説明

回転連結装置

【課題】接続具の組み立てに際しての作業性を向上させて簡単な作業により接続具の抜け止めが確実に行えると共に、使用される接続具の形態に影響されることなく、簡単な作業により接続具の取り付けが可能となる構成を備えた回転連結装置を提供する。
【解決手段】接続胴10に対して挿嵌される接続金具20および鎖30の連結に際し、接続金具20には接続胴10内に挿嵌される駒部21と小径の軸22が備えられ、小径の軸22には半円筒状のスリーブ23a、23bを嵌め込むと共に半円筒状のスリーブ23a、23aに形成された凹溝23a1、23b1に係止用ピン50を接続胴10に形成されているスリット10a、10bに向け挿通し、係止用ピン50の先端を折り曲げることで小径の軸22を囲繞した状態として抜け止めし、鎖30は接続胴側端部に位置する鎖の輪にピン31を挿通し、ピン31を回転リング32に挿入した上で回転リング32を接続胴10の内部に装填することで抜け止めを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キーホルダや作業工具等を使用者のベルトなどに接続するために用いられる装置である回転連結装置に関し、さらに詳しくは、接続胴の両端に設けられた接続金具や鎖等の部材を互いに回転できるようにした回転連結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スイベルジョイント等の回転連結装置には、フックなどの接続具とその接続具を支持する接続支持体とを相対的に回転可能に連結し、両者のうち、一方が回転してもその回転が他方に伝達されないようにした構成を用いることがよく知られている。
接続具を回転可能に支持する構成としては、接続具に有するロッド部に環状凹部を設け、接続具が挿入される接続支持体内の挿入穴に前記環状凹部にて転動可能な球体を配置することにより、接続具の回転および軸方向での抜け止めを行う構成がある(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、回転支持のための別例としては、上述した接続具に有するロッド部に対して外部から略Cリング形の板状部材を差し込み、リング部材により軸方向への移動を制止する構成が提案されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭62−146036号公報
【特許文献2】特許第3815974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている接続具の抜け止め構造においては、接続具の支持側となる接続支持体内に挿入される球体を外部からねじ込まれるネジにより脱落防止を行う作業が必要となる。このため、作業工数の増加やネジ止めを忘れた場合の球体脱落により接続具の抜け止めが確実に行えなくなる虞がある。
【0006】
一方、特許文献2に開示されている接続具の抜け止め構造においては、リング部材をその習性に抗して拡径した状態を維持しながら挿嵌する作業が必要となる。このため、作業の労力負担が増加し、抜け止めを行うための構成が簡単に行いがたいという不具合がある。
また特許文献2では、フック部を筒形部で金属ワイヤを芯としたコードと連結する構成が提案されており、金属ワイヤをアルミや黄銅のスリーブからなる止め金具に抜き通し、プレスで圧着している。
接続具同士を鎖で接続したいという要請があるが、前述の圧着法ではスリーブ内の鎖が変形したり、破断して強度が極端に低下することがある。また、つぶれた形状が偏平だとなめらかに回転させることは難しい。鎖を固定し、しかも回転させようとするには、ナス環や回転環などにシャックルなどを用いて鎖とナス環を接続する場合が一般的だが、なめらかに回転しないため、鎖がシャックルに絡まったり、よじれたりすることがある。
したがって、これらの構成を採用することはできず、確実で手頃なより戻し機構についての提案も見当たらない。
【0007】
本発明は、上記従来の回転連結装置における諸問題に鑑み、接続具の組み立てに際しての作業性を向上させて簡単な作業により接続具の抜け止めが確実に行えると共に、使用される接続具の形態に影響されることなく、簡単な作業により接続具の取り付けが可能となる構成を備えた回転連結装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を達成するため、本発明にあっては、接続胴(10)の一端に接続金具(20) を接続金具受け部(11)により受け、前記接続胴(10)の他端の鎖(30)を鎖受け部(12)により受けて、前記接続金具(20) と鎖(30)が相互に同軸に回転可能に連結する回転連結装置(100)であって、
前記接続金具(20)は、前記接続胴(10)の内径内に遊嵌する駒部(21)と、前記駒部より小径の軸(22)と、前記接続金具受け部(11)の外部に現れる連携部(23)とを備え、
前記接続金具受け部(11)は、前記接続胴(10)の一端に設けられた対向する対のスリット(10a、10b)と、前記小径の軸(22)に内周面で対応し外周面に溝(23a1、23b1)を有する対の半円筒のスリーブ(23a、23b)と、前記半円筒のスリーブ(23a、23b)を前記小径の軸(22)の外周に対応させた状態で前記溝に係合して対のスリット(10a、10b)に係止する係止用のピン(50)とを備え、
前記鎖受け部(12)は、前記接続胴(10)の他端の空洞部(14)、前記空洞部に連接された鎖孔(13)と、前記鎖(30)の輪に挿入されたピン(31)を支持する前記空洞部に遊嵌する回転リング(32)とを備えたものである。
【0009】
また本発明においては、接続胴(60)の両端にそれぞれ接続金具(20A、20B)を接続金具受け部(60A、60B)により相互に同軸に回転可能に連結する回転連結装置(100’)であって、
前記各接続金具(20A、20B)は、それぞれ前記接続胴(60)の内径内に遊嵌する駒部(21A、21B)と、前記駒部より小径の軸(22A、22B)と、前記各接続金具受け部(60A、60B)の外部に現れる連携部(23A、23B)とを備えたものである。
【0010】
前記各接続金具受け部(60A、60B)は、それぞれ前記接続胴(60)の両端部に設けられた対向する対のスリット(61Aa、61Ab)(61Ba、61Bb)と、
前記各小径の軸(22A、22B)にそれぞれ内周面で対応し外周面に溝(23Aa1、23Ab1)(23Ba1、23Bb1)を有する対の半円筒のスリーブ(23Aa、23Ab)(23Ba、23Bb)と、
前記各対の半円筒のスリーブ(23Aa、23Ab)(23Ba、23Bb)を前記各小径の軸(22A,22B)の外周に対応させた状態で前記各溝(23Aa1、23Ab1)(23Ba1、23Bb1)に係合して前記各対のスリット(61Aa、61Ab)(61Ba、61Bb)にそれぞれ係止する係止用のピン(50A、50B)とを備えたものである。
【0011】
前記半円筒のスリーブ(23a、23b)(23Aa、23Ab)(23Ba、23Bb)は、外周面と前記接続胴(10)(60)の内周面との間に隙間が形成できる外径を有し、該外周面の一部に前記スリット(10a、10b)(61Aa、61Ab)(61Ba、61Bb)に平行する凹溝(23a1、23b1)(23Aa1、23Ab1)(23Ba1、23Bb1)が形成されて前記係止用のピン(50)(50A、50B)の挿通部とされているものである。
【0012】
前記半円筒のスリーブ(23a、23b)(23Aa、23Ab)(23Ba、23Bb)の外周面に形成されている凹溝(23a1、23b1)(23Aa1、23Ab1)(23Ba1、23Bb1)は、挿通された前記係止用のピン(50)(50A、50B)が前記スリット(10a、10b)(61Aa、61Ab)(61Ba、61Bb)内に入り込むと、前記係止用のピン(50)(50A、50B)の外周部が前記接続胴(10)(60)の外周面と面一となる深さに設定されているものである。
【0013】
前記スリット(10a、10b)(61Aa、61Ab)(61Ba、61Bb)は、前記接続胴(10)(60)の周方向に沿った長さの半周未満とされ、挿入された前記係止用のピン(50)(50A、50B)が嵌合して前記接続金具(20)(20A、20B)の前記接続胴(10)(60)の軸方向への動きを規制する部分として用いられるものである。
【0014】
前記係止用のピン(50)(50A、50B)が、平面視形状U字状をなし、開放端同士をこれら開放端同士が近づく向きに折り曲げあるいは押し潰すことにより前記スリーブ(23a、23b)(23Aa、23Ab)(23Ba、23Bb)の周囲を囲繞した状態で保持されるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、接続金具の抜け止めのための構成として、半円筒状のスリーブに形成されている凹溝に挿入されて接続胴側のスリットに入り込む係止用のピンを備えているので、単なる挿入のみの作業で抜け止めのための構成を得ることができる。これにより、接続金具の回転部分への負荷を作用させることが少ないので、負荷が作用した場合の変形などが原因で円滑な回転ができなくなるのを防止し、円滑な回転を保証しながら組み付け作業も簡単にすることができる抜け止め構造を得ることができる。
また、本発明によれば、接続金具と鎖の連結において、回転リングの孔に鎖の一端の鎖環内を抜き貫いたピンを通すだけで簡単に鎖が固定でき、鎖および回転リングは加工による変形もない。よって、鎖を固定された回転リングは接続胴の他端の空洞部内でなめらかに回転することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による回転連結装置の第1実施例の全体構成を示す図である。
【図2】図1に示した回転連結装置の構成部品の詳細を説明するための分解図である。
【図3】本発明による回転連結装置の第2実施例の全体構成を示す図である。
【図4】図3に示した回転連結装置の構成部品の詳細を説明するための分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面により本発明を実施するための形態を実施例として説明する。
図1、2は、本発明による回転連結装置の第1実施例を示す図であり、図1(A)は外観図、図1(B)は接続胴10を断面で表示した図、図1(C)は鎖受け部の構成部材を示す図である。そして、図2(A)は接続胴10とスリーブの一方を断面で表す分解図、図2(B)は図2(A)における接続胴10の正面図、図2(C)は図2(A)における(C)で示す方向の要部矢視図、図2(D)は図2(A)におけるスリーブと係止用のピンとの関係を示す図、図2(E)は鎖に用いる回転リングの構成を示す図、図2(F)は鎖の組み立て状態を示す図である。
【0018】
図1において、回転連結装置100は、接続胴10に組み込まれる接続金具受け部11と鎖受け部12とを備えている。
接続金具受け部11は、接続胴10に設けられたスリット10a、10bと、半円筒状のスリーブ23a、23bと、ピン50からなる。
鎖受け部12は、接続胴10の他端の空洞部14と、空洞部14に連接された鎖孔13と、回転リング32からなる。
接続胴10は、真鍮製あるいは樹脂製からなる砲弾型形状を有し、内部が空洞とされた部材であり、一端側が開口され、他端側に位置する砲弾形状先頭部中心には、鎖が外部に延長できる鎖孔13が穿たれている。
他端側の内部は、図2に示すように、鎖受け部12に用いられる回転リング32を定置するための空洞部14と段部10cが形成されている。
接続胴10の周面には、一端側近傍において、周方向で断面中心を境にして対向する位置に半周未満の周方向長さを設定された対のスリット10a、10bが設けられている。
【0019】
スリット10a、10bの周方向の長さは、上述したように半周未満とされていることにより、後述するが、接続金具20に装着される係止用のピン50が嵌合した際に、接続金具20が接続胴10の軸方向および周方向に動くのを規制することができるようになっている。
【0020】
接続金具受け部11は、接続金具20を回転可能に支持している。
接続金具20は、接続胴10の内径内に遊嵌可能な駒部21と、駒部21よりも小径の軸22と、接続金具受け部11の外部に露出する連携部23とを備えている。
【0021】
接続金具20は、接続胴10の内部に駒部21を遊嵌させて連携部23を回転させることができる部材であり、接続胴10からの抜け止めのために用いられる部材として、小径の軸22の周方向に沿って2分されて対部材で構成されている半円筒状のスリーブ23a、23bと係止用のピン50とが用いられる。
【0022】
半円筒状のスリーブ23a、23bは、内径が小径の軸22の外径に対応させてあり、分割面同士を合わせた状態で小径の軸22の外周面にあてがうことで小径の軸22に組み付けられる。
半円筒状のスリーブ23a、23bの外周面には、接続胴10側に形成されているスリット10a、10bと対向する位置に、スリット10a、10bの貫通(周壁の厚さ方向)方向に平行する凹溝23a1、23b1がそれぞれ形成されている。
【0023】
凹溝23a1、23b1は、スリット10a、10bの貫通方向と平行して形成されていることにより、後述する抜け止め部材に相当する係止用のピン50を挿入する部分として用いられる。
凹溝23a1、23b1の深さは、後述する係止用のピン50の先端がスリット10a、10b内に入り込んだ際に、挿入方向上流側の外周面が接続胴10の外周面と面一となる深さに設定されている。これにより、係止用のピン50が差し込まれた際に、ピン50の挿入方向上流側の外周面が接続胴10の外周面よりも突出して見栄えが悪くなるのを回避するようになっている。
【0024】
図2において係止用のピン50は、平面視形状がほぼU字状をなし、凹溝23a1、23b1の形成方向に挿入されると、図2(D)において二点鎖線の矢印で示すように、その先端部が折り曲げあるいは押し潰されることで接続金具20の小径の軸部22の外周面を囲繞する状態に成形される。
【0025】
一方、鎖受け部12は、回転リング32と後述のように一体化された鎖30を回転可能に支持しており、鎖30は、接続胴10の他端の空洞部14内に装填される。
つまり、接続胴10の形状である砲弾形状の頭部側に相当する他端の空洞部14内には径方向に平行する段部10cが設けられており、段部10cには、回転リング32が定置されるようになっている。
【0026】
回転リング32は、断面中心を挟んで対向する位置に小孔32aが形成されており、小孔32aには、鎖30の接続胴10側端部に位置する鎖の輪に挿通されるピン31の軸方向両端が挿通されるようになっている。
これにより、鎖30は、ピン31により端部に位置する鎖の輪が回転リング32と一体化されて回転リング32から抜けるのを防止され、回転リング32が接続胴10の開口端側から挿入されて段部10cに定置されると、鎖孔13から外部に向けて延長される。
【0027】
本実施例は以上のような構成であるから、その組み立て手順を説明すると次の通りである。
回転連結装置100は、接続胴10に接続金具20および鎖30を装填することで組み立てられる。
組み立てに際しては、接続金具20よりも先に鎖30が接続胴10内に装填される。
【0028】
鎖30は、上述したようにピン31を介して回転リング32と一体化されており、この状態で接続胴10の開口端側から鎖30を接続胴10の内部に入れ、回転リング32が接続胴10の段部10cに定置されると鎖30の組み込みが完了する。回転リング32が接続胴10の段部10cに定置されることにより、鎖30は抜け止めされた状態を維持される。
【0029】
一方、接続金具20を接続胴10に組み込む際には、半円筒状のスリーブ23a、23bを小径の軸22に嵌め込んだ状態で接続胴10の内部に駒部21を挿嵌する。小径の軸22に嵌め込まれている半円筒状のスリーブ23a、23bの凹溝23a1、23b1と接続胴10側のスリット10a、10bの位置を合わせた状態で係止用のピン50を外部からスリットの一方に向けて挿入する。この状態は図2(D)に示す状態である。
【0030】
スリットの一方から挿入された係止用のピン50はスリットの他方に先端を突出させると、図2(D)において二点鎖線で示す矢印のように、その先端を折り曲げあるいは押し潰すことで先端が接続胴10のスリットから外部に突出することなく小径の軸22を囲繞する状態で回転可能に格納される。係止用のピン50は、スリット内に収められることにより、その側端がスリットの側部内面に衝止され、また、周方向端縁がスリットの長手方向両端内面に衝止されるので、接続金具20が接続胴10の軸方向および周方向での移動を規制されることになる。
【0031】
以上のように、本実施例においては、接続胴10内に装填される接続金具20および鎖30が、挿入に特別な外力を要しない係止用のピン50およびピン31を有する回転リング32によって接続胴10に組み付けられると、接続胴10の軸方向に移動して抜けてしまうのをそれぞれ防止することができる。
【0032】
次に本発明による回転連結装置の第2実施例について説明する。
図3、4は第2実施例による回転連結装置を示す図であり、そのうちで、図3(A)は外観図、図3(B)は接続胴(便宜上、符号60を用いる)を断面で表した図であり、そして、図4(A)は接続胴と一方のスリーブ23Baを断面で表す分解図、図4(B)は図4(A)における接続胴60の正面図、図4(C)は図4(A)における連携具の一つ20Aを対象とした詳細図で、一方のスリーブ23Aaを断面で示した図であり、図4(D)は図4(A)において(D)で示す方向の要部矢視図、図4(E)は図4(A)におけるスリーブと係止用のピンとの関係を示す図である。
【0033】
図3において、図1に示した構成と異なる点は、鎖に代えてナス環23Aを連携部として組み付ける点にある。
本実施例による回転連結装置100’は、接続胴60に組み込まれる接続金具受け部60Aと60Bを備えている。
接続金具受け部60Aと60Bは、それぞれ、接続胴60の両端部に設けられた対向する対のスリット(61Aa、61Ab)、(61Ba、61Bb)と、半円筒状のスリーブ(23Aa、23Ab)、(23Ba、23Bb)と、ピン50A、50Bからなる。
接続金具受け部60A、60Bは、接続金具20Aおよび20Bを回転可能に支持している。
本実施例に用いられる接続胴60は、円筒形状をなし、両端部近傍には、図1に示した場合と同様な形態からなるスリット61Aa、61Ab、61Ba、61Bbが設けられている。
接続胴60の一端側には、図1に示した場合と同様な構成の連携具23Bを備えた接続金具(便宜上、符号20Bで示す)が装備され、接続胴60の他端側にはナス環を連携具23Aとして用いる接続金具20Aが装備されている。
つまり、接続金具20Aには、図1、2において説明した接続金具20を対象とした構成と同様に、接続胴60内に挿嵌される駒部21Aとこれよりも小径の軸22Aが設けられている。
なお、図3、4において、接続金具20Bを対象とした構成は、図1、2に示した接続金具20の構成と同様であるので、符号のみを異ならせて表示することを前置きしておく。
【0034】
接続金具20Aの接続胴60からの抜け止めのために用いられる部材として、図4に示すように、小径の軸22Aの周方向に沿って2分された対部材としての半円筒状のスリーブ23Aa、23Abと係止用のピン50Aとが用いられる。
半円筒状のスリーブ23Aa、23Abは、図1、2において説明した場合と同様な構成を備えており、係止用のピン50Aがスリーブに形成されている凹溝23Aa1および、23Ab1内に挿入されると接続胴60側のスリット61Aa、61Ab内に入り込み、その先端が折り曲げあるいは押し潰されると小径の軸22Aを囲繞して接続胴60の外周面から突出しない状態とされる。
なお、図3、4において、符号21Bは接続金具20Bに設けられている駒部、符号22Bは小径の軸、符号23Ba、23Bbは半円筒状のスリーブ、50Bは係止用のピンをそれぞれ示している。
【0035】
本実施例は以上のような構成であるから、その組み立て手順を説明すると次の通りである。
回転連結装置100’は、接続胴60に接続金具20Aおよび20Bを装填することで組み立てられる。
組み立てに際しては、接続金具20Aおよび20Bのいずれが先行しても良い。
【0036】
接続金具20A(接続金具20B)を接続胴60に組み込む際には、半円筒状のスリーブ23Aa、23Ab(23Ba、23Bb)を小径の軸22A(22B)に嵌め込んだ状態で接続胴60の内部に駒部21A(21B)を挿嵌する。
接続金具20A(接続金具20B)に有する小径の軸22A(22B)に嵌め込まれている半円筒状のスリーブ23Aa、23Ab(23Ba、23Bb)の凹溝23Aa1、23Ab1(23Ba1、23Bb1)と接続胴60側のスリット61Aa、61Ab(61Ba、61Bb)との位置を合わせた状態で係止用のピン50A(50B)を外部からスリットの一方に向けて挿入する。この状態は図4(E)に示す状態である。なお、図4(E)は接続金具20Aを対象として示したものであるが、接続金具20Bを対象とする場合は図1、2に示した場合と同様である。
【0037】
スリットの一方から挿入された係止用のピン50Aは、スリットの他方に先端を突出させると、図4(E)において二点鎖線で示す矢印のように、その先端を折り曲げあるいは押し潰すことで先端が接続胴60のスリットから外部にはみ出すことなく小径の軸22Aを囲繞する状態で回転可能に格納される。
係止用のピン50A(50B)は、スリット内に収められることにより、その側端がスリットの側部内面に衝止され、そして周方向端縁がスリットの長手方向両端内面に衝止されることが可能であるので、接続金具20A(20B)が接続胴60の軸方向および周方向での移動を規制されることになる。
【0038】
以上のような実施例において、回転する接続金具を接続胴に装填する場合、図1、2に示した実施例では、係止用のピン50の挿入および回転リング32に対するピン31の挿入のみで接続金具20および鎖30を回転支持ができると共に抜け止めが行え、図3、4に示した実施例では係止用のピン50A、50Bの挿入のみで接続金具20A、20Bの回転支持ができると共に抜け止めが行える。
【0039】
従って、カシメ作業やリング部材の習性に抗した拡開作業などを必要としないので、作業労力の負担を軽減することができる。しかも、係止用のピンは挿入後先端を折り曲げあるいは押し潰す作業を要するが、接続金具の軸に対してではなく、半円筒状のスリーブに対して折り曲げあるいは押し潰しの際の負荷が作用する構成であるので、接続金具の回転部分への負荷を作用されることがない。これにより、回転部分への負荷による回転部分の変形を回避して接続金具が回転しにくくなるのを確実に防ぐことができる。
特に、係止用のピンを折り曲げあるいは押し潰す際にピンに作用する力は、その先端のみであるので、接続金具の回転軸を押し潰したり変形させることが殆どなく、回転部分の潰れや曲がりによって回転が円滑に行えなくなるのを未然に防止することが可能となる。
【0040】
以上詳しく説明した実施例について、本発明の範囲内で種々の変形を施すことができる。例えば鎖30の回転リング32へのピン31による結合は、唯一の鎖環があれば、他は鎖環に結合するワイヤ、ワイヤロープであっても良い。また鎖や、鎖環に結合するワイヤ、ワイヤロープ等を樹脂で被覆することもできる。
係止用のピン50、50A、50Bも厳格にU字状でなくても、コの字形であることを妨げず、一本のピンでなくても良い。
接続金具としてナス環等の着脱連結用の金具の例を示したが、自体が工具としての機能を備えるものであることを妨げない。
【0041】
本発明に係る回転連結装置を利用して、キーホルダ,工具等を使用者の腰部に連結し、紛失や落下を防止することができ、実用性に加え装飾性も備えることができる。
【符号の説明】
【0042】
10、60 接続胴
10a、10b、61Aa、61Ab、61Ba、61Bb スリット
10c 段部
11、60A、60B 接続金具受け部
12 鎖受け部
14 空洞部
20、20A、20B 接続金具
21、21A、21B 駒部
22、22A、22B 小径の軸部
23a、23b、23Aa、23Ab、23Ba、23Bb スリーブ
30 鎖
31 ピン
32 回転リング
50、50A、50B 係止用のピン
100、100’ 回転連結装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続胴の一端に接続金具を接続金具受け部により受け、前記接続胴の他端の鎖を鎖受け部により受けて、前記接続金具と鎖が相互に同軸に回転可能に連結する回転連結装置であって、
前記接続金具は、前記接続胴の内径内に遊嵌する駒部と、前記駒部より小径の軸と、前記接続金具受け部の外部に現れる連携部とを備え、
前記接続金具受け部は、前記接続胴の一端に設けられた対向する対のスリットと、前記小径の軸に内周面で対応し外周面に溝を有する対の半円筒のスリーブと、前記半円筒のスリーブを前記小径の軸の外周に対応させた状態で前記溝に係合して前記対のスリットに係止する係止用のピンとを備え、
前記鎖受け部は、前記接続胴の他端の空洞部、前記空洞部に連接された鎖孔と、前記鎖の輪に挿入されたピンを支持する前記空洞部に遊嵌する回転リングと
を備える回転連結装置。
【請求項2】
接続胴の両端にそれぞれ接続金具を接続金具受け部により相互に同軸に回転可能に連結する回転連結装置であって、
前記各接続金具は、それぞれ前記接続胴の内径内に遊嵌する駒部と、前記駒部より小径の軸と、前記各接続金具受け部の外部に現れる連携部とを備え、
前記各接続金具受け部は、それぞれ前記接続胴の両端部に設けられた対向する対のスリットと、
前記各小径の軸にそれぞれ内周面で対応し外周面に溝を有する対の半円筒のスリーブと、
前記各対の半円筒のスリーブを前記各小径の軸の外周に対応させた状態で前記各溝に係合して前記各対のスリットにそれぞれ係止する係止用のピンと
を備える回転連結装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−220353(P2011−220353A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86325(P2010−86325)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(598029988)
【Fターム(参考)】