので、厳しい折り曲げ加工によっても、樹脂層に割れが発生することがなく、絶縁不良を起こすことがない。
【0065】従って、本発明による回路付きサスペンション基板においても、他の部材への取付けや接続に際して、厳しい折り曲げを行なっても、樹脂層に割れが発生することがなく、よく追随するので、歩留りよく、製品に組み込むことができるうえに、性能不良を起こすことがない。
【0066】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0067】実施例1m−フェニレンジアミン0.492kg(4.55モル)と1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン0.570kg(1.95モル)(ジアミン成分合計6.5モル)と3,4,3',4' −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(ジフタル酸二無水物)1.912kg(6.5モル)とをN−メチル−2−ピロリドン7.65kgに溶解させ、室温で24時間攪拌した。この後、75℃に昇温し、粘度が5000センチポイズに達したとき、加熱を止め、室温まで放置、冷却した。次いで、これにN−メチル体0.4461kg(1.2モル)を加えて、感光性ポリイミド樹脂前駆体の溶液を調製した。
【0068】厚み25μmのステンレス(SUS304)箔上に上記感光性ポリイミド樹脂前駆体の溶液を連続コーターにて長尺塗布した後、120℃で2分間加熱乾燥して、感光性ポリイミド樹脂前駆体の被膜を形成した。次いで、マスクを介して、露光量700mJ/cm2 にて紫外線照射し、160℃で3分間加熱した後、現像処理して、ネガ型画像を形成し、更に、0.01torrの真空下、400℃に加熱して、パターン化したポリイミド樹脂からなる絶縁層(膜厚6μm)を形成して、回路基板を得た。
【0069】この回路基板をポリイミド樹脂層が外側となるように90°の角度に折り曲げたが、樹脂層において、割れの発生はみられなかった。また、回路基板からステンレス箔を塩化第二鉄にてエッチング除去して、ポリイミド樹脂フィルムを得、その伸び率を測定したところ、40%であった。ここに、伸び率は、テンシロン式引張試験機(東洋ボールドウィン社製)を用い、試験片の幅2mm、チャック間距離5mm、引張速度5mm/分の条件下に測定した値であって、破断時までの伸び(破断伸び)を初期長さで除した値である。
【0070】次に、このような回路基板のポリイミドからなる絶縁層上に連続スパッタリング処理によってクロムと銅をそれぞれ500オングストローム及び1000オングストロームの膜厚で薄膜形成した。銅薄膜の表面抵抗は0.3〜0.4Ω/□であった。次いで、ステンレス基材の裏面に軽粘着シートをめっきマスクとして貼着した後、上記銅薄膜の全面に硫酸銅電解めっきを行なって、膜厚10μmの銅めっきからなる導体層を形成した。
【0071】この後、常法に従って、市販のドライフィルムラミネートを110℃導体層上にラミネートした後、露光量80mJ/cm2 にてこれを露光させ、現像し、非パターン部の銅導体層をアルカリエッチングして、配線部と端子部と共に電解めっきのリード部を残すように導体層をパターン化し、この後、レジストを除去した。
【0072】次いで、このように処理したステンレス箔をフエリシアン化カリウムと水酸化ナトリウムの混合水溶液に25℃で浸漬し、不必要な前記クロム薄膜を除去した。この後、このステンレス基材に通常の無電解めっきを施し、膜厚約0.5μmのニッケル薄膜を導体層及び絶縁層を含むステンレス箔の全面上に形成した。
【0073】次いで、前述したように、ステンレス箔上の導体層の配線部及び端子部に、前記と同様にして、感光性ポリイミド樹脂前駆体を用いて、所要の被覆層を形成した。次いで、基材を硝酸系剥離剤に室温で浸漬して、端子部及びステンレス箔上の前記無電解めっき薄膜を除去した。
【0074】この後、常法に従って、上記端子部を除いて、通常のフォトレジストて被覆した後、上記端子部に電解ニッケルめっきと電解金めっきを順次に行なって、それぞれ膜厚1μmのめっき層を形成し、端子を形成した。この後、上記レジストを剥離した。このめっき処理に続いて、めっきに用いたリード部を導体層から除去するために、銅アルカリエッチングとクロムエッチングを前述したのと同様の方法で行なった。
【0075】このようにして、導体層からめっきリード部を除去した後、ステンレス箔基材を所要の形状に切り抜くために、常法に従って、フォトレジスト又はドライフィルムラミネートを用いて、露光、現像を行なって、ステンレス箔上に所要のパターンを形成した後、ステンレス箔基材を塩化第二鉄エッチング液に45℃で浸漬して、所要の形状に切り抜いた。これを純水にて十分に洗浄した後、乾燥して、個々に切り抜かれた回路付きサスペンション基板を得た。このようにして得られた回路付きサスペンション基板によれば、ポリイミド樹脂が高い伸び率を有するので、厳しい折り曲げにも、樹脂に割れが発生せず、よく追随した。
【0076】実施例2m−フェニレンジアミン0.562kg(5.20モル)と1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン0.380kg(1.30モル)(ジアミン成分合計6.5モル)と3,4,3',4' −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(ジフタル酸二無水物)1.912kg(6.5モル)とをN−メチル−2−ピロリドン7.65kgに溶解させ、室温で24時間攪拌した。この後、75℃に昇温し、粘度が5000センチポイズに達したとき、加熱を止め、室温まで放置、冷却した。次いで、これにN−メチル体0.4461kg(1.2モル)を加えて、感光性ポリイミド樹脂前駆体の溶液を調製した。
【0077】厚み25μmのステンレス(SUS304)箔上に上記感光性ポリイミド樹脂前駆体の溶液を連続コーターにて長尺塗布した後、120℃で2分間加熱乾燥して、感光性ポリイミド樹脂前駆体の被膜を形成した。次いで、マスクを介して、露光量700mJ/cm2 にて紫外線照射し、160℃で3分間加熱した後、現像処理して、ネガ型画像を形成し、更に、0.01torrの真空下、400℃に加熱して、パターン化したポリイミド樹脂からなる絶縁層(膜厚6μm)を形成して、回路基板を得た。
【0078】この回路基板をポリイミド樹脂層が外側となるように90°の角度に折り曲げたが、樹脂層において、割れの発生はみられなかった。また、回路基板からステンレス箔を塩化第二鉄にてエッチング除去して、ポリイミド樹脂フィルムを得、これについて、実施例1と同様にして、その伸び率を測定したところ、35%であった。
【0079】次いで、この回路基板を用いて、実施例1と同じ手順によって、回路付きサスペンション基板を得た。この回路付きサスペンション基板においては、ポリイミド樹脂が高い伸び率を有するので、厳しい折り曲げにも、樹脂に割れが発生せず、よく追随した。
【0080】実施例3m−フェニレンジアミン0.421kg(3.90モル)と1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン0.759kg(2.60モル)(ジアミン成分合計6.5モル)と3,4,3',4' −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(ジフタル酸二無水物)1.912kg(6.5モル)とをN−メチル−2−ピロリドン7.65kgに溶解させ、室温で24時間攪拌した。この後、75℃に昇温し、粘度が5000センチポイズに達したとき、加熱を止め、室温まで放置、冷却した。次いで、これにN−メチル体0.4461kg(1.2モル)を加えて、感光性ポリイミド樹脂前駆体の溶液を調製した。
【0081】厚み25μmのステンレス(SUS304)箔上に上記感光性ポリイミド樹脂前駆体の溶液を連続コーターにて長尺塗布した後、120℃で2分間加熱乾燥して、感光性ポリイミド樹脂前駆体の被膜を形成した。次いで、マスクを介して、露光量700mJ/cm2 にて紫外線照射し、160℃で3分間加熱した後、現像処理して、ネガ型画像を形成し、更に、0.01torrの真空下、400℃に加熱して、パターン化したポリイミド樹脂からなる絶縁層(膜厚6μm)を形成して、回路基板を得た。
【0082】この回路基板をポリイミド樹脂層が外側となるように90°の角度に折り曲げたが、樹脂層において、割れの発生はみられなかった。また、回路基板からステンレス箔を塩化第二鉄にてエッチング除去して、ポリイミド樹脂フィルムを得、これについて、実施例1と同様にして、その伸び率を測定したところ、45%であった。
【0083】次いで、この回路基板を用いて、実施例1と同じ手順によって、回路付きサスペンション基板を得た。この回路付きサスペンション基板においては、ポリイミド樹脂が高い伸び率を有するので、厳しい折り曲げにも、樹脂に割れが発生せず、よく追随した。
【0084】実施例4m−フェニレンジアミン0.492kg(4.55モル)と1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン0.473kg(1.62モル)とビス(アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン0.081kg(0.33モル)(ジアミン成分合計6.5モル)と3,4,3',4' −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(ジフタル酸二無水物)1.912kg(6.5モル)とをN−メチル−2−ピロリドン7.65kgに溶解させ、室温で24時間攪拌した。この後、75℃に昇温し、粘度が5000センチポイズに達したとき、加熱を止め、室温まで放置、冷却した。次いで、これにN−メチル体0.4461kg(1.2モル)を加えて、感光性ポリイミド樹脂前駆体の溶液を調製した。
【0085】厚み25μmのステンレス(SUS304)箔上に上記感光性ポリイミド樹脂前駆体の溶液を連続コーターにて長尺塗布した後、120℃で2分間加熱乾燥して、感光性ポリイミド樹脂前駆体の被膜を形成した。次いで、マスクを介して、露光量700mJ/cm2 にて紫外線照射し、160℃で3分間加熱した後、現像処理して、ネガ型画像を形成し、更に、0.01torrの真空下、400℃に加熱して、パターン化したポリイミド樹脂からなる絶縁層(膜厚6μm)を形成して、回路基板を得た。
【0086】この回路基板をポリイミド樹脂層が外側となるように90°の角度に折り曲げたが、樹脂層において、割れの発生はみられなかった。また、回路基板からステンレス箔を塩化第二鉄にてエッチング除去して、ポリイミド樹脂フィルムを得、これについて、実施例1と同様にして、その伸び率を測定したところ、40%であった。
【0087】次いで、この回路基板を用いて、実施例1と同じ手順によって、回路付きサスペンション基板を得た。この回路付きサスペンション基板においては、ポリイミド樹脂が高い伸び率を有するので、厳しい折り曲げにも、樹脂に割れが発生せず、よく追随した。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明による回路付きサスペンション基板の一例を示す斜視図である。
【図2】は、図1において、A−A線に沿う断面図である。
【図3】は、図1において、B−B線に沿う断面図である。
【図4】、
【図5】、
【図6】、
【図7】、
【図8】、
【図9】、
【図10】、
【図11】、
【図12】、
【図13】、
【図14】、
【図15】及び
【図16】は、本発明による回路付きサスペンション基板の製造工程を示す要部部分断面図である。
【符号の説明】
1…回路付きサスペンション基板、2…ステンレス箔基材、3…導体層、4…ジンバル、5及び6…端子、7…絶縁層、8…被覆層、21…感光性ポリイミド樹脂前駆体からなる被膜、22…ポリイミド樹脂からなる絶縁層、23…クロム薄膜、24…銅薄膜、25…導体層、26…フォトレジスト、27…導体パターン、28…ニッケル薄膜、29…ポリイミド樹脂、30…リード部、31…ポリイミド樹脂被覆層、33…電解金めっき薄膜、34…端子、35…フォトレジスト。
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回路基板、回路付きサスペンション基板及びそれらの製造方法に関し、詳しくは、金属箔基材上にポリイミド樹脂からなる絶縁層を有する回路基板、そのような回路基板上に導体層からなるパターン回路を設けた回路付きサスペンション基板、それらの製造方法に関する。
【0002】例えば、コンピュータ等の外部記憶装置として用いられるハードディスク装置等の磁気ディスク装置において、磁気記録や再生を行なうには、上記磁気ディスクと磁気ヘッドとを相対的に走行させ、これによって生じる空気流に抗して、磁気ヘッドを磁気ディスクに弾性的に押し付けて、磁気ヘッドと磁気ディスクとの間に一定の微小な間隔を保つことが必要である。このように、磁気ヘッドを空気流に抗して磁気ディスクに弾性的に押し付ける磁気ヘッド支持装置がサスペンションである。本発明は、そのような回路付きサスペンション基板を製造するために好適に用いることができる回路基板、そのような回路基板上に導体層からなる回路をパターニング技術によって形成してなるパターン回路付きサスペンション基板、及びそれらの製造方法に関する。
【0003】
【従来の技術】近年、半導体の高密度実装や高速信号処理を目的とした薄膜多層回路基板として、金属箔にポリイミド樹脂からなる絶縁層を設けてなる回路基板が用いられるようになっている。このような回路基板は、場合によっては、厳しい折り曲げ加工が施されるが、従来より知られている回路基板では、ポリイミド樹脂の伸びが不十分であることから、折り曲げによって、樹脂層に割れが生じることがある。
【0004】他方、コンピュータやその周辺機器である記憶装置は、容量の向上の一方で小型化や低価格が求められており、このような要望を背景として、なかでも、ハードディスクドライブの技術が著しい進歩をみせている。磁気ヘッドにおいても、従来からのメタルインギャップ(MIG)に対して、最近では、コイル部分を薄膜化した薄膜磁気ヘッド(TFH)や、更には、読み書き兼用で且つ記憶容量も飛躍的に大きい薄膜−磁気抵抗複合ヘッド(MR)の開発が急がれている。
【0005】しかしながら、従来のように、所要の配線をサスペンション基板上に導線を引き回して構成する技術によっては、その導線がサスペンションの弾性率に影響を与えて、前記浮上量の変動を招来し、場合によっては、磁気ディスクとの接触によって、磁気ディスク装置の耐久性を低下させることもある。そこで、近年、ヘッドを実装するサスペンション基板上に直接、電気回路を形成してなるサスペンションが実用化されるに至っている。しかし、このようなサスペンションの製造において、上述したように、回路基板に折り曲げ加工を行なった場合に、折り曲げ部位において、ポリイミド樹脂に割れが発生し、絶縁不良を生じ、最終的に得られる製品に性能不良をもたらすことがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の金属箔上にポリイミド樹脂からなる絶縁層を有する回路基板や、それを用いる回路付きサスペンション基板における上述したような問題を解決するためになされたものであって、厳しい折り曲げ加工によっても、ポリイミド樹脂層に割れが発生しない回路基板、それを用いる回路付きサスペンション基板、及びそれらの製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明による回路基板は、金属箔基材上にポリイミド樹脂からなる絶縁層を有する回路基板において、上記ポリイミド樹脂が(A)(a) m−フェニレンジアミン、及び(b) 1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン及び1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンから選ばれる少なくとも1種からなる芳香族ジアミンと、(B)3,4,3',4' −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物との反応によって得られるポリイミド樹脂であることを特徴とする。
【0008】より詳細には、上記ポリイミド樹脂は、(A)(a) m−フェニレンジアミン、及び(b) 1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン及び1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンから選ばれる少なくとも1種からなる芳香族ジアミンと、(B)3,4,3',4' −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物より得られるポリイミド樹脂前駆体を感光剤の存在下で反応して得られるポリイミド樹脂である。
【0009】本発明による回路基板の製造方法は、金属箔基材上に感光性ポリイミド樹脂前駆体からなる被膜を形成し、露光させ、露光後加熱し、現像し、加熱してイミド化させて、ポリイミド樹脂からなる絶縁層を有する回路基板を製造する方法において、上記感光性ポリイミド樹脂前駆体が(A)(a) m−フェニレンジアミン、及び(b) 1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン及び1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンから選ばれる少なくとも1種からなる芳香族ジアミンと、(B)3,4,3',4' −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物との反応によって得られるポリアミド酸に感光剤を配合してなることを特徴とする。
【0010】この方法によれば、金属箔基材上に感光性ポリイミド樹脂前駆体からなる被膜を所定のパターンに従って露光させ、露光後加熱し、現像して、上記前駆体からなる所定のパターンを形成させ、これを最終的に高温に加熱してイミド化させることによって、パターン化したポリイミド樹脂からなる絶縁層を有する回路基板を得ることができる。
【0011】本発明による回路付きサスペンションは、金属箔基材上にポリイミド樹脂からなる絶縁層を有し、その上に導体層からなるパターン回路を有する回路付きサスペンション基板において、ポリイミド樹脂が前記した芳香族ジアミンとテトラカルボン酸二無水物との反応によって得られるポリイミド樹脂であることを特徴とする。
【0012】また、本発明による回路付きサスペンションの製造方法は、前記回路基板のポリイミド樹脂からなる絶縁層の上に導体層からなるパターン回路を形成する回路付きサスペンション基板の製造方法において、感光性ポリイミド樹脂前駆体が前記芳香族ジアミンとテトラカルボン酸二無水物との反応によって得られるポリアミド酸に感光剤を配合してなることを特徴とする。
【0013】即ち、この方法は、所定のパターン化したポリイミド樹脂からなる絶縁層を有する前記回路基板を形成し、次いで、上記絶縁層の上に導体層からなるパターン回路を形成することによって、回路付きサスペンション基板を得るものである。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明によれば、金属箔基材上にポリイミド樹脂からなる絶縁層を有する回路基板において、上記ポリイミド樹脂が(A)(a) m−フェニレンジアミン
【0015】
【化9】
【0016】及び(b) 1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン
【0017】
【化10】
【0018】及び1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン
【0019】
【化11】
【0020】から選ばれる少なくとも1種からなる芳香族ジアミンと、(B)3,4,3',4' −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(ジフタル酸二無水物)
【0021】
【化12】
【0022】との反応によって得られるポリイミド樹脂である。
【0023】本発明において、金属箔基材は、特に、限定されるものではないが、通常、ステンレス箔、銅箔、アルミニウム箔、銅−ベリリウム箔、リン青銅箔、42アロイ箔等が用いられる。更に、本発明によれば、このような金属箔基材は、長尺物が好ましく用いられる。即ち、長尺の金属箔基材にポリイミド樹脂からなる絶縁層を一定のパターンを繰り返すようにして設け、それぞれパターン化した絶縁層の上にそれぞれ導体層からなる所要のパターン回路を形成し、かくして、最終的に、個々のパターン回路ごとに金属箔基材を裁断すれば、個々の回路付きサスペンション基板を得ることができる。
【0024】そこで、本発明によれば、回路基板は、好ましくは、長尺の金属箔基材、通常、長尺のステンレス箔上に感光性ポリイミド樹脂前駆体の溶液を塗布し、乾燥させて、被膜を形成した後、この被膜を所定のパターンを有するマスクを介して、紫外線に露光させ、加熱(露光後加熱)し、現像し、この後、加熱硬化(ポリアミド酸のポリイミド化)を行なって、ポリイミド樹脂からなる所定のパターンを形成させて、これを絶縁層とすることによって得ることができる。
【0025】上記感光性ポリイミド樹脂前駆体は、上記芳香族ジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを実質的に等モル比にて適宜の有機溶剤、例えば、N−メチル−2−ピロリドンやジメチルアセトアミド等の中で反応させて、ポリアミド酸(ポリアミック酸)を生成させ、これに感光剤を配合してなる液状の組成物である。
【0026】本発明によれば、上記芳香族ジアミンのうち、(a)成分であるm−フェニレンジアミンの割合は60〜80モル%、好ましくは、65〜75モル%の範囲であり、(b)成分である1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン及び1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンから選ばれる少なくとも1種の割合は40〜20モル%、好ましくは、35〜25モル%の範囲であり、本発明によれば、このような割合の2種類の芳香族ジアミンを3,3',4,4' −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と共に用いることによって、通常、20%以上の高い伸び率を有するポリイミド樹脂を得ることができる。
【0027】本発明において、上記芳香族ジアミンにおける(a)成分及び(b)成分の割合(モル%)は、(a)成分及び(b)成分のモル数をそれぞれa及びbとするとき、それぞれ(a/(a+b))×100及び(b/(a+b))×100で定義される。
【0028】更に、本発明によれば、芳香族ジアミンのうち、m−フェニレンジアミンは、得られるポリイミド樹脂を紫外線に対して透明とし、後述するように、感光剤を含む感光性ポリイミド樹脂前駆体を紫外線に対して高感度とし、他方、1,3−又は1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンは、感光性ポリイミド樹脂前駆体を露光させ、加熱し、現像するときに、露光部と未露光部の現像剤への溶解速度の差を大きくし、高コントラストの画像を与え、従って、精密なパターニング加工を行なうことを可能とする。
【0029】上記感光剤としては、その詳細が特開平6−75376号公報に記載されているように、一般式(I)
【0030】
【化13】
【0031】(式中、X1 からX4 はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子、ニトロ基、メトキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、シアノ基又はフッ化アルキル基を示し、Y1 はシアノ基又は一般式−COR3 を示し、Y2 はシアノ基又は一般式−COR4 を示し、ここに、R3 及びR4 はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基若しくはアルコキシ基、アニリノ基、トルイジノ基、ベンジルオキシ基、アミノ基又はジアルキルアミノ基を示し、R1 、R2 及びR5 はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。R1 とR3 、R2 とR4 は、ケト基を含む5員環、6員環又は複素環の形成可能な員環となることができる。)で表わされるジヒドロピリジン誘導体が用いられる。
【0032】具体例としては、例えば、4−o−ニトロフェニル−3,5−ジメトキシカルボニル−2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジン(以下、ニフェジピンという。)、4−o−ニトロフェニル−3,5−ジメトキシカルボニル−2,6−ジメチル−1−メチル−4−ヒドロピリジン(以下、N−メチル体という。)、4−o−ニトロフェニル−3,5−ジアセチル−1,4−ジヒドロピリジン(以下、単にアセチル体という。)等を挙げることができる。これらは単独で、又は2種以上の混合物として用いられる。必要に応じて、現像剤に対する溶解助剤として、イミダゾールが適当量用いられる。
【0033】本発明においては、上記ジヒドロピリジン誘導体は、芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物の合計量1モル部に対して、通常、0.05〜0.5モル部の範囲で用いられる。イミダゾールも、必要に応じて、芳香族ジアミンを含むジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物の合計量1モル部に対して、通常、0.05〜0.5モル部の範囲で用いられる。
【0034】このような感光性ポリイミド樹脂前駆体は、その溶液を適宜の基材上に塗布し、乾燥させ、これに紫外線を照射して露光(紫外線照射)させた後、加熱(露光後加熱)することによって、ポジ型又はネガ型の潜像を形成し、これを現像して、ポジ型又はネガ型の画像、即ち、所要のパターンを得る。そこで、これを最終的に高温に加熱して、ポリアミド酸をイミド化すれば、ポリイミド樹脂からなるパターン被膜を得ることができる。
【0035】より詳細には、上記感光性ポリイミド樹脂前駆体は、用いる感光剤の種類によって幾らか異なるものの、露光後加熱の温度が140℃前後の比較的低温であるときは、露光部が現像剤に溶解して、ポジ型画像を形成し、他方、上記露光後加熱の温度が約170℃以上の比較的高温であるときは、未露光部が現像剤に溶解して、ネガ型画像を形成する。
【0036】ここに、上記現像剤としては、通常、水酸化テトラメチルアンモニウム等のような有機アルカリの水溶液や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリの水溶液が用いられる。アルカリ濃度は、通常、2〜5重量%の範囲が適当である。必要に応じて、上記アルカリ水溶液には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等の低級脂肪族アルコールを加えてもよい。アルコールの添加量は、通常、50重量%以下である。また、現像温度は、通常、25〜50℃の範囲が適当である。
【0037】本発明において用いる感光性ポリイミド樹脂前駆体によれば、露光後加熱の温度が140℃前後の比較的低温であるときは、未露光部においては、前記ジヒドロピリジン誘導体の1位置のイミノ基水素とポリアミド酸のカルボキシル基との間に水素結合を形成して、ポリイミド樹脂の親水性と被膜の現像液への拡散速度とが低下し、結果として、被膜の現像剤への溶解速度が低下し、他方、露光部においては、露光によって、中性化合物である前記ジヒドロピリジン誘導体が塩基性のピリジン化合物に変化し、これがポリアミド酸と弱い塩構造を形成し、その結果として、被膜の親水性が増大し、現像剤への溶解速度が増す。このように、露光部の現像剤への溶解速度が未露光部よりも大きいために、露光、露光後加熱及び現像後の被膜は、ポジ型画像を与える。
【0038】他方、本発明において用いる感光性ポリイミド樹脂前駆体によれば、露光後加熱の温度が約170℃以上の比較的高温であるときは、未露光部は、露光後加熱の温度が140℃前後の比較的低温であるときと同様に、被膜の現像剤への溶解速度が低下するが、他方、露光部においては、前記ジヒドロピリジン誘導体が露光によって塩基性のピリジン化合物に変化し、これがポリアミド酸のポリイミド化を促進し、被膜の現像剤への溶解速度を低下させると同時に、上記ピリジン化合物自身も露光後加熱によって更に不溶性の環化化合物に変化すると共に、ポリアミド酸のポリイミド化を促進し、その結果として、露光部の被膜の現像剤に対する溶解性が上記未露光部に比べて一層低下する。このように、露光後の上記加熱温度が約170℃以上の比較的高温であるときは、露光部の現像剤への溶解速度が未露光部に比べて著しく小さいので、露光、露光後加熱及び現像後の被膜は、ネガ型画像を与える。
【0039】本発明によれば、長尺の金属箔基材上に上述したような感光性ポリイミド樹脂前駆体の溶液を塗布し、加熱乾燥させて、前駆体被膜を形成し、これにマスクを介して紫外線を照射して所定のパターンを露光させ、露光後加熱し、現像し、好ましくは、所定のパターンを有するネガ画像を形成した後、これを加熱硬化して、イミド化反応を起こさせることによって、ポリイミド樹脂からなる絶縁層を形成して、本発明による回路基板を得ることができる。
【0040】このように、ポリイミド樹脂前駆体を加熱してポリイミド化するには、好ましくは、その被膜を真空下又は不活性ガス雰囲気下に350〜400℃程度に数時間、加熱するのが好ましい。この後、この絶縁層の上に常法に従って所定のパターンを有する導体層からなる所定の回路を形成すると共に、所要の端子を形成し、次いで、長尺の金属箔基材を所要の形状に化学的に切り抜くことによって、本発明による回路付きサスペンション基板を得ることができる。
【0041】本発明によれば、得られるポリイミド樹脂の基材に対する接着性を向上させるために、必要に応じて、ジアミン成分の一部として、アミノ基含有2官能性ポリシロキサンを用いてもよい。このようなアミノ基含有2官能性ポリシロキサンの具体例として、例えば、一般式(II)
【0042】
【化14】
【0043】(式中、R1 は炭素数1〜18のアルキレン基、R2 は炭素数1〜18のアルキル基を示し、nは1〜100の整数である。)で表わされるポリシロキサンを挙げることができる。このようなアミノ基含有2官能性ポリシロキサンは、ジアミン成分の10モル%以下の範囲で用いられる。
【0044】本発明において、上記アミノ基含有2官能性ポリシロキサンの割合(モル%)は、前記芳香族ジアミン(a)成分及び(b)成分のモル数をそれぞれa及びbとし、アミノ基含有2官能性ポリシロキサンのモル数をcとするとき、(c/(a+b+c))×100で定義される。
【0045】特に、本発明においては、上記一般式(I)において、R1 は炭素数1〜7のアルキレン基であることが好ましく、具体例として、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキシレン等のアルキレン基を挙げることができる。R2 は炭素数1〜7のアルキル基であることが好ましく、具体例として、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル等のアルキル基を挙げることができる。また、nは好ましくは1〜40である。なかでも、アミノ基含有2官能性ポリシロキサンとして、ビス(アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンが好ましく用いられる。
【0046】次に、本発明による回路付きサスペンション基板は、前述したようにして、回路基板を製造した後、パターニング技術の常法に従って、ポリイミド樹脂からなる絶縁層の上に導体層からなるパターン回路を形成すると共に、所要の端子を形成した後、最終的に前記絶縁層を含む所要の形状にステンレス箔を化学的に切り抜くことによって、個々の回路付きサスペンション基板を得ることができる。
【0047】このようにして、本発明によれば、前述したような高い伸び率を有するポリイミド樹脂からなる絶縁層を有する回路基板上に所要の加工を行なって、回路付きサスペンション基板とするので、厳しい折り曲げ加工によっても、ポリイミド樹脂に割れが発生せず、従って、絶縁不良等を起こすことがない。しかも、本発明によれば、前述したように、高感度高コントラストにて精密なパターニング加工を行なうことができるので、回路付きサスペンション基板の高容量小型化が可能である。
【0048】以下に、図面に基づいて本発明による回路付きサスペンション基板及びその製造について詳細に説明する。
【0049】図1は、本発明による回路付きサスペンション基板1の一例を示す斜視図であり、ステンレス箔基材2の上にポリイミド樹脂からなる絶縁層(図示せず)を有し、その上に導体層3からなる所定のパターン回路が薄膜として形成されている。先端には、基材への切込みによって、ジンバル4が基材に一体に形成されており、この上に磁気ヘッドを有するスライダ(図示せず)が固定される。前後の端部にはそれぞれ所要の端子5及び6が形成されている。但し、図1においては、基板の表面を被覆保護する被覆層(カバー・レイ)が剥離されている状態を示す。
【0050】図2は、図1において、A−A線に沿う断面図であり、ステンレス箔基材2の上にポリイミド樹脂からなる絶縁層7を有し、その上にクロム薄膜23を介して銅導体層3からなる所定のパターン回路が薄膜として形成されている。この導体層は、ニッケル薄膜28からなる被覆にて保護されており、更に、その上に端子5が形成されている。端子を除く全表面は、被覆層8によって被覆保護されている。
【0051】図3は、図1において、B−B線に沿う断面図であり、ステンレス箔基材2の上にポリイミド樹脂からなる絶縁層7を有し、その上にクロム薄膜23を介して銅導体層3からなる所定のパターン回路が薄膜として形成されている。この導体層は、ニッケル薄膜28からなる被覆にて保護されており、更に、被覆層8によって被覆保護されている。長尺のステンレス箔基材2としては、通常、その厚みが10〜60μm、好ましくは、振動特性の観点から、15〜30μmで、幅が50〜500mm、好ましくは、125〜300mmの範囲のものが用いられる。しかし、これらに限定されるものではない。
【0052】図4から図5は、本発明による回路基板の製造工程を示し、図6から図16は、本発明による回路付きサスペンションの製造工程を示す。
【0053】先ず、図4に示すように、上述したようなステンレス箔基材2の全面に、得られる樹脂層の厚みが2〜20μm、好ましくは、5〜10μmとなるように、感光性ポリイミド樹脂前駆体の溶液を塗布し、60〜150℃、好ましくは、80〜120℃で加熱して、上記感光性ポリイミド樹脂前駆体の被膜21を形成する。
【0054】次に、この感光性ポリイミド樹脂前駆体の被膜に適宜のマスクを介して紫外線を照射し、所定のパターンに露光させる。ここに、露光積算光量は、100〜1000mJ/cm2 、好ましくは、200〜700mJ/cm2 の範囲であり、露光波長は、通常、300〜450nm、好ましくは、350〜420nmの範囲である。この露光の後、被膜を80〜200℃、好ましくは、120〜180℃の温度で約2〜10分程度加熱(露光後加熱)し、次いで、現像処理を行なう。本発明においては、ネガ型画像を得るのが好ましい。この後、このようにして得られたポリイミド樹脂前駆体のパターン被膜を高温に加熱して、ポリイミド化し、かくして、図5に示すように、ステンレス箔基材2上にポリイミド樹脂からなるパターン化した絶縁層22を形成して、本発明による回路基板を得る。
【0055】次いで、図6に示すように、パターン化したポリイミドの絶縁層22を有するステンレス箔基材2の全面にクロム薄膜23と銅薄膜24とをスパッタリングにて連続して順次に形成する。クロム薄膜23は、ポリイミドからなる絶縁層22上に銅薄膜24を密着させるのに有用である。ここに、膜厚は、クロム薄膜が100〜600オングストローム、銅薄膜が500〜2000オングストロームの範囲が好ましい。このようにして得られる銅薄膜の表面抵抗は、通常、0.6Ω/□以下である。
【0056】この後、図7に示すように、上記銅薄膜24の上に厚さ2〜15μm程度の電解銅めっきを行なって、銅からなる導体層25を形成する。図7においては、前記クロム薄膜は図示されていない。
【0057】次いで、図8及び図9に示すように、常法に従って、フォトレジスト26又はドライフィルムラミネートを用いるパターニング技術によって、露光及び現像処理を行なった後、非パターン部の銅導体層25をエッチングにて除去し、かくして、前記ポリイミド樹脂からなる絶縁層22の上に上記銅からなる所定の導体パターン27を形成する。ここに、銅のエッチングにはアルカリエッチングによることが好ましい。
【0058】このような非パターン部の銅導体層のエッチング除去の後、更に、前記クロム薄膜23をエッチング除去して、図10に示すように、前記ポリイミド樹脂からなる絶縁層22の上に所定の導体パターン27を得る。クロム薄膜23のエッチングには、例えば、フェリシアン化カリウム系のエッチング液や、このほか、過マンガン酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム系等のエッチング液が用いられる。
【0059】このようにして、基材上の不必要なクロム薄膜を除去した後、無電解ニッケルめっきを行なって、図11に示すように、上記銅導体層27とステンレス箔基材2の表面に硬質のニッケル薄膜28を形成して、銅導体層の表面を被覆、保護する。従って、このニッケルめっきの膜厚は、下層の銅導体層が露出しない程度であればよく、通常、0.05〜0.1μmの範囲である。この後、配線部分の導体パターン27を前記した感光性ポリイミド樹脂前駆体を用いて被覆保護すると共に、所要の端子部には端子を形成し、これを残して、表面を同様に被覆保護して、被覆層(カバー・レイ)を形成する。図1212以下において、基材の左側は配線部の形成を示し、右側は端子部の形成を示す。
【0060】即ち、図12に示すように、配線部では、ポリイミド樹脂29にて導体パターン27を被覆し、端子部では、パターニングによって、端子部を残すと共に、端子を電解めっきにて形成するためのリード部30を残して、前記感光性ポリイミド樹脂前駆体を用いて、前記同様の塗布、露光、露光後加熱、現像及び加熱硬化(イミド化)を行なって、ポリイミド樹脂にて被覆し、被覆層31を形成する。
【0061】次いで、図13に示すように、端子部においては、先ず、導体パターン27の表面を保護していた無電解ニッケルめっき薄膜28(図11参照)を剥離し、同時に、ステンレス箔基材2上の無電解ニッケルめっき薄膜28も除去する。この後に、常法に従って、通常のフォトレジストを用いる方法によって、端子部のみを残して、ステンレス箔基材、導体パターン27及びポリイミド樹脂被覆層31をレジストにて被覆した後、上記端子部に電解ニッケルめっき32と電解金めっき33を順次に行なって、端子34を形成する。ここに、電解ニッケルめっきと電解金めっきの厚さは、いずれも、1〜5μm程度が適当である。この後、上記レジストを除去する。
【0062】次いで、図14に示すように、端子34を形成した導体パターン27において、上記電解めっきに用いたリード部30(図12参照)を化学エッチングにて除去する。リード部の銅及びクロムの除去は、前述したと同じ方法によればよい。このようにして、リード部を除去した後、ステンレス箔基材2を化学エッチングによって所要の形状に切り抜くために、常法に従って、フォトレジスト35又はドライフィルムラミネートを用いて、露光、現像を行なって、図15に示すように、ステンレス箔基材2上に所要のパターンを形成した後、ステンレス箔基材をエッチングにて所要の形状に切り抜く。ここに、エッチング液としては、例えば、塩化第二鉄、塩化第二銅等の水溶液が用いられる。
【0063】このエッチング処理の後、純水にて洗浄し、乾燥すれば、図16に示すように、本発明による回路付きサスペンション基板1を得ることができる。即ち、この回路付きサスペンション基板は、ステンレス箔基材2上にポリイミド樹脂からなる絶縁層22を有し、その上に導体層の薄膜からなる導体パターン27、即ち、パターン回路を有し、端子34を除いて、全表面がポリイミド樹脂からなる被覆層31にて被覆保護されている。
【0064】
【発明の効果】以上のように、本発明による回路基板は、金属箔基材の上に、所定の割合の2種類の芳香族ジアミンとジフタル酸二無水物との反応によって得られるポリイミド樹脂層を絶縁層として有し、このポリイミド樹脂が20%以上の高い伸び率を有するので、厳しい折り曲げ加工によっても、樹脂層に割れが発生することがなく、絶縁不良を起こすことがない。
【0065】従って、本発明による回路付きサスペンション基板においても、他の部材への取付けや接続に際して、厳しい折り曲げを行なっても、樹脂層に割れが発生することがなく、よく追随するので、歩留りよく、製品に組み込むことができるうえに、性能不良を起こすことがない。
【0066】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0067】実施例1m−フェニレンジアミン0.492kg(4.55モル)と1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン0.570kg(1.95モル)(ジアミン成分合計6.5モル)と3,4,3',4' −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(ジフタル酸二無水物)1.912kg(6.5モル)とをN−メチル−2−ピロリドン7.65kgに溶解させ、室温で24時間攪拌した。この後、75℃に昇温し、粘度が5000センチポイズに達したとき、加熱を止め、室温まで放置、冷却した。次いで、これにN−メチル体0.4461kg(1.2モル)を加えて、感光性ポリイミド樹脂前駆体の溶液を調製した。
【0068】厚み25μmのステンレス(SUS304)箔上に上記感光性ポリイミド樹脂前駆体の溶液を連続コーターにて長尺塗布した後、120℃で2分間加熱乾燥して、感光性ポリイミド樹脂前駆体の被膜を形成した。次いで、マスクを介して、露光量700mJ/cm2 にて紫外線照射し、160℃で3分間加熱した後、現像処理して、ネガ型画像を形成し、更に、0.01torrの真空下、400℃に加熱して、パターン化したポリイミド樹脂からなる絶縁層(膜厚6μm)を形成して、回路基板を得た。
【0069】この回路基板をポリイミド樹脂層が外側となるように90°の角度に折り曲げたが、樹脂層において、割れの発生はみられなかった。また、回路基板からステンレス箔を塩化第二鉄にてエッチング除去して、ポリイミド樹脂フィルムを得、その伸び率を測定したところ、40%であった。ここに、伸び率は、テンシロン式引張試験機(東洋ボールドウィン社製)を用い、試験片の幅2mm、チャック間距離5mm、引張速度5mm/分の条件下に測定した値であって、破断時までの伸び(破断伸び)を初期長さで除した値である。
【0070】次に、このような回路基板のポリイミドからなる絶縁層上に連続スパッタリング処理によってクロムと銅をそれぞれ500オングストローム及び1000オングストロームの膜厚で薄膜形成した。銅薄膜の表面抵抗は0.3〜0.4Ω/□であった。次いで、ステンレス基材の裏面に軽粘着シートをめっきマスクとして貼着した後、上記銅薄膜の全面に硫酸銅電解めっきを行なって、膜厚10μmの銅めっきからなる導体層を形成した。
【0071】この後、常法に従って、市販のドライフィルムラミネートを110℃導体層上にラミネートした後、露光量80mJ/cm2 にてこれを露光させ、現像し、非パターン部の銅導体層をアルカリエッチングして、配線部と端子部と共に電解めっきのリード部を残すように導体層をパターン化し、この後、レジストを除去した。
【0072】次いで、このように処理したステンレス箔をフエリシアン化カリウムと水酸化ナトリウムの混合水溶液に25℃で浸漬し、不必要な前記クロム薄膜を除去した。この後、このステンレス基材に通常の無電解めっきを施し、膜厚約0.5μmのニッケル薄膜を導体層及び絶縁層を含むステンレス箔の全面上に形成した。
【0073】次いで、前述したように、ステンレス箔上の導体層の配線部及び端子部に、前記と同様にして、感光性ポリイミド樹脂前駆体を用いて、所要の被覆層を形成した。次いで、基材を硝酸系剥離剤に室温で浸漬して、端子部及びステンレス箔上の前記無電解めっき薄膜を除去した。
【0074】この後、常法に従って、上記端子部を除いて、通常のフォトレジストて被覆した後、上記端子部に電解ニッケルめっきと電解金めっきを順次に行なって、それぞれ膜厚1μmのめっき層を形成し、端子を形成した。この後、上記レジストを剥離した。このめっき処理に続いて、めっきに用いたリード部を導体層から除去するために、銅アルカリエッチングとクロムエッチングを前述したのと同様の方法で行なった。
【0075】このようにして、導体層からめっきリード部を除去した後、ステンレス箔基材を所要の形状に切り抜くために、常法に従って、フォトレジスト又はドライフィルムラミネートを用いて、露光、現像を行なって、ステンレス箔上に所要のパターンを形成した後、ステンレス箔基材を塩化第二鉄エッチング液に45℃で浸漬して、所要の形状に切り抜いた。これを純水にて十分に洗浄した後、乾燥して、個々に切り抜かれた回路付きサスペンション基板を得た。このようにして得られた回路付きサスペンション基板によれば、ポリイミド樹脂が高い伸び率を有するので、厳しい折り曲げにも、樹脂に割れが発生せず、よく追随した。
【0076】実施例2m−フェニレンジアミン0.562kg(5.20モル)と1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン0.380kg(1.30モル)(ジアミン成分合計6.5モル)と3,4,3',4' −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(ジフタル酸二無水物)1.912kg(6.5モル)とをN−メチル−2−ピロリドン7.65kgに溶解させ、室温で24時間攪拌した。この後、75℃に昇温し、粘度が5000センチポイズに達したとき、加熱を止め、室温まで放置、冷却した。次いで、これにN−メチル体0.4461kg(1.2モル)を加えて、感光性ポリイミド樹脂前駆体の溶液を調製した。
【0077】厚み25μmのステンレス(SUS304)箔上に上記感光性ポリイミド樹脂前駆体の溶液を連続コーターにて長尺塗布した後、120℃で2分間加熱乾燥して、感光性ポリイミド樹脂前駆体の被膜を形成した。次いで、マスクを介して、露光量700mJ/cm2 にて紫外線照射し、160℃で3分間加熱した後、現像処理して、ネガ型画像を形成し、更に、0.01torrの真空下、400℃に加熱して、パターン化したポリイミド樹脂からなる絶縁層(膜厚6μm)を形成して、回路基板を得た。
【0078】この回路基板をポリイミド樹脂層が外側となるように90°の角度に折り曲げたが、樹脂層において、割れの発生はみられなかった。また、回路基板からステンレス箔を塩化第二鉄にてエッチング除去して、ポリイミド樹脂フィルムを得、これについて、実施例1と同様にして、その伸び率を測定したところ、35%であった。
【0079】次いで、この回路基板を用いて、実施例1と同じ手順によって、回路付きサスペンション基板を得た。この回路付きサスペンション基板においては、ポリイミド樹脂が高い伸び率を有するので、厳しい折り曲げにも、樹脂に割れが発生せず、よく追随した。
【0080】実施例3m−フェニレンジアミン0.421kg(3.90モル)と1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン0.759kg(2.60モル)(ジアミン成分合計6.5モル)と3,4,3',4' −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(ジフタル酸二無水物)1.912kg(6.5モル)とをN−メチル−2−ピロリドン7.65kgに溶解させ、室温で24時間攪拌した。この後、75℃に昇温し、粘度が5000センチポイズに達したとき、加熱を止め、室温まで放置、冷却した。次いで、これにN−メチル体0.4461kg(1.2モル)を加えて、感光性ポリイミド樹脂前駆体の溶液を調製した。
【0081】厚み25μmのステンレス(SUS304)箔上に上記感光性ポリイミド樹脂前駆体の溶液を連続コーターにて長尺塗布した後、120℃で2分間加熱乾燥して、感光性ポリイミド樹脂前駆体の被膜を形成した。次いで、マスクを介して、露光量700mJ/cm2 にて紫外線照射し、160℃で3分間加熱した後、現像処理して、ネガ型画像を形成し、更に、0.01torrの真空下、400℃に加熱して、パターン化したポリイミド樹脂からなる絶縁層(膜厚6μm)を形成して、回路基板を得た。
【0082】この回路基板をポリイミド樹脂層が外側となるように90°の角度に折り曲げたが、樹脂層において、割れの発生はみられなかった。また、回路基板からステンレス箔を塩化第二鉄にてエッチング除去して、ポリイミド樹脂フィルムを得、これについて、実施例1と同様にして、その伸び率を測定したところ、45%であった。
【0083】次いで、この回路基板を用いて、実施例1と同じ手順によって、回路付きサスペンション基板を得た。この回路付きサスペンション基板においては、ポリイミド樹脂が高い伸び率を有するので、厳しい折り曲げにも、樹脂に割れが発生せず、よく追随した。
【0084】実施例4m−フェニレンジアミン0.492kg(4.55モル)と1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン0.473kg(1.62モル)とビス(アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン0.081kg(0.33モル)(ジアミン成分合計6.5モル)と3,4,3',4' −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(ジフタル酸二無水物)1.912kg(6.5モル)とをN−メチル−2−ピロリドン7.65kgに溶解させ、室温で24時間攪拌した。この後、75℃に昇温し、粘度が5000センチポイズに達したとき、加熱を止め、室温まで放置、冷却した。次いで、これにN−メチル体0.4461kg(1.2モル)を加えて、感光性ポリイミド樹脂前駆体の溶液を調製した。
【0085】厚み25μmのステンレス(SUS304)箔上に上記感光性ポリイミド樹脂前駆体の溶液を連続コーターにて長尺塗布した後、120℃で2分間加熱乾燥して、感光性ポリイミド樹脂前駆体の被膜を形成した。次いで、マスクを介して、露光量700mJ/cm2 にて紫外線照射し、160℃で3分間加熱した後、現像処理して、ネガ型画像を形成し、更に、0.01torrの真空下、400℃に加熱して、パターン化したポリイミド樹脂からなる絶縁層(膜厚6μm)を形成して、回路基板を得た。
【0086】この回路基板をポリイミド樹脂層が外側となるように90°の角度に折り曲げたが、樹脂層において、割れの発生はみられなかった。また、回路基板からステンレス箔を塩化第二鉄にてエッチング除去して、ポリイミド樹脂フィルムを得、これについて、実施例1と同様にして、その伸び率を測定したところ、40%であった。
【0087】次いで、この回路基板を用いて、実施例1と同じ手順によって、回路付きサスペンション基板を得た。この回路付きサスペンション基板においては、ポリイミド樹脂が高い伸び率を有するので、厳しい折り曲げにも、樹脂に割れが発生せず、よく追随した。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明による回路付きサスペンション基板の一例を示す斜視図である。
【図2】は、図1において、A−A線に沿う断面図である。
【図3】は、図1において、B−B線に沿う断面図である。
【図4】、
【図5】、
【図6】、
【図7】、
【図8】、
【図9】、
【図10】、
【図11】、
【図12】、
【図13】、
【図14】、
【図15】及び
【図16】は、本発明による回路付きサスペンション基板の製造工程を示す要部部分断面図である。
【符号の説明】
1…回路付きサスペンション基板、2…ステンレス箔基材、3…導体層、4…ジンバル、5及び6…端子、7…絶縁層、8…被覆層、21…感光性ポリイミド樹脂前駆体からなる被膜、22…ポリイミド樹脂からなる絶縁層、23…クロム薄膜、24…銅薄膜、25…導体層、26…フォトレジスト、27…導体パターン、28…ニッケル薄膜、29…ポリイミド樹脂、30…リード部、31…ポリイミド樹脂被覆層、33…電解金めっき薄膜、34…端子、35…フォトレジスト。
【特許請求の範囲】
【請求項1】金属箔基材上にポリイミド樹脂からなる絶縁層を有する回路基板において、上記ポリイミド樹脂が(A)(a) m−フェニレンジアミン、及び(b) 1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン及び1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンから選ばれる少なくとも1種からなる芳香族ジアミンと、(B)3,4,3',4' −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物との反応によって得られるポリイミド樹脂であることを特徴とする回路基板。
【請求項2】金属箔基材上にポリイミド樹脂からなる絶縁層を有する回路基板において、上記ポリイミド樹脂が(A)(a) m−フェニレンジアミン、及び(b) 1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン及び1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンから選ばれる少なくとも1種からなる芳香族ジアミンと、(B)3,4,3',4' −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物より得られるポリイミド樹脂前駆体を感光剤の存在下で反応して得られるポリイミド樹脂であることを特徴とする回路基板。
【請求項3】感光剤が一般式(I)
【化1】
(式中、X1 からX4 はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子、ニトロ基、メトキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、シアノ基又はフッ化アルキル基を示し、Y1 はシアノ基又は一般式−COR3 を示し、Y2 はシアノ基又は一般式−COR4 を示し、ここに、R3 及びR4 はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基若しくはアルコキシ基、アニリノ基、トルイジノ基、ベンジルオキシ基、アミノ基又はジアルキルアミノ基を示し、R1 、R2 及びR5 はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。R1 とR3 、R2 とR4 は、ケト基を含む5員環、6員環又は複素環の形成可能な員環となることができる。)で表わされる請求項2に記載の回路基板。
【請求項4】感光剤が4−o−ニトロフェニル−3,5−ジメトキシカルボニル−2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジン、4−o−ニトロフェニル−3,5−ジアセチル−1,4−ジヒドロピリジン及び4−o−ニトロフェニル−3,5−ジメトキシカルボニル−2,6−ジメチル−1−メチル−4−ヒドロピリジンから選ばれる少なくとも1種のジヒドロピリジン誘導体である請求項2に記載の回路基板。
【請求項5】芳香族ジアミン(A)のうち、(a)成分が60〜80モル%、(b)成分が40〜20モル%である請求項1から4のいずれかに記載の回路基板。
【請求項6】一般式(II)
【化2】
(式中、R1 は炭素数1〜18のアルキレン基、R2 は炭素数1〜18のアルキル基を示し、nは1〜100の整数である。)で表わされるアミノ基含有2官能性ポリシロキサンを芳香族ジアミンとこのアミノ基含有2官能性ポリシロキサンとからなる全ジアミン成分の10モル%以下の範囲で用いてなる請求項1から5のいずれかに記載の回路基板。
【請求項7】金属箔基材上に感光性ポリイミド樹脂前駆体からなる被膜を形成し、露光させ、露光後加熱し、現像し、この後、加熱してイミド化させて、ポリイミド樹脂からなる絶縁層を有する回路基板を製造する方法において、上記感光性ポリイミド樹脂前駆体が(A)(a) m−フェニレンジアミン、及び(b) 1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン及び1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンから選ばれる少なくとも1種からなる芳香族ジアミンと、(B)3,4,3',4' −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物との反応によって得られるポリアミド酸に感光剤を配合してなることを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項8】感光剤が一般式(I)
【化3】
(式中、X1 からX4 はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子、ニトロ基、メトキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、シアノ基又はフッ化アルキル基を示し、Y1 はシアノ基又は一般式−COR3 を示し、Y2 はシアノ基又は一般式−COR4 を示し、ここに、R3 及びR4 はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基若しくはアルコキシ基、アニリノ基、トルイジノ基、ベンジルオキシ基、アミノ基又はジアルキルアミノ基を示し、R1 、R2 及びR5 はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。R1 とR3 、R2 とR4 は、ケト基を含む5員環、6員環又は複素環の形成可能な員環となることができる。)で表わされる請求項7に記載の回路基板の製造方法。
【請求項9】感光剤が4−o−ニトロフェニル−3,5−ジメトキシカルボニル−2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジン、4−o−ニトロフェニル−3,5−ジアセチル−1,4−ジヒドロピリジン及び4−o−ニトロフェニル−3,5−ジメトキシカルボニル−2,6−ジメチル−1−メチル−4−ヒドロピリジンから選ばれる少なくとも1種のジヒドロピリジン誘導体である請求項7に記載の回路基板の製造方法。
【請求項10】芳香族ジアミン(A)のうち、(a)成分が60〜80モル%、(b)成分が40〜20モル%である請求項7から9のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
【請求項11】一般式(II)
【化4】
(式中、R1 は炭素数1〜18のアルキレン基、R2 は炭素数1〜18のアルキル基を示し、nは1〜100の整数である。)で表わされるアミノ基含有2官能性ポリシロキサンを芳香族ジアミンとこのアミノ基含有2官能性ポリシロキサンとからなる全ジアミン成分の10モル%以下の範囲で用いる請求項7から10のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
【請求項12】金属箔基材上にポリイミド樹脂からなる絶縁層を有し、その上に導体層からなるパターン回路を有する回路付きサスペンション基板において、上記ポリイミド樹脂が(A)(a) m−フェニレンジアミン、及び(b) 1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン及び1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンから選ばれる少なくとも1種からなる芳香族ジアミンと、(B)3,4,3',4' −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物との反応によって得られるポリイミド樹脂であることを特徴とする回路付きサスペンション基板。
【請求項13】金属箔基材上にポリイミド樹脂からなる絶縁層を有し、その上に導体層からなるパターン回路を有する回路付きサスペンション基板において、上記ポリイミド樹脂が(A)(a) m−フェニレンジアミン、及び(b) 1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン及び1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンから選ばれる少なくとも1種からなる芳香族ジアミンと、(B)3,4,3',4' −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物より得られるポリイミド樹脂前駆体を感光剤の存在下で反応して得られるポリイミド樹脂であることを特徴とする回路付きサスペンション基板。
【請求項14】感光剤が一般式(I)
【化5】
(式中、X1 からX4 はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子、ニトロ基、メトキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、シアノ基又はフッ化アルキル基を示し、Y1 はシアノ基又は一般式−COR3 を示し、Y2 はシアノ基又は一般式−COR4 を示し、ここに、R3 及びR4 はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基若しくはアルコキシ基、アニリノ基、トルイジノ基、ベンジルオキシ基、アミノ基又はジアルキルアミノ基を示し、R1 、R2 及びR5 はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。R1 とR3 、R2 とR4 は、ケト基を含む5員環、6員環又は複素環の形成可能な員環となることができる。)で表わされる請求項13に記載の回路付きサスペンション基板。
【請求項15】感光剤が4−o−ニトロフェニル−3,5−ジメトキシカルボニル−2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジン、4−o−ニトロフェニル−3,5−ジアセチル−1,4−ジヒドロピリジン及び4−o−ニトロフェニル−3,5−ジメトキシカルボニル−2,6−ジメチル−1−メチル−4−ヒドロピリジンから選ばれる少なくとも1種のジヒドロピリジン誘導体である請求項13に記載の回路付きサスペンション基板。
【請求項16】芳香族ジアミン(A)のうち、(a)成分が60〜80モル%、(b)成分が40〜20モル%である請求項12から15のいずれかに記載の回路付きサスペンション基板。
【請求項17】一般式(II)
【化6】
(式中、R1 は炭素数1〜18のアルキレン基、R2 は炭素数1〜18のアルキル基を示し、nは1〜100の整数である。)で表わされるアミノ基含有2官能性ポリシロキサンを芳香族ジアミンとこのアミノ基含有2官能性ポリシロキサンとからなる全ジアミン成分の10モル%以下の範囲で用いる請求項12から16のいずれかに記載の回路付きサスペンション基板。
【請求項18】金属箔基材上に感光性ポリイミド樹脂前駆体からなる被膜を形成し、露光させ、現像し、この後、加熱してイミド化させて、ポリイミド樹脂からなる絶縁層を有する回路基板を形成し、次いで、上記絶縁層の上に導体層からなるパターン回路を形成する回路付きサスペンション基板の製造方法において、上記感光性ポリイミド樹脂前駆体が(A)(a) m−フェニレンジアミン、及び(b) 1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン及び1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンから選ばれる少なくとも1種からなる芳香族ジアミンと、(B)3,4,3',4' −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物との反応によって得られるポリアミド酸に感光剤を配合してなることを特徴とする回路付きサスペンション基板の製造方法。
【請求項19】感光剤が一般式(I)
【化7】
(式中、X1 からX4 はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子、ニトロ基、メトキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、シアノ基又はフッ化アルキル基を示し、Y1 はシアノ基又は一般式−COR3 を示し、Y2 はシアノ基又は一般式−COR4 を示し、ここに、R3 及びR4 はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基若しくはアルコキシ基、アニリノ基、トルイジノ基、ベンジルオキシ基、アミノ基又はジアルキルアミノ基を示し、R1 、R2 及びR5 はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。R1 とR3 、R2 とR4 は、ケト基を含む5員環、6員環又は複素環の形成可能な員環となることができる。)で表わされる請求項18に記載の回路付きサスペンション基板の製造方法。
【請求項20】感光剤が4−o−ニトロフェニル−3,5−ジメトキシカルボニル−2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジン、4−o−ニトロフェニル−3,5−ジアセチル−1,4−ジヒドロピリジン及び4−o−ニトロフェニル−3,5−ジメトキシカルボニル−2,6−ジメチル−1−メチル−4−ヒドロピリジンから選ばれる少なくとも1種のジヒドロピリジン誘導体である請求項18に記載の回路付きサスペンション基板の製造方法。
【請求項21】芳香族ジアミン(A)のうち、(a)成分が60〜80モル%、(b)成分が40〜20モル%である請求項18から20のいずれかに記載の回路付きサスペンション基板の製造方法。
【請求項22】一般式(II)
【化8】
(式中、R1 は炭素数1〜18のアルキレン基、R2 は炭素数1〜18のアルキル基を示し、nは1〜100の整数である。)で表わされるアミノ基含有2官能性ポリシロキサンを芳香族ジアミンとこのアミノ基含有2官能性ポリシロキサンとからなる全ジアミン成分の10モル%以下の範囲で用いる請求項18から21のいずれかに記載の回路付きサスペンション基板の製造方法。
【請求項1】金属箔基材上にポリイミド樹脂からなる絶縁層を有する回路基板において、上記ポリイミド樹脂が(A)(a) m−フェニレンジアミン、及び(b) 1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン及び1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンから選ばれる少なくとも1種からなる芳香族ジアミンと、(B)3,4,3',4' −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物との反応によって得られるポリイミド樹脂であることを特徴とする回路基板。
【請求項2】金属箔基材上にポリイミド樹脂からなる絶縁層を有する回路基板において、上記ポリイミド樹脂が(A)(a) m−フェニレンジアミン、及び(b) 1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン及び1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンから選ばれる少なくとも1種からなる芳香族ジアミンと、(B)3,4,3',4' −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物より得られるポリイミド樹脂前駆体を感光剤の存在下で反応して得られるポリイミド樹脂であることを特徴とする回路基板。
【請求項3】感光剤が一般式(I)
【化1】
(式中、X1 からX4 はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子、ニトロ基、メトキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、シアノ基又はフッ化アルキル基を示し、Y1 はシアノ基又は一般式−COR3 を示し、Y2 はシアノ基又は一般式−COR4 を示し、ここに、R3 及びR4 はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基若しくはアルコキシ基、アニリノ基、トルイジノ基、ベンジルオキシ基、アミノ基又はジアルキルアミノ基を示し、R1 、R2 及びR5 はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。R1 とR3 、R2 とR4 は、ケト基を含む5員環、6員環又は複素環の形成可能な員環となることができる。)で表わされる請求項2に記載の回路基板。
【請求項4】感光剤が4−o−ニトロフェニル−3,5−ジメトキシカルボニル−2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジン、4−o−ニトロフェニル−3,5−ジアセチル−1,4−ジヒドロピリジン及び4−o−ニトロフェニル−3,5−ジメトキシカルボニル−2,6−ジメチル−1−メチル−4−ヒドロピリジンから選ばれる少なくとも1種のジヒドロピリジン誘導体である請求項2に記載の回路基板。
【請求項5】芳香族ジアミン(A)のうち、(a)成分が60〜80モル%、(b)成分が40〜20モル%である請求項1から4のいずれかに記載の回路基板。
【請求項6】一般式(II)
【化2】
(式中、R1 は炭素数1〜18のアルキレン基、R2 は炭素数1〜18のアルキル基を示し、nは1〜100の整数である。)で表わされるアミノ基含有2官能性ポリシロキサンを芳香族ジアミンとこのアミノ基含有2官能性ポリシロキサンとからなる全ジアミン成分の10モル%以下の範囲で用いてなる請求項1から5のいずれかに記載の回路基板。
【請求項7】金属箔基材上に感光性ポリイミド樹脂前駆体からなる被膜を形成し、露光させ、露光後加熱し、現像し、この後、加熱してイミド化させて、ポリイミド樹脂からなる絶縁層を有する回路基板を製造する方法において、上記感光性ポリイミド樹脂前駆体が(A)(a) m−フェニレンジアミン、及び(b) 1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン及び1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンから選ばれる少なくとも1種からなる芳香族ジアミンと、(B)3,4,3',4' −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物との反応によって得られるポリアミド酸に感光剤を配合してなることを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項8】感光剤が一般式(I)
【化3】
(式中、X1 からX4 はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子、ニトロ基、メトキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、シアノ基又はフッ化アルキル基を示し、Y1 はシアノ基又は一般式−COR3 を示し、Y2 はシアノ基又は一般式−COR4 を示し、ここに、R3 及びR4 はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基若しくはアルコキシ基、アニリノ基、トルイジノ基、ベンジルオキシ基、アミノ基又はジアルキルアミノ基を示し、R1 、R2 及びR5 はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。R1 とR3 、R2 とR4 は、ケト基を含む5員環、6員環又は複素環の形成可能な員環となることができる。)で表わされる請求項7に記載の回路基板の製造方法。
【請求項9】感光剤が4−o−ニトロフェニル−3,5−ジメトキシカルボニル−2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジン、4−o−ニトロフェニル−3,5−ジアセチル−1,4−ジヒドロピリジン及び4−o−ニトロフェニル−3,5−ジメトキシカルボニル−2,6−ジメチル−1−メチル−4−ヒドロピリジンから選ばれる少なくとも1種のジヒドロピリジン誘導体である請求項7に記載の回路基板の製造方法。
【請求項10】芳香族ジアミン(A)のうち、(a)成分が60〜80モル%、(b)成分が40〜20モル%である請求項7から9のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
【請求項11】一般式(II)
【化4】
(式中、R1 は炭素数1〜18のアルキレン基、R2 は炭素数1〜18のアルキル基を示し、nは1〜100の整数である。)で表わされるアミノ基含有2官能性ポリシロキサンを芳香族ジアミンとこのアミノ基含有2官能性ポリシロキサンとからなる全ジアミン成分の10モル%以下の範囲で用いる請求項7から10のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
【請求項12】金属箔基材上にポリイミド樹脂からなる絶縁層を有し、その上に導体層からなるパターン回路を有する回路付きサスペンション基板において、上記ポリイミド樹脂が(A)(a) m−フェニレンジアミン、及び(b) 1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン及び1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンから選ばれる少なくとも1種からなる芳香族ジアミンと、(B)3,4,3',4' −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物との反応によって得られるポリイミド樹脂であることを特徴とする回路付きサスペンション基板。
【請求項13】金属箔基材上にポリイミド樹脂からなる絶縁層を有し、その上に導体層からなるパターン回路を有する回路付きサスペンション基板において、上記ポリイミド樹脂が(A)(a) m−フェニレンジアミン、及び(b) 1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン及び1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンから選ばれる少なくとも1種からなる芳香族ジアミンと、(B)3,4,3',4' −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物より得られるポリイミド樹脂前駆体を感光剤の存在下で反応して得られるポリイミド樹脂であることを特徴とする回路付きサスペンション基板。
【請求項14】感光剤が一般式(I)
【化5】
(式中、X1 からX4 はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子、ニトロ基、メトキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、シアノ基又はフッ化アルキル基を示し、Y1 はシアノ基又は一般式−COR3 を示し、Y2 はシアノ基又は一般式−COR4 を示し、ここに、R3 及びR4 はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基若しくはアルコキシ基、アニリノ基、トルイジノ基、ベンジルオキシ基、アミノ基又はジアルキルアミノ基を示し、R1 、R2 及びR5 はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。R1 とR3 、R2 とR4 は、ケト基を含む5員環、6員環又は複素環の形成可能な員環となることができる。)で表わされる請求項13に記載の回路付きサスペンション基板。
【請求項15】感光剤が4−o−ニトロフェニル−3,5−ジメトキシカルボニル−2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジン、4−o−ニトロフェニル−3,5−ジアセチル−1,4−ジヒドロピリジン及び4−o−ニトロフェニル−3,5−ジメトキシカルボニル−2,6−ジメチル−1−メチル−4−ヒドロピリジンから選ばれる少なくとも1種のジヒドロピリジン誘導体である請求項13に記載の回路付きサスペンション基板。
【請求項16】芳香族ジアミン(A)のうち、(a)成分が60〜80モル%、(b)成分が40〜20モル%である請求項12から15のいずれかに記載の回路付きサスペンション基板。
【請求項17】一般式(II)
【化6】
(式中、R1 は炭素数1〜18のアルキレン基、R2 は炭素数1〜18のアルキル基を示し、nは1〜100の整数である。)で表わされるアミノ基含有2官能性ポリシロキサンを芳香族ジアミンとこのアミノ基含有2官能性ポリシロキサンとからなる全ジアミン成分の10モル%以下の範囲で用いる請求項12から16のいずれかに記載の回路付きサスペンション基板。
【請求項18】金属箔基材上に感光性ポリイミド樹脂前駆体からなる被膜を形成し、露光させ、現像し、この後、加熱してイミド化させて、ポリイミド樹脂からなる絶縁層を有する回路基板を形成し、次いで、上記絶縁層の上に導体層からなるパターン回路を形成する回路付きサスペンション基板の製造方法において、上記感光性ポリイミド樹脂前駆体が(A)(a) m−フェニレンジアミン、及び(b) 1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン及び1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンから選ばれる少なくとも1種からなる芳香族ジアミンと、(B)3,4,3',4' −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物との反応によって得られるポリアミド酸に感光剤を配合してなることを特徴とする回路付きサスペンション基板の製造方法。
【請求項19】感光剤が一般式(I)
【化7】
(式中、X1 からX4 はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子、ニトロ基、メトキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、シアノ基又はフッ化アルキル基を示し、Y1 はシアノ基又は一般式−COR3 を示し、Y2 はシアノ基又は一般式−COR4 を示し、ここに、R3 及びR4 はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基若しくはアルコキシ基、アニリノ基、トルイジノ基、ベンジルオキシ基、アミノ基又はジアルキルアミノ基を示し、R1 、R2 及びR5 はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。R1 とR3 、R2 とR4 は、ケト基を含む5員環、6員環又は複素環の形成可能な員環となることができる。)で表わされる請求項18に記載の回路付きサスペンション基板の製造方法。
【請求項20】感光剤が4−o−ニトロフェニル−3,5−ジメトキシカルボニル−2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジン、4−o−ニトロフェニル−3,5−ジアセチル−1,4−ジヒドロピリジン及び4−o−ニトロフェニル−3,5−ジメトキシカルボニル−2,6−ジメチル−1−メチル−4−ヒドロピリジンから選ばれる少なくとも1種のジヒドロピリジン誘導体である請求項18に記載の回路付きサスペンション基板の製造方法。
【請求項21】芳香族ジアミン(A)のうち、(a)成分が60〜80モル%、(b)成分が40〜20モル%である請求項18から20のいずれかに記載の回路付きサスペンション基板の製造方法。
【請求項22】一般式(II)
【化8】
(式中、R1 は炭素数1〜18のアルキレン基、R2 は炭素数1〜18のアルキル基を示し、nは1〜100の整数である。)で表わされるアミノ基含有2官能性ポリシロキサンを芳香族ジアミンとこのアミノ基含有2官能性ポリシロキサンとからなる全ジアミン成分の10モル%以下の範囲で用いる請求項18から21のいずれかに記載の回路付きサスペンション基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開平10−12983
【公開日】平成10年(1998)1月16日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平9−28775
【出願日】平成9年(1997)2月13日
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【公開日】平成10年(1998)1月16日
【国際特許分類】
【出願日】平成9年(1997)2月13日
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
[ Back to top ]