説明

固体電解コンデンサおよびその製造方法

【課題】円筒状コンデンサ素子をタブ端子の平坦部による箔の傷つきや箔切れを生じさせることなく扁平に押し潰すことができるとともに、陽極側,陰極側の各タブ端子のリード線長をほぼ同じ長さに揃えることができるようにする。
【解決手段】タブ端子20a付きの陽極電極箔と、タブ端子20b付きの陰極電極箔とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子に導電性高分子を含む固体電解質を形成してなる固体電解コンデンサにおいて、円筒状コンデンサ素子をその巻き取り軸線Oと直交する方向から押し潰して長円形に扁平化し、タブ端子20a,20bを扁平化されたコンデンサ素子10Bの長軸LXを中心として仮想的に分けられた2つの素子内部101,102のいずれか一方の素子内部に存在し、かつ、タブ端子20a,20bの各平坦部が長軸LXとほぼ平行に配向する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性高分子からなる固体電解質を有する箔巻回型の固体電解コンデンサおよびその製造方法に関し、さらに詳しく言えば、低背化をはかるため、円筒状に巻回されたコンデンサ素子を押し潰して長円形の扁平素子とする技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電解質として固体電解質を用いる固体電解コンデンサは、液状の電解質(電解液)を用いる例えばアルミニウム電解コンデンサでしばしば生ずる電解液の漏れや蒸散と言った問題や、特性劣化がほとんどなく長寿命であり、しかも低ESR化が容易であることなどからして、近年急速に普及されている。
【0003】
固体電解コンデンサには、タンタルやアルミニウムなどの弁作用金属の粉末を焼結してなる焼結ペレット型と、弁作用金属箔を用いる箔巻回型や箔積層型とがあるが、箔巻回型や箔積層型の固体電解コンデンサにおいては、その陽極電極箔に誘電体としての酸化皮膜が形成された例えばアルミニウム箔が用いられる。陽極電極箔がアルミニウム箔である場合、陰極電極箔には、陽極電極箔と同じくアルミニウム箔(酸化皮膜なし)が用いられる。
【0004】
このうち、箔巻回型の固体電解コンデンサを製造するにあたっては、例えば特許文献1に記載されているように、まず、酸化皮膜が形成された陽極電極箔と、陰極電極箔(酸化皮膜なし)の各々にタブ端子をかしめもしくは溶接などによって取り付け、陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して渦巻き状に巻回してコンデンサ素子を作成する。
【0005】
次に、コンデンサ素子に所定のモノマー(例えば、チオフェンモノマー)と酸化剤とを含浸し重合して、導電性高分子よりなる固体電解質を形成する。その後、コンデンサ素子を例えば有底筒状のアルミニウム製のケース内に収納し、そのケース開口部を封口ゴムなどの封口部材で封口する。
【0006】
箔巻回型の固体電解コンデンサは、概略上記のようにして製造されるが、近年の電気機器の薄型化の要請に応えるため、多くの回路基板に実装される箔巻回型の固体電解コンデンサにおいても、低背化が求められている。
【0007】
箔巻回型で低背化する方式には、箔巻き取り機に所定の間隔で離された2つの軸を設けて、あらかじめ箔を扁平に巻き取る方式と、箔を円筒状に巻き取ってからプレス等にて扁平に押し潰す方式の2通りが知られているが、前者の場合には、新たな箔巻き取り機を導入する設備投資が必要であることから、通常、後者の押し潰し方式(例えば、特許文献2参照)が採用されている。
【0008】
そこで、押し潰し方式により円筒状コンデンサ素子を扁平化する一例を図4ないし図6を参照して説明する。なお、固体電解質の形成は扁平化後に行われる。
【0009】
まず、図4(a)に図示しない箔巻き取り機にて巻き取られた円筒状のコンデンサ素子10を示す。コンデンサ素子10の陽極電極箔と陰極電極箔には、それぞれタブ端子20a,20bが取り付けられている。説明の便宜上、一方のタブ端子20aを陽極側とし、他方のタブ端子20bを陰極側とするが、特に区別する必要がない場合には、タブ端子20とする。
【0010】
図4(b)を参照して、タブ端子20は、所定径のアルミニウム線の一端側を扁平に形成した角板状の平坦部(羽子板部)21と、上記アルミニウム線の他端に溶接されたCP(ハンダめっき銅被覆鋼線)22とからなり、平坦部21がかしめもしくは溶接などによって陽極電極箔と陰極電極箔とにそれぞれ固着される。
【0011】
従来において、特にリード端子同一方向型(ディスクリート型)の場合、陽極側のタブ端子20aと陰極側のタブ端子20bは、コンデンサ素子10の中心(巻き取り軸線)に対して点対称、すなわち、同一直径線上で中心からほぼ等距離の位置に配置される。各平坦部21は箔面と平行で、円の接線に沿って配向されるため、直径線に対して直交することになる。
【0012】
したがって、円筒状のコンデンサ素子10をプレスによって扁平に押し潰す場合、図4(a)に示すように、陽極側のタブ端子20aと陰極側のタブ端子20bとを通る直径線Rをプレス装置の基台面30に対して平行として、コンデンサ素子10をその巻き取り軸線と直交する方向(矢印A方向)から押し潰すと、各平坦部21の角にて電極箔が傷つけられ、極端な場合には箔切れが発生することがある。
【0013】
そこで、特許文献2に記載された発明では、図5(a)に示すように、陽極側のタブ端子20aと陰極側のタブ端子20bとを通る直径線Rが基台面30に対して例えば45゜の角度をもつように、コンデンサ素子10を基台面30上に配置して、コンデンサ素子10をその巻き取り軸線と直交する方向(矢印A方向)から押し潰すようにしている。
【0014】
これにより、円筒状のコンデンサ素子10は、図5(b)に示すように、長円形に扁平化されたコンデンサ素子10Aとなり、これに伴って、タブ端子20a,20bの各平坦部21が長円形の長軸LXとほぼ平行になるため、箔の傷つきや箔切れを生じさせることなく、円筒状のコンデンサ素子10を低背化することができる。なお、長円形とは、2つの等しい長さの平行線と2つの半円形からなる角丸長方形を言う。
【0015】
しかしながら、図5(b)に示すコンデンサ素子10Aの端面において、陽極側のタブ端子20aと陰極側のタブ端子20bは、対角位置(中心から見て左上位置と右下位置)に配置されることになるため、図5(c)に示すように、コンデンサ素子10Aを回路基板40上に面実装するにあたって、次のような問題がある。
【0016】
コンデンサ素子10Aは、低背化素子として、その一方の平坦面を下側として回路基板40上に載置される際、タブ端子20a,20bのCP線(リード線)22a,22bが回路基板40に接触するように折り曲げられるが、回路基板40側から見て、陽極側のタブ端子20aのCP線22aと、陰極側のタブ端子20bのCP線22bとでは長さが異なる。
【0017】
したがって、陽極側のタブ端子20aの電気抵抗値と陰極側のタブ端子20bの電気抵抗値とが異なる値となるため、特に高精度,高信頼性が要求される例えば静電容量を含む時定数回路等に適用される場合に問題となる。
【0018】
また、別の例として、図6(a)に示すように、陽極側のタブ端子20aと陰極側のタブ端子20bとを通る直径線Rが基台面30に対して直交するように、コンデンサ素子10を基台面30上に配置して、コンデンサ素子10をその巻き取り軸線と直交する方向(矢印A方向)から押し潰すことによっても、箔の傷つきや箔切れを生じさせることなく、円筒状のコンデンサ素子10を、図6(b)に示すような扁平なコンデンサ素子10Aにすることができる。
【0019】
しかしながら、この場合には、陽極側のタブ端子20aと陰極側のタブ端子20bとが上下重なる位置に配置されるため、図5(c)で説明したのと同じく、陽極側のタブ端子20aの電気抵抗値と陰極側のタブ端子20bの電気抵抗値とが異なる値となるばかりでなく、タブ端子20a,20bのいずれか一方を、リード反対側素子のように、コンデンサ素子10Aの反対側の端面から引き出さなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開2001−176753号公報(図1参照)
【特許文献2】特開平9−115776号公報(図3参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
したがって、本発明の課題は、箔巻回型で押し潰しにより扁平化される固体電解コンデンサにおいて、円筒状コンデンサ素子をタブ端子の平坦部による箔の傷つきや箔切れを生じさせることなく扁平に押し潰すことができるとともに、陽極側,陰極側の各タブ端子のリード線長をほぼ同じ長さに揃えることができ、かつ、リード線長をできる限り短くしてリード線抵抗を小さくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記課題を解決するため、本発明の固体電解コンデンサは、第1タブ端子が取り付けられた陽極電極箔と、第2タブ端子が取り付けられた陰極電極箔とがセパレータを介して巻回されたコンデンサ素子を有し、上記コンデンサ素子に導電性高分子を含む固体電解質が形成されている固体電解コンデンサにおいて、上記コンデンサ素子が、その巻き取り軸線に対して直交する方向から押し潰されて長円形に扁平化されており、上記第1タブ端子と上記第2タブ端子とが、扁平化された上記コンデンサ素子の長軸を中心として仮想的に分けられた2つの素子内部のいずれか一方の素子内部に存在し、かつ、上記第1タブ端子と上記第2タブ端子の各平坦部が上記長軸とほぼ平行に配向されていることを特徴としている。
【0023】
本発明の好ましい態様によれば、上記第1タブ端子と上記第2タブ端子とが、実質的に同一のターン数目の上記陽極電極箔と上記陰極電極箔とに取り付けられる。
【0024】
また、本発明の好ましい態様によれば、上記第1タブ端子と上記第2タブ端子とが、上記長円形のうちの長方形内に配置される。
【0025】
本発明には、上記第1タブ端子と上記第2タブ端子とが、上記コンデンサ素子の同一の端面側から引き出される態様と、上記第1タブ端子が上記コンデンサ素子の一方の端面側から引き出され、上記第2タブ端子が上記コンデンサ素子の一方の端面側から引き出される態様とが含まれる。
【0026】
本発明の固体電解コンデンサは、製品形態として、上記コンデンサ素子が外装体内に収納され、上記第1タブ端子および上記第2タブ端子のリード線の先端側が上記外装体の底面を含む平面に沿って折り曲げられる。
【0027】
この場合において、上記外装体がモールド樹脂よりなる6面構造の柱状体であってもよいし、上記外装体が6面構造の箱体からなり、上記コンデンサ素子が上記箱体内に収納され硬化性樹脂により封止されてもよい。
【0028】
また、本発明には、第1タブ端子の平坦部が箔面に平行に取り付けられた陽極電極箔と、第2タブ端子の平坦部が箔面に平行に取り付けられた陰極電極箔とをセパレータを介して巻回して円筒状コンデンサ素子を作成する円筒状コンデンサ素子作成工程と、上記円筒状コンデンサ素子をその巻き取り軸線を水平としてプレス装置の水平な基台面上に載置し、上記基台面と直交する方向から押し潰して長円形の扁平状コンデンサ素子とする扁平状コンデンサ素子作成工程と、上記扁平状コンデンサ素子に導電性高分子を含む固体電解質を形成する固体電解質形成工程とを含む固体電解コンデンサの製造方法において、上記円筒状コンデンサ素子作成工程で、上記第1タブ端子と上記第2タブ端子とを、上記円筒状コンデンサ素子の第1直径線を中心として仮想的に分けられた2つの素子内部のいずれか一方の素子内部に存在させ、上記扁平状コンデンサ素子作成工程で、上記第1直径線を上記基台面と平行として、上記円筒状コンデンサ素子を上記基台面と直交する方向から押し潰すことを特徴としている。
【0029】
上記円筒状コンデンサ素子作成工程で、上記第1タブ端子と上記第2タブ端子とを、上記第1直径線と直交する第2直径線に対して線対称に配置することが好ましい。
【0030】
また、上記円筒状コンデンサ素子作成工程で、上記第1タブ端子を通る第3直径線と上記第2タブ端子を通る第4直径線との交角が30〜60゜(特には、40〜50゜)であることが好ましい。
【発明の効果】
【0031】
本発明の固体電解コンデンサによれば、コンデンサ素子が、その巻き取り軸線に対して直交する方向から押し潰されて長円形に扁平化されており、第1タブ端子と第2タブ端子とが、扁平化されたコンデンサ素子の長軸を中心として仮想的に分けられた2つの素子内部のいずれか一方の素子内部に存在し、かつ、第1タブ端子と第2タブ端子の各平坦部が長軸とほぼ平行に配向されていることにより、箔が各タブ端子の平坦部の角によって傷付けられたり切断されるおそれがなく、また、陽極側,陰極側の各タブ端子のリード線長をほぼ同じ長さに揃えることができ、かつ、リード線長をできる限り短くしてリード線抵抗を小さくすることが可能となる。
【0032】
また、本発明の製造方法によれば、円筒状コンデンサ素子作成工程で、第1タブ端子と第2タブ端子とを、円筒状コンデンサ素子の第1直径線を中心として仮想的に分けられた2つの素子内部のいずれか一方の素子内部に存在させ、扁平状コンデンサ素子作成工程で、第1直径線を上記基台面と平行として、円筒状コンデンサ素子を基台面と直交する方向から押し潰すようにしたことにより、各タブ端子の平坦部の角による箔の傷付けや箔切れを生じさせることなく、円筒状コンデンサ素子を扁平に押し潰すことができるとともに、陽極側,陰極側の各タブ端子のリード線長をほぼ同じ長さに揃えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の扁平化されたコンデンサ素子の一方の端面を示す模式的な側面図。
【図2】上記コンデンサ素子を回路基板上に実装した状態を示す模式的な斜視図。
【図3】本発明によって円筒状コンデンサ素子を扁平に押し潰す状態を示す模式図。
【図4】(a)円筒状コンデンサ素子を押し潰す第1従来例を示す模式図,(b)タブ端子を示す正面図。
【図5】(a)円筒状コンデンサ素子を押し潰す第2従来例を示す模式図,(b)第2従来例により扁平化されたコンデンサ素子の一方の端面を示す模式的な側面図,(c)上記コンデンサ素子を回路基板上に実装した状態を示す模式的な斜視図。
【図6】(a)円筒状コンデンサ素子を押し潰す第3従来例を示す模式図,(b)第3従来例により扁平化されたコンデンサ素子の一方の端面を示す模式的な側面図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
次に、図1ないし図3を参照して、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、この実施形態の説明において、先に説明した従来例と実質的に同一である構成要素には、同一の参照符号を付す。
【0035】
本発明においても、図1に示すように、円筒状のコンデンサ素子10をプレス等の水平な基台面30上に載置し、押圧ヘッド31にてコンデンサ素子10を、その巻き取り軸Oと直交する方向(矢印A方向)から押し潰すことにより、図2に例示する扁平な長円形のコンデンサ素子10Bを作成する。
【0036】
詳しくは図示されていないが、円筒状のコンデンサ素子10は、酸化皮膜が形成された陽極電極箔と、陰極電極箔(酸化皮膜なし)の各々にタブ端子20a,20bをかしめもしくは溶接などによって取り付け、陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して渦巻き状に巻回することにより作成されてよい。タブ端子20a,20bについては、先に説明した図4(b)参照。
【0037】
図2に示すように、コンデンサ素子10Bは長円形(角丸長方形)であることから、互いに平行で長さの等しい平らな上面111と下面112と、その両側に形成された同一曲率の半円形面121,122とを含み、巻き取り軸Oを通る長軸LXと、半円形面121,122の各中心点を通る2つの短軸SX1,SX2とを備える。
【0038】
コンデンサ素子10B内を、長軸LXを中心として2つの素子内部101,102に仮想的に分けたとして、本発明では、陽極側のタブ端子20aと陰極側のタブ端子20bとを、それらの各平坦部21を長軸LXとほぼ平行として、いずれか一方の素子内部に存在させる。この実施形態では、タブ端子20a,20bともに下面112側の素子内部102内に存在するようにしている。
【0039】
タブ端子20a,20bは、実質的に同一のターン数目の陽極電極箔と陰極電極箔とに取り付けられることが好ましい。より好ましくは、より外周側がよい。実質的に同一のターン数目とは、各電極箔の厚さにもよるが、例えば2〜4周程度はずらされてよいことを意味している。
【0040】
また、プレス時における平坦部21の角による箔の傷付けや箔切れを防ぐうえで、タブ端子20a,20bは、素子内部102内で、かつ、その長方形内に配置されることが好ましい。
【0041】
図2に示す扁平なコンデンサ素子10Bを作成するにあたっては、タブ端子20aが取り付けられた陽極電極箔と、タブ端子20bが取り付けられた陰極電極箔とをセパレータを介して巻回して円筒状コンデンサ素子10を作成する際、図1に示すように、陽極側のタブ端子20aと陰極側のタブ端子20bとを、円筒状コンデンサ素子10の第1直径線R1を中心として仮想的に分けられた2つの素子内部101,102のいずれか一方の素子内部(この実施形態では素子内部102側)に存在させる。
【0042】
好ましくは、タブ端子20a,20bを上記第1直径線R1と直交する第2直径線R2に対して線対称に配置する。
【0043】
より好ましくは、タブ端子20a,20bを、図2に示すように、上記素子内部102内で、かつ、その長方形内に配置させるため、タブ端子21aを通る第3直径線R3とタブ端子20bを通る第4直径線R4との交角を30〜60゜(特には、40〜50゜)とすることが好ましい。
【0044】
そして、押圧ヘッド31により円筒状コンデンサ素子10を扁平に押し潰す際には、図1に示すように、タブ端子20a,20bを含む素子内部102を基台面30側とし、第1直径線R1を基台面30と平行として、円筒状コンデンサ素子10を基台面31と直交する方向(矢印A方向)から押し潰す。
【0045】
これにより、図2に示す長円形に押し潰されたコンデンサ素子10Bが得られ、このコンデンサ素子10Bによれば、タブ端子20a,20bがほぼ同一の高さに配置されているため、図3に示すように、回路基板40上に実装した場合、タブ端子20a,20bのCP線(リード線)22a,22bの長さをほぼ等しくすることができる。
【0046】
扁平化後において、コンデンサ素子10Bに、所定のモノマー(例えば、チオフェンモノマー(3,4−エチレンジオキシチオフェン))と酸化剤を含浸し、化学重合させて導電性高分子からなる固体電解質が形成される。
【0047】
その後、コンデンサ素子10Bは、図示しない外装体内に収納され、タブ端子20a,20bのCP線(リード線)22a,22bの先端側が、例えば図3に示すように、上記外装体の底面を含む平面に沿って折り曲げられる。
【0048】
上記外装体がモールド樹脂よりなる6面構造の柱状体であってもよいし、上記外装体が6面構造の箱体からなり、上記コンデンサ素子が上記箱体内に収納され硬化性樹脂により封止されてもよい。
【0049】
なお、上記実施形態とは異なり、タブ端子20a,20bはコンデンサ素子10Bの反対方向から引き出されてもよい。また、扁平化率は任意に決められるが、一例として直径6.3mmの円筒状コンデンサ素子の場合、扁平化率40%として、短軸長さを約3.8mm程度にまで扁平化することができる。
【0050】
また、上記実施形態で、コンデンサ素子10Bは長円形に扁平化されると説明されているが、押し潰し後に膨らむこともあり得るので、上面111,下面112が多少卵形に膨らんだ場合も、本発明に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0051】
10 円筒状コンデンサ素子
10B 扁平化されたコンデンサ素子
101,102 素子内部
111 上面
112 下面
121,122 半円形面
20(20a,20b) タブ端子
21 平坦部
22 CP線
30 基台面
31 押圧ヘッド
40 回路基板
LX 長軸
SX 短軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1タブ端子が取り付けられた陽極電極箔と、第2タブ端子が取り付けられた陰極電極箔とがセパレータを介して巻回されたコンデンサ素子を有し、上記コンデンサ素子に導電性高分子を含む固体電解質が形成されている固体電解コンデンサにおいて、
上記コンデンサ素子が、その巻き取り軸線に対して直交する方向から押し潰されて長円形に扁平化されており、上記第1タブ端子と上記第2タブ端子とが、扁平化された上記コンデンサ素子の長軸を中心として仮想的に分けられた2つの素子内部のいずれか一方の素子内部に存在し、かつ、上記第1タブ端子と上記第2タブ端子の各平坦部が上記長軸とほぼ平行に配向されていることを特徴とする固体電解コンデンサ。
【請求項2】
上記第1タブ端子と上記第2タブ端子とが、実質的に同一のターン数目の上記陽極電極箔と上記陰極電極箔とに取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項3】
上記第1タブ端子と上記第2タブ端子とが、上記長円形のうちの長方形内に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項4】
上記第1タブ端子と上記第2タブ端子とが、上記コンデンサ素子の同一の端面側から引き出されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項5】
上記第1タブ端子が上記コンデンサ素子の一方の端面側から引き出され、上記第2タブ端子が上記コンデンサ素子の一方の端面側から引き出されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項6】
上記コンデンサ素子が外装体内に収納され、上記第1タブ端子および上記第2タブ端子のリード線の先端側が上記外装体の底面を含む平面に沿って折り曲げられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項7】
上記外装体がモールド樹脂よりなる6面構造の柱状体であることを特徴とする請求項6に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項8】
上記外装体が6面構造の箱体からなり、上記コンデンサ素子が上記箱体内に収納され硬化性樹脂により封止されていることを特徴とする請求項6に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項9】
第1タブ端子の平坦部が箔面に平行に取り付けられた陽極電極箔と、第2タブ端子の平坦部が箔面に平行に取り付けられた陰極電極箔とをセパレータを介して巻回して円筒状コンデンサ素子を作成する円筒状コンデンサ素子作成工程と、
上記円筒状コンデンサ素子をその巻き取り軸線を水平としてプレス装置の水平な基台面上に載置し、上記基台面と直交する方向から押し潰して長円形の扁平状コンデンサ素子とする扁平状コンデンサ素子作成工程と、
上記扁平状コンデンサ素子に導電性高分子を含む固体電解質を形成する固体電解質形成工程とを含む固体電解コンデンサの製造方法において、
上記円筒状コンデンサ素子作成工程で、上記第1タブ端子と上記第2タブ端子とを、上記円筒状コンデンサ素子の第1直径線を中心として仮想的に分けられた2つの素子内部のいずれか一方の素子内部に存在させ、
上記扁平状コンデンサ素子作成工程で、上記第1直径線を上記基台面と平行として、上記円筒状コンデンサ素子を上記基台面と直交する方向から押し潰すことを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項10】
上記円筒状コンデンサ素子作成工程で、上記第1タブ端子と上記第2タブ端子とを、上記第1直径線と直交する第2直径線に対して線対称に配置することを特徴とする請求項8に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項11】
上記円筒状コンデンサ素子作成工程で、上記第1タブ端子を通る第3直径線と上記第2タブ端子を通る第4直径線との交角が30〜60゜であることを特徴とする請求項8または9に記載の固体電解コンデンサの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−251436(P2010−251436A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−97602(P2009−97602)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【出願人】(000103220)エルナー株式会社 (48)