説明

回転検出装置、回転数検出装置および回転体姿勢検出装置

【課題】明るい環境下でも簡易な構造で回転の検出を行うことが可能な回転検出装置、回転数検出装置および回転体姿勢検出装置を提供する。
【解決手段】送信アンテナ2と受信アンテナ3とは、互いに離間し、かつ、各々の長手方向が互いに略直交する位置関係にて配置されている。送信アンテナ2と受信アンテナ3との間に円盤状の回転体6が位置している。この回転体6の面62に被検出体としてのアンテナ部4が取り付けられている。受信アンテナ3の受信内容に基づいて、回転体6と共にアンテナ部4が回転していることを検出できる。また、回転数や回転体の向きも同様に検出できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転体の回転に関する検出を行う回転検出装置、回転数検出装置および回転体姿勢検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、回転中の回転体について回転検出を行う技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1には、ケーブル巻取部と、この両端に設けられた円形枠とを有するドラムにケーブルを巻き取る装置が開示されている。この装置は、円形枠に回転基準位置を示す突起物を設け、この突起物を検出するレーザスイッチと、円形枠の円周部に接するアンダーローラの回転軸を介してドラムの回転を検出するロータリーエンコーダと、レーザスイッチの検出信号に応じてロータリーエンコーダの検出信号の絶対角度調整を行う計測手段とを有し、この計測手段において調整されたドラムの回転角度を用いて、ケーブルをトラバースするタイミングを検出しドラムにケーブルを整列して巻き取る。
【0003】
【特許文献1】特開平6−141424号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、例えば回転検出の結果が回転制御に用いられる場合には回転検出にきわめて高い精度が求められる一方で、例えば回転検出の結果を一つの指標として表示するだけの場合には高い精度が求められず、簡易な構造であることやコスト低減が容易な構造であること等が求められることがある。
また、回転検出を行う環境としては、被検出体の周囲を暗くすることができる場合のほかに、被検出体の周囲を暗くすることが困難であってそれゆえ明るいままで回転検出を行わざるを得ない場合がある。
【0005】
本発明は、明るい環境下でも簡易な構造で回転の検出を行うことが可能な回転検出装置、回転数検出装置および回転体姿勢検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的のもと、本発明が適用される回転検出装置は、回転体の回転を検出する回転検出装置であって、前記回転体に取り付けられ、当該回転体と共に回転するアンテナ部と、前記回転体を挟んで当該回転体と離間するように配置される線状の送信アンテナおよび受信アンテナと、前記受信アンテナの受信内容を基に前記回転体の回転の有無を検出する処理を行う処理部と、を備え、前記送信アンテナを前記受信アンテナおよび前記回転体と重ねて見たときに当該送信アンテナと当該受信アンテナとが互いに異なる方向に延びて配置されていることを特徴とするものである。
【0007】
ここで、前記送信アンテナを前記受信アンテナおよび前記回転体と重ねて見たときに、当該送信アンテナと当該受信アンテナとが互いに略直交する方向に延びて配置されていることを特徴とすることができる。
【0008】
他の観点から捉えると、本発明が適用される回転数検出装置は、回転体の回転数を検出する回転数検出装置であって、所定の周波数の電波を送信する線状の送信アンテナと、前記送信アンテナを含む平面と略平行な平面に包含され、当該送信アンテナと離間すると共に当該送信アンテナとは異なる方向に延びる線状の受信アンテナと、前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間に位置する前記回転体に設けられ、当該回転体と共に回転し、当該送信アンテナが送信する前記所定の周波数に共振するアンテナ部と、前記受信アンテナの受信内容を基に前記回転体の回転数を検出する処理を行う処理部と、を備えることを特徴とするものである。
【0009】
ここで、前記処理部は、前記回転体と前記送信アンテナおよび前記受信アンテナとの位置関係を示す情報を取得し、当該情報を用いて前記処理を行うことを特徴とすることができる。
【0010】
更に本発明を別の観点から捉えると、本発明が適用される回転体姿勢検出装置は、回転体の姿勢を検出する回転体姿勢検出装置であって、通信周波数に共振する長さに対応するアンテナ長を有するアンテナ部を前記回転体の回転中心点を含む面に形成し、前記回転体を間に挟むように線状の送信アンテナおよび受信アンテナを互いに離間させ、当該送信アンテナの仮想延長線と当該受信アンテナの仮想延長線とが交差しないように互いに異なる方向に延びるように配置し、前記受信アンテナの受信内容を基に、前記送信アンテナと当該受信アンテナとの間に位置する前記回転体の前記面の向きを検出する処理を行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、明るい環境下でも簡易な構造で回転の検出を行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、本実施の形態に係る回転検出装置1が利用する回転検出の原理について説明することとする。
図1−1は、本実施の形態に係る回転検出装置1の要部を説明する図である。同図の(a)〜(d)の各々は、アンテナ部4の回転軸Aを送信アンテナ2および受信アンテナ3に対して変えた状態を示している。
図1−1の(a)〜(d)に示すように、回転検出装置1は、送信アンテナ2および受信アンテナ3を備えている。送信アンテナ2と受信アンテナ3とは、互いに離間して配置されている。また、送信アンテナ2と受信アンテナ3とは、いずれも線状のアンテナであり、また、各々の長手方向(軸方向)が互いに略直交する位置関係にて配置されている。すなわち、送信アンテナ2を含む平面と略平行な平面に受信アンテナ3が包含され、かつ、受信アンテナ3が送信アンテナ2とは異なる方向に延びている。また、送信アンテナ2の仮想延長線と受信アンテナ3の仮想延長線とが交差しないように互いに異なる方向に延びるように、送信アンテナ2と受信アンテナ3とが配置されている。
より具体的に説明すると、送信アンテナ2は同図の紙面と垂直の方向に延び、また、受信アンテナ3は図1−1の紙面と平行に延びている。なお、送信アンテナ2と受信アンテナ3との相対的な位置関係を、図1−1と逆になるような構成も考えられる。
【0013】
そして、送信アンテナ2と受信アンテナ3との間に、被検出体としてのアンテナ部4が位置している。このアンテナ部4は、一端部41と一端部41とは反対側の端部である他端部42とを有する。アンテナ部4は、回転軸Aを有する。すなわち、アンテナ部4は、回転軸Aを中心に回転方向に回転可能に構成されている。
なお、アンテナ部4は、線部材5(図1−2参照)を含んで構成されている。この線部材5は、通信周波数に共振する長さに対応するアンテナ長を有する部材である。付言すると、図1−1の(a)〜(d)では、アンテナ部4が長方形状に図示されているが、この長方形状の図形は、アンテナ部4を構成する線部材5が位置する領域を概略的に示している。
【0014】
ここで、図1−1の(a)〜(d)に一点鎖線で示す直線Xは、送信アンテナ2の中心点と受信アンテナ3の中心点とを互いに最短で結ぶ線分である。また、同図の(a)〜(d)に一点鎖線で示す直線Yは、送信アンテナ2と受信アンテナ3との間に位置して送信アンテナ2と同じ方向に延びる線分であり、直線Xと直交する線分である。
【0015】
次に、アンテナ部4と送信アンテナ2および受信アンテナ3との位置関係について説明する。なお、アンテナ部4の一端部41の位置が直線Xに対して反時計方向側に位置するときにプラスの角度とし、時計方向側に位置するときにマイナスの角度とする。
図1−1の(a)に示すアンテナ部4は、直線Xと同じ方向に延び、また、一端部41が送信アンテナ2に近接し、他端部42は受信アンテナ3に近接している。さらに説明すると、このアンテナ部4の回転軸Aは、受信アンテナ3が延びる方向(直線Yの方向)と同じ方向に延び、より具体的には、回転軸Aは、直線Xに対して+90度の角度をなす位置である。
図1−1の(b)に示すアンテナ部4は、直線Xおよび直線Yに対して交差するように延び、また、アンテナ部4の一端部41は、送信アンテナ2に近接し、他端部42は受信アンテナ3に近接している。アンテナ部4の一端部41は、X軸に対して反時計方向側(同図の直線Xの右側)に位置している。このアンテナ部4の回転軸Aは、直線Xに対して+45度の角度をなす位置である。
図1−1の(c)に示すアンテナ部4は、受信アンテナ3が延びる方向(直線Yの方向)と同じ方向に延びている。アンテナ部4の回転軸Aは、直線Xと同じ方向に延びている。
図1−1の(d)に示すアンテナ部4は、直線Xおよび直線Yに対して交差するように延び、また、アンテナ部4の一端部41は、受信アンテナ3に近接し、他端部42は送信アンテナ2に近接している。アンテナ部4の一端部41は、X軸に対して時計方向側(同図の直線Xの左側)に位置している。このアンテナ部4の回転軸Aは、直線Xに対して−45度の角度をなす位置である。
【0016】
図1−2は、アンテナ部4および回転体6の構成を説明する拡大図である。なお、図1−2の(a)〜(c)の各々は、アンテナ部4の異なる構成を例示している。また、同図では、アンテナ部4を一点鎖線で図示している。
図1−2の(a)〜(c)に示すように、本実施の形態では、アンテナ部4は回転体6に配設されている。この回転体6は、所定の厚さを有する円盤状の部材であり、中心点(回転中心点)61を有する。
より具体的に説明すると、アンテナ部4は、回転体6の片側の面62に取り付けられている。アンテナ部4は、回転体6の中心点61に重なるように面62に取り付けられている。
【0017】
アンテナ部4は、通信周波数に共振する長さに相当するアンテナ長を有する線部材5で構成されている。なお、線部材5は、一端部51と一端部51とは反対側の端部である他端部52とを有する。
ここにいう通信周波数としては、電界強度が所定レベル以下であれば無線局免許が不要な300MHzや、無線LAN等に一般的に用いられる2.4GHzを一例としてあげることができる。そして、通信周波数が300MHzのときには、線部材5の長さとして約500mmの値を採用することが考えられ、また、通信周波数が2.4GHzのときには、線部材5の長さとして約60mmの値を採用することが考えられる。
【0018】
図1−2の(a)では、300MHzを通信周波数とする場合のアンテナ部4の構成を示している。アンテナ部4を構成する線部材5の長さが回転体6の外径寸法に比べて長いことから、回転体6の面62を這うように線部材5を折り曲げて配置している。すなわち、線部材5は、互いに交差しないように回転体6の外径方向と同じ方向に延びて互いに隣り合う部分同士が略平行に離間するように折り曲げて形成されている。なお、線部材5を折り曲げて配置していることから、通信周波数に共振する長さに相当するアンテナ長を500mmよりも長くすること(例えば800mm)が考えられる。
【0019】
図1−2の(b)では、上述の(a)と同じ300MHzを通信周波数とする場合のアンテナ部4の構成を示している。さらに説明すると、線部材5の中間位置には、チップインダクタ53が取り付けられている。
このチップインダクタ53は、同調周波数を変更する素子ないしはアンテナの共振周波数を変更する素子である。このため、図1−2の(b)での線部材5のアンテナ長は同図の(a)の場合と同じであると共に、線部材5の長さを同図の(a)の場合と比べて短くすることができる。
【0020】
図1−2の(c)では、2.4GHzを通信周波数とする場合のアンテナ部4の構成を示している。線部材5の長さは、回転体6の外径よりもわずかに短いので、線部材5を折り曲げずに回転体6の面62に取り付けている。
【0021】
図2−1〜図2−3は、回転検出装置1の特性を試験した結果を示すグラフであり、2.4GHzを通信周波数とした場合のものである。図2−1は、+90度の場合すなわち図1−1の(a)の場合の試験結果であり、図2−2は、+45の場合すなわち図1−1の(b)の場合の試験結果であり、図2−3は、0度の場合すなわち図1−1の(c)の場合の試験結果である。図2−1〜図2−3の各々の縦軸は受信アンテナ3での強さ(dBμ)で、横軸が周波数(GHz)である。また、図2−1〜図2−3の各々の実線は、回転軸Aの周りを回転させた際の受信アンテナ3での最大強さの場合の測定値を示し、破線は、回転軸Aの周りを回転させた際の受信アンテナ3での最小強さの場合の測定値を示している。
図2−1〜図2−3のいずれの場合にも、回転軸Aの周りを回転体6と共にアンテナ部4が1回転する間に強さに変化が生じる。したがって、このような強さの変化を利用することで、回転体6の回転の有無の検出を行うことができる。
【0022】
図3−1〜図3−3は、回転検出装置1の特性を試験した結果を示すグラフであり、300MHzを通信周波数とした場合のものである。図3−1は、+90度の場合すなわち図1−1の(a)の場合の試験結果であり、図3−2は、+45の場合すなわち図1−1の(b)の場合の試験結果であり、図3−3は、−45度の場合すなわち図1−1の(d)の場合の試験結果である。図3−1〜図3−3の各々の縦軸は受信アンテナ3での強さ(dBμ)で、横軸が周波数(MHz)である。なお、図3−1〜図3−3の実線と破線は、図2−1〜図2−3の場合と同じである。
図3−1〜図3−3に示す300MHzの場合には、2.4GHzの場合(図2−1〜図2−3)と同様に、アンテナ部4が1回転する間に受信アンテナ3の受信強さに変化が生じる。なお、300MHzの場合には、図1−1の(c)に示す0度では、最大と最小との間の差が小さかった。しかしながら、受信アンテナ3を複数使用することにより対応することが可能である。
【0023】
次に、本実施の形態に係る回転検出装置1のより具体的な構成について説明する。
〔第1の実施の形態〕
図4は、第1の実施の形態に係る回転検出装置1の要部を説明する斜視図である。
図4に示すように、本実施の形態に係る回転検出装置1では、送信アンテナ2と受信アンテナ3との間に回転体6が配置されている。すなわち、回転体6を間に挟むように送信アンテナ2および受信アンテナ3を互いに離間させている。なお、送信アンテナ2と受信アンテナ3とは、図1−1の(a)〜(d)の各々に示す構成と同様に、互いに略直交すると共に互いに離間して配置されている。
この回転体6は、中心点61を含む回転軸の周りを一方向(回転方向)に回転可能である。この回転軸は、送信アンテナ2と受信アンテナ3とを互いに最短で結ぶ線分と略平行となるように位置している(図1−1の(c)参照)。
さらに説明すると、回転体6の面62は、受信アンテナ3側に位置している。また、回転体6の面62を送信アンテナ2側に位置するように構成することが考えられる。
回転体6の面62には、アンテナ部4が取り付けられている。アンテナ部4は、一端部41および他端部42を有する。なお、アンテナ部4の具体的な構成については、上述した図1−2の(a)〜(c)のいずれかの線部材5の配置レイアウトを利用することができる。
【0024】
送信アンテナ2には送信処理部7が接続されている。この送信処理部7の構成例について説明する。送信処理部7は、局部発振部(OSC:Oscillator)71および高周波増幅部(RFAMP:Radio Frequency Amplifier)72を備えている。この送信処理部7において、局部発振部71が発振信号(例えば315MHz)を発振し、その発振信号を高周波増幅部72が高周波信号に変換し、送信アンテナ2に送る。
受信アンテナ3には受信処理部8が接続されている。この受信処理部8の構成例については後述する。
【0025】
図5は、受信処理部8の構成例を説明するブロック図である。
図5に示すように、受信処理部8は、高周波増幅部(RFAMP)81、局部発振部(OSC:Oscillator)82、ミキサ部(MIX:Mixer)83、バンドパスフィルタ(BPF:Band-pass filter)84、増幅部(AMP:Amplifier)85、検波部(DET:Detection)86、バンドパスフィルタ(BPF)87および低周波増幅部(AFAMP:Amplitude Modulation Amplifier)88を備えている。
受信アンテナ3からの受信信号(例えば315MHz)が高周波増幅部81に入力されると、高周波増幅して同調を取り、ミキサ部83に送る。ミキサ部83では、高周波増幅部81からの出力に局部発振部82からの出力(例えば304.3MHz)を加えてバンドパスフィルタ84に出力する。バンドパスフィルタ84では、所定の周波数(例えば10.7MHz)のみを通し、それを増幅部85で増幅し、検波部86でAM変調成分が取り出される。そして、バンドパスフィルタ84によりノイズが除去されて低周波増幅部88により増幅された後に、カウンタ9に送られる。
カウンタ9では、回転体6の回転数が計数される。受信処理部8およびカウンタ9により処理部の一例を構成することができる。カウンタ9による計数結果を図示しない表示部に表示する構成を採用することができる。なお、回転数として、例えば50〜200Hzを挙げることができる。
【0026】
図6は、図4に示す回転検出装置1の要部を受信アンテナ3側から見た図である。すなわち、図6において、受信アンテナ3が最も手前に位置し、受信アンテナ3の向こう側には回転体6が位置し、回転体6の向こう側には送信アンテナ2が位置する。さらに説明すると、送信アンテナ2を受信アンテナ3および回転体6と重ねて見たときに送信アンテナ2と受信アンテナ3とが互いに略直交する方向に延びて配置されている。なお、回転体6の面62には、アンテナ部4が取り付けられている。
図6の(a)および(b)は、回転体6の回転位置をそれぞれ異ならせて示している。すなわち、送信アンテナ2と受信アンテナ3とを座標軸として仮定して説明すると、図6の(a)では、回転体6のアンテナ部4の一端部41が左上の位置にある状態を実線で示し、また、一端部41が左下の位置にある状態を一点鎖線で示している。また、同図の(b)では、一端部41が右下の位置にある状態を実線で示し、また、一端部41が右上の位置にある状態を一点鎖線で示している。
図6に示すように、回転体6はアンテナ部4と共に、図6の(a)の実線、図6の(a)の一点鎖線、図6の(b)の実線および図6の(b)の一点鎖線の順で回転する。
【0027】
図7は、図6に示す回転体6の各々の状態についての計測結果を示すグラフであり、縦軸が強さで横軸が回転角度である。
図7にて実線で示すように、回転角度に応じて周期的に変化し、360度では4つの山を検出できる。したがって、回転体6と送信アンテナ2および受信アンテナ3との位置関係を示す情報を取得することで、回転数を得ることができる。すなわち、山の数を計数し、計測結果を4で除することで回転数を得る。このため、回転体6がどの程度の回転数で回転しているかを検出することが可能である。このような回転数の検出は、明るい環境でも可能である。また、回転数の検出は、回転体6と送信アンテナ2および受信アンテナ3との間隔を近接させなくても可能であり、この点で、従来のような赤外光のフォトセンサを用いる場合とは異なる。また、回転数の検出は、回転体6の面62の向きを問わず可能であり、この点で、従来のレーザー光のセンサを用いる場合とは異なる。
なお、図7の点6a−1は、図6の(a)に実線で示すアンテナ部4の位置であり、図7の点6a−2は、図6の(a)に一点鎖線で示すアンテナ部4の位置である。また、図7の点6b−1は、図6の(b)に実線で示すアンテナ部4の位置であり、図7の点6b−2は、図6の(b)に一点鎖線で示すアンテナ部4の位置である。
【0028】
〔第2の実施の形態〕
図8は、第2の実施の形態に係る回転検出装置1の要部を説明する斜視図である。なお、本実施の形態では、基本的な構成が第1の実施の形態の場合と共通するゆえ、同じ構成については同じ符号を用い、かつ、その説明を省略する。
図8に示すように、本実施の形態に係る回転検出装置1では、回転体6の面62は、送信アンテナ2側にも位置せず、受信アンテナ3にも位置しない。すなわち、回転体6の回転軸は、送信アンテナ2と平行である(図1−1の(a)の送信アンテナ2と受信アンテナ3とを逆にした構成を参照)。
【0029】
図9は、図8に示す回転検出装置1の要部を回転体6の面62側から見た図である。すなわち、図9において、回転体6の左側に送信アンテナ2が位置し、回転体6の右側に受信アンテナ3が位置している。
図9の(a)では、回転体6のアンテナ部4の一端部41が送信アンテナ2側にある状態を実線で示し、一端部41が同図の下側の位置にある状態を二点鎖線で示している。また、同図の(b)では、回転体6のアンテナ部4の一端部41が受信アンテナ3側にある状態を実線で示し、一端部41が同図の上側の位置にある状態を二点鎖線で示している。
図9に示すように、回転体6はアンテナ部4と共に、図9の(a)の実線、図9の(a)の二点鎖線、図9の(b)の実線および図9の(b)の二点鎖線の順で回転する。
【0030】
図10は、図9に示す回転体6の各々の状態についての計測結果を示すグラフであり、縦軸が強さで横軸が回転角度である。
図10にて実線で示すように、回転角度に応じて周期的に変化し、360度では2つの山を検出できる。したがって、回転体6と送信アンテナ2および受信アンテナ3との位置関係を示す情報を取得することで、回転数を得ることができる。すなわち、山の数を計数し、計測結果を2で除することで回転数を得る。このため、回転体6がどの程度の回転数で回転しているかを検出することが可能である。
なお、図10の点9a−1は、図9の(a)に実線で示すアンテナ部4の位置であり、図10の点9a−2は、図9の(a)に二点鎖線で示すアンテナ部4の位置である。また、図10の点9b−1は、図9の(b)に実線で示すアンテナ部4の位置であり、図10の点9b−2は、図9の(b)に二点鎖線で示すアンテナ部4の位置である。
【0031】
ここで、図7のグラフの破線は、回転体6が図4に示す状態と図8に示す状態との間である中間の状態の場合の計測結果を示している。すなわち、回転体6が図4に示す状態では、360度の回転で4つの山を検出し、また、回転体6が図8に示す状態では、360度の回転で2つの山を検出し、そして、その中間の状態では、図7に示す破線で示すような計測結果を得る。このため、第1の実施の形態および第2の実施の形態の両方を適用することで、回転体6の面62が送信アンテナ2および受信アンテナ3に対してどの向きにあるかの状態(回転体6と送信アンテナ2または受信アンテナ3との相対的な姿勢)を検出することが可能である。
【0032】
このように、上述した各実施の形態によれば、アンテナを用いて回転検出を行うことで、光を用いた回転検出の場合とは異なり、周囲を暗くしなくても明るいままでも回転の有無、回転数および回転体の向きについての検出が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1−1】本実施の形態に係る回転検出装置の要部を説明する図である。
【図1−2】アンテナ部および回転体の構成を説明する拡大図である。
【図2−1】回転検出装置の特性を試験した結果を示すグラフである。
【図2−2】回転検出装置の特性を試験した結果を示すグラフである。
【図2−3】回転検出装置の特性を試験した結果を示すグラフである。
【図3−1】回転検出装置の特性を試験した結果を示すグラフである。
【図3−2】回転検出装置の特性を試験した結果を示すグラフである。
【図3−3】回転検出装置の特性を試験した結果を示すグラフである。
【図4】第1の実施の形態に係る回転検出装置の要部を説明する斜視図である。
【図5】受信処理部の構成例を説明するブロック図である。
【図6】図4に示す回転検出装置の要部を受信アンテナ側から見た図である。
【図7】図6に示す回転体の各々の状態についての計測結果を示すグラフである。
【図8】第2の実施の形態に係る回転検出装置の要部を説明する斜視図である。
【図9】図8に示す回転検出装置の要部を回転体の面側から見た図である。
【図10】図9に示す回転体の各々の状態についての計測結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0034】
1…回転検出装置、2…送信アンテナ、3…受信アンテナ、4…アンテナ部、41,51…一端部、42,52…他端部、5…線部材、53…チップインダクタ、6…回転体、61…中心点、62…面、7…送信処理部、8…受信処理部、9…カウンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体の回転を検出する回転検出装置であって、
前記回転体に取り付けられ、当該回転体と共に回転するアンテナ部と、
前記回転体を挟んで当該回転体と離間するように配置される線状の送信アンテナおよび受信アンテナと、
前記受信アンテナの受信内容を基に前記回転体の回転の有無を検出する処理を行う処理部と、
を備え、
前記送信アンテナを前記受信アンテナおよび前記回転体と重ねて見たときに当該送信アンテナと当該受信アンテナとが互いに異なる方向に延びて配置されていることを特徴とする回転検出装置。
【請求項2】
前記送信アンテナを前記受信アンテナおよび前記回転体と重ねて見たときに、当該送信アンテナと当該受信アンテナとが互いに略直交する方向に延びて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の回転検出装置。
【請求項3】
回転体の回転数を検出する回転数検出装置であって、
所定の周波数の電波を送信する線状の送信アンテナと、
前記送信アンテナを含む平面と略平行な平面に包含され、当該送信アンテナと離間すると共に当該送信アンテナとは異なる方向に延びる線状の受信アンテナと、
前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間に位置する前記回転体に設けられ、当該回転体と共に回転し、当該送信アンテナが送信する前記所定の周波数に共振するアンテナ部と、
前記受信アンテナの受信内容を基に前記回転体の回転数を検出する処理を行う処理部と、
を備えることを特徴とする回転数検出装置。
【請求項4】
前記処理部は、前記回転体と前記送信アンテナおよび前記受信アンテナとの位置関係を示す情報を取得し、当該情報を用いて前記処理を行うことを特徴とする請求項3に記載の回転数検出装置。
【請求項5】
回転体の姿勢を検出する回転体姿勢検出装置であって、
通信周波数に共振する長さに対応するアンテナ長を有するアンテナ部を前記回転体の回転中心点を含む面に形成し、
前記回転体を間に挟むように線状の送信アンテナおよび受信アンテナを互いに離間させ、当該送信アンテナの仮想延長線と当該受信アンテナの仮想延長線とが交差しないように互いに異なる方向に延びるように配置し、
前記受信アンテナの受信内容を基に、前記送信アンテナと当該受信アンテナとの間に位置する前記回転体の前記面の向きを検出する処理を行うことを特徴とする回転体姿勢検出装置。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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