説明

固体電解質型の燃料電池スタック

【課題】体格の増大を抑制しつつ、効率的に発電可能な固体電解質型の燃料電池スタックを提供する。
【解決手段】各単位セル10のカソード電極13における燃料ガス流れ下流側に対応する部位を、燃料ガス流れ上流側に対応する部位よりも作動温度範囲内における電極反応活性が高い材料で構成する。また、燃料電池スタック1の積層方向の端部側に位置する単位セルのアノード電極12およびカソード電極13の少なくとも一方を、積層方向の中央部側に位置する単位セルの電極よりも作動温度範囲内における電極反応活性が高い材料で構成する。さらに、燃料電池スタック1の積層方向の端部側に位置する単位セルの固体電解質11を、積層方向の中央部側に位置する単位セルの固体電解質11よりも作動温度範囲内における導電率が高い材料で構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体電解質をアノード電極およびカソード電極で狭持した発電セルの外側に、反応ガスの流通路が形成されたセパレータを配置して構成される単位セルを複数積層した固体電解質型の燃料電池スタックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、固体電解質型の燃料電池スタック(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)では、その積層方向における両端部に比べて中央部の放熱性が悪いことから、発電時において、中央部の温度が両端部に比べて極端に高くなる傾向がある。このように燃料電池スタックの積層方向の温度分布が不均一となると、燃料電池の各単位セルの出力電圧にバラツキが生ずるといった問題がある。
【0003】
これに対して、例えば、特許文献1では、燃料電池スタックにおける積層方向の中央部に放熱体を配設する構成とすることで、燃料電池スタックの積層方向における温度分布の均一化させることで、燃料電池の各単位セルにおける出力電圧のバラツキの抑制を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−222074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、燃料電池スタックにおける温度分布を均一化させる際に、燃料電池スタックにおける高温となる単位セルや各単位セルにおける高温部位の温度を低下させており、燃料電池全体における発電効率が低下してしまうといった問題がある。
【0006】
また、燃料電池スタックの内部に放熱体を配設すると、燃料電池スタックの体格が増大し、例えば、燃料電池スタックの配置スペースに制約がある環境に適用できないといった問題がある。
【0007】
本発明は上記点に鑑みて、燃料電池スタックの体格の増大を抑制しつつ、効率的に発電可能な固体電解質型の燃料電池スタックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明では、燃料電池スタックにおける各単位セル(10)や単位セル(10)の面内における温度分布に応じて、発電セル(14)を構成する各電極(12、13)や固体電解質(11)を異なる材料で構成することを特徴としている。
【0009】
請求項1に記載の発明は、固体電解質型の燃料電池スタックにおける各単位セル(10)は、当該単位セル(10)の燃料ガス流れ上流側が高温となり易く、燃料ガス流れ下流側が低温となり易いといった傾向に着眼してなされたものである。
【0010】
すなわち、請求項1に記載の発明では、固体電解質(11)をアノード電極(12)およびカソード電極(13)で狭持した発電セル(14)の外側に、燃料ガスおよび酸化剤ガスの流通路(15a、16a)が形成されたセパレータ(15、16)を配置して構成される単位セル(10)を複数積層した固体電解質型の燃料電池スタックであって、複数の単位セル(10)のうち、少なくとも一部の単位セルは、カソード電極(13)におけるセパレータ(15)に形成された流通路(15a)の燃料ガス流れ下流側に対応する部位が、カソード電極(13)におけるセパレータ(15)に形成された流通路(15a)の燃料ガス流れ上流側に対応する部位よりも作動温度範囲内における電極反応活性が高い材料で構成されていることを特徴とする。
【0011】
これによれば、単位セル(10)のカソード電極(13)における低温となり易い燃料ガス流れ下流側に対応する部位を、電極反応活性の高い材料で構成しているので、単位セル(10)の面内に温度分布が生じたとしても、単位セル(10)における低温となり易い部位と高温となり易い部位(燃料ガス流れ上流側に対応する部位)における出力電圧の差を縮小し、単位セル(10)の面内における出力電圧のバラツキを抑制することができる。
【0012】
加えて、カソード電極(13)といった既存の部位の材料構成を変更することで実現することができるので、燃料電池スタックの体格の増大を抑制しつつ、効率的に発電可能することが可能となる。
【0013】
ここで、単位セル(10)の面内における温度分布に応じてカソード電極(13)を異なる材料で構成する場合、当該異なる材料同士が混在すると、カソード電極(13)の電極反応活性が低下してしまう虞がある。
【0014】
そこで、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の固体電解質型の燃料電池スタックにおいて、カソード電極(13)には、燃料ガス流れ上流側に対応する部位と燃料ガス流れ下流側に対応する部位との間に空隙が形成されていることを特徴とする。
【0015】
これによれば、カソード電極(13)を異なる材料で構成しても、当該異なる材料同士が混在してしまうことを抑制できるので、カソード電極(13)の電極反応活性の低下を効果的に抑制することができる。
【0016】
また、請求項3に記載の発明では、請求項1に記載の固体電解質型の燃料電池スタックにおいて、カソード電極(13)には、燃料ガス流れ上流側に対応する部位と燃料ガス流れ下流側に対応する部位との間に、燃料ガス流れ上流側に対応する部位を構成する材料と燃料ガス流れ下流側に対応する部位を構成する材料との混在を抑制する混在抑制部が設けられていることを特徴とする。
【0017】
これによれば、カソード電極(13)を異なる材料で構成しても、当該異なる材料同士が混在してしまうことを抑制できるので、カソード電極(13)の電極反応活性の低下を効果的に抑制することができる。
【0018】
請求項4〜請求項8に記載の発明は、固体電解質型の燃料電池スタックにおける各単位セル(10)は、その積層方向の中央部側で高温となり易く、積層方向の端部側で低温となり易いといった傾向に着眼してなされたものである。
【0019】
すなわち、請求項4に記載の発明では、固体電解質(11)をアノード電極(12)およびカソード電極(13)で狭持した発電セル(10)の外側に、燃料ガスおよび酸化剤ガスの流通路(15a、16a)が形成されたセパレータ(15、16)を配置して構成される単位セル(10)を複数積層した固体電解質型の燃料電池スタックであって、複数の単位セル(10)のうち、積層方向の中央部側に位置する単位セルのカソード電極(13)は、ランタンコバルタイト系ペロブスカイト型酸化物とセリア系固溶体との混合物で構成され、複数の単位セル(10)のうち、積層方向の端部側に位置する単位セルのカソード電極(13)は、積層方向の中央部側に位置する単位セルのカソード電極(13)よりも作動温度範囲内における電極反応活性が高い材料で構成されていることを特徴とする。
【0020】
これによれば、燃料電池スタックにおける低温となり易い積層方向の端部側に位置する単位セル(10)のカソード電極(13)を、電極反応活性の高い材料で構成しているので、燃料電池スタックの各単位セル(10)に温度分布が生じたとしても、燃料電池スタックにおける低温となり易い単位セル(10)と高温となり易い単位セル(10)(積層方向の中央部側に位置する単位セル)における出力電圧の差を縮小し、燃料電池スタックの各単位セル(10)における出力電圧のバラツキを抑制することができる。
【0021】
加えて、カソード電極(13)といった既存の部位の材料構成を変更することで実現することができるので、燃料電池スタックの体格の増大を抑制しつつ、効率的に発電可能することが可能となる。
【0022】
また、請求項5に記載の発明では、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の発明において、複数の単位セル(10)のうち、積層方向の中央部側に位置する単位セルのアノード電極(12)は、ニッケルとイットリア安定化ジルコニアとの混合物で構成され、複数の単位セル(10)のうち、積層方向の端部側に位置する単位セルのアノード電極(12)は、積層方向の中央部側に位置する単位セルのアノード電極(12)よりも作動温度範囲内における電極反応活性が高い材料で構成されていることを特徴とする。
【0023】
また、請求項6に記載の発明では、固体電解質(11)をアノード電極(12)およびカソード電極(13)で狭持した発電セル(14)の外側に、燃料ガスおよび酸化剤ガスの流通路(15a、16a)が形成されたセパレータ(15、16)を配置して構成される単位セル(10)を複数積層した固体電解質型の燃料電池スタックであって、複数の単位セル(10)のうち、積層方向の中央部側に位置する単位セルのアノード電極(12)は、ニッケルとイットリア安定化ジルコニアとの混合物で構成され、複数の単位セル(10)のうち、積層方向の端部側に位置する単位セルのアノード電極(12)は、積層方向の中央部側に位置する単位セルのアノード電極(12)よりも作動温度範囲内における電極反応活性が高い材料で構成されていることを特徴とする。
【0024】
請求項5および6に記載の発明によれば、燃料電池スタックにおける低温となり易い単位セル(10)のアノード電極(12)を、電極反応活性の高い材料で構成しているので、燃料電池スタックの各単位セル(10)における出力電圧のバラツキを抑制することができる。
【0025】
加えて、アノード電極(12)といった既存の部位の材料構成を変更することで実現することができるので、燃料電池スタックの体格の増大を抑制しつつ、効率的に発電可能することが可能となる。
【0026】
また、請求項7に記載の発明では、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の発明において、複数の単位セル(10)のうち、積層方向の中央部側に位置する単位セルの固体電解質(11)は、イットリア安定化ジルコニアで構成され、複数の単位セル(10)のうち、積層方向の端部側に位置する単位セルの固体電解質(11)は、積層方向の中央部側に位置する単位セルの固体電解質(11)よりも作動温度範囲内における導電率が高い材料で構成されていることを特徴とする。
【0027】
また、請求項8に記載の発明では、固体電解質(11)をアノード電極(12)およびカソード電極(13)で狭持した単位セル(10)の外側に、燃料ガスおよび酸化剤ガスの流通路(15a、16a)が形成されたセパレータ(15、16)を配置して構成される単位セル(10)を複数積層した固体電解質型の燃料電池スタックであって、複数の単位セル(10)のうち、積層方向の中央部側に位置する単位セルの固体電解質(11)は、イットリア安定化ジルコニアで構成され、複数の単位セル(10)のうち、積層方向の端部側に位置する単位セルの固体電解質(11)は、積層方向の中央部側に位置する単位セルの固体電解質(11)よりも作動温度範囲内における導電率が高い材料で構成されていることを特徴とする。
【0028】
請求項7および8に記載の発明によれば、燃料電池スタックにおける低温となり易い単位セル(10)の固体電解質(11)を、導電率の高い材料で構成しているので、燃料電池スタックの各単位セル(10)における出力電圧のバラツキを抑制することができる。
【0029】
加えて、固体電解質(11)といった既存の部位の材料構成を変更することで実現することができるので、燃料電池スタックの体格の増大を抑制しつつ、効率的に発電可能することが可能となる。
【0030】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】第1実施形態に係る固体電解質型の燃料電池スタックの全体構成図である。
【図2】第1実施形態に係る単位セルの概略構成を示す断面図である。
【図3】単位セルの面内における温度分布を説明するための説明図である。
【図4】カソード電極を構成する材料を変更したときの作動温度と出力密度との関係を説明するための説明図である。
【図5】本実施形態に係る単位セルと従来の単位セルとのセル電圧の出力結果を説明するための説明図である。
【図6】燃料電池スタックの積層方向における温度分布およびセル電圧の変化を説明するための説明図である。
【図7】アノード電極を構成する材料を変更したときの作動温度と出力密度との関係を説明するための説明図である。
【図8】固体電解質を構成する材料を変更したときの作動温度と出力密度との関係を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0033】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図1〜図5に基づいて説明する。図1は、第1実施形態に係る固体電解質型の燃料電池スタックの全体構成図であり、図2は、第1実施形態に係る単位セルの概略構成を示す断面図である。
【0034】
固体電解質型の燃料電池スタック1(SOFC)は、水素を主成分とする燃料ガスと酸素を主成分とする酸化剤ガスとの電気化学反応を利用して発電するものである。この燃料電池スタック1は、基本単位となる平板状の単位セル10を複数積層した積層体で構成されている(平板積層型燃料電池スタック)。
【0035】
単位セル10は、図2に示すように、固体電解質11をアノード電極12およびカソード電極13で狭持した発電セル14の外側に燃料ガスおよび酸化剤ガスの流通路15a、16aが形成されたセパレータ15、16を配置して構成されている。なお、固体電解質11とカソード電極13との間には、カソード電極13と固体電解質11とが接する界面での固相反応を抑制するための中間層17が配置されている。
【0036】
本実施形態のアノード電極12は、ニッケルNiおよびイットリア安定化ジルコニア酸化物(ZrO20.92(Y2O30.08(以下、YSZと表記する。)の混合物(Ni−YSZ)で構成され、固体電解質11は、イットリア安定化ジルコニア酸化物YSZで構成されている。本実施形態の単位セル10は、一般的なセル構造であるアノード電極12で固体電解質11を支持するアノード支持型や、固体電解質11でアノード電極12を支持する電解質支持型の構造が採用されている。また、中間層17は、セリア系固溶体であるガドリニアドープトセリアCe0.9Gd0.1O1.95(以下、GDCと表記する。)やサマリアドープトセリアCe0.8Sm0.2O1.90(以下、SDCと表記する。)で構成されている。なお、本実形態のカソード電極13の詳細については後述する。
【0037】
各単位セル10は、積層された状態でボルト等の締結手段2にて締結されており、その締め付け荷重によって各構成要素が一体的に密着して構成されている。なお、各単位セル10は、それぞれ電気的に直列に接続されている。
【0038】
各単位セル10におけるセパレータ15に形成された燃料ガス流通路15aおよびセパレータ16に形成された酸化剤ガス流通路16aから燃料ガスおよび酸化剤ガスといった反応ガスが供給されると、各単位セル10では、以下に示すように、水素と酸素とを電気化学反応して、電気エネルギを出力する。
【0039】
(水素極側:アノード側)H→2H+2e
(空気極側:カソード側)2H+1/2O+2e→H
固体電解質型の燃料電池スタック1では、その作動温度が高い程、固体電解質11における酸素イオンの移動度が高くなり、上述の電気化学反応が活性化され、各単位セル10における電圧降下が小さくなる。
【0040】
ここで、図3は、単位セル10の面内における温度分布を説明するための説明図である。図3に示すように、固体電解質型の燃料電池スタック1の各単位セル10では、各単位セル10の面内で温度分布が生じ、セパレータ15に形成された燃料ガス流通路15aの燃料ガス流れ下流側に対応する部位の温度が、燃料ガス流れ上流側に対応する部位の温度に比べて低くなる傾向がある。この要因としては、単位セル10では、燃料ガス流通路15aの燃料ガス流れ上流側が燃料ガス流れ下流側に比べて水素濃度が高く、発電時の発熱が大きくなることや、単位セル10の内部の放熱性が悪いことが挙げられる。
【0041】
このため、各単位セル10では、セパレータ15に形成された燃料ガス流通路15aの燃料ガス流れ下流側に対応する部位が、燃料ガス流れ上流側に対応する部位に比べて電圧降下が大きくなってしまう。
【0042】
そこで、本実施形態の燃料電池スタック1の各単位セル10では、カソード電極13におけるセパレータ15に形成された燃料ガス流通路15aの燃料ガス流れ下流側に対応する部位を、燃料ガス流れ上流側に対応する部位の材料に対して、作動温度範囲内における電極活性反応が高い材料で構成している。本実施形態では、燃料電池スタック1(SOFC)の作動温度範囲として600℃〜700℃を想定している。なお、本実施形態の如く、単位セル10の構造が電解質支持型やアノード支持型で構成されている場合、固体電解質11およびアノード電極12の材料を部分的に変更することは困難である。
【0043】
具体的には、カソード電極13におけるセパレータ15に形成された燃料ガス流通路15aの燃料ガス流れ上流側に対応する部位を、ランタンコバルタイト系ペロブスイカイト型酸化物La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3(以下、LSCFと表記する。)、およびガドリニアドープトセリアGDCの混合物(LSCF−GDC)で構成し、燃料ガス流通路15aの燃料ガス流れ下流側に対応する部位を、バリウムコバルタイト系ペロブルカイト型酸化物Ba0.5Sr0.5Co0.2Fe0.8O3-δ(以下、BSCFと表記する。)、またはサマリコバルタイト系ペロブスイカイト型酸化物Sm0.5Sr0.5CoO3(以下、SSCと表記する。)で構成している。
【0044】
図4は、カソード電極13を構成する材料を変更したときの作動温度と出力密度との関係を説明するための説明図である。なお、各単位セル10は、固体電解質11がYSZで構成され、アノード電極12がNi−YSZで構成されている。
【0045】
図4に示すように、カソード電極13を、BSCF、またはSSCで構成する場合、LSCF−GDCで構成する場合に比べて、作動温度範囲内における出力密度が高いことが確認できる。この出力密度は、単位セル10の1cmあたりの発電電力を示し、電極活性反応の上昇に伴って高い値を示すといった相関性を有することから、カソード電極13を、BSCF、またはSSCで構成する場合、LSCF−GDCで構成する場合に比べて、作動温度範囲内における電極活性反応が高いこととなる。
【0046】
ここで、本実施形態の如く、燃料ガス流れ上流側に対応する部位と下流側に対応する部位とでカソード電極13の材料を変更する場合、カソード電極13を構成する材料同士が混在すると、混在した部位における電極活性反応が低下してしまう虞がある。
【0047】
このため、本実施形態のカソード電極13には、燃料ガス流れ上流側に対応する部位を構成する材料と、下流側に対応する部位を構成する材料との混在を抑制するために、燃料ガス流れ上流側に対応する部位と燃料ガス流れ下流側に対応する部位との間に空隙(図示略)を設ける構成としている。
【0048】
このように構成されるカソード電極13を用いた単位セル10(実施例)の効果を検証するため、単位セル10(実施例)と、LSCF−GDCで構成するカソード電極13を用いた単位セル10(従来例)とを同一温度条件下(作動温度範囲内)で作動させた。この結果、図5に示すように、本実施形態のカソード電極13を用いた単位セル10(実施例)の方が、LSCF−GDCで構成するカソード電極13を用いた単位セル10(従来例)に比べて高いセル電圧を出力することが確認できた。なお、図5は、本実施形態に係る単位セル10と従来の単位セル10とのセル電圧の出力結果を説明するための説明図である。
【0049】
すなわち、単位セル10のカソード電極13における燃料ガス流れ下流側をBSCF、またはSSCで構成すると共に、カソード電極13における燃料ガス流れ上流側をLSCF−GDCで構成して、作動温度範囲内において、単位セル10における低温となり易い部位の電極活性反応を高くすることで、単位セル10における低温部位の発電時の電圧降下を抑制することができる。
【0050】
以上説明した本実施形態では、単位セル10のカソード電極13における低温となり易い燃料ガス流れ下流側に対応する部位を、燃料ガス流れ上流側に対応する部位よりも電極反応活性の高い材料で構成しているので、単位セル10の面内に温度分布が生じたとしても、単位セル10における低温となり易い部位と高温となり易い部位(燃料ガス流れ上流側に対応する部位)における出力電圧の差を縮小し、単位セル10の面内における出力電圧のバラツキを抑制することができる。
【0051】
加えて、カソード電極13といった既存の部位の材料構成を変更することで実現することができるので、燃料電池スタック1の体格の増大を抑制しつつ、効率的に発電可能することが可能となる。
【0052】
また、カソード電極13における燃料ガス流れ上流側に対応する部位と燃料ガス流れ下流側に対応する部位との間に空隙を設ける構成としているので、燃料ガス流れ上流側に対応する部位の材料と、燃料ガス流れ下流側に対応する部位の材料とが混在してしまうことを抑制できる。この結果、カソード電極13における電極反応活性の低下を効果的に抑制することができる。
【0053】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図6に基づいて説明する。図6は、燃料電池スタック1の積層方向における温度分布およびセル電圧の変化を説明するための説明図である。
【0054】
本実施形態は、燃料電池スタック1の積層方向の中央部側で高温となり易く、積層方向の端部側で低温となり易いといった傾向に着眼し、燃料電池スタック1の積層方向における各単位セル10のカソード電極13の材料を変更している点が第1実施形態と相違している。本実施形態では、第1実施形態と同様または均等な部分についての説明を省略、または簡略化して説明する。
【0055】
本実施形態では、燃料電池スタック1の各単位セル10のうち、積層方向の中央部側に位置する単位セル10のカソード電極13を、LSCFおよびGDCの混合物(LSCF−GDC)で構成している。
【0056】
一方、各単位セル10のうち、積層方向の端部側に位置する単位セルのカソード電極13を、積層方向の中央部側に位置する単位セル10のカソード電極13よりも作動温度範囲内における電極反応活性が高い材料で構成している。
【0057】
具体的には、燃料電池スタック1の積層方向の端部側に位置する単位セル10のカソード電極13を、BSCF、またはSSCで構成している。なお、積層方向の端部側に位置する単位セル10としては、例えば、単位セル10の積層枚数が40枚である場合、端部側の6〜8枚程度が該当し、残りの単位セル10(32〜34枚)が積層方向の中央部側に位置する単位セル10に該当する。
【0058】
このように構成される燃料電池スタック1(実施例)の効果を検証するため、燃料電池スタック1(実施例)と、各単位セル10のカソード電極13をLSCF−GDCで構成した燃料電池スタック1(従来例)とを同一温度条件下(作動温度範囲内)で作動させた。
【0059】
この結果、図6に示すように、燃料電池スタック1(実施例)および従来例の燃料電池スタック1それぞれで積層方向の端部側で温度が低下する傾向があるが、本実施形態の燃料電池スタック1(実施例)は、従来例の燃料電池スタック1に比べて、積層方向の端部側(図中左右両側)における単位セル10のセル電圧が上昇することが確認できた。
【0060】
すなわち、燃料電池スタック1の積層方向の端部側に位置するカソード電極13をBSCFまたはSSCで構成すると共に、積層方向の中央側に位置するカソード電極13をLSCF−GDCで構成して、作動温度範囲内において、低温となり易い積層方向の端部側の電極活性反応を高くすることで、燃料電池スタック1における低温部位の発電時の電圧降下を抑制することができる。
【0061】
以上説明した本実施形態では、燃料電池スタック1における低温となり易い積層方向の端部側に位置する単位セル10のカソード電極13を、積層方向の中央部側に位置する単位セル10のカソード電極13に比べて、電極反応活性の高い材料で構成している。これにより、燃料電池スタック1の各単位セル10に温度分布が生じたとしても、燃料電池スタック1における低温となり易い単位セル10と高温となり易い単位セル10(積層方向の中央部側に位置する単位セル)における出力電圧の差を縮小し、燃料電池スタック1の各単位セル10における出力電圧のバラツキを抑制することができる。
【0062】
加えて、カソード電極13といった既存の部位の材料構成を変更することで実現することができるので、燃料電池スタック1の体格の増大を抑制しつつ、効率的に発電可能することが可能となる。
【0063】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、燃料電池スタック1の積層方向の中央部側で高温となり易く、積層方向の端部側で低温となり易いといった傾向に着眼し、燃料電池スタック1の積層方向における各単位セル10のアノード電極12の材料を変更している点が第1、第2実施形態と相違している。本実施形態では、第1、第2実施形態と同様または均等な部分についての説明を省略、または簡略化して説明する。
【0064】
本実施形態では、燃料電池スタック1の各単位セル10のうち、積層方向の中央部側に位置する単位セル10のアノード電極12を、NiおよびYSZの混合物(Ni−YSZ)で構成している。
【0065】
一方、各単位セル10のうち、積層方向の端部側に位置する単位セルのカソード電極13を、積層方向の中央部側に位置する単位セル10のアノード電極12よりも作動温度範囲内における電極反応活性が高い材料で構成している。具体的には、燃料電池スタック1の積層方向の端部側に位置する単位セル10のアノード電極12を、NiおよびGDCの混合物(Ni−GDC)や、プロトン伝導性ペブロスカイト型酸化物BaZr0.9Y0.1O3-δ(以下、BZYと表記する。)、Ni、およびGDCの混合物(Ni−GDC−BZY)で構成している。
【0066】
図7は、アノード電極12を構成する材料を変更したときの作動温度と出力密度との関係を説明するための説明図である。なお、固体電解質11は、YSZで構成され、カソード電極13は、LSCF−GDCで構成されている。
【0067】
図7に示すように、アノード電極12を、Ni−GDCまたはNi−GDC−BZYで構成する場合、Ni−YSZで構成する場合に比べて、作動温度範囲内における出力密度が高いことが確認できる。従って、アノード電極12を、Ni−GDCまたはNi−GDC−BZYで構成する場合、Ni−YSZで構成する場合に比べて、作動温度範囲内における電極活性反応が高いことが確認できる。
【0068】
このように、燃料電池スタック1の積層方向の端部側に位置する単位セル10のアノード電極12をNi−GDCまたはNi−GDC−BZYで構成すると共に、積層方向の中央側に位置するアノード電極12をNi−YSZで構成して、作動温度範囲内において低温となり易い積層方向の端部側の電極活性反応を高くすることで、燃料電池スタック1における低温部位の発電時の電圧降下を抑制することができる。
【0069】
以上説明した本実施形態では、燃料電池スタック1における低温となり易い積層方向端部側に位置する単位セル10のアノード電極12を、積層方向の中央部側に位置する単位セル10のアノード電極12に比べて、電極反応活性の高い材料で構成しているので、燃料電池スタック1の各単位セル10における出力電圧のバラツキを抑制することができる。
【0070】
加えて、アノード電極12といった既存の部位の材料構成を変更することで実現することができるので、燃料電池スタック1の体格の増大を抑制しつつ、効率的に発電可能することが可能となる。
【0071】
なお、本実施形態で説明した燃料電池スタック1に対して、第1実施形態で説明したカソード電極13を適用することができる。すなわち、単位セル10のカソード電極13における低温となり易い燃料ガス流れ下流側に対応する部位を、燃料ガス流れ上流側に対応する部位よりも電極反応活性の高い材料で構成すると共に、燃料電池スタック1における低温となり易い積層方向端部側に位置する単位セル10のアノード電極12を、積層方向の中央部側に位置する単位セル10のアノード電極12に比べて、電極反応活性の高い材料で構成してもよい。
【0072】
また、本実施形態で説明した燃料電池スタック1と、第2実施形態で説明した燃料電池スタック1とを組み合わせる構成を採用してもよい。すなわち、燃料電池スタック1における低温となり易い積層方向端部側に位置する単位セル10の各電極12、13それぞれを、積層方向の中央部側に位置する単位セル10の各電極12、13に比べて、電極反応活性の高い材料で構成してもよい。
【0073】
これらによれば、燃料電池スタック1の各単位セル10における出力電圧のバラツキをより効率的に抑制することができる。
【0074】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態は、燃料電池スタック1の積層方向の中央部側で高温となり易く、積層方向の端部側で低温となり易いといった傾向に着眼し、燃料電池スタック1の積層方向における各単位セル10の固体電解質11の材料を変更している点が第1〜第3実施形態と相違している。本実施形態では、第1〜第3実施形態と同様または均等な部分についての説明を省略、または簡略化して説明する。
【0075】
本実施形態では、燃料電池スタック1の各単位セル10のうち、積層方向の中央部側に位置する単位セル10の固体電解質11を、YSZで構成している。
【0076】
一方、各単位セル10のうち、積層方向の端部側に位置する単位セルの固体電解質11を、積層方向の中央部側に位置する単位セル10の固体電解質11よりも作動温度範囲内における導電率が高い材料で構成している。具体的には、燃料電池スタック1の積層方向の端部側に位置する単位セル10の固体電解質11をランタンガレート系ペロブスカイト型酸化物La0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.2O3-δ(以下、LSGMと表記する。)や、スカンジア安定化ジルコニアZr0.89Sc0.1Ce0.01O1.95(以下、ScSZと表記する。)で構成している。
【0077】
図8は、固体電解質11を構成する材料を変更したときの作動温度と出力密度との関係を説明するための説明図である。なお、アノード電極12は、Ni−YSZで構成され、カソード電極13は、LSCF−GDCで構成されている。
【0078】
図8に示すように、固体電解質11を、LSGMまたはScSZで構成する場合、YSZで構成する場合に比べて、作動温度範囲内における出力密度が高いことが確認できる。この出力密度は、固体電解質11の導電率の上昇に伴って高い値を示すといった相関性を有することから、固体電解質11を、LSGMまたはScSZで構成する場合、YSZで構成する場合に比べて、作動温度範囲内における導電率が高いことが確認できる。
【0079】
このように、燃料電池スタック1の積層方向の端部側に位置する単位セル10の固体電解質11をLSGMまたはScSZで構成すると共に、積層方向の中央側に位置する単位セル10の固体電解質11をYSZで構成して、作動温度範囲内において、低温となり易い積層方向の端部側の導電率を高くすることで、燃料電池スタック1における低温部位の発電時の電圧降下を抑制することができる。
【0080】
以上説明した本実施形態では、燃料電池スタック1における低温となり易い積層方向の端部側に位置する単位セル10の固体電解質11を、積層方向の中央部側に位置する単位セル10の固体電解質11に比べて、導電率の高い材料で構成しているので、燃料電池スタック1の各単位セル10における出力電圧のバラツキを抑制することができる。
【0081】
加えて、固体電解質11といった既存の部位の材料構成を変更することで実現することができるので、燃料電池スタック1の体格の増大を抑制しつつ、効率的に発電可能することが可能となる。
【0082】
なお、本実施形態で説明した燃料電池スタック1に対して、第1実施形態で説明したカソード電極13を適用することができる。すなわち、単位セル10のカソード電極13における低温となり易い燃料ガス流れ下流側に対応する部位を、燃料ガス流れ上流側に対応する部位よりも電極反応活性の高い材料で構成すると共に、燃料電池スタック1における低温となり易い積層方向端部側に位置する単位セル10の固体電解質11を、積層方向の中央部側に位置する単位セル10の固体電解質11に比べて、導電率の高い材料で構成してもよい。
【0083】
さらに、本実施形態で説明した燃料電池スタック1に対して、第1実施形態で説明したカソード電極13を適用して構成した燃料電池スタックと、第3実施形態で説明した燃料電池スタック(燃料電池スタック1における低温となり易い積層方向端部側に位置する単位セル10のアノード電極12を導電率の高い材料で構成した燃料電池スタック)とを組み合わせる構成を採用してもよい。
【0084】
また、本実施形態で説明した燃料電池スタック1と、第2実施形態で説明した燃料電池スタックおよび第3実施形態で説明した燃料電池スタックの少なくとも一方の燃料電池スタックとを組み合わせる構成を採用してもよい。すなわち、燃料電池スタック1における低温となり易い積層方向端部側に位置する単位セル10の固体電解質11を、積層方向の中央部側に位置する単位セル10の固体電解質11に比べて、導電率の高い材料で構成すると共に、積層方向端部側に位置する単位セル10のアノード電極12およびカソード電極13の少なくとも一方の電極を、積層方向の中央部側に位置する単位セル10の電極に比べて、電極反応活性の高い材料で構成してもよい。
【0085】
これらによれば、燃料電池スタック1の各単位セル10における出力電圧のバラツキをより効率的に抑制することができる。
【0086】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。例えば、以下のように種々変形可能である。
【0087】
上述の第1実施形態では、各単位セル10のカソード電極13における燃料ガス流れ下流側に対応する部位を、燃料ガス流れ上流側に対応する部位の材料に対して、作動温度範囲内における電極活性反応が高い材料で構成しているが、これに限定されず、例えば、各単位セル10における一部の単位セルのカソード電極13における燃料ガス流れ下流側に対応する部位を、燃料ガス流れ上流側に対応する部位の材料に対して、作動温度範囲内における電極活性反応が高い材料で構成するようにしてもよい。なお、上述の一部の単位セルとして、セル面内の温度分布が比較的大きくなり易い燃料電池スタック1の積層方向の中央側に位置する単位セル等が挙げられる。
【0088】
また、上述の第1実施形態では、燃料ガス流れ上流側に対応する部位を構成する材料と、下流側に対応する部位を構成する材料との混在を抑制するために、カソード電極13における燃料ガス流れ上流側に対応する部位と燃料ガス流れ下流側に対応する部位との間に空隙を設ける構成としているが、これに限定されない。
【0089】
例えば、カソード電極13における燃料ガス流れ上流側に対応する部位と燃料ガス流れ下流側に対応する部位との間に、燃料ガス流れ上流側に対応する部位を構成する材料と、下流側に対応する部位を構成する材料との混在を抑制する部材(混在抑制部)を配置する構成としてもよい。この混合抑制部としては、例えば、GDCやSDCを採用することができる。
【符号の説明】
【0090】
1 燃料電池スタック
10 単位セル
11 固体電解質
12 アノード電極
13 カソード電極
14 発電セル
15 セパレータ
15a 燃料ガス流通路(流通路)
16 セパレータ
16a 酸化剤ガス流通路(流通路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体電解質(11)をアノード電極(12)およびカソード電極(13)で狭持した発電セル(14)の外側に、燃料ガスおよび酸化剤ガスの流通路(15a、16a)が形成されたセパレータ(15、16)を配置して構成される単位セル(10)を複数積層した固体電解質型の燃料電池スタックであって、
前記複数の単位セル(10)のうち、少なくとも一部の単位セルは、前記カソード電極(13)における前記セパレータ(15)に形成された前記流通路(15a)の前記燃料ガス流れ下流側に対応する部位が、前記カソード電極(13)における前記セパレータ(15)に形成された前記流通路(15a)の前記燃料ガス流れ上流側に対応する部位よりも作動温度範囲内における電極反応活性が高い材料で構成されていることを特徴とする固体電解質型の燃料電池スタック。
【請求項2】
前記カソード電極(13)には、前記燃料ガス流れ上流側に対応する部位と前記燃料ガス流れ下流側に対応する部位との間に空隙が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の固体電解質型の燃料電池スタック。
【請求項3】
前記カソード電極(13)には、前記燃料ガス流れ上流側に対応する部位と前記燃料ガス流れ下流側に対応する部位との間に、前記燃料ガス流れ上流側に対応する部位を構成する材料と前記燃料ガス流れ下流側に対応する部位を構成する材料との混在を抑制する混在抑制部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の固体電解質型の燃料電池スタック。
【請求項4】
固体電解質(11)をアノード電極(12)およびカソード電極(13)で狭持した発電セル(10)の外側に、燃料ガスおよび酸化剤ガスの流通路(15a、16a)が形成されたセパレータ(15、16)を配置して構成される単位セル(10)を複数積層した固体電解質型の燃料電池スタックであって、
前記複数の単位セル(10)のうち、積層方向の中央部側に位置する単位セルの前記カソード電極(13)は、ランタンコバルタイト系ペロブスカイト型酸化物とセリア系固溶体との混合物で構成され、
前記複数の単位セル(10)のうち、積層方向の端部側に位置する単位セルの前記カソード電極(13)は、積層方向の中央部側に位置する単位セルの前記カソード電極(13)よりも作動温度範囲内における電極反応活性が高い材料で構成されていることを特徴とする固体電解質型の燃料電池スタック。
【請求項5】
前記複数の単位セル(10)のうち、積層方向の中央部側に位置する単位セルの前記アノード電極(12)は、ニッケルとイットリア安定化ジルコニアとの混合物で構成され、
前記複数の単位セル(10)のうち、積層方向の端部側に位置する単位セルの前記アノード電極(12)は、積層方向の中央部側に位置する単位セルの前記アノード電極(12)よりも作動温度範囲内における電極反応活性が高い材料で構成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の固体電解質型の燃料電池スタック。
【請求項6】
固体電解質(11)をアノード電極(12)およびカソード電極(13)で狭持した発電セル(14)の外側に、燃料ガスおよび酸化剤ガスの流通路(15a、16a)が形成されたセパレータ(15、16)を配置して構成される単位セル(10)を複数積層した固体電解質型の燃料電池スタックであって、
前記複数の単位セル(10)のうち、積層方向の中央部側に位置する単位セルの前記アノード電極(12)は、ニッケルとイットリア安定化ジルコニアとの混合物で構成され、
前記複数の単位セル(10)のうち、積層方向の端部側に位置する単位セルの前記アノード電極(12)は、積層方向の中央部側に位置する単位セルの前記アノード電極(12)よりも作動温度範囲内における電極反応活性が高い材料で構成されていることを特徴とする固体電解質型の燃料電池スタック。
【請求項7】
前記複数の単位セル(10)のうち、積層方向の中央部側に位置する単位セルの前記固体電解質(11)は、イットリア安定化ジルコニアで構成され、
前記複数の単位セル(10)のうち、積層方向の端部側に位置する単位セルの固体電解質(11)は、積層方向の中央部側に位置する単位セルの前記固体電解質(11)よりも作動温度範囲内における導電率が高い材料で構成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の固体電解質型の燃料電池スタック。
【請求項8】
固体電解質(11)をアノード電極(12)およびカソード電極(13)で狭持した単位セル(10)の外側に、燃料ガスおよび酸化剤ガスの流通路(15a、16a)が形成されたセパレータ(15、16)を配置して構成される単位セル(10)を複数積層した固体電解質型の燃料電池スタックであって、
前記複数の単位セル(10)のうち、積層方向の中央部側に位置する単位セルの前記固体電解質(11)は、イットリア安定化ジルコニアで構成され、
前記複数の単位セル(10)のうち、積層方向の端部側に位置する単位セルの固体電解質(11)は、積層方向の中央部側に位置する単位セルの前記固体電解質(11)よりも作動温度範囲内における導電率が高い材料で構成されていることを特徴とする固体電解質型の燃料電池スタック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−41673(P2013−41673A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176013(P2011−176013)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】