説明

固体撮像装置、これを用いたカメラおよび固体撮像装置の駆動方法

【課題】カメラ等の撮像デバイスとして用いられる固体撮像装置において、単位時間当たりの出力画面数等に影響を及ぼすことなく、消費電力を低減することを可能にする。
【解決手段】全画素の信号電荷を同一時刻に独立に読み出す全画素読み出しモードと、垂直方向の一部の画素列のみから信号電荷を読み出す間引き読み出しモードとを選択的にとり得る固体撮像素子10と、この固体撮像素子10の駆動周波数を動作モードに応じて可変させる周波数可変手段22、23、24とを備えて固体撮像装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置およびその駆動方法に係わり、特に電子スチルカメラ等の撮像デバイスとして用いて好適な固体撮像装置およびその駆動方法に関するものである。さらに、本発明は、電子スチルカメラ等のように、固体撮像装置を用いて構成されたカメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、CCD(Charge Coupled Device)固体撮像装置をはじめとした固体撮像装置の進展に伴い、CCD固体撮像装置等を撮像デバイスとして用いたディジタル記録の電子スチルカメラが普及しつつある。
電子スチルカメラでは、高解像度を実現するために、通常、図8に示すように、各画素の信号電荷を垂直CCD中で混ぜずに同一時刻に独立に読み出す、いわゆる全画素読み出し方式のCCD固体撮像装置が用いられている。この全画素読み出し方式のCCD固体撮像装置によれば、ビデオカメラ等で一般的に使用されている、いわゆるフィールド読み出し方式の固体撮像装置に比べて、画素数を同じとした場合に2倍の垂直解像度を実現できる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、最近では、このような電子スチルカメラに対して、長時間の使用を可能にするために、消費電力を低減することが要望されている。これを実現するための一つの方法として、電子スチルカメラの撮像デバイスである固体撮像装置、特にこの固体撮像装置のうちの固体撮像素子や、ここから得られる信号の処理を行う信号処理回路の消費電力を低減することが考えられる。
体撮像素子の消費電力は、その駆動周波数に大きく依存する。したがって、固体撮像素子の消費電力を低減するためには、その固体撮像素子の駆動周波数を低下させることが効果的である。また、駆動周波数を低下させることは、この駆動周波数がそのまま信号処理回路の周波数となるので、そこでの消費電力の低減の効果も期待できる。
【0004】
しかしながら、固体撮像素子の駆動周波数を低下させると、これに合わせて固体撮像素子のフレームレートも低下してしまう。フレームレートが低下すると、単位時間当たりに固体撮像素子から出力される出力信号の量(画面数)が少なくなるので、被写体の構図を確認するために電子スチルカメラに設けられているディスプレイ(液晶ディスプレイ等)で表示される画像の動きが、滑らかでなく不自然なものになってしまう。しかも、固体撮像素子における暗電流やスミア等の影響も受けやすくなってしまい、結果として撮影後の画質にも影響を及ぼしてしまう。
【0005】
そこで、本発明は、固体撮像素子から出力される画面数等に影響を及ぼすことなく、消費電力を低減することが可能な固体撮像装置およびその駆動方法を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、固体撮像装置を用いたカメラにおいて、ディスプレイに表示される画像の動きや撮影後の画質に影響を及ぼすことなく、固体撮像装置の消費電力を低減することが可能なカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による固体撮像装置は、全画素の信号電荷を同一時刻に独立に読み出す全画素読み出しモードと、垂直方向の一部の画素列のみから信号電荷を読み出す間引き読み出しモードとを選択的にとり得る固体撮像素子と、前記固体撮像素子の駆動周波数を動作モードに応じて可変させる周波数可変手段とを備え、前記周波数可変手段が駆動周波数を1/m(mは自然数)に低下させても、前記固体撮像素子がn(nは自然数)個の画素のうち1個のみを読み出す1/n間引き読み出しを行うことによって、フレームレートがn/mになるように構成されているとともに、n=mに設定されていることを特徴とする。
【0007】
本発明による駆動方法は、全画素の信号電荷を同一時刻に独立に読み出す全画素読み出しモードと、垂直方向の一部の画素列のみから信号電荷を読み出す間引き読み出しモードとを選択的にとり得る固体撮像素子を備えた固体撮像装置の駆動方法において、前記固体撮像素子の駆動周波数を動作モードに応じて可変させ、当該駆動周波数を1/m(mは自然数)に低下させても、前記固体撮像素子がn(nは自然数)個の画素のうち1個のみを読み出す1/n間引き読み出しを行うことによって、フレームレートがn/mになるようにするとともに、n=mとなるように設定することを特徴とする。
【0008】
上記構成の固体撮像装置およびその駆動方法によれば、動作モードに応じて固体撮像素子の駆動周波数を可変させる。これにより、例えば、間引き読み出しモード時における固体撮像素子の駆動周波数を、全画素読み出しモード時の駆動周波数よりも1/mに低くするといったことが可能になる。この場合には、垂直方向の一部の画素列のみから信号電荷が読み出される1/n間引き読み出しを行うので、駆動周波数を低くしても、単位時間あたりに固体撮像素子から出力される画面数が減ってしまうことがない。つまり、n=mとすることで、間引き読み出しモード時と全画素読み出しモード時とのフレームレートの変化がなくなる。しかも、間引き読み出しモード時には、駆動周波数を低くすることにより固体撮像素子の消費電力が低減される。
【0009】
また、本発明によるカメラは、全画素の信号電荷を同一時刻に独立に読み出す全画素読み出しモードと、垂直方向の一部の画素列のみから信号電荷を読み出す間引き読み出しモードとを選択的にとり得る固体撮像素子と、前記固体撮像素子の駆動周波数を動作モードに応じて可変させる周波数可変手段とを備え、前記周波数可変手段が駆動周波数を1/m(mは自然数)に低下させても、前記固体撮像素子がn(nは自然数)個の画素のうち1個のみを読み出す1/n間引き読み出しを行うことによって、フレームレートがn/mになるように構成されているとともに、n=mに設定されていることを特徴とする。
【0010】
上記構成のカメラによれば、動作モードに応じて固体撮像素子の駆動周波数を可変させる。これにより、このカメラでは、例えば、間引き読み出しモード時における固体撮像素子の駆動周波数を、全画素読み出しモード時の駆動周波数よりも1/mに低くするといったことが可能になる。この場合には、垂直方向の一部の画素列のみから信号電荷が読み出される1/n間引き読み出しを行うので、駆動周波数を低くしても、単位時間あたりに固体撮像素子から出力される画面数が減ってしまうことがない。つまり、n=mとすることで、間引き読み出しモード時と全画素読み出しモード時とのフレームレートの変化がなくなる。よって、表示手段による表示時に、表示される画像の動きが、滑らかでなく不自然なものになってしまうことがない。しかも、駆動周波数を低くすることにより固体撮像素子の消費電力が低減される。
また、全画素読み出しモード時には固体撮像素子の駆動周波数を低くしないようにすれば、撮影データを記憶手段に保存する際に撮影データの画質低下を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0011】
以上に説明したように、本発明の固体撮像装置およびその駆動方法によれば、動作モードに応じて固体撮像素子の駆動周波数を可変させるので、間引き読み出しモード時の駆動周波数を全画素読み出しモード時よりも低くするといったことが可能になり、フレームレートの低下を防ぎつつ、固体撮像素子の消費電力を低減できるようになる。つまり、固体撮像素子から出力される画面数等に影響を及ぼすことなく、固体撮像装置の消費電力を低減することができる。
【0012】
また、本発明のカメラによれば、動作モードに応じて固体撮像素子の駆動周波数を可変させるので、被写体の構図確認時と撮影データの保存時とで動作モードおよび駆動周波数を切り替えるが可能になる。これにより、このカメラでは、構図確認時の表示画像の動きや撮影後の画質に影響を及ぼすことなく、固体撮像素子、すなわちカメラの消費電力を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本発明に係わるCCD固体撮像装置の一例の概略構成図である。
本実施形態のCCD固体撮像装置は、図1に示すように、CCD固体撮像素子10と、タイミング発生回路20とを備えてなるものである。
【0014】
CCD固体撮像素子10には、撮像エリア11が設けられている。
撮像エリア11は、行(垂直)方向および列(水平)方向にマトリクス状に配列され、入射光をその光量に応じた電荷量の信号電荷に変換して蓄積する複数のセンサ部12と、これらセンサ部12の垂直列毎に設けられ、各センサ部12から読み出しゲート部13によって読み出された信号電荷を垂直転送する複数本の垂直CCD14とによって構成されている。
【0015】
この撮像エリア11において、センサ部12は例えばPN接合のフォトダイオードからなっている。このセンサ部12に蓄積された信号電荷は、読み出しゲート部13に後述する読み出しパルスXSGが印加されることにより垂直CCD14に読み出される。垂直CCD14は、例えば3層電極3相(φV1〜φV3)駆動の構成となっており、各センサ部12から読み出された信号電荷を水平ブランキング期間の一部にて1走査線(1ライン)に相当する部分ずつ順に垂直方向に転送する。
【0016】
ここで、垂直CCD14において、2層目(φV2)の転送電極は、読み出しゲート部13のゲート電極を兼ねている。このことから、3相の垂直転送クロックφV1〜φV3のうち、2相目の垂直転送クロックφV2が低レベル(以下、“L”レベルと称す)、中間レベル(以下、“M”レベルと称す)および高レベル(以下、“H”レベルと称す)の3値をとるように設定されており、その3値目の“H”レベルのパルスが読み出しゲート部13に印加される読み出しパルスXSGとなる。
【0017】
撮像エリア11の図面上の下側には、水平CCD15が配されている。この水平CCD15には、複数本の垂直CCD14から1ラインに相当する信号電荷が順次転送される。水平CCD15は、例えば2層電極2相(φH1,φH2)駆動の構成となっており、複数本の垂直CCD14から移された1ライン分の信号電荷を、水平ブランキング期間後に水平走査期間において順次水平方向に転送する。
【0018】
水平CCD15の転送先の端部には、例えばフローティング・ディフュージョン・アンプ構成の電荷電圧変換部16が設けられている。この電荷電圧変換部16は、水平CCD15によって水平転送されてきた信号電荷を順次電圧信号に変換して出力する。この電圧信号は、被写体からの光の入射量に応じたCCD出力OUTとして導出される。
以上により、CCD固体撮像素子10が構成されている。
【0019】
このように構成されたCCD固体撮像素子10を駆動するための垂直転送クロックφV1〜φV3、水平転送クロックφH1,φH2を含む各種のタイミング信号は、タイミング発生回路20で生成される。
タイミング発生回路20は、各種のタイミング信号を生成するTG(Timing Generator)部21に加えて、原発振器22、分周器23およびセレクタ24を有しているものである。
【0020】
TG部21は、外部から与えられるモード信号に応じて、全画素の信号電荷を同一時刻に独立に読み出す全画素読み出しモードと、垂直方向の一部の画素列のみから信号電荷を読み出す間引き読み出しモードをとり得る構成となっている。そして、2相目の垂直転送クロックφV2については、この2つのモードに対応するために2系統のクロック(φV2,φV2′)を発生する。
【0021】
原発振器22は、所定周波数の基準パルスを発振する。分周器23は、原発振器22が発振した基準パルスを1/m(ただし、mは自然数)に分周する。セレクタ24は、原発振器22による基準パルスと、分周器23が分周した後のパルス信号とのいずれか一方を、TG部21に与えるための切り替えを行う。この切り替えは、動作モード、すなわち全画素読み出しモードと間引き読み出しモードとの2つのモードに応じて行われる。
【0022】
図2は、単位画素の具体的な構成の一例を示す平面パターン図であり、図3にそのX−X′矢視断面を示す。先ず、垂直CCD14は、N型基板31上にP型ウェル32を介して形成されたN型不純物からなる転送チャネル33と、この転送チャネル33の上方にその転送方向に繰り返して配列された3相の転送電極34-1〜34-3とから構成されている。これら転送電極34-1〜34-3において、1相目の転送電極34-1は1層目のポリシリコン(図中、一点鎖線で示す)によって形成され、2相目の転送電極34-2は2層目のポリシリコン(図中、二点鎖線で示す)によって形成され、3相目の転送電極34-3は3層目のポリシリコン(図中、破線で示す)によって形成されている。
【0023】
図4は、垂直CCD14における転送電極34-1〜34-3の配線パターン図である。本配線系においては、間引き読み出し駆動を可能にするために、2相目の垂直転送クロックφV2の配線に工夫が凝らされている。具体的には、先述したように、2相目の垂直転送クロックとして2系統の垂直転送クロックφV2,φV2′が用意され、さらに垂直転送クロックφV1,φV2,φV2′,φV3を伝送するために計4本のバスライン41〜44が配線されている。なお、図5に、ラインシフト期間における垂直転送クロックφV1,φV2,φV2′,φV3の位相関係を示す。
【0024】
そして、垂直転送クロックφV1,φV3を伝送するバスライン41,44には、全画素の1相目の転送電極34-1,34-3が接続されている。また、垂直転送クロックφV2を伝送するバスライン42には、前後する3画素を単位Aとしてこれら画素の2相目の転送電極34-2が4画素おきに接続され、垂直転送クロックφV2′を伝送するバスライン43には、バスライン42に接続された画素以外の4画素を単位Bとしてこれら画素の2相目の転送電極34-3が3画素おきに接続されている。
【0025】
垂直転送クロックφV2,φV2′は、先述したように、その3値目の“H”レベルのパルスがセンサ部12から信号電荷を読み出すときに読み出しゲート部13のゲート電極に印加される読み出しパルスXSGとなる。そして、全画素読み出しモードの際には、垂直転送クロックφV2,φV2′の双方に読み出しパルスXSGが立つのに対し、間引き読み出しモードの際には、垂直転送クロックφV2のみに読み出しパルスXSGが立つ。
【0026】
すなわち、全画素読み出しモードでは、垂直転送クロックφV2,φV2′の双方に読み出しパルスXSGが立つことで、全画素から信号電荷が読み出されることになる。一方、間引き読み出しモードでは、垂直転送クロックφV2のみに読み出しパルスXSGが立つことで、3ラインを単位として4ラインおきに信号電荷が読み出されることとなる。換言すれば、4ラインを単位として3ラインおきに信号電荷の読み出しが間引かれることになる。
【0027】
なお、本例では、一例として、カラー方式CCD固体撮像素子において、色フィルタのカラーコーディングに対応して、3ラインを単位として4ラインおきに間引き読み出しを行う場合を例にとって示したが、これに限定されるものではなく、4ラインを単位として2ラインおき、あるいは2ラインを単位として1ラインおきなど、図4の垂直転送クロックφV2,φV2′の配線パターンを変更するのみで、任意の間引き読み出しの設定が可能である。
【0028】
ところで、タイミング発生回路20は、外部から与えられるモード信号に応じて全画素読み出しモードと間引き読み出しモードをとり得る構成のTG部21に加えて、原発振器22、分周器23およびセレクタ24を有している。これにより、このタイミング発生回路20では、TG部21に対し、原発振器22による基準パルスをそのまま与えるか、この基準パルスを1/mに分周して与えるかが、セレクタ24によって切り替えられるようになっている。この切り替えは、TG部21と同様に、外部から与えられるモード信号に応じて行われる。
【0029】
詳しくは、全画素読み出しモード時にはTG部21に基準パルスをそのまま与え、間引き読み出しモード時にはTG部21に1/m分周後のパルス信号を与えるように、セレクタ24が切り替えを行う。
このとき、TG部21は、与えられた基準パルスまたは1/m分周後のパルス信号を基に、CCD固体撮像素子10を駆動するための垂直転送クロックφV1〜φV3、水平転送クロックφH1,φH2を含む各種のタイミング信号を生成する。そのため、間引き読み出しモード時に生成されるタイミング信号は、全画素読み出しモード時に生成されるタイミング信号に対して、その周波数が1/mとなる。つまり、間引き読み出しモード時には、CCD固体撮像素子10に供給される駆動周波数が、全画素読み出しモード時の1/mとなる。
【0030】
駆動周波数が1/mになると、その駆動周波数が供給されるCCD固体撮像素子10においては、フレームレートが1/mに低下してしまう。
ところが、このとき、CCD固体撮像素子10では、間引き読み出しモードで動作している。すなわち、n(ただし、nは自然数)個の画素のうち、1個のみを読み出す1/n間引き読み出しを行うことで、全画素読み出しモード時に比べてフレームレートをn倍にすることが可能になる。
【0031】
したがって、駆動周波数が1/mになっても、1/n間引き読み出しを行うことによって、フレームレートがn/mになる。ここで、n=mであれば、全画素読み出しモード時とのフレームレートの変化がなくなる。
しかも、駆動周波数が1/mになることによって、その駆動周波数が供給されるCCD固体撮像素子10では、消費電力の低減が実現される。
【0032】
以上のように、本実施形態のCCD固体撮像装置およびその駆動方法では、動作モードに応じてCCD固体撮像素子10へ供給する駆動周波数を可変させるようになっている。これにより、間引き読み出しモード時の駆動周波数を全画素読み出しモード時の1/mにするといったことが可能になり、フレームレートの低下を防ぎつつ、CCD固体撮像素子10の消費電力を低減できるようになる。つまり、CCD固体撮像素子10から出力される画面数等に影響を及ぼすことなく、消費電力を低減することが可能になる。
【0033】
また、本実施形態のCCD固体撮像装置では、タイミング発生回路20に設けられた原発振器22、分周器23およびセレクタ24によって、駆動周波数を可変させるようになっている。よって、TG部21に、原発振器22、分周器23およびセレクタ24を加えるだけで駆動周波数の可変が可能になり、先述した消費電力の低減を容易に実現することができるようになる。また、TG部21は、外部から与えられるモード信号に応じて全画素読み出しモードと間引き読み出しモードをとり得る構成のものであれば、通常のものがそのまま使用できるので、タイミング発生回路20の設計が容易になる。
【0034】
次に、以上のようなCCD固体撮像装置を、撮像デバイスとして用いたディジタル記録の電子スチルカメラについて説明する。図6は、本発明に係わる電子スチルカメラの一例の概略構成図である。
【0035】
この電子スチルカメラは、図6に示すように、CCD固体撮像素子10およびタイミング発生回路20の他に、光学レンズ101、サンプルホールド(S/H)回路102、A/D変換器103、カメラ信号処理回路104、データスイッチャ105、変換回路106、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display;以下、LCDと略す)107、エンコーダ/デコーダ108、DRAM(DynamicRandom Access Memory)109、メモリコントロール110およびフラッシュメモリ111を備えている。
【0036】
そして、光学レンズ101が被写体の光学像を2次元の画像としてCCD固体撮像素子10に結像させると、S/H回路102、A/D変換器103およびカメラ信号処理回路104が順に、CCD固体撮像素子10から得られる電圧信号に対して、それぞれ必要に応じた処理を行う。そして、データスイッチャ105は、ユーザのキー操作等に基づいて発生したモード切り替え信号(CAM,Rec,Play)に従って、カメラ信号処理回路104で処理された信号、例えば輝度データと色差データが多重化されたコンポーネント信号(Y,Cr,Y,Y,Cb,Y))の送出先を切り替える。
【0037】
データスイッチャ105での切り替えによって、コンポーネント信号が変換回路106へ送出された場合に、変換回路106では、そのコンポーネント信号を三原色信号(R,G,B)に変換してLCD107に送出し、このLCD107で可視画像として表示させる。
また、データスイッチャ105での切り替えによって、コンポーネント信号が記録再生データバス112を介してエンコーダ/デコーダ108へ送出された場合には、このエンコーダ/デコーダ108において、JPEG(Joint Photographic Experts Group)、すなわち適応DCT(Discrete Cosine Transform)の符号化によるコンポーネント信号のデータ圧縮が行われる。ただし、JPEG以外の方式の高能率符号化を使用してもよい。
【0038】
このJPEGにおけるブロック化処理等のために、DRAM109が設けられている。DRAM109は、メモリコントローラ110から供給されるアドレス信号、制御信号によってその動作が制御される。
エンコーダ/デコーダ108がJPEGによるデータ圧縮を行うと、圧縮後のデータが撮影データとしてフラッシュメモリ111内に保存される。フラッシュメモリ111は、電源を切っても記憶内容が保持され、メモリ全体あるいは分割した領域毎に電気的に一括して消去、再書き込みが可能な半導体メモリである。ただし、不揮発性メモリであれば、フラッシュメモリ111以外のものであってもよい。
【0039】
つまり、本実施形態における電子スチルカメラは、被写体の光学像を2次元の画像として結像させる光学レンズ101と、結像された画像に対する光電変換を行う固体撮像装置と、その光電変換によって得られた電気信号を撮影データとして保存するフラッシュメモリ111と、このフラッシュメモリ111に撮影データを保存するにあたって、被写体の構図を確認するために、光電変換によって得られた電気信号を可視画像化して表示するLCD107とを具備しているものである。
【0040】
ここで、このように構成された電子スチルカメラにおいて、被写体の撮影を行う場合におけるシーケンス動作について、図7を参照しながら説明する。
被写体の撮影を行う場合には、電子スチルカメラは、先ずユーザに、LCD107の表示画面に基づいて、被写体の構図を確認(モニタリング)させる。
【0041】
このとき、LCD107における表示画面は、モニタリング、すなわち画角の確認用であるため、画質が多少悪化しても問題が生じることはない。ところが、その動きについては、滑らかであり、かつ、自然であることが要求される。
また、通常、被写体を撮影するシーケンス動作の中で、このモニタリングに費やす時間が最も長くなる。
【0042】
そこで、この電子スチルカメラでは、図7(A)に示すように、モニタリング時における駆動モードをaモードとする。aモードとは、図7(B)に示すように、CCD固体撮像素子10へ供給する駆動周波数を1/m分周後のものとするとともに、1/n間引き読み出しモードで信号電荷の読み出しを行うことにより、結果としてフレームレートが下がらない(n/mになる)ようにするモードである。
これにより、モニタリング時には、LCD107における表示画面の動きが、滑らかでなかったり不自然になってしまうことがなく、しかもCCD固体撮像素子10の消費電力を低減できるようになる。
【0043】
モニタリングの結果、被写体の構図を確認が終了すると、続いて電子スチルカメラは、図7(A)に示すように、ユーザにシャッタを半押しにさせて、光学検波を行う。光学検波は、オートフォーカス(AF;Automatic Focussing)、オートエクスポージャ(AE;Auto Exposure)、オートホワイトバランス(AWB;Auto White Balance)、手振れ検出などの機能を実現するために行う。この場合、CCD固体撮像素子10から一瞬にして何フレーム分もの信号を得ることが必要になる。
【0044】
したがって、この電子スチルカメラでは、光学検波時の駆動モードをbモードとする。bモードとは、図7(B)に示すように、CCD固体撮像素子10へ供給する駆動周波数を分周することなく、しかも1/n間引き読み出しモードで信号電荷の読み出しを行うことにより、結果としてフレームレートが上げる(n倍にする)モードである。
これにより、光学検波時には、AF、AE、AWB、手振れ検出などに必要な信号が、確実かつ迅速に得られようになる。なお、このときに得られる信号は、AF、AE、AWB、手振れ検出などのために用いられるものなので、その画質については問わない。
【0045】
光学検波が完了すると、次いで電子スチルカメラは、図7(A)に示すように、ユーザにシャッタを全押しにさせて、記録画像の読み出しを行って、フラッシュメモリ111に撮影データを保存する。ただし、このときには、最も良い画質が必要とされる。したがって、ここでは、駆動モードをcモードとする。cモードでは、図7(B)に示すように、全画素読み出しモード(通常モード)で信号電荷の読み出しを行う。また、暗電流やスミア等の影響を防ぐために、駆動周波数の分周も行わない。
そして、撮影データの保存が完了すると、この電子スチルカメラは、再びモニタリング状態となる。
【0046】
ただし、この電子スチルカメラでは、モニタリング時にaモード、光学検波時にbモード、データ保存時にcモードで動作するといったことが予め設定されており、その設定とシャッタの状態に基づいて、図示しないCPU(Central Processing Unit)が、タイミング発生回路20を始めとした各部に動作指示を与えている。
【0047】
以上のように、本実施形態の電子スチルカメラでは、被写体の構図を確認するためのモニタリング時に、1/n間引き読み出しモードで動作するとともに、CCD固体撮像素子10へ供給する駆動周波数を1/m分周後のものとするようになっている。これにより、フレームレートの低下を防ぎつつ、CCD固体撮像素子10の消費電力を低減できるようになる。つまり、モニタリング時における表示画面上での動画としての認識度と消費電力の低減といった相反する事柄を両立して実現できる。特に、被写体を撮影するシーケンス動作の中で、このモニタリングに費やす時間が最も長いため、このモニタリング時における消費電力を低減することは、非常に有効である。
【0048】
さらに、この場合に、n=mであれば、フレームレートに変化がなくなるので、S/H回路102、A/D変換器103、あるいはカメラ信号処理回路104における信号処理が容易になる。
【0049】
また、本実施形態の電子スチルカメラでは、撮影データの保存時に、全画素読み出しモードで動作するとともに、駆動周波数の分周していないものとするようになっている。これにより、保存される撮影データの画質が低下してしまうことがない。
つまり、この電子スチルカメラでは、モニタリング時と撮影データの保存時とで、動作モードおよび駆動周波数を切り替えることで、LCD107に表示される画像の動きや撮影後の画質に影響を及ぼすことなく、CCD固体撮像素子10、すなわち電子スチルカメラの消費電力を低減することができるようになる。
【0050】
なお、本実施形態では、本発明を、静止画を撮影する電子スチルカメラに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、動画を撮影するビデオカメラであっても本発明を適用することは可能であり、このビデオカメラに搭載されている固体撮像素子の駆動周波数を動作モードに応じて可変させれば、上述した場合と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係わる固体撮像装置の実施の形態の一例の概略構成図である。
【図2】単位画素の構成の一例を示す平面パターン図である。
【図3】図2のX−X′矢視の断面構造図である。
【図4】垂直CCDの配線パターン図である。
【図5】3相垂直転送クロックの位相関係を示すタイミングチャートである。
【図6】本発明に係わるカメラの実施の形態の一例の概略構成図である。
【図7】図6のカメラにおいて、被写体の撮影を行う場合におけるシーケンス動作の一例を示す説明図であり、(A)はシーケンス動作のタイミングチャートを、(B)は動作モードと駆動周波数との関係をそれぞれ示している。
【図8】全画素読み出し方式の説明図である。
【符号の説明】
【0052】
10…CCD固体撮像素子、11…撮像エリア、12…センサ部、14…垂直CCD、15…水平CCD、16…電荷電圧変換部、20…タイミング発生回路、22…原発振器、23…分周器、24…セレクタ、101…光学レンズ、107…LCD、111…フラッシュメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全画素の信号電荷を同一時刻に独立に読み出す全画素読み出しモードと、垂直方向の一部の画素列のみから信号電荷を読み出す間引き読み出しモードとを選択的にとり得る固体撮像素子と、
前記固体撮像素子の駆動周波数を動作モードに応じて可変させる周波数可変手段とを備え、
前記周波数可変手段が駆動周波数を1/m(mは自然数)に低下させても、前記固体撮像素子がn(nは自然数)個の画素のうち1個のみを読み出す1/n間引き読み出しを行うことによって、フレームレートがn/mになるように構成されているとともに、n=mに設定されている
ことを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
前記周波数可変手段は、前記間引き読み出しモード時における駆動周波数を、前記全画素読み出しモード時における駆動周波数よりも低くする
ことを特徴とする請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記周波数可変手段は、
所定周波数の基準パルスを発振する発振器と、
前記発振器が発振した基準パルスを分周する分周器と、
前記発振器が発振した基準パルスと、前記分周器が分周した後のパルス信号とのいずれかを、動作モードに応じて前記固体撮像素子に供給するセレクタと
からなることを特徴とする請求項2記載の固体撮像装置。
【請求項4】
全画素の信号電荷を同一時刻に独立に読み出す全画素読み出しモードと、垂直方向の一部の画素列のみから信号電荷を読み出す間引き読み出しモードとを選択的にとり得る固体撮像素子と、
前記固体撮像素子の駆動周波数を動作モードに応じて可変させる周波数可変手段とを備え、
前記周波数可変手段が駆動周波数を1/m(mは自然数)に低下させても、前記固体撮像素子がn(nは自然数)個の画素のうち1個のみを読み出す1/n間引き読み出しを行うことによって、フレームレートがn/mになるように構成されているとともに、n=mに設定されている
ことを特徴とするカメラ。
【請求項5】
被写体の光学像を2次元の画像として結像させる光学レンズと、
該光学レンズによって結像された画像に対する光電変換を行う固体撮像装置と、
該固体撮像装置での光電変換によって得られた電気信号を撮影データとして保存する記憶手段と、
該記憶手段に撮影データを保存するにあたって、前記固体撮像装置での光電変換によって得られた電気信号を可視画像化して表示する表示手段とを具備し、
前記固体撮像装置が、前記固体撮像素子および前記周波数可変手段を備える
ことを特徴とする請求項4記載のカメラ。
【請求項6】
前記固体撮像素子は、前記表示手段による表示時には前記間引き読み出しモードが設定され、前記記憶手段への電気信号取り込み時には前記全画素読み出しモードが設定され、
前記周波数可変手段は、前記間引き読み出しモード時における駆動周波数を、前記全画素読み出しモード時における駆動周波数よりも低くする
ことを特徴とする請求項5記載のカメラ。
【請求項7】
全画素の信号電荷を同一時刻に独立に読み出す全画素読み出しモードと、垂直方向の一部の画素列のみから信号電荷を読み出す間引き読み出しモードとを選択的にとり得る固体撮像素子を備えた固体撮像装置の駆動方法において、
前記固体撮像素子の駆動周波数を動作モードに応じて可変させ、
当該駆動周波数を1/m(mは自然数)に低下させても、前記固体撮像素子がn(nは自然数)個の画素のうち1個のみを読み出す1/n間引き読み出しを行うことによって、フレームレートがn/mになるようにするとともに、n=mとなるように設定する
ことを特徴とする固体撮像装置の駆動方法。
【請求項8】
前記固体撮像素子から前記間引き読み出しモードで信号電荷を読み出す場合に、前記固体撮像素子の駆動周波数を、前記全画素読み出しモード時における駆動周波数よりも低くする
ことを特徴とする請求項7記載の固体撮像装置の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−336597(P2007−336597A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−219858(P2007−219858)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【分割の表示】特願平9−112133の分割
【原出願日】平成9年4月30日(1997.4.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】