説明

回転装置およびトルク機器

【課題】トルクレンチの設定トルク値は主目盛と副目盛を判読して決定していたため、1つの目盛で決定できるプリセット型トルクレンチを提供する。
【解決手段】トルクレンチのレバー11の後端に配置した回転ダイアル部21に調整ねじ部1を直結し、該ネジ部1のねじ軸上に歯数の異なる第1歯車部31と固定の第2歯車部32とを配置し、回転ダイアル部21に設けた第3歯車部33を第1歯車部31と第2歯車部32に噛み合わせ、回転ダイアル部21の回転により第3歯車部33を自転しながら公転させて第1歯車部31を第2歯車部32との歯数差に応じて減速回転させ、第1歯車部31が設けられた従動回転部材22の外周面にトルク値を表示させる。その際、回転ダイアル部21の所定範囲内の複数回転に対して従動回転部材22を1回転以下の範囲に設定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力部材の回転に従動して歯車機構により従動部材を減速回転させる回転装置、およびこの回転装置を目盛表示機構に用いたトルクレンチ等のトルク機器に関する。
【背景技術】
【0002】
トルクレンチ等のトルク機器において、締結トルクを予め設定し、締付トルクが該設定トルク値に達すると、例えばトグル機構が動作して機械的に設定トルク値に達したことを作業者に知らせるプリセット型のトルクレンチが提案されている(特許文献1)。
【0003】
トルクレンチに設定トルク値を設定するトルク値設定機構は、トルクレンチを構成するチューブ形状の操作レバーの後端部内に配置され、軸方向移動不能に保持された調整ねじを回転させると、該調整ねじに螺合するスライダー(前記操作レバーに対して回転が規制されて螺合する)が軸方向に螺進し、このスライダーと前記トグル機構との間に配置された調整バネを伸縮させて設定トルク値に対応するバネ圧を該トグル機構に付与する。
【0004】
前記調整ねじの後端部には主目盛板が取り付けられ、前記スライダーの表面には副目盛板が取り付けられ、前記調整ねじの回転によって指示された主目盛板上の主指示値と、前記スライダーの軸方向移動による副目盛板上の副指示値とからトルク設定値を読み取るようにしている。
【特許文献1】特開2000−246661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したトルク値設定機構にあっては、異なる位置に配置された主目盛板と副目盛板との双方を別々に読み取る必要があり、瞬時にトルク設定値を読み取り難かった。
【0006】
また主目盛値と副目盛値との読み方にある程度の学習が必要であった。
【0007】
さらに、調整ねじに対するスライダーの螺合位置の調整、調整ねじと副目盛板との取り付け調整等に手間がかかり、トルクレンチの組み立て、調整に時間を要していた。
【0008】
一方、従来のトルク値設定機構に対し、例えば入力部材(太陽歯車)の回転を遊星歯車および遊星レバーを介して減速回転する出力部材からなる歯車遊星機構を利用することも考えられるが、遊星歯車機構には遊星レバー等の部品点数が多く、また構造が複雑化するため、トルクレンチのレバー内に収容するには大型化し、またコストアップとなる。特に、遊星歯車機構は、入力部材に対して出力部材を減速回転させることを目的としているが、トルク値設定機構では必ずしも、減速した出力部材により調整ねじを回転させる必要はない。
【0009】
本発明の目的は、構成が簡単で、小型化可能とし、入力部材の回転を減速して従動回転する従動回転部材を備えた回転装置を提供しようとするものである。
【0010】
また、本発明の他の目的は、主目盛と副目盛を用いることなくトルク値の設定範囲を直読できるトルクレンチ等のトルク機器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的を実現する回転装置の構成は、請求項1に記載のように、入力回転部材と、前記入力回転部材の回転軸と同軸上に配置した回転自在の第1歯車部と、前記第1歯車部と同軸上に配置した前記第1歯車部とは歯数が異なりモジュールが等しい固定の第2歯車部と、前記入力部材に対して回転自在に取り付けられ、前記第1歯車部および前記第2歯車部にそれぞれ噛み合うと共にモジュールが等しい第3歯車部とを有し、前記入力回転部材の回転により前記第3歯車部が前記回転軸の回りを自転しながら公転することにより、前記第1歯車部と前記第2歯車部との歯数の差に応じて、前記入力回転部材の回転に対する前記第1歯車部の回転速度を異ならせたことを特徴とする。
【0012】
上記した回転装置において、前記第1歯車部の歯数を前記第2歯車部の歯数よりも大きくし、前記第1歯車部を前記入力回転部材の回転速度に対して減速回転させる。
【0013】
上記した回転装置において、前記第1歯車部、又は前記第1歯車部と前記第2歯車部の双方を転移歯車とした。
【0014】
上記した回転装置において、前記第1歯車部および前記第2歯車部の外端面にそれぞれ当接し、前記第1歯車部および第2歯車部を前記第3歯車部に向けてバネ付勢するバネ部材を設けた。
【0015】
上記した回転装置において、前記第1歯車部を備えた第1部材と、前記第2歯車部を備えた第2部材とを有し、前記第1部材と前記第2部材とは前記回転軸上に中空軸部を夫々有し、前記第2部材の中空軸部の外周に前記第1部材の中空軸部を回転自在に装着した。
【0016】
上記した回転装置において、前記入力回転部材を後端に配置し、該入力回転部材の前方に前記第2歯車部を配置し、さらに該第2歯車部の前方に前記第1歯車部を配置した。
【0017】
上記した回転装置において、前記入力回転部材の回転軸上に固定されると共に前記第2部材の中空軸部を貫通する調整ねじ部材と、前記調整ねじ部材の回転により所定の軸方向距離の間を螺進する直動部材と、前記直動部材の移動範囲に応じて、前記第1部材を1回転以下とした。
【0018】
本発明の目的を実現するトルク機器の構成は、請求項8に記載のように、トグル機構と、前記トグル機構に対してばね圧を調整可能に付与する調整ばねと、調整ばねのばね圧を調整するトルク値設定機構とを備え、ボルト等の締結部材の締め付けトルクが設定トルク値に達すると前記トグル機構が作動するプリセット型トルクレンチ等のトルク機器であって、前記トルク値設定機構は、請求項7に記載した回転装置を有し、前記直動部材と前記トグル機構との間に前記調整ばねを配置し、前記入力回転部材の回転により前記調整ばねのバネ圧を調整すると共に、前記第1部材の外周面にトルク値の目盛を表示し、前記第2部材の外周面に前記目盛の指標を表示したことを特徴とする。
【0019】
上記したトルク機器において、前記第1部材の外周面にトルクの単位を前記指標の脇に表示した。
【0020】
上記したトルク機器において、前記トルク値の目盛は前記第1部材の外周に装着される環状の目盛リングの表面に表示されている。
【0021】
上記したトルク機器において、前記トグル機構と、前記調整ばねと、前記トルク値設定機構をチューブ状のレバー内に配置し、前記レバーの後端から後方に前記入力回転部材を配置し、前記入力回転部材の前方に前記第1部材を配置した。
【発明の効果】
【0022】
本発明の回転装置によれば、簡単な構成で入力回転部材の回転方向と同方向に第1歯車部を高い減速比で回転させることができる。また構成が簡単なため、組み付け作業が容易である。
【0023】
請求項2に係る発明によれば、第1歯車部と第2歯車部の歯数により減速比を設定できるため、減速比の設定が容易である。
【0024】
請求項3に係る発明によれば、第1歯車部、又は第1歯車部と第2歯車部の双方を転移歯車とするだけで良く、装置全体の構成を簡単化することができる。
【0025】
請求項4に係る発明によれば、連続回転を要しない場合には、バネ部材により第1歯車部および第2歯車部を第3歯車部に向けてバネ付勢するという簡単な構成でバックラッシュを防ぐことができる。
【0026】
請求項5、6に係る発明によれば、回転装置をコンパクト化できる。
【0027】
請求項7に係る発明によれば、入力回転部材によって直接調整ねじ部材を回動させて直動部材を螺進させることができ、その際、第1歯車部の回転を取り出す減速回転する第1部材を1回転内に収めることができるので、第1部材を情報伝達手段として利用することができる。
【0028】
本発明によるトルクレンチ等のトルク機器によれば、従来のように主目盛と副目盛が不要となり、しかも設定トルク値の範囲を最大1回転以下の範囲で回転する第1部材の外周面に表示できるので、設定トルク値の範囲を一見して判断でき、しかも設定値を容易に判断することができる。
【0029】
また、請求項7に記載した回転装置をトルク値設定機構に用いたので、トルクレンチ等のトルク機器の組み立て調整が簡単になった。
【0030】
請求項9に係る発明によれば、設定トルク値の単位も間違いなく確認することができる。
【0031】
請求項10に係る発明によれば、環状の目盛リングを用いて目盛表示を行う構成としているので、目盛表示の位置調整を容易に行える。
【0032】
請求項11に係る発明によれば、トルクレンチに有効に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
図1から図4は本発明の実施形態を示す。図1は本発明を適用したプリセット型トルクレンチの外観図で、(a)は上面図、(b)は正面図である。図2は図1に示すトルクレンチに設けたトルク値設定機構の断面図、図3は図2に示すトルク値設定機構の分解斜視図、図4は図3に示すトルク値設定機構のバックラッシュ防止機構を示す。
【0034】
図1に示すプリセット型トルクレンチ10は、チューブ状に形成された金属製のレバー11の先端部に不図示のボルト等に嵌合する不図示のソケットが装着されるヘッド部12がピン13を介して取り付けられ、またレバー11の後端部にトルク値設定機構20のトルク値設定部材である回転ダイアル部21が回転可能に配置されている。
【0035】
レバー11の内部には、不図示のトグル機構が配置され、レバー11を回動してボルトを締め付け、設定トルク値に達すると該トグル機構が作動すると、ヘッド部12に対してレバー11がピン13を介して回動するため、設定トルク値に達したことを作業者が確認する。このトグル機構は、ヘッド部12の後端部と不図示のばね受部材との間にトグルレバー(不図示)をそれぞれ連結ピンを介して連結し、設定状態では該トグルレバーがレバー11の軸方向の軸線に対して斜めに位置する。そして、締め付けトルクが増すとヘッド部12が該トグルレバーを介して前記ばね受け部材を不図示の調整ばねのばね力に抗して後方に移動させ、さらに締付けトルクが増して設定トルク値に達すると、前記トグルレバーによる前記ヘッド部12と前記ばね受け部材との力の釣り合いが解除されて設定トルク値に達したことが判断できるようになっている。
【0036】
本実施形態において、この設定トルク値の設定は、トルク値設定機構20の回転ダイアル部21を回転することにより行われる。その際、回転ダイアル部21の回転角に対して例えば1/10の回転角で同方向に従動回転する従動回転部材(第1部材)22(図2、図3参照)の外表面に装着固定した形成した目盛リング23に形成した目盛23aの値を指標24に合わせることによりトルク値が設定される。この指標24はレバー11に固定されている円筒状のガイド部材(第2部材)25のフランジ部25aの外表面に表示されており、フランジ部25aの外表面には、指標24に並んでトルク値の単位表示26として、本実施形態ではNmを表示している。目盛リング23は従動回転部材22に対して取り付け位置を調節可能に固定ピン23pにより位置決め固定されている。このため、目盛位置と指標24との位置決めを容易に行える。
【0037】
次に、トルク値設定機構20の構成を図2、図3及び図4を参照して説明する。
【0038】
トルク値設定機構20は、図2に示すように、レバー11内の後端部に調整ねじ1を配置し、レバー11内にねじ込まれたストッパーナット2に調整ねじ1のフランジ部1aが当接することで調整ねじ1の軸方向後方への移動を規制している。調整ねじ1のネジ部1bには、レバー11に対して軸回りについて回転不能に係合すると共に軸方向へ移動可能とするスライダー3が螺合しており、調整ねじ1の回転によりスライダー3が螺進する。また調整ねじ1の後端部に回転ダイアル部21が固定ねじ21aにより固定されている。
【0039】
スライダー3と前記ばね受け部材との間に調整ばね4が配置され、調整ねじ1を時計回りあるいは反時計回りに回転させることにより、スライダー3をレバー11の軸方向の前方あるいは後方へ螺進させることで調整ばね4のばね力を調整する。すなわち、ばね力に応じた設定トルク値を変更できることになる。調整ばね4のばね力とトルク値との関係は予め決められており、また調整ねじ1とスライダー3とが螺合するねじ部のピッチも予め決まっているので、調整ねじ1に対するスライダー3の螺合位置が決まれば、調整ねじ1の1回転でのトルク値が決まる。
【0040】
ここで、トルク値の設定範囲の上限値と下限値との間にスライダー3を螺進させるには調整ねじ1に直結固定されている回転ダイアル部21を複数回にわたって回転させる必要があるのに対し、本実施形態では、下記の減速回転装置を用いて回転ダイアル部21の回転に従動回転する従動回転部材22を1回転以下としている。そして、従動回転部材22の外周に装着される目盛リング23上に表示される目盛23aの表示範囲を一周以内としている。
【0041】
本実施形態において、回転ダイアル部21の回転に対して従動回転部材22を減速回転する減速回転装置を図2及び図3を参照して説明する。
【0042】
本実施形態において、減速回転装置30は、レバー11の後端部の外周に固定ピン25pを介して固定されるガイド部材25と、ガイド部材25の外周に同軸的に装着される従動回転部材22と、従動回転部材22の後端に固定(又は一体的に形成)された第1歯車部31と、ガイド部材25の後端で第1歯車部31よりも後方位置に固定ピン32pを介して固定される第2歯車部32と、回転ダイアル部21の内周部34内にピン33aにより回転自在に取り付けられ、第1歯車部31と第2歯車部32の双方に噛み合う第3歯車部33とにより構成している。
【0043】
そして、第1歯車部31と第2歯車部32との回転中心を同一軸線上(本実施形態では調整ねじ1の回転中心をなす軸線と同一軸線)として軸線方向に並設し、第1歯車部31の歯数(Z1)と第2歯車部32の歯数(Z2)とを異ならせ(Z1>Z2)ている。
【0044】
ここで、第3歯車部33が第2歯車部32にのみ噛み合っている状態を考え、第3歯車部33と第2歯車部32とのモジュールが等しいとした場合、トルクレンチ10のレバー11を後方から前方に見た状態で回転ダイアル部21を時計回り方向に回転させると、第2歯車部32はレバー11に対して固定されて回転不能であることから、第3歯車部33は時計回転方向に自転しながら時計回転方向に公転する。
【0045】
これに対し、第1歯車部31のモジュールと第2歯車部32のモジュールを等しくし、第1歯車部31を転移平歯車として、第1歯車部31と第3歯車部33とが噛み合うようにしている。なお、第1歯車部31および第2歯車部32の双方を転移歯車としても良い。
【0046】
ここで、第1歯車部31の歯数が第2歯車部32の歯数と同数でモジュールも等しいと仮定した場合、回転ダイアル部21を回転させると、第3歯車部33は第2歯車部32との噛み合いによって自転することになるが、第1歯車部31の各歯とは単に嵌り合うだけで、第1歯車部31を回転駆動させることはない。
【0047】
しかし、本実施の形態のように、第1歯車部31の歯数を第2歯車部32の歯数と異ならせることによって、例えば第3歯車部33が第2歯車部32に対して噛み合いながら1公転した場合、同時に第3歯車部33は第1歯車部31に対して噛み合いながら丁度1公転しなければならない。そうすると、第3歯車部33が第1歯車部31に対して1公転する間に、第1歯車部31の歯数(Z1)に対して第2歯車部32の歯数(Z2)の差(Z1−Z2)だけ余分に噛み合うことになり、その際この歯数の差分だけ第1歯車部31が回転すことになる。
【0048】
すなわち、第3歯車部33は、歯数の異なる第1歯車部31と第2歯車部32と同時に噛み合っているので、第1歯車部31の歯数(Z1)で見た場合、第1歯車部31の歯数(Z1)と第2歯車部32の歯数(Z2)との歯数差(Z1−Z2)に応じた減速比で第1歯車部31が回転することになる。
【0049】
この場合、減速比は、
減速比=(Z1−Z2)/(Z1)
で与えられる。
【0050】
例えば、Z1=40、Z2=36とすると、減速比は1/10となり、回転ダイアル部21の10回転で第1歯車部31、すなわち従動回転部材22が時計回り方向に1回転することになる。
【0051】
したがって、設定トルク値の範囲が回転ダイアル21の10回転以下とすれば、目盛リング23に表示する目盛23aの表示範囲を全周以下とすることができ、例えば上面から見た範囲(略半周)内に目盛23aの表示範囲を設定することも可能となる。この場合、設定トルク値の範囲を一見して判断できる。
【0052】
本実施の形態において、ガイド部材25は、小径軸部25bと大径軸部25cとにより構成し、小径軸部25b内に調整ねじ1を貫通させている。従動回転部材22も大径軸部22aと小径軸部22bとにより構成し、ガイド部材25の大径軸部25bと小径軸部25cの各外周にそれぞれ大径軸部22aと小径軸部22bを回転自在に装着し、ガイド部材25に対して従動回転部材22を同軸に回転自在に支持している。なお、従動回転部材22の大径軸部22aはレバー11の外周よりも外方に配置されているので、この大径軸部22aに装着される目盛リング23の目盛23aは全周にわたって露出し、また目盛リング23の表面をガイド部材25のフランジ部25aと同一面に合わせている。このため、目盛リング23を一見するだけでトルク値の設定範囲を把握することができる。また、目盛リング23の全周内に目盛23aを表示させることができるので、その間に間隔を広げて目盛を表示させることができ、視認性を向上させることができる。
【0053】
また、回転ダイアル部21の前部には周方向に凹溝部34が形成され、この凹溝部34内に第3歯車部33が収容されている。したがって、第1歯車部31および第2歯車部32も凹溝部34内に収容されることになる。
【0054】
図4(a)に示すように、第3歯車部33に対して第1歯車部31と第2歯車部32との軸間距離が離れるとバックラッシュを招き、特に第1歯車部31の基準円直径は第2歯車部32の基準円直径よりも小径であるため、回転ダイアル部21の時計回りおよび反時計回り方向の回転操作の際に目盛のずれを招き易い。
【0055】
そこで、本実施の形態では、湾曲した板ばね部材35を凹溝部34の内周と第1歯車部31と第2歯車部32との間で、前記第3歯車部33とは反対側の位置に配置し、板ばね部材35の凸部を第1歯車部31と第2歯車部32の外周面に当接させ、第1歯車部31および第2歯車部32の各歯部を第3歯車部33に隙間なく噛み合うことができるようにしている。
【0056】
なお、上記した実施の形態では、第2歯車部32を固定歯車としているが、回転装置としてはこれに限定されるものではなく、第1歯車部31と第2歯車部32を逆の構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明を適用したプリセット型トルクレンチの実施の形態を示す外観図で、(a)は上面図、(b)は正面図。
【図2】図1に示すトルクレンチに設けたトルク値設定機構の断面図。
【図3】図2に示すトルク値設定機構の分解斜視図。
【図4】(a)は図3に示すトルク値設定機構のバックラッシュの発生状態を示し、(b)はバックラッシュ防止機構を示す。
【符号の説明】
【0058】
1 調整ねじ
2 ストッパーナット
3 スライダー
4 調整ばね
10 プリセット型トルクレンチ10
11 レバー
12 ヘッド部
13 ピン
20 トルク値設定機構
21 回転ダイアル部
22 従動回転部材
23 目盛リング
24 指標
25 ガイド部材
26 単位表示
30 減速回転装置
31 第1歯車部
32 第2歯車部
33 第3歯車部
34 凹溝部
35 板ばね部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力回転部材と、前記入力回転部材の回転軸と同軸上に配置した回転自在の第1歯車部と、前記第1歯車部と同軸上に配置した前記第1歯車部とは歯数が異なりモジュールが等しい固定の第2歯車部と、前記入力部材に対して回転自在に取り付けられ、前記第1歯車部および前記第2歯車部にそれぞれ噛み合うと共にモジュールが等しい第3歯車部とを有し、前記入力回転部材の回転により前記第3歯車部が前記回転軸の回りを自転しながら公転することにより、前記第1歯車部と前記第2歯車部との歯数の差に応じて、前記入力回転部材の回転に対する前記第1歯車部の回転速度を異ならせたことを特徴とする回転装置。
【請求項2】
前記第1歯車部の歯数を前記第2歯車部の歯数よりも大きくし、前記第1歯車部を前記入力回転部材の回転速度に対して減速回転させたことを特徴とする請求項1に記載の回転装置。
【請求項3】
前記第1歯車部、又は前記第1歯車部と前記第2歯車部の双方を転移歯車としたことを特徴とする請求項2に記載の回転装置。
【請求項4】
前記第1歯車部および前記第2歯車部の外端面にそれぞれ当接し、前記第1歯車部および第2歯車部を前記第3歯車部に向けてバネ付勢するバネ部材を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の回転装置。
【請求項5】
前記第1歯車部を備えた第1部材と、前記第2歯車部を備えた第2部材とを有し、前記第1部材と前記第2部材とは前記回転軸上に中空軸部を夫々有し、前記第2部材の中空軸部の外周に前記第1部材の中空軸部を回転自在に装着したことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の回転装置。
【請求項6】
前記入力回転部材を後端に配置し、該入力回転部材の前方に前記第2歯車部を配置し、さらに該第2歯車部の前方に前記第1歯車部を配置したことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の回転装置。
【請求項7】
前記入力回転部材の回転軸上に固定されると共に前記第2部材の中空軸部を貫通する調整ねじ部材と、前記調整ねじ部材の回転により所定の軸方向距離の間を螺進する直動部材と、前記直動部材の移動範囲に応じて、前記第1部材を1回転以下としたことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の回転装置。
【請求項8】
トグル機構と、前記トグル機構に対してばね圧を調整可能に付与する調整ばねと、調整ばねのばね圧を調整するトルク値設定機構とを備え、ボルト等の締結部材の締め付けトルクが設定トルク値に達すると前記トグル機構が作動するプリセット型トルクレンチ等のトルク機器であって、
前記トルク値設定機構は、請求項7に記載した回転装置を有し、前記直動部材と前記トグル機構との間に前記調整ばねを配置し、前記入力回転部材の回転により前記調整ばねのバネ圧を調整すると共に、前記第1部材の外周面にトルク値の目盛を表示し、前記第2部材の外周面に前記目盛の指標を表示したことを特徴とするトルク機器。
【請求項9】
前記第1部材の外周面にトルクの単位を前記指標の脇に表示したことを特徴とする請求項8に記載のトルク機器。
【請求項10】
前記トルク値の目盛は前記第1部材の外周に装着される環状の目盛リングの表面に表示されていることを特徴とする請求項8または9に記載のトルク機器。
【請求項11】
前記トグル機構と、前記調整ばねと、前記トルク値設定機構をチューブ状のレバー内に配置し、前記レバーの後端から後方に前記入力回転部材を配置し、前記入力回転部材の前方に前記第1部材を配置したことを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載のトルク機器。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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