説明

固形有機廃棄物の処理装置

【課題】 処理量が大容量化しても、衛生面(腐食やカビ等)で問題の発生しない、且つ、搬出性に優れた処理物を得られる固形有機廃棄物の処理装置を提供する。また、処理物を排出する排出口が、処理物で塞がれない構造を提供する。
【解決手段】 発酵処理槽で生成された処理物の排出口と、前記処理物を前記排出口より排出する攪拌手段とを有する処理装置に於いて、前記排出口より排出された処理物を着脱可能な袋に直接排出すると共に、前記袋を移動可能な台車に着脱可能に設置し、前記台車の扉を開した時、前記袋のほぼ全高が露出する開口部を前記台車に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形有機廃棄物の処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
固形有機廃棄物の処理装置に関する従来例としては、特開平6-304542号の図4及び明細書記載のように、固形有機廃棄物を発酵処理する処理槽を上段と下段に設け、上段の処理槽内の処理物が下段の処理槽内に落下するように形成し、また、上段と下段の処理槽の長さの差に相当する長さの排出物ストッカーを設け、下段の処理槽の処理物を前記排出物ストッカー内に落下するように構成していた。
【0003】
また、固形有機廃棄物処理装置に関する他の従来例としては、特開平7-124538号の図1及び明細書記載のように、固形有機廃棄物を破砕する破砕部と発酵処理する処理槽よりなる固形有機処理部と、固形有機処理部の処理槽内の気体中の水蒸気を凝縮して液体とする熱交換装置と、凝縮して滴下する液体の有機物を除去し、液体を中性化する液体浄化装置と、を備え、前記処理槽で処理した処理物を、前記処理槽の端板に設けられた排出口より排出物ストッカー内に排出することにより、固形有機廃棄物を連続的に処理できるようにしていた。
【0004】
【特許文献1】特開平6-304542号公報
【特許文献2】特開平7-124538号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年は、環境問題とのからみから固形有機廃棄物の必要処理量が大きくなっている為に、固形有機廃棄物処理装置自身が大型化傾向となり、必然的にその処理物の量も大容量化している。また、上記従来例にて説明した固形有機廃棄物処理装置により生成された処理物は、通常その堆肥化は不完全なものであり、排出物ストッカー内に排出された後も、それ自身で発酵が進行中であることは当業者のよく知るところである。
【0006】
従って、排出物ストッカー内で腐食したり、或いはカビが発生したりして悪臭を生じる恐れがあるために、また、処理物の堆積量が上記排出物ストッカーの所定容量を超えて周囲に散らばらないようにする為に、所定の時間間隔で処理物を排出物ストッカーから、他の場所に移す必要があるが、通常、上記排出物ストッカーから処理物を掻き出して移動しても、該掻き出した後に上記排出物ストッカーの隅や角に少量の処理物が残り、該処理物が腐敗して悪臭や有害菌を発生する恐れが生じる。また、固形有機廃棄物処理装置が大型になるに従い、排出物の量が多くなるため、御客様が排出物ストッカーから掻き出し作業を行う際、労力を要し使い勝手が悪い。
【0007】
一方、固形有機廃棄物の好気性発酵処理を連続的に行うためには、好気性発酵処理過程で酸素不足となった空気を排出して、酸素が十分に含まれている新鮮な空気を供給する必要があるが、上記新鮮な空気の供給口は、前述した処理物の排出口を兼用で利用することが多い。この場合、排出物ストッカー内に処理物が堆積しすぎると、前記排出口を処理物が塞ぐので、前記新鮮な空気の供給量が低減して、好気性菌の活性を阻害する恐れが生じる。
【0008】
しかし、上記課題に対して前述した従来例の特開平6-304542号や特開平7-124538号に於いては、その具体的対処法が提示されてない。
【0009】
従って、本発明は、このような従来の構成が有していた問題を解決しようとするものであり、その目的とする所は、処理物が大容量化しても、衛生面(腐食やカビ等)で問題の発生しない、且つ、搬出性において作業性、使い勝手が優れた処理装置を提供するものである。
【0010】
また、上記目的に加えて、排出口が、処理物で塞がれない構造を提供することを別の目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記目的を達成するために、固形有機廃棄物の好気性発酵処理槽と、前記処理槽で生成された処理物の排出口と、前記処理槽内で回動することにより、前記処理物を前記排出口より排出する攪拌手段とを有する処理装置に於いて、前記排出口より排出された処理物を着脱可能な袋に直接排出すると共に、前記袋を移動可能な台車に着脱可能に設置し、前記台車の扉を開した時、前記袋のほぼ全高が露出する開口部を前記台車に形成するようにしたので、処理槽で生成された処理物が大容量化しても、台車等に付着しないので、衛生面(腐食やカビ等)で問題の発生しない固形有機廃棄物の処理装置を提供できる。また、処理物を台車から袋ごと移動できるので、処理物の搬出性において従来の掻き出し作業が不要となり作業性、使い勝手が優れた処理装置を提供できる。
【0012】
また、排出口より排出された処理物が袋内に堆積し、該堆積した処理物が所定量に達したら、攪拌手段の回動を停止すると共に、表示灯若しくはブザー等の表示手段により注意喚起ができるようにしたので、排出口が処理物で塞がれないので、排出口から吸入される新鮮な外気の量が確保されるので、好気性菌の活動が阻害されない処理装置を提供できる。また、表示灯若しくはブザー等の表示手段により注意喚起ができるので、装置外から処理物が所定量に達したか、否か、が判るので使い勝手の良い装置を提供できる。
【0013】
また、袋を移動可能な台車に設置し、該台車が、排出口より排出された処理物を受ける位置以外にあるときは、攪拌手段の回動を停止するようにしたので、処理物が周囲に撒き散らされないので、環境衛生上、また、周囲清掃上優れた構造を提供できる。
【0014】
また、袋を移動可能な台車に設置し、該台車が、排出口より排出された処理物を受ける位置以外にあるときは、表示灯若しくはブザー等の表示手段により注意喚起ができるようにしたので、装置外から、台車の有無、或いは、台車の位置ズレが判るので、台車を入れる必要性や有機廃棄物の投入禁止等の注意喚起ができる。
【0015】
また、袋を移動可能な台車に設置し、該台車に、移動時に把手となる手掛部を形成し、該手掛部に、袋のズレ防止機能を付加したので、台車ごとの移動が容易なので処理物の搬出性に優れた処理装置を提供できる。また、台車より袋がズレないので、処理物が周囲にはみ出さないので、周囲環境を汚さない処理装置を提供できる。また、移動時に把手となる新たな部材を取り付ける必要がないので製造コスト上有利な装置を提供できる。
【0016】
また、排出口より排出された処理物を、台車に設置した袋内に降下させる落下口を有するガイド板を、前記排出口に設置したので、処理物が袋内に効率よく入り、且つ、その周囲に処理物が散らばらないので、清掃上や衛生面(腐食やカビ等)で問題の発生しない処理装置を提供できる。
【0017】
また、一個の排出口より降下する処理物が、前記排出口の下に設置した複数の袋内に夫々排出できるように、前記ガイド板に複数の落下口を設けたので、処理物を小分けに分割できるので、処理物の袋ごとの人力による運搬が容易となる処理装置を提供できる。また、処理物を収納する袋として、市販の大きさの袋を使用できるので製造コスト上有利であり、また、サービスパーツの準備上も有利となる処理装置を提供できる。
【0018】
また、台車の上面開口に、上記開口を複数に分割する梁若しくは仕切を設け、その梁若しくは仕切りの上部を利用して袋を係止すると共に、前記梁若しくは仕切を、ガイド板に設けた落下口の水平投影面から外した位置に設けるようにしたので、処理物が梁若しくは仕切りに当たらないで袋内に効率よく入るので、その周囲に処理物が散らばらないので、清掃上や衛生面(腐食やカビ等)で問題の発生しない処理装置を提供できる。また、一つの台車を梁若しくは仕切で複数に分割して使えるので、製造コスト上有利な構成となる。
【発明の効果】
【0019】
上述したように本発明は、発酵処理槽で生成された処理物の排出口と、前記処理物を前記排出口より排出する攪拌手段とを有する処理装置に於いて、前記排出口より排出された処理物を着脱可能な袋に直接排出すると共に、前記袋を移動可能な台車に着脱可能に設置し、前記台車の扉を開した時、前記袋のほぼ全高が露出する開口部を前記台車に形成するようにしたので、処理槽で生成された処理物が大容量化しても、台車等に付着しないので、衛生面(腐食やカビ等)で問題の発生しない固形有機廃棄物の処理装置を提供できる。また、処理物を台車から袋ごと移動できるので、処理物の搬出性において従来の掻き出し作業が不要となり作業性、使い勝手が優れた処理装置を提供できる。
【0020】
また、排出口より排出された処理物が袋内に堆積し、該堆積した処理物が所定量に達したら、攪拌手段の回動を停止するようにしたので、排出口が処理物で塞がれないので、排出口から吸入される新鮮な外気の量が確保されるので、好気性菌の活動が阻害されない処理装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下本発明の実施の形態について、図1から図9を用いて説明する。
【実施例1】
【0022】
本発明の第一の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1は本発明の第一の実施例を示す固形有機廃棄物処理装置の一部を切り欠いた状態の斜視図であり、図2は図1におけるA−A線の要部断面図であり、図3は図2におけるB−B線の要部断面図である。
【0024】
先ず、図1に於いて、20は固形有機廃棄物処理装置の筐体であり、その内部に固形有機廃棄物を好気性菌の働きで発酵処理する好気性発酵処理槽21と、処理槽21の発酵物より発生する水蒸気を凝縮して液体とする熱交換装置28と、処理槽21で生成された処理物21bの排出口21aと、処理槽21内で回動することにより、前記処理物21bを前記排出口21aより排出する攪拌手段23と、を有している。
【0025】
そして、攪拌手段23は、ギヤモーター等の駆動手段24および変速手段25により右回転(正回転)或いは左回転(逆回転)に回動可能に制御された回転軸22に固定されており、前記処理槽21内で回動することにより、右回転(正回転)の場合でも、或いは、左回転(逆回転)の場合でも、該回動により、前記処理物21bを前記排出口21aより所定量排出できるように構成されている。
【0026】
26aは固形有機廃棄物を前記処理槽21内に投入するための投入口であり、該投入口26aは、前記固形有機廃棄物処理装置の筐体20内で発生する熱や臭気の拡散を防止するために、投入口扉26にて開閉可能に閉塞されている。
【0027】
50は、前記排出口21aより排出された処理物21bを、後述する袋に直接排出できるように構成された移動可能な台車であり、該台車50の有無により後述するように、前記攪拌手段23の回動が制御されるように構成してある。
【0028】
また、41は、前記台車50を前記固形有機廃棄物処理装置の筐体20内に出し入れ可能に設けられた扉であり、該扉41周囲と前記処理装置の筐体20との間に間隙を設けて、該間隙により、後述するように、装置外の外気が所定量前記好気性発酵処理槽21内に供給できるように構成されている。
【0029】
27は、前記固形有機廃棄物処理装置の筐体20に、外部より目視可能に設置された表示灯等の表示手段、若しくは、前記固形有機廃棄物処理装置の筐体20内に設置されたブザー等の表示手段であり、後述するように、台車有無表示手段27aと満杯表示手段27bとにより構成されている。
【0030】
29は前記固形有機廃棄物処理装置の電源スイッチである。
【0031】
つぎに、図2により説明する。図2は図1におけるA−A線の要部断面図であり、前述の図1と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0032】
図2に於いて、31は処理槽21の発酵物より発生する水蒸気を含んだ空気を取り出す気体取り出し管であり、該気体取り出し管31で取り出された空気は、連絡管32と排気管33とに分流される。連絡管32側に分流された空気は、図1にて前述した熱交換装置28で冷却されてその空気中の水分を凝縮し、水分を除去された空気は気体戻し管34を経由して再び処理槽21内に戻される。
【0033】
一方、排気管33側に分流された空気は不図示の空気浄化装置等により、空気中の臭気や有機微細粉を除去されて装置外に排出される。なお、前記排気管33より排出される空気量は、処理槽21内で好気性発酵菌による発酵作用で消費される酸素を含んだ空気量に相当する。そして、該排出された空気量に相当する、酸素を充分に含んだ新鮮な空気を図3で後述する扉間隙G1を経由して、排出口21aより処理槽21に吸い込むことにより、処理槽21内の好気性発酵菌による発酵作用を連続する構成にしてある。
【0034】
71は、前記排出口21aより排出された処理物21cが後述する袋61内に直接収納できるように落下させる落下口71aを有する処理物落下用のガイド板であり、係止部71bにより前記排出口21a開口部に着脱可能に設置されている。また、前記ガイド板71は、処理物21cが袋61内に効率よく入り、且つ、その周囲に処理物21cが散らばらないように、且つ、該処理物21c或いは、前記処理槽21内の処理物21bが、前記排出口21a部に詰まることの無い形状に形成されている。
【0035】
つぎに、図3により説明する。図3は図2におけるB−B線の要部断面図であり、前述の図1から図2と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。図3に於いて、61が前記排出口21aより排出された処理物21cを直接収納できるように、前記ガイド板71の落下口71aの下方に設けられた袋であり、該袋61は、移動手段56を有する台車50に着脱可能に設置されている。
【0036】
そして、前記袋61を設置した台車50が、上述した落下口71aより降下する処理物21cを受ける位置以外にあるときは、その位置を、仕切り板20bに設置した台車有無検出手段37と、台車の所定位置に設置した台車有無検知具38とにより検知して、後述するように、表示灯若しくはブザー等の台車有無表示手段27a(図1の27a)により注意喚起をすると共に、攪拌手段23(図1の23)の回動を停止するように構成してある。
なお、上記台車有無検出手段の一例としては、例えば、接点がガラス管で覆われており磁気によりON,OFFするリードスイッチを上記台車有無検出手段37とし、磁石を台車有無検知具38とする方法でも良く、或いは、赤外線検知器等を上記台車有無検出手段37とし、赤外線感知具等を台車有無検知具38とする方法でも良い。
【0037】
また、前記袋61は、前記台車50に設置された状態で、その内部に前記処理物21cを収納したとき、該処理物21cに含まれる有機分や水分等が、該袋61を浸透して前記台車50に付着しないような材質と厚さとを有して構成されており、例えば、厚さ0.02mmから1.0mm程度のオレフィン系やビニル系若しくはナイロン系の合成樹脂等のフィルム、或いは、0.06mmから2.0mm程度の紙をベースとしたラミネートフィルム等で形成されている。
【0038】
また、前記袋61を台車50に設置した状態で、その内部に前記処理物21cが堆積し、該堆積した処理物21cが予め設定された所定量に達した時(以下予め設定された所定量に達した時を満杯と表示する)、該満杯であることを検知する満杯検知手段36を有しており、該満杯検知手段36が満杯を検知することにより、後述するように、表示灯若しくはブザー等の満杯表示手段27b(図1の27b)により注意喚起をすると共に、攪拌手段23(図1の23)の回動を停止するように構成してある。
【0039】
なお、前記満杯検知手段36の検知方式としては、例えば、図3に示すように、固形有機廃棄物処理装置の筐体20の仕切り板20bに結露防止用ヒータ等の加熱手段35と前記満杯検知手段36を併置し、前記加熱手段35の発熱による前記仕切り板20b部の温度上昇程度を前記満杯検知手段36にて感知する方法が良い。つまり、前記袋61内に堆積する処理物21cは熱の不良導体であるので、前記袋61内に処理物21cが満杯となると、前記結露防止用ヒータ等の加熱手段35の熱が周囲に発散し難くなるので、前記満杯検知手段36周辺部の温度上昇程度が大きくなって該温度上昇を検知できるのである。
また、前記満杯検知手段36の検知方式としては、上述した以外の方法、例えば、赤外線感知方式や重量センサー方式等でも良い。
【0040】
41は前記台車50を、固形有機廃棄物処理装置の筐体20内に出し入れ可能にする扉であり、該扉41のパッキング43と前記筐体20の外箱20aとの間には後述する間隙G1を形成してある。前記間隙G1の大きさは、前記処理槽21(図1の21)内の好気性発酵菌による発酵作用で消費される酸素を含んだ空気量、つまり、図2で前述した排気管33より排出される空気量、に相当する、装置外の酸素を充分に含んだ新鮮な空気量が、該間隙G1より浸入し、前記排出口21aを経由して前記処理槽21内に吸い込まれるような大きさに形成してある。
【0041】
また、前記扉41には、前記台車50の前板50aに当接することにより、該台車の後板50bと仕切り板20bとを近接さして、前記台車有無検出手段37や満杯検知手段36の検知能力を確実にするようにしたバネ42を設けてもよい。
【0042】
54は前記台車50を移動する場合の把手となるハンドルであり、該ハンドル54を台車の前板50a前面に設けることにより、前述した台車有無検知具38を設けた台車の後板50bが、前述した台車有無検出手段37と近接する位置になるように構成してある。
【0043】
つぎに、図4により説明する。図4は本発明の第一の実施例を示す台車の斜視図であり、図4(a)は台車50に袋61を取り付けた状態を説明する斜視図であり、図4(b)は台車50から袋61を取りだす状態を説明する斜視図である。なお、前述の図1から図3と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。先ず、図4(a)に於いて、台車50は、上面開口部51aと、該上面開口部51aと連続する任意の一側面に形成された後述する側面開口部51bとを有する台車枠体51と、前記側面開口部51bをヒンジ53により開放可能に閉塞する扉52とにより略矩形箱状に形成されている。そして、上面開口部51aを形成する開口周縁51cおよび扉上縁52aに、前述した処理物21cを収納できる袋61を、係止具55により着脱可能に係止できるように構成されている。
【0044】
また、前記台車50は、前記袋61内に所定量の処理物21cを収納した状態で、前記台車50ごと移動できるように、車輪等の移動手段56を有している。
【0045】
また、上述した側面開口部51bは図4(b)に示すように、前記台車50の扉52を開した時、前記袋61のほぼ全高が露出するように形成することにより、該袋61を前記台車外に容易に移動できるように構成されている。なお、図4(b)に示す袋61の形態は該袋61内に収納された処理物21cが、袋の開口61aより零れないように留め具62で該開口61aを閉塞して表示してあるが、該開口61aを、留め具62以外の方法、例えば、熱溶着方式や縫込み方式で閉塞しても良いことは自明である。
【0046】
次に、本発明による制御例について図5から図7により説明する。
【0047】
先ず、図5について説明する。図5は本発明の一実施例を示す台車有無検出動作を示すフローチャート図であり、前述の図3に示したリードスイッチ等の台車有無検出手段37の情報により、袋付台車が所定位置にあるか、否かを、不図示の制御部が判断して(ステップs12)袋付台車が所定位置にない場合は、前述の図1に示した表示灯若しくはブザー等の台車有無表示手段27aにより台車無し表示をする(ステップs14)と共に、前述の図1に示した攪拌手段23の回動を停止して(ステップs15)処理物21c(図2の21c)が袋61(図2の61)内に降下するのを停止するように構成されている。また、上記(ステップs12)に於いて袋付台車が所定位置にある場合は、前述の図1に示した攪拌手段23の回動を行って好気性発酵菌による発酵作用等を行う通常運転モードを継続する(ステップs13)
次に、図6について説明する。図6は本発明の一実施例を示す満杯表示動作を示すフローチャート図である。先ず、前述の図3に示した満杯検知手段36の検出温度(tx)が、満杯温度(t0)に達したか、否かを、不図示の制御部が判断して(ステップs22)満杯温度に達した場合は、前述の図1に示した表示灯若しくはブザー等の満杯表示手段27bに満杯表示をする(ステップs24)と共に、前述の図1に示した攪拌手段23の回動を停止して(ステップs25)処理物21c(図2の21c)が袋61(図2の61)内に降下するのを停止するように構成されている。また、上記(ステップs22)に於いて満杯温度に達してない場合は、前述の図1に示した攪拌手段23の回動を行って好気性発酵菌による発酵作用等を行う通常運転モードを継続する(ステップs23)。
【0048】
次に、図7について説明する。図7は本発明の一実施例を示すものであり、台車有無検出と満杯表示動作とを同時に行う場合のフローチャート図である。
【0049】
先ず、前述の図3に示したリードスイッチ等の台車有無検出手段37の情報により、袋付台車が所定位置にあるか、否かを、不図示の制御部が判断して(ステップs32)袋付台車が所定位置にない場合は、前述の図1に示した表示灯若しくはブザー等の台車有無表示手段27aにより台車無し表示をする(ステップs33)と共に、前述の図1に示した攪拌手段23の回動を停止して(ステップs34)処理物21c(図2の21c)が袋61(図2の61)内に降下するのを停止するように制御する。そして、上記(ステップs32)に於いて、袋付台車が所定位置にある場合は、前述の図3に示した満杯検知手段36の検出温度(tx)が、満杯温度(t0)に達したか、否かを、不図示の制御部が判断して(ステップs36)満杯温度に達した場合は、前述の図1に示した表示灯若しくはブザー等の満杯表示手段27bに満杯表示をする(ステップs37)と共に、前述の図1に示した攪拌手段23の回動を停止して(ステップs34)処理物21c(図2の21c)が袋61(図2の61)内に降下するのを停止するように制御する。そして、上記(ステップs36)に於いて満杯温度に達してない場合は、前述の図1に示した攪拌手段23の回動を行って好気性発酵菌による発酵作用等を行う通常運転モードを継続する(ステップs38)。
【0050】
以上のように構成されているので、本発明の第一の実施例は、好気性発酵処理槽で生成された処理物を着脱可能な袋に直接排出したので、処理槽で生成された処理物が大容量化しても、台車等に付着しないので、衛生面(腐食やカビ等)で問題の発生しない固形有機廃棄物の処理装置を提供できる。また、袋を移動可能な台車に着脱可能に設置し、前記台車の扉を開した時、前記袋のほぼ全高が露出する開口部を前記台車に形成するようにしたので、処理槽で生成された処理物を台車から袋ごと移動できるので、処理物の搬出性において従来の掻き出し作業が不要となり作業性、使い勝手が優れた処理装置を提供できる。また、排出口より排出された処理物が袋内に堆積し、該堆積した処理物が所定量に達したら、攪拌手段の回動を停止すると共に、表示灯若しくはブザー等の表示手段により注意喚起ができるようにしたので、排出口が処理物で塞がれないので、排出口から吸入される新鮮な外気の量が確保されるので、好気性菌の活動が阻害されない処理装置を提供できる。また、台車が、排出口より排出された処理物を受ける位置以外にあるときは、攪拌手段の回動を停止するようにしたので、処理物が周囲に撒き散らされないので、環境衛生上、また、周囲清掃上優れた構造を提供できる。
【実施例2】
【0051】
次に、本発明の第二の実施例について図8から図9により説明する。
【0052】
図8は本発明の第二の実施例を示す固形有機廃棄物処理装置の要部断面図であり、図9は本発明の第二の実施例を示す台車の斜視図である。なお、前述の実施例1と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0053】
先ず図8により説明する。72は前述した好気性発酵処理槽の排出口21aより排出された処理物21c1、21c2を、後述する台車80に着脱可能に設置した複数の袋92、93内に夫々直接降下させる複数の落下口72a、72bを有するガイド板である。
前記台車80はその上面開口部80cに、該開口部80cを複数に分割する梁若しくは仕切り84を設けて前記台車80内に複数の袋収納部82、83を形成しており、該袋収納部82,83に、袋92、93を夫々着脱可能に設置すると共に、該袋92、93がズレないように、前記袋収納部82、83の上部開口周縁部82a、83a及び前記梁若しくは仕切り84の上部を利用して係止具85により係止する構成としてある。
【0054】
また、前記梁若しくは仕切り84の設置位置は、ガイド板72の落下口72a、72bから降下する処理物21c1、21c2が前記梁若しくは仕切り84に当接しないように、前記落下口72a、72bの水平投影面から外した位置となるように構成してある。
【0055】
次に、処理物の排出口21aよりの排出量について説明する。
【0056】
一般的に、排出口21aよりの排出量は、その装置の大きさ等により、且つ、排出手段の所定の回転方向、例えば、右回転(正回転)時に、予め決められた所定量が排出できるように設定される。
【0057】
一方、好気性発酵菌による発酵を促進するために、通常、発酵槽内処理物をすくい上げるように攪拌する攪拌手段の回転方向は、予め設定された時間間隔ごとに右回転(正回転)と左回転(逆回転)とを交互に行えるように設定される。
【0058】
そして、上記排出のための排出手段と、攪拌のための攪拌手段とは、製造コスト上の関係から共用とする場合が多いことは当業者のよく知るところである。
【0059】
本発明においても、製造コスト上の関係から、図1にて前述したように、攪拌手段23(図1の23)は、処理物の排出手段と攪拌手段とを兼ねる構成にしてある。従って、所定の回転方向、例えば、右回転(正回転)時に、予め決められた所定量が、前記排出口21aより排出できるように設定されている。しかし、上述した、発酵槽内処理物をすくい上げるように攪拌する攪拌手段の左回転(逆回転)時にも、該攪拌手段のすくい上げる動作により、ある程度の量の処理物が前記排出口21aより排出されてしまう。
【0060】
この観点より、本発明の排出量を説明すると、図8の排出口21a部に記入した曲線R1(高さH11)が、攪拌手段23(図1の23)の右回転(正回転)時に前記排出口21a部より排出される処理物の量を表わしており、曲線R2(高さH12)が、攪拌手段23(図1の23)の左回転(逆回転)時に前記排出口21a部より排出される処理物の量を表わしている(通常はH11>H12)。
【0061】
従って、本発明は、同一時間に、前述した複数の袋92と93内に堆積する処理物21c1と21c2との堆積高さがほぼ同一となるように、前記落下口72aと72bの取りこみ寸法L11とL12との関係大きさを設定してある(通常はL11<L12)。
【0062】
つまり、攪拌手段23(図1の23)の回転方向による排出口21a部よりの排出量特性に合わせて、該排出口21a下部に設置する複数の落下口72aや72bの取りこみ寸法L11やL12、及び、複数の袋92や93の大きさ(収納容量)を設定してある。
【0063】
なお、前述した図8の落下口72aや72b相当の落下口を3個以上設け、該3個以上の落下口夫々の下部に、夫々直接処理物が収納できる複数の袋を設置すれば、前述した排出口21a部より排出された処理物を、更に、小分けに出来るので、該小分けにされた収納物を袋ごと容易に搬出できる処理装置を提供できる。
【0064】
次に、図9により説明する。図9は本発明の第二の実施例を示す台車の斜視図であり、図9(a)は台車80に袋92,93を取り付けた状態を説明する斜視図であり、図9(b)は台車80から袋92を取りだす状態を説明する斜視図である。なお、前述の図8と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0065】
先ず、図9(a)に於いて、86は台車80を移動する時に把手となるように、前記台車80の上面開口部80cに着脱可能に設けた手掛部であり、該手掛部86は、前記袋92或いは袋93がズレないように、係止具としてのズレ防止機能部86bと把手部86aとを一体或いは別体にて有している。
【0066】
なお、前記手掛部86は、前記ズレ防止機能部86bと把手部86aとを兼用として構成し、例えば、図9に示す係止具85タイプとしても良い。
【0067】
また、台車80内に設けられた複数の収納部82或いは83は、その上面開口部82a或いは83aと連続し、且つ、前記袋収納部82或いは83の側面を形成する任意の一側面に、後述する側面開口部82b或いは83bを形成してあり、該側面開口部82b及び83bは、ヒンジ88を有する扉87によりその開口前面を開閉可能に閉鎖してある。そして、上述した側面開口部82b、83bは図9(b)に示すように、前記台車80の扉87を開した時、前記袋92、93のほぼ全高が露出するように形成することにより、該袋92或いは93を前記台車外に容易に移動できるように構成されている。
【0068】
以上のように構成されているので、本発明の第二の実施例は、台車の移動時に把手となる手掛部を形成し、該手掛部に、袋のズレ防止機能を付加したので、台車ごとの移動が容易なので処理物の搬出性に優れた処理装置を提供できる。また、台車より袋がズレないので、処理物が周囲にはみ出さないので、周囲環境を汚さない処理装置を提供できる。また、移動時に把手となる新たな部材を取り付ける必要がないので製造コスト上有利な装置を提供できる。
【0069】
また、一個の排出口より降下する処理物が、前記排出口の下に設置した複数の袋内に夫々排出できるように、前記ガイド板に複数の落下口を設けたので、処理物を小分けに分割できるので、処理物の袋ごとの人力による運搬が容易となる処理装置を提供できる。また、処理物を収納する袋として、市販の大きさの袋を使用できるので製造コスト有利であり、また、サービスパーツの準備上も有利となる処理装置を提供できる。
【0070】
また、台車の上記開口を複数に分割する梁若しくは仕切りを設け、前記梁若しくは仕切りを、ガイド板に設けた落下口の水平投影面から外した位置に設けるようにしたので、処理物が梁若しくは仕切りに当たらないで袋内に効率よく入るので、その周囲に処理物が散らばらないので、清掃上や衛生面(腐食やカビ等)で問題の発生しない処理装置を提供できる。また、一つの台車を梁若しくは仕切りで複数に分割して使えるので、製造コスト上有利な構成となる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第一の実施例を示す固形有機廃棄物処理装置の一部を切り欠いた状態の斜視図。
【図2】図1におけるA−A線の要部断面図。
【図3】図2におけるB−B線の要部断面図。
【図4】本発明の第一の実施例を示す台車の斜視図。
【図5】本発明の一実施例を示す台車有無検出動作を示すフローチャート図。
【図6】本発明の一実施例を示す満杯表示動作を示すフローチャート図。
【図7】本発明の一実施例を示す台車有無検出と満杯表示動作とを示すフローチャート図。
【図8】本発明の第二の実施例を示す固形有機廃棄物処理装置の要部断面図。
【図9】本発明の第二の実施例を示す台車の斜視図。
【符号の説明】
【0072】
20…固形有機廃棄物処理装置の筐体、20a外箱、20b…仕切り板、21…処理槽、21a…排出口、21b、21c、21c1、21c2…処理物、22…回転軸、23…攪拌手段、24…駆動手段、25…変速手段、26…投入扉、26a…投入口、27…表示手段、27a…台車有無表示手段、27b…満杯表示手段、28…熱交換装置、29…電源スイッチ、31…気体取り出し管、32…連絡管、33…排気管、34…気体戻し管、35…加熱手段、36…満杯検知手段、37…台車有無検出手段、38…台車有無検知具、41…扉、42…バネ、43…パッキング、50、80…台車、50a…台車の前板、50b…台車の後板、51…台車枠体、51a…上面開口部、51b…側面開口部、51c、82a、83a…上部開口周縁部、52、87…台車の扉、52a…扉上縁、53、88…ヒンジ、54…ハンドル、55、85…係止具、56…移動手段、61、92,93…袋、61a…袋開口部、62、94…留め具、71、72…ガイド板、71a、72a、72b…落下口、71b…係止部、80c…台車の上面開口部、82、83…袋収納部、82b、83b…側面開口部、84…梁若しくは仕切り、86…手掛部、86a…把手部、86b…ズレ防止機能部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形有機廃棄物の好気性発酵処理槽と、前記処理槽で生成された処理物の排出口と、前記処理槽内で回動することにより、前記処理物を前記排出口より排出する攪拌手段とを有する処理装置に於いて、前記排出口より排出された処理物を着脱可能な袋に直接排出すると共に、前記袋を移動可能な台車に着脱可能に設置し、前記台車の扉を開した時、前記袋のほぼ全高が露出する開口部を前記台車に形成するようにしたことを特徴とする固形有機廃棄物の処理装置。
【請求項2】
排出口より排出された処理物が袋内に堆積し、該堆積した処理物が所定量に達したら、攪拌手段の回動を停止すると共に、表示灯若しくはブザー等の表示手段により注意喚起ができるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の固形有機廃棄物の処理装置。
【請求項3】
袋を移動可能な台車に着脱可能に設置し、該台車が、排出口より排出された処理物を受ける位置以外にあるときは、攪拌手段の回動を停止するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の固形有機廃棄物の処理装置。
【請求項4】
袋を移動可能な台車に着脱可能に設置し、該台車が、排出口より排出された処理物を受ける位置以外にあるときは、表示灯若しくはブザー等の表示手段により注意喚起ができるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の固形有機廃棄物の処理装置。
【請求項5】
袋を移動可能な台車に着脱可能に設置し、該台車に、移動時に把手となる手掛部を形成し、該手掛部に、袋のズレ防止機能を付加したことを特徴とする請求項1に記載の固形有機廃棄物の処理装置。
【請求項6】
排出口より排出された処理物を、台車に設置した袋内に降下させる落下口を有するガイド板を、前記排出口に設置したことを特徴とする請求項1に記載の固形有機廃棄物の処理装置。
【請求項7】
一個の排出口より降下する処理物が、前記排出口の下に設置した複数の袋内に夫々排出できるように、前記ガイド板に複数の落下口を設けたことを特徴とする請求項6に記載の固形有機廃棄物の処理装置。
【請求項8】
台車の上面開口に、上記開口を複数に分割する梁若しくは仕切を設け、その梁若しくは仕切の上部を利用して袋を係止すると共に、前記梁若しくは仕切を、ガイド板に設けた落下口の水平投影面から外した位置に設けるようにしたことを特徴とする請求項7に記載の固形有機廃棄物の処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−312111(P2006−312111A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−134724(P2005−134724)
【出願日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(502131431)日立ホーム・アンド・ライフ・ソリューション株式会社 (302)
【Fターム(参考)】