説明

回転支圧体付きアースアンカーとその工法

【課題】回転支圧体付きアースアンカーの支圧体を開く時、支圧体とヒンジとの間に土を噛まずに支圧体を完全に開かせ、アースアンカー使用後にも、土を噛まずに支圧体を閉じてアースアンカーを引き抜くことのできるアースアンカーを提供する。
【解決手段】軸材2、支圧体3、軸材2下部に設けたヒンジ14とボルトまたはリベット4によって構成され、軸材2と支圧体3をボルト4でヒンジ接合し、支圧体3の逆回転止12をヒンジ14上端部に接しさせ、支圧体3の回転止13を逆回転止12と反対側下方でヒンジ14に接しさせ、支圧体3が開いた時回転止13がヒンジ14上端部に当たって支圧体3の回転を止めるようにして、アースアンカー1を地中に貫入(A)し、軸材2の軸芯10を軸にして回転(B)し、貫入時地中にできた穴から支圧体3の全部または一部を避けて引き上げ(C)支圧体3が支圧体に働く回転モーメント(D)によって開くようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転支圧体付きアースアンカーとその工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
回転支圧体付きアースアンカーとその工法の技術を提案した。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4752046号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1の技術を用いて試作品をつくり実験したところ、アースアンカー1を地
盤に貫入、軸材2を軸材の芯10を中心にして90度回転し、引き上げ、支圧体3を回転モーメントによって開く時支圧体3とヒンジ14の間に土を噛み支圧体3が完全に開かないことがわかった。また、アースアンカー使用後抜き取るためにアースアンカーを打って支圧体3を閉じる時も支圧体3とヒンジ14の間に土を噛み完全に閉じないことがわかった。本発明は、支圧体3を回転モーメントによって開く時支圧体3とヒンジ14の間に土を噛まなくし、また、アースアンカー1使用後アースアンカー1を引き抜くために支圧体3を閉じる時も支圧体3とヒンジ14または軸材2との間に土を噛まなくして支圧体3を閉じさせることを最も主要な特徴とする。本発明のアースアンカーを地盤に定着するために注入材を必要とせず、アースアンカー使用後支圧体を閉じてアースアンカーを引き抜き、再使用できることが、従来の技術と異なる大きな特徴である。
アースアンカーが建造物等と地盤の連結に使用された場合アースアンカーの引き抜き強度を信頼するためには、アースアンカーの支圧体3が開いていることを確認できることが望まれる。本発明は、アースアンカーの支圧体3が開いていることを確認し、更にデーターとして保存できる方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
直接またはプレボーリング後貫入(A)して地中に係止させるアースアンカーにおいて、
軸材2、支圧体3、軸材2下部に設けたヒンジ14とボルトまたはリベット4によって構成され、軸材2と略長方形状の支圧体3をボルトまたはリベット4でヒンジ接合し、支圧体3に逆回転止12を設け、逆回転止12を、軸材2がヒンジに接続する根元17に当接させることによって、支圧体3を閉じて貫入(A)する時支圧体下端部9と軸材2の芯10を一致させ、支圧体3に回転止13を設け、回転止13を、支圧体3が開いた(D)時軸材2がヒンジに接続する根元18に当接させることによって、支圧体3の回転を止め、アースアンカー1を地中に貫入(A)し、軸材2の芯10を軸にしてアースアンカー1を回転(B)して、平面視貫入時地中にできた穴から支圧体3の全部または一部を避けてアースアンカー1を引き上げ(C)支圧体3が、支圧体に働く回転モーメント(C)によって開くようにつくったことを特徴とするアースアンカーである。
【0006】
支圧体をプレート加工した場合、前記支圧体先端部9とヒンジ14の間で土止カバー15を設け、土止カバー15上端部を、支圧体3が開いた時軸材2がヒンジに接続する根元17に当接させ、回転止13とすることによって、支圧体3を開く時支圧体3とヒンジ14の間で土を噛まないようにすることを特徴とするアースアンカーである。
【0007】
支圧体をプレート加工した場合、前記支圧体3に土止カバーを兼ねた逆回転止12を設け、逆回転止12を、支圧体が閉じた時軸材2がヒンジに接続する根元17に当接させることによって、支圧体が閉じる時支圧体とヒンジ14の間で土を噛まないようにすることを特徴とするアースアンカーである。
【0008】
支圧体を鋳造、鍛造で製造した場合、前記支圧体3を、逆回転止12と回転止13の間でヒンジ14に接しさせる形状にすることによって、支圧体3を開く時支圧体3とヒンジ14の間で土を噛まないようにすることを特徴とするアースアンカーである。
【0009】
前記支圧体3の上部を軸材2と平行にすることによって、アースアンカー1を直接貫入しやすくし、平面視前記支圧体3の上部を左側(H)または右側(I)にひねり、または、側面視支圧体3の上部の左側(J)または右側の長さ(K)を右側または左側よりも短くし、または、平面視前記支圧体3の上部を左側または右側にひねりかつ側面視支圧体3の上部の左側または右側の長さを右側または左側よりも短くすることによって、貫入後軸材2の芯10を軸にして右側(B)または左側(G)に回転して支圧体3を開かせ、その後アースアンカー1を引き上げ(C)支圧体3が、支圧体に働く回転モーメント(D)によって開くようにつくったことを特徴とするアースアンカーである。
【0010】
直接またはプレボーリング後貫入して地中に係止させるアースアンカーにおいて、軸材2、軸材2下部に取り付けた複数の枝軸材2A、支圧体3、枝軸材2Aと支圧体3をヒンジ接合する複数のヒンジ14とボルトまたはリベット4によって構成され、枝軸材2A下部に複数のヒンジ14を、間隔33をとってつくり、枝軸材2Aと支圧体3をボルトまたはヒンジ4でヒンジ接合し、ヒンジ14の横端部を平坦にした逆回転止12Aを設けることによって、支圧体3を逆回転しないようにし、支圧体3を閉じて貫入する時支圧体下端部9と軸材の芯10を一致させ、逆回転止12端部を鋭角にしてそのテーパー40を内側にとることによって、支圧体3を閉じる時支圧体3と逆回転止12Aとの間に来る土を内側に押しのけて土を噛まないようにし、ヒンジ14の下端部を平坦にした回転止め13を設けることによって、支圧体3が開いた時支圧体3の回転を止めるようにし、回転止13の端部を鋭角にしてそのテーパー40を内側にとることによって、支圧体3を開く時支圧体3と回転止12との間に来る土を内側に押しのけて土を噛まないようにし、アースアンカー1を地中に貫入し、引き上げ支圧体3が、支圧体に働く回転モーメントによって開くようにつくったことを特徴とするアースアンカーである。
【0011】
前記アースアンカーを用いて、アースアンカー1の頂部を打つことによってまたはプレボーリングすることによってアースアンカー1を地中に貫入(A)し、軸材の芯10を軸にしてアースアンカー1を回転(B)して、平面視貫入時地中にできた穴から支圧体3の全部または一部を避けてアースアンカー1を引き上げ(C)、支圧体3を開き(D)、アースアンカー1上部と地上の工作物等と連結し、使用後は、頂部を打つ(E)ことによって支圧体3を閉じ(F)、貫入時とは逆に回転し(G)、貫入時にできた地盤の穴を通してアースアンカー1を引き抜く(H)ことを特徴とするアースアンカーの工法である。
【0012】
前記支圧体3が完全に開いたことを確認し、記録するために、支圧体3を開いた後アースアンカー上部を音波探知器と接続し、アースアンカーを上下または上下振動を与えて回転止13と、軸材がヒンジに接続する根元18の打音の音波を探知、確認し、前記打音の音波を保存できるようにしたことを特徴とするアースアンカーの工法である。
【発明の効果】
【0013】
回転支圧体付アースアンカーを確実に開かせ、それを地上で確認することによって、工作物、建造物などの固定をする回転支圧体付アースアンカーへの信頼度が確実になる。
回転支圧体付アースアンカーを用いた工作物、建造物などの固定の方法は、特許第5023270号に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例で、(a)は断面図、(b)は、(a)の正面図。
【図2】本発明の実施例で、(a)は、図1の(b)の側面図、(b)は、(a)の平面図。
【図3】本発明の別な実施例で、(a)は断面図、(b)は正面図。
【図4】本発明の別な実施例で、(a)は、図3の(b)の側面図、(b)は、(a)の平面図。
【図5】本発明の複数のヒンジを用いた場合の実施例で、(a)は図6の(a)のL―L断面図、(b)は正面図。
【図6】本発明の複数のヒンジを用いた場合の実施例で、(a)は、図5の(b)の支圧体3が閉じている場合のK矢視図で、(b)は、図6の(a)のM−M断面図、(c)は図5の(b)の支圧体3が開いている場合(一点破線)のK矢視図。
【図7】(a)はアースアンカーの頂部を、(b)と(c)はそれぞれアースアンカーの別な頂部を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1、図2は本発明のアースアンカー1の実施例である。図1の(a)は断面図及び支圧体3を開いた時の断面図(一点鎖線)、図1の(b)は、図1の(a)の正面図である。支圧体3を閉じた状態を示し更に開いて状態(一点鎖線)も合わせて表現している。図中の記号A〜Hは、アースアンカー1または支圧体3の動きを表現している。図2の(a)は図1の(b)の側面図、図2の(b)は図2の(a)の平面図である。直接またはプレボーリング後貫入(A)して地中に係止させるアースアンカーにおいて、軸材2、支圧体3、軸材2下部に設けたヒンジ14とボルトまたはリベット4によって構成され、軸材2と略長方形状の支圧体3をボルトまたはリベット4でヒンジ接合し、支圧体3に逆回転止12を設け、逆回転止12を、軸材2がヒンジに接続する根元17に当接させることによって、支圧体3を閉じて貫入(A)する時支圧体下端部9と軸材2の芯10を一致させ、支圧体3に回転止13を設け、回転止13を、支圧体3が開いた(D)時軸材2がヒンジに接続する根元18に当接させることによって、支圧体3の回転を止め、アースアンカー1を地中に貫入(A)し、軸材2の芯10を軸にしてアースアンカー1を回転(B)して、平面視貫入時地中にできた穴から支圧体3の全部または一部を避けてアースアンカー1を引き上げ(C)支圧体3が、支圧体に働く回転モーメント(C)によって開くようにつくったことを特徴とするアースアンカーである。
【0016】
図1、図2参照。支圧体をプレート加工した場合、前記支圧体先端部9とヒンジ14の間で土止カバー15を設け、土止カバー15上端部を、支圧体3が開いた時軸材2がヒンジに接続する根元17に当接させ、回転止13とすることによって、支圧体3を開く時支圧体3とヒンジ14の間で土を噛まないようにすることを特徴とするアースアンカーである。回転止13が、支圧体3が開いた時軸材2がヒンジに接続する根元17の垂直な面に当接するので、滑ることはない。
【0017】
図1、図2参照。支圧体をプレート加工した場合、前記支圧体3に土止カバーを兼ねた逆回転止12を設け、逆回転止12を、支圧体が閉じた時軸材2がヒンジに接続する根元17に当接させることによって、支圧体が閉じる時支圧体とヒンジ14の間で土を噛まないようにすることを特徴とするアースアンカーである。逆回転止12が、支圧体が閉じた時軸材2がヒンジに接続する根元17の垂直な面に当接するので、滑ることはない。
【0018】
図3、図4は、別なアースアンカー1の実施例である。図3の(a)は断面図及び支圧体3を開いた時の断面図(一点破線)、図3の(b)は、図3の(a)の正面図である。図4の(a)は図3の(b)の側面図、図4の(b)は図4の(a)の平面図である。
支圧体を鋳造、鍛造で製造した場合、前記支圧体3を、逆回転止12と回転止13の間でヒンジ14に接しさせる形状にすることによって、支圧体3を開く時支圧体3とヒンジ14の間で土を噛まないようにすることを特徴とするアースアンカーである。
【0019】
図3、図4参照。前記支圧体3の上部を軸材2と平行にすることによって、アースアンカー1を直接貫入しやすくし、平面視前記支圧体3の上部を左側または右側にひねり、または、側面視支圧体3の上部の左側または右側の長さを右側または左側よりも短くし、または、平面視前記支圧体3の上部を左側(H)または右側(I)にひねりかつ側面視支圧体3の上部の左側(J)または右側(K)の長さを右側(K)または左側(J)よりも短くすることによって、貫入後軸材を、軸材2の芯10を軸にして右側(B)または左側(G)に回転して支圧体3を少し開かせ、平面視貫入時地中にできた穴から支圧体3の全部または一部を避けてアースアンカー1を引き上げ(C)支圧体3が、支圧体に働く回転モーメント(D)によって開くようにつくったことを特徴とする。使用後アースアンカーを打って(E)支圧体を閉じさせ(F)、貫入時とは逆に回転(GまたはB)し、貫入時にできた地盤の穴を通してアースアンカーを抜くことができる(H)。
【0020】
図1では、支圧体3の逆回転止12と回転止13のみがヒンジ14に接すが、支圧体に土止カバー15が取り付けられているので支圧体とヒンジの間で土を噛むことはない。図3では、支圧体3の逆回転止12から回転止13の間で支圧体3がヒンジ14に接する形状なので支圧体とヒンジの間で土を噛むことはない。また、逆回転止12が土止を兼ねており支圧体が閉じる時に支圧体とヒンジの間で土を噛むことはない。支圧体を閉じさせる時、支圧体と軸材の間に土が噛んで支圧体が閉じないことを無くすために、支圧体が閉じた時に支圧体と軸材の間に間隔33をとり、支圧体が閉じる時軸材が向かい合う面を曲面加工35しておくのが良い。逆回転止12も鋭角にしておくのが良い。図1の支圧体が中空洞であるのに対し、図3の支圧体はソリッドであって強固である。加工面からいえば、前者がプレート加工になるのに対し、後者は鍛造加工または鋳造加工になる。どちらにするかはアースアンカーの用途、個数、コストによって使い分ければよい。
【0021】
図5は、複数のヒンジを用いた場合の大型アースアンカーの実施例である。回転止13と支圧体3の間に土が入っても、土を押しのけて回転止13と支圧体3の接点に来る土を無くする方法である。図5の(a)は図6の(a)のL―L断面図、図5の(b)は正面図である。図6の(a)は、図5の(b)の支圧体3が閉じている場合のK矢視図で、図6の(b)は、図6の(a)のM−M平断面図、図6の(c)は図5の(b)の支圧体3が開いている場合(一点破線)のK矢視図である。直接またはプレボーリング後貫入して地中に係止させるアースアンカーにおいて、軸材2、軸材2下部に取り付けた複数の枝軸材2A、支圧体3、枝軸材2Aと支圧体3をヒンジ接合する複数のヒンジ14とボルトまたはリベット4によって構成され、枝軸材2A下部に複数のヒンジ14を、間隔33をとってつくり、枝軸材2Aと支圧体3をボルトまたはヒンジ4でヒンジ接合し、ヒンジ14の横端部を平坦にした逆回転止12を設けることによって、支圧体3を逆回転しないようにし、支圧体3を閉じて貫入する時支圧体下端部9と軸材の芯10を一致させ、逆回転止12端部を鋭角にしてそのテーパー40を内側にとることによって、支圧体3を閉じる時支圧体3と逆回転止12との間に来る土を内側に押しのけて土を噛まないようにし、ヒンジ14の下端部を平坦にした回転止13を設けることによって、支圧体3が開いた時支圧体3の回転を止めるようにし、回転止13の端部を鋭角にしてそのテーパー40を内側にとることによって、支圧体3を開く時支圧体3と回転止12との間に来る土を内側に押しのけて土を噛まないようにし、アースアンカー1を地中に貫入(A)し、軸材2の芯10を軸にしてアースアンカー1を回転(B)して、平面視貫入時地中にできた穴から支圧体3の全部または一部を避けてアースアンカー1を引き上げ(C)支圧体3が、支圧体に働く回転(D)モーメントによって開くようにつくったことを特徴とするアースアンカーである。
転石のある地盤では、支圧体3とヒンジ14との間に転石を噛む可能性がある。その場
合図3の(a)の支圧体に用いられている平板状の土止カバー15を支圧体3下部に取り付け、ヒンジ表面に沿わせても良い。土止カバー15を用いた分だけコスト高になるが、支圧体3とヒンジ14との間に転石を噛む可能性は無い。アースアンカー1を半永久的に用いて引き抜きを考慮する必要が無い時は、アースアンカー1を土中で閉じることの考慮を省略して良い。
【0022】
図1〜図6参照。前記アースアンカー1を用いて、アースアンカー1の頂部を打つことによってまたはプレボーリングすることによってアースアンカー1を地中に貫入(A)し、
軸材の芯10を軸にしてアースアンカー1を回転(B)して平面視貫入時地中にできた穴から支圧体3の全部または一部を避けてアースアンカー1を引き上げ(C)、支圧体3を開き(D)、アースアンカー1上部と地上の工作物等と連結し、使用後は、頂部を打つ(E)ことによって支圧体3を閉じ(F)、貫入時とは逆に回転(G)して、貫入時にできた地盤の穴を通してアースアンカー1を引き抜く(H)ことを特徴とするアースアンカーの工法である。
小規模なアースアンカーであれば頂部をハンマーなどによって直接打てば良く。中規模以上になるとプレボーリングしてからアースアンカーを貫入することになる。その場合穴径を、アースアンカーを貫入できるくらいの最小限の大きさ(概ね軸材の直径)にしておかないと、支圧体を開くことができない。アースアンカーの規模に応じてドリルの太さまたは長さを使い分ければ良い。アースアンカーの引き抜き強度は、アースアンカーを中心とする逆円錐形を想定して、その逆円錐形の表面とそれに接する周りの土との摩擦力によって決まる。したがって、アースアンカーの引き抜き強度は、アースアンカーの深さ(長さ)の2乗に比例する。巨大建造物もアースアンカーによって地上に固定、または、巨大浮体を洋上に係留することが可能である。図5、6において、支圧体3に力骨34が取り付けられているのは、支圧板35が土圧によって曲がらないようにして、支圧体3の強度を高めるためである。
【0023】
図1〜6参照。前記支圧体3が完全に開いたことを確認し、記録するために、支圧体3を開いた後アースアンカー上部を音波探知器と接続し、アースアンカーを上下または上下振動を与えて回転止13と、軸材がヒンジに接続する根元18の打音の音波を探知、確認し、前記打音の音波を保存できるようにしたことを特徴とするアースアンカーの工法である。音波探知機の図は省略している。工作物、建造物などを、アースアンカーを用いて地上に固定した場合、当然アースアンカーに必要な引き抜き強度が求められる。その引き抜き強度は支圧体が完全に開いていなければ得ることができない。土中にある支圧体が完全に開いているかどうかを確認するためには、回転止13が、軸材がヒンジに接続する根元18に当接したかどうかを確認すればよい。回転止13が、軸材がヒンジに接続する根元18に当接しておれば、アースアンカーを上下または上下振動を与えてやると双方が当たる打音が発生する。軸材2の上部に音波探知機を接続しておけば、その発生音は軸材2を伝わって音波探知機に感知される。その打音の音波と現地写真が同時保存されて、アースアンカーの引き抜き強度は保証される。アースアンカーを実際に使用する前に、現地でアースアンカーの引き抜き試験を行って、アースアンカーの引き抜き強度を確認しておくのが良い。アースアンカーの引き抜き強度は、前もってその材料、形状、断面と現地のN値(地盤の硬さを表す指標)から算出できる。
図7の(a)、(b)、(c)は、それぞれアースアンカー頂部の実施例を示す正面図
である。図7の(a)では、頂部をリング状にしており、リング状頂部5と工作物、樹木
などの支線6を連結してアースアンカーを用いる。リング状頂部5は、アースアンカーを
軸材の芯10を軸にして90度回転する時棒状ハンドルを挿入することに利用でき、また、
支圧体3を開くためにアースアンカーを引き上げる時梃子を入れることにも利用できる。
図7の(b)は、アースアンカー頂部に取り外し式の頂部金物7を取り付けた実施例で
ある。頂部金物7が回転しないように、締め付けナット8で固定して用いる。使用後は取
り外して、図7の(c)が示すように、基礎16などを、締め付けナット8で固定して用
いても良い。
図7の(c)は、雄ねじ11付きアースアンカー頂部の雄ねじ11部分を頂部カット41
することによって、頂部をハンマーなどで打ってアースアンカーを貫入した後も、アース
アンカー頂部の雄ねじ11を痛めずにして、締め付けナット8の取り外しをできるように
した実施例である。頂部を四角形に加工して、スパナを使って回転させることができる。
【符号の説明】
【0024】
1 アースアンカー
2 軸材
2A 枝軸材
3 支圧体
4 ボルトまたはリベット
5 リング状頂部
6 支線
7 リング状金物
8 締め付けナット
9 支圧体下部先端部
10 軸材の芯
11 雄ねじ
12 逆回転止
13 回転止
14 ヒンジ
15 土止カバー
16 基礎
17、18 軸材がヒンジに接続する根元
20 地盤
33 間隔
34 支圧体の力骨
35 曲面加工
40 テーパー
41 頂部カット
42 座金


【特許請求の範囲】
【請求項1】
直接またはプレボーリング後貫入(A)して地中に係止させるアースアンカーにおいて、
軸材2、支圧体3、軸材2下部に設けたヒンジ14とボルトまたはリベット4によって構成され、軸材2と略長方形状の支圧体3をボルトまたはリベット4でヒンジ接合し、
支圧体3に逆回転止12を設け、逆回転止12を、軸材2がヒンジに接続する根元17に当接させることによって、
支圧体3を閉じて貫入(A)する時支圧体下端部9と軸材2の芯10を一致させ、
支圧体3に回転止13を設け、回転止13を、支圧体3が開いた(D)時軸材2がヒンジに接続する根元18に当接させることによって、支圧体3の回転を止め、
アースアンカー1を地中に貫入(A)し、軸材2の芯10を軸にしてアースアンカー1を回転(B)して、平面視貫入時地中にできた穴から支圧体3の全部または一部を避けてアースアンカー1を引き上げ(C)支圧体3が、支圧体に働く回転モーメント(C)によって開くようにつくったことを特徴とするアースアンカー。
【請求項2】
支圧体をプレート加工した場合、前記支圧体先端部9とヒンジ14の間で土止カバー15を設け、土止カバー15上端部を、支圧体3が開いた時軸材2がヒンジに接続する根元17に当接させ、回転止13とすることによって、支圧体3を開く時支圧体3とヒンジ14の間で土を噛まないようにすることを特徴とする請求項1記載のアースアンカー。
【請求項3】
支圧体をプレート加工した場合、前記支圧体3に土止カバーを兼ねた逆回転止12を設け、逆回転止12を、支圧体が閉じた時軸材2がヒンジに接続する根元17に当接させることによって、
支圧体が閉じる時支圧体とヒンジ14の間で土を噛まないようにすることを特徴とする請求項1記載のアースアンカー。
【請求項4】
支圧体を鋳造、鍛造で製造した場合、前記支圧体3を、逆回転止12と回転止13の間でヒンジ14に接しさせる形状にすることによって、支圧体3を開く時支圧体3とヒンジ14の間で土を噛まないようにすることを特徴とする請求項1記載のアースアンカー。
【請求項5】
前記支圧体3の上部を軸材2と平行にすることによって、
アースアンカー1を直接貫入しやすくし、
平面視前記支圧体3の上部を左側(H)または右側(I)にひねり、
または、側面視支圧体3の上部の左側(J)または右側(K)の長さを右側(K)または左側(J)よりも短くし、
または、平面視前記支圧体3の上部を左側または右側にひねりかつ側面視支圧体3の上部の左側または右側の長さを右側または左側よりも短くすることによって、
貫入後軸材2の芯10を軸にして右側(B)または左側(G)に回転して支圧体3を少し開かせ、
その後アースアンカー1を引き上げ(C)支圧体3が、支圧体に働く回転モーメント(D)によって開くようにつくったことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のアースアンカー。
【請求項6】
直接またはプレボーリング後貫入して地中に係止させるアースアンカー1において、
軸材2、軸材2下部に取り付けた複数の枝軸材2A、支圧体3、枝軸材2Aと支圧体3を
ヒンジ接合する複数のヒンジ14とボルトまたはリベット4によって構成され、
枝軸材2A下部に複数のヒンジ14を、間隔33をとってつくり、
枝軸材2Aと支圧体3をボルトまたはヒンジ4でヒンジ接合し、
ヒンジ14の横端部を平坦にした逆回転止12を設けることによって、
支圧体3を逆回転しないようにし、
支圧体3を閉じて貫入する時支圧体下端部9と軸材の芯10を一致させ、
逆回転止12端部を鋭角にしてそのテーパー40を内側にとることによって、
支圧体3を閉じる時支圧体3と逆回転止12との間に来る土を内側に押しのけて土を噛まないようにし、
ヒンジ14の下端部を平坦にした回転止13を設けることによって、
支圧体3が開いた時支圧体3の回転を止めるようにし、
回転止13の端部を鋭角にしてそのテーパー40を内側にとることによって、
支圧体3を開く時支圧体3と回転止12との間に来る土を内側に押しのけて土を噛まない
ようにし、アースアンカー1を地中に貫入(A)し、軸材2の芯10を軸にしてアースアンカー1を回転(B)して、平面視貫入時地中にできた穴から支圧体3の全部または一部を避けてアースアンカー1を引き上げ(C)支圧体3が、支圧体に働く回転モーメント(D)によって開くようにつくったことを特徴とするアースアンカー。
【請求項7】
前記請求項1乃至6の何れかに記載のアースアンカーを用いて、
アースアンカー1の頂部を打つことによってまたはプレボーリングすることによってアー
スアンカー1を地中に貫入(A)し、
軸材2の芯10を軸にしてアースアンカー1を回転(B)して、平面視貫入時地中にできた穴から支圧体3の全部または一部を避けてアースアンカー1を引き上げ(C)、
支圧体3を開き(D)、アースアンカー1上部と地上の工作物等と連結し、
使用後は、頂部を打つ(E)ことによって支圧体3を閉じ(F)、貫入時とは逆に回転(G)し、貫入時にできた地盤の穴を通してアースアンカー1を引き抜く(H)ことを特徴とするアースアンカーの工法。
【請求項8】
前記支圧体3が完全に開いたことを確認し、記録するために、
支圧体3を開いた後アースアンカー上部を音波探知器と接続し、
アースアンカーを上下または上下振動を与えて回転止13と、軸材がヒンジに接続する根元18の打音の音波を探知、確認し、前記打音の音波を保存できるようにしたことを特徴とする請求項7記載のアースアンカーの工法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−108347(P2013−108347A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−227886(P2012−227886)
【出願日】平成24年10月15日(2012.10.15)
【特許番号】特許第5186695号(P5186695)
【特許公報発行日】平成25年4月17日(2013.4.17)
【出願人】(301041450)株式会社小笠原設計 (21)
【Fターム(参考)】