説明

固体表面材料の表面内に加飾パターンを形成する方法

配向加飾異方性粒子を有する高分子材料または重合性材料に変形を施して加飾粒子を再配向させる。その結果として得られるのは審美的パターン化外観である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加飾充填剤の選択的配向により加飾表面仕上げ材料を作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に係る方法の好ましい用途は、加飾固体表面材料の製造である。本明細書中で用いられる場合、固体表面材料とは、その通常の意味で解釈され、ポリマー樹脂と微粒子充填剤とを含有する均一なノンゲルコート型ノンポーラス三次元固体材料を表すものとする。そのような材料は、建築業界において、機能性および魅力的外観の両方が必要とされるキッチンカウンター天板、流し台、壁装材、および家具表面仕上げ材にとくに有用である。固体表面材料の周知の例は、本願特許出願人により製造されるコーリアン(Corian)(登録商標)である。これまでに、花崗岩や大理石のような固体表面材料でいくつかのデザインの審美的外観が知られているが、それらは主に二次元外観を有する。
【0003】
ほとんどの固体表面材料は、シートキャスティング、セルキャスティング、射出成形、またはバルク成形のような熱硬化法により製造される。そのような製品の加飾品質は、複合物が天然石に類似するように顔料および着色粒子を組み込むことにより大幅に向上する。市販品として入手可能なパターンの範囲は、そのような材料の製造に一般に使用される中間品および方法により制約を受ける。
【0004】
固体表面材料は、その種々の用途において機能および加飾の両方の目的を果たす。種々の魅力的かつ/または独自の加飾パターンを固体表面材料に組み込めば、その有用性は向上する。そのようなパターンは、製品を互いに差別化する本質的に有用な性質をもたらす。同一の原理は、有用性(例えば、家具の製作における有用性)が特定の天然に存在するパターン(例えば、木目、色変化、縞目、層、包有物など)により向上する天然に存在する材料(例えば、木材、大理石、および花崗岩)にもあてはまる。商業生産される固体表面材料には、多くの場合、花崗岩または大理石に天然に存在するパターンを模倣したりまたはそれに類似させたりすることが意図された加飾パターンが組み込まれる。しかしながら、実現可能性および/または実用性の制約上、特定の加飾パターンおよび/または特定のカテゴリーの加飾パターンは、これまで、固体表面材料に組み込まれていない。
【0005】
伝統的な固体表面製造でこれまで達成されてきた加飾パターンは、典型的には、以下の3つの方法のうちの1つを利用したものである。
【0006】
(i)既存の固体表面製品の単色もしくは多色の部片を機械的に粉砕して不規則形状のマクロスコピック粒子を作製し、次に、これを未硬化固体表面キャスティング組成物中の他の成分と組み合わせる。当業界で「クランチ」として公知の広く利用されるマクロスコピック加飾粒子は、種々の充填剤入りおよび充填剤無しの顔料着色もしくは染料着色された不溶性もしくは架橋型のポリマー小片である。キャスティング時または成形時にキャスティング組成物を硬化させることにより、不規則な形状およびサイズの着色包有物がさまざまな色の連続マトリックスに取り囲まれたりまたはその中に埋め込まれたりしてなる固体表面材料が製造される。
【0007】
(ii)第1および第2の硬化性組成物をキャストする。この場合、第2の組成物は、第1の組成物とは異なる色を有し、両者を一定限度まで単に混合する形で添加される。得られる固体表面材料中、異なる着色分域は、滑らかな形状を有し、連続的色変化を有する領域により分離される。
【0008】
(iii)切削または機械加工により異なる着色固体表面製品を種々の形状に作製し、次に、接着剤を利用してそれらを連結し、多色象嵌パターンまたはデザインを形成する。
【0009】
これらの伝統的方法を用いる場合、加飾パターンを形成するために異なる色または外観の材料を混合することが必要とされる。それらは、異なる色の組合せに依存しない特定のカテゴリーの加飾パターンを形成しない。
【0010】
オーバーホルト(Overholt)らの米国特許公報(特許文献1)には、固体表面材料用の新しい種類の審美的外観が開示されている。この特許には、配向可能な異方性粒子を有する硬化性組成物を調製することと、組成物の多数の分割部分を形成することと、分割部分の少なくともいくつかが異なる配向の配向粒子を有してなる凝集性塊の形態に分割部分を再形成することと、により、パターンを有する加飾表面仕上げ材料を製造する方法が開示されている。
【0011】
【特許文献1】米国特許第6,702,967号明細書
【特許文献2】米国特許第3,474,081号明細書
【特許文献3】米国特許第3,528,131号明細書
【特許文献4】米国特許第6,203,911号明細書
【特許文献5】米国特許第6,476,111号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、流動性固体表面材料中の異方性粒子の少なくとも過半数を配向させる工程と、流動性固体表面材料中に複数の表面部分に切込を入れて、切込の入った表面部分の異方性粒子の配向を破壊する工程と、切込の入った表面部分を有する流動性固体表面材料の表面を平滑化する工程と、流動性固体表面材料を固化させる工程とを含む、異方性粒子を含有する固体表面材料の表面内に加飾パターンを形成する方法である。
【0013】
本発明のこれらのおよび他の特徴、態様および利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、および添付の図面を参照すれば、よりよく理解されるようになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、異方性微粒子充填剤を配向させることにより異方性粒子を有する固体表面材料中に加飾パターンを形成する方法である。未硬化固体表面組成物中の異方性微粒子充填剤は、配向可能な粒子の少なくともいくつかが共通の配向状態をとるように種々の手段により配向させることが可能であり、続いて、特定領域内の配向異方性粒子(すなわちフレーク)の少なくともいくつかを種々の手段により再配向させて固体表面材料中に加飾パターンを形成することが可能である。本発明の他の実施形態は、未硬化固体表面組成物中に略非配向充填剤を含み、続いて、特定領域内の配向異方性粒子(すなわちフレーク)の少なくともいくつかを種々の手段により配向させて加飾パターンを形成する。パターンは、固体表面材料内の隣接領域間の異方性粒子配向差により形成される。本方法は、周囲光が粒子配向に基づいて隣接領域と示差的に相互作用する形で固体表面材料中に審美的三次元外観を形成するであろう。
【0015】
本発明に有用な固体表面組成物は、加工条件下で流動性でありかつ固体表面材料の形態に形成可能であるかぎり、とくに限定されるものではない。重合性組成物は、ボスワース(Bosworth)の米国特許公報(特許文献2)に開示されるようにキャスティングシロップでありうる。また、ダギンス(Duggins)の米国特許公報(特許文献3)に開示されるように移動ベルト上にキャスト可能である。本発明の他の実施形態では、重合性組成物は、ウェーバーグ(Weberg)らの米国特許公報(特許文献4)に記載されるように圧縮成形用熱硬化性配合物を作製し加工する方法により作製可能であり、圧縮成形用コンパウンドは、押出加工工程に付される。固体表面配合物はまた、圧縮成形可能な種々の熱可塑性樹脂を含みうる。本発明のさらなる実施形態では、ボーシュマン(Beauchemin)らの米国特許公報(特許文献5)の開示に従って重合性組成物を作製し押し出すことが可能である。いずれの実施形態でも、以下に記載されるように、配向可能な異方性の審美性向上粒子が重合性組成物に組み込まれる。配向効果を強調するために、異方性顔料、反射性粒子、繊維、フィルム、および微細分割固体(または染料)を審美性向上粒子として使用することが可能である。向上粒子の量ならびに再配向領域の形状およびサイズを制御することにより、所望の審美的外観を与えるように得られる固体表面材料の半透明性を操作することが可能である。さまざまな量の向上粒子、充填剤、および着色剤、ならびに異方性充填剤粒子の再配向度を組み合わせることにより、さまざまな色、反射率、および半透明性を達成することが可能である。
【0016】
本発明に有用な異方性微粒子充填剤は、材料加工時に粒子配向を促進するのに十分な程度に高いアスペクト比を有しかつ材料および観察者に対する配向に応じて変化する外観を有するかぎり、とくに限定されるものではない。好ましい異方性微粒子充填剤としては、材料加工時に粒子配向を促進するのに十分な程度に高いアスペクト比を有しかつ材料および観察者に対する配向に応じて変化する外観を有する材料が挙げられる。好適な向上粒子のアスペクト比は広範囲にわたり、例えば、メタリックフレーク(20〜100)、雲母(10〜70)、ミルドガラス繊維(3〜25)、アラミド繊維(100〜500)、チョップド炭素繊維(800)、チョップドガラス繊維(250〜800)、およびミルド被覆炭素繊維(200〜1600)である。これらの視覚的効果は、角度依存性反射率、角度依存性色吸収/色反射、または可視形状に基づきうる。これらの粒子は、プレート状の、繊維、またはリボンでありうる。アスペクト比は、粒子の最大長さとその厚さとの比である。一般的にはアスペクト比は少なくとも3、より一般的には少なくとも20である。プレート状材料は、第3の寸法よりも有意に大きい2つの寸法を有する。プレート状材料の例としては、雲母、合成雲母、ガラスフレーク、金属フレーク、アルミナ基材およびシリカ基材、ポリマーフィルムフレーク、さらには合成材料、例えば、超薄多層干渉フレーク(例えば、フレックス・プロダクツ(Flex Products)社製のクロマフレア(Chromaflair)(登録商標))および螺旋超構造葉巻き形液晶分子(例えば、ワッカー(Wacker)社製のヘリコーン(Helicone)(登録商標)HC)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。多くの場合、プレート状基材の表面は、色および光干渉効果を制御するために、種々の金属酸化物または顔料で被覆される。いくつかの材料は、異なる角度では異なる色に見える。
【0017】
繊維は、他の2つの寸法よりも有意に大きい1つの寸法を有する。繊維の例としては、金属繊維、ポリマー繊維、炭素繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、およびさまざまな天然繊維が挙げられる。リボンは、他の2つの寸法よりも有意に大きい1つの寸法を有するが、第2の寸法は、第3の寸法よりも著しく大きい。リボンの例としては、金属リボンおよびポリマーフィルムリボンが挙げられよう。
【0018】
任意選択的に、高分子組成物は、等方性でも審美性でもでない微粒子充填剤または繊維充填剤を含みうる。一般的には、充填剤は、純ポリマーまたは純ポリマーの組合せと比較して最終品の硬度、剛度または強度を増大させる。当然のことであろうが、そのほかに、充填剤は、最終品に他の属性を付与しうる。例えば、難燃化のような他の機能特性を付与しうるか、または加飾目的を果たしたり審美的外観を改変したりしうる。いくつかの代表的な充填剤としては、アルミナ、アルミナ三水和物(ATH)、アルミナ一水和物、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、バイエル水和物、ホウケイ酸塩、硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、アパタイト、ガラスバブル、ガラスマイクロスフェア、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラス粉末、ガラススフェア、炭酸バリウム、水酸化バリウム、酸化バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、ケイ酸バリウム、硫酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、カオリン、モンモリロナイト、ベントナイト、パイロフィライト、雲母、石膏、シリカ(サンドを包含する)、セラミックスマイクロスフェア、セラミックス粒子、セラミックウィスカー、粉末タルク、二酸化チタン、珪藻土、木粉、ボラックス、またはそれらの組合せが挙げられる。
【0019】
さらに、充填剤は、サイズ剤、例えば、シラン8メタクリレートA−174(Silane 8 Methacrylate A−174)としてOSIスペシャルティーズ(OSI Specialties)(ウェストバージニア州フレンドリー(Friendly,WV))社から市販されているシラン(メタ)アクリレートで任意選択的に被覆可能である。充填剤は、約5〜500ミクロンの範囲内の平均粒径を有する小粒子の形態で存在し、重合性組成物の65重量%までの量で存在しうる。
【0020】
充填剤粒子の性質とくに屈折率は、最終品の審美的外観に顕著な影響を及ぼす。充填剤の屈折率が重合性成分の屈折率にかなり近い場合、得られる最終品は半透過性外観を有する。屈折率が重合性成分の屈折率から外れるにつれて、得られる外観はより不透明になる。ATHの屈折率はPMMAの屈折率に近いので、ATHは、多くの場合、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)系用の好ましい充填剤である。とくに興味深いのは、10ミクロン〜100ミクロンの粒径を有する充填剤である。アルミナ(Al)は、耐表面損傷性を改良する。繊維(例えば、ガラス繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、および炭素繊維)は、機械的性質を改良する。いくつかの機能性充填剤の例は、酸化防止剤(例えば、第三級アミン類または芳香族アミン類、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ・コーポレーション(Ciba Specialty Chemicals Corp.)から供給されるイルガノックス(Irganox)(登録商標)(オクタデシル3,5−ジ−(tert)−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)、および次亜リン酸ナトリウム、難燃剤(例えば、ハロゲン化炭化水素、無機炭酸塩、水和鉱物、および酸化アンチモン)、UV安定剤(例えば、チバ・ガイギー(Ciba Geigy)により供給されるチヌビン(Tinuvin)(登録商標))、防汚剤、例えば、テフロン(Teflon)(登録商標)、ステアリン酸、および亜鉛ステアレート、またはそれらの組合せである。
【0021】
本発明に係る方法の実施時、異方性微粒子充填剤の配向は、図1に概略的に示されるように、重合性マトリックスが層流状態にあるときに粒子自体がアライメントされる傾向を利用することにより、行うことが可能である。図中、配向された異方性粒子(200)は、シート(100)の表面に略平行に示されている。層流は、重合性組成物のレオロジー特性に依存して、いくつかの加工方法により形成可能である。流動性組成物は、ドクターブレードを任意選択的に利用して移動ベルト上にキャストすることにより配向された異方性微粒子充填剤を有しうる。押出し可能な未硬化固体表面成形用組成物は、ダイ形状になんら制限を課すことなくダイプレートを介する押出しに利用可能である。カレンダーロールは、異方性微粒子充填剤配向の主要な手段として使用可能であるか、または追加の手段として追加可能である。追加のカレンダー処理工程は、異方性微粒子充填剤を配向させる目的を有しうるか、または材料の厚さを所定の寸法に合わせたりもしくは表面にテクスチャを付与したりするなどの任意の他の目的を有しうる。一般的には異方性粒子の少なくとも70%、より一般的には少なくとも90%は、同一の配向を有する。
【0022】
審美的外観は、異方性粒子の選択的再配向により未硬化固体表面組成物中に形成される。再配向粒子は、選択的再配向の後、材料のバルクと同一の配向を有しておらず、図2に示されるように視覚的に異なって見える再配向領域(400)をもたらす。選択される実際の再配向方法は、未硬化固体表面組成物の性質および所望の審美的外観によって異なりうる。本発明の一実施形態では、再配向は、材料の物理的変形により引き起こされる。材料を変形させて粒子を再配向させる方法としては、ネジ回し、貝殻、ナイフ、ローラー、コインなどのような物理的物体を用いる手動式切込法が挙げられる。自動化加工法は、パターン化ロール、プレスなどを含みうる。変形方法は、物理的物体による必要はなく、変形される材料の性質に依存して、空気ジェットまたは流体ジェットを使用することも可能である。低粘度系では、より高密度の流体を用いてパターンを形成することが可能である。より高密度の流体がマトリックス中に陥入すると、材料流により異方性加飾微粒子充填剤が再配向されて所望の審美的外観が形成される。
【0023】
異方性粒子を再配向させるいくつかの実施形態では、図3に示されるように重合性組成物の表面内に切込(300)が形成されるであろう。切込は、いくつかの審美的デザインに有用でありうるが、一般的には、フラット表面が好ましいことが判明している。これは、重合性組成物をシートの形態に硬化させた後で最も深い切込よりも深いレベル(400)まで材料除去(すなわちサンダー処理)を行うことにより達成可能である。任意選択的に、材料除去を行うことなく硬化前にシートを平坦化させる加工工程が望ましいこともある。これにより、多くの場合、再配向領域の一部は、バルク組成物の方向に再配向されるが、その元の配向に完全に戻る傾向はない。低粘度系では、材料は、重力により引き起こされる材料流により自己水平化される。より高粘度の系における平坦化の好ましい一実施形態は、図4に示されている。この場合、カレンダーロール(500)を用いて表面を平坦化させる。カレンダーロールは、任意選択的に、表面上にテクスチャを形成するために使用することも可能である。
【0024】
任意の表面平坦化または表面テクスチャ加工の後、未硬化組成物は固化される。異方性粒子の再配向後の重合性組成物の固化は、いかなるポリマー系が使用されるかに基づいて行われる。シートキャスティング、セルキャスティング、射出成形、またはバルク成形のような熱硬化法により製造されるほとんどの固体表面材料では、熱活性化時にフリーラジカルを発生し、次に、これにより所望の重合反応を開始させる硬化剤が使用されるであろう。本明細書中では、アクリル系重合性部分を硬化させるために化学的に活性化される熱開始または純粋に温度により促進される熱開始のいずれかが利用されうる。いずれの硬化系も、当技術分野で周知である。押し出された熱可塑性物質のような本発明の実施形態の熱可塑性物質の固化は、組成物をガラス転移温度未満に冷却させることにより達成される。
【0025】
以下の実施例は、本発明の実施形態の代表例として組み込まれている。とくに記載がないかぎり、パーセントは重量基準であり、温度は摂氏単位である。
【実施例】
【0026】
(実施例1)
以下の成分を秤量する:
1120gm アルミナ三水和物(ATH)
401gm パラロイド(Paraloid)(登録商標)ラテックスK120NDポリ(メチルメタクリレート/エチルアクリレート)ポリマー粒子硬化剤(ローム・アンド・ハース(Rohm & Haas)社製)
6gm 亜鉛ステアレート
40gm アフレア(Afflair)(登録商標)500金雲母
361gm メチルメタクリレート(MMA)
57.8gm エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)
6.92gm ルパロクス(Luperox)(登録商標)575(t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート)熱開始剤(アトフィナ(Atofina)社製)
1.13gm バゾ(Vazo)(登録商標)67、2,2’−アゾビス(メチルブチロニトリル)熱開始剤(本願特許出願人製)
1.68gm ゼレック(Zelec)(登録商標)MOカップリング剤(本願特許出願人製)
4gm 顔料分散体
【0027】
(液体予備混合物)
小型槽内でMMA、EGDMA、およびゼレック(Zelec)(登録商標)MOを組み合わせ、均一に混合されるようにインペラーでそれらを2分間混合することにより、液体予備混合物を調製する。次に、ルパロクス(Luperox)(登録商標)575およびバゾ(Vazo)(登録商標)67を添加し、十分に混合されかつバゾ(Vazo)(登録商標)67が十分に溶解されることを保証すべく10分間混合する。
【0028】
(ドライブレンディング)
次に、高粘度混合ブレードを備えたダブルプラネタリーミキサー中でATH、パラロイド(Paraloid)(登録商標)、および亜鉛ステアレートをドライブレンドすることにより、固形分の混合物を調製する。成分を5分間ブレンドし、その後、混合された固形分に40グラムのアフレア(Afflair)(登録商標)500金雲母を添加する。
【0029】
(混合)
ダブルプラネタリーミキサー(DPM)中の成分に4グラムの赤色酸化鉄顔料分散体を添加する。次に、混合物に液体予備混合物の液体を添加し、成分が凝集性配合物の形態に合体する時点を過ぎてから6分間ブレンドする。次に、凝集性塊をミキサーから取り出し、MMAを透過しない容器中に入れて密閉し、パラロイド(Paraloid)(登録商標)ラテックス粒子中にMMAが吸着されるように最低1時間静置する。
【0030】
(粒子の配向および再配向)
静置された混合物を押出し機に添加する。成形用コンパウンドをシートダイに通して押し出し、略共通の配向状態に雲母粒子を配向させる。ダイを出た直後、さまざまな方法により、例えば、切削処理、切込処理、パターン化成形型、またはローラーにより、材料を変形させることにより、異方性粒子の選択的再アライメントを達成することが可能である。切込処理は、ナイフ、ネジ回し、ハンマー、スティック、貝殻、およびローラーをはじめとする1つまたは複数の種々の物体で表面に衝撃を与えて変形させることにより行われる。次に、再配向された異方性粒子を有する変形シートをカレンダーロールに通してシートを平坦化させることが可能である。最終工程は、成形用コンパウンドを硬化させることである。
【0031】
(実施例2)
以下の成分を秤量した:
2.331kg ナイロン
4.604kg ポリ(メチルメタクリレート)
0.163kg エチレンn−ブチルアクリレートグリシジルメタクリレート(EBAGMA)
1.040kg エポキシ
0.074kg ナイロン安定剤
0.490kg ポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)
3.638kg 繊維ガラス
2.510kg BaSO4
0.150kg 金色着色雲母
【0032】
これらの成分を押出し機で配合し、スロットダイに通した。ネジ回し、貝殻などをはじめとする種々の物体を用いて、押し出されたリボンを変形させた。次に、リボンをカレンダーロールに通して、リボンをフラットシートの形態に戻した。審美的パターンは、切込点で目視可能であった。元の切込部分は、シートに対して法線方向で目視したときはより暗色であったが、他の角度では光を反射したことから、雲母は、非擾乱領域と比較してシートの平面内でもはや配向されていないことが示唆された。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】配向された異方性微粒子充填剤を有するシート状材料の断面図である。
【図2】再配向された異方性微粒子充填剤の領域を有するシート状材料の断面図である。
【図3】表面切込を有する再配向された異方性微粒子充填剤の領域を有するシート状材料の断面図である。
【図4】任意選択的に利用可能な平坦化表面切込の実施形態の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異方性粒子を含有する固体表面材料の表面内に加飾パターンを形成する方法であって、
(a)流動性固体表面材料中の異方性粒子の少なくとも過半数を配向させる工程と、
(b)前記流動性固体表面材料中に複数の表面部分に切込を入れて、切込の入った表面部分の異方性粒子の配向を破壊する工程と、
(c)切込の入った表面部分を有する前記流動性固体表面材料の表面を平滑化する工程と、
(d)前記流動性固体表面材料を固化させる工程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記固体表面材料がアクリル樹脂で構成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記固体表面材料がポリエステル樹脂で構成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記異方性粒子のアスペクト比は少なくとも3のアスペクト比であることを特徴とする請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−535238(P2009−535238A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−507793(P2009−507793)
【出願日】平成19年4月24日(2007.4.24)
【国際出願番号】PCT/US2007/010088
【国際公開番号】WO2007/127281
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】