説明

固体撮像素子の信号処理回路、固体撮像素子の信号処理方法、及び、電子機器

【課題】ワイドダイナミックレンジ化を図るに当たって、被写体の持つ本来の輝度情報を階調性豊かに表現することを可能にする固体撮像素子の信号処理回路、信号処理方法、及び、当該信号処理回路を有する電子機器を提供する。
【解決手段】第1の画素群と、当該第1の画素群に対して電荷の蓄積時間または光感度がα倍異なる第2の画素群とを有する固体撮像素子の信号処理に当たって、第1の画素群における着目画素の信号値をα倍し、第2の画素群の画素の信号値と合成する際に、着目画素の信号値に対して当該着目画素に関連する画素の信号値を基に重み付けを行うようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固体撮像素子の信号処理回路、固体撮像素子の信号処理方法、及び、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
固体撮像素子において、単位画素からは光電変換によって蓄積される電荷量に対してほぼ線形な出力信号が得られる。そして、固体撮像素子のダイナミックレンジは、単位画素が蓄積できる電荷量(飽和電荷量)とノイズレベルで一義的に決まる。すなわち、固体撮像素子の出力レベルの下限はノイズレベルで限定され、上限は飽和レベルで限定される。その結果、固体撮像素子のダイナミックレンジは、飽和電荷量とノイズレベルで一義的に決まる。
【0003】
このダイナミックレンジの拡大を図る手法としては、長時間の電荷蓄積で撮像した、低輝度部分が比較的明瞭な画像と、短時間の電荷蓄積で撮像した、高輝度部分が比較的明瞭な画像とを合成する手法が広く用いられている。そして、ワイド(広)ダイナミックレンジ化を図るための従来技術の一つとして、露光時間の異なる複数の画像信号を入力し、当該入力信号に対して一義的に決まる値で重み付けする技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−266347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に記載の従来技術では、信号処理に必要なビット数を削減することを目的として、入力信号に対して一義的に決まる値で重み付けする手法を採っている。従って、被写体の持つ本来の輝度情報を階調性豊かに表現することは難しい。
【0006】
そこで、本開示は、ワイドダイナミックレンジ化を図るに当たって、被写体の持つ本来の輝度情報を階調性豊かに表現することを可能にする固体撮像素子の信号処理回路、信号処理方法、及び、当該信号処理回路を有する電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本開示は、
第1の画素群と、当該第1の画素群に対して電荷の蓄積時間または光感度がα倍異なる第2の画素群とを有する固体撮像素子の信号処理回路において、
前記第1の画素群における着目画素の信号値をα倍し、前記第2の画素群の画素の信号値と合成する際に、前記着目画素の信号値に対して当該着目画素に関連する画素の信号値を基に重み付けを行う
構成を採っている。
【0008】
第1の画素群の各画素は、電荷の蓄積時間が相対的に短い、あるいは、光感度が相対的に低い画素である。第2の画素群の各画素は、第1の画素群の各画素よりも蓄積時間がα倍長い、あるいは、光感度がα倍高い画素である。ワイドダイナミックレンジ化に当たっては、第1の画素群における着目画素の信号値をα倍し、第2の画素群の画素の信号値とを合成する訳であるが、その際に、着目画素の信号値に対して当該着目画素に関連する画素の信号値を基に重み付けを行う。この重み付けにより、第1の画素群の各画素が、第2の画素群の各画素との倍率差αに相当するステップの刻みとなる不自然な階調が緩和される。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、第1の画素群の各画素が、第2の画素群の各画素との倍率差αに相当するステップの刻みとなる不自然な階調が緩和されるため、被写体の持つ本来の輝度情報を階調性豊かに表現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本開示の実施形態に係る信号処理回路を有する撮像装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】ワイドダイナミックレンジ化のために長時間蓄積データと短時間蓄積データとを合成処理する際の概念を示す図である。
【図3】短時間蓄積データを16倍したときに得られる信号値の例を示す図である。
【図4】短時間蓄積データに対して重み付け処理を行わないときの輝度レベルと出力イメージを示す図である。
【図5】本実施形態に係る重み付け処理を適用した場合の輝度レベルと出力イメージを示す図である。
【図6】実施例1に係る重み付け処理の場合の着目画素Bと当該着目画素Bに関連する画素A,Cの関係を示す図である。
【図7】実施例1に係る重み付け処理を行った場合の輝度レベルと出力イメージを示す図である。
【図8】ノイズリダクションの技術を用いたときに得られる画素信号の信号値を示す図である。
【図9】図8の信号値を横方向にプロットしてグラフ化した図である。
【図10】微細なエッジを含む被写体に対してノイズリダクションの技術を用いたときに得られる画素信号の信号値を示す図である。
【図11】図10の信号値を横方向にプロットしてグラフ化した図である。
【図12】実施例1に係る重み付け処理を適用したときに得られる画素信号の信号値を示す図である。
【図13】図12の信号値を横方向にプロットしてグラフ化した図である。
【図14】微細なエッジを含む被写体に対して実施例1に係る重み付け処理を適用したときに得られる画素信号の信号値を示す図である。
【図15】図14の信号値を横方向にプロットしてグラフ化した図である。
【図16】実施例2に係る重み付け処理の場合の着目画素Eと当該着目画素Eに関連する画素B,H,D,Fの関係を示す図である。
【図17】実施例3に係る重み付け処理における傾き変化による重み付けについて説明するための図である。
【図18】実施例4に係る重み付け処理における時間的変化による重み付けについて説明するための図である。
【図19】重み付け部の具体的な回路例を示すブロック図である。
【図20】SVE方式の場合の画素配列における長時間蓄積/短時間蓄積の各画素の配置関係の一例を示す図である。
【図21】画素分割方式の場合の画素配列における長時間蓄積/短時間蓄積の各画素の配置関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の技術を実施するための形態(以下、「実施形態」と記述する)について図面を用いて詳細に説明する。本開示は実施形態に限定されるものではなく、実施形態における種々の条件や数値などは例示である。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。尚、説明は以下の順序で行う。
1.本開示の固体撮像素子の信号処理回路、信号処理方法、及び、電子機器、全般に関する説明
2.実施形態
2−1.実施例1(周辺画素として左右2つの隣接画素を用いる重み付け処理の例)
2−2.実施例2(周辺画素として上下左右4つの隣接画素を用いる重み付け処理の例)
2−3.実施例3(傾きの変化による重み付け処理の例)
2−4.実施例4(時間的変化による重み付け処理の例)
2−5.重み付け部の具体的な回路例
2−6.長時間蓄積/短時間蓄積の各画素の配置例
3.変形例/適用例
4.本開示の構成
【0012】
<1.本開示の固体撮像素子の信号処理回路、信号処理方法、及び、電子機器、全般に関する説明>
本開示の信号処理回路または信号処理方法の処理の対象となる固体撮像素子としては、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサに代表されるXYアドレス型の撮像素子や、CCD(Charge Coupled Device) イメージセンサに代表される電荷転送型の撮像素子などを例示することができる。本開示の信号処理回路は、固体撮像素子と同じ基板(チップ)上に集積した構成とすることもできるし、当該基板外に設けた構成とすることもできる。
【0013】
固体撮像素子は、第1の画素群と、当該第1の画素群に対して電荷の蓄積時間または光感度がα倍異なる第2の画素群とを有する。第1の画素群の各画素は、電荷の蓄積時間が相対的に短い、あるいは、光感度が相対的に低い画素である。第2の画素群の各画素は、第1の画素群の各画素よりも蓄積時間がα倍長い、あるいは、光感度がα倍高い画素である。以下では、説明の簡略化のために、第1の画素群の各画素を短時間蓄積画素と呼び、第2の画素群の各画素を長時間蓄積画素と呼ぶこととする。
【0014】
本開示の信号処理回路または信号処理方法は、第1の画素群における着目画素の信号値をα倍し、第2の画素群の画素の信号値と合成することにより、固体撮像素子のワイドダイナミックレンジ化を図るための信号処理回路または信号処理方法である。そして、ワイドダイナミックレンジ化に当たって、着目画素の信号値に対して当該着目画素に関連する画素の信号値を基に重み付けを行い、この重み付けした信号値と第2の画素群の画素の信号値とを合成することとする。
【0015】
着目画素に関連する画素として、着目画素に対して位置的(座標的)に異なる当該着目画素の周辺画素を用いることができる。ここで、「着目画素に対して位置的に異なる周辺画素」とは、同じ画素行において着目画素と左右に隣接する画素、同じ画素列において着目画素と上下に隣接する画素、あるいは、着目画素に対して斜め方向に隣接する画素などである。
【0016】
このとき、周辺画素としては、同じ画素行における着目画素の左右2画素、あいは、同じ画素列における着目画素の上下2画素に限られるものではない。すなわち、同じ画素行における着目画素の左側の複数画素、右側の複数画素を周辺画素として用いることもできるし、同じ画素例における着目画素の上側の複数画素、下側の複数画素を周辺画素として用いることもできる。
【0017】
また、着目画素の周辺画素の信号値をそのまま用いて重み付けを行うのではなく、着目画素の例えば前後の隣接画素の傾向から重み付けを行うようにすることもできる。具体的には、前後の隣接画素の傾向、即ち、隣接画素の信号値の変化量の差分の傾向(傾き)から前後の隣接画素の信号値を推定し、当該推定値を用いて重み付けを行うようにすることができる。着目画素の前後の隣接画素の傾向を見るには、前後の隣接画素に対して座標的に連続な複数の画素の信号値を用いるようにすればよい。
【0018】
あるいは又、着目画素に関連する画素として、着目画素に対して時間的に異なる当該着目画素と同一座標の画素を用いることができる。ここで、「着目画素に対して時間的に異なる同一座標の画素」とは、着目画素と異なる撮像フレームにおける着目画素と同一座標(同一位置)の画素(位置的(座標的)に同一の画素)である。
【0019】
着目画素に関連する画素が、着目画素に対して位置的に異なる周辺画素である場合、あるいは、着目画素に対して時間的に異なる同一座標の画素である場合のいずれの場合にあっても、これらの画素は、着目画素と同一色の画素であるのが好ましい。但し、着目画素と異なる色の画素を排除するものではない。
【0020】
着目画素の信号値に対して当該着目画素に関連する画素の信号値を基に重み付けを行うに当たっては、好ましく、±(α/2)の範囲内の重み付け値(強度)にて重み付けを行うようにする、より好ましくは、±(α/4)の重み付け値にて重み付けを行うようにするのが望ましい。
【0021】
重み付け処理を行うに当たっては、着目画素の信号値と、当該着目画素に関連する画素の信号値とを比較し、その比較結果に基づいて±(α/2)の範囲内で重み付け値を着目画素の信号値に加算または減算する処理とすることができる。このとき、着目画素に関連する画素の信号値が着目画素の信号値よりも大きい場合は加算を行い、小さい場合は減算を行う処理とすることができる。着目画素に関連する画素が当該着目画素の周辺画素であるときは、着目画素の信号値と複数の周辺画素の平均値とを比較するようにするのが好ましい。
【0022】
また、重み付け処理について、着目画素の信号値と、当該着目画素に関連する画素の信号値との差分に対して複数のしきい値を設定し、当該複数のしきい値毎に異なる重み付け値を着目画素の信号値に加算または減算する処理とすることができる。
【0023】
重み付け処理を行う重み付け部については、差分計算部、メモリ部、及び、加算/減算部を有する構成とすることができる。ここで、差分計算部は、着目画素に関連する画素の信号値と着目画素の信号値との差分値を求める。メモリ部は、着目画素に関連する画素の信号値と着目画素の信号値との差分値に対応した複数の重み付け値を予め格納する。加算/減算部は、メモリ部から差分計算部が求めた差分値に対応する重み付け値を得て着目画素の信号値に対して加算または減算する。
【0024】
本開示の信号処理回路または信号処理方法は、デジタルスチルカメラやビデオカメラなどの撮像装置(カメラシステム)における撮像素子の信号処理回路または信号処理方法として用いることができる。また、本開示の信号処理回路または信号処理方法は、撮像装置への適用に限られるものではなく、携帯電話機などの撮像機能を有する携帯端末(携帯情報)装置や、複写機、ファクシミリ装置など、画像取込部(撮像部)に固体撮像素子を用いる電子機器全般に対して適用可能である。そして、画像取込部に固体撮像素子を用い、当該固体撮像素子の信号処理回路または信号処理方法として本開示の信号処理回路または信号処理方法を用いる電子機器が、本開示の電子機器ということになる。
【0025】
<2.実施形態>
図1は、本開示の実施形態に係る信号処理回路を有する撮像装置の構成の一例を示すブロック図である。撮像装置としては、デジタルスチルカメラやビデオカメラなどを例示することができる。
【0026】
図1において、撮像装置1は、撮像レンズ21や絞り22等を含む光学系2、固体撮像素子3、及び、本実施形態に係る信号処理回路4を有する構成となっている。本例では、信号処理回路4を固体撮像素子3のチップ外に配置して用いる構成の場合を例に挙げて示しているが、信号処理回路4を固体撮像素子3と同じチップ上に集積して用いる構成を採ることも可能である。
【0027】
光学系2は、被写体像からの像光を固体撮像素子3の撮像面上に結像する。固体撮像素子3は、例えば、CMOSイメージセンサであり、複数の単位画素(以下、単に「画素」と呼ぶ場合もある)が行列状に2次元配置されている。固体撮像素子3は、CMOSイメージセンサに限られるものではない。単位画素の各々には、例えばベイヤー配列にてカラーフィルタが設けられている。カラーフィルタの色配列は、ベイヤー配列に限られるものではない。
【0028】
固体撮像素子3は、電荷の蓄積時間(露光時間)が相対的に短い短時間蓄積画素の画素群(第1の画素群)と、短時間蓄積画素よりも蓄積時間がα倍長い長時間蓄積画素の画素群(第2の画素群)とを有する。固体撮像素子3において、各画素の信号電荷の蓄積時間の制御は、各画素の駆動を司る周辺回路(タイミングジェネレータや垂直走査部など)による駆動の下に実行される。固体撮像素子3から出力される短時間蓄積画素の信号及び長時間蓄積画素の信号は、本実施形態に係る信号処理回路4に供給される。
【0029】
本実施形態に係る信号処理回路4は、A/D変換部40、クランプ部41、メモリ部42、倍率演算部43、合成部44、重み付け部45、デモザイク部46、リニアマトリックス部47、ガンマ補正部48、及び、輝度クロマ信号生成部49を有する構成となっている。
【0030】
固体撮像素子3から出力される短時間蓄積画素の信号及び長時間蓄積画素の信号は、A/D変換部40でアナログ信号からデジタル信号に変換される。以下、A/D変換部40から出力される短時間蓄積画素の信号を短時間蓄積データと呼び、長時間蓄積画素の信号を長時間蓄積データと呼ぶこととする。
【0031】
これらのデータは、短時間蓄積画素及び長時間蓄積画素の各信号値を表わしており、クランプ部41で黒レベルの補正処理が行われた後メモリ部42に供給される。ここで、固体撮像素子3がA/D変換部を内蔵する構成のものであれば、A/D変換部40は不要となる。
【0032】
メモリ部42は、例えばフレームメモリから成り、入力される短時間蓄積データ及び長時間蓄積データを、行列状画素配列の行(ライン)単位、もしくは、フレーム単位で格納する。このメモリ部42は、フレームメモリを制御するメモリ制御部(図示せず)を有しており、当該メモリ制御部による制御の下に、フレームメモリに対する短時間蓄積データ及び長時間蓄積データの書き込み及び読み出しを実行する。
【0033】
メモリ部42からは、ワイドダイナミックレンジ化のために合成される短時間蓄積データと長時間蓄積データとが対で読み出される。メモリ部42から読み出された短時間蓄積データは倍率演算部43に供給され、長時間蓄積データは合成部44に供給される。
【0034】
倍率演算部43に供給された短時間蓄積データは、当該倍率演算部43においてα倍の演算処理が行われる。ここで、「α倍」は、先述したように、長時間蓄積画素と短時間蓄積画素との蓄積時間(露光時間)の倍数差、即ち、(長時間蓄積画素の蓄積時間)/(短時間蓄積画素の蓄積時間)である。この倍率演算部43での演算処理により、短時間蓄積データに対して蓄積時間の倍数差の補正が行われる。
【0035】
倍率演算部43でα倍された短時間蓄積データは重み付け部45に供給される。重み付け部45は、倍率演算部43でα倍された短時間蓄積データについて、着目画素の信号値に対して当該着目画素に関連する画素、好ましくは、着目画素と同一色の画素の信号値を基に重み付けを行う。この重み付け部45は本実施形態の特徴とする部分であり、その詳細については後述する。
【0036】
重み付け部45で重み付けされた短時間蓄積データは合成部44に供給される。合成部44は、メモリ部42から直接供給される長時間蓄積データと、重み付け部45で重み付けされて供給される短時間蓄積データとを合成する。合成部44は、例えば、長時間蓄積画素が飽和しているときの長時間蓄積データについては、短時間蓄積データで置き換えるといった合成処理を行う。
【0037】
合成部44で合成処理された後の画素データは、デモザイク部46で同時化処理が施され、リニアマトリックス部47で色再現処理が施され、更に、ガンマ補正部48でガンマ補正処理が施された後、輝度クロマ信号生成部49に供給される。そして、輝度クロマ信号生成部49において輝度信号及びクロマ信号として生成された後、図示せぬビデオI/F(インターフェース)を介して出力される。
【0038】
上記構成の本実施形態に係る信号処理回路4において、倍率演算部43でのα倍の演算前後の短時間蓄積データ及び長時間蓄積データの関係は次のようになる。
(倍率演算前)
短時間蓄積データ:A[digit] (Aは得られた信号値)
長時間蓄積データ:B[digit] (Bは得られた信号値)
(倍率演算後)
短時間蓄積データ:A×α[digit] (Aは得られた信号値)
長時間蓄積データ:B [digit] (Bは得られた信号値)
【0039】
ここで、一例として、長時間蓄積画素と短時間蓄積画素との蓄積時間に16倍(α=16)の差があったとする。この場合、長時間蓄積データと短時間蓄積データとを合成するには、図2に示すように、短時間蓄積データに対して倍率演算部43で16倍のゲインをかけた上で、合成部44で両データを合成することになる。
【0040】
この合成処理で得られる信号値は、短時間蓄積データを使用するような高輝度領域、即ち、長時間蓄積画素が飽和するような高輝度領域においては、倍率差に相当するステップ(即ち、αステップ)での信号値であり、α=16である場合は、16ステップでの信号値となる。一般的に、被写体自体が16ステップの階調を持つようなことは考えにくいため、16ステップでの信号値はいわば推定値となっている。
【0041】
このような信号処理は、階調表現が十分にできないソラリゼーションや、ノイズ感の面でのリスクを抱える信号処理である。ここで、「ソラリゼーション」とは、映像信号の分解能がカメラ信号処理などでの演算精度の不足で欠落し、階調変化がある被写体において連続的な輝度変化を表現できずに段差が生じ、これが2次元的に並んでしまうことで模様(輪郭)のように見える画質劣化現象である。
【0042】
ノイズに関しては、元のノイズレベルが1であっても、α倍されるとαのレベル差となる。αが16である場合は、合成処理で得られる信号値は、図3に示すような飛び飛びの値を取る。
【0043】
図4に、短時間蓄積データに対して重み付け処理を行わないときの輝度レベルと出力イメージを示す。図4において、(a)は倍率演算前の短時間蓄積データを表わし、(b)は倍率演算後の短時間蓄積データを表わしている。
【0044】
図4(a)に示すように、輝度レベルが徐々に変化するシーンにおいても、デジタル値は1ステップでしか刻むことができない。これを倍率演算すると、図4(b)に示すように、1ステップではなく倍率(ここでは、16倍)ステップになってしまう。例えば、1デジタル値、2デジタル値の出力は、16デジタル値、32デジタル値へ変化する。つまり、16デジタル値と32デジタル値との間に、16デジタル値(=32−16デジタル値)の出力の谷間が発生する。
【0045】
このような問題を解消する機能、即ち、合成処理で得られる信号値が飛び飛びの値しか取らない出力状態を解消する機能を、信号処理回路4、より具体的には、重み付け部45に持たせている点が本実施形態の特徴とするところである。
【0046】
本実施形態では、倍率演算部43での倍率演算後に、重み付け部45で重み付けを行うことで、上記の谷間の修復を行う。図5に、本実施形態に係る重み付けを適用した場合の輝度レベルと出力イメージを示す。図5において、(a)は倍率演算前の短時間蓄積データを表わし、(b)は倍率演算後の短時間蓄積データを表わしている。
【0047】
先ず、デジタル値は1以下の数字を刻むことができないため、得られる出力は1デジタル値と2デジタル値であるとする(10ビットであれば、0〜1023デジタル値の間を1ステップずつ遷移可能だが、小数点以下を取ることはできない)。ここでは、谷間を埋めることはできない。
【0048】
次に、倍率演算部43で倍率演算を行い、それぞれ16デジタル値と32デジタル値へ変化させる。倍率演算後は、表現可能なデジタル値に空きができる。つまり、この例の場合、17デジタル値〜31デジタル値を保持することができる。重み付け部45でこの重み付け処理を実施する。
【0049】
1デジタル値は、0.5〜1.5デジタル値(実際には取れない値)が収束されて1デジタル値となっている。2デジタル値は、1.5〜2.5デジタル値(実際には取れない値)が収束されて2デジタル値となっている。このように考えると、図5(b)に示すように、倍率演算後(ここでは、16倍)に本来取るべき数字は1デジタル値であれば16倍の8〜24の間、2デジタル値であれば24〜40の間となる。つまり、出力値に対して±(α/2)の範囲内の数値をとる(αは蓄積時間の倍率差。今回の場合、±8の範囲内)。
【0050】
このように、重み付け部45での重み付けによって谷間の修復を行うことにより、ワイドダイナミックレンジ化に当たり、短時間蓄積画素と長時間蓄積画素の蓄積時間の倍率差に相当するステップを持つ不自然な階調が緩和され、より階調性豊かな映像表現が可能になる。すなわち、被写体の持つ本来の輝度情報を階調性豊かに表現することができる。換言すれば、被写体本来の状態をより忠実に予測再現することができる。これにより、重み付け部45以降における信号処理についてもより的確に行うことができる。
【0051】
上述した本実施形態に係る重み付け処理の概念を基とした、重み付け部45の具体的な実施例について以下に説明する。尚、図1に示した撮像装置において、本実施形態に係る重み付け部45の配置箇所は一例であって、短時間蓄積データに対して重み付けを行うことができる信号処理経路中の箇所であればいずれの箇所であってもよい。
【0052】
[2−1.実施例1]
実施例1に係る重み付け部45では、着目画素に関連する画素として当該着目画素の周辺画素を用いる。具体的には、図6に示すように、ある画素行における画素Bを着目画素とするとき、同じ画素行において着目画素Bと左右に隣接する画素A,Cを、着目画素Bに関連する画素として用いる。
【0053】
そして、重み付け部45は、倍率演算部43での倍率演算後の短時間蓄積データ(信号値)に対して、画素A,Cの信号値を用いて、下記の条件の下に重み付け処理を行う。以下では、説明の簡略化のために、画素A,B,Cの各信号値を単にA,B,Cと記述するものとする。
【0054】
(着目画素Bに対する処理)
AとCの平均値(中間値)がBよりも小さい場合:Bの値−4デジタル値
AとCの平均値(中間値)がBよりも大きい場合:Bの値+4デジタル値
AとCの平均値(中間値)がBと同じ場合:重み付けなし
【0055】
つまり、ここでは重み付けの際に±(α/4)の値を用いて演算しているが、基本的には、出力値に対して±(α/2)の範囲内の数値を取るようにすればよい。±(α/4)は、±(α/2)の中間点(中間値)を取るための数値である。±(α/4)の値を用いて重み付けを行うことで、図7(b)に示すように、1デジタル値は倍率演算と重み付け後に、12,16,20デジタル値のいずれかの値を取り、2デジタル値は28,32,36デジタル値のいずれかの値を取る。
【0056】
図7に、実施例1に係る重み付け処理をした場合の輝度レベルと出力イメージを示す。図7において、(a)は倍率演算前の短時間蓄積データを表わし、(b)は倍率演算後の短時間蓄積データを表わしている。
【0057】
実施例1に係る重み付け処理によれば、同じ画素行において着目画素Bと隣接する画素A,Cの信号値を基に重み付けを行なうことで、ワイドダイナミックレンジ化の際に、短時間蓄積画素と長時間蓄積画素の蓄積時間の倍率差に相当するステップ(本例の場合、αステップ)を持つ不自然な階調が緩和される。その結果、より階調性豊かな映像表現を実現できる。
【0058】
(ノイズリダクションについて)
ところで、固体撮像素子の信号処理において、周辺画素の信号値を使って、着目画素の数値を決定する手法の一つとして、ノイズリダクションの概念がある(例えば、特開2005−311455号公報参照)。
【0059】
ノイズリダクションは、任意の領域内で平滑化することによって、ノイズ感を除去する技術であり、ワイドダイナミックレンジ化にこの手法を用いることによっても、16倍の露光差の固体撮像素子の場合であっても、16デジタル値ステップの信号ではなく、図8に示すように、平滑化された信号値を得ることができる。
【0060】
図8は、ノイズリダクションの技術を用いたときに得られる画素信号の信号値を示す図である。また、図9は、図8の信号値を横方向にプロットしてグラフ化した図である。図8及び図9において、(a)は被写体の輝度分布を、(b)は短時間蓄積画素の信号値を、(c)は倍率演算後の信号値を、(d)はノイズリダクション後の信号値をそれぞれ表わしている。
【0061】
図8(a)に示すように、被写体の輝度レベルは滑らかな輝度レベルを有しているものとする。それに対して、ワイドダイナミックレンジの短時間蓄積画素で得られる画素信号の信号値は、図8(b)のようになる。まずこの時点で細かい階調が潰れることになる。例えば、固体撮像素子の出力データが10ビットであった場合、0〜1023デジタル値で被写体の輝度レベルを表現する必要がある。表現が必要な輝度レベルが0〜10230であった場合、輝度レベル10ステップ毎に1デジタル値が向上することになる。
【0062】
つまり、輝度信号が滑らかなアナログ値であっても、デジタル段階では当然ながら階段的に信号値が変化する。このようにビット幅と輝度階調の差異が階調潰れの原因となっている。そして、図8(c)においては、長時間蓄積、短時間蓄積の蓄積時間の倍率差(この例では、16倍)を短時間蓄積データに対して掛け合わせる。これは時間長蓄積データと短時間蓄積データを合成するために必要な処理である。
【0063】
この時点では、階調が潰れたままの状態となっている。更に、ノイズリダクション処理を加えると、図8(d)に示すようになる。ノイズリダクション(平滑化)の手法は多々あるが、ここでは着目画素と、左右に隣接する画素の3つの画素の平均値を着目画素の処理後の値としている。こうすることで元の輝度レベルのような階調表現を得ることができる。
【0064】
しかし、微細なエッジを含むパターン(被写体)においては、ノイズリダクション処理が弊害となることもある。例えば、図10(a)に示すようなエッジを含む被写体があった場合、短時間蓄積画素の信号値は、図10(b)に示すようになる。更に、ワイドダイナミックレンジ化の合成のために蓄積時間の倍率差(この例では、16倍)を掛け合わせると、図10(c)に示すようになる。
【0065】
ここで先程と同じように着目画素と左右の周辺画素の3画素の平均値を着目画素の値に置き換えると、図10(d)に示すようになる。図10(d)からも分かるようにエッジの値が潰れてしまい、周辺の値もエッジ部分と同じ出力値になっている。これが平滑化、即ち、ノイズリダクション処理の弊害である。図11は、図10の信号値を横方向にプロットしてグラフ化した図である。
【0066】
(重み付け処理による特有の作用、効果)
実施例1に係る重み付け処理によれば、先述したより階調性豊かな映像表現を実現できるという作用、効果に加えて、以下に説明するような、ノイズリダクション処理では得られない特有の作用、効果を得ることができる。
【0067】
図12は、実施例1に係る重み付け処理を適用したときに得られる画素信号の信号値を示す図である。また、図13は、図12の信号値を横方向にプロットしてグラフ化した図である。図12及び図13において、(a)は被写体の輝度分布を、(b)は短時間蓄積画素の信号値を、(c)は倍率演算後の信号値を、(d)は重み付け後の信号値をそれぞれ示している。尚、図12及び図13は、図8及び図9にそれぞれ対応している。
【0068】
図12及び図13と、図8及び図9との対比から明らかなように、被写体像に微細なエッジを含むパターンが存在しない場合には、実施例1に係る重み付け処理によっても、ノイズリダクション(平滑化)処理と類似した結果が得られる。
【0069】
これに対して、微細なエッジを含むパターン(被写体像)においては、実施例1に係る重み付け処理を用いることにより、ノイズリダクション処理における弊害を無くすことができる。すなわち、実施例1に係る重み付け処理によれば、ノイズリダクション処理とは異なり、画素が本来取り得る信号値を予測するのみであるため、エッジが潰れるような不具合を発生させない。この特有の作用、効果については、後述する実施例2乃至実施例4についても同様のことが言える。
【0070】
図14は、微細なエッジを含む被写体に対して実施例1に係る重み付け処理を適用したときに得られる画素信号の信号値を示す図である。また、図15は、図14の信号値を横方向にプロットしてグラフ化した図である。図14及び図15において、(a)は被写体の輝度分布を、(b)は短時間蓄積画素の信号値を、(c)は倍率演算後の信号値を、(d)は重み付け後の信号値をそれぞれ示している。尚、図14及び図15は、図10及び図11にそれぞれ対応している。
【0071】
図14(d)及び図15(d)と、図10(d)及び図11(d)との対比から明らかなように、実施例1に係る重み付け処理によれば、微細なエッジを含むパターンにおいてエッジの値が潰れるという弊害は生じない。すなわち、ノイズリダクション処理を用いた場合には、平滑化によって急峻なエッジ部が潰れるのに対して、実施例1に係る重み付け処理を用いた場合には、元の画素信号が取り得る値の範囲内にのみ限定して演算を行うため、エッジ部が潰れるような弊害は生じない。
【0072】
[2−2.実施例2]
実施例2に係る重み付け部45では、着目画素に関連する画素として、図16に示す画素配列において、ある画素行における画素Eを着目画素とするとき、当該着目画素Eに対して同じ画素行において左右に隣接する画素D,F、及び、同じ画素列において上下に隣接する画素B,Hを用いる。
【0073】
そして、重み付け部45は、倍率演算部43での倍率演算後の短時間蓄積データ(信号値)に対して、周辺画素D,F,B,Hの信号値を用いて、下記の条件の下に重み付け処理を行う。以下では、説明の簡略化のために、画素B,D,E,F,Hの各信号値を単にB,D,E,F,Hと記述するものとする。
【0074】
(着目画素Eに対する処理)
(1)DとFの平均値(中間値)がEよりも小さい場合で、なおかつ、BとHの平均値(中間値)がEよりも小さい場合:Eの値−6デジタル値
(2)DとFの平均値(中間値)がEよりも大きい場合で、なおかつ、BとHの平均値(中間値)がEよりも大きい場合:Eの値+6デジタル値
(3)DとFの平均値(中間値)がEよりも小さい場合で、なおかつ、BとHの平均値(中間値)がEと同じ出力の場合:Bの値−4デジタル値
(4)DとFの平均値(中間値)がEよりも大きい場合で、なおかつ、BとHの平均値(中間値)がEと同じ出力の場合:Bの値+4デジタル値
(5)DとFの平均値(中間値)がEよりも小さい場合で、なおかつ、BとHの平均値(中間値)がEよりも大きい出力の場合、D,F,B,Hの平均値がEより小さい場合:Bの値−2デジタル値
(6)DとFの平均値(中間値)がBよりも小さい場合で、なおかつ、BとHの平均値(中間値)がEよりも大きい出力の場合、D,F,B,Hの平均値がEより大きい場合:Bの値+2デジタル値
(7)DとFの平均値(中間値)がBよりも大きい場合で、なおかつ、BとHの平均値(中間値)がEよりも小さい出力の場合、D,F,B,Hの平均値がEより小さい場合:Bの値−2デジタル値
(8)DとFの平均値(中間値)がBよりも大きい場合で、なおかつ、BとHの平均値(中間値)がEよりも小さい出力の場合、D,F,B,Hの平均値がEより大きい場合:Bの値+2デジタル値
【0075】
上記(1)〜(8)の条件を適用することにより、1デジタル値は倍率演算(16倍)と上記重み付け後に、10,12,14,16,18,20,22の7種類のいずれかを取ることができる。つまり、従来のワイドダイナミックレンジ化では、1という出力に対して単純にα倍(16倍)されて16という数値に一義に決まっていたが、本技術では周辺画素の値から、±(α/2)の範囲内で数値を取ることができる。
【0076】
上記の例では、周辺画素として、上下左右4つの隣接画素の信号値を用いるとしたが、これら4つの隣接画素に加えて、斜め方向に隣接する4つの画素の信号値を用いるようにしてよい。また、上記の例では、信号値の大小のみを比較して加算/減算するデジタル値を決めるようにしたが、例えば周辺画素の平均値などを基にしきい値を設定してさらに細かいステップで値を推定するようにしても良い。
【0077】
例えば、図16において、着目画素Eの周辺画素として、着目画素Eに対して斜め方向に隣接する画素A,C,G,Iをも用いて、これら周辺画素(A,B,C,D,F,G,H,I)の信号値の平均値と、着目画素Eの信号値の差分を求め、例えば下記のように重み付け値を細かく求めるようにしても良い。
【0078】
着目画素E−周辺画素の平均値>105以上 → −8デジタル値
着目画素E−周辺画素の平均値>90〜105未満 → −7デジタル値
着目画素E−周辺画素の平均値>75〜90未満 → −6デジタル値
着目画素E−周辺画素の平均値>60〜75未満 → −5デジタル値
着目画素E−周辺画素の平均値>45〜60未満 → −4デジタル値
着目画素E−周辺画素の平均値>30〜45未満 → −3デジタル値
着目画素E−周辺画素の平均値>15〜30未満 → −2デジタル値
着目画素E−周辺画素の平均値>10〜15未満 → −1デジタル値
着目画素E−周辺画素の平均値>0〜10未満 → ±0
尚、大小関係が逆転する場合は、上記マイナス(−)処理の部分がプラス(+)処理となる。また、ここでのしきい値の条件や処理方法は、任意に設定可能である。
【0079】
実施例2に係る重み付け処理によれば、着目画素に関連する画素として、実施例1の場合よりも多くの周辺画素の信号値を基に重み付けを行うことができるため、短時間蓄積画素と長時間蓄積画素の蓄積時間の倍率差に相当するステップを持つ不自然な階調がより緩和されることになる。
【0080】
[2−3.実施例3]
実施例1及び実施例2に係る重み付け処理では、着目画素の周辺画素、即ち、隣接画素の信号値をそのまま用いて重み付けを行うようにしていた。これに対して、実施例3に係る重み付け処理では、着目画素の例えば前後の隣接画素の傾向から重み付けを行うようにするようにしている。
【0081】
具体的には、前後の隣接画素の傾向、即ち、当該隣接画素の信号値の変化量の差分の傾向(傾き)から前後の隣接画素の信号値を推定し、当該推定値を用いて重み付けを行うようにする。着目画素の前後の隣接画素の傾向を見るには、前後の隣接画素に対して座標的に連続な複数の画素の出力値(信号値)、例えば、行方向において連続する複数の画素出力値を用いるようにすればよい。
【0082】
図17を用いてより具体的に説明する。図17において、(a)は重み付け前の各座標における画素の出力値(信号値)を、(b)は重み付け後の各座標における画素の出力値をそれぞれ表わしている。図17(a)において、着目画素を太枠画素とした場合、隣接画素だけを見ると同じ出力値となっているため、着目画素の信号値は重み付けされないことになる。
【0083】
しかし、着目画素の前後の隣接画素の傾向、つまり、隣接画素の変化量の差分の傾向(傾き)を見ると、隣接画素の信号値よりも着目画素の信号値を高くする方が自然であることが容易に推定できる。従って、着目画素の前後の隣接画素の傾向から隣接画素の信号値を推定し、当該推定値を用いて着目画素の信号値に対して重み付けを行うことで、図17(b)に示すように、隣接画素の信号値よりも着目画素の信号値を高くなる。このときの重み付けの仕方としては、実施例1,2の場合と同様に、蓄積時間の倍率差の範囲内とする。
【0084】
このように、着目画素に関連する画素(本例では、前後の隣接画素の傾向)の傾向から重み付けを行うようにしても、実施例1,2の場合と同様に、短時間蓄積画素と長時間蓄積画素の蓄積時間の倍率差分のステップを持つ不自然な階調が緩和されることになる。その結果、より階調性豊かな映像表現を実現できる。
【0085】
[2−4.実施例4]
実施例1乃至実施例3に係る重み付け処理では、着目画素に対して位置的(座標的)に異なる当該着目画素の周辺画素の信号値を用いて重み付けを行うようにしていた。これに対して、実施例4に係る重み付け処理では、着目画素に対して時間的に異なる当該着目画素と同一座標の画素の信号値を用いて重み付けを行うようにしている。
【0086】
ここで、「着目画素に対して時間的に異なる同一座標の画素」とは、前にも述べたように、着目画素と異なる撮像フレームにおける着目画素と同一座標(同一位置)の画素(位置的(座標的)に同一の画素)である。従って、実施例4に係る重み付け処理は、同一座標の画素の信号値の時間的変化から重み付けを行うということになる。
【0087】
実施例4に係る重み付け処理について、同一座標の画素の時間的変化を表わす図18を用いてより具体的に説明する。図18は、連続する5つの撮像フレームにおける5つの画素1〜5の重み付け前(a)、重み付け後(b)の状態を表わしている。すなわち、図18において、画素1〜5の番号は、同一座標の画素についての撮像フレーム順を示している。
【0088】
ここでは、図18において、画素5を着目画素とする。この着目画素5に対して重み付けを行う場合、その前の時間軸(フレーム)の画素1〜4の各出力値(信号値)を参照して、下記の処理を行うようにする。この場合、図1のメモリ部42に、異なる時間(フレーム)の信号値データが蓄積されているものとする。
【0089】
(着目画素5に対する処理)
画素1〜4の平均値(中間値)が画素5の信号値よりも小さい場合:画素5の信号値−4デジタル値
画素1〜4の平均値(中間値)が画素5の信号値よりも大きい場合:画素5の信号値+4デジタル値
画素1〜4の平均値(中間値)が画素5と同じ場合:重み付けなし
【0090】
図18の例の場合、画素1〜4の信号値の平均値を点線で示している。画素5の信号値は、この平均値に対して大きな値となっている。従って、この場合は、上記で定めた処理のうち、1番目の処理、即ち、画素5の信号値から4デジタル値を減算する処理を実行することになる。
【0091】
このように、着目画素に対して時間的に異なる当該着目画素と同一座標の画素の信号値を用いて重み付けを行うようにしても、短時間蓄積画素と長時間蓄積画素の蓄積時間の倍率差分のステップを持つ不自然な階調が緩和されることになる。その結果、より階調性豊かな映像表現を実現できる。
【0092】
[2−5.重み付け部の具体的な回路例]
次に、実施例1乃至実施例4に係る重み付け処理を実行する重み付け部45の回路構成について、その具体的な回路例を示す図19を用いて説明する。
【0093】
図19に示すように、本例に係る重み付け部45は、差分計算部451、メモリ参照部452、及び、加算/減算部453から成る構成となっている。
【0094】
差分計算部451は、着目画素に関連する画素の信号値と着目画素の信号値との差分値を求める。メモリ参照部452は、着目画素に関連する画素の信号値と着目画素の信号値との差分値に対応した複数の重み付け値を予め格納する。加算/減算部453は、メモリ参照部452から差分計算部451が求めた差分値に対応する重み付け値を得て着目画素の信号値に対して加算または減算する。
【0095】
ここで、上記構成の重み付け部45による重み付け処理について説明する。先述した実施例1乃至実施例4に係る重み付け処理を行うに当たり、先ず、短時間蓄積画素の信号値は、重み付け部45の前段の倍率演算部43において短時間蓄積画素と長時間蓄積画素との蓄積時間の倍率差αが掛け算される。このα倍された短時間蓄積画素の画素データは、差分計算部451及び加算/減算部453に与えられる。
【0096】
差分計算部451は、着目画素に関連する画素の信号値と着目画素の信号値とを比較し、その差分値を計算する。この差分値は、メモリ参照部452に与えられる。メモリ参照部452には、種々の差分値に対応して各差分値のときにどのような重み付け処理を行うかの情報、即ち、種々の差分値に対応した重み付け値が記憶されている。従って、メモリ参照部452からは、差分計算部451が求めた差分値に対応する所定の重み付け値が出力される。
【0097】
メモリ参照部452から出力された重み付け値は、加算/減算部453に与えられる。加算/減算部453は、倍率演算部43で倍率演算後の短時間蓄積データに対して、メモリ参照部452を参照した結果の重み付け値を加算または減算する。
【0098】
尚、ここでは、長時間蓄積画素につては詳細な説明を割愛しているが、一般に、ワイドダイナミックレンジ化の処理では、暗部では長時間蓄積画素のデータが用いられ、明部では短時間蓄積画素のデータが用いられる。
【0099】
[2−6.長時間蓄積/短時間蓄積の各画素の配置例]
(画素配列例1)
ワイドダイナミックレンジ化を図る技術の一つとして、SVE(Spatially Varying Exposure)方式のワイドダイナミックレンジ撮像技術が知られている(例えば、特開2007−135200号公報参照)。SVE方式の場合の画素配列の一例を図20に示す。図20の画素配列では、2行毎に短時間蓄積画素と長時間蓄積画素とが配列されている。
【0100】
このように、2行毎に短時間蓄積画素と長時間蓄積画素とが配列されて成る画素配列において、例えば実施例2に係る重み付け処理を行う場合を例に挙げて、着目画素と周辺画素との関係について説明する。
【0101】
図20において、例えば、短時間蓄積のR3の画素を着目画素とする場合、同じ短時間蓄積画素であり、かつ、同色の画素である近傍のR1,R2,R4,R5の各画素を周辺画素として用い、これら画素R1,R2,R4,R5の各信号値を基に着目画素R3の信号値に対して重み付けを行うようにする。
【0102】
この場合、画素R2,R4に比べて画素R1,R5の方が着目画素R3に対して2倍距離が離れているため、画素R2,R4の信号値に対して2倍の重み付けを行うようにしてもよい。
【0103】
例えば、
着目画素R3の信号値:50
画素R1,R5の平均値:40
画素R2,R4の平均値:60
と仮定する。このとき、画素R2,R4の信号値に対して重み付けを行わない場合は、画素R1,R2,R4,R5の平均値が着目画素R3の信号値と同じ50であるため、着目画素R3の信号値に対して重み付けを行わないことになる(但し、周辺画素の平均値と着目画素の信号値とを比較して重み付け値を決める場合)。
【0104】
しかし、上述したように、画素R2,R4に比べて画素R1,R5の方が着目画素R3に対して2倍距離が離れているため、画素R2,R4の信号値に対して2倍の重み付けを行う。これにより、
周辺画素の平均値=(40+60×2)/3
=53
となり、周辺画素の平均値の方が着目画素R3の信号値よりも大きくなる。この場合、前述したように、着目画素R3の信号値に対して蓄積時間の倍率差の範囲内で所望の値を加算する重み付けを行うようにしてもよい。
【0105】
(画素配列例2)
ワイドダイナミックレンジ化を図る技術の他の一つとして、1つの画素を、電荷の蓄積時間が異なる複数の小画素に分割する方式のワイドダイナミックレンジ撮像技術が知られている(例えば、特開2010−28423号公報参照)。この画素分割方式の場合の画素配列の一例を図21に示す。図21の画素配列では、4分割、即ち、4つの小画素を1つの画素に見立てて、上段2つの小画素を短時間蓄積画素とし、下段2つの小画素を長時間蓄積画素としている。
【0106】
このように、蓄積時間が異なる4つの小画素に分割された単位画素が行列状に2次元配置されて成る画素配列において、例えば、実施例2に係る重み付け処理を行う場合を例に挙げて着目画素と周辺画素との関係について説明する。但し、実施例2では、上下左右の4つの隣接画素を周辺画素として用いていたのに対し、本例では、着目画素に対して斜め方向において隣接する4つの隣接画素を周辺画素として用いるものとする。
【0107】
すなわち、本例では、図21において、例えば、図の中央部の太枠で囲った緑の画素を着目画素とする場合、本例では、例えば、着目画素に対して斜め方向において隣接する、周辺の太枠で囲った4つの緑の画素を周辺画素として用いて重み付けを行う。
【0108】
蓄積時間が異なる複数の小画素に分割する方式のワイドダイナミックレンジ撮像技術では、短時間蓄積の小画素の信号値と長時間蓄積の小画素の信号値とが個別に読み出されるようになっている。従って、上述した重み付け処理において、実際に使用される画素の信号値は、図21の各太枠部分の上段の短時間蓄積画素の信号値となる。
【0109】
<3.変形例/適用例>
前述したようなノイズリダクション(平滑化)の処理を行う回路部分を、本実施形態に係る重み付け部45の後段の信号処理経路中に配置する構成を採ることもできる。かかる構成を採ることにより、ノイズリダクション処理に用いる元の信号レベルが、本実施形態に係る重み付け部45の作用によって、より正確な階調で表現されたデジタル値となるため、ノイズリダクション処理をより的確に行うことができる。
【0110】
また、上記の実施形態では、第1の画素群と第2の画素群との間に電荷の蓄積時間がα倍異なる場合を例に挙げて説明したが、光感度がα倍異なるようにしても、即ち、α倍の蓄積時間差に相当するα倍の感度差を持たせるようにしても、同様の作用、効果を得ることができる。画素間で光感度を異ならせる技術としては、例えば、カラーフィルタの上に配される光減衰膜の光透過度を画素間で異ならせる技術(例えば、特開2010−28423号公報参照)などを用いることができる。
【0111】
また、上記の実施形態では、ワイドダイナミックレンジ化に当たって、電荷の蓄積時間について、長い蓄積時間と短い蓄積時間の2種類に設定するとしたが、本開示の技術は、2種類の蓄積時間に限られるものではなく、3種類以上の蓄積時間に設定する場合にも同様に適用可能である。光感度についても、蓄積時間と同様である。
【0112】
また、図20及び図21では、カラーフィルタの色配列についてR,G,Bのベイヤー配列を例に挙げて説明したが、本開示の技術は、R,G,Bのベイヤー配列のカラーフィルタを用いる固体撮像素子への適用に限られるものではない。例えば、クリアビット配列や染料系カラーフィルタなどを用いる固体撮像素子に対しても同様に適用可能である。更には、同一画素内のフォトダイオードを縦方向に3段構成とし、同一画素内から複数の色信号を得る縦型分光構造の固体撮像素子(例えば、特開2010−28423号公報参照)に対しても適用可能である。
【0113】
<4.本開示の構成>
尚、本開示は以下のような構成を採ることができる。
(1)第1の画素群と、当該第1の画素群に対して電荷の蓄積時間または光感度がα倍異なる第2の画素群とを有する固体撮像素子の信号を処理するのに、
前記第1の画素群における着目画素の信号値をα倍する演算部と、
前記着目画素の信号値に対して当該着目画素に関連する画素の信号値を基に重み付けを行う重み付け部と、
前記演算部でα倍し、かつ、前記重み付け部で重み付けした信号値と前記第2の画素群の画素の信号値とを合成する合成部と
を備える固体撮像素子の信号処理回路。
(2)前記着目画素に関連する画素は、前記着目画素に対して位置的に異なる当該着目画素の周辺画素である
前記(1)に記載の固体撮像素子の信号処理回路。
(3)前記周辺画素は、前記着目画素に隣接する画素である
前記(2)に記載の固体撮像素子の信号処理回路。
(4)前記周辺画素は、前記着目画素に隣接する画素に対して座標的に連続な複数の画素である
前記(3)に記載の固体撮像素子の信号処理回路。
(5)前記重み付け部は、前記複数の画素の信号値を基に前記着目画素に隣接する画素の信号値を推定し、当該推定値を用いて重み付けを行う
前記(4)に記載の固体撮像素子の信号処理回路。
(6)前記着目画素に関連する画素は、前記着目画素に対して時間的に異なる当該着目画素と同一座標の画素である
前記(1)に記載の固体撮像素子の信号処理回路。
(7)前記着目画素に関連する画素は、前記着目画素と同一色の画素である
前記(1)から前記(6)のいずれかに記載の固体撮像素子の信号処理回路。
(8)前記重み付け部は、±(α/2)の範囲内の重み付け値にて重み付けを行う
前記(1)から前記(7)のいずれかに記載の固体撮像素子の信号処理回路。
(9)前記重み付け部は、±(α/4)の重み付け値にて重み付けを行う
前記(8)に記載の固体撮像素子の信号処理回路。
(10)前記重み付け部は、前記着目画素の信号値と前記着目画素に関連する画素の信号値とを比較し、その比較結果に基づいて±(α/2)の範囲内で重み付け値を前記着目画素の信号値に加算または減算する
前記(8)に記載の固体撮像素子の信号処理回路。
(11)前記重み付け部は、前記着目画素に関連する画素の信号値が前記着目画素の信号値よりも大きい場合は加算を行い、小さい場合は減算を行う
前記(10)に記載の固体撮像素子の信号処理回路。
(12)前記着目画素に関連する画素が前記着目画素に対して位置的に異なる複数の周辺画素であるとき、
前記重み付け部は、前記着目画素の信号値と前記複数の周辺画素の平均値とを比較する
前記(10)に記載の固体撮像素子の信号処理回路。
(13)前記重み付け部は、前記着目画素の信号値と前記着目画素に関連する画素の信号値との差分に対して複数のしきい値を設定し、当該複数のしきい値毎に異なる重み付け値を前記着目画素の信号値に加算または減算する
前記(8)に記載の固体撮像素子の信号処理回路。
(14)前記重み付け部は、
前記着目画素に関連する画素の信号値と前記着目画素の信号値との差分値を求める差分計算部と、
前記着目画素に関連する画素の信号値と前記着目画素の信号値との差分値に対応した複数の重み付け値を予め格納するメモリ部と、
前記メモリ部から前記差分計算部が求めた差分値に対応する重み付け値を得て前記着目画素の信号値に対して加算または減算する加算/減算部とを有する
前記(1)から前記(13)のいずれかに記載の固体撮像素子の信号処理回路。
(15)第1の画素群と、当該第1の画素群に対して電荷の蓄積時間または光感度がα倍異なる第2の画素群とを有する固体撮像素子の信号処理に当たって、
前記第1の画素群における着目画素の信号値をα倍し、前記第2の画素群の画素の信号値と合成する際に、前記着目画素の信号値に対して当該着目画素に関連する画素の信号値を基に重み付けを行う
固体撮像素子の信号処理方法。
(16)第1の画素群と、当該第1の画素群に対して電荷の蓄積時間または光感度がα倍異なる第2の画素群とを有する固体撮像素子と、
前記第1の画素群における着目画素の信号値をα倍する演算部、前記着目画素の信号値に対して当該着目画素に関連する画素の信号値を基に重み付けを行う重み付け部、及び、前記演算部でα倍し、かつ、前記重み付け部で重み付けした信号値と前記第2の画素群の画素の信号値とを合成する合成部を備える信号処理回路と
を有する電子機器。
【符号の説明】
【0114】
1・・・撮像装置、2・・・光学系、3・・・固体撮像素子、4・・・信号処理回路、40・・・A/D変換部、41・・・クランプ部、42・・・メモリ部、43・・・倍率演算部、44・・・合成部、45・・・重み付け部、46・・・デモザイク部、47・・・リニアマトリックス部、48・・・ガンマ補正部、49・・・輝度クロマ信号生成部、451・・・差分計算部、452・・・メモリ参照部、453・・・加算/減算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画素群と、当該第1の画素群に対して電荷の蓄積時間または光感度がα倍異なる第2の画素群とを有する固体撮像素子の信号を処理するのに、
前記第1の画素群における着目画素の信号値をα倍する演算部と、
前記着目画素の信号値に対して当該着目画素に関連する画素の信号値を基に重み付けを行う重み付け部と、
前記演算部でα倍し、かつ、前記重み付け部で重み付けした信号値と前記第2の画素群の画素の信号値とを合成する合成部と
を備える固体撮像素子の信号処理回路。
【請求項2】
前記着目画素に関連する画素は、前記着目画素に対して位置的に異なる当該着目画素の周辺画素である
請求項1に記載の固体撮像素子の信号処理回路。
【請求項3】
前記周辺画素は、前記着目画素に隣接する画素である
請求項2に記載の固体撮像素子の信号処理回路。
【請求項4】
前記周辺画素は、前記着目画素に隣接する画素に対して座標的に連続な複数の画素である
請求項3に記載の固体撮像素子の信号処理回路。
【請求項5】
前記重み付け部は、前記複数の画素の信号値を基に前記着目画素に隣接する画素の信号値を推定し、当該推定値を用いて重み付けを行う
請求項4に記載の固体撮像素子の信号処理回路。
【請求項6】
前記着目画素に関連する画素は、前記着目画素に対して時間的に異なる当該着目画素と同一座標の画素である
請求項1に記載の固体撮像素子の信号処理回路。
【請求項7】
前記着目画素に関連する画素は、前記着目画素と同一色の画素である
請求項1に記載の固体撮像素子の信号処理回路。
【請求項8】
前記重み付け部は、±(α/2)の範囲内の重み付け値にて重み付けを行う
請求項1に記載の固体撮像素子の信号処理回路。
【請求項9】
前記重み付け部は、±(α/4)の重み付け値にて重み付けを行う
請求項8に記載の固体撮像素子の信号処理回路。
【請求項10】
前記重み付け部は、前記着目画素の信号値と前記着目画素に関連する画素の信号値とを比較し、その比較結果に基づいて±(α/2)の範囲内で重み付け値を前記着目画素の信号値に加算または減算する
請求項8に記載の固体撮像素子の信号処理回路。
【請求項11】
前記重み付け部は、前記着目画素に関連する画素の信号値が前記着目画素の信号値よりも大きい場合は加算を行い、小さい場合は減算を行う
請求項10に記載の固体撮像素子の信号処理回路。
【請求項12】
前記着目画素に関連する画素が前記着目画素に対して位置的に異なる複数の周辺画素であるとき、
前記重み付け部は、前記着目画素の信号値と前記複数の周辺画素の平均値とを比較する
請求項10に記載の固体撮像素子の信号処理回路。
【請求項13】
前記重み付け部は、前記着目画素の信号値と前記着目画素に関連する画素の信号値との差分に対して複数のしきい値を設定し、当該複数のしきい値毎に異なる重み付け値を前記着目画素の信号値に加算または減算する
請求項8に記載の固体撮像素子の信号処理回路。
【請求項14】
前記重み付け部は、
前記着目画素に関連する画素の信号値と前記着目画素の信号値との差分値を求める差分計算部と、
前記着目画素に関連する画素の信号値と前記着目画素の信号値との差分値に対応した複数の重み付け値を予め格納するメモリ部と、
前記メモリ部から前記差分計算部が求めた差分値に対応する重み付け値を得て前記着目画素の信号値に対して加算または減算する加算/減算部とを有する
請求項1に記載の固体撮像素子の信号処理回路。
【請求項15】
第1の画素群と、当該第1の画素群に対して電荷の蓄積時間または光感度がα倍異なる第2の画素群とを有する固体撮像素子の信号処理に当たって、
前記第1の画素群における着目画素の信号値をα倍し、前記第2の画素群の画素の信号値と合成する際に、前記着目画素の信号値に対して当該着目画素に関連する画素の信号値を基に重み付けを行う
固体撮像素子の信号処理方法。
【請求項16】
第1の画素群と、当該第1の画素群に対して電荷の蓄積時間または光感度がα倍異なる第2の画素群とを有する固体撮像素子と、
前記第1の画素群における着目画素の信号値をα倍する演算部、前記着目画素の信号値に対して当該着目画素に関連する画素の信号値を基に重み付けを行う重み付け部、及び、前記演算部でα倍し、かつ、前記重み付け部で重み付けした信号値と前記第2の画素群の画素の信号値とを合成する合成部を備える信号処理回路と
を有する電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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