説明

回転検出装置及び釣用リール

【課題】磁石付回転体の回転半径方向の側方位置から磁気センサをずらした配置にして回転数を検出することが可能な回転検出装置及び釣用リールの提供を目的とする。
【解決手段】本発明の回転検出装置50は、ピニオン15に固定された磁石30,30が、ピニオン15のうち回転中心軸15Jから離れた位置に固定されて円環状軌跡R1を描くように回転すると共に、ピニオン15の回転半径方向H1に沿う方向で着磁され、1対の磁気センサ41,42は、円環状軌跡R1よりピニオン15の回転中心軸15Jから離れて配置されると共に、1対の磁気センサ41,42と円環状軌跡R1とがピニオン15の回転半径方向H1で互いに重ならないようにピニオン15の回転中心軸方向H2で互いにずらして配置され、1対の磁気センサ41,42が有する磁束検出方向41X,42Xが回転中心軸15Jに沿う方向に向けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁石付回転体の回転数を磁気センサによって検出可能な回転検出装置及び釣用リールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の回転検出装置として、磁石付回転体と磁気センサとを磁石付回転体の回転半径方向で対向するように配置したものが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−90644号公報(段落[0015]、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上述した従来の回転検出装置では、磁石付回転体の回転半径方向の側方位置から磁気センサをずらした配置にして、回転検出装置を備えた製品(例えば、釣用リール)の設計を行うことができないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、磁石付回転体の回転半径方向の側方位置から磁気センサをずらした配置にして回転数を検出することが可能な回転検出装置及び釣用リールの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る回転検出装置(50)は、磁石(30)が固定された磁石付回転体(15)の回転位置に応じて磁石(30)による磁束の強度が変化し得る位置に磁気センサ(41,42)を配置し、磁気センサ(41,42)が有する磁束検出方向(41X,42X)で磁気センサ(41,42)を貫通する磁束の強度に応じて得られる検出信号に基づいて、磁石付回転体(15)の回転数を検出可能な回転検出装置(50)において、磁石(30)は、磁石付回転体(15)のうち回転中心軸(15J)から離れた位置に固定されて円環状軌跡(R1)を描くように回転すると共に、磁石付回転体(15)の回転半径方向(H1)に沿う方向で着磁され、磁気センサ(41,42)は、円環状軌跡(R1)より磁石付回転体(15)の回転中心軸(15J)から離れて配置されると共に、磁気センサ(41,42)と円環状軌跡(R1)とが磁石付回転体(15)の回転半径方向(H1)で重ならないように磁石付回転体(15)の回転中心軸(15J)の軸方向(H2)で互いにずらして配置され、磁束検出方向(41X,42X)が回転中心軸(15J)に沿う方向に向けられたところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の回転検出装置(50)において、磁気センサ(41,42)を隣り合わせに2つ設けて、磁石付回転体(15)の回転に伴う2つの磁気センサ(41,42)の検出信号の周期的変化の位相差に基づき、磁石付回転体(15)の回転方向を検出可能とし、2つの磁気センサ(41,42)の磁束検出方向(41X,42X)に延びた1対の基準線(41L,42L)を、円環状軌跡(R1)に接近するに従って互いに離れるように配置したところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1に記載の回転検出装置(50)において、磁気センサ(41,42)として第1及び第2の磁気センサ(41,42)を共通の回路基板(23)に実装し、磁石付回転体(15)の回転に伴う第1と第2の磁気センサ(41,42)の検出信号の周期的変化の位相差に基づき、磁石付回転体(15)の回転方向を検出可能とし、磁石付回転体(15)の回転中心軸(15J)と回路基板(23)との両方に直交する第1基準軸(J1)に対して第1の磁気センサ(41)より第2の磁気センサ(42)を離すと共に、磁石(30)の着磁方向を磁石付回転体(15)の回転半径方向(H1)に対して傾斜させ、磁石(30)が回路基板(23)側に接近しかつ磁石(30)の着磁方向が第1基準軸(J1)と平行になったときに、磁石付回転体(15)の回転中心軸方向(H2)から見て回路基板(23)と平行な方向における磁石(30)の中心(30C)が、第1の磁気センサ(41)の中心(41C)と第2の磁気センサ(42)の中心(42C)との間に配置されるようにしたところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明に係る釣用リール(10)は、釣糸巻取用のスプール(12)を回転可能に支持する支持体(11,20)の内部に、スプール(12)と連動回転又は一体回転しかつ磁石(30)が固定された磁石付回転体(15)と、磁石付回転体(15)の回転中心軸(15J)と平行に配置された回路基板(23)と、回路基板(23)のうち磁石付回転体(15)の回転に応じて磁石(30)による磁束の強度が変化し得る位置に実装された第1及び第2の磁気センサ(41,42)とを備え、第1及び第2の磁気センサ(41,42)が有する磁束検出方向(41X,42X)でそれら磁気センサ(41,42)を貫通する磁束の強度に応じて得られる検出信号に基づいてスプール(12)による釣糸の巻取量又は引出量を計測可能な釣用リール(10)において、磁石(30)は、磁石付回転体(15)のうち回転中心軸(15J)から離れた位置に固定されて円環状軌跡(R1)を描くように回転すると共に、磁石付回転体(15)の回転半径方向(H1)に沿う方向で着磁され、回路基板(23)は、円環状軌跡(R1)より磁石付回転体(15)の回転中心軸(15J)から離れて配置されると共に、回路基板(23)と円環状軌跡(R1)とが磁石付回転体(15)の回転半径方向(H1)で重ならないように磁石付回転体(15)の回転中心軸(15J)の軸方向(H2)で互いにずらして配置され、第1及び第2の磁気センサ(41,42)は、磁束検出方向(41X,42X)が回転中心軸(15J)に沿う方向に向くように回路基板(23)に実装されたところに特徴を有する。
【0010】
ここで、請求項1及び請求項4の発明における「回転半径方向(H1)に沿う方向」とは、「回転半径方向(H1)と同一の方向」という意味だけでなく、「回転半径方向(H1)に対して45度未満の範囲で傾斜した方向」という意味を含むものである。
【0011】
また、請求項1及び請求項4の発明における「回転中心軸(15J)に沿う方向」とは、「回転中心軸(15J)と同一の方向」という意味だけでなく、「回転中心軸(15J)に対して45度未満の範囲で傾斜した方向」という意味を含むものである。
【0012】
請求項5の発明は、請求項4に記載の釣用リール(10)において、第1及び第2の磁気センサ(41,42)の磁束検出方向(41X,42X)に延びた1対の基準線(41L,42L)を、円環状軌跡(R1)に接近するに従って互いに離れるように配置したところに特徴を有する。
【0013】
請求項6の発明は、請求項4に記載の釣用リール(10)において、磁石付回転体(15)の回転中心軸(15J)と回路基板(23)との両方に直交する第1基準軸(J1)に対して第1の磁気センサ(41)より第2の磁気センサ(42)を離すと共に、磁石(30)の着磁方向を磁石付回転体(15)の回転半径方向(H1)に対して傾斜させ、磁石(30)が回路基板(23)側に接近しかつ磁石(30)の着磁方向が第1基準軸(J1)と平行になったときに、磁石付回転体(15)の回転中心軸方向(H2)から見て回路基板(23)と平行な方向における磁石(30)の中心(30C)が、第1の磁気センサ(41)の中心(41C)と第2の磁気センサ(42)の中心(42C)との間に配置されるようにしたところに特徴を有する。
【0014】
請求項7の発明は、請求項4乃至6の何れか1の請求項に記載の釣用リール(10)において、第1及び第2の磁気センサ(41,42)は、巨大磁気抵抗効果を発生する磁気センサであるところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0015】
[請求項1の発明]
請求項1の発明によれば、磁気センサ(41,42)は、磁石付回転体(15)の回転によって磁石(30)が描く円環状軌跡(R1)より磁石付回転体(15)の回転中心軸(15J)から離れて配置されると共に、磁気センサ(41,42)と円環状軌跡(R1)とが磁石付回転体(15)の回転半径方向(H1)で互いに重ならないように磁石付回転体(15)の回転中心軸(15J)の軸方向(H2)で互いにずらして配置されている。つまり、磁気センサ(41,42)は、磁石付回転体(15)の回転半径方向(H1)の側方位置からずらして配置されている。
【0016】
一方、磁石(30)は、磁石付回転体(15)の回転半径方向(H1)に沿う方向で着磁されているので、磁束が、磁石(30)の着磁方向の一端(N極)から回転半径方向(H1)に沿って放射され、磁石付回転体(15)の側方領域を通って磁石(30)の着磁方向の他端(S極)に帰還する。その磁束の一部が、回転中心軸方向(H2)に沿う方向に磁束検出方向(41X,42X)を向けて配置された磁気センサ(41,42)を貫通すると共に、磁気センサ(41,42)を貫通する磁束のうち、磁束検出方向(41X,42X)で貫通する磁束の強度が磁石付回転体(15)の回転位置に応じて変化する。つまり、磁気センサ(41,42)が検出する磁束強度は、磁石付回転体(15)の回転位置に応じて変化するので、磁束強度に応じて得られる検出信号に基づいて、磁石付回転体(15)の回転数を検出することができる。
【0017】
このように、本発明によれば、磁石付回転体(15)の回転半径方向(H1)の側方位置から磁気センサ(41,42)をずらした配置にして磁石付回転体(15)の回転数を検出することが可能になる。
【0018】
[請求項2の発明]
請求項2の発明によれば、1対の磁気センサ(41,42)の磁束検出方向(41X,42X)を異ならせたことで、それら1対の磁気センサ(41,42)を近づけて配置しても、それらの検出信号を明確に区別可能となるように位相差を保つことができ、コンパクトな構成で磁石付回転体(15)の回転方向を正確に検出することが可能になる。
【0019】
[請求項3の発明]
請求項3の発明によれば、例えば、設計の都合により、第1と第2の磁気センサ(41,42)とのちょうど中央位置に第1基準軸(J1)を配置することが不可能で、第1基準軸(J1)に対して第1の磁気センサ(41)より第2の磁気センサ(42)を離して配置しなければならない場合であっても、第1と第2の磁気センサ(41,42)とで検出される磁束強度の差を抑えることができる。これにより、第1及び第2の磁気センサ(41,42)の検出信号の位相差を明確に判別して、磁石付回転体(15)の回転方向を正確に検出することが可能になる。なお、この効果は[発明を実施するための形態]の中で詳説する。
【0020】
[請求項4及び7の発明]
請求項4の発明によれば、第1と第2の磁気センサ(41,42)が実装された回路基板(23)は、磁石付回転体(15)の回転によって磁石(30)が描く円環状軌跡(R1)より磁石付回転体(15)の回転中心軸(15J)から離れて配置されると共に、回路基板(23)と円環状軌跡(R1)とが磁石付回転体(15)の回転半径方向(H1)で互いに重ならないように、磁石付回転体(15)の回転中心軸(15J)の軸方向(H2)で互いにずらして配置されている。つまり、磁気センサ(41,42)は、磁石付回転体(15)の回転半径方向(H1)の側方位置からずらして配置されている。
【0021】
一方、磁石(30)は、磁石付回転体(15)の回転半径方向(H1)に沿う方向で着磁されてるので、磁束が、磁石(30)の着磁方向の一端(N極)から回転半径方向(H1)に沿って放射され、磁石付回転体(15)の側方領域を通って磁石(30)の着磁方向の他端(S極)に帰還する。その磁束の一部が、回転中心軸方向(H2)に沿う方向に磁束検出方向(41X,42X)を向けて配置された第1及び第2の磁気センサ(41,42)を貫通すると共に、これら磁気センサ(41,42)を貫通する磁束のうち、磁束検出方向(41X,42X)で貫通する磁束の強度が磁石付回転体(15)の回転位置に応じて変化する。つまり、第1及び第2の磁気センサ(41,42)が検出する磁束強度が、磁石付回転体(15)の回転位置に応じて変化するので、その磁束強度に応じて得られる検出信号に基づいて、磁石付回転体(15)の回転数を検出することができる。また、2つの磁気センサ(41,42)の検出信号の周期的変化の位相差に基づき、磁石付回転体(15)の回転方向を検出することができる。
【0022】
つまり、磁石付回転体(15)の回転半径方向(H1)の側方位置から第1と第2の磁気センサ(41,42)をずらした配置にして磁石付回転体(15)の回転数及び回転方向を検出することが可能となる。そして、磁石付回転体(15)の回転半径方向(H1)の側方位置から磁気センサ(41,42)をずらした配置にして、スプール(12)の回転数及び回転方向を検出する釣用リール(10)を設計することが可能になる。
【0023】
ここで、第1及び第2の磁気センサ(41,42)は、磁束検出方向(41X,42X)を有するものであればよく、例えば、ホール素子でもよいし、巨大磁気抵抗効果素子でもよい(請求項7の発明)。
【0024】
[請求項5の発明]
請求項5の発明によれば、第1と第2の磁気センサ(41,42)の磁束検出方向(41X,42X)を異ならせたことで、それら第1と第2の磁気センサ(41,42)を近づけて配置しても、それらの検出信号を明確に区別可能となるように位相差を保つことができ、コンパクトな構成で磁石付回転体(15)の回転方向を正確に検出することが可能になる。
【0025】
[請求項6の発明]
請求項6の発明によれば、例えば、設計の都合により、第1と第2の磁気センサ(41,42)のちょうど中央位置に第1基準軸(J1)を配置することが不可能で、第1基準軸(J1)に対して第1の磁気センサ(41)より第2の磁気センサ(42)を離して配置しなければならない場合であっても、第1と第2の磁気センサ(41,42)とで検出される磁束強度の差を抑えることができる。これにより、第1及び第2の磁気センサ(41,42)の検出信号の位相差を明確に判別して、磁石付回転体(15)の回転方向を正確に検出することが可能になる。なお、この効果は[発明を実施するための形態]の中で詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態に係る釣用リールの平面図
【図2】釣用リールの右側面図
【図3】回転検出装置の側面図
【図4】(A)回転検出装置を回路基板と直交する方向から見たときの平面図、(B)同じく、回路基板と平行かつピニオンの回転中心軸と直交した方向から見たときの正面図、(C)同じく、ピニオンの回転中心軸方向から見たときの側面図
【図5】磁束が磁気センサを貫通した状態を示す概念図
【図6】(A)磁気センサの検出信号の周期的変化を示すグラフ、(B)その検出信号を二値化したグラフ
【図7】磁気センサとしてのGMR素子の断面図
【図8】(A)第2実施形態に係る回転検出装置を回路基板と直交する方向から見たときの平面図、(B)同じく、回路基板と平行かつピニオンの回転中心軸と直交した方向から見たときの正面図、(C)同じく、ピニオンの回転中心軸方向から見たときの側面図
【図9】(A)第3実施形態に係る回転検出装置を回路基板と直交する方向から見たときの平面図、(B)同じく、回路基板と平行かつピニオンの回転中心軸と直交した方向から見たときの正面図、(C)同じく、ピニオンの回転中心軸方向から見たときの側面図
【図10】変形例に係る回転検出装置の概念図
【発明を実施するための形態】
【0027】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図1〜図7に基づいて説明する。図1には、本発明の釣用リール10の全体が示されている。釣用リール10は、図示しない釣り竿に取り付け可能なボディ11と、そのボディ11に回転可能に支持されたスプール12とを備えている。スプール12は、その回転軸12Jの両端がボディ11の左右の両側壁に支持されている。ボディ11の一方の側面(本実施形態では右側面)には、巻き取りハンドル13が備えられている。巻き取りハンドル13の回転軸13Jは、スプール12の回転軸12Jよりも前方に配置されている。巻き取りハンドル13の回転軸13Jには第1ギヤ13Gが固定されており、スプール12の回転軸12Jには第2ギヤ12Gが固定されている。これら第1ギヤ13Gと第2ギヤ12Gは、ボディ11の右側壁(以下、ギヤボックス14という)の内部でギヤ連結している(図2参照)。
【0028】
ギヤボックス14には、スプール12の回転を検出するための回転検出用歯車(以下、「ピニオン15」という)が回転可能に支持されている。ピニオン15の回転中心軸15Jは、スプール12の回転軸12Jより後方に配置されており、ピニオン15と第2ギヤ12Gとがギヤ連結している(図2参照)。第2ギヤ12Gとピニオン15とのギヤ比は、例えば、2:1となっている。即ち、スプール12が1回転するとピニオン15が2回転する。そして、ピニオン15には、1対の磁石30,30が固定されており、これら1対の磁石30,30と、後述する1対の磁気センサ41,42とによって、本発明の回転検出装置50が構成されている(図3参照)。なお、ピニオン15は、本発明の「磁石付回転体」に相当する。
【0029】
図1に示すように、ボディ11の前端寄り位置には、スプールモータ16が備えられている。そのスプールモータ16の出力軸16Jに固定された出力ギヤ16Gが、ギヤボックス14内で第1ギヤ13Gとギヤ連結している(図2参照)。これにより、巻き取りハンドル13の回転操作又は、スプールモータ16の動力によって、釣糸をスプール12に巻き取ることが可能となっている。なお、図示しないが、第1ギヤ13Gと第2ギヤ12Gの間及び、第1ギヤ13Gと出力ギヤ16Gとの間には、それらのギヤ連結を結合及び解除することが可能なクラッチ機構が備えられている。
【0030】
図1に示すように、ボディ11のうちスプール12の上方部分には制御ボックス20が備えられている。制御ボックス20の上面には、表示窓21及び操作ボタン22,22が備えられている。制御ボックス20の内部には、液晶表示器(図示せず)が収容されており、表示窓21を通して液晶表示器を視認可能となっている。また、操作ボタン22,22の操作により、液晶表示器の表示内容を切り替え可能となっている。
【0031】
図2に示すように、制御ボックス20の内部には回路基板23が収容されている。回路基板23は、スプール12の回転軸12J及びピニオン15の回転中心軸15Jと平行に配置されている。回路基板23には1対の磁気センサ41,42が実装されている。これら1対の磁気センサ41,42の検出信号は、回路基板23に実装されたマイクロコンピュータ(図示せず)によって演算処理される。そして、その処理結果として、スプール12への釣糸の巻取量やスプール12からの引出量等が液晶表示器に表示される。なお、ボディ11と制御ボックス20とで本発明に係る「支持体」が構成されている。
【0032】
以上が、釣用リール10の概要説明である。次に、釣用リール10に備えた回転検出装置50について詳説する。ピニオン15に固定された1対の磁石30,30は、ピニオン15のうち、回転中心軸15Jからそれぞれ等距離だけ離れかつ、ピニオン15の回転方向で互いに180度離れた位置に固定されており、ピニオン15の回転に伴い、同一の円環状軌跡R1を描いて回転する(図4(C)参照)。また、各磁石30,30は、ピニオン15の回転半径方向H1に沿う方向(正確には、回転半径方向H1と同一の方向)で着磁されている。本実施形態の磁石30,30は、例えば、円柱形をなしており、その円柱の軸方向に着磁されている。即ち、円柱形をなした磁石30,30の軸方向(着磁方向)はピニオン15の半径方向に向けられ、N極がピニオン15の半径方向外側に向けられると共に、S極がピニオン15の回転中心側に向けられている。また、磁石30,30は、ピニオン15に埋め込まれた状態で固定されており、径方向の一部がピニオン15の一方の端面(回路基板23側の端面)から露出している(図4(A)及び同図(B)参照)。
【0033】
1対の磁気センサ41,42は、回路基板23のうち、ピニオン15に最も近接した角部の下面に実装されている。詳細には、ピニオン15の回転位置に応じて磁石30,30による磁束の強度が変化し得る位置に実装されており、磁束の強度に応じた検出信号を出力する。また、磁気センサ41,42は、特定の磁束検出方向41X,42Xを有している(特定の方向の磁束のみを検出する又は、特定の方向の磁束を高感度で検出する)。
【0034】
本実施形態の磁気センサ41,42は、巨大磁気抵抗効果(GMR)素子である。図7に示すように、GMR素子は、下から反強磁性層43、固定磁性層(Pin層)44、非磁性層45、フリー磁性層46及び保護層47の順で積層された構造となっている。例えば、反強磁性層43は、IrMn、固定磁性層44はCoFe,非磁性層45はCu、フリー磁性層46はNiFe,保護層47はTaで構成されている。なお、図7に示した積層構造や各層の材質は一例である。
【0035】
GMR素子は、少なくとも固定磁性層44とフリー磁性層46が非磁性層45を介して積層された積層部分を備えている。反強磁性層43と固定磁性層44との間には、交換結合磁界(Hex)が生じて固定磁性層44の磁化の方向(向き)が一方に固定されている。磁気センサ41,42としてGMR素子を用いた本実施形態において、磁束検出方向41X,42Xとは、固定磁性層44の磁化の向き(図7の矢印で示す向き)と平行な方向のことである。そして、磁気センサ41,42は、固定磁性層44の磁化の向きが、図4(A)の太線矢印で示すように、円環状軌跡R1側を向くように配置されている。
【0036】
一方、フリー磁性層46の磁化の方向(向き)は固定されておらず、外部磁界によって変動する。そして、フリー磁性層46の磁化方向が固定磁性層44の磁化方向と一致するとき(同じ向きのとき)に磁気抵抗が最も小さくなり、図7に示すように、フリー磁性層46の磁化方向が固定磁性層44の磁化方向と180度反対(逆向き)のときに磁気抵抗が最も大きくなる。
【0037】
なお、磁石30,30のS極をピニオン15の半径方向外側に向け、N極をピニオン15の回転中心側に向けて配置した場合には、固定磁性層44の磁化の向きが、円環状軌跡R1から離れる方向(図4(A)に示す太線矢印と逆向き)になるように磁気センサ41,42を配置すればよい。
【0038】
なお、磁気センサ41,42はGMR素子以外に、非磁性層45をAL,MgO等の絶縁材料で形成したトンネル型磁気抵抗効果(TMR)素子を用いてもよい。
【0039】
さて、本実施形態の釣用リール10では、後述するような設計の都合により、制御ボックス20の側壁の一部をピニオン15の真上に配置せざるを得ないため(図4(B)参照)、従来のように、ピニオン15の回転半径方向H1の側方位置に磁気センサ及び回路基板を配置することが不可能となっている。そのため、本実施形態では、磁気センサ41,42及び回路基板23がピニオン15に対して以下のような配置となっている。
【0040】
即ち、1対の磁気センサ41,42及びこれらを備えた回路基板23は、磁石30,30の円環状軌跡R1よりピニオン15の回転中心軸15Jから離れて配置される(図4(C)参照)と共に、回路基板23(1対の磁気センサ41,42)と円環状軌跡R1とがピニオン15の回転半径方向H1で互いに重ならないように、ピニオン15の回転中心軸方向H2で互いにずらして配置されている。また、図4(A)に示すように、回転検出装置50を回路基板23と直交した方向から見たときに、1対の磁気センサ41,42は、回転中心軸15Jに対して直角な方向で隣り合わせにして設けられている。
【0041】
そして、1対の磁気センサ41,42は、それらが有する磁束検出方向41X,42Xを、ピニオン15の回転中心軸15Jの軸方向H2に沿う方向に向けて配置されている。詳細には、図4(A)に示すように、1対の磁気センサ41,42の磁束検出方向41X,42Xに延びた1対の基準線41L,42Lが、円環状軌跡R1に接近するに従って互いに離れるように配置されている。より具体的には、1対の磁気センサ41,42の中央をピニオン15の回転中心軸15Jと平行に延びた中央線L1に対して、1対の基準線41L,42Lがそれぞれ45度未満の同一角度(例えば、20度)だけ傾いた状態で配置されている。なお、図4(A)に示すように、本実施形態の磁気センサ41,42は平面視長方形であり、その長方形の長手方向が磁束検出方向41X,42Xとなっている。
【0042】
本実施形態の構成は以上であって、以下作用を説明する。スプールモータ16をオン又は巻き取りハンドル13を回転操作するとスプール12が回転し、スプール12の外側に釣糸が巻き取られる。また、スプール12の回転に連動してピニオン15が回転する。ピニオン15が回転すると、磁石30,30が1対の磁気センサ41,42に対して周期的に接離する。従って、これら磁気センサ41,42を、それらが有する磁束検出方向41X,42Xで貫通する磁束の強度が、ピニオン15の回転位置に応じて変化する。
【0043】
詳細には、図5に示すように、ピニオン15に固定された磁石30,30は、ピニオン15の回転半径方向H1と同一の方向で着磁されているので、磁束は、磁石30,30の着磁方向の一端(N極)から回転半径方向H1に沿って放射され、ピニオン15の側方領域を通って磁石30,30の着磁方向の他端(S極)に帰還する。その磁束の一部が、1対の磁気センサ41,42を貫通すると共に、磁気センサ41,42を貫通する磁束のうち、磁束検出方向41X,42Xで貫通する磁束の強度が、ピニオン15の回転位置に応じて変化する。
【0044】
1対の磁気センサ41,42は、それらの磁束検出方向41X,42Xで貫通した磁束の強度に応じた検出信号を出力する。各磁気センサ41,42の検出信号は、ピニオン15の回転に伴って、図6(A)に示す信号波形W1,W2のように周期的に変化する。詳細には、1周期が180度(1回転当たり2周期)の信号波形となる。また、図4(A)に示すように、1対の磁気センサ41,42を隣り合わせにして配置したので、磁気センサ41から出力される信号波形W1と、磁気センサ42から出力される信号波形W2との間には、図6(A)に示すように明確な位相差が生じる。
【0045】
磁気センサ41,42から出力された検出信号はマイクロコンピュータ(図示せず)に取り込まれ、マイクロコンピュータは、上記した2つの信号波形W1,W2(図6(A)参照)を、予め定めた閾値に基づいて二値化する(図6(B)参照)。信号波形W1,W2を二値化することで、ピニオン15の1回転(360度)が4つの角度領域に分割され、どの角度領域に位置するかを判別することで、ピニオン15(スプール12)の回転数及び回転方向が検出される。さらに、スプール12の回転数及び回転方向に基づいて釣糸の巻取量又は引出量が演算され、液晶表示部に表示される。
【0046】
このように、本実施形態によれば、1対の磁気センサ41,42を備えた回路基板23が、ピニオン15の回転によって磁石30,30が描く円環状軌跡R1よりピニオン15の回転中心軸15Jから離れて配置されていると共に、回路基板23と円環状軌跡R1とがピニオン15の回転半径方向H1で互いに重ならないようにピニオン15の回転中心軸方向H2で互いにずらして配置されている。つまり、図4(A)及び同図(B)に示すように、1対の磁気センサ41,42は、ピニオン15の回転半径方向H1の側方位置からずらして配置されている。
【0047】
そして、ピニオン15の回転に伴って磁石30,30が1対の磁気センサ41,42に接離し、磁気センサ41,42を貫通する磁束のうち、磁束検出方向41X,42Xで貫通する磁束の強度がピニオン15の回転位置に応じて変化する。つまり、磁気センサ41,42が検出する磁束強度が、ピニオン15の回転位置に応じて変化するので、その磁束強度に応じて得られる検出信号に基づいて、ピニオン15の回転数及び回転方向を検出することができる。
【0048】
つまり、本実施形態の回転検出装置50は、ピニオン15の回転半径方向H1の側方位置から磁気センサ41,42をずらした配置にして、ピニオン15の回転数を検出することができる。従って、本実施形態の釣用リール10のように、例えば、把持性を高める為のロープロファイル化(ボディ11の下面から制御ボックス20の上面までの高さを小さくすること)や、制御ボックス20の幅をボディ11の左右側壁幅に対して大きくなり過ぎないようコンパクト化を図る等の設計の都合により、ピニオン15の回転半径方向H1の側方位置に、制御ボックス20の側壁を設けざるを得ないような場合(図4(B)参照)であっても、ピニオン15、延いては、スプール12の回転数及び回転方向を検出することができ、ロープロファイル化や制御ボックス20の幅のコンパクト化を図りつつ、スプール12による釣糸の巻取量又は引出量を計測することが可能になる。
【0049】
また、1対の磁気センサ41,42を磁束検出方向41X,42Xを同一方向にしたまま近づけて配置すると、周期的に変化する検出信号の位相差が縮小して回転方向を検出する上で不利になるが、本実施形態では、1対の磁気センサ41,42の磁束検出方向41X,42Xを異ならせた(磁束検出方向41X,42Xに延びた1対の基準線41L,42Lが、円環状軌跡R1に接近するに従って互いに離れるようにした)ので、それら1対の磁気センサ41,42を近づけて配置しても、1対の磁気センサ41,42の検出信号を明確に区別可能となるように位相差を保つことができ、コンパクトな構成でピニオン15の回転方向を正確に検出することが可能になる。
【0050】
[第2実施形態]
この第2実施形態は、ピニオン15における磁石30,30の配置及び回路基板23における1対の磁気センサ41,42の配置が上記第1実施形態とは異なる。以下、第1実施形態と相違する構成に関してのみ説明し、第1実施形態と同一の構成に関しては同一符号を付して重複した説明は省略する。
【0051】
図8(A)に示すように、1対の磁気センサ41,42は、その磁束検出方向41X,42X(太線矢印で示したGMR素子における固定磁性層44の磁化の向き)がピニオン15の回転中心軸15Jと平行になるように配置されている。また、図8(C)に示すように、1対の磁石30,30は、磁極の着磁方向を、ピニオン15の回転半径方向H1(1対の磁石30,30と回転中心軸15Jとを通る直線)に対して45度未満の同一角度(例えば、約20度)だけ傾斜させた状態で固定されている。
【0052】
また、図8(C)に示すように、ピニオン15の回転中心軸15Jと回路基板23との両方に直交する第1基準軸J1に対して、第1の磁気センサ41より第2の磁気センサ42の方が離して配置されている。また、同図に示すように、一方の磁石30が回路基板23に接近しかつ、その一方の磁石30の着磁方向が第1基準軸J1と平行になったときに、ピニオン15の回転中心軸方向H2から見て、回路基板23と平行な方向における一方の磁石30の中心30Cが、第1の磁気センサ41の中心41Cと、第2の磁気センサ42の中心42Cとの間に配置されるようになっている。
【0053】
本実施形態によれば、上記第1実施形態と同等の効果を奏すると共に、第1の磁気センサ41の検出信号と第2の磁気センサ42の検出信号との位相差を明確に判別して、ピニオン15の回転方向を正確に検出することが可能になる。
【0054】
詳細には、第1の磁気センサ41と第2の磁気センサ42は、共通の回路基板23に実装されており、第2の磁気センサ42の方が、第1の磁気センサ41より円環状軌跡R1から離れた配置となる(図8(C)参照)ので、この点においては、第1の磁気センサ41を貫通する磁束強度の方が、第2の磁気センサ42を貫通する磁束強度より大きくなる。
【0055】
しかしながら、回路基板23に接近した磁石30の着磁方向が第1基準軸J1と平行になったときに(図8(C)に示す状態)、その磁石30の中心30Cが、第1の磁気センサ41の中心41Cと第2の磁気センサ42の中心42Cとの間に配置されるので、この点では、第1の磁気センサ41を貫通する磁束強度と第2の磁気センサ42を貫通する磁束強度とを同程度にすることができるから、第1と第2の磁気センサ41,42により検出される磁束強度の差を抑えることができる。これにより、例えば、釣用リール10のサミング性の向上のためにスプール12の上方空間を広げる必要があり制御ボックス20の位置を後方に配置できない場合や、制御ボックス20の後方に操作部材を設ける場合、或いは、前後方向に制御ボックス20のコンパクト化を図る場合等の設計の都合により、第1の磁気センサ41と第2の磁気センサ42のちょうど中央位置に第1基準軸J1を配置することが不可能で、第1基準軸J1に対して第1の磁気センサ41より第2の磁気センサ42を離して配置しなければならない場合であっても、第1及び第2の磁気センサ41,42の検出信号の位相差を明確に判別することができ、釣用リール10におけるサミング性の向上や、制御ボックス20の後方への操作部材の配置や、制御ボックス20の前後方向のコンパクト化等を図りながら、ピニオン15(スプール12)の回転方向を正確に検出することが可能になる。
【0056】
[第3実施形態]
上記第1実施形態と上記第2実施形態とでは、磁気センサ41,42における磁束検出方向41X,42Xの向き及び、ピニオン15における磁石30,30の配置が異なっていたが、図9に示すように、磁気センサ41,42の磁束検出方向41X,42X(太線矢印で示す向き)に関しては上記第1実施形態と同一の構成としかつ、ピニオン15における1対の磁石30,30の配置に関しては上記第2実施形態と同一の構成とした回転検出装置10でもよい。
【0057】
即ち、図9(A)に示すように、1対の磁気センサ41,42は、それらの磁束検出方向41X,42Xに延びた1対の基準線41L,42Lが、円環状軌跡R1に接近するに従って互いに離れるように中央線L1に対して傾けて配置されている。
【0058】
また、図9(C)に示すように、ピニオン15の回転中心軸15Jと回路基板23との両方に直交する第1基準軸J1に対して、第1の磁気センサ41より第2の磁気センサ42の方が離して配置されており、一方の磁石30が回路基板23に接近しかつ、その一方の磁石30の着磁方向が第1基準軸J1と平行になったときに、ピニオン15の回転中心軸方向H2から見て、回路基板23と平行な方向における一方の磁石30の中心30Cが、第1の磁気センサ41の中心41Cと、第2の磁気センサ42の中心42Cとの間に配置されるようになっている。その他の構成は、上記第1実施形態と同一である。
【0059】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0060】
(1)上記実施形態では、磁石30,30の着磁方向をピニオン15の回転半径方向H1に沿う方向としていたが、図10に示すように、磁石30の着磁方向をピニオン15の回転中心軸15Jの軸方向H2に沿う方向としかつ、磁気センサ41(42)の磁束検出方向41X(42X)を、ピニオン15の回転半径方向H1に沿う方向に向けて配置した構成としても、ピニオン15の回転数を検出することが可能である。このような回転検出装置50を概念的に纏めると以下のようになる。
【0061】
磁石が固定された磁石付回転体の回転位置に応じて前記磁石による磁束の強度が変化し得る位置に磁気センサを配置し、前記磁気センサが有する磁束検出方向で前記磁気センサを貫通する磁束の強度に応じて得られる検出信号に基づいて、前記磁石付回転体の回転数を検出可能な回転検出装置において、前記磁石は、前記磁石付回転体のうち回転中心軸から離れた位置に固定されて円環状軌跡を描くように回転すると共に、前記磁石付回転体の回転中心軸の軸方向に沿った方向で着磁され、前記磁気センサは、前記円環状軌跡より前記磁石付回転体の回転中心軸から離れかつその回転中心軸の軸方向で前記円環状軌跡からずれた位置に固定されると共に、前記磁束検出方向が前記磁石付回転体の回転半径方向に沿った方向に向けられたことを特徴とする回転検出装置。
【0062】
(2)上記実施形態では、磁気センサが2つ備えられていたが、回転方向を検出する必要がない場合は、磁気センサは1つでもよい。また、磁石30の数は2つに限定するものではなく、1つ或いは3つ以上設けてもよい。
【0063】
(3)上記実施形態では、スプール12と連動回転するピニオン15の回転数を検出していたが、例えば、スプール12と一体回転する第2ギヤ12Gに磁石30を固定して本発明の「磁石付回転体」とし、この第2ギヤ12Gの回転数を検出するようにしてもよい。
【0064】
(4)上記実施形態では、第1基準軸J1に対して第1の磁気センサ41より第2の磁気センサ42の方が離して配置されていたが、ピニオン15の回転中心軸方向H2から見て、ピニオン15の回転中心軸15Jが、回路基板23と平行な方向において第1の磁気センサ41の中心41Cと第2の磁気センサ42の中心42Cとのちょうど中間位置に配置されるようにしてもよい。
【0065】
(5)本発明の回転検出装置50は釣用リール10だけでなく、回転数の検出を必要とする他の製品に搭載してもよい。
【符号の説明】
【0066】
10 釣用リール
11 ボディ
12 スプール
15 ピニオン(磁石付回転体)
15J 回転中心軸
23 回路基板
30 磁石
30C 磁石の中心
41 第1の磁気センサ
41C 第1の磁気センサの中心
41L,42L 1対の基準線
41X,42X 磁束検出方向
42 第2の磁気センサ
42C 第2の磁気センサの中心
50 回転検出装置
H1 回転半径方向
H2 回転中心軸の軸方向
J1 第1基準軸
R1 円環状軌跡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石(30)が固定された磁石付回転体(15)の回転位置に応じて前記磁石(30)による磁束の強度が変化し得る位置に磁気センサ(41,42)を配置し、前記磁気センサ(41,42)が有する磁束検出方向(41X,42X)で前記磁気センサ(41,42)を貫通する磁束の強度に応じて得られる検出信号に基づいて、前記磁石付回転体(15)の回転数を検出可能な回転検出装置(50)において、
前記磁石(30)は、前記磁石付回転体(15)のうち回転中心軸(15J)から離れた位置に固定されて円環状軌跡(R1)を描くように回転すると共に、前記磁石付回転体(15)の回転半径方向(H1)に沿う方向で着磁され、
前記磁気センサ(41,42)は、前記円環状軌跡(R1)より前記磁石付回転体(15)の回転中心軸(15J)から離れて配置されると共に、
前記磁気センサ(41,42)と前記円環状軌跡(R1)とが前記磁石付回転体(15)の回転半径方向(H1)で重ならないように前記磁石付回転体(15)の回転中心軸(15J)の軸方向(H2)で互いにずらして配置され、
前記磁束検出方向(41X,42X)が前記回転中心軸(15J)に沿う方向に向けられたことを特徴とする回転検出装置(50)。
【請求項2】
前記磁気センサ(41,42)を隣り合わせに2つ設けて、前記磁石付回転体(15)の回転に伴う前記2つの磁気センサ(41,42)の検出信号の周期的変化の位相差に基づき、前記磁石付回転体(15)の回転方向を検出可能とし、
前記2つの磁気センサ(41,42)の前記磁束検出方向(41X,42X)に延びた1対の基準線(41L,42L)を、前記円環状軌跡(R1)に接近するに従って互いに離れるように配置したことを特徴とする請求項1に記載の回転検出装置(50)。
【請求項3】
前記磁気センサ(41,42)として第1及び第2の磁気センサ(41,42)を共通の回路基板(23)に実装し、前記磁石付回転体(15)の回転に伴う前記第1と第2の磁気センサ(41,42)の検出信号の周期的変化の位相差に基づき、前記磁石付回転体(15)の回転方向を検出可能とし、
前記磁石付回転体(15)の回転中心軸(15J)と前記回路基板(23)との両方に直交する第1基準軸(J1)に対して前記第1の磁気センサ(41)より前記第2の磁気センサ(42)を離すと共に、前記磁石(30)の着磁方向を前記磁石付回転体(15)の回転半径方向(H1)に対して傾斜させ、
前記磁石(30)が前記回路基板(23)側に接近しかつ前記磁石(30)の着磁方向が前記第1基準軸(J1)と平行になったときに、前記磁石付回転体(15)の回転中心軸方向(H2)から見て前記回路基板(23)と平行な方向における前記磁石(30)の中心(30C)が、前記第1の磁気センサ(41)の中心(41C)と前記第2の磁気センサ(42)の中心(42C)との間に配置されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の回転検出装置(50)。
【請求項4】
釣糸巻取用のスプール(12)を回転可能に支持する支持体(11,20)の内部に、前記スプール(12)と連動回転又は一体回転しかつ磁石(30)が固定された磁石付回転体(15)と、前記磁石付回転体(15)の回転中心軸(15J)と平行に配置された回路基板(23)と、前記回路基板(23)のうち前記磁石付回転体(15)の回転に応じて前記磁石(30)による磁束の強度が変化し得る位置に実装された第1及び第2の磁気センサ(41,42)とを備え、前記第1及び第2の磁気センサ(41,42)が有する磁束検出方向(41X,42X)でそれら磁気センサ(41,42)を貫通する磁束の強度に応じて得られる検出信号に基づいて前記スプール(12)による釣糸の巻取量又は引出量を計測可能な釣用リール(10)において、
前記磁石(30)は、前記磁石付回転体(15)のうち回転中心軸(15J)から離れた位置に固定されて円環状軌跡(R1)を描くように回転すると共に、前記磁石付回転体(15)の回転半径方向(H1)に沿う方向で着磁され、
前記回路基板(23)は、前記円環状軌跡(R1)より前記磁石付回転体(15)の回転中心軸(15J)から離れて配置されると共に、
前記回路基板(23)と前記円環状軌跡(R1)とが前記磁石付回転体(15)の回転半径方向(H1)で重ならないように前記磁石付回転体(15)の回転中心軸(15J)の軸方向(H2)で互いにずらして配置され、
前記第1及び第2の磁気センサ(41,42)は、前記磁束検出方向(41X,42X)が前記回転中心軸(15J)に沿う方向に向くように前記回路基板(23)に実装されたことを特徴とする釣用リール(10)。
【請求項5】
前記第1及び第2の磁気センサ(41,42)の前記磁束検出方向(41X,42X)に延びた1対の基準線(41L,42L)を、前記円環状軌跡(R1)に接近するに従って互いに離れるように配置したことを特徴とする請求項4に記載の釣用リール(10)。
【請求項6】
前記磁石付回転体(15)の回転中心軸(15J)と前記回路基板(23)との両方に直交する第1基準軸(J1)に対して前記第1の磁気センサ(41)より前記第2の磁気センサ(42)を離すと共に、前記磁石(30)の着磁方向を前記磁石付回転体(15)の回転半径方向(H1)に対して傾斜させ、
前記磁石(30)が前記回路基板(23)側に接近しかつ前記磁石(30)の着磁方向が前記第1基準軸(J1)と平行になったときに、前記磁石付回転体(15)の回転中心軸方向(H2)から見て前記回路基板(23)と平行な方向における前記磁石(30)の中心(30C)が、前記第1の磁気センサ(41)の中心(41C)と前記第2の磁気センサ(42)の中心(42C)との間に配置されるようにしたことを特徴とする請求項4に記載の釣用リール(10)。
【請求項7】
前記第1及び第2の磁気センサ(41,42)は、巨大磁気抵抗効果素子であることを特徴とする請求項4乃至6の何れか1の請求項に記載の釣用リール(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−42694(P2013−42694A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182182(P2011−182182)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000204033)太平洋工業株式会社 (143)
【出願人】(000002495)グローブライド株式会社 (1,394)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】