説明

回転スイベルピンを有するラッチニードル

【課題】良好な耐磨耗と高い精密度とを組み合わせたベアリング装置を有するラッチニードル。
【解決手段】編み針は、そのラッチ10用の新規なベアリング装置を備える。ベアリング装置は、ラッチと固定的に且つ非回転式に結合されたスイベルピン20を備える。緩み防止安全具は、ラッチホール17内にスイベルピン20を軸方向にて固定するために、ラッチニードルの針幹に設けてもよい。或いは、スイベルピン20は、前記スイベルピンを軸方向に固定するために、ラッチ10と連結することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維機械に使用できるラッチニードルに関する。このような繊維機械は、例えば、丸編み機、横編み機、または靴下編み機である。
【背景技術】
【0002】
ラッチニードルは、基本的に特許文献1から知られているように、端部側フックを備えた針幹を有する。針幹はフックの付近にラッチスロットを備える。フックを開閉するために配置されたラッチの一端部は、ラッチスロット内に突き出る。ラッチの一端部にラッチホールが形成されて、当該ラッチホールを通してスイベルピンが延在する。ラッチスロットは2つのスロット壁によって区切られている。壁穴(ホール)がそれぞれのスロット壁に設けられている。両方の壁穴は、互いに一直線上にある。スイベルピンは、ラッチホールを通して延び、その端部は壁穴の内に保持されている。2つの壁穴の外側縁は、半径方向に内向きに変形されて、スイベルピンはその軸方向において適所にしっかりと保持される。
【0003】
この解決法では、ラッチのラッチホールは固定スイベルピン上に旋回可能に支持されている。ここでは、ベアリングの、いかなる起こりうる摩耗が、比較的小さな面に集中される。
【0004】
類似の解決法が、特許文献2及び特許文献3から知られている。
【0005】
特許文献4及び特許文献5は、同時回転スイベルピンを有するラッチニードルを開示している。そこでは、特許文献4の図2は、壁穴よりも小さな穴径を持つラッチホールを提示している。スイベルピンはプラスチック材料から構成され、ラッチホールよりは大きいが、壁穴よりは小さな直径を有する。当該スイベルピンが適切な力でラッチホール内に引き込まれると、当該ピンは、当該穴内に加圧嵌め込み式で装着される。ラッチから突き出たスイベルピンの端部は、壁穴内に回転可能に支持される。
【0006】
これとは反対に、特許文献5は鋼鉄スイベルピンに基づいている。同様に、ラッチホールは壁穴よりも小さな穴径を有する。ラッチホール内に嵌め込まれるスイベルピンは、軸方向に塑性変形されて、ラッチホール内に加圧嵌め込み式で装着されるようになる。ラッチホールから突き出した端部は、切頭円錐形状のリベットヘッドを形成し、当該リベットヘッドは壁穴内に回転可能に支持される。
【0007】
上述した公報は、実質的に2つの同形に構成された端部を有するスイベルピンの使用を基本的に前提としている一方、特許文献6はラッチに対して非対称に形成されたスイベルピンを提示している。この場合、1つのスロット壁だけがスイベルピンを収容する壁穴を具備する。対向して配置されたスロット壁は壁穴がない。スイベルピンの前方側は、このスロット壁に当接する。また、ラッチは、丸いスイベルピンによって回転可能に支持される。
【0008】
上述した解決策は、ラッチと同時に回転するスイベルピンに関連しており、ラッチとスイベルピンとの間の加圧嵌め込みに基づいている。量産性を考えると、このようなベアリング装置の精密な製作は、品質上の問題点をもたらしうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国特許出願公告第36 00 621号明細書
【特許文献2】独国特許第14407号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第36 0692号明細書
【特許文献4】独国特許第917243号明細書
【特許文献5】独国特許第1906892号明細書
【特許文献6】独国特許出願公告第35 45 037号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような点に鑑みて、本発明の目的は、良好な耐磨耗と高い精密度とを組み合わせたベアリング装置を有するラッチニードルを提供することである。
【0011】
この目的は、請求項1のラッチニードルによって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のラッチニードルは、ラッチと非回転式に連結されたスイベルピンを有する。ラッチのシャフト上のスイベルピンの非回転式固定は、いわゆるポジティブロッキングによって生じる。これは、ラッチシャフト内のラッチホールの非円形の断面によって達成される。スイベルピンも、整合する非円形の断面を有することが好ましい。或いは、当該後者の断面は、適切な材料の変形を加えることで、ラッチホールの非円形断面に適合することもできる。また、少なくとも部分的に非円形のスイベルピンを用いることができ、当該スイベルピンは、非円形になるように、本来異なって形成されたラッチホールを再形成する。該方式または別の方式によって達成されるこの加圧嵌め込みは、ラッチホール内にスイベルピンを軸方向にしっかり固定するように配置することができ、これによって同時に起こるポジティブロッキングは、スイベルピンとラッチとの間の非回転式連結を生じさせる。
【0013】
スイベルピンとラッチホールとの間のポジティブロッキング(非回転式結合)は、ラッチに対するスイベルピンのねじれを、効果的かつ永続的に防止する。その際、スイベルピンが、ラッチホールから突き出るその2つの端部により、ベアリングとして作用することが保証され、これによって、対応する対向のベアリング面が、2つの壁穴の壁によって形成されるようになる。摩擦及び摩耗が比較的に広い表面にわたって分配され、したがって、持続的な耐久性を形成する。そのために、スイベルピンを支持する2つのベアリングが、ラッチスロットを区切る壁内に形成される。ベアリングに存在する間隙は、ラッチの傾斜傾向を減少させるので、スロット壁を通じてガイドされるラッチに加えて、改良された精密な方式でラッチをガイドするための他の手段が提供される。
【0014】
ラッチホールの非円形の断面、及びラッチのラッチシャフトとスイベルピンとの間のポジティブロッキングは、スイベルピンが、ラッチと常に同時回転することを保証する。壁穴に破片、例えば、研磨された材料、塵埃などが付着されて、その結果スイベルピンが重くなるときであっても、ラッチが依然としてスイベルピン上で回転しようとすることが防がれる。
【0015】
好ましくは、スイベルピンは、ラッチホールの断面に整合する断面を有する、少なくとも第1部分を有する。この第1部分は、スイベルピンの非円形断面とラッチホールとの間のポジティブロッキングを保証する。この第1部分は、例えば、円筒として構成することができ、その側方向円筒面は、少なくとも、切り欠き、平坦化領域などを有する。この第1部分に隣接して、任意にしかし好ましくは、ラッチに対面する当接面を有する第2部分が設けられる。スイベルピンがラッチホール内に嵌め込まれるとき、当該当接面は、スイベルピンが所望の中心位置内へ案内されることを保証し、スイベルピンの両端部はラッチホールからほぼ同等の距離で突き出る。
【0016】
非円形断面を有するスイベルピンの第1部分のみを設けて、スイベルピンの第2部分は、円筒状に構成することが可能である。或いは、非円形断面を有する両端部を設けることも可能である。第1及び第2部分は、上述したように、当該スイベルピンの中心を取るようスイベルピン上に当接面を設けるため、互いに任意的にねじれた位置とすることができる。2つの非円形断面は、非円形のスイベルピンの断面が、ラッチが回転する間に壁穴に破片/汚染物がないようにするために用いられる際、重要であろう。
【0017】
任意的に、スイベルピンは、ラッチホール内に最小の遊隙を有して装着されるだけではなく、しっかりと嵌め込まれることもでき、或いは、オーバーサイズ化することもできる。遊隙を有した嵌め込み部がスイベルピンとラッチホールとの間に存在すれば、ラッチスロットを区切る壁のみが、ラッチのための側方向ガイドを提供する。スイベルピンとラッチホールとを、結果として、ラッチの向上した案内が保証されるように構成されるよう、組み合わせることが、また有利であるだろう。この場合、スイベルピンが、ラッチホール内にきつく嵌め込まれるか、または加圧嵌め込み式で装着されると、有利である。この結果、側方向の傾斜傾向が、ほとんど或いはさらに完全に防止される。スイベルピンは、加圧嵌め込みによってしっかりと保持され、軸方向に別途に固定される必要がない。
【0018】
スイベルピンが加圧嵌め込み式でラッチホール内に装着されないか、任意の他の方式でラッチに締結されなければ、スロット壁のうちの1つに緩みを防止する安全具を設けることが有利かもしれない。この安全具の特徴は、スイベルピンが針の胴体から脱落可能となることを防止する。この緩み防止安全具は、ラッチホールの穴径を減少する手段として構成される。一般的に、緩み防止安全具は、スイベルピンが装着された後に適用され、したがって、部材の適用(溶接、粘着など)によって設けることができる。このような緩み防止安全具は、例えば、壁穴の外部縁が多少半径方向に内向きに変形されて、当該縁がスイベルピンの端部面の周りに延在するようにして、設けることができる。或いは、または付加的に、スイベルピンをその第1部分の外側端部で少し塑性変形させて、当該ピンが脱落しないように、当該ピンがラッチホール内に保持されるようにすることができる。
【0019】
本発明の実施形態の更なる詳細は、図面、記載または特許請求の範囲によって明らかになる。記載は、本発明の実施形態の実質的な詳細及び別の状況に限定される。図面は、追加の詳細を示しているが、補足的なものとして参照されるべきものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ラッチニードルの概略側面図である。
【図2】図1のラッチニードルの断面斜視図である。
【図3】図2のラッチニードルのスイベルピンの斜視図である。
【図4】図2のラッチニードルと接続されるラッチの斜視図である。
【図5】図4のラッチ用のスイベルピンの別の実施形態の斜視図である。
【図6】図4のラッチ用のスイベルピンの別の実施形態の斜視図である。
【図7】スイベルピンが嵌め込まれた、図4のラッチの斜視図である。
【図8】スイベルピンが嵌め込まれた、図4のラッチの斜視図である。
【図9】スイベルピンの軸方向の固定を示すための、スロット壁を通る縦方向断面の斜視図である。
【図10】スイベルピンの別の断面の正面図である。
【図11】スイベルピンの別の断面の正面図である。
【図12】スイベルピンの別の断面の正面図である。
【図13】本発明のラッチニードルの別の実施形態による縦方向断面の詳細を示す図である。
【図14】スイベルピンのさらに別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、例えば、編み機、または変形された形態での靴下編み機、において用いられるようなラッチニードル1の概路図である。ラッチニードル1は、一端部にフック3を具備する、細長い針幹2を有する。針幹の他の端部は、針床またはシンカー内で、ラッチニードル用ガイド及び/またはベアリングとして作用するように配置されている。駆動フット4は、針床とラッチニードル1との間の相対移動を必要とする編み機のために設けられる。
【0022】
フック3の近傍には、針ブレスト6から針裏部7に、好ましくは連続的に延びるラッチスロット5が設けられている。その詳細が図2に示された、図示のようなラッチスロット5は、互いに好ましく平行に配列された2つの壁8、9と、またスロット壁によって区切られ、その向い合う内部側で実質的に同様の構成を有する。フックを開閉するために配置されたラッチ10は、一端部11がラッチスロット5内に延びて、当該端部は、ラッチシャフト41(図4)の境界を定める。ラッチシャフト41は、好ましくは、2つの平坦な側面12、13によって区切られている。
【0023】
細長いラッチ10は、例えば、スプーンとして構成された端部14を有し、当該端部14は、端部11から離れており、図2に示すように、ラッチ10の閉位置においてフック3のチップに当接することができる。広がった端部14上に設けられて、フック3に対面する凹部15(ソーカット(saw-cut)とも呼ばれる)は、フック3の先端を収容することができる。また、或いは、ラッチ10上に設けられた狭いストリップに嵌め込まれる、縦方向に整列した切り欠き(同様にソーカットとも呼ばれる)を有するフック3を、その上部側に設けることもできることが指摘される。このような型の針は、また、“雄ラッチ−雌フック型ニードル”と称される。
【0024】
ラッチ10は、ベアリング装置16によってラッチスロット5内に枢動可能に支持されている。このために、ラッチ10は、一方の側方向表面12から他方の側方向表面13につながるラッチホール17を有する。ラッチホール17は非円形である。例えば、図4に示すように、当該ラッチホールは、一側面において平坦化された断面を有する。その縁は、円弧形状を有する部分18と、直線状である部分19とによって形成される。
【0025】
さらに、ベアリング装置16は、例えば、図3から明らかなように、スイベルピン20を有する。スイベルピン20は、その2つの端部面21、31の間に延在する、円筒状の基本形状に基づいている。スイベルピン20の端部面21のうちの1つから始まって、当該スイベルピンは、円筒形状から外れた第1部分22を有する。その円周の他の位置において、円周は、軸方向に整列した、例えば、平らな表面23を有する、平坦化された領域を具備する。スイベルピン20の基本円筒形状の中心軸に対して横に測定される(円周方向において)表面23は、ラッチホール17の縁の直線状部分19の長さに対応する。スイベルピン20の軸方向から見るとき、表面23は、スイベルピン20の全長よりも小さな長さを有することが好ましい。第1部分22の残りの円周は、円弧形状を有するラッチホールの部分18に従って、そのため、第1断面22は、最小の遊隙で、または遊隙を持たずにラッチホールに嵌め込まれる。
【0026】
表面23に隣接して、任意的しかし好ましくは、スイベルピン20の第2部分25から第1部分22を分離する当接面24が設けられる。第1部分22は、第2部分25よりもラッチ10の厚さだけ、すなわち、スイベルピン20の縦方向についてより長いことが好ましい。ラッチ10の厚さは、側方向表面12、13の間の距離として定められる。当接面24は、表面23に対して交差し、側方向表面12または13に実質的に平行である。図7及び図8に示すように、スイベルピン20は、ラッチ10のラッチホール17内に嵌め込まれる。第1部分22は、第2部分25の当接面24が側方向表面13に当接するまでに、ラッチホール17を通して嵌め込まれることができる。したがって、スイベルピン20の端部面21、31は、側方向表面12、13を超えて突き出る。ラッチホール19から突き出るスイベルピン20の二つの部分は、好ましくは、同等の長さをもつ。さらには、これらの部分は、同等の直径を有することが好ましい。側方向表面13を過ぎて突き出るスイベルピン20の部分、すなわち部分25は、円筒状のジャーナルを形成する一方、側方向表面19を超えて突き出るスイベルピン20の部分は、また実際に一つの領域において僅かに平坦化された円筒状ジャーナルを実質的に形成する。
【0027】
スロット壁8、9内にある穴26、27(図1及び図2ではそれらのうち1つのみが示されているが、図13にかかる別の実施形態では全て示されている)は、ラッチ10から突き出るスイベルピン20の部分を収容するように作用する。例えば、一側面から壁穴26を通して針幹2内に、ラッチホール17を通して他の壁穴27内に、スイベルピン20を押しつけることができる。緩み防止安全器具は、スイベルピン20が壁穴26から脱落することを再び防止するために設けられることができる。この緩み防止安全具は、例えば、壁穴26の縁の再成形領域29、30からなる。これらの領域は、塑性変形によって達成され、スイベルピン20の部分25の端部面31の周りに延在することができる。この関係が図9に概略的に示されている。再成形領域29、30は、スイベルピン20の回転性を害することはない。
【0028】
これまで説明されたラッチニードル1は、別のどのような従来のラッチニードル1としても用いることができる。作動中に、ラッチ10は、図2に示された閉位置から、例えば、図1による後方位置にピボット移動を行う。ラッチ10のピボット移動中に、スイベルピン20は、ラッチ10と同時回転する。部分22内で円形状とは異なる、ラッチホール17の断面形状に対応するその断面形状によって、スイベルピン20は、ラッチ10とポジティブロッキング(非回転式結合)となる。両側で側方向表面12、13を超えて突き出る、図8から明らかであるようなスイベルピン20の領域は、ラッチ側ベアリング面として作用する。壁穴26、27の内部壁は、対向ベアリング面として作用する。このように形成されたベアリング装置16は、高い耐磨耗性を示し、高い精度で確実に製造することができ、ラッチ10に良好な側方向のガイドを提供して、ラッチ10が、摩耗が進んだ状況においても、フック3と確実に合致するようになる。
【0029】
図5は、図4のラッチ10上の、図3のスイベルピン20に代わるものとして使用可能なスイベルピン20aを示す。このようなスイベルピンは、部分22の反対側に、表面23によって示された平坦化領域と平行である別の平坦化領域23’を有することから、スイベルピン20とは異なる。このスイベルピン20aは、図4のラッチホール17内に嵌め込まれる。直線状部分19の反対側に位置する、別の整合する直線状部分を有した変形されたラッチホールを設けることも可能である。
【0030】
スイベルピン20、20aは、その部分22、25に異なる断面を有するが、さらに、同様の断面を有する両部分22、25を設けることも可能である。図6は、スイベルピン20bの使用による、このような例示的な実施形態を示している。部分25は、部分22と同様に平坦化される。これを達成するために、半径方向に延在する表面法線(表面23の表面法線のような)を有した平面表面32をその円周上に有する。しかし、2つの表面法線の2つの半径方向は、互いから外れて、部分25が再びその端部に当接面24を有し、当該当接面24は、表面23と境を接する。
【0031】
図10乃至図12は、スイベルピン20c、20d、20eの追加的な実施形態を示している。図10のスイベルピン20cでは、第1部分22は、対応して形成されたラッチホールとともにスイベルピン20cとラッチとの間のポジティブロッキング−非回転式結合を達成する、2つの隣接したカット面(facet)または表面23、23’を有する。第2部分25は、示すように円筒状であってもよく、または別の形状を有してもよく、例えば、他の円周方向位置で平坦化領域を有することもできる。
【0032】
図11に示されたスイベルピン20dは、別の実施形態を示している。ここで、第1部分22は、多角形として、特に、ラウンド加工した隅角を有する4面多角形として形成される。第2部分25は円筒状であるが、円筒形状から外れてもよい。
【0033】
図12は、周縁切り欠き33を持つ第1部分22を有したジャーナル20eを示しており、当該切り欠きは、ラッチホール17上の対応する突出部とポジティブロッキング(非回転式結合)を構成する。
【0034】
上述した実施形態では、スイベルピン20(20a乃至20e)は、単に最小の力だけでラッチホール17内に嵌め込まれていると想定される。したがって、例えば、緩み防止安全具28のような別途の緩み防止安全具が必要となり、そして当該安全器具は針幹2上に設けられる。
【0035】
図13は、上述した全てのスイベルピンの断面に用いることのできる、変形された実施形態を示す。この実施形態は、例えば、図5または図11の対称的なスイベルピンの断面に特に好適である。このために、図13に示されるように、スイベルピン20は、壁穴27内に延在するその部分22上で少し塑性変形する。したがって、ラッチホールに整合するその形態によって、スイベルピン20は、ラッチ10のラッチシャフト41と非回転式に結合される。その軸方向(すなわち、ラッチ10に対して横方向)に対して、スイベルピンは、部分22でリベットヘッド34に緩まない方式で保持され、当該リベットは、塑性変形工程によって得られる。
【0036】
図14は、スイベルピン20fの別の実施形態を示す。このスイベルピン20fについて説明される原理は、全ての形態のスイベルピンに適用することができる。この原理は、スイベルピン20fが、加圧嵌め込みによってラッチホール17内に支持されることにある。これを可能とするために、スイベルピン20fは、くさびの形状を有する。表面23は、合わせて、鈍角を成す、2つの表面部分23a、23bに分割される。端部面21に当接する表面部分23aは、中心縦軸35に対して鋭角で傾斜している。中心縦軸35は、円筒状部分25の対称軸を示す。表面部分23bは、表面部分23a上で縁36に隣接して、当該縁は、スイベルピン20の円周方向に延在する。その他の端部で、表面部分23bは、選択的な当接面24に隣接する。表面部分23bは、中心縦軸35に平行に整列することが好ましい。縁36と当接面24との間の距離は、ラッチ10の厚さよりも僅かに大きいのが好ましい。表面部分23bは、加圧嵌め込みがラッチ10とスイベルピン20fとの間に設定されるように位置されているのが好ましい。表面部分23aの傾斜は、端部面21上に位置したスイベルピン20fの端部が、遊隙を有してラッチホール17内に嵌め込まれるようになるのが好ましい。スイベルピン20fが挿入されるとき、所望の加圧嵌め込みが、スイベルピン20fとラッチ10との間に設定される。加圧嵌め込みは、スイベルピン20fが軸方向に固定されることを確実にし、一方で、ポジティブロッキングは非回転式結合を保証する。
【0037】
編み針1は、そのラッチ10用の新規なベアリング装置16を備える。ベアリング装置16は、ラッチと固定的に且つ非回転式に結合されたスイベルピン20を備える。緩み防止安全具は、ラッチホール17内にスイベルピン20を軸方向にて固定するために、ラッチニードル1の針幹2に設けてもよい。或いは、スイベルピン20は、当該スイベルピンを軸方向に固定するために、ラッチ10と連結することもできる。
【符号の説明】
【0038】
1 ラッチニードル
2 針幹
3 フック
4 駆動フット
5 ラッチスロット
6 針ブレスト
7 針裏部
8、9 壁、スロット壁
10 ラッチ
11 端部
12、13 側方向表面
14 端部
15 凹部
16 ベアリング装置
17 ラッチホール
18 円弧形状を有する部分
19 直線状部分
20 スイベルピン20a〜20f
21、21' 端部面
22 第1部分
23、23' 表面、平坦化した領域
23a、23b 表面部分
24 当接面
25 部分
26、27 壁穴
28 緩み防止安全具
29、30 領域
31 端部面
32 表面
33 切り欠き
34 リベットヘッド
35 中心縦軸
36 縁
41 ラッチシャフト


【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのスロット壁(8、9)によって区切られた針スロット(5)を有する針幹(2)と、
当該スロット(5)内に延在するラッチシャフト(41)と、当該ラッチシャフト(41)上の、当該スロット壁(8、9)内に設けられた壁穴(26、27)と整列したラッチホール(17)とを有するラッチ(10)と、
当該ラッチホール(17)を介して当該壁穴(26、27)内に延び、当該ラッチホール(17)内に非回転式に保持されるスイベルピン(20)と
を備えるラッチニードル(1)において、
当該ラッチホール(17)は、非円形断面を有する
ことを特徴とするラッチニードル。
【請求項2】
前記スイベルピン(20)は断面を有する第1部分(22)を有し、当該断面は前記ラッチホール(17)の断面に整合する
ことを特徴とする請求項1に記載のラッチニードル。
【請求項3】
前記スイベルピン(20)の第1部分(22)が円筒として構成され、当該円筒は少なくとも1つの平坦化した領域(23)を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のラッチニードル。
【請求項4】
前記スイベルピン(20)の第1部分(22)が円筒として構成され、前記円筒は少なくとも1つの切り欠き(33)を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のラッチニードル。
【請求項5】
前記スイベルピン(20)は、第2部分(25)を有し、当該部分は前記ラッチ(10)に対面して当接する当接面(24)を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のラッチニードル。
【請求項6】
前記第2部分(25)の断面は前記第1部分(22)の断面から外れる
ことを特徴とする請求項5に記載のラッチニードル。
【請求項7】
前記壁穴(26、27)のそれぞれは円状断面を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のラッチニードル。
【請求項8】
前記スイベルピン(20)は、加圧嵌め込み方式で前記ラッチホール(17)内に保持される
ことを特徴とする請求項7に記載のラッチニードル。
【請求項9】
前記スイベルピン(20)は前記壁穴(26、27)内に遊隙を有して装着される
ことを特徴とする請求項1に記載のラッチニードル。
【請求項10】
前記スロット壁(8、9)の少なくとも1つは前記スイベルピン(20)用の緩み防止安全具(28)を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のラッチニードル。
【請求項11】
前記緩み防止安全具(28)は、それぞれの前記スロット壁(8、9)の壁穴(26)の縁に形成され、当該縁は少なくとも部分的に変形される
ことを特徴とする請求項10に記載のラッチニードル。
【請求項12】
前記緩み防止安全具(28)を具備する前記スロット壁(8)の壁穴(26)は、前記スイベルピン(25)の第2部分(25)を収容する
ことを特徴とする請求項10に記載のラッチニードル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2010−196240(P2010−196240A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−40819(P2010−40819)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(598132646)グロツ・ベッケルト コマンディートゲゼルシャフト (77)
【Fターム(参考)】