説明

固定装置

【課題】固定された状態をより強固に維持することができると共に、固定部を小型化することが可能な固定装置を提供する。
【解決手段】一端部に短円筒状基部12aを有すると共に他端部13aには自在継手部14aを有し、短円筒状基部において互いに回動可能に重ねて配置された一対の管状アーム部15bと、管状アーム部の回動動作を固定しうる固定部16の操作部17とを有し、短円筒状基部の当接面部には、それぞれ、互いに係合して管状アーム部の相互の回動を規制しうる係合部が形成され、操作部の固定操作により管状アーム部内の一対の押圧ブロックが傾斜部に当接して管状アーム部内の一対のロッドが互いに離間し、夫々、自在継手部32aを固定すると共に係合部が互いに係合することにより一対の管状アーム部を固定し、操作部の解除操作により自在継手部の固定を解除すると共に係合が解除され、一対の管状アーム部の回動を可能とするように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は固定装置に係り、特に、外科手術において、開創鈎等の手術用器具を希望する位置に配置し、固定するために使用される固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓手術などの身体の一部を切開して行う外科手術では、開創器や開創鈎等の手術用器具を使用して、切開した部位を広げた状態に保ちながら手術が行われる。
【0003】
上記のような外科手術において、開創鈎等の手術用器具を希望する位置に配置し、固定する装置として、特許第4183899号公報(特許文献1)に開示された接合支持構造が知られている。
【0004】
上記特許文献1に開示された接合支持構造50は、一端部51a、51bに略短円筒状の起動ブロックの半部52a、52bを有し、他端部53a、53bには自在継手部54a、54bを有すると共に、内部にプッシュロッド55a、55bが配置された一対のアーム部56a、56bを有し、上記一対のアーム部56a、56bは、上記起動ブロックの半部52a、52bにおいて互いに回動可能に重ねて配置されている。
【0005】
上記起動ブロックの半部52a、52b同士は、引き抜きボルト57、およびナット要素58により回動可能に固定され、起動ブロック59を形成している。上記引き抜きボルト57は、上記引き抜きボルト57に固定されたTバー60によって回転可能であり、上記Tバー60を回転させることにより、上記一対のアーム部56a、56bの固定操作、および固定解除操作を行うことができる。
【0006】
上記起動ブロック59内には、上記一対のプッシュロッド55a、55bをそれぞれ押圧しうるトグルレバープレート61a、61bが内装されており、上記Tバー60の固定操作により、上記一対のアーム部56a、56bの回動が固定されると共に、上記トグルレバープレート61a、61bが上記プッシュロッド55a、55bをそれぞれ押圧する。また、上記Tバー60の固定解除操作により、上記アーム部56a、56bの回動の固定が解除されると共に、上記トグルレバープレート61a、61bによる上記プッシュロッド55a、55bの押圧が解除される。
【0007】
上記自在継手部54a、54bは、それぞれ、上記プッシュロッド55a、55bにより押圧されうる締結顎62a、62bと、上記締結顎62a、62bにより押圧されうる球状締結部材63a、63bと、上記球状締結部材63a、63bが押圧された場合に、上記締結顎62a、62bと共に上記球状締結部材63a、63bを挟み込み、上記球状締結部材63a、63bの動作を固定しうるカップ部64a、64bを有するボールスリーブ65a、65bとにより構成されている。
【0008】
即ち、上記締結顎62a、62bが上記プッシュロッド55a、55bにより押圧された場合には、上記球状締結部材63a、63bの動作が固定されることにより、上記自在継手部54a、54bの動作が固定される。
【0009】
したがって、上記Tバー60を用いて固定操作を行うことにより、上記一対のアーム部56a、56bの回動が固定されると共に、上記トグルレバープレート61a、61bが上記プッシュロッド55a、55bをそれぞれ押圧し、上記自在継手部54a、54bの動作が固定される。
【0010】
また、上記Tバー60を用いて固定解除操作を行うことにより、上記アーム部56a、56bは回動可能となると共に、上記自在継手部54a、54bの固定が解除される。
【0011】
したがって、上記接合支持構造50は、上記Tレバー60による固定操作により、上記アーム部56a、56bの回動の固定、および上記自在継手部54a、54bの固定を同時に行うことができる。また、上記Tレバー60による固定解除操作により、上記アーム部56a、56bの回動の固定の解除、および上記自在継手部54a、54bの固定の解除を同時に行うことができる。
【0012】
上記接合支持構造50を外科手術に用いる場合には、手術台周辺のレール等の固定部(図示せず)に、一方の上記自在継手部54aを取り付け、上記接合支持構造50を上記固定部に固定する。
【0013】
上記接合支持構造50の他方の上記自在継手部54bには、手術用器具を取り付けるための手術用器具固定部材66が設けられており、上記手術用器具固定部材66に開創鈎等の手術用器具(図示せず)を固定して使用する。
【0014】
手術台周辺に固定された上記接合支持構造50は、上記Tバー60による上記アーム部56a、56bの回動の固定が解除された状態では、上記自在継手部54a、54bを自在に動かせると共に、上記一対のアーム部56a、56bを回動させることにより、上記手術用器具を希望する位置に配置することができ、その後、上記Tレバー60による固定操作を行うことにより、上記手術用器具を希望する位置に固定することができる。
【0015】
上記接合支持構造50の上記一対のアーム部56a、56bの回動は、上記起動ブロック半部52a、52bのハウジング67a、67bが当接する当接面部68a、68bに働く摩擦力により規制されており、通常、上記Tバー60の固定解除操作がなされずに、上記アーム部56a、56bの回動の固定が解除されることはない。
【0016】
しかしながら、手術中に医師の体が上記接合支持構造50の一部分、または、上記接合支持構造50に固定された手術用器具に接触し、上記アーム部52a、52bの固定を解除させうる力が加えられた場合には、上記Tバー60による固定解除操作を行うことなく、上記アーム部52a、52bの固定が解除されてしまい、手術が中断されるという問題があった。
【0017】
また、上記アーム部52a、52bの回動は、上記ハウジング67a、67bが当接する当接面部68a、68bに働く摩擦力により規制されていることから、上記アーム部52a、52bの長さ寸法を大きくするためには、上記アーム部52a、52bの回動を規制する摩擦力を増大させる必要があり、上記当接面部68a、68bの面積を増大させる必要があった。
【0018】
したがって、上記接合支持構造50は、上記アーム部52a、52bの長さ寸法を大きくするには、上記当接面部68a、68bの面積を増大させる必要があることから、上記起動ブロック59が大型化し、手術の邪魔になるという問題があった。
【特許文献1】特許第4183899号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
そこで、本発明は、固定された状態をより強固に維持することができると共に、固定部を小型化することが可能な固定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するために、請求項1の発明に係る固定装置は、一端部に短円筒状基部を有すると共に他端部には自在継手部を有し、上記短円筒状基部において互いに回動可能に重ねて配置された一対の管状アーム部と、上記管状アーム部の回動動作を固定しうる固定部と、上記固定部の固定操作をしうる操作部とを有し、上記管状アーム部内には、夫々、一端部に短円筒状基部内に配置される傾斜部が形成されると共に、他端部が上記自在継手部に当接して自在継手部を固定又は固定を解除するように前後動するロッドが内装され、上記短円筒状基部内には、上記操作部の固定操作又は解除操作に基づき上記傾斜部に当接又は離間して上記ロッドを前後動させうる一対の押圧ブロックが内装され、上記操作部の固定操作により上記一対の押圧ブロックが上記傾斜部に当接して上記一対のロッドが互いに離間し、夫々、上記自在継手部を固定すると共に、上記操作部の解除操作により上記一対の押圧ブロックの上記当接部への当接が解除されることにより、上記一対のロッドが互いに自在継手部の固定を解除するように構成された固定装置において、上記短円筒状基部の当接面部には、それぞれ、互いに係合して上記管状アーム部の相互の回動を規制しうる係合部が形成され、上記操作部の固定操作により上記一対の押圧ブロックが上記傾斜部に当接して上記一対のロッドが互いに離間し、夫々、上記自在継手部を固定すると共に上記係合部が互いに係合することにより上記一対の管状アーム部を固定し、上記操作部の解除操作により上記一対のロッドが互いに自在継手部の固定を解除すると共に上記係合部の係合が解除されることにより上記一対の管状アーム部の回動を可能とするように構成されていることを特徴とする。
【0021】
従って、請求項1の発明に係る固定装置は、一端部に短円筒状基部を有すると共に他端部には自在継手部を有し、上記短円筒状基部において互いに回動可能に重ねて配置された一対の管状アーム部と、上記管状アーム部の回動動作を固定しうる固定部と、上記固定部の固定操作をしうる操作部とを有し、上記管状アーム部内には、夫々、一端部に短円筒状基部内に配置される傾斜部が形成されると共に、他端部が上記自在継手部に当接して自在継手部を固定又は固定を解除するように前後動するロッドが内装され、上記短円筒状基部内には、上記操作部の固定操作又は解除操作に基づき上記傾斜部に当接又は離間して上記ロッドを前後動させうる一対の押圧ブロックが内装され、上記操作部の固定操作により上記一対の押圧ブロックが上記傾斜部に当接して上記一対のロッドが互いに離間し、夫々、上記自在継手部を固定すると共に、上記操作部の解除操作により上記一対の押圧ブロックの上記当接部への当接が解除されることにより、上記一対のロッドが互いに自在継手部の固定を解除するように構成されていることから、上記操作部による上記固定部の固定操作を行うことにより、一対の上記管状アーム部の回動動作を固定できると共に、上記押圧ブロックが、上記管状アーム部内に配置された上記ロッドの上記傾斜部に当接し、上記一対のロッドを押圧することにより互いに離間させ、上記自在継手部を夫々固定することができる。
また、上記操作部による上記固定部の固定解除操作を行うことにより、一対の上記管状アーム部の回動動作の固定を解除できると共に、上記押圧ブロックの、上記管状アーム部内に配置された上記ロッドの上記傾斜部への当接が解除されることにより、上記自在継手部の固定を解除することができる。
【0022】
また、請求項1の発明に係る固定装置は、上記短円筒状基部の当接面部には、それぞれ、互いに係合して上記管状アーム部の相互の回動を規制しうる係合部が形成され、上記操作部の固定操作により上記一対の押圧ブロックが上記傾斜部に当接して上記一対のロッドが互いに離間し、夫々、上記自在継手部を固定すると共に上記係合部が互いに係合することにより上記一対の管状アーム部を固定し、上記操作部の解除操作により上記一対のロッドが互いに自在継手部の固定を解除すると共に上記係合部の係合が解除されることにより上記一対の管状アーム部の回動を可能とするように構成されていることから、上記操作部の固定操作により、上記係合部が互いに係合することにより、上記一対の管状アーム部の相互の回動を規制して上記一対の管状アーム部を固定することができる。
また、上記操作部の解除操作により、上記係合部の係合が解除されることにより、上記一対の管状アーム部の回動を可能とすることができる。
【0023】
請求項2の発明に係る固定装置は、上記係合部は、互いに重ねて載置された上記短円筒状基部の当接面部に、夫々、形成された凸部であることを特徴とする。
従って、上記凸部が互いに係合する。
【0024】
請求項3の発明に係る固定装置は、上記当接面部は、所定の幅寸法を有する円環帯状に形成され、上記凸部は、上記当接面部上に放射状に連続して多数形成されていることを特徴とする。
従って、多数の上記凸部が互いに係合する。
【0025】
請求項4の発明に係る固定装置は、上記凸部は上記当接面部全域に亘って形成されていることを特徴とする。
従って、上記当接面部全域に亘って形成された上記凸部が互いに係合する。
【0026】
請求項5の発明に係る固定装置は、上記凸部は、5度間隔で形成されていることを特徴とする。
従って、5度間隔で形成された上記凸部が互いに係合する。
【0027】
従って、上記凸部は、5度間隔で形成されていることから、上記一対の管状アーム部同士のなす角を、5度間隔で調節することができる。
【発明の効果】
【0028】
請求項1の発明に係る固定装置は、上記操作部の固定操作により、上記係合部が互いに係合することにより、上記一対の管状アーム部の相互の回動を規制して上記一対の管状アーム部を固定することができることから、上記操作部の固定操作を行った場合には、上記短円筒状基部の当接面部に上記一対の管状アーム部の回動を規制する力が働くと共に、上記係合部が互いに係合することにより、上記短円筒状基部の上記当接面部同士が互いに係合して上記一対の管状アーム部の回動を規制することができ、その結果、固定された状態を確実に維持することができると共に、固定部を小型化することが可能となる。
【0029】
請求項2の発明に係る固定装置は、上記係合部は、互いに重ねて載置された上記短円筒状基部の当接面部に、夫々、形成された凸部であることから、上記凸部を係合させることにより、上記管状アーム部の回動を規制することができる。
【0030】
請求項3の発明に係る固定装置は、上記当接面部は、所定の幅寸法を有する円環帯状に形成され、上記凸部は、上記当接面部上に放射状に連続して多数形成されていることから、上記一対の管状アーム部を互いに回動させ、上記一対の管状アーム部のなす角を多段階に調整することができ、上記自在継手部に固定した器具を希望する位置に調節して配置することができる。
【0031】
請求項4の発明に係る固定装置は、上記凸部は上記当接面部全域に亘って形成されていることから、上記固定装置の上記管状アーム部のなす角を全域に亘って多段階に調整することができる。
【0032】
請求項5の発明に係る固定装置は、上記一対の管状アーム部同士のなす角を、5度間隔で調節することができ、その結果、上記一対の管状アーム部同士のなす角を実質的に無段階に調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る固定装置の一実施の形態における固定装置を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る固定装置の一実施の形態における固定装置を示す側面図、および端円筒状基部の当接面部を一部拡大して示す拡大図である。
【図3】本発明に係る固定装置の一実施の形態における固定装置を示す図1の3−3線断面図である。
【図4】本発明に係る固定装置の一実施の形態における短円筒状基部を示す斜視図である。
【図5】本発明に係る固定装置の一実施の形態における短円筒状基部を示す斜視図である。
【図6】従来の接合支持構造を示す縦断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づき、本発明を詳細に説明する。
【0035】
図1および図2に示すように、本実施の形態に係る固定装置10は、一端部11aに短円筒状基部12aを有すると共に他端部13aには自在継手部14aを有する管状アーム部15aと、一端部11bに短円筒状基部12bを有すると共に他端部13bには自在継手部14bを有する管状アーム部15bとを有し、一対の上記管状アーム部15a、15bは、上記短円筒状基部12a、12bにおいて、互いに回動可能に重ねて配置されている。
【0036】
また、図1および図2に示すように、上記固定装置10は、上記管状アーム部15a、15bの回動動作を固定しうる固定部16と、上記固定部16の固定操作をしうる側面略T字状の操作部17とを有する。
【0037】
図3に示すように、上記管状アーム部15a、15b内には、夫々、一端部18a、18bに短円筒状基部12a、12b内に配置される傾斜部19a、19bが形成されると共に、他端部20a、20bが上記自在継手部14a、14bに当接して上記自在継手部14a、14bを固定又は固定を解除するように前後動するロッド21a、21bが内装されている。
【0038】
また、図3に示すように、上記短円筒状基部12a、12b内には、上記傾斜部19a、19bに当接しうる傾斜部23a、23bを有し、上記操作部17の固定操作又は解除操作に基づき上記傾斜部19a、19bに、当接又は離間して上記ロッド21a、21bを前後動させうる一対の押圧ブロック22a、22bが内装されている。
【0039】
図3に示すように、上記固定装置10は、上記操作部17の固定操作により上記一対の押圧ブロック22a、22bが上記傾斜部19a、19bに当接して上記一対のロッド21a、21bが互いに軸方向に沿って離間し、夫々、上記自在継手部14a、14bを固定すると共に、上記操作部17の解除操作により上記一対の押圧ブロック22a、22bの上記傾斜部19a、19bへの当接が解除されることにより、上記一対のロッド19a、19bが互いに自在継手部14a、14bの固定を解除するように構成されている。
【0040】
図4および図5に示すように、上記短円筒状基部12a、12bの当接面部24a、24bには、それぞれ、互いに係合して上記管状アーム部15a、15bの相互の回動を規制しうる係合部25a、25bが形成されている。
【0041】
図3に示すように、上記固定装置10は、上記操作部17の固定操作により上記一対の押圧ブロック22a、22bが上記傾斜部19a、19bに当接して上記一対のロッド21a、21bが互いに離間し、夫々、上記自在継手部14a、14bを固定すると共に、図2に示すように、上記係合部25a、25bが互いに係合することにより上記一対の管状アーム部15a、15bを固定する。
【0042】
また、上記固定装置10は、上記操作部17の解除操作により上記一対のロッド19a、19bが互いに自在継手部14a、14bの固定を解除すると共に上記係合部25a、25bの係合が解除されることにより上記一対の管状アーム部15a、15bの回動を可能とするように構成されている。
【0043】
図2、図3、および図4に示すように、上記係合部25a、25bは、互いに重ねて載置された上記短円筒状基部12a、12bの当接面部24a、24bに、夫々、形成された断面三角形状の凸部26a、26bである。
【0044】
図3および図4に示すように、上記当接面部24a、24bは、所定の幅寸法を有する円環帯状に形成され、上記凸部26a、26bは、上記当接面部24a、24b上に放射状に連続して多数形成されている。
【0045】
また、図3および図4に示すように、上記凸部26a、26bは上記当接面部24a、24b全域に亘って、5度間隔で形成されている。
【0046】
図1に示すように、上記自在継手部14aには、上記固定装置10を手術台周辺のレール部材(図示せず)に固定可能とする固定部材27が取り付けられており、上記自在継手部14bには、開創鈎等の手術用器具(図示せず)を固定可能とする器具固定部材28が取り付けられている。
【0047】
図3に示すように、上記自在継手部14a、14bは、それぞれ、上記ロッド21a、22bの上記他端部20a、20bに当接するカップ部29a、29bと、一端部30a、30bに上記カップ部29a、29bに当接しうる球状部31a、31bを有する自在継手軸部32a、32bと、上記カップ部29a、29bおよび上記球状部31a、31bを被覆すると共に、上記自在継手軸部32a、32bを外方に突出させうる開口部36a、36bを有するカバー部33a、33bとにより構成されている。
【0048】
また、図3に示すように、上記カップ部29a、29bの上記球状部31a、31bとの当接面部34a、34bおよび上記カバー部33a、33b内面の上記球状部29a、29bとの当接面部35a、35bは、上記球状部31a、31bと同一の曲率を有する。
【0049】
図4に示すように、上記押圧ブロック22aには、円筒状の操作軸部37が一体に形成されており、上記操作軸部37上方の外周面部38には、上記操作部17に螺合する螺合部39が設けられていると共に、上記操作軸部37の上端は開口し、内面部40が形成されており、上記内面部40には、螺合部42が形成されており、図1および図3に示すように、上記螺合部42には、上記操作部17の固定解除操作時に、上記操作部17が所定量以上に回転することを防止する操作部固定ネジ41が螺合して固定される。
【0050】
また、図5に示すように、上記押圧ブロック22bには、上記操作軸部37の外形寸法と略同一の径寸法を有する貫通孔部43が形成されており、図3に示すように、上記貫通孔部43には、上記操作軸部37が挿通され、上記短円筒状基部12a、12bが重ねて配置されている。
【0051】
図3に示すように、上記固定部16は、上記短円筒状基部12a、12bと、上記短円筒状基部12a、12b内に配置された上記押圧ブロック22a、22bとから構成されており、上記押圧ブロック22aと一体に形成され、上記押圧ブロック22bの上記貫通孔部43に挿通された上記操作軸部25の上記螺合部39には、上記操作部17が回動可能に螺合して配置されている。
【0052】
上記固定装置10の固定操作は、上記操作部17を締め付け方向に回転させることにより行われる。上記操作部17を締め付け方向に回転させた場合には、上記操作部17と、上記操作軸部37の上記螺合部39とが螺合し、上記押圧ブロック23a、23bが締め付けられて互いに接近し、上記固定部が固定されることにより、上記一対の管状アーム部15a、15bの回動が固定されると共に、上記押圧ブロック22a、22bの傾斜部23a、23bが上記ロッド21a、21bの傾斜部19a、19bにそれぞれ当接することにより、ロッド21a、21bを互いに離間させる。
【0053】
互いに離間したロッド21a、21bは、それぞれ上記自在継手部14a、14bの上記カップ部29a、29bを押圧し、押圧された上記カップ部29a、29bが上記球状部31a、31bを上記カバー部33a、33bの当接面部35a、35bに押圧することにより、上記球状部31a、31bの動作が固定され、上記自在継手部14a、14bが固定される。
【0054】
したがって、上記固定装置10は、上記操作部17を締め付け方向に回転させる固定操作を行うことにより、上記一対の管状アーム部15a、15bの回動が固定されると共に、上記自在継手部14a、14bの動作が固定される。
【0055】
また、この場合、上記短円筒状基部12a、12bの当接面部24a、24bに設けられた上記凸部26a、26bが互いに係合し、上記管状アーム部15a、15bの回動を強固に規制している。
【0056】
以下、本実施の形態に係る固定装置10の作用について説明する。
【0057】
図2に示すように、上記固定装置10は、上記短円筒状基部12a、12bの当接面部24a、24bに、それぞれ互いに係合して上記管状アーム部15a、15bの回動を規制しうる断面三角形状の上記凸部25a、25bが形成されていることから、上記操作部17による固定操作を行った場合には、上記当接面部24a、24bにおいて、上記凸部26a、26bが互いに隙間なく係合することにより、上記固定部16が強固に固定される。
【0058】
したがって、上記操作部17による固定操作を行った場合には、上記固定部16が強固に固定されることから、上記一対の管状アーム部15a、15bの回動、および上記自在継手部14a、14bの動作が固定された状態が強固に維持される。
また、図6に示すように、上記アーム部56a、56bの回動が、上記起動ブロックの半部52a、52bの平滑な上記当接面部68a、68bに働く摩擦によって規制される、従来の上記接合支持構造50とは異なり、図2に示すように、上記凸部26a、26bが互いに係合し、上記固定部16が固定された状態を確実に維持することができるため、上記固定部16を小型化することができる。
【0059】
上記固定装置10の上記短円筒状基部12a、12bの当接面部24a、24bにそれぞれ形成された上記凸部26a、26bは、上記当接面部24a、24bの全域に亘って、放射状に連続して多数形成されていることから、上記一対の管状アーム部15a、15b同士のなす角を全域に亘って多段階に調節することができる。
【0060】
また、上記凸部26a、26bは5度間隔で形成されていることから、上記一対の管状アーム部15a、15b同士のなす角を5度間隔で調節することができる。
【0061】
したがって、上記固定装置10は、上記一対の管状アーム部15a、15b同士のなす角を全域に亘って実質的に無段階に調節することができる。
【0062】
上記固定装置10を外科手術に使用する場合には、上記自在継手部14aに取り付けられた固定部材27を手術台周辺のレール部材(図示せず)に固定すると共に、上記自在継手部14bに取り付けられた器具固定部材28に、開創鈎等の手術用器具(図示せず)を固定して使用する。
【0063】
この場合、上記自在継手部14a、14bを自在に動かせると共に、上記一対の管状アーム部15a、15b同士のなす角を全域に亘って実質的に無段階に調節することができることから、上記手術用器具を希望する位置に配置することができる。
【0064】
また、上記操作部17による固定操作を行うことにより、上記一対の管状アーム部15a、15bの回動、および上記自在継手部14a、14bの動作が固定された状態が強固に維持されることから、上記手術用器具を希望する位置に強固に固定した状態で手術を行うことができ、手術中に医師の体が上記固定装置10の一部分、または上記固定装置10に固定された上記手術用器具に接触した場合であっても、上記一対の管状アーム部15a、15bの回動の固定が解除される虞はない。
【0065】
本実施の形態においては、上記固定装置10を、手術用器具を固定するために使用する場合を示したが、上記固定装置10は、手術用器具に限らず、カメラやダイヤルゲージ等の各種機器を固定するために使用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、手術用器具のほか、およびカメラやダイヤルゲージ等の各種機器を固定する固定装置に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0067】
10 固定装置
11a 一端部
11b 一端部
12a 短円筒状基部
12b 短円筒状基部
13a 他端部
13b 他端部
14a 自在継手部
14b 自在継手部
15a 管状アーム部
15b 管状アーム部
16 固定部
17 操作部
18a 一端部
18b 一端部
19a 傾斜部
19b 傾斜部
20a 他端部
20b 他端部
21a ロッド
21b ロッド
22a 押圧ブロック
22b 押圧ブロック
23a 傾斜部
23b 傾斜部
24a 当接面部
24b 当接面部
25a 係合部
25b 係合部
26a 凸部
26b 凸部
27 固定部材
28 器具固定部材
29a カップ部
29b カップ部
30a 一端部
30b 一端部
31a 球状部
31b 球状部
32a 自在継手軸部
32b 自在継手軸部
33a カバー部
33b カバー部
34a 当接面部
34b 当接面部
35a 当接面部
35b 当接面部
36a 開口部
36b 開口部
37 操作軸部
38 外周面部
39 螺合部
40 内面部
41 操作部固定ネジ
42 螺合部
43 貫通孔部

50 接合支持構造
51a 一端部
51b 一端部
52a 起動ブロックの半部
52b 起動ブロックの半部
53a 他端部
53b 他端部
54a 自在継手部
54b 自在継手部
55a プッシュロッド
55b プッシュロッド
56a アーム部
56b アーム部
57 引き抜きボルト
58 ナット要素
59 起動ブロック
60 Tバー
61a トグルレバープレート
61b トグルレバープレート
62a 締結顎
62b 締結顎
63a 球状締結部材
63b 球状締結部材
64a カップ部
64b カップ部
65a ボールスリーブ
65b ボールスリーブ
66 手術用器具固定部材
67a ハウジング
67b ハウジング
68a 当接面部
68b 当接面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部に短円筒状基部を有すると共に他端部には自在継手部を有し、上記短円筒状基部において互いに回動可能に重ねて配置された一対の管状アーム部と、上記管状アーム部の回動動作を固定しうる固定部と、上記固定部の固定操作をしうる操作部とを有し、
上記管状アーム部内には、夫々、一端部に短円筒状基部内に配置される傾斜部が形成されると共に、他端部が上記自在継手部に当接して自在継手部を固定又は固定を解除するように前後動するロッドが内装され、上記短円筒状基部内には、上記操作部の固定操作又は解除操作に基づき上記傾斜部に当接又は離間して上記ロッドを前後動させうる一対の押圧ブロックが内装され、
上記操作部の固定操作により上記一対の押圧ブロックが上記傾斜部に当接して上記一対のロッドが互いに離間し、夫々、上記自在継手部を固定すると共に、上記操作部の解除操作により上記一対の押圧ブロックの上記当接部への当接が解除されることにより、上記一対のロッドが互いに自在継手部の固定を解除するように構成された固定装置において、
上記短円筒状基部の当接面部には、それぞれ、互いに係合して上記管状アーム部の相互の回動を規制しうる係合部が形成され、
上記操作部の固定操作により上記一対の押圧ブロックが上記傾斜部に当接して上記一対のロッドが互いに離間し、夫々、上記自在継手部を固定すると共に上記係合部が互いに係合することにより上記一対の管状アーム部を固定し、
上記操作部の解除操作により上記一対のロッドが互いに自在継手部の固定を解除すると共に上記係合部の係合が解除されることにより上記一対の管状アーム部の回動を可能とするように構成されていることを特徴とする固定装置。
【請求項2】
上記係合部は、互いに重ねて載置された上記短円筒状基部の当接面部に、夫々、形成された凸部であることを特徴とする請求項1記載の固定装置。
【請求項3】
上記当接面部は、所定の幅寸法を有する円環帯状に形成され、上記凸部は、上記当接面部上に放射状に連続して多数形成されていることを特徴とする請求項2記載の固定装置。
【請求項4】
上記凸部は上記当接面部全域に亘って形成されていることを特徴とする請求項3記載の固定装置。
【請求項5】
上記凸部は、5度間隔で形成されていることを特徴とする請求項4記載の固定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−111220(P2013−111220A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259856(P2011−259856)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(511289611)株式会社ユニメディック (1)
【Fターム(参考)】