説明

回転角速度センサまたは回転角加速度センサ

【課題】
検出精度を向上することができる回転角速度センサまたは回転角加速度センサを提供すること。
【解決手段】
回転角速度センサ1は、歪量検出ピース(梁104)の回転方向一方側に設けられた第1歪センサ11aと、歪量検出ピースの回転方向他方側に設けられた第2歪センサ11bと、を備え、回転体(ボディ100)の回転に伴い歪量検出ピースに遠心力が作用することによる歪量検出ピースの径方向長さ変化量である第1歪センサ11aおよび第2歪センサ11bの出力信号に基づき回転体の回転角速度ωを検出することとした。また、回転角加速度センサ1は、第1歪センサ11aと第2歪センサ11bの夫々が、歪量検出ピースの撓みによって伸び方向の撓みと縮み方向の撓みを検出するとき、第1歪センサ11aの出力信号と第2歪センサ11bの出力信号の差に基づき回転体の回転角加速度dωを検出することとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転角速度センサまたは回転角加速度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転体の回転角速度を検出する回転角速度センサまたは回転体の回転角加速度を検出する回転角加速度センサが知られている。例えば、特許文献1に開示される回転角速度センサは、自動車のパワーステアリング装置に適用され、操舵速度を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−215047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の回転角速度センサは、操舵角を微分することにより操舵速度を推定する。この推定された操舵速度は、物理量である操舵角を微分という演算処理を経ることによって得られるものであり、操舵速度相当値として扱われる擬似値、または近似値である(物理量そのものではない)。よって、検出精度の向上に限界があるという問題があった。従来の回転角加速度センサも、上記のように得られた操舵速度を更に微分することにより操舵加速度を得ているため、同様のことが言える。本発明の目的とするところは、検出精度を向上することができる回転角速度センサまたは回転角加速度センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の回転角速度センサは、好ましくは、歪量検出ピースの回転方向一方側に設けられた第1歪センサと、歪量検出ピースの回転方向他方側に設けられた第2歪センサと、を備え、回転体の回転に伴い歪量検出ピースに遠心力が作用することによる歪量検出ピースの径方向長さ変化量である第1歪センサおよび第2歪センサの出力信号に基づき回転体の回転角速度を検出することとした。
また、本発明の回転角加速度センサは、好ましくは、歪量検出ピースの回転方向一方側に設けられた第1歪センサと、歪量検出ピースの回転方向他方側に設けられた第2歪センサと、を備え、第1歪センサと第2歪センサの夫々が、歪量検出ピースの撓みによって伸び方向の撓みと縮み方向の撓みを検出するとき、第1歪センサの出力信号と第2歪センサの出力信号の差に基づき回転体の回転角加速度を検出することとした。
【発明の効果】
【0006】
よって、角度の微分演算処理によらずに回転体の回転角速度または回転角加速度を検出するため、検出精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】回転角速度センサまたは回転角加速度センサが適用されるパワーステアリング装置のシステム構成図である。
【図2】センサユニットがピニオンシャフトに設置される状態を示す分解斜視図である。
【図3】センサユニットの軸方向正面図である。
【図4】センサユニットの一部断面図(図3のI−I視断面)である。
【図5】歪センサの組立体の概略図である。
【図6】歪センサのホイートストンブリッジ回路を表す回路図である。
【図7】歪センサの抵抗とダミー抵抗の形状とシリコン基板の結晶方位との関係を示す図である。
【図8】歪センサの出力信号(歪量A,B)と回転角速度ωとの関係特性を示す図である。
【図9】外乱入力時の歪センサの出力信号(歪量A,B)と回転角速度ωとの関係特性を示す図である。
【図10】歪センサの出力信号(歪量A,B)と回転角加速度dωとの関係特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の回転角速度センサまたは回転角加速度センサを実現する形態を、図面に基づき説明する。
【0009】
[実施例1]
実施例1では、回転角速度センサについて説明する。
図1は、実施例1の回転角速度センサが適用されるパワーステアリング装置のシステム構成図である。実施例1のパワーステアリング装置が適用される自動車のステアリング装置は、操作機構とギヤ機構とリンク機構を有している。操作機構は、ステアリングホイールSWとステアリングシャフト(コラムシャフト)SSを有している。ステアリングシャフトSSは第1シャフトS1と第2シャフトS2(中間シャフト)からなる。ギヤ機構はラック&ピニオン型であり、ラックRとピニオンPを有している。ピニオンPは、第2シャフトS2に連結されたピニオンシャフトPSの先端に設けられており、ラックRと噛み合っている。リンク機構は、ラックRが設けられたラックシャフトRSの両端に連結されたタイロッドTRと、タイロッドTRに連結された転舵輪FL,FRとを有している。
【0010】
パワーステアリング装置は電動式である(以下、これをEPSという)。EPSは、電動モータ3がギヤを直接駆動して補助力を発生する電動直結式であり、ピニオンシャフトPSに取り付けられてピニオンシャフトPSの回転に対して補助動力を与えるピニオンアシスト式である。EPSは、電源としてのバッテリBATTから供給される電力(電流)により駆動されるモータ3と、モータ3の回転を減速する減速ギヤ機構4と、操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段としてのトルクセンサTSと、操舵角速度としてピニオンシャフトPSの回転角速度ωを検出する操舵角速度検出手段としての回転角速度センサ1と、モータ3の回転(回転角ないし回転位置)を検出するモータ回転検出手段としてのレゾルバと、上記各検出手段から信号の入力を受けてモータ3の駆動を制御する操舵アシスト制御装置としての電子制御ユニットECUとを有している。ピニオンシャフトPS、ラックシャフトRS、減速ギヤ機構4、及びトルクセンサTSは、ハウジングHSGの内部に収容され、単一のギヤユニットを構成している。モータ3及び電子制御ユニットECUはこのギヤユニットに取付けられ、EPSは機電一体型のEPSユニットとして構成されている。
【0011】
減速ギヤ機構は、モータ3の出力軸上に設けられたウォームシャフトと、ウォームシャフトと噛み合うウォームホイールWWとを有するウォームギヤ機構である。ウォームホイールWWは、ピニオンシャフトPSと同軸に設けられてピニオンPと一体に回転する。操舵アシスト時には、モータ3の駆動力は減速ギヤ機構を介してピニオンPに伝達される。ピニオンシャフトPSにおいてウォームホイールWWよりも第2シャフトS2側にはトルクセンサTSが設けられ、ECUに接続されている。ピニオンシャフトPSにおいてトルクセンサTSよりも第2シャフトS2側であってハウジングHSGの外部には、回転角速度センサ1が設けられ、ECUに接続されている。
【0012】
運転者によりステアリングホイールSWが操舵されると、ステアリングシャフトSSを介してピニオンシャフトPSに入力される操舵トルクがトルクセンサTSにより検出され、ECUに出力される。また、ECUには、図外の車速センサからの車速信号が入力される。また、ステアリングシャフトSSを介してピニオンシャフトPSに伝達される回転角速度(操舵角速度)が回転角速度センサ1により検出され、ECUに出力される。ECUは、入力される操舵トルクや車速に基づいて基本となる操舵アシスト量(目標の操舵アシスト力)を演算し、この目標操舵アシスト力及び入力されるモータ回転位置等の信号に基づきモータ3に駆動電流を出力し、モータ3の作動を制御する。ECUがモータ3に流れる電流(駆動電流)を制御することにより、ピニオンシャフトPSの回転に対して適切な補助動力が与えられ、ピニオンPがラックRを駆動して軸方向移動させることで、運転者の操舵力がアシストされる。また、ECUは、入力される回転角速度ωに基づいて操舵アシスト量(モータ3の駆動信号)を補正し、操舵操作性や操舵フィーリングを向上するための制御を行う。例えば、ステアリング装置の慣性、粘性、摩擦等を考慮し、回転角速度ωの検出値に基づき作成した補償値により操舵アシスト量を補正する慣性補償、粘性補償等を行うことで、操舵フィーリングの向上を図る。この補償制御の内容は周知の技術であるため、説明を省略する。
【0013】
図2は、回転角速度センサ1のセンサユニット10がピニオンシャフトPSに設置される状態を示す分解斜視図である。以下、説明のため、ピニオンシャフトPSが延びる方向にx軸を設定し、ピニオンシャフトPSが第2シャフトS2と接続する側を正方向とする。回転角速度センサ1は、センサ本体(歪センサ11)と送信側アンテナ12とがボディ100に一体に組付けられたセンサユニット10として構成されている。ボディ100は略円環状の部材であり、ハウジングHSGのx軸正方向端から突出するピニオンシャフトPSのx軸正方向端部の外周に嵌合して設置される。ボディ100には孔101が軸方向に延びるように貫通形成されている。孔101には軸方向溝が複数形成され(スプライン加工され)ており、ボディ100は、ピニオンシャフトPSのx軸正方向端部のスプラインと嵌合するように設けられている。ボディは、ピニオンシャフトPSに結合した状態で、ピニオンシャフトPSと略同軸で一体に回転する回転体である。ボディ100の内周側には、後述するように複数(実施例1では4つ)の歪センサ11が設置されている。ボディ100のハウジングHSG側(x軸負方向側)の端面には、孔101を取り囲むようにアンテナ12が設置されている。アンテナ12は、歪センサ11に接続され、歪センサ11が検出した信号の入力を受けてこれを後述する受信側アンテナユニット20へ送信する送信側アンテナとして機能すると共に、受信側アンテナユニット20から電力の供給を受けてこれを歪センサ11に送る受電コイルとして機能する。
【0014】
受信側アンテナユニット20は、略円環状であり、ハウジングHSGのx軸正方向端の開口部に、ピニオンシャフトPSを取り囲むように設置される。受信側アンテナユニット20のx軸正方向側の端面には、アンテナ21がピニオンシャフトPSを取り囲むように設置されている。アンテナ21は、接続線200を介してECUに接続されており、歪センサ11が送信した信号を受信してこれをECUに送る受信側アンテナとして機能すると共に、ECUから電力の供給を受けてこれをセンサユニット10へ送る給電コイルとして機能する。センサユニット10がピニオンシャフトPSに設置され、受信側アンテナユニット20がハウジングHSGに設置された状態で、アンテナ12、21は互いにx軸方向に対向するように設けられている。
【0015】
以下、センサユニット10(ボディ100)の中心軸(回転中心)を軸Oという。図3は、センサユニット10を軸Oが延びる方向から見た軸方向正面図である。図4は、センサユニット10を軸Oに垂直な方向から見た側面図であり、一部断面(図3のI−I視断面)を示す。なお、図3及び図4でアンテナ12の図示を省略する。ボディ100には、ボディ100を径方向に貫通する雌ネジ孔104が形成されており、雌ネジ孔104には、ボディ100をピニオンシャフトPSへ締結固定するためのネジ14が螺着される。ボディ100の内周側(孔101)には、軸Oを挟んで対向する2箇所に、外径方向(軸Oから離れる方向)に落ち込むように凹部102,103が設けられている。凹部102,103の周方向(軸Oの周り方向)での略中心位置には、凹部102,103の底部から内径方向(軸Oに向かう方向)に突出する梁104,105がそれぞれ設けられている。一方の梁104は歪量検出ピースであり、他方の梁105はカウンタピースである。
【0016】
図3に示すように、梁104は、ボディ100の軸Oから径方向に所定距離だけ離間した位置に設けられており、軸Oを通る径方向直線上を延びるように設けられている。すなわち、梁104の(軸Oの方向から見たときの)長手方向がボディ100の径方向とほぼ一致するように設けられている。梁104は板状に形成されており、その周方向寸法(板厚)は径方向寸法(板幅)よりも小さく設けられている。図4に示すように、梁104は、ボディ100の軸方向全範囲に亘って設けられており、その軸方向寸法は径方向寸法よりも大きく設けられている。梁104は、ボディ100の回転に伴い遠心力が作用するように所定の質量を有すると共に、遠心力の作用によって外径方向に若干縮み(歪み)、その径方向寸法が減少するように形成されている。梁105は、軸Oを基準として梁104の反対側に(軸Oに関して対称位置に)、梁104と同様の形状に設けられている。すなわち、梁105は、その(軸Oの方向から見たときの)長手方向がボディ100の径方向とほぼ一致する板状に設けられており、ボディ100の回転に伴い遠心力が作用するように所定の質量を有すると共に、この遠心力の作用によって径方向寸法が減少するように形成されている。
【0017】
センサ本体は、歪量検出用の構造体(梁104,105)の歪量を検出する手段としての歪センサ11(第1〜第4歪センサ11a〜11d)から構成される。ボディ100が回転する方向(図3の矢印αの方向)を「回転方向」としたとき、一方の梁104の回転方向一方側の面には、第1歪センサ11aが設けられている。第1歪センサ11aは、梁104の上記回転方向一方側の歪量A1を検出する。梁104の回転方向他方側には、第2歪センサ11bが設けられている。第2歪センサ11bは、梁104の上記回転方向他方側の歪量B1を検出する。他方の梁105の上記回転方向一方側には、第3歪センサ11cが設けられている。第3歪センサ11cは、梁105の上記回転方向一方側の歪量A2を検出する。梁105の上記回転方向他方側には、第4歪センサ11dが設けられている。第4歪センサ11dは、梁105の上記回転方向他方側の歪量B2を検出する。第1、第2歪センサ11a、11bは、ボディ100の径方向及びx軸方向で、梁104のほぼ中央に配置されている。第1、第2歪センサ11a、11bは、梁104を挟んでほぼ対称に(一方の歪センサ11が取り付けられる梁104の面を正面から見たとき表裏で重なるように)配置されている。同様に、第3、第4歪センサ11c、11dは、ボディ100の径方向及びx軸方向で、梁105のほぼ中央に配置されており、梁105の両側に軸Oの周り方向で重なる位置に設けられている。
【0018】
〔歪センサの構成について〕
ここで、歪センサ11の詳細について説明する。図5は、歪センサ11の組立体110の構成を表す概略図である。この組立体110は、同一のシリコン基板111上に、抵抗112aとダミー抵抗112bとを有するホイートストンブリッジ回路112、歪センサアンプ群113、アナログ/デジタルコンバータ114、整流・検波・変復調回路部115、通信制御部116、外部接続用の電極パッド118、及び接着部117を備えている。シリコン基板111はシリコン単結晶により形成されている。以下ではシリコン基板111と、シリコン基板111上に構成した薄膜群を総称してチップと記載する。組立体110は接着部117により梁104,105に接着される。すなわち、シリコン基板裏面を梁104,105との接着面とする。組立体110は、アンテナ12から電極パッド118を介して送られた電力用高周波信号を整流・検波・変復調回路部115で平滑化し、一定電圧の直流電力にしてチップ内の各回路に電源として供給する。ホイートストンブリッジ回路112(抵抗112aとダミー抵抗112b)には、所定の電流が供給される。
【0019】
図6はホイートストンブリッジ回路112を表す回路図であり、図7は抵抗112aとダミー抵抗112bの形状とシリコン基板111の結晶方位との関係を示す図である。ホイートストンブリッジ回路112は、単結晶シリコン基板111の(001)面に、対向する2辺に設けられた一組の抵抗112a、及び対向する他の2辺に設けられた一組のダミー抵抗112bからなる。抵抗112aは、内部に不純物が拡散された拡散抵抗を含むシリコン結晶によって構成され、シリコン結晶は単結晶である。すなわち、抵抗112aは、シリコン基板111中に局所的にP型の不純物層を拡散して形成された、歪量を測定するための素子である。その長手方向(抵抗112aの両端子を結ぶ直線)はシリコン基板111の<−110>方向とほぼ一致するように形成される。ダミー抵抗112bは、抵抗112aと同様、シリコン基板111中に局所的にP型の不純物層を拡散してV字型に形成されている。V字を形成する2つの直線部分の長さは等しく、一方の直線部分の長手方向は<100>方向となり、他方の長手方向は<100>方向に対して90°回転させた方向となるようにする。ダミー抵抗112bは、このようにV字型に形成されることで抵抗値を稼ぎつつ、全体としてみて、抵抗112aの長手方向である<−110>方向に対して90°回転させた<110>方向とほぼ一致するように形成されている。また、抵抗112aとダミー抵抗112bの内部抵抗値はほぼ同じ値となるように形成する。
【0020】
梁104,105に歪みが付加される(応力が作用する)と、梁104,105からシリコン基板111全体に歪みが伝達される。すなわち、組立体110は、素子形成面に対向したシリコン基板111の裏面に接着部117が配されているため、梁104,105の歪みがシリコン基板111全体に接着部117を通して歪みを与える。歪センサ11は、この歪みを計測する。具体的には、シリコン基板111中のホイートストンブリッジ回路112(抵抗112aとダミー抵抗112bの長手方向)に電圧をかけ、所定の電流を供給する。シリコン基板111に歪みが付加される(応力が作用する)と、ホイートストンブリッジ回路112の内部抵抗値がピエゾ抵抗効果に基づき変化する。歪センサ11は、供給される上記所定の電流に対する内部抵抗値の変化に伴う電圧降下量を検出することにより、梁104,105の歪みを検出する。検出される電圧降下量(梁104,105の歪量に相当)は、歪センサアンプ群113、アナログ/デジタルコンバータ114を通してデジタル信号に変換され、電極パッド118を介してアンテナ12からアンテナ21(ECU)に送信される。
【0021】
不純物拡散層の抵抗値は温度変動の影響を強く受けることから、温度補償回路として、歪みに対して感度を持つアクティブ抵抗としての抵抗112aと、歪みに対して感度を持たないダミー抵抗112bとによってホイートストンブリッジ回路112を構成する。すなわち、シリコン単結晶の場合には、そのピエゾ抵抗効果は結晶方位に依存した直交異方性を有している。よって、梁104,105(シリコン基板111)に歪みが付加される際、ホイートストンブリッジ回路112を構成する抵抗112aのみの内部抵抗値がピエゾ抵抗効果に基づき変化し、ダミー抵抗112bの内部抵抗値はピエゾ抵抗効果に基づき変化しないように、歪みの基準となる座標系(梁104,105の歪み方向)に対するチップの配置(シリコンの結晶方位と抵抗112a,112bの配置)を調整する。これにより、シリコン基板111に付加される歪みに対する抵抗112aとダミー抵抗112bの出力の差分を大きくし、ブリッジ回路112の出力の感度を大きくする。以上のように、歪センサ11の処理回路が同一のシリコン基板111中に高集積されるため、コンパクトな構成となる。なお、シリコン基板111の厚さを100μm以下にすることが望ましく、その場合には梁104,105の歪みの値と歪センサ11(抵抗112a)の位置での歪みの値をほぼ一致させることができる。すなわち、測定精度を向上できる。
【0022】
回転角速度センサ1は、歪センサ11の出力信号に基づき、ボディ100(ピニオンシャフトPS)の回転角速度ωを検出する。なお、歪センサ11の出力信号に基づき回転角速度ωを検出する回路は、ボディ100に設けてもよいし、受信側アンテナユニット20やECUに設けてもよく、特に限定しない。具体的には、一方の梁104の回転方向一方側の第1歪センサ11aの出力信号(歪量A1)と、他方の梁105の回転方向一方側の第3歪センサ11cの出力信号(歪量A2)との和(A1+A2)を、回転方向一方側の歪量Aとする。また、一方の梁104の回転方向他方側の第2歪センサ11bの出力信号(歪量B1)と、他方の梁105の回転方向他方側の4歪センサ11dの出力信号(歪量B2)との和(B1+B2)を、回転方向他方側の歪量Bとする。そして、上記回転方向一方側の歪量A(=A1+A2)と回転方向他方側の歪量B(=B1+B2)の和{(A1+A2)+(B1+B2)}に基づき、回転角速度ωを検出する。例えば{(A1+A2)+(B1+B2)}に所定の係数を乗算して回転角速度ωを検出する。
【0023】
[実施例1の作用]
次に、実施例1の回転角速度センサ1の作用を説明する。
回転角速度センサ1は、歪センサ11の出力信号に基づき、ボディ100(ピニオンシャフトPS)の回転角速度ωを検出する。歪センサ11の出力信号は、ピニオンシャフトPSの回転に伴いボディ100の梁104,105に遠心力が作用することによって発生する。すなわち、梁104,105は、所定の質量を有して軸Oから径方向に所定距離だけ離間した位置に設けられているため、ボディ100の回転に伴い遠心力が作用する。図3に示すように、梁104,105に遠心力α´が作用すると、梁104,105の径方向長さが変化(実施例1では減少)する。歪センサ11は、(梁104,105に遠心力α´が作用しない状態を基準とする)上記径方向長さの変化量(減少量)を、それぞれ歪量A,Bとして検出し、出力する。具体的には、第1歪センサ11aは、梁104の回転方向一方側の径方向長さの減少量を歪量A1として検出し、出力する。第2歪センサ11bは、梁104の回転方向他方側の径方向長さの減少量を歪量B1として検出し、出力する。第3歪センサ11cは、梁105の回転方向一方側の径方向長さの減少量を歪量A2として検出し、出力する。第4歪センサ11dは、梁105の回転方向他方側の径方向長さの減少量を歪量B2として検出し、出力する。このように、回転角速度センサ1は、回転体としてのボディ100(ピニオンシャフトPS)の回転角速度ωに応じて変化する(歪量検出ピースとしての梁104,105に作用する)遠心力α´を歪量A,Bとして検出する。これにより、角度の微分演算によらない、物理量そのものとしての回転角速度ωの情報を得ることができる。よって、回転角速度ωの検出精度を向上することができる。
【0024】
具体的には、回転角速度センサ1は、歪センサ11の出力信号に応じた値として(例えば出力信号に所定の係数を乗算した値として)、回転角速度ωを算出する。図8は、歪センサ11の出力信号(歪量A,B)と回転角速度ωとの関係特性を示すグラフである。図8に示すように、回転角速度ωの大きさが増大するのに応じて、梁104,105に作用する遠心力α´の大きさは増大するため、梁104,105の径方向長さの減少量(歪量A,B)は増大する。よって、歪量A,Bに応じた値として回転角速度ωを算出することができる。
【0025】
梁104,105は、この梁104,105の(軸Oの方向から見たときの)長手方向が回転体(ボディ100)の径方向とほぼ一致するように設けられている。よって、遠心力α´が梁104,105の上記長手方向に作用するため、遠心力α´によって変化する梁104,105の径方向長さの変化量を大きくとることができる。このため、歪量A,Bの検出精度、すなわち回転角速度ωの検出精度を向上することができる。
【0026】
歪センサ11は、梁104,105に作用する力(遠心力α´)によってピエゾ抵抗効果に基づき変化する内部抵抗値の変化に基づき、歪量A,Bをそれぞれ検出する。すなわち、シリコンには、応力が作用すると抵抗値が変化するというピエゾ抵抗効果がある。このように、ピエゾ抵抗効果を用いた歪センサを用いた場合には、抵抗の断面積の変化に起因する抵抗値の変化を利用する歪センサ(例えば金属薄膜細線を用いた抵抗線式歪みゲージ)を用いた場合よりも、歪みによる抵抗値の変化が著しく大きいため、検出精度の高い歪量検出を行うことができる。よって、回転角速度ωの検出精度を向上することができる。また、歪センサ11は、所定の電流が供給され、この電流に対する内部抵抗値の変化に伴う電圧降下量を検出することにより歪量を検出する。よって、簡便な構成により歪量を検出することができる。
【0027】
また、歪センサ11は、内部に不純物が拡散された拡散抵抗を含むシリコン結晶によって構成される。よって、高サイクル疲労を起こしやすい抵抗線式歪みゲージを用いた場合に比べ、高精度で信頼性の高い歪センサを得ることができる。すなわち、回転軸の歪み測定のように高サイクルの変形を伴う用途でも、また自動車の操舵軸など高い信頼性が要求される用途に用いる場合でも、降伏強度が大きな半導体結晶を用いることから、高サイクルの負荷に対しても疲労することがない。また、温度補正を行うために複数の抵抗を用いてホイートストンブリッジ回路を構成する場合にも、抵抗の剥離や損傷等の心配がない。したがって、長期間の信頼性を確保することができる。また、シリコン結晶は単結晶である。よって、金属薄膜を用いることで腐食しやすい抵抗線式歪みゲージや、複数の結晶粒界において環境腐食が発生しうる多結晶シリコンを用いた半導体ゲージに比べ、単結晶であり粒界が存在しないことから、腐食環境化や水分のある環境下においても腐食せず、より信頼性が高く検出精度の高い歪センサを得ることができる。また、他の電気回路との整合性がよい、破壊強度が大きい、安価である等のメリットがある。
【0028】
歪センサ11(特にピエゾ抵抗効果を用いたもの)は、通常のセンサよりも検出精度(感度)が高いため、車両の振動等により入力される外力(応力)に対して、検出したい物理量以外の外乱(ノイズ)を除去ないし軽減するための工夫が必要になる。これに対し、実施例1の回転角速度センサでは以下のような対策を施すことで、回転角速度ωの検出精度を向上している。
【0029】
回転角速度センサ1は、梁104の回転方向一方側の径方向長さ変化量である第1歪センサ11aの出力信号(歪量A1)、及び同じ梁104の回転方向他方側の径方向長さ変化量である第2歪センサ11bの出力信号(歪量B1)に基づき、回転角速度ωを検出する。このように梁104の両側に設けた歪センサ11の出力信号に基づくことで、ボディ100(ピニオンシャフトPS)の加減速に伴う影響を低減し、回転角速度ωの検出精度を向上することができる。すなわち、ボディ100の回転が加減速すると、図3で矢印βにより示すように、梁104が回転方向一方側または他方側(加速時には回転方向と逆側。減速時には回転方向側)に傾き(倒れ)、撓む。よって、歪センサ11の出力には、遠心力α´(回転角速度ω)による歪みと共に、伸び方向または縮み方向(図3のβ´の方向)に撓むことによる歪みが重畳される。同じ梁104の回転方向一方側と他方側とでは、遠心力による歪みの方向(図3のα´の方向)が同じである一方、上記撓むことによる歪みの方向(図3のβ´の方向)が逆である。この異方性を利用して、上記撓むことによる歪み成分の影響を低減するため、梁104の両側に設けた歪センサ11の出力信号に基づき回転角速度ωを検出することで、遠心力α´による歪み成分をより精度よく取り出すことができる。
【0030】
具体的には、図8に一点鎖線で示すように、両センサ11a,11bの出力信号の和(A1+B1)に応じた値として、回転角速度ωを算出する。このように梁104の両側に設けた歪センサ11の出力信号の和をとることで、ボディ100(ピニオンシャフトPS)の加減速に伴う影響をキャンセルし、回転角速度ωの検出精度を向上することができる。すなわち、梁104の回転方向一方側と他方側とでは、上記撓むことによる歪みの方向(図3のβ´の方向)が逆であるため、梁104の両側に設けた歪センサ11の出力信号の和をとることで、上記撓むことによる歪み成分を相殺し、遠心力α´による歪み成分のみを取り出すことができる。なお、第3、第4歪センサ11c、11dの出力信号の和(A2+B2)に応じて回転角速度ωを算出してもよい。すなわち、梁104,105のうち少なくとも一方に設けた一組の歪センサ11の出力信号に基づくことで、上記作用効果を得ることができる。
【0031】
回転角速度センサ1は、一方の梁104の回転方向一方側の径方向長さ変化量である第1歪センサ11aの出力信号と、他方の梁105の同じ回転方向側(回転方向一方側)の径方向長さ変化量である第3歪センサ11cの出力信号とに基づき、回転角速度ωを検出する。このように、ボディ100の回転中心Oを基準として反対側に(対向して)設けられた梁104,105の歪センサ11の出力信号を用いることで、ボディ100に回転方向以外の力(外乱)が加わることによる影響を低減し、検出精度を向上することができる。すなわち、回転方向以外の力として、例えば図3の矢印γで示すような径方向の力がボディ100に作用すると、一方の梁104には例えば外径方向の力γ´が作用し、他方の梁105には反対に内径方向の力γ´が作用する。よって、梁104,105の径方向長さがそれぞれ減少・増大する。このため、歪センサ11の出力には、遠心力α´による歪量A,Bと共に、上記外乱γ´による歪量σが重畳される。図9(a)に示すように、一方の梁104についてみると、回転方向一方側に設けられた第1歪センサ11aの出力には外乱γ´による歪量σが加算され(A1´=A1+σ)、回転方向他方側に設けられた第2歪センサ11bの出力から歪量σが減算される(B1´=B1−σ)。図9(b)に示すように、他方の梁105についてみると、回転方向一方側に設けられた第3歪センサ11cの出力から歪量σが減算され(A2´=A2−σ)、回転方向他方側に設けられた第4歪センサ11dの出力には歪量σが加算される(B2´=B2+σ)。梁104,105の回転方向一方側に設けられた第1歪センサ11aと第3歪みセンサ11cについてみると、回転による(遠心力α´による)歪量A1、A2の大きさはほぼ同一であり、方向も同一である。しかし、梁104と梁105とでは、上記外乱γ´による歪量σの大きさはほぼ同一であるが、方向が逆である。
この異方性を利用して、ボディ100の径方向反対側に設けられた両梁104,105の(回転方向で同じ側に設けられた)歪センサ11の出力信号に基づき回転角速度ωを検出することで、上記外乱γ´による歪み成分σの影響を低減し、遠心力α´(回転角速度ω)による歪み成分をより精度よく取り出すことができる。
【0032】
具体的には、回転角速度センサ1は、一方の梁104の回転方向一方側の径方向長さ変化量である第1歪センサ11aの出力信号(歪量A1´)と、他方の梁105の回転方向一方側の径方向長さ変化量である第3歪センサ11cの出力信号(歪量A2´)との和(A1´+A2´)を、回転方向一方側の歪量Aとする。また、一方の梁104の回転方向他方側の径方向長さ変化量である第2歪センサ11bの出力信号(歪量B1´)と、他方の梁105の回転方向他方側の径方向長さ変化量である第4歪センサ11dの出力信号(歪量B2´)との和(B1´+B2´)を、回転方向他方側の歪量Bとする。そして、上記回転方向一方側の歪量A(=A1´+A2´)と回転方向他方側の歪量B(=B1´+B2´)に基づき(両者の和に基づき)、回転角速度ωを検出する。このように、対向して設けられた梁104,105の各歪センサ11の出力信号の和をとることで、上記外乱γ´による歪み成分σがキャンセルされた出力信号を得ることができ、回転角速度ωの検出精度を向上することができる。すなわち、一方の梁104と他方の梁105とでは、上記外乱γ´による歪量σの方向が逆であるため、梁104,105の同じ回転方向側に設けた歪センサ11の出力信号の和をとることで、上記外乱γ´による歪み成分σを相殺し、遠心力α´(回転角速度ω)による歪み成分A,Bのみを取り出すことができる(例えば、A1´+A2´=(A1+σ)+(A2−σ)=A1+A2)。
【0033】
また、x軸方向(ボディ100の軸方向)での梁104,105の寸法は、径方向(ボディ100の径方向)での梁104,105の寸法よりも大きく設けられている。よって、ボディ100の軸方向に外乱(力)が入力されても、この軸方向での梁104,105の傾き(撓み)が抑制されるため、遠心力による梁104,105の径方向長さの変化量の検出精度、すなわち回転角速度ωの検出精度を向上することができる。具体的には、梁104,105は、ボディ100の軸方向全範囲に亘って設けられているため、そのx軸方向(ボディ100の軸方向)での寸法を最大化して上記作用効果を向上できると共に、ボディ100の軸方向で一部の範囲に設けた場合よりも梁104,105の形成を容易にできる。さらに、歪センサ11は、ボディ100の軸方向で、梁104,105のほぼ中央に配置されているため、ボディ100の軸方向に外乱(力)が入力されても、その影響をより効果的に抑制することができる。
【0034】
また、ボディ100は、固定手段としてのネジ14によりピニオンシャフトPSへ締結固定されるため、ピニオンシャフトPSに対するボディ100のガタつきを抑制することができる。このため、ガタつきによる外乱による影響を抑制し、遠心力による梁104,105の径方向長さの変化量の検出精度、すなわち回転角速度ωの検出精度を向上することができる。
【0035】
なお、実施例1では回転に伴い遠心力により歪みが発生する歪み検出用の構造体として梁104,105を設けたが、特に梁を設けず、従来からピニオンシャフトPSその他のステアリングシャフトSS(回転体)に存在する構造を利用し、この構造に歪センサ11を取り付けることとしてもよい。換言すると、ボディ100を省略することとしてもよい。実施例1ではボディ100を設けたため、回転角速度センサ1の取り付け位置の自由度を向上できる。また、ボディ100に歪み検出用の構造体として梁104,105を設けることで、所定方向の入力に対して発生する歪みの検出精度を向上することができる。具体的には、歪み検出用の構造体としての梁104,105は、それが設けられるボディ100から応力が伝達されにくい形状に設けられている。すなわち、例えばボディ100が回転軸(ピニオンシャフトPS)に固定される(ネジ14により締付け固定される)際にボディ100に発生する応力が梁104,105にできるだけ伝わらないよう、ボディ100に凹部102,103が設けられ、凹部102,103の底部から突出するように梁104,105が形成されている。また、回転軸(ピニオンシャフトPS)の曲げによる応力が梁104,105にできるだけ伝わらないよう、梁104,105の根元部分(凹部102,103の底部)はボディ100の内周側ではなく外周側に設けられている。よって、梁104,105に取り付けられる歪センサ11は、ボディ100から伝達される応力(外乱)を検出することが抑制され、回転により梁104,105に作用する応力のみを検出することが促進されるため、回転角速度ωの検出精度を向上することができる。なお、梁104,105の形状は実施例1のものに限らない。例えば、実施例1では、梁104,105の周方向幅(板厚)はほぼ均一に設けられているが、例えば軸Oに向かうにつれて板厚が薄くなるように設けてもよい。
【0036】
[実施例1の効果]
以下、実施例1の回転角速度センサ1が奏する効果を列挙する。
(1)回転体(ボディ100)の回転中心(軸O)から径方向に所定距離離間した位置に設けられ、回転体の回転に伴い遠心力が作用するように所定の質量を有すると共に、遠心力の作用によって径方向長さが減少するように形成された歪量検出ピース(梁104)と、回転体の回転方向を回転方向としたとき、歪量検出ピースの回転方向一方側に設けられ、歪量検出ピースの前記一方側の歪量A1を検出する第1歪センサ11aと、歪量検出ピースの回転方向他方側に設けられ、歪量検出ピースの前記他方側の歪量B1を検出する第2歪センサ11bと、を備え、歪量検出ピースに遠心力が作用することによって減少する歪量検出ピースの径方向長さ変化量である第1歪センサ11aおよび第2歪センサ11bの出力信号に基づき回転体の回転角速度ωを検出する。
よって、角度の微分演算によらない回転角速度情報を得ることができるため、検出精度を向上することができる。
【0037】
(2)歪量検出ピース(梁104)は、この歪量検出ピースの長手方向が回転体(ボディ100)の径方向とほぼ一致するように設けられる。
よって、遠心力によって変化する歪量検出ピースの径方向長さの変化量を大きくとることができるため、検出精度を向上することができる。
【0038】
(3)回転体(ボディ100)の回転中心(軸O)を基準として歪検出ピース(梁104)の反対側に設けられ、回転体の回転に伴い遠心力が作用するように所定の質量を有すると共に、遠心力の作用によって径方向長さが減少するように形成されたカウンタピース(梁105)と、カウンタピースの回転方向一方側に設けられ、カウンタピースの前記一方側の歪量A2を検出する第3歪センサ11cと、カウンタピースの回転方向他方側に設けられ、カウンタピースの前記他方側の歪量B2を検出する第4歪センサ11dと、を備え、カウンタピースに遠心力が作用することによって減少するカウンタピースの径方向長さ変化量である第3歪センサ11cの出力信号A2´と第1歪センサ11aの出力信号A1´の和を回転方向一方側の歪量Aとし、カウンタピースに遠心力が作用することによって減少するカウンタピースの径方向長さ変化量である第4歪センサ11dの出力信号B2´と第2歪センサ11bの出力信号B1´の和を回転方向他方側の歪量Bとし、回転方向一方側の歪量Aと回転方向他方側の歪量Bに基づき、回転体の回転角速度ωを検出する。
よって、回転体に回転方向以外の力が作用しても、この力をキャンセルした出力信号を得ることができるため、検出精度を向上することができる。
【0039】
(4)第1歪センサ11aおよび第2歪センサ11bは、歪量検出ピース(梁104)に作用する力によってピエゾ抵抗効果に基づき変化する内部抵抗値の変化に基づき歪量検出ピースの前記一方側の歪量Aおよび前記他方側の歪量Bを検出する。
よって、ピエゾ抵抗効果を用いた歪センサを用いることにより、検出精度を向上することができる。
【0040】
(5)第1歪センサ11aおよび第2歪センサ11bは、所定の電流が供給され、この電流に対する内部抵抗値の変化に伴う電圧降下量を検出することにより歪量A1,B1を検出する。
よって、構成を簡便化することができる。
【0041】
(6)第1歪センサ11aおよび第2歪センサ11bは、内部に不純物が拡散された拡散抵抗を含むシリコン結晶によって構成される。
よって、信頼性を向上しつつ検出精度を向上することができる。
【0042】
(7)シリコン結晶は単結晶である。
よって、信頼性を向上しつつ検出精度を向上することができる。
【0043】
[実施例2]
実施例2では、回転角加速度センサについて説明する。なお、以下では、回転角加速度dωは、加速度と減速度の両方を含むものとする。
実施例2の回転角加速度センサが適用されるパワーステアリング装置EPSは、回転角速度センサ1の代わりに、操舵角加速度としてピニオンシャフトPSの回転角加速度dωを検出する操舵角加速度検出手段としての回転角加速度センサ1を有する。運転者によりステアリングホイールSWが操舵されると、ステアリングシャフトSSを介してピニオンシャフトPSに伝達される回転角加速度(操舵角加速度)dωが、回転角加速度センサ1により検出され、ECUに出力される。ECUは、入力される回転角加速度dωに基づいて操舵アシスト量を補正し、操舵操作性や操舵フィーリングを向上するための制御を行う。例えば、回転角加速度dωの検出値に基づき作成した補償値により操舵アシスト量を補正する慣性補償、粘性補償等を行うことで、操舵フィーリングの向上を図る。この補償制御の内容は周知の技術であるため、説明を省略する。その他のEPSの構成は実施例1と同様である。回転角加速度センサ1の構成は、実施例1の回転角速度センサ1と同様である。すなわち、回転角加速度センサ1は、センサ本体(歪センサ11)と送信側アンテナ12とがボディ100に一体に組付けられたセンサユニット10として構成され、受信側アンテナユニット20との間で信号及び電力の授受を行う。歪量検出ピース及びカウンタピース(梁104及び梁105)と第1〜第1歪センサ11a〜11dの構成は、回転角速度センサ1と同様である。梁104及び梁105は、ボディ100の回転に伴い、ボディ100の回転方向への撓みが発生するように所定の質量および形状を有している。
【0044】
回転角加速度センサ1は、歪センサ11の出力信号に基づき、ボディ100(ピニオンシャフトPS)の回転角加速度dωを検出する。なお、歪センサ11の出力信号に基づき回転角加速度dωを検出する回路は、ボディ100に設けてもよいし、受信側アンテナユニット20やECUに設けてもよく、特に限定しない。具体的には、一方の梁104の回転方向一方側の第1歪センサ11aの出力信号(歪量A1)と、他方の梁105の回転方向一方側の第3歪センサ11cの出力信号(歪量A2)との和(A1+A2)を、回転方向一方側の歪量Aとする。また、一方の梁104の回転方向他方側の第2歪センサ11bの出力信号(歪量B1)と、他方の梁105の回転方向他方側の4歪センサ11dの出力信号(歪量B2)との和(B1+B2)を、回転方向他方側の歪量Bとする。そして、上記回転方向一方側の歪量A(=A1+A2)と回転方向他方側の歪量B(=B1+B2)の差{(A1+A2)−(B1+B2)}に基づき、回転角加速度dωを検出する。例えば{(A1+A2)−(B1+B2)}に所定の係数を乗算して回転角加速度dωを検出する。
【0045】
(実施例2の作用)
歪センサ11の出力信号は、ピニオンシャフトPSの回転に伴いボディ100の梁104,105に回転方向への撓み(図3の矢印β)が発生することによって生じる。すなわち、梁104,105に回転力が作用するとき、図3で矢印β´により示すように、梁104,105の回転方向一方側には伸び方向の撓みが発生し、回転方向他方側には縮み方向の撓みが発生する。歪センサ11は、(梁104,105に撓みが発生しない状態を基準とする)上記伸び方向の撓み量及び縮み方向の撓み量を、それぞれ歪量として検出し、出力する。撓みの伸び方向と縮み方向とでは、撓みに対応する歪量の符号が反対となる。具体的には、第1歪センサ1は、梁104の回転方向一方側の(例えば伸び方向の)撓み量を(例えば正の)歪量A1として検出し、出力する一方、第2歪センサ11bは、梁104の回転方向他方側の(縮み方向の)撓み量を(例えば負の)歪量B1として検出し、出力する。同様に、第3歪センサ11cは、梁105の回転方向一方側の撓み量を(例えば正の)歪量A2として検出し、出力する一方、第4歪センサ11dは、梁105の回転方向他方側の撓み量を(例えば負の)歪量B2として検出し、出力する。このように、回転体としてのボディ100の回転角加速度dωに応じて変化する(歪量検出ピースとしての梁104,105の)撓みを歪量として検出する。これにより、角度の2階微分によらない、物理量そのものとしての回転角加速度dωの情報を得ることができる。よって、回転角加速度dωの検出精度を向上することができる。
【0046】
具体的には、回転角加速度センサ1は、歪センサ11の出力信号に応じた値として(例えば出力信号に所定の係数を乗算した値として)、回転角加速度dωを算出する。すなわち、歪センサ11の出力信号(歪量A,B)と回転角加速度dωとの関係特性を表す図10に示すように、回転角加速度dωの大きさが増大するのに応じて、梁104,105に発生する撓み量は増大し、梁104,105の歪量A,Bは増大する。よって、歪量A,Bに応じた値として回転角加速度dωを算出することができる。単結晶シリコンによるピエゾ抵抗効果を利用した歪センサ11a〜11dを用いることによる作用効果は実施例1と同様である。
【0047】
また、車両の振動等により入力される外力(応力)に対して、実施例2の回転角加速度センサ1では以下のような対策を施すことで、回転角加速度dωの検出精度を向上している。
【0048】
回転角加速度センサ1は、梁104の回転方向一方側の撓み量である第1歪センサ11aの出力信号(歪量A1)、及び同じ梁104の回転方向他方側の撓み量である第2歪センサ11bの出力信号(歪量B1)に基づき、回転角加速度dωを検出する。このように梁104の両側に設けた歪センサ11の出力信号に基づくことで、ボディ100(ピニオンシャフトPS)の回転に伴う遠心力α´の影響を低減し、回転角加速度dωの検出精度を向上することができる。すなわち、ボディ100が回転すると、遠心力α´により梁104,105の径方向長さが変化(減少)することで、歪センサの出力には、撓みβ´(回転角加速度dω)による歪みと共に、上記遠心力α´による歪みが重畳される。梁104の回転方向一方側と他方側とでは、上記遠心力α´による歪みの方向が同じである一方、撓みβ´による歪みの方向が逆である。この異方性を利用して,上記遠心力α´による歪み成分の影響を低減するため、梁104の両側に設けた歪センサ11の出力信号に基づき回転角加速度dωを検出することで、撓むことによる歪み成分をより精度よく取り出すことができる。
【0049】
具体的には、図10に示すように、両センサ11a,11bの出力信号の差(A1−B1)に応じた値として(例えば(A1−B1)に所定の係数を乗算した値として)、回転角加速度dωを算出する。このように梁104の両側に設けた歪センサ11の出力信号の差をとることで、ボディ100(ピニオンシャフトPS)の回転に伴う遠心力α´の影響をキャンセルし、検出精度を向上することができる。すなわち、梁104の回転方向一方側と他方側とでは、上記遠心力α´による歪みの方向が同じであるため、梁104の両側に設けた歪センサ11の出力信号の差(A1−B2)をとることで、上記遠心力α´による歪み成分を相殺し、加減速による撓みβ´に起因する歪み成分のみを取り出すことができる。なお、第3、第4歪センサ11c、11dの出力信号の差(A2−B2)に応じて回転角加速度dωを算出してもよい。すなわち、梁104,105のうち少なくとも一方に設けた一組の歪センサ11に基づくことで、上記作用効果を得ることができる。
【0050】
また、回転角加速度センサ1は、一方の梁104の回転方向一方側の撓み量である第1歪センサ11aの出力信号と、他方の梁105の同じ回転方向側(回転方向一方側)の撓み量である第3歪センサ11cの出力信号とに基づき、回転角加速度dωを検出する。このように、ボディ100の回転中心Oを基準として反対側に設けられた梁104,105の各歪センサ11の出力信号を用いることで、ボディ100に回転方向以外の力(外乱)が加わることによる影響を低減し、検出精度を向上することができる。すなわち、実施例1で説明したように、ボディ100に回転方向以外の力として、例えば図3の矢印γで示すように径方向力(外乱)が作用すると、梁104と梁105とでは、上記外乱による歪量σの大きさはほぼ同一であるが、方向が逆である。この異方性を利用して、ボディ100の径方向反対側に設けられた両梁104,105の(回転方向で同じ側に設けられた)歪センサ11の出力信号に基づき回転角加速度dωを検出することで、上記外乱による歪み成分の影響を低減し、撓み(回転角加速度dω)による歪み成分をより精度よく取り出すことができる。
【0051】
具体的には、回転角加速度センサ1は、一方の梁104の回転方向一方側の撓み量である第1歪センサ11aの出力信号(歪量A1´)と、他方の梁105の回転方向一方側の撓み量である第3歪センサ11cの出力信号(歪量A2´)との和(A1´+A2´)を、回転方向一方側の歪量Aとする。また、一方の梁104の回転方向他方側の撓み量である第2歪センサ11bの出力信号(歪量B1´)と、他方の梁105の回転方向他方側の撓み量である第4歪センサ11dの出力信号(歪量B2´)との和(B1´+B2´)を、回転方向他方側の歪量Aとする。そして、上記回転方向一方側の歪量A(=A1´+A2´)と回転方向他方側の歪量B(=B1´+B2´)に基づき(両者の差に基づき)、回転角加速度dωを検出する。このように、対向して設けられた梁104,105の各歪センサ11の出力信号の和をとることで、上記外乱γ´による歪み成分σがキャンセルされた出力信号を得ることができ、回転角加速度dωの検出精度を向上することができる。すなわち、一方の梁104と他方の梁105とでは、上記外乱γ´による歪量σの方向が逆であるため、梁104,105の同じ回転方向側に設けた歪センサ11の出力信号の和をとることで、上記外乱γ´による歪み成分σを相殺し、撓みβ´(回転角加速度dω)による歪み成分A,Bのみを取り出すことができる(例えば、A1´+A2´=(A1+σ)+(A2−σ)=A1+A2)。
【0052】
ここで、梁104,105は、この梁104,105の(軸Oの方向から見たときの)長手方向が回転体(ボディ100)の径方向とほぼ一致するように設けられている。よって、回転力によって生じる梁104,105の撓み量を大きくとることができる。このため、歪量A,Bの検出精度、すなわち回転角加速度dωの検出精度を向上することができる。他の作用は実施例1と同様であるため、説明を省略する。
【0053】
(実施例2の効果)
以下、実施例2の回転角加速度センサ1が奏する効果を列挙する。
(8)回転体(ボディ100)の回転中心(軸O)から径方向に所定距離離間した位置に設けられ、回転体の回転に伴い回転体の回転方向への撓みが発生するように所定の質量および形状を有する歪量検出ピース(梁104)と、回転体の回転方向を回転方向としたとき、歪量検出ピースの回転方向一方側に設けられ、歪量検出ピースの前記一方側の歪量Aを検出する第1歪センサ11aと、歪量検出ピースの回転方向他方側に設けられ、歪量検出ピースの前記他方側の歪量Bを検出する第2歪センサ11bと、を備え、第1歪センサ11aと第2歪センサ11bの夫々が、歪量検出ピースの撓みによって伸び方向の撓みと縮み方向の撓みを検出するとき、第1歪センサ11aの出力信号A1と第2歪センサ11bの出力信号B1の差に基づき回転体の回転角加速度dωを検出する。
よって、角度の微分演算によらない回転角加速度情報を得ることができるため、検出精度を向上することができる。
【0054】
(9)歪量検出ピース(梁104)は、この歪量検出ピースの長手方向が回転体(ボディ100)の径方向とほぼ一致するように設けられる。
よって、回転力によって生じる歪量検出ピースの撓み量を大きくとることができるため、検出精度を向上することができる。
【0055】
(10)回転体(ボディ100)の回転中心(軸O)を基準として歪量検出ピース(梁104)の反対側に設けられ、回転体の回転に伴い回転体の回転方向への撓みが発生するように所定の質量および形状を有するカウンタピース(梁105)と、カウンタピースの回転方向一方側に設けられ、カウンタピースの前記一方側の歪量A2を検出する第3歪センサ11cと、カウンタピースの回転方向他方側に設けられ、カウンタピースの前記他方側の歪量B2を検出する第4歪センサ11dと、を備え、第1歪センサ11aの出力信号A1´と第3歪センサ11cの出力信号A2´の和を回転方向一方側の歪量Aとし、第2歪センサ11bの出力信号B1´と第4歪センサ11dの出力信号B2´の和を回転方向他方側の歪量Bとし、回転方向一方側の歪量Aと回転方向他方側の歪量Bの差に基づき、回転体の回転角加速度dωを検出する。
よって、回転体に回転方向以外の力が作用しても、この力をキャンセルした出力信号を得ることができるため、検出精度を向上することができる。
【0056】
(11)第1歪センサ11aおよび第2歪センサ11bは、歪量検出ピース(梁104)に作用する力によってピエゾ抵抗効果に基づき変化する内部抵抗値の変化に基づき歪量検出ピースの前記一方側の歪量Aおよび前記他方側の歪量Bを検出する。
よって、ピエゾ抵抗効果を用いた歪センサを用いることにより、検出精度を向上することができる。
【0057】
(12)第1歪センサ11aおよび第2歪センサ11bは、所定の電流が供給され、この電流に対する内部抵抗値の変化に伴う電圧降下量を検出することにより歪量A1,B1を検出する。
よって、構成を簡便化することができる。
【0058】
(13)第1歪センサ11aおよび第2歪センサ11bは、内部に不純物が拡散された拡散抵抗を含むシリコン結晶によって構成される。
よって、信頼性を向上しつつ検出精度を向上することができる。
【0059】
(14)シリコン結晶は単結晶である。
よって、信頼性を向上しつつ検出精度を向上することができる。
【0060】
[他の実施例]
以上、本発明を実現するための形態を、実施例1に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、実施例1,2では、回転角速度センサ1と回転角加速度センサ1をそれぞれ独立してパワーステアリング装置EPSに適用することとしたが、回転角速度センサ1及び回転角加速度センサ1の両方を同時にEPSに適用することとしてもよい。この場合、回転角速度センサ1及び回転角加速度センサ1は、それぞれの構成部品を共通とする一体のセンサとして設けられるため、部品点数を低減することができる。
実施例1,2では、回転角速度センサ1と回転角加速度センサ1は、EPSの回転軸(ステアリングシャフトSS)に適用されることとしたが、他の任意の装置の回転軸に適用することができる。また、回転軸に限らず、任意の回転体に適用可能である。
実施例1,2では、梁104,105をボディ100の内周側に突出するように設けたが、ボディ100の外周側に突出するように設け、遠心力の作用によって外径方向に若干延び、その径方向寸法が増大するように形成することとしてもよい。この場合、遠心力や径方向外乱に対する歪量の符号が変わるだけで、考え方は実施例1,2と同様である。また、梁104,105の一方をボディ100の内周側に突出するように設け、他方を外周側に突出するように設けることとしてもよい。
受信側アンテナユニット20は、センサユニット10と軸方向に対向する位置に限らず、例えばセンサユニット10の外周を取り囲むように設置してもよい。センサユニット10のアンテナは、実施例1では電力(出力)を稼ぐために外部に大きなアンテナを形成したが、チップ内に内蔵することとしてもよい。この場合、外部接続用の電極パッドが不要となり、電極がチップ表面に露出することがなく、劣悪な環境下で用いる場合にも、電極パッドの腐食等が起こらず、信頼性を向上できる。実施例1ではセンサユニット10の外部から歪センサ11に電力を供給することとしたが、チップ内に電源(蓄電池)を備えることとしてもよい。エネルギ供給及びECUとの通信方法としては、アンテナに誘導電磁界を形成する電磁誘導を用いるもののほか、マイクロ波を受信、復調して用いたものや、光を用いてエネルギ供給及び交信を行なうものでもよい。また、無線形式に限らず、スリップリングや固定ハーネス等を用いた有線形式によるものであってもよい。
シリコンの結晶方位と抵抗712a, 712bの配置は、実施例のものに限らず、任意に調整可能である。例えば以下の組み合わせのいずれかであってもよい。
1)抵抗712aをN型不純物拡散層で<100>方向を長手とし、ダミー抵抗712bをP型不純物拡散層で<100>方向を長手とし、2つの抵抗712a及び2つのダミー抵抗712bが平行配置されているもの
2)抵抗712aをN型不純物拡散層で<100>方向を長手とし、ダミー抵抗712bをN型不純物拡散層で形成し、ダミー抵抗712bはV字形状でV字を形成する直線部分の長手方向が<110>方向とされているもの
3)抵抗712aをP型不純物拡散層で、ダミー抵抗712bをN型不純物拡散層で形成し、抵抗712a及びダミー抵抗712bをともに<110>方向を長手とするように形成し、かつ、2つの抵抗712a及び2つのダミー抵抗712bが平行配置されているもの
【符号の説明】
【0061】
100 ボディ(回転体)
104 梁(歪量検出ピース)
105 梁(カウンタピース)
11a 第1歪センサ
11b 第2歪センサ
11c 第3歪センサ
11d 第4歪センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体の回転中心から径方向に所定距離離間した位置に設けられ、前記回転体の回転に伴い遠心力が作用するように所定の質量を有すると共に、前記遠心力の作用によって径方向長さが増大または減少するように形成された歪量検出ピースと、
前記回転体の回転方向を回転方向としたとき、前記歪量検出ピースの前記回転方向一方側に設けられ、前記歪量検出ピースの前記一方側の歪量を検出する第1歪センサと、
前記歪量検出ピースの前記回転方向他方側に設けられ、前記歪量検出ピースの前記他方側の歪量を検出する第2歪センサと、を備え、
前記歪量検出ピースに前記遠心力が作用することによって増大または減少する前記歪量検出ピースの径方向長さ変化量である前記第1歪センサおよび前記第2歪センサの出力信号に基づき前記回転体の回転角速度を検出する
ことを特徴とする回転角速度センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の回転角速度センサにおいて、
前記歪量検出ピースは、この歪量検出ピースの長手方向が前記回転体の径方向とほぼ一致するように設けられることを特徴とする回転角速度センサ。
【請求項3】
請求項1に記載の回転角速度センサにおいて、
前記回転体の回転中心を基準として前記歪検出ピースの反対側に設けられ、前記回転体の回転に伴い遠心力が作用するように所定の質量を有すると共に、前記遠心力の作用によって径方向長さが増大または減少するように形成されたカウンタピースと、
前記カウンタピースの前記回転方向一方側に設けられ、前記カウンタピースの前記一方側の歪量を検出する第3歪センサと、
前記カウンタピースの前記回転方向他方側に設けられ、前記カウンタピースの前記他方側の歪量を検出する第4歪センサと、を備え、
前記カウンタピースに前記遠心力が作用することによって増大または減少する前記カウンタピースの径方向長さ変化量である前記第3歪センサの出力信号と前記第1歪センサの出力信号の和を回転方向一方側の歪量とし、
前記カウンタピースに前記遠心力が作用することによって増大または減少する前記カウンタピースの径方向長さ変化量である前記第4歪センサの出力信号と前記第2歪センサの出力信号の和を回転方向他方側の歪量とし、
前記回転方向一方側の歪量と前記回転方向他方側の歪量に基づき、前記回転体の回転角速度を検出することを特徴とする回転角速度センサ。
【請求項4】
回転体の回転中心から径方向に所定距離離間した位置に設けられ、前記回転体の回転に伴い前記回転体の回転方向への撓みが発生するように所定の質量および形状を有する歪量検出ピースと、
前記回転体の回転方向を回転方向としたとき、前記歪量検出ピースの前記回転方向一方側に設けられ、前記歪量検出ピースの前記一方側の歪量を検出する第1歪センサと、
前記歪量検出ピースの前記回転方向他方側に設けられ、前記歪量検出ピースの前記他方側の歪量を検出する第2歪センサと、を備え、
前記第1歪センサと前記第2歪センサの夫々が、前記歪量検出ピースの撓みによって伸び方向の撓みと縮み方向の撓みを検出するとき、前記第1歪センサの出力信号と前記第2歪センサの出力信号の差に基づき前記回転体の回転角加速度を検出することを特徴とする回転角加速度センサ。
【請求項5】
請求項4に記載の回転角加速度センサにおいて、
前記歪量検出ピースは、この歪量検出ピースの長手方向が前記回転体の径方向とほぼ一致するように設けられることを特徴とする回転角加速度センサ。
【請求項6】
請求項4に記載の回転角加速度センサにおいて、
前記回転体の回転中心を基準として前記歪量検出ピースの反対側に設けられ、前記回転体の回転に伴い前記回転体の回転方向への撓みが発生するように所定の質量および形状を有するカウンタピースと、
前記カウンタピースの前記回転方向一方側に設けられ、前記カウンタピースの前記一方側の歪量を検出する第3歪センサと、
前記カウンタピースの前記回転方向他方側に設けられ、前記カウンタピースの前記他方側の歪量を検出する第4歪センサと、を備え、
前記第1歪センサの出力信号と前記第3歪センサの出力信号の和を回転方向一方側の歪量とし、
前記第2歪センサの出力信号と前記第4歪センサの出力信号の和を回転方向他方側の歪量とし、
前記回転方向一方側の歪量と前記回転方向他方側の歪量の差に基づき、前記回転体の回転角加速度を検出することを特徴とする回転角加速度センサ。
【請求項7】
請求項1に記載の回転角速度センサまたは請求項4に記載の回転角加速度センサにおいて、
前記第1歪センサおよび前記第2歪センサは、前記歪量検出ピースに作用する力によってピエゾ抵抗効果に基づき変化する内部抵抗値の変化に基づき前記歪量検出ピースの前記一方側の歪量および前記他方側の歪量を検出することを特徴とする回転角速度センサまたは回転角加速度センサ。
【請求項8】
請求項7に記載の回転速度センサまたは回転角加速度センサにおいて、
前記第1歪センサおよび前記第2歪センサは、所定の電流が供給され、この電流に対する前記内部抵抗値の変化に伴う電圧降下量を検出することにより前記歪量を検出することを特徴とする回転角速度センサまたは回転角加速度センサ。
【請求項9】
請求項8に記載の回転角速度センサまたは回転角加速度センサにおいて、
前記第1歪センサおよび前記第2歪センサは、内部に不純物が拡散された拡散抵抗を含むシリコン結晶によって構成されることを特徴とする回転角速度センサまたは回転角加速度センサ。
【請求項10】
請求項9に記載の回転角速度センサまたは回転角加速度センサにおいて、
前記シリコン結晶は単結晶であることを特徴とする回転角速度センサまたは回転角加速度センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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