説明

回転清掃体、電気掃除機用吸込具、電気掃除機及び空気調和機

【課題】水洗い時の水切り性に優れ、短時間で乾燥できる使用勝手の良い回転清掃体を提供する。
【解決手段】略棒状の回転部材2と、前記回転部材2の外周に設けられると共にカットパイル4bからなる清掃部材4を備え、少なくとも前記カットパイル4bに撥水加工を施したもので、カットパイル4bに撥水加工を施しているので、カットパイル4bが汚れ難く、また、万一カットパイル4bが汚れても、それを水洗いした時に、撥水加工により水切り性が良いので、回転清掃体1の水洗い、メンテナンスが容易になると共に、乾燥時間が短縮されるので、使用勝手の良い回転清掃体1を提供することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面を清掃する電気掃除機用吸込具や、空気調和機などに内蔵されたエアーフイルターを清掃する清掃装置などに用いられる回転清掃体、それを用いた電気掃除機用吸込具、電気掃除機及び空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、略棒状の回転部材の外周面にカットパイルからなる清掃部材を固着して形成された回転清掃体が、電気掃除機用吸込具や、空気調和機などに内蔵されたエアーフイルターを清掃する清掃装置などに広く用いられている(例えば、特許文献1、2参照)。
これらの回転清掃体は、長い間使用していると、次第に汚れてくるので、一般に、電気掃除機用吸込具、空気調和機などの機器に着脱自在に取り付けられ、取り外して、容易に水洗いできるようになっている。
【特許文献1】特開平5−192271号公報
【特許文献2】特開2007−38215号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1、2に記載されたような従来の回転清掃体では、水洗いしたときに、水が、多数のカットパイル毛の間に残り、水切り性が悪く、乾燥に時間がかかり、そのため、電気掃除機用吸込具や、空気調和機などの機器が長時間使用できなくなるという課題があった。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、清掃部材としてカットパイルを用いながら、水洗い時の水切り性に優れ、短時間で乾燥できる使用勝手の良い回転清掃体及び、使用勝手が良く衛生的な電気掃除機用吸込具と空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の回転清掃体は、略棒状の回転部材と、前記回転部材の外周に設けられると共にカットパイルからなる清掃部材を備え、少なくとも前記カットパイルに撥水加工を施したもので、カットパイルに撥水加工を施しているので、カットパイルが汚れ難く、また、万一カットパイルが汚れても、それを水洗いした時に、撥水加工により水切り性が良いので、回転清掃体の水洗い、メンテナンスが容易になると共に、乾燥時間が短縮されるので、使用勝手の良い回転清掃体を提供することが出来る。
【0006】
また、本発明の電気掃除機用吸込具は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の回転清掃体を電気掃除機用吸込具に備えたもので、回転清掃体が汚れ難くまた、洗い易く、乾燥が速いのでメンテナンスが容易でしかも衛生的な電気掃除機用吸込具を提供できる。
【0007】
また、本発明の電気掃除機は、電動送風機を内蔵した掃除機本体と、請求項5に記載の電気掃除機用吸込具とを備えたもので、電気掃除機用吸込具の回転清掃体が汚れ難くまた、洗い易く、乾燥が速いのでメンテナンスが容易でしかも衛生的な電気掃除機を提供できる。
【0008】
さらに、本発明の空気調和機は、本体内に流入する空気中の塵埃を捕獲するエアーフイルターと、請求項1〜4のいずれか1項に記載の回転清掃体を備え、前記回転清掃体で、前記エアーフイルターに付着した塵埃を除去するもので、回転清掃体が汚れ難くまた、洗い易いのでメンテナンスが容易でしかも衛生的な空気調和機を提供できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の回転清掃体は、水切り性が良いので、水洗い、メンテナンスが容易になると共に、乾燥時間が短縮されるので、非常に使用勝手が良い。さらに、この回転清掃体を用いることで、メンテナンスが容易でしかも衛生的な電気掃除機用吸込具、電気掃除機及び空気調和機を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
第1の発明は、略棒状の回転部材と、前記回転部材の外周に設けられると共にカットパイルからなる清掃部材を備え、少なくとも前記カットパイルに撥水加工を施したもので、カットパイルに撥水加工を施しているので、カットパイルが汚れ難く、また、万一カットパイルが汚れても、それを水洗いした時に、撥水加工により水切り性が良いので、回転清掃体の水洗い、メンテナンスが容易になると共に、乾燥時間が短縮されるので、使用勝手の良い回転清掃体を提供することが出来る。
【0011】
第2の発明は、特に、第1の発明の略帯状の清掃部材を回転部材の外周に螺旋状に巻き付けたもので、回転清掃体の製造が容易になると共に、回転清掃体を水洗いしたときに、水が、清掃部材の螺旋状の合わせ目を伝って流れので、水切り性が良く、乾燥時間が一層短縮される。
【0012】
第3の発明は、特に、第1又は、第2の発明の清掃部材のカットパイル毛を一方向に傾斜させたもので、カットパイル毛が傾斜しているので、清掃部材内に水が入り難く、また、カットパイルの表面に付着した水滴もカットパイル毛の傾斜した方向に容易に伝い流れるので、水切り性が更に向上し、回転清掃体のメンテナンスが一層容易になる。
【0013】
第4の発明は、第3の発明の清掃部材を、基材と、前記基材に植毛された複数の繊維束からなるカットパイルで構成し、前記基材の前記繊維束間を連続して露出させると共に、その露出方向とカットパイル毛の傾斜方向とを平行にしたもので、回転清掃体を水洗いしたときに、基材の繊維束間が連続して露出した部分が水路を形成し、隣り合う繊維束間に水が溜まることが無く、容易に水が流れ出るので、水切り性が向上し、乾燥時間が一層短縮される。また、カットパイル毛の傾斜方向と露出する表面の露出方向が平行になっているので、水きり性が一層向上するものである。
【0014】
第5の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の回転清掃体を電気掃除機用吸込具に備えたもので、回転清掃体が汚れ難くまた、洗い易く、乾燥が速いのでメンテナンスが容易でしかも衛生的な電気掃除機用吸込具を提供できる。
【0015】
第6の発明は、電動送風機を内蔵した掃除機本体と、請求項5に記載の電気掃除機用吸込具とを備えたもので、電気掃除機用吸込具の回転清掃体が汚れ難く、また洗い易く、乾燥が速いのでメンテナンスが容易でしかも衛生的な電気掃除機を提供できる。
【0016】
第7の発明は、本体内に流入する空気中の塵埃を捕獲するエアーフイルターと、請求項1〜4のいずれか1項に記載の回転清掃体を備え、前記回転清掃体で、前記エアーフイルターに付着した塵埃を除去するもので、回転清掃体が汚れ難くまた、洗い易いのでメンテナンスが容易でしかも衛生的な空気調和機を提供できる。
【0017】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施例によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
(実施例1)
図1は、本発明の第1の実施例における回転清掃体の斜視図、図2は、図1のA−A断面図、図3は、同回転清掃体の端部の断面図、図4は、同回転清掃体の製造時の様子を示す図である。
【0019】
図1〜4において、本実施例における回転清掃体1は、略棒状で、金属や樹脂などから形成された回転部材2と、前記回転部材2の両端に固着されたキャップ3と、回転部材2の外周に螺旋状に巻いて固着された清掃部材4から構成されている。5は、回転部材2の外周に清掃部材4を螺旋状に巻いたときに形成された合わせ目である。
【0020】
この清掃部材4は、帯状で、基材4aと、基材4aに植毛されたカットパイル4bから構成されると共に、カットパイル4bのそれぞれのカットパイル毛は、図2に示すように、一方向に傾斜している。また、カットパイル4bには、フッ素樹脂やシリコーン樹脂などで撥水加工を施している。尚、カットパイル4bの撥水加工は、清掃部材4を回転部材2に巻きつける前の段階で行なっても、回転清掃体1の組み立て完成後に行なってもかまわない。
【0021】
また、清掃部材4の回転部材2の外周への固定は、接着、溶着、ネジ止め、リベット留めのいずれでもかまわない。或いは、清掃部材4を回転部材2の外周に接着すると共に、清掃部材4の両端を回転部材2にネジ止めするなどして固着を確実にするなど、複数の手段で固定するようにしてもよく、要は、回転清掃体1の組み立て性、固着の信頼性、耐久性等を考慮して、固定手段を適宜決定すれば良い。
【0022】
尚、本実施例では、回転清掃体1の軽量化を図るために、図2に示すように、回転部材2を中空、すなわち円筒状の部材で形成しているが、本発明は、特に、これに限定されるものでは無く、棒状部材で形成しても良く、更には、回転部材2を複数本に分割して、それらを螺子嵌合や、圧入等で繋ぐようにしても良い。そのようにすれば、回転部材2の運搬が容易で、梱包形態も簡素化され、更には、一種類の長さの回転部材2を用いて、複数本繋ぐことで、回転清掃体1の長さを自由に変えられるようになり、安価に回転清掃体1のバリエーションを広げることができる。
【0023】
以上のように本実施例によれば、カットパイル4aに撥水加工を施したことにより、カットパイル4aが汚れ難く、また、万一カットパイル4aが汚れても、それを水洗いした時に、撥水加工により水切り性が良いので、回転清掃体1の水洗い、メンテナンスが容易になると共に、乾燥時間が短縮され、使用勝手の良い回転清掃体1を提供することが出来る。
【0024】
また、略帯状の清掃部材4を回転部材2の外周に螺旋状に巻き付けて固着するようにしたことにより、回転清掃体1の製造が容易になると共に、回転清掃体1を水洗いしたときに、水が、清掃部材4の螺旋状の合わせ目5を伝って流れので、水切り性がさらに良く、乾燥時間が一層短縮される。
【0025】
また、清掃部材4のカットパイル4bのそれぞれのカットパイル毛を一方向に傾斜させているので、清掃部材4内に水が入り難く、また、カットパイル4bの表面に付着した水滴もカットパイル毛の傾斜した方向に容易に伝い流れるので、水切り性が更に向上し、回転清掃体1のメンテナンスが一層容易になる。
【0026】
また、基材4aにも撥水加工を加えると、回転清掃体1の洗浄時に、カットパイル4bの根元部に侵入した洗浄液が弾かれるので、さらに水きり性を向上させることができる。
【0027】
(実施例2)
図5は、本発明の第2の実施例における回転清掃体の清掃部材の三面図である。尚、上記第1の実施例と同一部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0028】
本実施例は、図5に示すように、清掃部材4を、基材4cと、基材4cに、一方向に傾けて(図5では、上向きに)植毛された複数の繊維束4dからなるカットパイル4eで構成し、基材4cの隣り合う繊維束4d間の表面4fが幅Wに渡って連続して露出するように、各繊維束4dを構成する繊維の本数や密度及び/又は、各繊維束4d間のピッチPを決定して、繊維束4dを基材4cに配置したものである。
【0029】
さらに、本実施例では、各繊維束4dの傾き方向と基材4cの連続して露出する表面4fの露出方向とが平行になるようにしている。
【0030】
本実施例における回転清掃体の清掃部材4は、上記のように構成されているので、回転清掃体を水洗いしたときに、基材4cの繊維束4d間で連続して露出した部分が水路を形成し、隣り合う繊維束4d間に水が溜まることが無く、容易に水が流れ出るので、水切り性が向上し、乾燥時間が一層短縮される。
【0031】
特に、本実施例では、繊維束4dの傾き方向と、基材4cの連続して露出する表面4fの露出方向が平行になっているので、清掃部材4を洗浄した後、図5に示す例では、上端を下側にすると、繊維束4d間に残っていた洗浄液が、基材4cの露出した表面4fを通って一気に流れ落ちるので、水きり性が一層向上するものである。
【0032】
また、上記回転清掃体1を、被掃除面からの塵埃掻き上げ用、或いは床面を磨く部品として電気掃除機用吸込具(図示せず)に使用すれば、回転清掃体1自身が汚れ難くまた、洗い易く、乾燥が速いので、メンテナンスが容易でしかも衛生的な電気掃除機用吸込具を提供することができる。
【0033】
また、電動送風機(図示せず)を内蔵した掃除機本体(図示せず)と、上記電気掃除機用吸込具とを、図示しないホースや延長管を介して接続して、電気掃除機を構成すれば、電気掃除機用吸込具に使用された回転清掃体1が汚れ難くまた、洗い易く、乾燥が速いので、メンテナンスが容易でしかも衛生的な電気掃除機を提供できることは、言うまでも無い。
【0034】
また、本体内に流入する空気中の塵埃を捕獲するエアーフイルター(図示せず)が取り付けられた空気調和機(図示せず)に、上記回転清掃体1を取り付け、その回転清掃体1を回転させながら、前記エアーフイルターの表面に付着した塵埃を除去するようにすれば、回転清掃体1自身が汚れ難くまた、洗い易いので、メンテナンスが容易でしかも衛生的な空気調和機を提供することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0035】
以上のように、本発明にかかる回転清掃体は、水洗い時の水切り性に優れ、短時間で乾燥できる使用勝手の良いもので、電気掃除機用吸込具、電気掃除機、空気調和機に限らず、洗浄や磨き用の回転清掃体を有する各種機器に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1の実施例における回転清掃体の斜視図
【図2】図1のA−A断面図
【図3】同回転清掃体の端部の断面図
【図4】同回転清掃体の製造時の様子を示す図
【図5】本発明の第2の実施例における回転清掃体の清掃部材の三面図
【符号の説明】
【0037】
1 回転清掃体
2 回転部材
3 キャップ
4 清掃部材
4a 基材
4b カットパイル
5 合わせ目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略棒状の回転部材と、前記回転部材の外周に設けられると共にカットパイルからなる清掃部材を備え、少なくとも前記カットパイルに撥水加工を施した回転清掃体。
【請求項2】
略帯状の清掃部材を回転部材の外周に螺旋状に巻き付けた請求項1に記載の回転清掃体。
【請求項3】
清掃部材のカットパイル毛を一方向に傾斜させた請求項1又は2に記載の回転清掃体。
【請求項4】
清掃部材を、基材と、前記基材に植毛された複数の繊維束からなるカットパイルで構成し、前記基材の前記繊維束間を連続して露出させると共に、その露出方向とカットパイル毛の傾斜方向とを平行にした請求項3に記載の回転清掃体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の回転清掃体を備えた電気掃除機用吸込具。
【請求項6】
電動送風機を内蔵した掃除機本体と、請求項5に記載の電気掃除機用吸込具とを備えた電気掃除機。
【請求項7】
本体内に流入する空気中の塵埃を捕獲するエアーフイルターと、請求項1〜4のいずれか1項に記載の回転清掃体を備え、前記回転清掃体で、前記エアーフイルターに付着した塵埃を除去する空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−295674(P2008−295674A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−144170(P2007−144170)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【出願人】(391044797)株式会社コーワ (283)
【Fターム(参考)】