説明

回転式歯ブラシ

【課題】 いわゆる歯磨きにおける刷掃概念を簡素化し、それによって歯を磨こうとする意志の発動を促し、モチベーションを向上する。
【解決手段】 ハンドルの先端部に回転可能な軸支されたブラシ部を有する歯ブラシであって、回転ブラシ部15、15′として、毛状体を放射状に設け、歯周ポケット及び歯間を刷掃可能な薄さを有する、円盤状の単円盤ブラシ14、14′、14″を具備し、少なくとも1個の単円盤ブラシ14を中心軸がハンドル11の長手方向と交差するように回転可能に軸支した構成を有している。ハンドル11の握り部12は扁平な形状に形成されており、握り部12の扁平な面と回転ブラシ部15の回転軸とを通る面とがほぼ直交関係にある。回転ブラシ部15は単円盤ブラシ14を複数個、同軸に軸支したもので、各々の単円盤ブラシ14が独立して回転可能に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドルの先端部に回転可能に軸支されたブラシ部を有する歯ブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、歯ブラシは大きく二つに分類される。従来から良く知られているようにハンドルの先端に長手方向に細長いブラシ部を有するものと、最近商品開発が著しい電動(超音波も含む)歯ブラシである。前者の歯ブラシを使用し、齲触(虫歯)や歯周病に効果のある刷掃法としてバス法およびスクラビング法が歯科医等に推奨され、実践されている。バス法とは、ブラシの毛先を歯と歯肉の間に約45°の角度に差し込み5mmほどの細かい振幅で横磨きをする方法で、歯周ポケット(歯牙と歯肉の境界)内の刷掃効果が高まり、特に歯周病予防に優れている。最近では歯間部や歯周ポケットにより容易に到達できるように極細化した毛先をもつ歯ブラシも商品化されている。
【0003】
しかし、一般に歯垢を90%以上除去するには、バス法を用いて20分は必要とするので、残り10%を歯間ブラシやデンタルフロス等の補助的刷掃用具を用いて除去するとなると30分以上必要となるという問題がある。しかも、従来の大きく横に振幅させる方法(水平法)で5分前後を習慣としている場合が大半であるため、細かい振幅の歯ブラシ操作は技術的に習得し難く、従って日常におけるバス法の継続性も低下する。後者の電動歯ブラシにおいては自動で回転や振動することにより、確かに刷掃効率の面では従来の歯ブラシ以上の結果が得られている反面、バス法にみられるような歯間部や歯周ポケットにまで毛先がとどきにくく、歯垢の除去効果が得られず、局所に潜在的な磨き残しを生じさせ易い。また、動力モーター等に依存するため必要以上の負荷がかかりやすく、過剰な研磨効果による、歯牙表面のすり減り、歯肉の擦過傷を生じ、最悪のケースでは歯肉退縮を誘発させ露出した歯根面が知覚過敏症まで引き起こしていることも見受けられる。また、近年歯科治療において著しい速度で開発され、発展普及している人工歯根(インプラント)においても、歯肉との境界は天然歯以上に清掃効果とマッサージ効果が求められており、また、より繊細な負荷が必要とされている。しかし従来の刷掃手段では満足のいく水準をみたすことはできない。
【0004】
これに対して、特開2003−219911号、同220080号の発明は回転ブラシ軸に毛を放射状に取り付けたブラシ回転子を、回転ブラシ軸を介して柄の先端に装着した構成を有している。ところが同発明のブラシ回転子はブラシの幅が従来の手動式歯ブラシ以上に大きく、歯列全体を一方向に磨く目的と理解され、細部に渡りバス法と同等の効果は得られないと思われる。また、同発明の場合、ブラシ回転子の一部を包み込む保護カバーを有しているが、それは口腔壁(頬粘膜)及び舌面を傷つけないためであるとしても、歯ブラシをさらに大型化する結果となり、狭い口腔内において効果的な歯磨きを実施する妨げになりかねないと危惧される。
【0005】
なお、同じ回転歯ブラシでも、特開2000−37231号の放射状ブラシは回転軸の方向がハンドルの長手方向と一致しており、ハンドルを前後させる動作を推奨し、しかも回転による動作を否定しており、よって放射状ブラシの回転の利点を生かしてはいない。回転様式をとる電動歯ブラシ類はブラシを構成している毛状体がブラシの回転軸と同方向に設けられており、これでは本発明の認識している回転の利点を生かすことができない。
【0006】
【特許文献1】特開2003−219911号
【特許文献2】特開2003−220080号
【特許文献3】特開2000−37231号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記の実情に着目してなされたものであり、その課題は、いわゆる歯磨きにおける刷掃概念を簡素化し、それによって歯を磨こうとする意志の発動を促し、モチベーションを向上することである。また本発明の他の課題は刷掃の手法の単純化、刷掃時間の短縮を実現することである。また本発明は、刷掃時間10分以内で90パーセント以上の歯垢を除去可能であり、かつ歯茎の軟組織及び硬組織のそれぞれに同時に相応の負荷を与えられるようにすることを目標とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するため、本発明は、ハンドルの先端部に回転可能に軸支されたブラシ部を有する歯ブラシについて、回転ブラシ部として、毛状体を放射状に設け、歯周ポケット及び歯間を刷掃可能な薄さを有する、円盤状の単円盤ブラシを具備し、少なくとも1個の単円盤ブラシを中心軸がハンドルの長手方向と交差するように回転可能に軸支した構成を具備するという手段を講じたものである。
【0009】
(歯垢除去原理)
まず、ブラシが回転することにより、歯垢が除去されるということは、次のようなことが作用しているためと考えられる。即ち回転ブラシ部が手動により回転し、その結果、歯牙及び歯周組織に毛先が常に垂直及びやや角度をもって点接触する。基本的に歯垢は、わずかな力でも毛先が接触することにより、容易に除去可能である。従来の手動歯ブラシを水平的振幅にて刷掃した場合、毛先が引きずられる軌跡となり、大小に拘らず凹凸のあるところでは、飛び越してしまい凹部に届かず磨き残しの原因となる。
【0010】
(基本構造)
ハンドルの先端部に回転可能に軸支されたブラシ部を有する歯ブラシである。回転ブラシ部としては毛状体を放射状に設けた、薄い円盤状の単円盤ブラシを具備し、単円盤ブラシを中心軸がハンドルの長手方向と交差するように回転可能に軸支した構成とする。この円盤状の単円盤ブラシは、歯間を刷掃可能な薄さを基準とし、単円盤ブラシを最小単位として、少なくとも1個、または複数個重ねて使用する。
【0011】
(素材)
本発明の歯ブラシの回転ブラシ部は、合成樹脂を短毛状に加工した素材や天然素材からなる毛状体を素材とする。単円盤ブラシはこのような毛状体を放射状に設けた円盤状の構造をもつ。
【0012】
(単層構造)
回転ブラシ部が、最小単位である単円盤ブラシ1個で構成される場合、構造が単純で薄く、様々な歯の曲面構造に細かく対応可能である。また構造上簡単で小さくなるため、従来の歯間ブラシと同じ効果を期待できる。
【0013】
(積層構造)
回転ブラシ部は、最小単位である単円盤ブラシを複数個重ねて同軸に軸支してもよく(積層構造)、そのことにより広い幅(厚み)を持った回転ブラシ部となり、歯間ブラシとしての用途以外にも使用可能で、より一般的な回転式歯ブラシを構成することができる。単円盤ブラシを複数個重ねて同軸に軸支した場合、各々の単円盤ブラシは独立して回転可能とする。その結果、過剰な負荷が単円盤ブラシの一部にかかる場合でも、全体にまで及ばず、独立した回転運動になるため、歯磨き中に止むを得ず軟組織に接触する場合、従来のように擦過傷を与える危険が起こらない。
【0014】
(大きさ)
大きさの目安としては、回転ブラシ部を大臼歯咬合面大を基準とした。回転ブラシ部の大きさは、最後臼歯部遠心面(一番奥の大臼歯の咽頭に近い方の面)まで毛先が届くことが望ましい。回転ブラシ部の小型化によって、大臼歯(奥歯)付近の歯周ポケットでも、歯牙・粘膜の他の部位にぶつかることなしに容易に刷掃可能となる。
【0015】
(曲面形状)
上下顎前歯舌側面(裏側)は解剖学的に凹面(シャベル状)であり、従来の直線的な刷掃平面構造である手動及び電動歯ブラシでは頬側面(表側)毛先に比べ到達しきれないことがあるが、しかし本発明の回転歯ブラシでは刷掃曲面構造(凸面)である。それは、歯牙の凹面に対してブラシの凸面で接触し、形態上無理のない刷掃が可能にする。さらに、局部床義歯における鉤歯(こうし:バネのかかる歯)にみられるような、孤立歯では近遠心(前後)的に従来の歯ブラシ先端が到達しにくい。しかし本発明の回転歯ブラシをもってすれば、歯牙の外周を2〜3周刷掃することで、歯垢徐効果が得られる。
【0016】
(構造/ハンドル)
本発明の回転歯ブラシでは、ハンドルの握り部を扁平な横断面形状に形成し、扁平な面と回転ブラシ部の回転軸を通る面とをほぼ直交状態にすると良い。このようにすると、扁平面に拇指を当てて握ったときに、回転ブラシ部が横向きとなり、ハンドルを大きく横に往復運動することによって、回転ブラシ部の接点部を効果的に歯に接触させることができる。また扁平面と同一方向に刷掃面があることにより、従来の歯ブラシと同じ習慣で把持した時の刷掃面が得られ、即座に対応し導入可能となる。
【0017】
さらに本発明の回転式歯ブラシの場合、回転軸の方向は、ハンドルの長手方向に対して直角ないしは直角を超えた或る角度で傾斜した関係にあることが望ましい。多くの場合はハンドルの長手方向に対して直角な回転軸に取り付けた回転ブラシ部によって問題なく歯磨きを行えるが、個人差により傾斜した角度を持つ回転歯ブラシの方がハンドルの傾きを修正するだけで、適切な刷掃効果を得やすくなることがあるためである。
【0018】
回転ブラシ部は、ハンドルの両方の端部に設けることができる。ハンドルの両方の端部に回転ブラシ部を設ける場合、少なくとも一方の回転軸の方向を傾斜させることができる。他の一方をハンドルの長手方向と直角に設けた場合、ハンドルの扁平面に拇指を当てて握ったときに回転ブラシ部が真横を向くものと斜め横を向くものとが備わることになり、1個の回転歯ブラシを色々な形態に持ち替えることで対応可能であり、利便性において有意義である。
【0019】
回転ブラシ部を構成する単位である単円盤ブラシは、短毛状の毛状体を放射状に配列したものを円形プレートなどにより両面から挟んで固定することによって形成することができる。それは、回転式歯ブラシの使用頻度が高まるにつれて毛先がばらけて広がり、歯肉に過剰に当たる感触を生じにくくさせ、毛状体が絡み合うことにより回転運動が鈍くなることがあるため、円形プレートにより挟み込み強固に固定して毛先の劣化を遅らせる。また単円盤ブラシは、リング状物の周囲に毛状体を放射状に設けることによって形成することも可能である。その利点として、毛状体の全長を長く取ることにより柔軟になり、その柔軟性により歯牙の曲面についての対応性の向上することが挙げられる。
【0020】
単円盤ブラシを複数個重ねて回転ブラシ部を構成する場合、全部同一径の単円盤ブラシを使用すると円筒型の回転ブラシとなり、異径の単円盤ブラシを組み合わせると、円錐台型や提灯型など変化のある外形を持った回転ブラシ部を形成することができる(図1参照)。故に、使用する歯牙及び歯列の形態に適応した形状の回転ブラシ部を得ることができる。
【0021】
上記のいずれの回転ブラシ部においても、使用頻度が増すにつれて毛先が劣化、消耗することは否めない。そこで、回転ブラシ部の両端に薄い円盤状のプレートを外側に一層設けることにより、毛状体が根元から屈曲することを防止することも可能である。さらに、回転ブラシ部は固定式のものと可撤式のものとして構成することができる。固定式とは、単円盤ブラシ1個又は2個以上をハンドルの先端部に支軸によって回転可能に取り付けたもので、取り外しは予定しないので構造が簡単になり、回転軸の方向を傾斜させる構造のものも容易に製造することができる。可撤式とは、単円盤ブラシ1個又は2個以上を撤去して新たなものと入れ換えることを可能にするもので、ブラシのへたりを見出した時点で新たな単円盤ブラシとの交換が可能である。このため毛先の消耗が早く進んでも、予備と交換すれば良いという安心感があり、歯磨きの効果を高く維持することができ、補充するのは回転ブラシ部だけで良いのでコストも低廉で済む。
【0022】
本発明の回転式歯ブラシにおける回転ブラシ部は、ハンドルの先端に露出状態で軸支されており、そのため小型化が可能である。また洗浄、乾燥が容易であるため清潔さを保ち易く、かつ回転性等の利点を十分に得ることができるものである。さらに、本発明の特徴であるブラシ部の回転が目視で確認できることにより、操作性を向上させるために、ブラシ部の毛状体を従来の歯ブラシの単色の形成のほかに、毛状体に色彩の変化を与え、回転の確認を容易にし、確実に回転させることも望ましいことである。さらに、介護施設等で高齢および障害等による原因で本人による刷掃行為が困難な場合、介護者が刷掃行為を代行する場合においても、刷掃確認をより容易にする。また、この他に回転部に発音機構を組み込み、回転によって音を出すようにしてもよく、このような発音機構は、例えば回転面に凹凸を設けて、そこを摺接する部材を組合わせるような構造によって容易に実施することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は上記のように構成されかつ作用するものであるから、回転ブラシ部を歯と歯茎の間や歯間に当てて回転させるという手動操作によって、歯垢を除去し歯肉に対する適切なマッサージと刺激を与えることによる血行改善効果が得られ、その結果、歯磨きに必要とする時間を著しく短縮することができる。歯垢除去成績については10分を要さず90%以上の刷掃効果が確認され、いわゆる歯磨きにおける刷掃概念の簡素化を達成し、歯磨きに対するモチベーションを向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下図示の実施形態を参照して本発明をより詳細に説明する。図1は本発明の回転式歯ブラシ10の例示であり、図中符号11はハンドル、12は扁平な形状に形成された握り部、15は回転ブラシ部であり、回転ブラシ部15は毛状体13を放射状に設け、歯間を刷掃可能な薄さを有する円盤状に形成した少なくとも1個の単円盤ブラシ14から成り立っている。
【0025】
ハンドル11は、回転式歯ブラシ10を扱うために必要かつ十分な太さと長さを有するものとし、小児から成人まで異なる手の大きさに適合するように各種サイズのものが用意される。扁平な握り部12はハンドル11の少なくとも1箇所に形成されており、例えば拇指の指先を当てて握りを安定させるために使用される。指先を当てる箇所よりも先端側の部分は握る部分よりも細く形成されており、その先端部に回転ブラシ部15が設けられている。また指先の安定性向上のために握り部12に凹みを設けても良い。
【0026】
回転ブラシ部15は、1個以上の単円盤ブラシ14から成り立っており、ハンドル11の先端部に設けられる支軸16に回転可能に取り付けられている。図示の単円盤ブラシ
14は、合成樹脂の短毛より成る毛状体13を芯部の周囲に放射状に植毛し、一体構造にしたもので、大きさは、小児ないし成人の大臼歯咬合面大の直径と、歯間にブラシ周囲を差し込める薄さを有する。毛状体13は、1色のみの短毛でも悪いというほどのことはないが、2色又はそれ以上の短毛を組み合わせたものとすることが、回転の確認のために好ましい。この単円盤ブラシ14は、そのまま支軸16に取り付けても良いが、補助円盤
17を側面に設けることが望ましい。補助円盤17は歯茎を損傷しないように、滑らかな外形に成形した金属製のものか、或いは軟質のプラスチック製のものが適切であり、単円盤ブラシ14の両面に設けて主として毛先のへたりを防止する押さえとして機能する。図中18は中心軸を示しており、単円盤ブラシ14の回転中心に当たる。
【0027】
単体の単円盤ブラシ14は以上のように形成されるものであり、これを1個使用し、或いは複数個組み合わせて様々な形態を持つ回転ブラシを形成することができる。図はこの例を示したものである。単円盤ブラシ14は同径のものを複数個重ね合わせると円筒型の回転ブラシ15−1を形成することができ、直径の異なるもの14′、14″を段階的に重ね合わせると円錐台型の回転ブラシ15−3を形成することができ、直径の異なる単円盤ブラシ14、14′、14″の組み合わせを変えることにより提灯型の回転ブラシ15−4を形成することができる。円筒型の回転ブラシを形成する場合には、単円盤ブラシ数個分の厚さに予め形成しても良く、その例として符号15−2に示す。しかしこの円筒型回転ブラシ15−2の場合当然全体が一体回転することになるので、符号15−1示されるものとは作用効果が相違する。
【0028】
このような単円盤ブラシ14及び数種の回転ブラシ15−1、15−2、15−3、
15−4はすべて支軸16を用いてハンドル11の先端部に回転可能に取り付け、歯間ブラシ型の回転式歯ブラシや、より一般的な用途に使用し得る回転式歯ブラシを形成することができる。例示した単円盤ブラシ14及び数種の回転ブラシ15−1、15−2、15−3、15−4は支軸16によって単円盤ブラシ14をいずれも固定的(非可撒式)に取り付けたもので、支軸16と一致するブラシ中心軸の向きはハンドル11の長手方向と交差している。図示の3個の例の内、右側及び左側の回転式歯ブラシは回転ブラシ中心軸の向きがハンドル11の長手方向に対して直角に交差しており、かつ回転ブラシ中心軸の向きはハンドル11の扁平な握り部12の向きに対して真横を向くようになっている。これに対して中央の回転式歯ブラシは回転ブラシ中心軸の向きがハンドル11の長手方向に対して直角より45度計り外方へ傾斜した構成を有している。但し中央の回転式歯ブラシの例でも、回転ブラシ中心軸が傾斜している面と扁平な握り部とが直交している。つまり横向きになっていることは前2者の例と同じである。
【0029】
回転ブラシ部は、ハンドル11の両方の端部にも設けることができる。この場合、夫々の回転ブラシ部は同じように設けてあっても良いが、図の左側に示したように、一端の回転ブラシ部15をハンドル11の長手方向に対して直角に交差し、他の一端の回転ブラシ部15′をハンドル11の長手方向に対して直角よりも45度外方へ傾斜した構造とすると、2種類の回転ブラシ部15、15′が備わるので歯列等の変化に多様に対応し易いものとなる。
【0030】
さらに、単円盤ブラシ14及び数種の回転ブラシ15−1、15−2、15−3、15−4から成る回転ブラシ部は支軸によって可撤式に取り付けることができる。可撤式構造を有する回転式歯ブラシでは、単円盤ブラシ14や数種類の回転ブラシ15−1、15−2、15−3、15−4の使用中、へたりの進行により適切な歯磨きを行えなくなったときに、単円盤ブラシ14等を新品と交換することが可能となる。交換の際には、それまで使用していたのと同じ型の回転ブラシを使用可能とするのみならず、異なる型の回転ブラシをも使用可能であることが望まれる。なお、単円盤ブラシ14を使用する回転式歯ブラシの場合、従来の歯ブラシでは届かなかった臼歯遠心面の刷掃に有効であるほか、極度の歯列不正、矯正装置の装着部、或いは部分床義歯使用部分等に対して刷掃効果を期待することができる。
【0031】
本発明の回転式歯ブラシは、放射状に設けられた毛状体に歯磨き剤を付着させた態様としても使用可能である。また、毛状体の質感について硬軟各タイプの異なるものや太さ、細さの異なるもの、或いは周縁形状を尖鋭にしたものや鋸歯状構造を有するものなどのバリエーションを展開することができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の回転式歯ブラシは、一般用途の他、特に高齢者や傷病者等に対する介護用品としても有用であり、さらにペット産業においても有用と考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る回転式歯ブラシの実施形態を示す斜視説明図。
【符号の説明】
【0034】
10 回転式歯ブラシ
11 ハンドル
12 握り部
13 毛状体
14、14′、14″ 単円盤ブラシ
15−1、15−2、15−3、15−4 回転ブラシ
15、15′ 回転ブラシ部
16 支軸
17 補助円盤
18 中心軸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルの先端部に回転可能に軸支されたブラシ部を有する歯ブラシであって、回転ブラシ部として、毛状体を放射状に設け、歯周ポケット及び歯間を刷掃可能な薄さを有する、円盤状の単円盤ブラシを具備し、少なくとも1個の単円盤ブラシを中心軸がハンドルの長手方向と交差するように回転可能に軸支した構成を有している回転式歯ブラシ。
【請求項2】
ハンドルの握り部は扁平な形状に形成されており、握り部の扁平な面と回転ブラシ部の回転軸を通る面とがほぼ直交関係にある請求項1記載の回転式歯ブラシ。
【請求項3】
回転ブラシ部は、単円盤ブラシを複数個、同軸に軸支したもので、各々の単円盤ブラシが独立して回転可能に設けられている請求項1記載の回転式歯ブラシ。
【請求項4】
回転ブラシ部は、ハンドルの両方の端部に設けられており、かつ夫々の回転ブラシ部は少なくとも一方の回転軸の方向を傾斜させた構成を有している請求項1記載の回転式歯ブラシ。


【図1】
image rotate