説明

固体撮像装置

【目的】 回折格子板を固体撮像素子の光像投影面に対して平行にかつ所定の間隔で容易に固定する。
【構成】 固体撮像素子13と、この固体撮像素子13の光像投影面に所定間隔で対向配置される回折格子板15とを備える固体撮像装置において、前記回折格子板15はその固定部が径の均一な球体あるいは円柱体からなる複数のマイクロビーズ19を含有させた接着材18によって固定されている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、固体撮像装置に係り、特に、固体撮像素子の光像投影面に対向配置させた回折格子板を備えた固体撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年においては、いわゆるモアレ防止のための回折格子板を装置内に組み込んだ固体撮像装置が知られている。
【0003】すなわち、主表面の凹陥部をガラス板によって閉塞された筐体(パッケージ)があり、該凹陥部の底面に固体撮像素子がその光像投影面である主表面を上にして搭載されている。この固体撮像素子の主表面の周囲には電極が並設され、これら各電極はボンディングワイヤを介して筐体外に延在して支持固定されているリードに接続されている。
【0004】そして、固体撮像素子の主表面に対向して回折格子板が配置され、この回折格子板は筐体の前記凹陥部の側壁に設けられた段差部に接着材によって固定されている。
【0005】これにより、光像は、ガラス板、および回折格子板を介して、固体撮像素子の主表面である光像投影面に結像されるようになっている。
【0006】このような構成からなる固体撮像素子は、たとえば、文献「映像情報 1986 5月号 VoL.18 産業開発機構KK発行」において詳述されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような構成からなる固体撮像装置は、固体撮像素子の光像投影面に対して回折格子板を平行にかつ所定の離間距離で配置することが困難であった。けだし、回折格子板の固定部に塗布する接着材の量のばらつきにより固定面に対して平行に固定できないからである。
【0008】このため、充分なモアレ防止がなされなかったという問題点を残していた。
【0009】それ故、本発明はこのような事情に基づいてなされたものであり、その目的とするところのものは、回折格子板を固体撮像素子の光像投影面に対して平行にかつ所定の間隔で容易に固定できる固体撮像装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成するために、本発明は、基本的には、固体撮像素子と、この固体撮像素子の光像投影面に所定間隔で対向配置される回折格子板とを備える固体撮像装置において、前記回折格子板はその固定部が径の均一な球体あるいは円柱体からなる複数のマイクロビーズを含有させた接着材によって固定されていることを特徴とするものである。
【0011】
【作用】このように構成した固体撮像装置は、その回折格子板がその固定部において径の均一な球体あるいは円柱体からなる複数のマイクロビーズを含有させた接着材によって固定されたものとなっている。
【0012】このため、たとえば回折格子板を固体撮像素子の光像投影面である主表面上に固定する場合には、固体撮像素子の主表面と回折格子板との離間距離はマイクロビーズの径によって決定されるため、該離間距離を平行にかつ所定の値に容易に設定することができる。
【0013】また、回折格子板を装置の筐体(パッケージ)に固定する場合にも、固体撮像素子を搭載する筐体の搭載面から所定の間隔で固定させることができる。このため、固体撮像素子をその主表面が搭載面に対して平行に搭載できている場合、固体撮像素子の主表面と回折格子板との離間距離を平行にかつ所定の値に容易に設定することができる。
【0014】
【実施例】図2における(a)乃至(e)は、本発明による固体撮像装置の一実施例を示す構成図である。ここで、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は(a)のc−c線における断面図、(d)は側面図、(e)は(a)のe−e線における断面図である。
【0015】まず、たとえば樹脂材からなるパッケージ10があり、このパッケージ10の主表面(光像が投影される側の面)には凹陥部11が形成されている。この凹陥部11の底面にはリードフレーム12の一部が露呈されている。
【0016】すなわち、凹陥部11の中央には、後述する固体撮像素子13がダイボンデングされるアイランド部12Aがあり、このアイランド部12Aの周辺にはインナーリード部12Bと称されるリードフレーム12の各先端部が位置付けられている。
【0017】この実施例では、インナーリード部12Bは前記アイランド部12Aを囲む四辺部のうち互いに対向する二辺部にそれぞれ位置付けられている。
【0018】該リードフレーム12はその先端部であるインナーリード部12Bからそのままパッケージ10内に延在され、該パッケージ10外に突出してアウターリード12Cとなっている。
【0019】リードフレーム12のうち、そのアイランド部12Aにはたとえば樹脂接着材を介して固体撮像素子13がダイボンデングされている。この固体撮像素子13は、その構成を図2にて詳細に説明するが、前記アイランド部12Aとの接着面と反対の面は光像が投影される表面(主表面)となっている。
【0020】この固体撮像素子13の主表面には、インナーリード部12B側に電極が設けられ、これら各電極は前記インナーリード12Bとボンデングワイヤ14を介して電気的に接続されている。
【0021】また、この固体撮像素子13の上方には、回折格子板15が、その四辺部のうち対向する二辺部において、樹脂接着材18で固着されて配置されている。
【0022】そして、この実施例では、特に、図2(e)の拡大図である図1に示すように、該樹脂接着材18の中には、径の均一なガラス球体からなるマイクロビーズ19が多数含有されたものとなっており、これにより、回折格子板15は、固体撮像素子13の光像投影面である主表面との離間距離が前記マイクロビーズ19の径によって決定されて固定されることになる。
【0023】なお、前記固体撮像素子13における回折格子板15との樹脂接着材18による固定部は、電極が並設された辺と直交する辺になっており、これにより該電極が弊害とならないようにして該回折格子板15を固定させることができる。
【0024】さらに、固体撮像素子13および回折格子板15が配置されたパッケージ10の凹陥部11は、ガラス板17によって塞がれており、このガラス板17を通して光像が固体撮像素子13に投影できるようにしているとともに、該固体撮像素子13を外部力から保護するようになっている。
【0025】図3は、本発明による固体撮像装置に適用される前記固体撮像素子13の一実施例を示す概略全体構成図である。
【0026】同図は、一チップの半導体基板の主表面に図示のような配列で各素子が形成されたものとなっている。同図において、前記半導体基板の主表面の光像投影領域に複数のフォトダイオード1がマトリックス状に配列されて形成されている。
【0027】この図では説明の便宜上3×4個のフォトダイオードしか記載されていないが、実際には、約20万から約40万個形成されたものとなっている。
【0028】ここで、フォトダイオード1は、光照射によりその光の強度に応じて電荷を発生する光電変換素子である。
【0029】また、列方向(図中縦方向)に配列されたフォトダイオード1の群毎に該列方向に沿って形成された垂直シフトレジスタ2があり、これら各垂直シフトレジスタ2はCCD素子からなる電荷転送素子によって構成されている。
【0030】これら垂直シフトレジスタ2は、それぞれ列方向に配列された各フォトダイオード1にて発生した電荷を読出すとともに、この電荷を列方向に沿って前記光像投影領域外に転送させるものとなっている。
【0031】なお、各フォトダイオード1から垂直シフトレジスタ2への電荷読出しは、図示しない電荷読出しゲートによりなされるようになっている。
【0032】さらに、各垂直レジスタ2からそれぞれ転送されてきた電荷は、水平シフトレジスタ4に出力され、この水平シフトレジスタ4によって水平方向に転送されるようになっている。この水平シフトレジスタ4は、前記各垂直シフトレジスタ2と同様にCCD素子により構成されている。
【0033】水平シフトレジスタ4からの出力は、出力回路5に入力され、この出力回路5において例えば電圧に変換され、外部に取り出されるようになっている。
【0034】そして、このように各素子が形成された半導体基板の主表面には、各フォトダイオード1が形成されている領域において開口が形成されることにより、各フォトダイオード1のみを露呈させる遮光膜(図示せず)が形成されている。
【0035】図4乃至図7は、図2に示した固体撮像装置の製造工程を示した工程図である。各図は図2(c)に対応している。以下工程毎に説明する。
【0036】工程1.リード12が支持固定されたパッケージ10の凹陥部11内に固体撮像素子13をダイボンディングし、その後、固体撮像素子13の電極とインナーリード12Bとをボンディングワイヤ14によって接続する(図4)。
【0037】工程2.固体撮像素子13の主表面のうち電極が並設されていない側の相対向する辺部に樹脂接着材18を塗布する。この場合の樹脂接着材18には径の均一なガラス球体からなるマイクロビーズ19が多数含有されたものとなっている(図5)。
【0038】工程3.固体撮像素子13の主表面を覆うようにして回折格子板15を配置し、前記樹脂接着材18上に載置する。その後、該回折格子板15を固体撮像素子13側に押圧し、回折格子板15と固体撮像素子13との間に一個のマイクロビーズ19が配置されるようにする。これにより、回折格子板15は固体撮像素子13の主表面に対してマイクロビーズ19の径に等しい離間距離を保持して樹脂接着材18によって固定されることになる(図6)。
【0039】工程4.ガラス板17によってパッケージ10の凹陥部11を閉塞して製造を終了する(図7)。
【0040】このような実施例による固体撮像装置によれば、その回折格子板15が固体撮像素子13との固定部において径の均一な球体からなる複数のマイクロビーズ19を含有させた樹脂接着材18によって固定されたものとなっている。
【0041】このため、固体撮像素子13の主表面と回折格子板15との離間距離はマイクロビーズ19の径によって決定されるため、該離間距離を平行にかつ所定の値に容易に設定することができるようになる。
【0042】上述した実施例では、回折格子板5を固体撮像素子13面に直接固定したものである。しかし、図8R>8に示すように、パッケージ10の凹陥部11の側壁に段差部16を設け、この段差部16にて回折格子板15を固定する場合、該固定部において本発明を適用させることができる。図8の拡大図を図9に示す。この場合において、固体撮像素子18をダイボンディングする際に、やはりマイクロビーズ19Aを含有させた樹脂接着材18Aを用いて固定することにより、凹陥部11の底面と固体撮像素子18の主表面を平行にかつ所定の離間距離に設定することができる。したがって、凹陥部11の側壁に形成するそ段差部16を精度よく形成することにより、回折格子板15を、固体撮像素子13の主表面に対して平行かつ所定の離間距離で配置させることができるようになる。
【0043】また、上述した実施例では、マイクロビーズ19は球体のものを用いたものであるが、これに限定されることはなく、たとえば円柱体のものであってもよいことはいうまでもない。この場合、その径に対して長さが充分に長いものが好ましい。けだし、円柱体からなるマイクロビーズ19は常に樹脂接着材18の中で横臥された状態で配置されていなければならないからである。すなわち、このような状態によってそれぞれの被接着材の離間距離が該円柱体の径によって決定されるからである。
【0044】
【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、本発明による固体撮像装置によれば、回折格子板を固体撮像素子の光像投影面に対して平行にかつ所定の間隔で容易に固定できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による固体撮像装置の一実施例を示す要部構成図である。
【図2】 (a)乃至(e)は本発明による固体撮像装置の一実施例を示す構成図で、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は(a)のc−c線における断面図、(d)は側面図、(e)は(a)のe−e線における断面図である。
【図3】 本発明による固体撮像装置に適用される固体撮像素子の一実施例を示す概略構成図である。
【図4】 本発明による固体撮像装置の製造方法の一実施例を示す工程図で、その工程1.を示す説明図である。
【図5】 本発明による固体撮像装置の製造方法の一実施例を示す工程図で、その工程2.を示す説明図である。
【図6】 本発明による固体撮像装置の製造方法の一実施例を示す工程図で、その工程3.を示す説明図である。
【図7】 本発明による固体撮像装置の製造方法の一実施例を示す工程図で、その工程4.を示す説明図である。
【図8】 本発明による固体撮像装置の他の実施例を示す断面構成図である。
【図9】 図8の部分拡大図である。
【符号の説明】
13…固体撮像素子、15…回折格子板、18…樹脂接着材、19…マイクロビーズ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 固体撮像素子と、この固体撮像素子の光像投影面に所定間隔で対向配置される回折格子板とを備える固体撮像装置において、前記回折格子板はその固定部が径の均一な球体あるいは円柱体からなる複数のマイクロビーズを含有させた接着材によって固定されていることを特徴とする固体撮像装置。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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