説明

回転電機

【課題】磁石の温度変化を迅速に、精度良く検出すること、および、冷却オイルを用いない構成においても磁石温度を精度良く判定することが可能な回転電機を提供すること。
【解決手段】軸心X回りで回転自在に支持され、磁石11を備えたロータ本体10と、ロータ本体10の径方向外側に配置されたステータ20と、ロータ本体10に設けられ、ロータ本体10の温度変化に基づいて変位する温度感応部2と、温度感応部2の変位量を判定する判定手段5とを備えている回転電機とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸心回りで回転自在に支持され磁石を備えたロータ本体と、ロータ本体の径方向外側に配置されたステータと、同磁石の温度を判定する温度判定機構とを備えた回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の回転電機に関連する先行技術文献情報として下記に示す特許文献1がある。この特許文献1に記された回転電機では、ロータの内部に配置された磁石に沿って磁石冷却用オイル流通路が設けられており、回転電機の駆動時にはポンプによって同磁石冷却用オイル流通路に冷却オイルが供給される。遠心力によって磁石冷却用オイル流通路から放出される冷却後の冷却オイルの温度を測定する温度センサが温度判定機構として設けられており、この温度センサによって得られた推定磁石温度が限界温度を超えると冷却オイルの供給量を増やす構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−178243号公報(0035段落、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記された回転電機では、磁石の温度の上昇が直ぐに精度良く冷却オイルの温度変化に反映され難いため、実際の磁石の温度変化の検出に時間的な遅れが生じ易い、温度変化の検出精度が十分に高くないなどの問題があった。また、冷却オイルを用いない形態の回転電機には適用できないという問題もあった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上に例示した従来技術による回転電機が与える課題に鑑み、磁石の温度変化を迅速に、精度良く検出することが可能な回転電機を提供することにある。
【0006】
また、本発明の他の目的は、上に例示した従来技術による回転電機が与える課題に鑑み、冷却オイルを用いない形態の回転電機においても磁石の温度を判定することが可能な回転電機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による回転電機の第1の特徴構成は、
軸心回りで回転自在に支持され、磁石を備えたロータ本体と、
前記ロータ本体の径方向外側に配置されたステータと、
前記ロータ本体に設けられ、前記ロータ本体の温度変化に基づいて変位する温度感応部と、
前記温度感応部の変位量を判定する判定手段と、を備えている点にある。
【0008】
本発明の第1の特徴構成による回転電機では、磁石を冷却したオイルの温度から磁石温度を推定する構成ではなく、ロータ本体に設けられた温度感応部の変位量に基づいて磁石の温度変化を判定できるので、磁石の温度を迅速に、精度良く検出することが可能となる。また、同じ理由から冷却オイルを用いない形態の回転電機においても磁石の温度を検出することが可能となる。
【0009】
本発明の他の特徴構成は、前記温度感応部が前記ロータ本体の端面に設けられており、前記判定手段が前記温度感応部までの前記軸心方向に関する間隔を測定するギャップセンサによって構成されている点にある。
【0010】
本構成であれば、温度感応部をロータ本体の外周面に設置した構成に比して回転電機を径方向においてコンパクト化し易いため有利である。
【0011】
本発明の他の特徴構成は、前記ギャップセンサによる測定結果に対する前記ロータ本体のガタツキによる外乱を除去する補正機構が設けられている点にある。
【0012】
本構成であれば、ロータ本体に幾らかのガタツキが存在する場合にも、その影響を補正機構によって除去できるため、磁石の温度変化を精度良く検出することが可能となる。
【0013】
本発明の他の特徴構成は、前記補正機構が前記ロータ本体を挟んで前記判定手段と対向する位置に配置された第2のギャップセンサを含む点にある。
【0014】
本構成であれば、前記ロータ本体の軸心方向に関する変位によるガタツキを第2のギャップセンサによって検出し、その検出結果を温度感応部材と対に設けられた第1のギャップセンサによる間隔測定結果に反映させることで、少なくともロータ本体の軸心方向に関するガタツキの影響を除去し、より精度の高い温度判定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】回転電機の破断側面図である。
【図2】回転電機の要部を示す破断断面図である。
【図3】回転電機の別実施形態を示す破断断面図である。
【図4】回転電機のさらに別の実施形態を示す破断断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
本発明に係る回転電機について、図1および図2に示す電動モータ(回転電機の一例)を例として説明する。図1に示す電動モータ1Aは永久磁石型モータであり、ハイブリッド車や電気自動車の駆動源として利用可能なものである。電動モータ1Aは、回転軸40によってケース30に軸心X回りで軸支されるロータ本体10と、ロータ本体10の径方向外側に配置され、ケース30に固定されるステータ20とを備えて構成される。ケース30は、図1において左側部分を構成する第1ケース部材30aと、右側部分を構成する第2ケース部材30bとを接合して構成される。尚、回転軸40を外力によって駆動するように構成すれば、本回転電機を発電機として機能させることも可能である。
【0017】
(ロータ本体の構成)
ロータ本体10は複数の電磁鋼板18を積層させて構成されるが、プレス加工により各電磁鋼板18に円周方向に等間隔に打ち抜き穴を設けることで、ロータ本体10の円周方向には等間隔に複数の冷媒流路10aが形成されている。永久磁石11は、それぞれの冷媒流路10aの径方向外側に接着固定されている。冷却油が冷媒流路10aを流れて排出口10bから排出される間に、永久磁石11の熱が冷媒によって回収されることにより、永久磁石11が高温により減磁することが抑制される。
【0018】
回転軸40は、ケース30に設けられた一対のベアリング31を介してケース30に軸支される。回転軸40は内部空間40aを有する円筒状に構成されている。第1ケース部材30aの内面と対向する回転軸40の一端は閉鎖されているが、回転軸40の他端には、やはり円筒状の出力軸41が同心状に固定されている。また、回転軸40の出力軸41よりもロータ本体10寄りの箇所には、軸心Xを挟んで向き合う一対の冷媒供給口40bが径方向に貫通形成されている。
冷却油は、電動式のポンプPによってオイルパン70から出力軸41の内部空間41aを経て回転軸40の内部空間40aに進入し、内部空間40aを満たした後に、冷媒供給口40bから冷媒流路10aに導かれる。
【0019】
(冷媒案内部材の構成)
回転軸40の外周には、概して皿状の冷媒案内部材60が固定されている。冷媒案内部材60は、最も小径の第1フランジ部60aと、第1フランジ部60aの外周部からロータ本体10側に垂直に延出された第1ボス部60bと、第1ボス部60bのロータ本体10側の端部から概して径方向外向きに延出された第2フランジ部60cと、第2フランジ部60cの外周部からロータ本体10側に垂直に延出された第2ボス部60dとを有する。冷媒案内部材60は、一対の冷媒供給口40bと複数の冷媒流路10aの開口とを同時に覆う状態で回転軸40に外嵌設置されている。
【0020】
冷媒案内部材60の第2フランジ部60cの内径側の端部には、第1ボス部60bの内面よりも内径側に突出した環状の堰部60pが形成されている。この堰部60pの第1ボス部60b寄りの端面と、第1ボス部60bの内周面と、第1フランジ部60aの第1ボス部60b寄りの端面とが協働して、回転軸40を介して供給される冷却油を回転軸40の径方向外側に周方向に沿って留める環状の溜まり部61を形成している。溜まり部61は、ロータ本体10の回転による遠心力に基づいて所定量の冷却油を環状に留め、その後、堰部60pから溢れた冷媒を複数の冷媒流路10aに均等分配することができる。
【0021】
回転軸40の内部空間40aから、冷媒供給口40bを介して径方向外向きに排出された冷却油は、溜まり部61内で一旦環状に保持され、次に溜まり部61から溢れた冷却油が、遠心力によりロータ本体10の端面と第2フランジ部60cの内面との間の円板状の流路を経て、冷媒流路10aに供給される。冷却油は溜まり部61で一定の厚さを備えた環状に保持された後に、環状の堰部60pを越えた冷却油が、遠心力により径方向外向きに送り出されるので、8つの冷媒流路10aに対してほぼ均等に分配される。
永久磁石11は冷媒流路10aの径方向外側に配置されているので、ロータ本体10の回転時に冷却油に遠心力が作用すると、冷媒案内部材60によって導入された冷却油が永久磁石11に接しながら流れ、永久磁石11が効率的に冷却される。
【0022】
(ステータの構成)
ステータ20は、ロータ本体10と同様に、複数の電磁鋼板を積層させて構成される。ステータ20にはコイル21が配置され、コイル21に通電を行うことにより、ステータ20に磁界が発生し、永久磁石11を備えたロータが回転する。コイル21には絶縁紙や絶縁皮膜が設けられており、複数の導線を束ねるために結束糸が用いられている。ステータ20から突出したコイルエンド21aにおいては、上記絶縁紙、絶縁皮膜、結束糸等が外部に曝されているため、高速の冷却油が衝突するとこれらが破損する虞がある。
【0023】
(冷媒規制部材の構成)
そこで、ロータ本体10の両端面のうち、冷媒案内部材60と反対側の面には、コイルエンド21aを高速の冷却油から保護するための冷媒規制部材50が取り付けられている。冷媒規制部材50は、円板状の底部50aと、底部50aの外周から軸心Xとほぼ平行に電磁鋼板18から離間する方向に延出された壁部50bとを有する皿状に構成されている。冷媒規制部材50は、回転軸40に外嵌され、ナット51によってロータ本体10の端面に押付け固定される。底部50aの各冷媒流路10aと対応する位置には冷媒排出孔50dが形成されている。冷却油の円滑な排出を図るために、冷媒排出孔50dの外径側の内面は、永久磁石11の内径側の面とほぼ一致するように構成されている。
【0024】
ロータ本体10の電磁鋼板18の抜け止め手段として、回転軸40の外周の一部には一つの環状の固定フランジ部40dが一体的に突出形成されている。冷媒案内部材60は、回転軸40の外周面の一部に形成された雄ネジ部に螺合固定されている。この螺合固定に基づいて、冷媒案内部材60の第2ボス部60dがロータ本体10の電磁鋼板18を冷媒規制部材50に対して押付け付勢している。
【0025】
規制部材50の壁部50aの先端50bは、コイルエンド21aの先端21bよりも先端側に突出するように構成されている。従って、壁部50aの先端50bから遠心力により径方向外側に排出される冷却油が、コイルエンド21aと衝突することを防止できる。その結果、コイルエンド21aの絶縁紙、絶縁皮膜、結束糸等の損傷が回避される。
【0026】
(フィンの構成)
また、ケース部材30の内周面のうち冷却油が衝突する領域には、径方向内側に突出するフィン32を設けてある。永久磁石11を冷却して昇温した冷却油がロータ本体10から排出された後、フィン32と接触することにより、フィン32を介した熱交換が促進され、冷却油の放熱を効率的に行うことができる。フィン32に衝突し、運動エネルギーを消失するとともに冷却された冷却油が、ケース部材30の内面を伝ってステータ20やコイル21に供給されることにより、これらの部材を破損することなく、効率的に冷却を行うことができる。尚、フィン32の形状は図1、2に示したものに限らず、内周面から斜めに突出したものでもよいし、複数のフィン32が必ずしも同一形状である必要はない。
【0027】
(温度判定機構の構成)
ロータ本体10の左右の端面の最外径箇所付近には、ロータ本体10の温度変化に基づいて変位する温度感応部2が設けられており、第1ケース部材30aと第2ケース部材30bとの内面には各温度感応部2の変位量を非接触で判定するためのギャップセンサ5(判定手段の一例)が設けられている。温度感応部2とギャップセンサ5とは、互いに協働して、モータ駆動中における永久磁石11の温度を判定する温度判定機構を構成する。
【0028】
より具体的には、一対のシリンダ部材3がロータ本体10の最も外側の2枚の電磁鋼板18に溶接などによって固定されており、各シリンダ部材3の内面に対して金属製のピストン部材4が摺動自在に収納されている。シリンダ部材3の内部には一定容積の空気が封止されており、ロータ本体10の最外径箇所の温度変化と連動するこの封止空気の体積変化(膨張または収縮)に基づいてピストン部材4が軸心Xに沿って出入りする。同ピストン部材4の先端に設けられた大径円板状のヘッド部4aが温度感応部2を構成する。ロータ本体10の両端面部位のうちでシリンダ部材3が固定された箇所の温度は、ほぼ永久磁石11の温度と一致するので、ピストン部材4のヘッド部4aの位置に基づいて永久磁石11の温度を判定することができる。
【0029】
ギャップセンサ5は、温度感応部2を構成するピストン部材4のヘッド部4aまでの軸心Xと平行な方向に関する間隔を非接触で測定する。ギャップセンサ5は、渦電流式のギャップセンサによって構成することができる。渦電流式のギャップセンサ5は、ヘッド部4aと向き合うようにケース部材30a、30bに取り付けられた渦電流式のセンサ部6a,6bおよびセンサアンプ7を備えている。センサ部6a,6bは磁界発生手段としてのコイル(不図示)を有している。センサアンプ7は、センサ部6a,6bの出力信号を増幅する増幅回路(不図示)と、センサ部6a,6bのコイルに高周波の交流励磁電流を供給する駆動回路(不図示)とを有する。
【0030】
交流励磁電流を供給されたコイルは、軸心Xと平行な方向に磁束を発生し、磁界を形成する。ロータ本体10の回転によって、センサ部6のコイルが発生する磁界をピストン部材4のヘッド部4aが通過すると、ヘッド部4aには、コイルが発生する磁界を打ち消す渦電流が発生する。このヘッド部4aに発生する渦電流により、コイルの発生する磁界の強さが変化すると、センサ部6a,6bのコイルに流れる電流値が変化するので、ロータ本体10の回転によってヘッド部4aがセンサ部6と近づいたり離れたりすると、ギャップセンサのセンサアンプ7からは所定の波形の検出信号が出力される。すなわち、ヘッド部4aの回転位置がセンサ部6a,6bに最接近した位置となる毎に検出信号中にピーク値が現われる。このピーク値はセンサ部6a,6bからヘッド部4aまでの距離に応じて変化する。
【0031】
ECU100には、各センサ部6a,6bの検出信号中に現われるピーク値の単位時間当たりの平均値を判定するピーク値判定処理部91と、ピーク値判定処理部91によって判定された2つのセンサ部6a,6bから得られた2つの波形の各ピーク値から、ピーク値の算術平均値を算出する平均化処理部92(補正機構の一例)と、平均化処理部92によって算出されたピーク値の平均値に基づいて永久磁石11の温度を判定する温度判定部93と、温度判定部93によって判定された温度が永久磁石11の減磁開始温度に近付くとロータ本体10の過熱を警告する警告信号を発するモータ停止警告部94とが備えられている。ECU100には、検出信号のピーク値と永久磁石11の温度との関係を示すLUT95が格納されており、温度判定部93はこのLUT95の参照に基づいて永久磁石11の温度を判定する。
【0032】
もしも、ロータ本体10がケース部材30に対して軸心X方向でのガタツキを含む場合、温度感応部2を構成するヘッド部4aの位置も軸心X方向でガタツキを生じるため、永久磁石11の温度判定結果に同ガタツキによる外乱が生じる場合がある。この電動モータ1Aでは、2つの温度感応部2がロータ本体10の互いに対向する端面に設けてあり、各温度感応部2の変位を各別のセンサ部6によって検出し、両センサ部6a,6bの検出結果の算術平均値に基づいて永久磁石11の温度を判定するので、この算術平均によってガタツキによる外乱が除去される。
【0033】
〔別実施形態〕
〈1〉図3に例示するダイアフラム式の温度感応部を設けてもよい。図3に示す電動モータ1Bでは、ロータ本体10の最も外側の2枚の電磁鋼板18に金属製の密閉容器73が固定されている。密閉容器73の軸心方向外側に位置する薄い蓋部74はダイアフラムを構成し、ロータ本体10から伝達される熱によって密閉容器73の内部に封止された空気が膨張すると軸心方向に変形する。蓋部74に設けられた金属製円板状のヘッド部74a(温度感応部の一例)の変位を上記実施形態と同様のセンサ部6a,6bによって検出する構成となっている。
【0034】
〈2〉図2に例示するバイメタル式の温度感応部を設けてもよい。図4に示す電動モータ1Cでは、ロータ本体10の最も外側の2枚の電磁鋼板18に長尺状のバイメタル83の基端部がネジなどで固定されている。ロータ本体10の温度が上昇すると、その熱によってバイメタル83が湾曲状に変形し、図で基端部よりも上方に位置するバイメタル83の遊端部(温度感応部の一例)が軸心方向に変位する。同遊端部の変位を上記実施形態と同様のセンサ部6a,6bによって検出する構成となっている。バイメタル式の温度感応部に代えて、ロータ本体10の温度上昇に基づいて可逆的に変形する形状記憶合金で構成された温度感応部を設けてもよい。
【0035】
〈3〉渦電流式ギャップセンサの代わりに、静電容量式ギャップセンサ、或いは、超音波式ギャップセンサなどを用いてもよい。また、LEDなどの発光手段と、LEDから放射されて被測定面としての温度感応部の表面で反射された反射光を受光するフォトダイオードとを備えた反射光式ギャップセンサを用いてもよい。
【0036】
〈4〉特に、バイメタルや形状記憶合金で温度感応部を構成する場合、温度感応部の変位量を判定する判定手段として、バイメタルや形状記憶合金の変形に応じて温度感応部が形成する音の波形やピーク値が変化することを利用して、同波形などを検出するマイクロフォンのような音響センサを判定手段として用いてもよい。
【0037】
〈5〉温度感応部と判定手段とからなるセットはロータ本体10の一方の端面にのみ設け、ロータ本体を挟んでその温度感応部と対向する位置に、最も外側の電磁鋼板18の位置を非接触で検出する第2のギャップセンサ(補正機構の一例)を設けてもよい。この場合、第2のギャップセンサによって得られたロータ本体10のガタツキ情報を、温度感応部の変位に関する検出結果に反映させる構成となる。
【0038】
〈6〉特に、ロータ本体10のガタツキが、ロータ本体10の軸心X方向での移動を含まず、主にロータ本体10の回転軸40に対する不動の傾斜成分である場合などでは、補正機構として、始動時における温度感応部材または磁性体との距離をギャップ基準として採取し、高速回転時における温度検出値に補正値として反映させてもよい。
【0039】
〈7〉ロータ本体のガタツキが無視できる程小さい構成の場合は必ずしも補正機構を設ける必要はない。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、軸心回りで回転自在に支持され磁石を備えたロータ本体と、ロータ本体の径方向外側に配置されたステータと、同磁石の温度を判定する温度判定機構とを備えた回転電機に適用することができる。
【符号の説明】
【0041】
X 軸心
1 電動モータ
2 温度感応部
3 シリンダ部材(温度感応部)
4 ピストン部材(温度感応部)
4a ヘッド部
5 ギャップセンサ(判定手段)
10 ロータ本体
11 永久磁石
20 ステータ
91 ピーク値判定処理部
92 平均化処理部(補正機構)
93 温度判定部
94 モータ停止警告部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸心回りで回転自在に支持され、磁石を備えたロータ本体と、
前記ロータ本体の径方向外側に配置されたステータと、
前記ロータ本体に設けられ、前記ロータ本体の温度変化に基づいて変位する温度感応部と、
前記温度感応部の変位量を判定する判定手段と、を備えている回転電機。
【請求項2】
前記温度感応部が前記ロータ本体の端面に設けられており、前記判定手段が前記温度感応部までの前記軸心方向に関する間隔を測定するギャップセンサによって構成されている請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記ギャップセンサによる測定結果に対する前記ロータ本体のガタツキによる外乱を除去する補正機構が設けられている請求項2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記補正機構が前記ロータ本体を挟んで前記判定手段と対向する位置に配置された第2のギャップセンサを含む請求項3に記載の回転電機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−254581(P2011−254581A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124732(P2010−124732)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】