説明

固形描画材

【課題】 従来公知のステアリン酸金属塩などを使用した固形描画材より、良好な発色性と曲げ強さを共に有した固形描画材を提供する。
【解決手段】 平均粒子形が0.4μm以上3.0μm以下で、アスペクト比が5以上30以下である板状ステアリン酸金属塩を使用することを特徴とする固形描画材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレヨン、パステル、固形修正具、色鉛筆芯など、着色材を結合材、体質材などと混練、成形して得られる、描画対象物に擦られる事によって自己が摩耗して描画対象物に着色材を付着させて描画跡を形成する固形描画材に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にクレヨン、パステル、固形修正具、色鉛筆芯などの固形描画材は、有機系顔料、無機系顔料などの着色材と、粘土、ベントナイト、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン樹脂などの結合材と、タルク、マイカ、炭酸カルシウム等の体質材と、カルナバワックス、ポリエチレンワックスなどの摩耗性付与材とを混練し、必要に応じて水、メチルエチルケトン(MEK)等の溶剤を加えたものを成形して得られている。
【0003】
このような固形描画材は、固形描画材自身が紙面に対して摩耗により付着もしくは定着させて発色させるもので、着色粉をより多く固形描画材から摩耗させれば良好な発色が得られる。しかし、発色性の向上のために摩耗性を促進する事は成形品としての強度が弱くなるという問題を抱えるものであった。例えば、樹脂の使用量を抑え色鉛筆芯自身を軟らかく摩耗し易くする方法で得られる色鉛筆芯の発色性は確かに向上はするが、強度が弱くなり折れ易くなる。
【0004】
固形描画材の強度を損ねることなく発色性を備える固形描画材を得るために、特許文献1には、結合材としてセルロイドを使用し、潤滑剤としてリチウム石けんと脂肪酸アミドを併用した非焼成鉛筆芯が開示されており、特許文献2には、潤滑剤としてリチウム石けん及び軟化点が110℃以下のワックスを併用する非焼成色鉛筆芯が開示されている。
【特許文献1】特開平8−3503公報
【特許文献2】特開平8−3504公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び特許文献2には、リチウム石けんが軟化点が高いがゆえにある程度の曲げ強度が得られる旨が記載されているが、従来のリチウム石けんの粒子形状は不定形であり、またリチウム石けんの固体潤滑作用によって成形物を崩れやすくするものであり、曲げ強度が十分ではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、本発明は、着色材と、少なくとも平均粒子形が0.4μm以上3.0μm以下で、アスペクト比が5以上30以下である板状ステアリン酸金属塩を少なくとも含有する固形描画材を要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明で使用する板状ステアリン酸金属塩は、優れた固体潤滑作用により、従来使用されているのステアリン酸金属塩と同様に、固形描画材として使用した際に顔料粒子などと一緒に摩耗して良好な発色性を得ることができる。そしてこれに加えて粒子が板状の形状を有する結晶であることから、成型時に押し出し圧力で樹脂などの結合材やタルクなどの体質材や繊維状ウィスカーなどの補強材と共に押出方向に配向するので芯体の緻密性を向上させ曲げ強さを発現することが出来るものと推察される。また、紙面への描画の際には、高いアスペクト比を有する肉薄な粒子形状を有している特徴から、筆記時の荷重が低くても紙面上の繊維の凸部へ引っ掛かっり易い作用を発現し、更には芯体から板状ステアリン酸金属塩粒子の複数枚が一枚一枚へと剥離しながら崩れて摩耗すると考えられ、タルクなどの体質材や繊維状ウィスカーなどの補強材粒子表面やその近傍にも位置しているので、低筆圧で比較的途切れのない連続した摩耗塊を形成して、顔料粒子などの着色材と一緒に紙面に付着し、高い発色性を発現することが出来ると推察される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられる平均粒子形が0.4μm以上3.0μm以下で、アスペクト比が5以上30以下である板状ステアリン酸金属塩は、カルシウム、マグネシウム、銅、アルミニウム、コバルトなどの金属化合物と、脂肪酸塩から合成されるものでその製造法は脂肪酸アルカリ塩水溶液と金属化合物水溶液を混合して塩交換反応を生じさせ遊離した金属脂肪酸塩を水洗、乾燥、粉砕する一連の工程の中で、Jet−Mixing法と呼ばれるプロセスを加えることで得ることが出来る。具体的には前述した工程の中で塩交換反応を経て生成した金属脂肪酸塩粒子を篩にかけて取り除き遊離微粒子が凝集して成長させることなく反応を完了させ、その際に粒子成長が始まる結晶転位温度よりも低い温度条件で精製と単離を行うサブシステムを経て本発明で使用する平均粒子径とアスペクト比を有した板状結晶状のステアリン酸金属塩を得ることが出来る。上記製法を用いたステアリン酸金属塩は、日本油脂(株)でニッサンエレクトールシリーズとして製造、販売されておりニッサンエレクトールMM−2(ステアリン酸マグネシウム、平均粒子径:0.9μm以上2.5μm以下、アスペクト比:10.6以上29.4以下)、ニッサンエレクトールMZ−2(ステアリン酸亜鉛、平均粒子径:0.45μm以上1.5μm以下、アスペクト比:5.3以上17.6以下)、ニッサンエレクトールMC−2(ステアリン酸カルシウム、平均粒子径:0.45μm以上2.0μm以下、アスペクト比:5.3以上23.5以下)として上市されている。これらステアリン酸金属塩の使用量は、揮発性溶剤を除く固形描画材全量に対して1重量%以上40重量%以下であることが望ましいが、芯径が1.5ミリ以下の比較的細径芯である場合は、概ね10重量%もあれば良好である。使用量が1重量%より少ないと前述したような配向性に起因する強度の向上や描画時の剥離に起因する摩耗量の向上の効果が得られにくく、40重量%より多いと、描画時の摩耗は多くなり発色性は向上するが、固形描画材の曲げ強さが著しく低下してしまう。上述したような板状粒子でアスペクト比が高いステアリン酸金属塩の効果を低下させない範囲で従来公知の不定形粒子であるステアリン酸金属塩などの潤滑材を併用することは何ら差し支えることはない。
【0009】
本発明で使用する固形描画材の材料としては、上記板状ステアリン酸金属塩以外に、賦形させるための樹脂、粘土、ベントナイトなどの結合材と、タルクやマイカなどの体質材、各種無機、有機系顔料などの着色材などを配合し使用することができる。また本発明の効果を損ねない範囲で、カルナバワックスやパラフィンワックスなどのワックス類、流動パラフィン、αオレフィンオリゴマーなどの油脂類を使用するこは差し支えない。
【0010】
結合材としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ポリスチレンブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル−スチレン樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、マレイン酸重合物、ポリエステルポリオール樹脂、ポリエステルポリエーテル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が使用できる。これらは単独で用いても、2種以上を併用しても構わない。
【0011】
体質材としては、タルク、マイカ、カオリンクレー、ベントナイト、雲母、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、、板状アルミナ、硫酸マグネシウム、窒化ホウ素などや有機板状体質材としてN−ラウロイル−β−アラニンの各種金属塩などを任意に使用でき、これらは単独で用いても、2種以上を併用しても構わない。その他に押出成型時に配向性を促す繊維状の補強剤として炭酸カルシウムウィスカー、二酸化チタンウィスカー、硫酸マグネシウムウィスカー、硫酸カルシウムウィスカー、硫酸アルミニウムウィスカー、硼酸アルミニウムウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー等も使用出来る。前述した配向性を促す補強材の中で、特にチタン酸カリウムウィスカーの使用は好ましい。チタン酸カリウムウィスカーは、一般式KO・nTiOで表せる人工鉱物で、n=2、4、6、8のチタン酸カリウムウィスカーが知られているが、本発明で使用する場合、カリウムイオンの反応性が低い6チタン酸カリウムウィスカー、8チタン酸カリウムウィスカーが化学的、物理的に安定な構造を有していることから好ましい。これらチタン酸カリウムウィスカーは大塚化学(株)より、前者をティスモN、後者をティスモDとして既に上市されており、ティスモNは1000℃以上の高温域でも結晶形が変化することなく安定な物質で、後者のティスモDは700℃を超えると結晶形が6チタン酸カリウムウィスカーと二酸化チタンに分解されてしまうが本発明では、700℃を超える熱処理を行わないので両者を単独で使用することや併用して使用することは何ら差し支えない。
【0012】
着色材としては、特に限定されず、天然系、合成系各種染料や無機系、有機系各種顔料を任意に使用することができる。染料としては、ジャパノールファストブラックDコンク(C.I.ダイレクトブラック17)、ウォーターブラック100L(同19)、ウォーターブラック200−L(同19)、ウォーターブラック♯7(同19)、カヤセットブラックW9(同19)、ダイレクトファストブラックB(同22)、ダイレクトファストブラックAB(同32)、ダイレクトディープブラックEX(同38)、ダイレクトディープブラック(同38類似品)、ダイレクトファストブラックコンク(同51)、カヤラススプラグレイVGN(同71)、カヤクダイレクトブリリアントエローG(C.I.ダイレクトエロー)、ダイレクトファストエロー5GL(同26)、アイゼンプリムラエローGCLH(同44)、ダイレクトファストエローR(同50)、アイゼンダイレクトファストレッドFH(C.I.ダイレクトレッド1)、ニッポンファストスカーレットGSX(同4)、ダイレクトファストスカーレット4BS(同23)、アイゼンダイレクトデュリンBH(同31)、ダイレクトスカーレットB(同37)、カヤクダイレクトスカーレット3B(同39)、アイゼンプリムラビンコンク2BLH(同75)、スミライトレッドF3B(同80)、アイゼンプリムラレッド4BH(同81)、カヤラススプラルビンBL(同83)、カヤラスライトレッドF5G(同225)、カヤラスライトレッドF5B(同226)、カヤラスライトローズFR(同227)、ダイレクトスカイブルー6B(C.I.ダイレクトブルー1)、ダイレクトスカイブルー5B(同15)、ベンゾブリリアントスカイブルー8GS(同41)、スミライトスプラブルーBRRコンク(同71)、ダイボーゲンターコイズブルーS(同86)、ウォーターブルー♯3(同86)、カヤラスターコイズブルーGL(同86)、ダイワブルー215H(同87)、カヤラススプラルブルーFFRL(同108)、カヤラススプラルブルーFF2GL(同106)、カヤラススプラクターコイズブルーFBL(同199)等の直接染料やアシッドブルーブラック10B(C.I.アシッドブラック1)、ニグロシン(同2)、ウォーターブラックR455(同2)、ウォーターブラックR510(同2)、スミノールミリングブラック8BX(同24)、カヤノールミリングブラックVLG(同26)、カヤノールミリングブラックBRコンク(同31)、ミツイナイロンブラックGL(同52)、アイゼンオパールブラックWHエクストラコンク(同52)、スミランブラックWA(同52)、ラウニルブラックBGエクストラコンク(同107)、カヤノールミリングブラックTLB(同109)、スミノールミリングブラックB(同109)、カヤノールミリングブラックTLR(同110)、アイゼンオパールブラックニューコンク(同119)、ウォーターブラック187−L(同154)、アシッドイエロー♯10(C.I.アシッドエロー1)、カヤクアシッドブリリアントフラビンFF(同7:1)、カヤシルエローCG(同17)、キシレンライトエロー2G140%(同17)、スミノールレベリングエローNR(同19)、ウォーターイエロー♯1(同23)、ダイワダートラジン(同25)、カヤクタートラジン(同23)、スミノールファストエローR(同25)、ダイアシッドライトエロー2GP(同29)、スミノールミリングエロー0(同38)、スミノールミリングエローMR(同42)、ウォーターイエロー♯6(同42)、カヤノールエローNFG(同49)、スミノールミリングエロー3G(同72)、スミノールファストエローG(同61)、スミノールミリングエローG(同78)、カヤノールエローN5G(同110)、スミノールミリングエロー4G200%(同141)、カヤノールエローNG(同135)、カヤノールミリングエロー5GW(同127)、カヤノールミリングエロー6GW(同142)、スミトモファストスカーレットA(C.I.アシッドレッド8)、カヤクシルクスカーレット(同9)、ソーラールビンエクストラ(同14)、ダイワニューコクシン(同18)、ウオータースカーレット(同18)、ダイワ赤色102号(同18)、アイゼンボンソーRH(同26)、ダイワ赤色2号(同27)、スミノールレベリングブリリアントレッドS3B(同35)、カヤシルルビノール3GS(同37)、アイゼンエリスロシン(同51)、カヤクアシッドローダミンFB(同52)、ダイワ赤色106号(同52)、スミノールレベリングルビノール3GP(同57)、ダイアシッドアリザリンルビノールF3G200%(同82)、アリザリンルビノール5G(同83)、アイゼネオシンGH(同87)、ウオーターレッド♯2(同87)、ダイワ赤色103WB(同87)、ウオーターピンク♯2(同92)、アイゼンアシッドフロキシンPB(同92)、ダイワ赤色104号(同92)、ローズベンガル(同94)、カヤノールミリングスカーレットFGW(同111)、カヤノールミリングルビン3BW(同129)、スミノールミリングブリリアントレッド3BNコンク(同131)、スミノールミリングブリリアントレッドBS(同138)、アイゼンオパールピンクBH(同186)、スミノールミリングブリリアントレッドBコンク(同249)、カヤクアシッドブリリアントレッド3BL(同254)、カヤクアシッドブリリアントレッドBL(同265)、カヤノールミリングレッドGW(同276)、ミツイアシッドバイオレット6BN(同17)、ウォーターバイオレット♯1(同49)、インキバイオレットL10(同49)、スミトモパテントピュアブルーVX(C.I.アシッドブルー1)、ウォーターブルー♯106(同1)、パテントブルーAF(同7)、ウォーターブルー♯9(同9)、ダイワ青色1号(同9)、インキブルーL20(同9)、スプラノールブルーB(同15)、ウォーターブルー♯116(同15)、オリエントスルブルブルーOBX(同22)、スミノールレベリングブルー4GL(同23)、ミツイナイロンファストブルーG(同25)、カヤシルブルーAGG(同40)、カヤシルブルーBR(同41)、ミツイアリザリンサフィロールSE(同43)、スミノールレベリングスカイブルーRエクストラコンク(同62)、ミツイナイロンファストスカイブルーR(同78)、スミトモブリリアントインドシアニン6Bh/e(同83)、サンドランシアニンN−6B350%(同90)、ウォーターブルー♯105(同90)、オリエントソルブルブルーOBB(同93)、スプラノールシアニン7BF(同100)、スミトモブリリアントブルー5G(同103)、アシッドブルー(同103)、アシランブリリアントブルーFFR(同104)、カヤノールミリングウルトラスカイSE(同112)、カヤノールミリングシアニン5R(同113)、アイゼンオパールシアニン2GLH(同158)、ダイワギニアグリーンB(C.I.アシッドグリーン3)、アッシッドブリリアントミリンググリーン(同9)、ダイワグリーン♯70(同16)、カヤノールシアニングリーンG(同25)、スミノールミリンググリーンG(同27)、ウォーターオレンジ♯17(C.I.アシッドオレンジ56)等の酸性染料、ウオーターイエロー♯2(C.I.フードエロー3)、食品用黄色5号(C.I.フードエロー3)、食品用赤色3号(C.I.フードレッド14)、食品用青色2号(C.I.アシッドブルー74)、食品用緑色2号(C.I.アシッドグリーン5)等の食用染料、マラカイトグリーン(C.I.42000)、ビクトリアブルーFB(C.I.44045)、メチルバイオレットFN(C.I.42535)、ローダミンF4G(C.I.45160)、ローダミン6GCP(C.I.45160)等の塩基性染料が挙げられる。
【0013】
顔料としてはSpecial Black6、同S170、同S610、同5、同4、同4A、同550、同35、同250、同100、Printex 150T、同U、同V、同140U、同140V、同95、同90、同85、同80、同75、同55、同45、同P、同XE2、同L6、同L、同300、同30、同3、同35、同25、同200、同A、同G(以上、デグサ・ジャパン(株)製)、♯2400B、#2350、#2300、#2200B、#1000、#950、#850、#MCF88、MA600、MA100、MA7、MA11、#50、#52、#45、#44、#33、#32、#30、CF9、#20B、#4000B(以上、三菱化成(株)製)、MONARCH 1300、同1100、同1000、同900、同880、同800、同700、MOGUL L、REGAL 400R、同660R、同500R、同330R、同300R、同99R、ELFTEX 8、同12、BLACK PERALS 2000(以上、米国、キャボットCo.LTD製)、Raven7000、同5750、同5250、同5000、同3500、同2000、同1500、同1255、同1250、同1200、同1170、同1060、同1040、同1035、同1020、同1000、同890H、同890、同850、同790、同780、同760、同500、同450、同430、同420、同410、同22、同16、同14、同825Oil Beads、同H20、同C、Conductex 975、同900、同SC(以上、コロンビヤン・カーボン日本(株)製)などのカーボンブラック、KA−10、同10P、同15、同20、同30、同35、同60、同80、同90、KR−310、同380、同460、同480(以上、チタン工業(株)製)、P25(日本アエロジル(株)製)などの粒子状酸化チタン、BS−605、同607(以上、東洋アルミ(株)製)、ブロンズパウダーP−555、同P−777(以上、中島金属箔工業(株)製)、ブロンズパウダー3L5、同3L7(以上、福田金属箔工業(株)製)などの金属粉顔料、また、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、群青、紺青、コバルトブルー、クロムグリーン、酸化クロム等の無機顔料、ハンザエロー−10G、同5G、同3G、同4、同GR、同A、ベンジジンエロー、パーマネントエローNCCG、タートラジンレーキ、キノリンエロー、スダーン1、パーマネントオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジGN、パーマネントブラウンFG、パラブラウン、ファイヤーレッド、ブリリアントカーミン6B、ボルドー5B、チオインジゴレッド、ファストバイオレットB、レーキレッドC、ジオキサンバイオレット、アルカリブルーレーキ、フタロシアニンブルー、インジゴ、アシッドグリーンレーキ、フタロシアニングリーン等の有機顔料などが挙げられる。また、この他に硫化亜鉛、珪酸亜鉛、硫酸亜鉛カドミウム、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、タングステン酸カルシウム等の無機蛍光顔料が挙げられる。
【0014】
本発明において、上記材料を固形描画材として成形するに際して、これら配合材料を任意に配合し、使用する結合材の特性によっては水、メチルエチルケトン、アルコール等の極性溶剤や、トルエン等の無極性溶剤を任意に使用しながら、ヘンシルミキサー、ボールミル、ロールミル等の攪拌、粉砕、分散機により混練を行い、クレヨンやパス等は加熱溶融しながら型入れした後、冷却し成形する方法が採用できる。更に、色鉛筆芯などの場合には、若干溶剤分を残存させた材料を縦型押し出し機用のシリンダーに装填し、油圧ピストンでシリンダー内材料を押し出し成形し、含まれる有機溶剤については乾燥機を利用して強制乾燥する等、従来公知の方法を採用することができる。
【実施例】
【0015】
以下、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
<実施例1>
ニトロセルロース(結合材) 26重量部
板状ステアリン酸カルシウム(日本油脂(株)製、ニッサンエレクトールMC−2)(体質材) 3重量部
8チタン酸カリウムウィスカー(大塚化学(株)製、ティスモD)(補強材)
34重量部
ステアリン酸カルシウム(潤滑材) 13重量部
ジンクステアリルケトン(ワックス) 6重量部
レーキレッドC(赤色系着色材) 13重量部
プロピレンカーボネート(可塑材) 5重量部
メチルエチルケトン(有機溶剤) 100重量部
【0016】
上記材料を配合して、ヘンシルミキサーで分散後、3本ロールで混練およびさらなる分散を行い、溶剤分を調整しながら縦型押し出し機で成形後、残存溶剤分を完全に除くため80℃で8時間乾燥して、呼び径0.5の赤芯を得た。
【0017】
<実施例2〜8>
実施例1において、板状ステアリン酸カルシウム(ニッサンエレクトールMC−2)の使用量を0.5、0.9、1.2、6、10、11、15重量部に代えた以外は全て実施例1と同様の操作を行い、呼び径0.5の赤芯を得た。
【0018】
<実施例9>
実施例1において、板状ステアリン酸カルシウム(ニッサンエレクトールMC−2)を
板状ステアリン酸亜鉛(ニッサンエレクトールMZ−2)に代えた以外は実施例1と同様の操作を行い、呼び径0.5の赤芯を得た。
【0019】
<実施例10>
実施例1において、板状ステアリン酸カルシウム(ニッサンエレクトールMC−2)を
板状ステアリン酸マグネシウム(ニッサンエレクトールMM−2)に代えた以外は実施例1と同様の操作を行い、呼び径0.5の赤芯を得た。
【0020】
<実施例11>
ニトロセルロース(結合材) 15重量部
板状ステアリン酸亜鉛(日本油脂(株)製、ニッサンエレクトールMZ−2)(体質材)
15重量部
タルク(体質材) 40重量部
プロピレンカーボネート(可塑材) 5重量部
フタロシアニンブルー(着色材) 20重量部
酸化チタン(着色材) 5重量部
メチルエチルケトン(溶剤) 100重量部
【0021】
上記材料を配合して、ヘンシルミキサーで分散後、3本ロールで混練およびさらなる分散を行い、溶剤分を調整しながら縦型押し出し機で成形後、残存溶剤分を完全に除くため80℃で8時間乾燥して、呼び径2.0の青芯を得た。
【0022】
<実施例12〜20>
実施例11において、板状ステアリン酸亜鉛(ニッサンエレクトールMZ−2)の使用量を0.5、1、2、6、30、45、55、60、65重量部に代えた以外は全て実施例11と同様の操作を行い、呼び径2.0の青芯を得た。
【0023】
<実施例21>
実施例11において板状ステアリン酸亜鉛(ニッサンエレクトールMZ−2)を板状ステアリン酸カルシウム(ニッサンエレクトールMC−2)に代えた以外は実施例11と同様の操作を行い、青芯を得た。
【0024】
<実施例22>
実施例11において板状ステアリン酸亜鉛(ニッサンエレクトールMZ−2)を板状ステアリン酸マグネシウム(ニッサンエレクトールMM−2)に代えた以外は実施例11と同様の操作を行い、青芯を得た。
【0025】
<実施例23>
ポリスチレン(結合材) 300重量部
板状ステアリン酸カルシウム(日本油脂(株)製、ニッサンエレクトールMC−2)(体質材) 120重量部
タルク(体質材) 800重量部
パラフィンワックス(ワックス) 200重量部
モンタンワックス(ワックス) 80重量部
フタロシアニンブルー(着色材) 350重量部
酸化チタン(着色材) 150重量部
【0026】
上記配合組成物をヘンシルミキサーに入れて分散。混練し、餅状に造粒した材料を水冷と空冷を施しながらヘンシルミキサーで粉砕し顆粒化した材料をスクリュー直径30ミリメートルの横型スクリュー押し出機を用いて、150〜170℃で成型した。得られた芯を水冷管へ通過させて冷却させて、芯径1.3ミリの青芯を得た。
【0027】
<実施例24〜30>
実施例23において、板状ステアリン酸カルシウム(ニッサンエレクトールMC−2)の使用量を10、18、22、60、200、220、300重量部に代えた以外は全て実施例23と同様の操作を行い、芯径1.3ミリの青芯を得た。
【0028】
<実施例31>
実施例23において板状ステアリン酸カルシウム(ニッサンエレクトールMC−2)を板状ステアリン酸亜鉛(ニッサンエレクトールMZ−2)に代えた以外は実施例11と同様の操作を行い、芯径1.3ミリの青芯を得た。
【0029】
<実施例32>
実施例23において、板状ステアリン酸カルシウム(ニッサンエレクトールMC−2)を板状ステアリン酸マグネシウム(ニッサンエレクトールMM−2)に代えた以外は実施例11と同様の操作を行い、芯径1.3ミリの青芯を得た。
【0030】
<比較例1>
実施例1において板状ステアリン酸カルシウム(ニッサンエレクトールMC−2)をステアリン酸カルシウム(平均粒子径5以上10μm以下、アスペクト比:1以上2以下)に代えた以外は実施例1と同様の操作を行い、呼び径0.5の赤芯を得た。
【0031】
<比較例2>
実施例1において板状ステアリン酸カルシウム(ニッサンエレクトールMC−2)を取り除いた以外は実施例1と同様の操作を行い、呼び径0.5の赤芯を得た。
【0032】
<比較例3>
実施例1において板状ステアリン酸カルシウム(ニッサンエレクトールMC−2)を取り除いてステアリン酸リチウム(平均粒子径6μm以上10μm以下、アスペクト比:1以上3以下)に代えた以外は実施例1と同様の操作を行い、呼び径0.5の赤芯を得た。
【0033】
<比較例4>
実施例11において板状ステアリン酸亜鉛(ニッサンエレクトールMZ−2)をステアリン酸亜鉛(平均粒子径5以上10μm以下、アスペクト比:1以上2以下)に代えた以外は実施例11と同様の操作を行い、呼び径2の青芯を得た。
【0034】
<比較例5>
実施例11において板状ステアリン酸カルシウム(ニッサンエレクトールMC−2)を取り除いた以外は実施例11と同様の操作を行い、呼び径2の青芯を得た。
【0035】
<比較例6>
実施例11において板状ステアリン酸カルシウム(ニッサンエレクトールMC−2)を取り除いてステアリン酸リチウム(平均粒子径6μm以上10μm以下、アスペクト比:1以上3以下)に代えた以外は実施例11と同様の操作を行い、呼び径2の青芯を得た。
【0036】
<比較例7>
実施例23において板状ステアリン酸カルシウム(ニッサンエレクトールMC−2)をステアリン酸カルシウム(平均粒子径5以上10μm以下、アスペクト比:1以上2以下)に代えた以外は実施例23と同様の操作を行い、芯径1.3ミリの青芯を得た。
【0037】
<比較例8>
実施例23において板状ステアリン酸カルシウム(ニッサンエレクトールMC−2)を取り除いた以外は実施例23と同様の操作を行い、芯径1.3ミリの青芯を得た。
【0038】
<比較例9>
実施例23において板状ステアリン酸カルシウム(ニッサンエレクトールMC−2)を取り除いてステアリン酸リチウム(平均粒子径6μm以上10μm以下、アスペクト比:1以上3以下)に代えた以外は実施例23と同様の操作を行い、芯径1.3ミリの青芯を得た。
【0039】
以上の実施例および比較例で得られた芯の曲げ強さ(単位;MPa)と発色性の代用特性としての濃度(単位;D)とをJIS S 6005に基づいて測定し、結果を表1に示す。
【0040】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色材と、少なくとも平均粒子形が0.4μm以上3.0μm以下で、アスペクト比が5以上30以下である板状ステアリン酸金属塩を少なくとも含有する固形描画材。

【公開番号】特開2006−124641(P2006−124641A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−130235(P2005−130235)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【出願人】(000005511)ぺんてる株式会社 (899)
【Fターム(参考)】