説明

固形、経口用の歯を白くする組成物

本発明は、ピロリン酸カルシウムを含有する歯の白化剤を、コーティングを除く組成物の0.5〜9質量%の量で包含する、固形、経口用の歯を白くする組成物を提供する。1具体例では、本発明の組成物は、さらに、追加の歯の白化剤を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形、経口用の歯を白くする組成物に関する。本発明は、さらに、歯の表面を白くするための前記組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
歯の白化剤又は歯の汚れ除去剤は、練り歯磨き、口腔洗浄剤、チューインガム、菓子組成物等の如き歯磨き組成物に添加されることが知られている。歯の表面の汚れ及び変色を低減し、これにより、歯の一般的な美的外観を改善するために、このような組成物を使用することもよく知られている。外因性の汚れが付いた歯は、美的外観の点から、歯の衛生が充分でないことを示す証拠であることからも好ましいものではない。
【0003】
いくつかの製品は過酸化物を含有するが、これらは毒性の観点から問題である。歯の白化製品に関する他のアプローチは、研削剤を添加することである(主に歯磨き剤から公知)。菓子において、これらのすべてが、必ずしも合法的であるとは限らない。
【0004】
いくつかの研削剤は、歯の白化を目的として使用されており、これらは、当業者にとって公知である。研削剤の例としては、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、リン酸三カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物、ベントナイト、ケイ酸ジルコニウム又は他のケイ酸含有物質がある。他の好適な研削剤は、米国特許第4,170,633号及び米国特許第4,891,211号に開示されたものである(これらの特許を、参考として、本明細書の一部として含める)。
【0005】
いくつかの特許及び特許出願は、固形、経口用の組成物における研削剤の使用を開示している(例えば、米国特許第5,147,632号及び第5,496,541号、ヨーロッパ特許第372,603号、国際特許出願公開WO 02/19834及びWO 01/56399参照)。
【0006】
米国特許出願第2002/0142068号は、ピロリン酸ナトリウム及びカプセル化アスパルテームを含むチューインガムの処方を開示している。
【0007】
米国特許第4,233,288号は、口腔内に液状物質を送達及び保持するためのゴム乳化液体組成物を開示している。前記特許に開示された実施例には、ピロリン酸カルシウム5%及び液体成分50%以上を含有するゴム乳化液体組成物が記載されている。
【0008】
米国特許第3,590,120号は、微細な及び粗いケイ酸ジルコニウム粒子の混合物を含有する研磨剤を含むチューインガムを開示している。例として、それぞれ、ピロリン酸カルシウム10%又は炭酸カルシウム10%を含有するチューインガム組成物が開示されている。このような組成物の清浄化/研摩効果は、ZrSiO4、CaCO3及びCaP2O7の順で減少することが示されている。しかし、指示的研究では、ケイ酸ジルコニウムの問題となる毒性が示されており(Elmore AR, Cosmetic Ingredient Review Expert Panel, ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ナトリウムマグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、アタパルガイト、ベントナイト、フラー土、ヘクトライト、カオリン、ケイ酸リチウムマグネシウム、ケイ酸リチウムマグネシウムナトリウム、モンモリロナイト、葉ロウ石、及びゼオライトの安全性アセスメントに関する最終レポート, Int. J. Toxicol. 2003; 22 Suppl. 1: 37-102)、固形、経口用の組成物におけるジルコニウム化合物の使用は、多くの国において禁止されている。
【0009】
このように、当分野では、増大された白化効果を得るため、固形、経口用の歯を白くする組成物における研削剤の使用及びその特定に関する要求がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、固形物質75質量%以上を含有する固形、経口用の歯を白くする組成物であって、該組成物は、a)チューインガム又は菓子ベース;b)一般的なチューインガム又は菓子添加剤;c)組成物の0.5〜9質量%の量で存在するピロリン酸カルシウムを含有する歯の白化剤を包含することを特徴とする固形、経口用の歯を白くする組成物に関する。
【0011】
さらに、本発明は、本発明による組成物の、歯の表面を白くするための使用に関する。
【0012】
さらに、本発明は、歯の表面を白くする方法に関する。
【0013】
添付図面を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
驚くべきことには、インビトロテストにおいて、研削剤としてピロリン酸カルシウム0.5〜9%を使用することにより、しばしば使用されている研削剤、すなわち、炭酸カルシウムを使用する場合と比べて、固形、経口用の組成物の改善された汚れ除去及び汚れ防止効果が達成されることが実証された。これらの効果は、米国特許第3,590,120号に示された結果、すなわち、CaP2O7の研摩効果はCaCO3の効果よりも明らかに低いことを考慮すると、予測されないものである。
【0015】
これらの結果に加えて、驚くべきことには、インビトロテストにおいて、ピロリン酸カルシウムを含有するチューインガムは、汚れが迅速かつ甚大に付着し、除去が最も困難である歯の表面、すなわち、歯の隣接部と共に、噛む間にも、ガムとは通常は接触しない歯の表面、すなわち、上の歯の唇面において、除去の改善が達成されることが実証された。
【0016】
代表的には、固形、経口用の歯を白くする組成物は、歯の白化剤の推奨日用量約40〜700 mgを含有することを意図するものである。都合の良いことには、この用量は、組成物の複数のサブ用量、例えば、8ユニット(各ユニットは、コーティングを除き、約900〜1000 mgである)に分けられる。このように、歯の白化剤の含量0.5〜9%は、歯の白化剤の組成物単位含量約4.5〜90 mgに相当する。
【0017】
本発明の組成物は本質的に固形であり、固形物質を、組成物の75質量%以上、好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上の量で含有する。
【0018】
本発明の好適な1具体例では、ピロリン酸カルシウムは、組成物(コーティングを除く)の3〜8質量%、好ましくは4.5〜7.5質量%、さらに好ましくは5.5〜7質量%の量で存在する。
【0019】
1具体例では、本発明による組成物は、チューインガム組成物として処方され、このチューインガム組成物は、好ましくは、組成物の10〜99質量%、特に15〜80質量%、好ましくは25〜60質量%を構成するチューインガムベースを含有する。ここで使用するように、表現「チューインガムベース」は、一般に、チューインガムの水不溶性部分を表す。チューインガムベースの処方は、代表的には、合成又は天然の1以上のエラストマー化合物、合成又は天然の1以上の樹脂化合物、充填剤、軟化化合物及び少量のその他の成分(例えば、酸化防止剤及び着色料、等)を含有する。
【0020】
これに関連して、有用な合成エラストマーとしては、Food and Drug Administration, CFR, Title 21, Section 172,615, the Masticatory Substances, Syntheticに掲載された合成エラストマー、例えば、ガス圧力クロマトグラフィー(GPC)平均分子量約10,000〜約1,000,000(50,000〜80,000の範囲を含む)をもつポリイソブチレン、イソブチレン‐イソプレン共重合体(ブチルエラストマー)、例えば、スチレン−ブタジエン比約1:3〜約3:1を有するスチレン‐ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ポリエチレン、例えば、共重合体の約5〜約50質量%、例えば、10〜45質量%のラウリン酸ビニル含量を有する酢酸ビニル‐ラウリン酸ビニル共重合体、及びこれらの組み合わせがある(これらに限定されない)。有用な天然の非分解性エラストマーとしては、天然ゴム、例えば、スモークドラテックス又はリキッドラテックス及びグアユール及びジェルトン、ソルバ(leche caspi)、マッサランドババラタ、ソルバ(sorva)、ソルビンハ、ロシディンハ、マッサランドバチョコレート、チクル、ニスペロ、グッタハンカン及びこれらの組み合わせを含む他の天然ゴムを含む、Food and Drug Administration, CFR, Title 21, Section 172,615において「天然の植物性咀嚼物質」として掲載されたエラストマーがある。好適な合成エラストマー及び天然エラストマーの濃度は、ベースを使用するチューインガムが粘着性であるか又は一般的な風船ガム又は普通のガムであるかによって異なる。現在好適な天然エラストマーとしては、ジェルトン、チクル、マッサランドババラタ及びソルバである。
【0021】
一般的なチューインガムベースにおける樹脂としては、代表的には、ポリ酢酸ビニル(PVAc)の如き合成樹脂、及びロジンエステル(しばしば、エステルガムとも称される)の如き天然樹脂が含まれる。さらに、特に水添ロジングリセロールエステル、重合ロジングリセロールエステル、部分二量化ロジングリセロールエステル、トールオイルロジングリセリンエステル、部分水添ロジンペンタエリスリトールエステル、ロジンメチルエステル、ロジン部分水添メチルエステル及びロジンペンタエリスリトールエステルの如き天然樹脂が、代表的に、チューインガムベースにおいて適用される。チューインガムベースにおいて代表的に適用される他の樹脂化合物としては、α‐ピネン、β‐ピネン、及び/又はd‐リモネンから誘導されたテルペン樹脂の如き合成樹脂及び天然のテルペン樹脂が含まれる。
【0022】
チューインガムベースの処方は、所望により、例えば、炭酸マグネシウム及びカルシウム、硫酸ナトリウム、粉末石灰石、ケイ酸塩化合物(例えば、ケイ酸マグネシウム及びアルミニウム、カオリン及びクレー)、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、タルク、酸化チタン、リン酸モノ‐、ジ‐及びトリカルシウム、セルロース重合体(例えば、木材)、及びこれらの組み合わせが含まれる。
【0023】
本発明によれば、ガムベースの処方は、1以上の軟化剤、例えば、国際特許出願公開WO 00/25598号(参照によって、この明細書に含まれる)に開示されたものを含むショ糖ポリエステルの如き牛脂、水素化牛脂、水素化及び部分水素化植物油、カカオ脂、グリセロールモノステアレート、グリセロールトリアセテート、レシチン、モノ‐、ジ‐及びトリグリセライド、アセチル化モノグリセライド、脂肪酸(例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸)、及びこれらの組み合わせを含有する。ここで使用するように、用語「軟化剤」は、ガムベース又はチューインガムの処方を軟化する成分を表し、ワックス、脂質、油、乳化剤、界面活性剤及び可溶化剤を包含する。
【0024】
ガムベースをさらに軟化し、ガムベースに水結合特性を付与する(ガムベースに、心地よい平滑な表面を与え、その接着性を低減させる)ため、1以上の乳化剤が、通常、ガムベースの、代表的には0〜18質量%、好ましくは0〜12質量%の量で組成物に添加される。チューインガムベースに添加される乳化剤として一般的に使用されるものの例としては、食用脂肪酸のモノ‐及びジグリセライド、乳酸エステル及び酢酸エステル、食用脂肪酸の糖エステル、Na、K、Mg及びCaのステアリン酸塩、レシチン、水酸化レシチン、等がある。下記に限定するような生物学的に又は薬学的に有効な成分が存在する場合には、有効成分を分散させ、放出するために、処方は、ある種の特別な乳化剤及び/又は可溶化剤を含有できる。
【0025】
チューインガムベースの調製の際、コンシステンシーの調節及びチューインガムベースの軟化のため、一般的に、ワックス及び脂質が使用される。本発明に関連して、一般的に使用されている好適は各種のワックス及び脂質、例えば、米ぬかワックス、ポリエチレンワックス、石油ワックス(精製パラフィン及びミクロクリスタリンワックス)、パラフィン、ミツロウ、カルナバロウ、カンデリラロウ、カカオ脂、脱脂ココア粉末及び各種の好適な油脂(例えば、完全又は部分水添植物油又は完全又は部分水添動物油)が使用される。
【0026】
1具体例では、ガムベースはワックスフリーである。
【0027】
さらに、ガムベースの処方は、本発明によれば、FD&Cタイプの色素及びレーキ、果物及び植物エキス、二酸化チタン及びこれらの組み合わせの如き色素及び白化剤を含有する。さらに、有用なチューインガムベースの成分としては、酸化防止剤、例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル及びトコフェロール、及び保存料がある。
【0028】
下記に限定するように、チューインガム添加剤と混合されるチューインガムベースの処方組成は、製造されるべき特別な製品に応じて、及び最終製品の所望の咀嚼及び他の知覚特性に応じて実質的に変動する。しかし、上記ガムベースの成分の代表的な範囲は、エラストマー化合物5〜50質量%、エラストマー可塑化剤5〜55質量%、賦形剤/生地改良剤0〜50質量%、軟化剤5〜35質量%及び酸化防止剤、色素等の如き他の成分0〜1質量%である。
【0029】
チューインガム組成物は、板状又は粒状で処方され、好適なコーティング剤で被覆される。この明細書を通して示されている濃度は、特に表示しない限り、コーティングを除いた質量を基準とするものである。
【0030】
他の具体例では、本発明の組成物は、菓子ベースを含有する菓子組成物として処方され、菓子ベースは、組成物の0〜99質量%、好ましくは15〜98質量%、さらに好ましくは30〜97質量%を構成する。本発明による菓子組成物の例(これらに限定されない)としては、硬質で、粒状の砂糖菓子、飴、チョコレート、圧縮錠、グミ菓子及びゼリーが含まれる。
【0031】
上述の成分に加えて、本発明による組成物は、1以上の一般的な成分、例えば、甘味料、強力甘味料、旨味エンハンサー、香料等を含有できる。甘味料、強力甘味料及び旨味エンハンサーは、当業者にとって公知である。甘味料の例(これらに限定されない)としては、スクロース、ブドウ糖、グルコース、マルトース、デキストリン、D‐タガトース、トレハロース、乾燥転化糖、フルクトース、レブロース、ガラクトース、コーンシロップ固形物等の如き糖類を含む糖甘味料があり、単独で又は組み合わせて使用される。甘味料の他の例としては、多価アルコール、例えば、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、グリセロール、水素化デンプン加水分解物、マルチトール、イソマルチトール、エリトリトール、ラクチトール等(単独で又は組合わせて使用される)を含むシュガーレス甘味料がある。シュガーレス甘味料が好ましい。
【0032】
好適な強力甘味料の例としては、スクラロース、アスパルテーム、アセスルファムの塩、アリテーム、サッカリン又はその塩、ネオテーム、サイクラミン酸及びその塩、グリチルリチン、ジヒドロカルコン、タウマチン、monnelin、sterioside等があり(これらに限定されない)、単独で又は組み合わせて使用される。
【0033】
果物フレーバー(例えば、リンゴ、梨、桃、イチゴ、サクランボ、アプリコット、オレンジ、スイカ、バナナ等);豆由来のフレーバー(例えば、コーヒー、カカオ等)と共に、当分野において公知の各種フレーバー、例えば、シナモン、ウィンターグリーン、ユーカリ、スペアミント、ペパーミント、メントール、アニスが使用される。香料は、チューインガム組成物において、約0.5〜約5質量%、好ましくは1〜3質量%の濃度で配合される。
【0034】
本発明の組成物は砂糖を含有することでき、又は含有しなくてもよい。しかし、シュガーフリー(無糖)組成物が好ましい。
【0035】
1以上の歯の白化剤を追加的に含めることが有利である。このような追加として添加される歯の白化剤の例は、当分野において、よく知られており、漂白剤と共に、研磨剤を含む。研磨剤の例(これらに限定されない)としては、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム、ヒドロキシアパタイト、トリメタリン酸塩及び不溶性ヘキサメタリン酸塩がある。漂白剤としては、例えば、カリウムペルオキシジホスフェート及び過酸化尿素の如きペルオキシ化合物を含有するものがある。着色料系と共に、炭酸水素ナトリウム(単独又はクエン酸との組合わせ)の如き発泡剤系も、本発明による組成物に配合される。
【0036】
チュアブル経口組成物において、上記の追加の白化剤は、通常、組成物(コーティングを除く)の0.01〜10.0質量%、好ましくは0.1〜2.0質量%、さらに好ましくは0.25〜1.0質量%の量で存在する。
【0037】
好適な追加の白化剤は炭酸水素塩を含有するものである。1具体例では、炭酸水素塩は、組成物(コーティングを除く)の0.3〜0.4質量%の量の炭酸水素ナトリウムである。
【0038】
本発明の組成物には、各種の活性剤が添加される。このような活性剤は、次のものから選ばれる1以上のものである:口腔衛生促進剤、抗歯石剤、抗菌剤、抗炎症剤、知覚麻痺剤、治療のための有効成分、ミネラル補給剤。例(これらに限定されない)としては、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム及びスズのフッ化物、フッ化アミン、モノフルオロリン酸二ナトリウム、トリメタリン酸ナトリウム及びカゼインの如き抗虫歯剤;例えば、トリクロサン、クロルヘキシジン、銅、亜鉛及びスズの塩(例えば、クエン酸亜鉛、硫酸亜鉛、グリシン酸亜鉛、クエン酸ナトリウム亜鉛及びピロリン酸スズ)、サンギナリンエキス、メトロニダゾール、第4級アンモニウム化合物(例えば、塩化セチルピリジニウム);例えば、クロルヘキシジンジグルコネート、ヘキセチジン、オクテニジン、アレキシジンの如きビスグアニド;及び2,2'-メチレンビス-(4-クロロ-6-ブロモフェノール)のようなハロゲン化ビスフェノール化合物の如き抗菌剤;例えば、イブプロフェン、フルルビプロフェン、アスピリン、インドメタシン等の如き抗炎症剤;例えば、尿素、乳酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム及びポリアクリル酸ストロンチウムの如き歯垢の酸の緩衝剤;例えば、クエン酸カリウム、塩化カリウム、酒石酸カリウム、炭酸水素カリウム、シュウ酸カリウム、硝酸カリウム及びストロンチウム塩の如き知覚麻痺剤;例えば、次亜リン酸塩含有ポリマー、有機ホスホン酸塩及びホスホシトレート等の如き抗歯石剤;例えば、植物油(例えば、ヒマワリ油、ナタネ油、大豆油、ベニバナ油);シリコーン油;及び炭化水素油の如きゴム保護剤;例えば、デンプン、ショ糖、水又は水/アルコール系等の如き薬学上許容されるキャリヤー;例えば、アニオン、非イオン、カチオン及び両性イオン又は両性界面活性剤の如き界面活性剤がある。本発明のチュアブル組成物に配合される他の物質は、息の悪臭に対抗するための物質であり、水溶性の亜鉛塩(少なくとも1%の可溶性)、特に、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、クエン酸亜鉛及びグルコン酸亜鉛が含まれる。
【0039】
本発明によって含有される研削剤、白化剤及び任意の活性剤はカプセル化される。この処置は、口腔内環境に入った際に、カプセル化された物質のゆっくりとした放出が達成されるように行われる。例えば、本発明によって含有される化合物の甘味のより長時間の持続は、甘味を呈する物質をカプセル化することによって達成される。同様に、各種の治療のための化合物と共に、白化剤のより長い放出時間が達成される。
【0040】
本発明によって含有される物質をカプセル化する他の利点は、これら物質の安定性の改善が達成されることであり、このようにして、本発明の組成物に対して、より広い保存条件下において、より長い保存寿命を付与できる。
【0041】
カプセル化のため、部分又は完全カプセル化を行う標準的な方法が使用される。好適な方法(これに限定されない)としては、スプレー乾燥、スプレー冷却、流動床コーティング、及びコアセルベーションがある。これらの方法は、シングル段階法又は多段階法において、別個に又は組み合わせて使用される。
【0042】
一般に、高い有機溶解度、良好な膜形成特性、及び低い水溶解度をもつ組成物は、好適なカプセル化を提供する。これらの組成物としては、アクリル酸重合体及び共重合体、カルボキシビニル重合体、ポリアミド、ポリスチレン、ポリビニル酢酸、ポリビニルアセテートフタレート、ポリビニルピロリドン及びワックスがある。
【0043】
しかし、カプセル化には、食品用の等級の物質のみが使用される。良好な膜形成剤であり、非水溶性である標準的な食品等級の2つのコーティング物質は、セラック及びゼインである。より水溶性ではあるが、良好な膜形成剤である他の物質は、例えば、カンテン、アルギン酸塩、各種のセルロース誘導体(エチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース)、デキストリン、ゼラチン及び変性デンプンの如き物質である。カプセル化のため、アカシア又はマルトデキストリンの如き他のカプセル化剤も使用できる。
【0044】
本発明の他の具体例では、本発明による組成物において、ビタミン及び/又はミネラルの如きサプリメントを含めることが望ましい。ビタミンは、好ましくは、1日当りの推奨摂取量(RDA)の10〜100%の濃度で添加される。
【0045】
特に、ビタミンCが本発明の組成物に添加される。
【0046】
本発明の組成物において、尿素を含めることが望ましい。尿素は、歯垢の酸の中和剤として添加される。通常、尿素は、0.15〜25質量%、特に0.4〜10質量%、好ましくは0.8〜5.0質量%、より好ましくは1.5〜2.5質量%の量でチュアブル組成物に添加される。
【0047】
他の具体例では、本発明は、歯の表面を白くすること及び/又は歯の表面の変色を防止することを目的とする本発明の組成物の使用に関する。特に、本発明の組成物は、タバコ関連製品及び/又はコーヒー関連製品の摂取による歯の変色を除去又は防止するために使用される。
【0048】
下記の実施例1‐4において、組成物は、特定の成分に加えて、標準のチューインガム組成物に基づくものである。ここで使用する標準のチューインガム組成物は、本質的に、下記の成分で構成される:
ガムベース 29.64%
甘味料 60.98%
強力甘味料 0.12%
フレーバー 1.80%
緩衝剤/安定剤 2.28%
軟化剤 0.07%
着色料 0.35%
【実施例1】
【0049】
120分後における歯からの外因性汚れの除去に関する、チューインガムの効果
コア組成物(すなわち、コーティングを除く)の質量基準で、それぞれ、炭酸カルシウム4.5%、ピロリン酸カルシウム4.5%又はピロリン酸カルシウム6.5%を含有する3種の標準のチューインガム組成物を、歯の表面の外因性汚れの除去に関する効果についてアッセイした。
【0050】
Stookey, G.K, Burkhart, T.A及びSchemehorn, B.Rによって開示された(歯磨き剤による汚れのインビボ除去, J. Dent. Res. 61(11): 1236-1239, Nov. 1982)実験室的方法の変法(この方法は、臨床試験において歯磨き剤の浄化/白化特性に関連して示されたものである)を使用して実験を行った。一般的な実験は、汚れた歯を、テスト用チューインガムにて処理するために、特別にデザインした機械的咀嚼装置を使用するものである(Kleber, C.J,; Schimmele R.G.; Putt, M.S.; Muhler, J.C.: チューインガムの評価のためにデザインされた咀嚼装置, J. Dent. Res. 60: 109-114, 1981)。処理前後の歯における汚れの量を、測色計を使用して定量的に測定する。
【0051】
各組成物を8個のエナメル質片についてテストした。平均値及び標準偏差を、下記表1の欄2(ΔE)に示す。最大除去率及び付随する標準偏差を欄3(最大ΔE)に示す。汚れの減少率(%)を欄4(減少率)に示す。
【0052】
各欄において同じ上付き文字が付された数値は、統計学的に相違するものではなく、一方、異なる上付き文字が付された数値は、ANOVA及びSNKテスト法に基づき、p<0.05で相違するものである。
【0053】
【表1】

【実施例2】
【0054】
外因性汚れの形成の阻害に関するチューインガムの効果
実施例1に記載のチューインガム組成物を、歯の表面における外因性汚れの形成の阻害に関する効果についてアッセイした。
【0055】
歯の汚れの形成を阻害し、白い歯を維持するチューインガムの能力を測定するために開発された特殊な実験室的方法を使用して、実験を行った。この方法は、練り歯磨きの歯を白くする特性を評価するために使用され、ヒトの臨床試験の結果を示すモデルに基づくものである。一般的な実験は、毎日の汚れ形成プロセスを受けると共に、歯をチューインガムにて処理するために、特別にデザインされた機械的咀嚼装置を使用するものである(Kleber, C.J,; Schimmele R.G.; Putt, M.S.; Muhler, J.C.: チューインガムの評価のためにデザインされた咀嚼装置, J. Dent. Res. 60: 109-114)。歯に蓄積する汚れの量を、測色計を使用することによって定量的に測定した。
【0056】
平均値及び標準偏差を下記表2の欄3(ΔE)に示す。最大除去率を欄4(最大ΔE)に示す。
【0057】
各欄において同じ上付き文字が付された数値は、統計学的に相違するものではなく、一方、異なる上付き文字が付された数値は、ANOVA及びSNKテスト法に基づき、p<0.05で相違するものである。
【0058】
【表2】

【実施例3】
【0059】
汚れ除去に関する歯を白くするチューインガムの効果
コア組成物(すなわち、コーティングを除く)の質量基準で、それぞれ、ピロリン酸カルシウム6.5%及び炭酸水素ナトリウム0.38%、炭酸カルシウム4.5%及び炭酸水素ナトリウム0.38%、炭酸水素ナトリウム0.38%含有する標準のチューインガム組成物及びガムなしコントロールを、歯の表面の外因性汚れの除去に関する効果についてアッセイした。
【0060】
1群の被験者を4つのテストグループに分け、上述のチューインガム組成物2片を、1日当たり4回、各回15分間で咀嚼するように指示し、1日1回(朝)、指定したブラシ及び歯磨きにて歯を磨かせた。ついで、被験者を、当業者によく知られている変形Lobene汚れ指数(MLSI)を使用して当業者によって検査した。
【0061】
トータルMLSIスコアーの結果を表3に示す。ここで、Nは各グループにおける被検者の数であり、ベースライン(欄3)は、処理前のMLSIスコアーを表し、Week4及びWeek8は、それぞれ、処理4週間及び8週間後のトータルMLSIスコアー(共変量調節ベースライン3.77)を表す。
【0062】
同じ上付き文字が付された数値は、統計学的に相違するものではなく、一方、異なる上付き文字が付された数値は、p<0.05で相違するものである(2追テスト)。
【0063】
【表3】

【0064】
表4及び5は、歯の異なる区域に関して示された処理8週間後に除去された汚れの上記臨床テストからの結果(%)を示す。Total(欄3)は全体の汚れ除去を表し、他の欄は、特定の歯の区域における除去された汚れの百分率を示す。チューインガムグループに関する汚れ減少スコアーを、ガムなしコントロールグループに対して算定した。
【0065】
下記表において、*は、コントロールグループとは、p<0.05で統計学的に異なることを表す。上記の如くNは被検者の数である。
【0066】
【表4】

【0067】
【表5】

【0068】
表6は、喫煙者の歯からの汚れ除去に関する、歯を白くするチューインガムの作用についての上記臨床テストからの結果(トータルMLSIスコアーで示す)を示す(共変量調節ベースライン3.86)。
【0069】
【表6】

【実施例4】
【0070】
炭酸カルシウム及びピロリン酸カルシウムの形で、それぞれ、1.61gCa/100g及び1.27gCa/100gを含有する2個の標準のチューインガム組成物を、ガムを噛む際のカルシウム源の放出度についてアッセイした。これらの濃度は、コーティングを除くコア組成物の質量基準で、炭酸カルシウム約4.5%及びピロリン酸カルシウム6.5%である。
【0071】
2人の被検者は、それぞれ、炭酸カルシウムを含有するチューインガム1片及びピロリン酸カルシウムを含有するチューインガム1片を、それぞれ、0、5、10及び20分間咀嚼する。ガム残渣におけるカルシウムの量を、クロロホルム及び1%塩酸(HCl)水相の二元混合物での抽出によって測定した。続いて、水相を原子吸光分光法(AAS)によって分析した。放出率を次のようにして算定した:
放出率(%)=100%−CT*100%/CT0
(式中、CT=時間T分までの濃度、及びCT0=時間T0=0分までの濃度)
【0072】
結果を図1に示す。5分内に、ピロリン酸カルシウムの80%以上が組成物から放出され、一方、15分以上の後に、炭酸カルシウムの20%未満が放出されることが示されている。
【実施例5】
【0073】
この実施例は、菓子組成物(甘味料が菓子ベースを構成する)として処方された本発明の組成物を開示する(この例に限定されない)。
【0074】
組成物は、ピロリン酸カルシウムを含有してなる特定の歯の白化剤に加えて、標準の菓子用組成物に基づくものである。ここで使用する標準の菓子組成物は、本質的に下記の成分でなる:
甘味料 97.49%
強力甘味料 0.13%
フレーバー 0.18%
炭酸水素ナトリウム 0.12%
ピロリン酸カルシウム 2.08%
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】時間を関数とする、チューインガム組成物中に存在する炭酸カルシウム及びピロリン酸カルシウムの放出率を表すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形物質75質量%以上を含有する固形、経口用の歯を白くする組成物であって、該組成物は、a)チューインガム又は菓子ベース;b)一般的なチューインガム又は菓子添加剤;c)組成物(コーティング組成物を除く)の0.5〜9質量%の量で存在するピロリン酸カルシウムを含有する歯の白化剤を包含することを特徴とする、組成物。
【請求項2】
ピロリン酸カルシウムが、組成物(コーティング組成物を除く)の3〜8質量%、好ましくは4.5〜7.5質量%、さらに好ましくは5.5〜7質量%の量で存在する、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
チューインガムベースが、組成物の10〜99質量%、特に15〜80質量%、好ましくは25〜60質量%の量を構成するチューインガム組成物として処方された、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
チューインガムベースが、天然又は合成のエラストマー化合物、天然又は合成の樹脂化合物、充填剤、軟化化合物、酸化防止剤及び着色料の1以上を含有するものである、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
菓子ベースが、組成物の0〜99質量%、特に15〜98質量%、好ましくは30〜97質量%の量を構成する菓子組成物として処方された、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
一般的なチューインガム又は菓子添加剤が、甘味料、強力甘味料、旨味エンハンサー、香料、着色料の1以上を含有するものである、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
組成物が本質的にシュガーフリーである、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
さらに、1以上の追加の歯の白化剤を含有する、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
追加の歯の白化剤が、組成物(コーティングを除く)の0.01〜10.0質量%、特に0.1〜2.0質量%、好ましくは0.25〜1.0質量%で存在する、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
追加の歯の白化剤が炭酸水素塩を含有するものである、請求項8又は9記載の組成物。
【請求項11】
追加の歯の白化剤が炭酸水素ナトリウムを含有するものであり、該白化剤が組成物(コーティングを除く)の0.3〜0.4質量%で存在する、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
添加剤及び/又は歯の白化剤がカプセル化されている、請求項1〜11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
さらに、口腔衛生促進剤、抗歯石剤、抗菌剤、抗炎症剤、知覚麻痺剤、治療のための有効成分、ミネラル補給剤の1以上を含有する、請求項1〜12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
さらにサプリメントを含有する、請求項1〜13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
サプリメントがビタミンCを含有するものである、請求項14記載の組成物。
【請求項16】
口腔衛生促進剤が尿素を含有するものであり、尿素が、0.15〜25質量%、特に0.4〜10質量%、好ましくは0.8〜5質量%、より好ましくは1.5〜2.5質量%で存在する、請求項13記載の組成物。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれかに記載の組成物の、歯の表面を白くするための使用。
【請求項18】
請求項1〜16のいずれかに記載の組成物の、タバコ関連製品の摂取後の変色した歯の表面を白くするための使用。
【請求項19】
請求項1〜16のいずれかに記載の組成物の、コーヒー関連製品の摂取後の変色した歯の表面を白くするための使用。
【請求項20】
請求項1〜16のいずれかに記載の固形、経口用の歯を白くする組成物を食することを特徴とする、歯の表面を白くする方法。
【請求項21】
請求項1〜16のいずれかに記載の固形、経口用の歯を白くする組成物を食することを特徴とする、タバコ関連製品の摂取後の変色した歯の表面を白くする方法。
【請求項22】
請求項1〜16のいずれかに記載の固形、経口用の歯を白くする組成物を食することを特徴とする、コーヒー関連製品の摂取後の変色した歯の表面を白くする方法。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2007−515382(P2007−515382A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−512149(P2005−512149)
【出願日】平成15年12月8日(2003.12.8)
【国際出願番号】PCT/EP2003/013873
【国際公開番号】WO2005/058263
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(506174197)キャドベリー シュウェップス パブリック リミテッド カンパニー (2)
【Fターム(参考)】