回転電機
【課題】構造を簡素化してコストを抑えるとともに、小型化しても従来よりはトルク密度や出力密度を向上できる回転電機を提供する。
【解決手段】同軸上に配置された第1回転子10、第2回転子20および固定子30を有し、第2回転子20が第1回転子10と固定子30との間に配置される回転電機Mにおいて、第1回転子10は異極性の複数の磁極を有し、固定子30は固定子巻線31を有し、第2回転子20は第1回転子10と固定子30との間で磁束を通す磁性鉄心で形成された導体設置部26(切欠部26a,26b)に設置される導体の端部を短絡させた短絡導体25を一以上有し、磁性鉄心は短絡導体25に囲まれない一以上の第1磁気パス部23と短絡導体25に囲まれる一以上の第2磁気パス部24とを有し、かつ、第1磁気パス部23と第2磁気パス部24とが第2回転子20の周方向に隣接して配置される構成とした。
【解決手段】同軸上に配置された第1回転子10、第2回転子20および固定子30を有し、第2回転子20が第1回転子10と固定子30との間に配置される回転電機Mにおいて、第1回転子10は異極性の複数の磁極を有し、固定子30は固定子巻線31を有し、第2回転子20は第1回転子10と固定子30との間で磁束を通す磁性鉄心で形成された導体設置部26(切欠部26a,26b)に設置される導体の端部を短絡させた短絡導体25を一以上有し、磁性鉄心は短絡導体25に囲まれない一以上の第1磁気パス部23と短絡導体25に囲まれる一以上の第2磁気パス部24とを有し、かつ、第1磁気パス部23と第2磁気パス部24とが第2回転子20の周方向に隣接して配置される構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1回転子、第2回転子および固定子を有する回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、第1回転機はステータ、第1ロータおよび第2ロータを有し、当該第1回転機を備えた回転電機に関する技術の一例が開示されている(例えば特許文献1を参照)。第1ロータは、電機子列に対向するように配置された磁極列を有する。当該磁極列は、互いに間隔を存して円周方向に並ぶとともに隣り合う各2つが互いに異なる極性を有する複数の磁極で構成される。第2ロータは、電機子列と磁極列の間に配置された軟磁性体列を有する。当該軟磁性体列は、互いに間隔を存して円周方向に並んだ複数の軟磁性体で構成される。第1回転機は、入力軸がエンジンの出力軸に機械的に連結され、出力軸が第2回転機の回転軸に直結される。
【0003】
また、ステータ、第1ロータおよび第2ロータを備えた電動機に関する技術の一例が開示されている(例えば特許文献2を参照)。第1ロータは、交互に異なる極性の磁極を有するように複数の第1永久磁石を配置して構成された第1永久磁石列と、交互に異なる極性の磁極を有するように複数の第2永久磁石を配置して構成された第2永久磁石列とを軸線方向に並置して構成される。第2ロータは、軟磁性体製の複数の第1誘導磁極で構成された第1誘導磁極列と、軟磁性体製の複数の第2誘導磁極で構成された第2誘導磁極列とを軸線方向に並置して構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4505524号公報
【特許文献2】特許第4648378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1,2の技術を適用する場合、トルク性能を確保するには第2ロータの複数の軟磁性体間の磁気漏洩を極力小さくするため、磁気遮蔽と遠心強度を両立出来る非磁性支持材が必要になる。さらに構造も複雑になるために、コスト高となる。
【0006】
また、第2ロータは複数対の軟磁性体と非磁性体を周方向に交互に配置しており、磁気抵抗変化を利用する所謂リラクタンスタイプである。そのため、トルク密度や出力密度が磁石埋め込みタイプに比べてやや低い。小型化ニーズの高い車両(例えばハイブリッド車両や電気自動車等)では、さらなるトルク密度や出力密度の向上が要請されている。
【0007】
本発明はこのような点に鑑みてなしたものであり、構造を簡素化してコストを抑えるとともに、トルクに有効な磁束を増やしてトルク密度や出力密度を向上できる回転電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、同軸上に配置された第1回転子、第2回転子および固定子を有し、前記第2回転子が前記第1回転子と前記固定子との間に配置される回転電機において、前記第1回転子は異極性の複数の磁極を有し、前記固定子は固定子巻線を有し、前記第2回転子は、前記第1回転子と前記固定子との間で磁束を通す磁性鉄心と、当該磁性鉄心に形成された導体設置部に設置される導体の端部を短絡させた短絡導体を一以上有し、前記磁性鉄心は前記短絡導体に囲まれない一以上の第1磁気パス部と前記短絡導体に囲まれる一以上の第2磁気パス部とを有しかつ前記第1磁気パス部と前記第2磁気パス部とが前記第2回転子の周方向に隣接して配置されることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、第2回転子には、第1磁気パス部と第2磁気パス部とが周方向(回転方向とも呼ぶ。以下同じである。)に配置される。第1磁気パス部は主に固定子と第1回転子との間で磁束を径方向(すなわち中心から放射する方向であり、以下同じである。)に橋絡させ、第2磁気パス部は主に周方向への磁束の漏れを打ち消す(磁気遮蔽する)作用を有する。これらの作用により、トルクに有効な磁束が増え、トルク密度や出力密度を向上させることができる。
【0010】
なお「回転電機」は、回転子と固定子とを有し、回転子を回転部材(例えば軸やシャフト等)に結合(物理的接続・連結・固定・一体化などを含み、直接的であると間接的であるとを問わない。以下同じである。)可能な機器であれば任意である。例えば、発電機,電動機,電動発電機等が該当する。「導体設置部」は一組(一対)の設置部で構成され、当該設置部の形状(構造)は任意である。設置部の形状例としては、切欠部,貫通穴,凹部などが該当する。「短絡導体」は、巻線やコイル等の導体を用い、当該導体の端部を短絡した部材である。「磁性鉄心」は磁性を帯びることが可能な鉄心であれば材質を問わない。通常は軟磁性材料を用いるが、硬磁性材料や非磁性材料を一部に用いてもよい。「隣接」は隣り合えばよく、接触するか否かを問わない。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記第1磁気パス部と前記第2磁気パス部とは、交互に配置されることを特徴とする。この構成によれば、固定子と第1回転子との間で磁束を径方向に橋絡できる部位(第1磁気パス部)と、周方向に磁気遮蔽できる部位(第2磁気パス部)とが交互に設けられる。第1磁気パス部や固定子との相対的な位置関係によって、ある第2磁気パス部では互いに逆方向の磁束が生じて打ち消され、別の第2磁気パス部では同一方向の磁束が生じて強められる。また、第2磁気パス部の相互間でも異なる磁束位相にするので、第2回転子の磁気変調作用を改善できる。したがって、トルク密度や出力密度をさらに向上させることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記第2回転子は、前記第1磁気パス部と前記第2磁気パス部とが円環状につながった磁性体からなることを特徴とする。この構成によれば、第2回転子を周方向に円環状につながった磁性体を用いるので、特別な支持構造を必要とすることなく遠心強度を確保することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、前記第2磁気パス部は、前記第2回転子の隣接する前記第1磁気パス部の相互間を橋絡するように配置され、前記第2磁気パス部の周囲には前記第2磁気パス部の磁束に鎖交する前記短絡導体が配置されたことを特徴とする。この構成によれば、第2磁気パス部の磁束に鎖交する短絡導体を配置することで漏洩磁束を打ち消すことができ、第2回転子の磁束変化率が大きい条件下で短絡導体の誘導電流によりトルクが向上する。
【0014】
請求項5に記載の発明は、前記第1磁気パス部と前記第2磁気パス部とは、周方向に交互に配置され、ともに前記固定子と前記第1回転子との間において磁束を径方向に橋絡する構成としたことを特徴とする。この構成によれば、第2磁気パス部に径方向磁束に鎖交するよう短絡導体を配置し、短絡導体の誘導電流により、第1磁気パス部とは異なる位相の磁束を第2磁気パス部の周囲に発生させることで、磁気変調作用が改善され、幅広い運転領域でトルクが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】回転電機の構成例を模式的に示す軸方向の断面図である。
【図2】回転電機の第1構成例を模式的に示す径方向の分割断面図である。
【図3】磁束分布の一例を示す模式図である。
【図4】比較例にかかる磁束分布の一例を示す模式図である。
【図5】比較例にかかる磁束分布の一例を示す模式図である。
【図6】トルクの経時的変化を示すグラフ図である。
【図7】回転電機の第2構成例を模式的に示す径方向の分割断面図である。
【図8】回転電機の第3構成例を模式的に示す径方向の分割断面図である。
【図9】回転電機の第4構成例を模式的に示す径方向の分割断面図である。
【図10】回転電機の第5構成例を模式的に示す径方向の分割断面図である。
【図11】回転電機の第6構成例を模式的に示す径方向の分割断面図である。
【図12】回転電機の第7構成例を模式的に示す径方向の分割断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。なお、特に明示しない限り、「接続する」という場合には電気的な接続を意味する。各図は、本発明を説明するために必要な要素を図示し、実際の全要素を図示してはいない。上下左右等の方向を言う場合には、図面の記載を基準とする。見易くして理解を容易にするため、図8(B)を除いて、断面図にかかる各図面ではハッチ線の図示を省略する。
【0017】
〔実施の形態1〕
実施の形態1は、ハイブリッド車両に用いられる回転電機について、径方向に導体設置部(すなわち一組の設置部)を備える例であって、図1〜図6を参照しながら説明する。図1には回転電機の構成例を模式的に軸方向(図2のI−I線矢視)の断面図で示す。図2には回転電機の第1構成例を模式的に径方向(図1のII−II線矢視)の分割断面図で示す。図3には磁束分布の一例を模式図で示す。図4と図5には比較例にかかる磁束分布の一例を模式図で示す。図6にはトルクの経時的変化をグラフ図で示す。
【0018】
図1に示す回転電機Mは、第1回転子10、第2回転子20、固定子30などを有する。これらの第1回転子10、第2回転子20および固定子30は同軸上に配置される。第2回転子20が第1回転子10と固定子30との間に配置され、固定子30は最外周に配置される構造である。
【0019】
第1回転子10の回転軸11は入力軸であり、動力源(例えば燃焼機関や電動機等)から伝達される動力を入力する。回転軸11に結合される対象物は任意であり、例えば二点鎖線で図示するエンジン軸12(クランク軸とも呼ぶ。)と結合される。第2回転子20の回転軸21は出力軸であり、変換された動力を出力する。回転軸21に結合される対象物も任意であり、例えば二点鎖線で図示するトランスミッション軸22と結合される。固定子30は回転磁界を発生させるための固定子巻線31を有する。固定子巻線31は複数のスロット32(図2を参照)内に収容され、本形態では多相巻線(例えばU相,V相,W相にかかる三相巻線等)を適用する。なお、図2では図面右下のスロット32にのみ固定子巻線31を収容した状態を示すが、実際には各スロット32にそれぞれ固定子巻線31を収容する。こうして収容した固定子巻線31を適切に接続して多相巻線とする。
【0020】
回転電機Mの第1構成例について、全体を4分割した分割断面図である図2を参照しながら説明する。第1回転子10には極性の異なる磁石を複数極対(例えば10極対)を交互に配置する。第1回転子10は同期タイプであればよい。小型化ニーズの高いハイブリッド車両に適用するには高性能磁石を用いたSPM(表面磁石式)や、IPM(埋め込み磁石式)ロータを用いるのが望ましい。本形態では、トルク変動を抑えるため、第1回転子10は表面磁束密度分布を正弦波に近づけたIPMを用いる。
【0021】
第2回転子20は、周方向に連続する軟磁性材(積層電磁鋼板)を用いて形成され、径方向に沿って設けられる導体設置部26を複数有する。それぞれの導体設置部26は、一組の切欠部26a,26bからなる。図2の例では、第2回転子20の外周側に凹形状の切欠部26aを設け、内周側に凹形状の切欠部26bを設けている。切欠部26a,26bには短絡導体25が設置される。短絡導体25は、巻線やコイル等の導体を用い、両端を電気的に短絡した部材である。短絡導体25の短絡方法は任意であり、例えば短絡導体25の両端を直接的に接合(例えば溶接や半田付け等)したり、短絡導体25の両端と導体板(例えば金属板等)とを接合したりするなどが該当する。短絡導体25の設置方法も任意であり、例えば包囲・収容・固定・巻回などが該当する。切欠部26a,26bの相互間にある第2回転子20の本体部分は、後述する第2磁気パス部24に相当する。
【0022】
上述した導体設置部26を設けたことによって、第2回転子20には第1磁気パス部23と第2磁気パス部24とが交互に配置される。配置間隔は等間隔が望ましいが、仕様や回転電機Mの周囲環境等によっては少なくとも一部において不等間隔としてもよい。第1磁気パス部23は、第1回転子10および固定子30との間で磁束を通す機能を担う。第2磁気パス部24は、隣接する第1磁気パス部23の相互間を橋絡する機能を担う。第2磁気パス部24の内外周にあたる切欠部26a,26bに短絡導体25を収容して包囲したことによって、隣接する第1磁気パス部23の相互間で生じる漏洩磁束を打ち消すことができる。
【0023】
第1回転子10の極対数P1と第2回転子20の極対数P2とは、極対数を異ならせ、固定子30の極対数P3との間には「P2=P1+P3」の関係式が成立するように、第1回転子10および第2回転子20を構成する。本形態では上記関係式を満足する組み合せの一例として、P1=10、P2=16、P3=6を適用する。この構成によれば、第1回転子10、第2回転子20および固定子30の間に磁気的な結合関係を作り出すことができる。ここで、第2回転子20の第1磁気パス部23の周方向の総和(=16)を極対数P2として定義している。
【0024】
第1回転子10と第2回転子20とは、異なる回転数で回転させることができる。ここで、第1回転子10の回転数=N1[r/sec]、第2回転子20の回転数=N2[r/sec]の条件下で固定子30の固定子巻線31に周波数f(=P2N2−P1N1)[Hz]の電流を流すと、電気磁気的な変速機として作動させることができる。
【0025】
上述のように構成された回転電機Mについて磁力線を用いた磁束分布を示すと、図3のようになる。見易くするために、図3では磁力線を細線で示す。また、短絡導体25や固定子巻線31などの導電部材について、丸付き記号「×」は図面の奥行き方向に電流が流れることを示し、丸付き記号「・」は図面の手前方向に電流が流れることを示す。
【0026】
図3において、第1磁気パス部23の相互間の漏洩磁束が変化(発生を含む)すると、この漏洩磁束は第2磁気パス部24を通る。そして、漏洩磁束の変化を打ち消すように、第2磁気パス部24を包囲する短絡導体25には誘導電流が発生する。短絡導体25に誘導電流が発生すると、当該短絡導体25の周囲には「右ねじの法則」に従って磁界(磁束)が発生する。当該磁界(磁束)の向きに応じて、第1磁気パス部23の相互間の漏洩磁束を打ち消したり、逆に漏洩磁束を強めたりする。上記内容について以下に詳述する。
【0027】
図3には、第1回転子10および第2回転子20の一方または双方が回転している際のある時点における磁束分布を示す。具体的には、固定子30の位置Paに示す丸付き記号「×」を中心とする時計回り(矢印D1)の磁束が発生し、同じく位置Pbに示す丸付き記号「・」を中心とする反時計回り(矢印D2)の磁束が発生していると仮定する。他の部位についても同様であり、時計回りの磁束と反時計回りの磁束とが交互に発生している。以下では説明の都合上で区別をするために、図面左側に位置する第2磁気パス部24を「第2磁気パス部24A」と呼び、その右側に位置する第2磁気パス部24を「第2磁気パス部24B」と呼ぶことにする。
【0028】
位置Paを中心として発生する時計回りの磁束の一部は、第2磁気パス部24Aを図面左側(矢印D3とは反対方向)に向かって漏洩する。この漏洩磁束が時間的に変化すると、第2磁気パス部24Aを包囲する短絡導体25には、磁束の変化を妨げようとする電流が流れ、漏洩磁束とは逆方向(矢印D3方向)の磁界(磁束)が発生する。このように第2磁気パス部24Aでは、漏洩磁束と、短絡導体25の電流による磁束とが互いに打ち消し合うため、第2磁気パス部24Aの磁束はほとんど無くなり、周方向への磁束を磁気的に分離(遮断)することができる。
【0029】
一方、位置Pbを中心として発生する反時計回りの磁束の一部は、第2磁気パス部24Bを図面左側(矢印D4方向)に向かって漏洩する。この漏洩磁束が時間的に変化すると、第2磁気パス部24Bを包囲する短絡導体25には、磁束の変化を妨げようとする電流が流れる。第2磁気パス部24Bでは、短絡導体25の電流(I)と固定子磁束(φb)との直交成分に比例したトルク(kφbI;kは定数)が発生する。
【0030】
第2磁気パス部24Aでは周方向への磁束の漏れを打ち消し、第2磁気パス部24Bでは周方向の磁束を強めるように短絡導体25に電流が流れる。このように、第1磁気パス部23と第2磁気パス部24(24A,24B)とで異なる磁束位相にすることができるので、第2回転子20の磁気変調作用を改善することができる。
【0031】
上述した回転電機Mの構成による磁束変化と比較するための比較例を図4と図5に示す。図4に示す回転電機Maは、第1回転子10a、第2回転子20a、固定子30aなどで構成される。第1回転子10aは第1回転子10に対応し、第2回転子20aは第2回転子20に対応し、固定子30aは固定子30に対応する。磁性体で形成する第2磁気パス部24に代えて、非磁性体の第2磁気パス部24aを用いて構成した点が相違する。第2磁気パス部24aは非磁性体であるので磁束をほとんど通さない。また、導体設置部26に短絡導体25を備えない点も相違する。
【0032】
図4には、図3に示す磁束分布の例と同様の条件における磁束分布を示す。図3と同様に、位置Paを中心として時計回りの磁束が発生し、位置Pbを中心として反時計回りの磁束が発生する。これらの磁束は、第1磁気パス部23を通るものの、第2磁気パス部24aを通り、漏洩することがほとんど無い。そのため、上述した第2磁気パス部24Aのように周方向への磁束を磁気的に分離することができる。ただし、上述した第2磁気パス部24Bのように周方向の磁束を強める短絡導体25に電流(I)と固定子磁束(φb)との作用で付勢トルクを発生させることはできない。
【0033】
図5に示す回転電機Mbは、第1回転子10b、第2回転子20b、固定子30bなどで構成される。第1回転子10bは第1回転子10に対応し、第2回転子20bは第2回転子20に対応し、固定子30bは固定子30に対応する。第2磁気パス部24bは第2磁気パス部24と同様に磁性体で形成する。よって図3の構成と相違するのは、短絡導体25を導体設置部26に設置しない点である。
【0034】
図5には、図3に示す磁束分布の例と同様の条件における磁束分布を示す。図3と同様に、位置Pbを中心として時計回りの磁束が発生し、位置Pbを中心として反時計回りの磁束が発生する。これらの磁束は、第1磁気パス部23を通るとともに、一部の磁束は第2磁気パス部24bを通り漏洩する。短絡導体25を備えないので、第2磁気パス部24bで磁束を打ち消す電流により漏洩磁束を減らす作用はない。
【0035】
図3〜図5に示す回転電機M,Ma,Mbの起動時におけるトルク変化について、図6を参照しながら説明する。図6では、縦軸をトルク[Nm]とし、横軸を時間[sec]として、トルクの経時的変化をグラフで示す。太線で示すトルク特性線Tq1は、図3に示す回転電機Mのトルク変化である。実線で示すトルク特性線Tq2は、図4に示す回転電機Maのトルク変化である。破線で示すトルク特性線Tq3は、図5に示す回転電機Mbのトルク変化である。各トルク特性線は、第1回転子10(10a,10b)の回転数が0[rpm]であり、第2回転子20(20a,20b)の回転数が750[rpm]であるとき、回転軸21から出力されるトルク変化を示す(図1を参照)。ハイブリッド車両がEV走行する場合等のように、第2回転子20における磁束変化率が大きい場合を想定している。
【0036】
トルク特性線Tq2,Tq3は経時的に大きな変化がみられないのに対して、トルク特性線Tq1は起動直後は大きな変化があるものの徐々に安定化する。安定化した状態におけるトルクの大きさを比較すると、図6によれば明らかにTq1>Tq2>Tq3である。トルク特性線Tq2とトルク特性線Tq3との差分値ΔTqaは、主に第2磁気パス部24aによる磁気遮蔽効果によって回復できたトルクとみなせる。またトルク特性線Tq1とトルク特性線Tq2との差分値ΔTqbは、主に第2磁気パス部24B(図3を参照)において短絡導体25を流れる短絡電流と磁束との作用によって生じるトルクの増加分とみなせる。トルク特性線Tq2,Tq3は従来技術に相当するので、本発明はそれぞれの差分値(ΔTqb,ΔTqa+ΔTqb)だけトルクを増加させることができる。
【0037】
上述した実施の形態1によれば、以下に示す各効果を得ることができる。まず請求項1に対応し、回転電機Mにおいて、第1回転子10は異極性の複数の磁極を有し、固定子30は固定子巻線31を有し、第2回転子20は第1回転子10と固定子30との間で磁束を通す磁性鉄心で形成された導体設置部26に設置される導体の端部を短絡させた短絡導体25を一以上有し、磁性鉄心は短絡導体25に囲まれない一以上の第1磁気パス部23と短絡導体25に囲まれる一以上の第2磁気パス部24(24A,24B)とを有しかつ第1磁気パス部23と第2磁気パス部24(24A,24B)とが第2回転子20の周方向に隣接して配置される構成とした(図1,図2を参照)。この構成によれば、第1磁気パス部23は固定子30と第1回転子10との間で磁束を径方向に通し、第2磁気パス部24(24A)は周方向への磁束の漏れを打ち消す作用を有する(図3を参照)。これらの作用により、トルクに有効な磁束が増え、トルク密度や出力密度を向上させることができる。
【0038】
請求項2に対応し、第1磁気パス部23と第2磁気パス部24(24A,24B)とは、交互に配置される構成とした(図2,図3を参照)。この構成によれば、固定子30と第1回転子10との間で磁束を径方向に橋絡できる部位(すなわち第1磁気パス部23)と、周方向に磁気遮蔽できる部位(すなわち第2磁気パス部24)とが交互に設けられる。第1磁気パス部23や固定子30との相対的な位置Pa,Pb関係によって、第2磁気パス部24Aでは互いに逆方向の磁束が生じて打ち消され、第2磁気パス部24Bでは同一方向の磁束が生じて強められる。また、第2磁気パス部24の相互間でも異なる磁束位相にするので、第2回転子20の磁気変調作用を改善できる。したがって、トルク密度や出力密度をさらに向上させることができる。
【0039】
請求項3に対応し、第2回転子20は、第1磁気パス部23と第2磁気パス部24とが円環状につながった磁性体からなる構成とした(図1〜図3を参照)。この構成によれば、第2回転子20を周方向に円環状につながった磁性体を用いるので、特別な支持構造を必要とすることなく遠心強度を確保することができる。
【0040】
請求項4に対応し、第2磁気パス部24は、第2回転子20の隣接する第1磁気パス部23の相互間を橋絡するように配置され、第2磁気パス部24の周囲には第2磁気パス部24の磁束に鎖交する短絡導体25が配置される構成とした(図1,図2を参照)。この構成によれば、第2磁気パス部24Aの磁束に鎖交する短絡導体25を配置することで漏洩磁束を打ち消すので(図3を参照)、第2回転子20の磁束変化率が大きい条件下で短絡導体25の誘導電流によりトルクが向上する(図6のトルク特性線Tq1を参照)。
【0041】
〔実施の形態2〕
実施の形態2は、実施の形態1と同様にハイブリッド車両に用いられる回転電機Mについて、周方向に導体設置部を備える例であって、図7を参照しながら説明する。なお、回転電機Mの構成は、一部の構成が実施の形態1と同様である。そのため実施の形態2では、実施の形態1で用いた要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略し、上述した実施の形態1と相違する内容を説明する。
【0042】
図7には、回転電機Mの第2構成例を模式的に径方向(図1のII−II線矢視)の分割断面図で示す。図2に示す回転電機Mとは、第2回転子20の構成が相違する。なお、見易くして理解を容易にするため、固定子30の図示を省略している(他の実施の形態で参照する図8以降でも同様である)。
【0043】
図7に示す第2回転子20は、複数の第1磁気パス部23と、複数の第2磁気パス部28とが円周方向に隣接する磁性体で構成される。本形態では、第1磁気パス部23と第2磁気パス部28とを交互に配置する。第1磁気パス部23の大きさと、第2磁気パス部28の大きさは任意に設定可能である。第1回転子10と固定子30との間で(図2を参照)、第1磁気パス部23を通る磁束を大きくするには、第1磁気パス部23を第2磁気パス部28よりも大きく形成するのが望ましい。第1磁気パス部23と第2磁気パス部28とを円周方向に隣接させる方法は任意であり、例えば円環状に形成された固定枠や固定部材などに固定する。
【0044】
図示するように、短絡導体25は第2磁気パス部28の周方向に沿って設置される。第2磁気パス部28を包囲する短絡導体25は、第1回転子10や図示しない固定子30からの径方向(矢印D6方向)の磁束に鎖交するため、短絡導体25の誘導電流により磁束の変化が妨げられる。これに対して、第1磁気パス部23の周りには短絡導体が無いため、径方向(矢印D5方向)の磁束変化が妨げられない。
【0045】
第1磁気パス部23では第1回転子10と固定子30との間で磁束を通し、第2磁気パス部28は周方向への磁束の漏れを打ち消す作用を有する。この作用によって、第1磁気パス部23と第2磁気パス部28とで異なる磁束位相にすることができるので、第2回転子20の磁気変調作用を改善することができる。
【0046】
上述した実施の形態2によれば、以下に示す効果を得ることができる。なお、請求項1,2については実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。
【0047】
請求項5に対応し、第1磁気パス部23と第2磁気パス部28とは、周方向に磁気的に分離するために周方向に交互に配置され、ともに固定子30と第1回転子10との間において磁束を径方向に橋絡する構成とした(図7を参照)。この構成によれば、第2磁気パス部28に径方向磁束に鎖交するよう短絡導体25を配置し、短絡導体25の誘導電流により、第1磁気パス部23とは異なる位相の磁束を第2磁気パス部28の周囲に発生させることで、磁気変調作用が改善され、幅広い運転領域でトルクが向上する。
【0048】
〔他の実施の形態〕
以上では本発明を実施するための形態について実施の形態1,2に従って説明したが、本発明は当該形態に何ら限定されるものではない。言い換えれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施することもできる。例えば、次に示す各形態を実現してもよい。
【0049】
上述した実施の形態1では、短絡導体25を設置する部位として、円環状に形成された第2回転子20の内周と外周とに切欠部26a,26bを備える構成とした(図2を参照)。この形態に代えて、例えば図8(A)に示すように、切欠部26a,26bに対応する形状で一組の貫通穴20hを第2回転子20に備えてもよい。一組の貫通穴20hは第2回転子20の内周面と外周面に近い位置に形成し、貫通穴20hの相互間は第2磁気パス部24に相当する。このように構成する場合でも、実施の形態1と同様に、第1磁気パス部23では第1回転子10と固定子30との間で磁束を通し、第2磁気パス部24Aでは周方向(矢印D7方向)への磁束を磁気的に分離し、第2磁気パス部24Bでは磁束を強め合う。これらの作用によって、第1磁気パス部23と第2磁気パス部24(24A,24B)とで異なる磁束位相にすることができるので、第2回転子20の磁気変調作用を改善することができる。
【0050】
また、一組の貫通穴20hに対応する形状として、例えば図8(B)の断面図に示すような凹部20iを第2回転子20に備えてもよい。この凹部20iは、単純な凹形状(一面が開口する箱形状)ではなく、第1磁気パス部23の相互間を橋絡する第2磁気パス部24(24A,24B)が橋架されるような形状である。言い換えれば、第2回転子20の一面側に厚さΔdを残す。このように構成する場合でも、実施の形態1と同様に、第1磁気パス部23では第1回転子10と固定子30との間で磁束を通し、第2磁気パス部24Aでは周方向(矢印D7方向)への磁束を磁気的に分離し、第2磁気パス部24Bでは磁束を強め合う。これらの作用によって、第1磁気パス部23と第2磁気パス部24(24A,24B)とで異なる磁束位相にすることができるので、第2回転子20の磁気変調作用を改善することができる。
【0051】
上述した実施の形態2では、複数の第1磁気パス部23と複数の第2磁気パス部28とが円環状に隣接する磁性体で第2回転子20を構成した(図7を参照)。この形態に代えて、例えば図9に示すように、円環状に形成された第2回転子20に対して一組の貫通穴27a,27bを周方向に複数組(例えば16組など)備える構成としてもよい。短絡導体25は、一組の貫通穴27a,27bを通り、第2磁気パス部28を包囲するように設置される。この構成によれば、第1回転子10や固定子30からの径方向(矢印D6方向)の磁束に鎖交するため、誘導電流により磁束の変化が妨げられる。これに対して、第1磁気パス部23では径方向(矢印D5方向)の磁束変化が妨げられない。第1磁気パス部23では第1回転子10と固定子30との間で磁束を通し、第2磁気パス部28は周方向への磁束の漏れを打ち消す。よって、第1磁気パス部23と第2磁気パス部28とで異なる磁束位相にすることができるので、第2回転子20の磁気変調作用を改善することができる。なお貫通穴27a,27bに代えて、図8(B)に示す凹部20iを備える場合でも同様の作用効果を得ることができる。
【0052】
図9に示す構成例に代えて、図10に示す構成例としてもよい。図9では径方向に沿って貫通穴27a,27bを備えるのに対して、図10では径方向と交差する方向に沿って貫通穴27a,27bを備える。図10では、角度αだけ図面左側(反時計回り)に傾斜させて貫通穴27a,27bを形成している。このように傾斜させることによって、第1回転子10や固定子30から第1磁気パス部23を通る磁束の向きも傾斜し、矢印D5aで示す傾斜方向になる。第2磁気パス部28では矢印D6aで示す傾斜方向の磁束に対して、短絡導体25を流れる誘導電流によって磁束の変化が妨げられる。第1磁気パス部23では第1回転子10と固定子30との間で磁束を通し、第2磁気パス部28は周方向への磁束の漏れを打ち消す点は変わらない。よって、第1磁気パス部23と第2磁気パス部28とで異なる磁束位相にすることができるので、第2回転子20の磁気変調作用を改善することができる。なお貫通穴27a,27bに代えて、図8(B)に示す凹部20iを備える場合でも同様の作用効果を得ることができる。
【0053】
第2回転子20について、実施の形態1では一組の切欠部26a,26bを複数組備える構成とし(図2を参照)、実施の形態2では複数の第1磁気パス部23と複数の第2磁気パス部28とを交互に備える構成とした(図7を参照)。これらの実施の形態1,2で共通するのは、第2磁気パス部24,28を一の短絡導体25で包囲するように設置する点である。この形態に代えて、第2磁気パス部24を複数の短絡導体25で包囲するように設置する構成としてもよい。例えば図11に示すように、導体設置部29を4つの貫通穴29a,29b,29c,29dで構成し、貫通穴29aと貫通穴29bとの間、貫通穴29bと貫通穴29dとの間、貫通穴29dと貫通穴29cとの間、貫通穴29cと貫通穴29aとの間についてそれぞれ短絡導体25を設置する。すなわち、第2磁気パス部24は十字形状のように形成される。この構成では、周方向(矢印D11方向)と径方向(矢印D12方向)との双方に第2磁気パス部24が橋絡し得る。ところが、第2磁気パス部24を周方向に通す磁束は、貫通穴29c,29a間に設置する短絡導体25および貫通穴29b,29d間に設置する短絡導体25にそれぞれ流れる短絡電流によって磁束の変化が妨げられる。同様に第2磁気パス部24の径方向を通る磁束は、貫通穴29a,29b間に設置する短絡導体25および貫通穴29c,29d間に設置する短絡導体25にそれぞれ流れる短絡電流によって磁束の変化が妨げられる。一方、第1磁気パス部23では第1回転子10と固定子30との間で磁束を通す。よって、第1磁気パス部23と第2磁気パス部24とで異なる磁束位相にすることができるので、第2回転子20の磁気変調作用を改善することができる。なお貫通穴29a,29b,29c,29dに代えて、図8(B)に示す凹部20iと同様な凹部を備える場合でも同様の作用効果を得ることができる。
【0054】
前述した図9に示す構成例では、円環状に形成された第2回転子20に対して一組の貫通穴27a,27bを周方向に複数組(例えば16組など)備えた。この構成に代えて、図12に示す構成としてもよい。この構成は図9に示す構成例と類似するが、第2回転子20の内周側に備える内周ブリッジ部24cと、同じく外周側に備える外周ブリッジ部24dとを備える点が相違する。これらの内周ブリッジ部24cおよび外周ブリッジ部24dは、橋架する幅を狭くするか、あるいは非磁性に改質処理することにより、磁気的に分離する。また、貫通穴27aと貫通穴27bとの間隔(周方向の距離)が相違する。この構成によれば、第2磁気パス部28には第1回転子10や固定子30からの径方向(矢印D16方向)の磁束に鎖交するよう短絡導体25を設けるため、誘導電流により磁束の変化が妨げられる。これに対して、第1磁気パス部23の周りには短絡導体が無いため、径方向(矢印D15方向)の磁束変化を妨げない。そのため、第1磁気パス部23と第2磁気パス部28とで異なる磁束位相にでき、磁気変調作用が改善される結果、幅広い運転領域でトルクが向上する。第1磁気パス部23の周方向の距離(L1)が第2磁気パス部28の周方向の距離(L2)の2倍以上(すなわちL1≧2L2)となるように構成すれば、トルク性能がさらに高まる。
【0055】
第2回転子20について、実施の形態1では第1磁気パス部23と第2磁気パス部24とを交互に配置する構成とし(図2を参照)、実施の形態2では第1磁気パス部23と第2磁気パス部28とを交互に配置する構成とした(図7を参照)。この形態に代えて、少なくとも一部を非交互に配置する構成としてもよい。例えば、図3に示す第2磁気パス部24Bの配置を部分的に無くす構成などが該当する。非交互に配置する部位では上述した実施の形態1,2に示す作用効果が低減するものの、交互に配置する部位では上述した実施の形態1,2に示す作用効果が得られる。
【0056】
上述した実施の形態1,2では、第2回転子20が第1回転子10と固定子30との間に配置され、固定子30は最外周に配置する構造とした(図1を参照)。この形態に代えて、第1回転子10を最外周に配置し、固定子30を最内周に配置する構造としてもよい。さらに、第1回転子10、第2回転子20および固定子30は図1に示す直列状の配置のみならず、非直列状(すなわち第1回転子10と第2回転子20とを通る第1直線と、第2回転子20と固定子30とを通る第2直線とが交差する位置)に配置してもよい。例えば、アキシャルギャップ型の回転電機などが該当する。第2回転子20が第1回転子10と固定子30との間に配置される点では相違ないので、上述した実施の形態1,2と同様の作用効果を得ることができる。
【0057】
上述した実施の形態1,2では、回転軸11にはエンジン軸12を結合し、回転軸21にはトランスミッション軸22を結合する構成とした(図1を参照)。この形態に代えて、回転軸11とエンジン軸12との間、回転軸21とトランスミッション軸22との間のうちで一方または双方に動力伝達機構を介在させる構成としてもよい。動力伝達機構には、例えばカム,ラック&ピニオン,歯車(ギア)などを含む。この構成であっても、回転軸11から動力が入力され、トランスミッション軸22に変換された動力を出力することができるので、上述した実施の形態1,2と同様の作用効果を得ることができる。
【0058】
上述した実施の形態1,2では、回転軸11を入力軸とし、回転軸21を出力軸として用いる構成とした(図1を参照)。この形態に代えて、回転軸21を入力軸とし、回転軸11を出力軸として用いる構成としてもよい。図1の例では、回転軸21にエンジン軸12を結合し、回転軸11にトランスミッション軸22を結合する。第1回転子10および第2回転子20はいずれも回転子であるので、いずれを入力軸とするか出力軸とするかは回転電機Mの仕様や目的等に応じて自在に変更できる。このように入力と出力の相違に過ぎないので、上述した実施の形態1,2と同様の作用効果を得ることができる。
【0059】
上述した実施の形態1,2では、回転電機Mをハイブリッド車両に適用した。この形態に代えて、電気自動車に適用してもよく、車両以外の輸送機器(例えば船舶や航空機など)に適用してもよい。すなわち、回転軸11と回転軸21との関係によって動作可能な機器に適用することができる。こうした機器であっても、上述した実施の形態1,2と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0060】
M 回転電機
10 第1回転子
20 第2回転子
23 第1磁気パス部
24(24A,24B),28 第2磁気パス部
24c 内周ブリッジ部
24d 外周ブリッジ部
25 短絡導体
26,27,29 導体設置部
30 固定子
31 固定子巻線
32 スロット
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1回転子、第2回転子および固定子を有する回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、第1回転機はステータ、第1ロータおよび第2ロータを有し、当該第1回転機を備えた回転電機に関する技術の一例が開示されている(例えば特許文献1を参照)。第1ロータは、電機子列に対向するように配置された磁極列を有する。当該磁極列は、互いに間隔を存して円周方向に並ぶとともに隣り合う各2つが互いに異なる極性を有する複数の磁極で構成される。第2ロータは、電機子列と磁極列の間に配置された軟磁性体列を有する。当該軟磁性体列は、互いに間隔を存して円周方向に並んだ複数の軟磁性体で構成される。第1回転機は、入力軸がエンジンの出力軸に機械的に連結され、出力軸が第2回転機の回転軸に直結される。
【0003】
また、ステータ、第1ロータおよび第2ロータを備えた電動機に関する技術の一例が開示されている(例えば特許文献2を参照)。第1ロータは、交互に異なる極性の磁極を有するように複数の第1永久磁石を配置して構成された第1永久磁石列と、交互に異なる極性の磁極を有するように複数の第2永久磁石を配置して構成された第2永久磁石列とを軸線方向に並置して構成される。第2ロータは、軟磁性体製の複数の第1誘導磁極で構成された第1誘導磁極列と、軟磁性体製の複数の第2誘導磁極で構成された第2誘導磁極列とを軸線方向に並置して構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4505524号公報
【特許文献2】特許第4648378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1,2の技術を適用する場合、トルク性能を確保するには第2ロータの複数の軟磁性体間の磁気漏洩を極力小さくするため、磁気遮蔽と遠心強度を両立出来る非磁性支持材が必要になる。さらに構造も複雑になるために、コスト高となる。
【0006】
また、第2ロータは複数対の軟磁性体と非磁性体を周方向に交互に配置しており、磁気抵抗変化を利用する所謂リラクタンスタイプである。そのため、トルク密度や出力密度が磁石埋め込みタイプに比べてやや低い。小型化ニーズの高い車両(例えばハイブリッド車両や電気自動車等)では、さらなるトルク密度や出力密度の向上が要請されている。
【0007】
本発明はこのような点に鑑みてなしたものであり、構造を簡素化してコストを抑えるとともに、トルクに有効な磁束を増やしてトルク密度や出力密度を向上できる回転電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、同軸上に配置された第1回転子、第2回転子および固定子を有し、前記第2回転子が前記第1回転子と前記固定子との間に配置される回転電機において、前記第1回転子は異極性の複数の磁極を有し、前記固定子は固定子巻線を有し、前記第2回転子は、前記第1回転子と前記固定子との間で磁束を通す磁性鉄心と、当該磁性鉄心に形成された導体設置部に設置される導体の端部を短絡させた短絡導体を一以上有し、前記磁性鉄心は前記短絡導体に囲まれない一以上の第1磁気パス部と前記短絡導体に囲まれる一以上の第2磁気パス部とを有しかつ前記第1磁気パス部と前記第2磁気パス部とが前記第2回転子の周方向に隣接して配置されることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、第2回転子には、第1磁気パス部と第2磁気パス部とが周方向(回転方向とも呼ぶ。以下同じである。)に配置される。第1磁気パス部は主に固定子と第1回転子との間で磁束を径方向(すなわち中心から放射する方向であり、以下同じである。)に橋絡させ、第2磁気パス部は主に周方向への磁束の漏れを打ち消す(磁気遮蔽する)作用を有する。これらの作用により、トルクに有効な磁束が増え、トルク密度や出力密度を向上させることができる。
【0010】
なお「回転電機」は、回転子と固定子とを有し、回転子を回転部材(例えば軸やシャフト等)に結合(物理的接続・連結・固定・一体化などを含み、直接的であると間接的であるとを問わない。以下同じである。)可能な機器であれば任意である。例えば、発電機,電動機,電動発電機等が該当する。「導体設置部」は一組(一対)の設置部で構成され、当該設置部の形状(構造)は任意である。設置部の形状例としては、切欠部,貫通穴,凹部などが該当する。「短絡導体」は、巻線やコイル等の導体を用い、当該導体の端部を短絡した部材である。「磁性鉄心」は磁性を帯びることが可能な鉄心であれば材質を問わない。通常は軟磁性材料を用いるが、硬磁性材料や非磁性材料を一部に用いてもよい。「隣接」は隣り合えばよく、接触するか否かを問わない。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記第1磁気パス部と前記第2磁気パス部とは、交互に配置されることを特徴とする。この構成によれば、固定子と第1回転子との間で磁束を径方向に橋絡できる部位(第1磁気パス部)と、周方向に磁気遮蔽できる部位(第2磁気パス部)とが交互に設けられる。第1磁気パス部や固定子との相対的な位置関係によって、ある第2磁気パス部では互いに逆方向の磁束が生じて打ち消され、別の第2磁気パス部では同一方向の磁束が生じて強められる。また、第2磁気パス部の相互間でも異なる磁束位相にするので、第2回転子の磁気変調作用を改善できる。したがって、トルク密度や出力密度をさらに向上させることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記第2回転子は、前記第1磁気パス部と前記第2磁気パス部とが円環状につながった磁性体からなることを特徴とする。この構成によれば、第2回転子を周方向に円環状につながった磁性体を用いるので、特別な支持構造を必要とすることなく遠心強度を確保することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、前記第2磁気パス部は、前記第2回転子の隣接する前記第1磁気パス部の相互間を橋絡するように配置され、前記第2磁気パス部の周囲には前記第2磁気パス部の磁束に鎖交する前記短絡導体が配置されたことを特徴とする。この構成によれば、第2磁気パス部の磁束に鎖交する短絡導体を配置することで漏洩磁束を打ち消すことができ、第2回転子の磁束変化率が大きい条件下で短絡導体の誘導電流によりトルクが向上する。
【0014】
請求項5に記載の発明は、前記第1磁気パス部と前記第2磁気パス部とは、周方向に交互に配置され、ともに前記固定子と前記第1回転子との間において磁束を径方向に橋絡する構成としたことを特徴とする。この構成によれば、第2磁気パス部に径方向磁束に鎖交するよう短絡導体を配置し、短絡導体の誘導電流により、第1磁気パス部とは異なる位相の磁束を第2磁気パス部の周囲に発生させることで、磁気変調作用が改善され、幅広い運転領域でトルクが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】回転電機の構成例を模式的に示す軸方向の断面図である。
【図2】回転電機の第1構成例を模式的に示す径方向の分割断面図である。
【図3】磁束分布の一例を示す模式図である。
【図4】比較例にかかる磁束分布の一例を示す模式図である。
【図5】比較例にかかる磁束分布の一例を示す模式図である。
【図6】トルクの経時的変化を示すグラフ図である。
【図7】回転電機の第2構成例を模式的に示す径方向の分割断面図である。
【図8】回転電機の第3構成例を模式的に示す径方向の分割断面図である。
【図9】回転電機の第4構成例を模式的に示す径方向の分割断面図である。
【図10】回転電機の第5構成例を模式的に示す径方向の分割断面図である。
【図11】回転電機の第6構成例を模式的に示す径方向の分割断面図である。
【図12】回転電機の第7構成例を模式的に示す径方向の分割断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。なお、特に明示しない限り、「接続する」という場合には電気的な接続を意味する。各図は、本発明を説明するために必要な要素を図示し、実際の全要素を図示してはいない。上下左右等の方向を言う場合には、図面の記載を基準とする。見易くして理解を容易にするため、図8(B)を除いて、断面図にかかる各図面ではハッチ線の図示を省略する。
【0017】
〔実施の形態1〕
実施の形態1は、ハイブリッド車両に用いられる回転電機について、径方向に導体設置部(すなわち一組の設置部)を備える例であって、図1〜図6を参照しながら説明する。図1には回転電機の構成例を模式的に軸方向(図2のI−I線矢視)の断面図で示す。図2には回転電機の第1構成例を模式的に径方向(図1のII−II線矢視)の分割断面図で示す。図3には磁束分布の一例を模式図で示す。図4と図5には比較例にかかる磁束分布の一例を模式図で示す。図6にはトルクの経時的変化をグラフ図で示す。
【0018】
図1に示す回転電機Mは、第1回転子10、第2回転子20、固定子30などを有する。これらの第1回転子10、第2回転子20および固定子30は同軸上に配置される。第2回転子20が第1回転子10と固定子30との間に配置され、固定子30は最外周に配置される構造である。
【0019】
第1回転子10の回転軸11は入力軸であり、動力源(例えば燃焼機関や電動機等)から伝達される動力を入力する。回転軸11に結合される対象物は任意であり、例えば二点鎖線で図示するエンジン軸12(クランク軸とも呼ぶ。)と結合される。第2回転子20の回転軸21は出力軸であり、変換された動力を出力する。回転軸21に結合される対象物も任意であり、例えば二点鎖線で図示するトランスミッション軸22と結合される。固定子30は回転磁界を発生させるための固定子巻線31を有する。固定子巻線31は複数のスロット32(図2を参照)内に収容され、本形態では多相巻線(例えばU相,V相,W相にかかる三相巻線等)を適用する。なお、図2では図面右下のスロット32にのみ固定子巻線31を収容した状態を示すが、実際には各スロット32にそれぞれ固定子巻線31を収容する。こうして収容した固定子巻線31を適切に接続して多相巻線とする。
【0020】
回転電機Mの第1構成例について、全体を4分割した分割断面図である図2を参照しながら説明する。第1回転子10には極性の異なる磁石を複数極対(例えば10極対)を交互に配置する。第1回転子10は同期タイプであればよい。小型化ニーズの高いハイブリッド車両に適用するには高性能磁石を用いたSPM(表面磁石式)や、IPM(埋め込み磁石式)ロータを用いるのが望ましい。本形態では、トルク変動を抑えるため、第1回転子10は表面磁束密度分布を正弦波に近づけたIPMを用いる。
【0021】
第2回転子20は、周方向に連続する軟磁性材(積層電磁鋼板)を用いて形成され、径方向に沿って設けられる導体設置部26を複数有する。それぞれの導体設置部26は、一組の切欠部26a,26bからなる。図2の例では、第2回転子20の外周側に凹形状の切欠部26aを設け、内周側に凹形状の切欠部26bを設けている。切欠部26a,26bには短絡導体25が設置される。短絡導体25は、巻線やコイル等の導体を用い、両端を電気的に短絡した部材である。短絡導体25の短絡方法は任意であり、例えば短絡導体25の両端を直接的に接合(例えば溶接や半田付け等)したり、短絡導体25の両端と導体板(例えば金属板等)とを接合したりするなどが該当する。短絡導体25の設置方法も任意であり、例えば包囲・収容・固定・巻回などが該当する。切欠部26a,26bの相互間にある第2回転子20の本体部分は、後述する第2磁気パス部24に相当する。
【0022】
上述した導体設置部26を設けたことによって、第2回転子20には第1磁気パス部23と第2磁気パス部24とが交互に配置される。配置間隔は等間隔が望ましいが、仕様や回転電機Mの周囲環境等によっては少なくとも一部において不等間隔としてもよい。第1磁気パス部23は、第1回転子10および固定子30との間で磁束を通す機能を担う。第2磁気パス部24は、隣接する第1磁気パス部23の相互間を橋絡する機能を担う。第2磁気パス部24の内外周にあたる切欠部26a,26bに短絡導体25を収容して包囲したことによって、隣接する第1磁気パス部23の相互間で生じる漏洩磁束を打ち消すことができる。
【0023】
第1回転子10の極対数P1と第2回転子20の極対数P2とは、極対数を異ならせ、固定子30の極対数P3との間には「P2=P1+P3」の関係式が成立するように、第1回転子10および第2回転子20を構成する。本形態では上記関係式を満足する組み合せの一例として、P1=10、P2=16、P3=6を適用する。この構成によれば、第1回転子10、第2回転子20および固定子30の間に磁気的な結合関係を作り出すことができる。ここで、第2回転子20の第1磁気パス部23の周方向の総和(=16)を極対数P2として定義している。
【0024】
第1回転子10と第2回転子20とは、異なる回転数で回転させることができる。ここで、第1回転子10の回転数=N1[r/sec]、第2回転子20の回転数=N2[r/sec]の条件下で固定子30の固定子巻線31に周波数f(=P2N2−P1N1)[Hz]の電流を流すと、電気磁気的な変速機として作動させることができる。
【0025】
上述のように構成された回転電機Mについて磁力線を用いた磁束分布を示すと、図3のようになる。見易くするために、図3では磁力線を細線で示す。また、短絡導体25や固定子巻線31などの導電部材について、丸付き記号「×」は図面の奥行き方向に電流が流れることを示し、丸付き記号「・」は図面の手前方向に電流が流れることを示す。
【0026】
図3において、第1磁気パス部23の相互間の漏洩磁束が変化(発生を含む)すると、この漏洩磁束は第2磁気パス部24を通る。そして、漏洩磁束の変化を打ち消すように、第2磁気パス部24を包囲する短絡導体25には誘導電流が発生する。短絡導体25に誘導電流が発生すると、当該短絡導体25の周囲には「右ねじの法則」に従って磁界(磁束)が発生する。当該磁界(磁束)の向きに応じて、第1磁気パス部23の相互間の漏洩磁束を打ち消したり、逆に漏洩磁束を強めたりする。上記内容について以下に詳述する。
【0027】
図3には、第1回転子10および第2回転子20の一方または双方が回転している際のある時点における磁束分布を示す。具体的には、固定子30の位置Paに示す丸付き記号「×」を中心とする時計回り(矢印D1)の磁束が発生し、同じく位置Pbに示す丸付き記号「・」を中心とする反時計回り(矢印D2)の磁束が発生していると仮定する。他の部位についても同様であり、時計回りの磁束と反時計回りの磁束とが交互に発生している。以下では説明の都合上で区別をするために、図面左側に位置する第2磁気パス部24を「第2磁気パス部24A」と呼び、その右側に位置する第2磁気パス部24を「第2磁気パス部24B」と呼ぶことにする。
【0028】
位置Paを中心として発生する時計回りの磁束の一部は、第2磁気パス部24Aを図面左側(矢印D3とは反対方向)に向かって漏洩する。この漏洩磁束が時間的に変化すると、第2磁気パス部24Aを包囲する短絡導体25には、磁束の変化を妨げようとする電流が流れ、漏洩磁束とは逆方向(矢印D3方向)の磁界(磁束)が発生する。このように第2磁気パス部24Aでは、漏洩磁束と、短絡導体25の電流による磁束とが互いに打ち消し合うため、第2磁気パス部24Aの磁束はほとんど無くなり、周方向への磁束を磁気的に分離(遮断)することができる。
【0029】
一方、位置Pbを中心として発生する反時計回りの磁束の一部は、第2磁気パス部24Bを図面左側(矢印D4方向)に向かって漏洩する。この漏洩磁束が時間的に変化すると、第2磁気パス部24Bを包囲する短絡導体25には、磁束の変化を妨げようとする電流が流れる。第2磁気パス部24Bでは、短絡導体25の電流(I)と固定子磁束(φb)との直交成分に比例したトルク(kφbI;kは定数)が発生する。
【0030】
第2磁気パス部24Aでは周方向への磁束の漏れを打ち消し、第2磁気パス部24Bでは周方向の磁束を強めるように短絡導体25に電流が流れる。このように、第1磁気パス部23と第2磁気パス部24(24A,24B)とで異なる磁束位相にすることができるので、第2回転子20の磁気変調作用を改善することができる。
【0031】
上述した回転電機Mの構成による磁束変化と比較するための比較例を図4と図5に示す。図4に示す回転電機Maは、第1回転子10a、第2回転子20a、固定子30aなどで構成される。第1回転子10aは第1回転子10に対応し、第2回転子20aは第2回転子20に対応し、固定子30aは固定子30に対応する。磁性体で形成する第2磁気パス部24に代えて、非磁性体の第2磁気パス部24aを用いて構成した点が相違する。第2磁気パス部24aは非磁性体であるので磁束をほとんど通さない。また、導体設置部26に短絡導体25を備えない点も相違する。
【0032】
図4には、図3に示す磁束分布の例と同様の条件における磁束分布を示す。図3と同様に、位置Paを中心として時計回りの磁束が発生し、位置Pbを中心として反時計回りの磁束が発生する。これらの磁束は、第1磁気パス部23を通るものの、第2磁気パス部24aを通り、漏洩することがほとんど無い。そのため、上述した第2磁気パス部24Aのように周方向への磁束を磁気的に分離することができる。ただし、上述した第2磁気パス部24Bのように周方向の磁束を強める短絡導体25に電流(I)と固定子磁束(φb)との作用で付勢トルクを発生させることはできない。
【0033】
図5に示す回転電機Mbは、第1回転子10b、第2回転子20b、固定子30bなどで構成される。第1回転子10bは第1回転子10に対応し、第2回転子20bは第2回転子20に対応し、固定子30bは固定子30に対応する。第2磁気パス部24bは第2磁気パス部24と同様に磁性体で形成する。よって図3の構成と相違するのは、短絡導体25を導体設置部26に設置しない点である。
【0034】
図5には、図3に示す磁束分布の例と同様の条件における磁束分布を示す。図3と同様に、位置Pbを中心として時計回りの磁束が発生し、位置Pbを中心として反時計回りの磁束が発生する。これらの磁束は、第1磁気パス部23を通るとともに、一部の磁束は第2磁気パス部24bを通り漏洩する。短絡導体25を備えないので、第2磁気パス部24bで磁束を打ち消す電流により漏洩磁束を減らす作用はない。
【0035】
図3〜図5に示す回転電機M,Ma,Mbの起動時におけるトルク変化について、図6を参照しながら説明する。図6では、縦軸をトルク[Nm]とし、横軸を時間[sec]として、トルクの経時的変化をグラフで示す。太線で示すトルク特性線Tq1は、図3に示す回転電機Mのトルク変化である。実線で示すトルク特性線Tq2は、図4に示す回転電機Maのトルク変化である。破線で示すトルク特性線Tq3は、図5に示す回転電機Mbのトルク変化である。各トルク特性線は、第1回転子10(10a,10b)の回転数が0[rpm]であり、第2回転子20(20a,20b)の回転数が750[rpm]であるとき、回転軸21から出力されるトルク変化を示す(図1を参照)。ハイブリッド車両がEV走行する場合等のように、第2回転子20における磁束変化率が大きい場合を想定している。
【0036】
トルク特性線Tq2,Tq3は経時的に大きな変化がみられないのに対して、トルク特性線Tq1は起動直後は大きな変化があるものの徐々に安定化する。安定化した状態におけるトルクの大きさを比較すると、図6によれば明らかにTq1>Tq2>Tq3である。トルク特性線Tq2とトルク特性線Tq3との差分値ΔTqaは、主に第2磁気パス部24aによる磁気遮蔽効果によって回復できたトルクとみなせる。またトルク特性線Tq1とトルク特性線Tq2との差分値ΔTqbは、主に第2磁気パス部24B(図3を参照)において短絡導体25を流れる短絡電流と磁束との作用によって生じるトルクの増加分とみなせる。トルク特性線Tq2,Tq3は従来技術に相当するので、本発明はそれぞれの差分値(ΔTqb,ΔTqa+ΔTqb)だけトルクを増加させることができる。
【0037】
上述した実施の形態1によれば、以下に示す各効果を得ることができる。まず請求項1に対応し、回転電機Mにおいて、第1回転子10は異極性の複数の磁極を有し、固定子30は固定子巻線31を有し、第2回転子20は第1回転子10と固定子30との間で磁束を通す磁性鉄心で形成された導体設置部26に設置される導体の端部を短絡させた短絡導体25を一以上有し、磁性鉄心は短絡導体25に囲まれない一以上の第1磁気パス部23と短絡導体25に囲まれる一以上の第2磁気パス部24(24A,24B)とを有しかつ第1磁気パス部23と第2磁気パス部24(24A,24B)とが第2回転子20の周方向に隣接して配置される構成とした(図1,図2を参照)。この構成によれば、第1磁気パス部23は固定子30と第1回転子10との間で磁束を径方向に通し、第2磁気パス部24(24A)は周方向への磁束の漏れを打ち消す作用を有する(図3を参照)。これらの作用により、トルクに有効な磁束が増え、トルク密度や出力密度を向上させることができる。
【0038】
請求項2に対応し、第1磁気パス部23と第2磁気パス部24(24A,24B)とは、交互に配置される構成とした(図2,図3を参照)。この構成によれば、固定子30と第1回転子10との間で磁束を径方向に橋絡できる部位(すなわち第1磁気パス部23)と、周方向に磁気遮蔽できる部位(すなわち第2磁気パス部24)とが交互に設けられる。第1磁気パス部23や固定子30との相対的な位置Pa,Pb関係によって、第2磁気パス部24Aでは互いに逆方向の磁束が生じて打ち消され、第2磁気パス部24Bでは同一方向の磁束が生じて強められる。また、第2磁気パス部24の相互間でも異なる磁束位相にするので、第2回転子20の磁気変調作用を改善できる。したがって、トルク密度や出力密度をさらに向上させることができる。
【0039】
請求項3に対応し、第2回転子20は、第1磁気パス部23と第2磁気パス部24とが円環状につながった磁性体からなる構成とした(図1〜図3を参照)。この構成によれば、第2回転子20を周方向に円環状につながった磁性体を用いるので、特別な支持構造を必要とすることなく遠心強度を確保することができる。
【0040】
請求項4に対応し、第2磁気パス部24は、第2回転子20の隣接する第1磁気パス部23の相互間を橋絡するように配置され、第2磁気パス部24の周囲には第2磁気パス部24の磁束に鎖交する短絡導体25が配置される構成とした(図1,図2を参照)。この構成によれば、第2磁気パス部24Aの磁束に鎖交する短絡導体25を配置することで漏洩磁束を打ち消すので(図3を参照)、第2回転子20の磁束変化率が大きい条件下で短絡導体25の誘導電流によりトルクが向上する(図6のトルク特性線Tq1を参照)。
【0041】
〔実施の形態2〕
実施の形態2は、実施の形態1と同様にハイブリッド車両に用いられる回転電機Mについて、周方向に導体設置部を備える例であって、図7を参照しながら説明する。なお、回転電機Mの構成は、一部の構成が実施の形態1と同様である。そのため実施の形態2では、実施の形態1で用いた要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略し、上述した実施の形態1と相違する内容を説明する。
【0042】
図7には、回転電機Mの第2構成例を模式的に径方向(図1のII−II線矢視)の分割断面図で示す。図2に示す回転電機Mとは、第2回転子20の構成が相違する。なお、見易くして理解を容易にするため、固定子30の図示を省略している(他の実施の形態で参照する図8以降でも同様である)。
【0043】
図7に示す第2回転子20は、複数の第1磁気パス部23と、複数の第2磁気パス部28とが円周方向に隣接する磁性体で構成される。本形態では、第1磁気パス部23と第2磁気パス部28とを交互に配置する。第1磁気パス部23の大きさと、第2磁気パス部28の大きさは任意に設定可能である。第1回転子10と固定子30との間で(図2を参照)、第1磁気パス部23を通る磁束を大きくするには、第1磁気パス部23を第2磁気パス部28よりも大きく形成するのが望ましい。第1磁気パス部23と第2磁気パス部28とを円周方向に隣接させる方法は任意であり、例えば円環状に形成された固定枠や固定部材などに固定する。
【0044】
図示するように、短絡導体25は第2磁気パス部28の周方向に沿って設置される。第2磁気パス部28を包囲する短絡導体25は、第1回転子10や図示しない固定子30からの径方向(矢印D6方向)の磁束に鎖交するため、短絡導体25の誘導電流により磁束の変化が妨げられる。これに対して、第1磁気パス部23の周りには短絡導体が無いため、径方向(矢印D5方向)の磁束変化が妨げられない。
【0045】
第1磁気パス部23では第1回転子10と固定子30との間で磁束を通し、第2磁気パス部28は周方向への磁束の漏れを打ち消す作用を有する。この作用によって、第1磁気パス部23と第2磁気パス部28とで異なる磁束位相にすることができるので、第2回転子20の磁気変調作用を改善することができる。
【0046】
上述した実施の形態2によれば、以下に示す効果を得ることができる。なお、請求項1,2については実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。
【0047】
請求項5に対応し、第1磁気パス部23と第2磁気パス部28とは、周方向に磁気的に分離するために周方向に交互に配置され、ともに固定子30と第1回転子10との間において磁束を径方向に橋絡する構成とした(図7を参照)。この構成によれば、第2磁気パス部28に径方向磁束に鎖交するよう短絡導体25を配置し、短絡導体25の誘導電流により、第1磁気パス部23とは異なる位相の磁束を第2磁気パス部28の周囲に発生させることで、磁気変調作用が改善され、幅広い運転領域でトルクが向上する。
【0048】
〔他の実施の形態〕
以上では本発明を実施するための形態について実施の形態1,2に従って説明したが、本発明は当該形態に何ら限定されるものではない。言い換えれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施することもできる。例えば、次に示す各形態を実現してもよい。
【0049】
上述した実施の形態1では、短絡導体25を設置する部位として、円環状に形成された第2回転子20の内周と外周とに切欠部26a,26bを備える構成とした(図2を参照)。この形態に代えて、例えば図8(A)に示すように、切欠部26a,26bに対応する形状で一組の貫通穴20hを第2回転子20に備えてもよい。一組の貫通穴20hは第2回転子20の内周面と外周面に近い位置に形成し、貫通穴20hの相互間は第2磁気パス部24に相当する。このように構成する場合でも、実施の形態1と同様に、第1磁気パス部23では第1回転子10と固定子30との間で磁束を通し、第2磁気パス部24Aでは周方向(矢印D7方向)への磁束を磁気的に分離し、第2磁気パス部24Bでは磁束を強め合う。これらの作用によって、第1磁気パス部23と第2磁気パス部24(24A,24B)とで異なる磁束位相にすることができるので、第2回転子20の磁気変調作用を改善することができる。
【0050】
また、一組の貫通穴20hに対応する形状として、例えば図8(B)の断面図に示すような凹部20iを第2回転子20に備えてもよい。この凹部20iは、単純な凹形状(一面が開口する箱形状)ではなく、第1磁気パス部23の相互間を橋絡する第2磁気パス部24(24A,24B)が橋架されるような形状である。言い換えれば、第2回転子20の一面側に厚さΔdを残す。このように構成する場合でも、実施の形態1と同様に、第1磁気パス部23では第1回転子10と固定子30との間で磁束を通し、第2磁気パス部24Aでは周方向(矢印D7方向)への磁束を磁気的に分離し、第2磁気パス部24Bでは磁束を強め合う。これらの作用によって、第1磁気パス部23と第2磁気パス部24(24A,24B)とで異なる磁束位相にすることができるので、第2回転子20の磁気変調作用を改善することができる。
【0051】
上述した実施の形態2では、複数の第1磁気パス部23と複数の第2磁気パス部28とが円環状に隣接する磁性体で第2回転子20を構成した(図7を参照)。この形態に代えて、例えば図9に示すように、円環状に形成された第2回転子20に対して一組の貫通穴27a,27bを周方向に複数組(例えば16組など)備える構成としてもよい。短絡導体25は、一組の貫通穴27a,27bを通り、第2磁気パス部28を包囲するように設置される。この構成によれば、第1回転子10や固定子30からの径方向(矢印D6方向)の磁束に鎖交するため、誘導電流により磁束の変化が妨げられる。これに対して、第1磁気パス部23では径方向(矢印D5方向)の磁束変化が妨げられない。第1磁気パス部23では第1回転子10と固定子30との間で磁束を通し、第2磁気パス部28は周方向への磁束の漏れを打ち消す。よって、第1磁気パス部23と第2磁気パス部28とで異なる磁束位相にすることができるので、第2回転子20の磁気変調作用を改善することができる。なお貫通穴27a,27bに代えて、図8(B)に示す凹部20iを備える場合でも同様の作用効果を得ることができる。
【0052】
図9に示す構成例に代えて、図10に示す構成例としてもよい。図9では径方向に沿って貫通穴27a,27bを備えるのに対して、図10では径方向と交差する方向に沿って貫通穴27a,27bを備える。図10では、角度αだけ図面左側(反時計回り)に傾斜させて貫通穴27a,27bを形成している。このように傾斜させることによって、第1回転子10や固定子30から第1磁気パス部23を通る磁束の向きも傾斜し、矢印D5aで示す傾斜方向になる。第2磁気パス部28では矢印D6aで示す傾斜方向の磁束に対して、短絡導体25を流れる誘導電流によって磁束の変化が妨げられる。第1磁気パス部23では第1回転子10と固定子30との間で磁束を通し、第2磁気パス部28は周方向への磁束の漏れを打ち消す点は変わらない。よって、第1磁気パス部23と第2磁気パス部28とで異なる磁束位相にすることができるので、第2回転子20の磁気変調作用を改善することができる。なお貫通穴27a,27bに代えて、図8(B)に示す凹部20iを備える場合でも同様の作用効果を得ることができる。
【0053】
第2回転子20について、実施の形態1では一組の切欠部26a,26bを複数組備える構成とし(図2を参照)、実施の形態2では複数の第1磁気パス部23と複数の第2磁気パス部28とを交互に備える構成とした(図7を参照)。これらの実施の形態1,2で共通するのは、第2磁気パス部24,28を一の短絡導体25で包囲するように設置する点である。この形態に代えて、第2磁気パス部24を複数の短絡導体25で包囲するように設置する構成としてもよい。例えば図11に示すように、導体設置部29を4つの貫通穴29a,29b,29c,29dで構成し、貫通穴29aと貫通穴29bとの間、貫通穴29bと貫通穴29dとの間、貫通穴29dと貫通穴29cとの間、貫通穴29cと貫通穴29aとの間についてそれぞれ短絡導体25を設置する。すなわち、第2磁気パス部24は十字形状のように形成される。この構成では、周方向(矢印D11方向)と径方向(矢印D12方向)との双方に第2磁気パス部24が橋絡し得る。ところが、第2磁気パス部24を周方向に通す磁束は、貫通穴29c,29a間に設置する短絡導体25および貫通穴29b,29d間に設置する短絡導体25にそれぞれ流れる短絡電流によって磁束の変化が妨げられる。同様に第2磁気パス部24の径方向を通る磁束は、貫通穴29a,29b間に設置する短絡導体25および貫通穴29c,29d間に設置する短絡導体25にそれぞれ流れる短絡電流によって磁束の変化が妨げられる。一方、第1磁気パス部23では第1回転子10と固定子30との間で磁束を通す。よって、第1磁気パス部23と第2磁気パス部24とで異なる磁束位相にすることができるので、第2回転子20の磁気変調作用を改善することができる。なお貫通穴29a,29b,29c,29dに代えて、図8(B)に示す凹部20iと同様な凹部を備える場合でも同様の作用効果を得ることができる。
【0054】
前述した図9に示す構成例では、円環状に形成された第2回転子20に対して一組の貫通穴27a,27bを周方向に複数組(例えば16組など)備えた。この構成に代えて、図12に示す構成としてもよい。この構成は図9に示す構成例と類似するが、第2回転子20の内周側に備える内周ブリッジ部24cと、同じく外周側に備える外周ブリッジ部24dとを備える点が相違する。これらの内周ブリッジ部24cおよび外周ブリッジ部24dは、橋架する幅を狭くするか、あるいは非磁性に改質処理することにより、磁気的に分離する。また、貫通穴27aと貫通穴27bとの間隔(周方向の距離)が相違する。この構成によれば、第2磁気パス部28には第1回転子10や固定子30からの径方向(矢印D16方向)の磁束に鎖交するよう短絡導体25を設けるため、誘導電流により磁束の変化が妨げられる。これに対して、第1磁気パス部23の周りには短絡導体が無いため、径方向(矢印D15方向)の磁束変化を妨げない。そのため、第1磁気パス部23と第2磁気パス部28とで異なる磁束位相にでき、磁気変調作用が改善される結果、幅広い運転領域でトルクが向上する。第1磁気パス部23の周方向の距離(L1)が第2磁気パス部28の周方向の距離(L2)の2倍以上(すなわちL1≧2L2)となるように構成すれば、トルク性能がさらに高まる。
【0055】
第2回転子20について、実施の形態1では第1磁気パス部23と第2磁気パス部24とを交互に配置する構成とし(図2を参照)、実施の形態2では第1磁気パス部23と第2磁気パス部28とを交互に配置する構成とした(図7を参照)。この形態に代えて、少なくとも一部を非交互に配置する構成としてもよい。例えば、図3に示す第2磁気パス部24Bの配置を部分的に無くす構成などが該当する。非交互に配置する部位では上述した実施の形態1,2に示す作用効果が低減するものの、交互に配置する部位では上述した実施の形態1,2に示す作用効果が得られる。
【0056】
上述した実施の形態1,2では、第2回転子20が第1回転子10と固定子30との間に配置され、固定子30は最外周に配置する構造とした(図1を参照)。この形態に代えて、第1回転子10を最外周に配置し、固定子30を最内周に配置する構造としてもよい。さらに、第1回転子10、第2回転子20および固定子30は図1に示す直列状の配置のみならず、非直列状(すなわち第1回転子10と第2回転子20とを通る第1直線と、第2回転子20と固定子30とを通る第2直線とが交差する位置)に配置してもよい。例えば、アキシャルギャップ型の回転電機などが該当する。第2回転子20が第1回転子10と固定子30との間に配置される点では相違ないので、上述した実施の形態1,2と同様の作用効果を得ることができる。
【0057】
上述した実施の形態1,2では、回転軸11にはエンジン軸12を結合し、回転軸21にはトランスミッション軸22を結合する構成とした(図1を参照)。この形態に代えて、回転軸11とエンジン軸12との間、回転軸21とトランスミッション軸22との間のうちで一方または双方に動力伝達機構を介在させる構成としてもよい。動力伝達機構には、例えばカム,ラック&ピニオン,歯車(ギア)などを含む。この構成であっても、回転軸11から動力が入力され、トランスミッション軸22に変換された動力を出力することができるので、上述した実施の形態1,2と同様の作用効果を得ることができる。
【0058】
上述した実施の形態1,2では、回転軸11を入力軸とし、回転軸21を出力軸として用いる構成とした(図1を参照)。この形態に代えて、回転軸21を入力軸とし、回転軸11を出力軸として用いる構成としてもよい。図1の例では、回転軸21にエンジン軸12を結合し、回転軸11にトランスミッション軸22を結合する。第1回転子10および第2回転子20はいずれも回転子であるので、いずれを入力軸とするか出力軸とするかは回転電機Mの仕様や目的等に応じて自在に変更できる。このように入力と出力の相違に過ぎないので、上述した実施の形態1,2と同様の作用効果を得ることができる。
【0059】
上述した実施の形態1,2では、回転電機Mをハイブリッド車両に適用した。この形態に代えて、電気自動車に適用してもよく、車両以外の輸送機器(例えば船舶や航空機など)に適用してもよい。すなわち、回転軸11と回転軸21との関係によって動作可能な機器に適用することができる。こうした機器であっても、上述した実施の形態1,2と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0060】
M 回転電機
10 第1回転子
20 第2回転子
23 第1磁気パス部
24(24A,24B),28 第2磁気パス部
24c 内周ブリッジ部
24d 外周ブリッジ部
25 短絡導体
26,27,29 導体設置部
30 固定子
31 固定子巻線
32 スロット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸上に配置された第1回転子、第2回転子および固定子を有し、前記第2回転子が前記第1回転子と前記固定子との間に配置される回転電機において、
前記第1回転子は異極性の複数の磁極を有し、
前記固定子は固定子巻線を有し、
前記第2回転子は、前記第1回転子と前記固定子との間で磁束を通す磁性鉄心と、当該磁性鉄心に形成された導体設置部に設置される導体の端部を短絡させた短絡導体を一以上有し、
前記磁性鉄心は、前記短絡導体に囲まれない一以上の第1磁気パス部と、前記短絡導体に囲まれる一以上の第2磁気パス部とを有し、かつ、前記第1磁気パス部と前記第2磁気パス部とが前記第2回転子の周方向に隣接して配置されることを特徴とする回転電機。
【請求項2】
前記第1磁気パス部と前記第2磁気パス部とは、交互に配置されることを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記第2回転子は、前記第1磁気パス部と前記第2磁気パス部とが円環状につながった磁性体からなることを特徴とする請求項1または2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記第2磁気パス部は、前記第2回転子の隣接する前記第1磁気パス部の相互間を橋絡するように配置され、
前記第2磁気パス部の周囲には前記第2磁気パス部の磁束に鎖交する前記短絡導体が配置されたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の回転電機。
【請求項5】
前記第1磁気パス部と前記第2磁気パス部とは、周方向に交互に配置され、ともに前記固定子と前記第1回転子との間において磁束を径方向に橋絡する構成としたことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の回転電機。
【請求項1】
同軸上に配置された第1回転子、第2回転子および固定子を有し、前記第2回転子が前記第1回転子と前記固定子との間に配置される回転電機において、
前記第1回転子は異極性の複数の磁極を有し、
前記固定子は固定子巻線を有し、
前記第2回転子は、前記第1回転子と前記固定子との間で磁束を通す磁性鉄心と、当該磁性鉄心に形成された導体設置部に設置される導体の端部を短絡させた短絡導体を一以上有し、
前記磁性鉄心は、前記短絡導体に囲まれない一以上の第1磁気パス部と、前記短絡導体に囲まれる一以上の第2磁気パス部とを有し、かつ、前記第1磁気パス部と前記第2磁気パス部とが前記第2回転子の周方向に隣接して配置されることを特徴とする回転電機。
【請求項2】
前記第1磁気パス部と前記第2磁気パス部とは、交互に配置されることを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記第2回転子は、前記第1磁気パス部と前記第2磁気パス部とが円環状につながった磁性体からなることを特徴とする請求項1または2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記第2磁気パス部は、前記第2回転子の隣接する前記第1磁気パス部の相互間を橋絡するように配置され、
前記第2磁気パス部の周囲には前記第2磁気パス部の磁束に鎖交する前記短絡導体が配置されたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の回転電機。
【請求項5】
前記第1磁気パス部と前記第2磁気パス部とは、周方向に交互に配置され、ともに前記固定子と前記第1回転子との間において磁束を径方向に橋絡する構成としたことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の回転電機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−55809(P2013−55809A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192755(P2011−192755)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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