説明

固形燃料保管搬送装置およびそれを備えた固形燃料燃焼装置およびそれを備えた加温装置

【課題】人手に因らず長時間、例えば、薪等の固形燃料を自動で供給することができ、供給する固形燃料の保管設備と搬送設備を兼ねることで、床面における装置の占有面積を小さくすることのできる固形燃料保管搬送装置を提供する。
【解決手段】環状に連結され鉛直方向に対して垂直に外側面を形成するコンベアー2と、このコンベアー2の外側面に設けられる固形燃料保持部3と、コンベアー2により形成される環の外側で,かつ,コンベアー2の外側面と平行に配置されて搬送時に固形燃料保持部3から固形燃料7の落脱を防止するサポート部材4とを有することを特徴とする固形燃料保管搬送装置1による。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薪等の固形燃料を保管することができ、人の手に因らず自動で搬送して投下することのできる固形燃料保管搬送装置およびそれを備えた固形燃料燃焼装置およびそれを備えた加温装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、農産物等の乾燥装置に用いられる燃料は主に灯油であるが、山野を所有する農家にとっては、間伐材等からなる薪の入手が比較的容易なため、この薪を燃料として用いたいというニーズがあった。
その一方で、薪を燃焼装置の燃料として用いる場合には、一定時間ごとに燃焼室内に薪を投入する必要があり、加温時間が長時間にわたる場合には昼夜を徹した作業となることもあり、作業者にとって大きな負担となっていた。また、薪等の固形燃料は灯油等の液体燃料に比べて嵩張るため、恒常的な保管場所の確保についても課題があった。
このような課題に対処する目的で、固形燃料の保管や搬送に関する技術がいくつか開示されている。
【0003】
特許文献1には「園芸用暖房炉の燃料供給装置」という名称で、固形燃料を人力によらず自動的に炉内に供給する装置に関する考案が公開されている。
特許文献1に開示される考案は、文献中に用いられる符合を用いて説明すると、上面を方形とし中心線Aから左側底面を略55℃右側底面を略40°の角度に傾斜させた逆三角形状に形成したホッパー1の右側面の中心部に下端から上端まで一定幅の切抜き部2を設け、この切抜き部2に添わせて一定間隔を燃料掻き上げアングル3を結合したチェーンコンベアー4を装置し、さらにホッパー1の中心線Aから幾分左よりの底部に切抜き孔6を設け該切抜き孔6からホッパー内に、角部の一部が覗くようにして多角形の回転ローラー7を装置し、このようにしたチェーンコンベアー4の上端部から90°の角度で右下に向けて燃料落下桶8を結合する。而してホッパー1の右側面の中心部に設けた切抜き部2および、ホッパー1の左側底面に設けた切抜き孔6部はチェーンコンベアー4の全体と共に被い板9と被い板9’で包み込んだことを特徴とするものである。
上記構成の特許文献1に開示される考案によれば、必要量の固形燃料を保管すると共に、炉内に人力に因らず自動で供給することができるという効果を有する。
【0004】
また、特許文献2には「固形燃料の供給手段を備える燃焼装置」という名称で細長い棒状の固形燃料、例えば大鋸屑を棒状にプレス整形した固形燃料を供給する手段を備える燃料装置に関する考案が開示されている。
特許文献2に開示される考案は、燃焼炉と、この燃焼炉に燃料を送り込む供給手段とを備え、この供給手段は細長い棒状の固形燃料を燃焼炉に送り込むものであって、溜ホッパと送込みコンベアとを有し、溜ホッパは上下両端が開口されていると共に、一定の間隔で垂直に固定された仕切り板でもって複数の収納スリットに区画されており、この収納スリットは、その間隔が細長棒状の固形燃料の太さよりも広く形成されて、ここに複数本の棒状固形燃料が垂直に積み重ねて収納され、一方送込みコンベアは下方が開口する溜ホッパの真下でこれに接近して、しかも移送方向が、該収納スリットが並べられた方向を向くように配置されると共に、ベルト上に横に延長して垂直に送板が一定間隔で固定されており、この送板は棒状固形燃料の太さよりも長く離されて互いに平行に配設されておって、送板の間に収納スリットから固形燃料が落下すべく形成されており、さらにこの送込みコンベアの送出側が燃焼炉に開口する燃料の供給口に連結されておって、溜ホッパ内の固形燃料が送込みコンベアでもって燃焼炉に送込まれるように構成されたことを特徴とするものである。
上記構成の特許文献2に開示される考案も、必要量の棒状の固形燃料を保管すると共に、燃焼炉に人力に因らず自動で供給することができるという効果を有する。
【0005】
また、特許文献3には「木質系燃料自動供給装置」という名称で、ストーブ・ボイラー等の燃焼室へ木質燃料を自動的に供給する装置に関する発明が開示されている。
特許文献3に開示される発明は、文献中に記載される符合をそのまま用いて説明すると、燃焼ロストル6を備えた天秤系によってストーブ等の燃焼室2と燃料供給バケット9及び9Dを連結し、前記燃焼ロストル6の下降により前記燃料室に2に対する燃料12の供給を遮断することを特徴とするものである。
上記構成の特許文献3に開示される発明によれば、必要量の木質燃料を供給するとともに、自動で燃焼室内に木質燃料を供給することができるという効果を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭60−95430号公報
【特許文献2】実開昭57−13523号公報
【特許文献3】特開昭57−169514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1乃至3に開示されるいずれの考案や発明においても、燃焼室の占有スペースとは別に、固形燃料を保管し、搬送するスペースを確保しなくてはならないという課題があった。このため燃焼装置自体が大型となり、設置場所として広範なエリアを準備しなければならないという課題があった。
また、特に特許文献1に開示される考案の場合、固形燃料が例えば薪等の棒状体である場合に燃料掻き上げアングル3で上手く固形燃料を掻き上げられない恐れがあった。
また、特に特許文献2に開示される考案の場合、溜ホッパの内部は等間隔に仕切られているため、大きさにばらつきのある薪等を収容してスムースに導出させることは難しいという課題があった。
さらに、特に特許文献3に開示される発明では、大きさが不ぞろいな木質燃料を用いた場合、溜ホッパ内において木質燃料が詰ってしまう恐れがあり、スムースかつ確実に燃焼室内に木質燃料を供給できない恐れがあった。
【0008】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、固形燃料である、例えば、薪を必要量一時的に保管すると共に、目的とする箇所に搬送して1本ずつ投下することができ、しかも、床面以外の天井やその他装置の上面や側面に敷設することが可能な省スペース型の固形燃料保管搬送装置それを備えた固形燃料燃焼装置及びそれを備えた加温装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため請求項1記載の発明である固形燃料保管搬送装置は、環状に連結され鉛直方向に対して垂直に外側面を形成するコンベアーと、コンベアーの外側面に設けられる固形燃料保持部と、コンベアーにより形成される環の外側で,かつ,コンベアーの外側面と平行に配置されて搬送時に固形燃料保持部から固形燃料の落脱を防止するサポート部材とを有することを特徴とするものである。
上記構成の発明において、コンベアーは、その外側面上に形成される空間に固形燃料を収容して保管するとともに、必要に応じて目的とする場所に固形燃料を搬送するという作用を有する。
また、固形燃料保持部は、固形燃料を支持する,又は,コンベアーの外側面上に形成される空間において、固形燃料を一度に投下される量に(1つ又は1まとまり)に区分けするという作用を有する。
また、サポート部材は、固形燃料保持部とともに固形燃料を収容する空間を形成するという作用を有する。さらに、サポート部材鉛直下向き及びその左右方向への固形燃料の落脱を妨げるという作用を有する。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の固形燃料保管搬送装置であって、固形燃料保持部は、断面L字型で底板と側板とから成る折板材からなり、底板とコンベアーの外側面とを平行にしながらコンベアーに取り付けられることを特徴とするものである。
上記構成の発明は、請求項1記載の発明と同じ作用に加えて、固形燃料保持部を構成する折板材の底板は、コンベアーの外側面と略平行となり、固形燃料保持部のコンベアーへの取設を容易にするという作用を有する。また、側板は底板の平面方向に対して略垂直に取設されて、一度に投下される1つ又は1まとまりの固形燃料を間仕切るという作用する。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の固形燃料保管搬送装置であって、側板の上端は切欠き部を備え、この切欠き部内にサポート部材の少なくとも一部が存在することを特徴とするものである。
上記構成の発明は、請求項2記載の発明と同じ作用に加えて、側板に形成される切欠きにサポート部材の少なくとも一部を嵌め合わせることで、サポート部材と折板材の側板の間に隙間ができるのを妨げるという作用を有する。
これにより、固形燃料保持部とサポート部材の隙間に、固形燃料の一部が挟み込まれてコンベアーの作動に支障を生じさせるのを抑制するという作用を有する。
【0012】
請求項4記載の固形燃料燃焼装置は、固形燃料を燃焼させる燃焼室と,燃焼室に連通する固形燃料投入口と,を備える燃焼設備と、固形燃料投入口に固形燃料を搬送して投下する請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の固形燃料保管搬送装置とを有し、固形燃料投入口上に、コンベアーの下降から上昇への方向転換部が配置され、かつ、この方向転換部及びその近傍はサポート部材が設けられておらず、固形燃料は、コンベアーの方向転換部を通過する際に固形燃料保持部から離間して固形燃料投入口に投下されることを特徴とするものである。
上記構成の発明において、燃焼室は投入された固形燃料を燃焼させて熱を発生させるという作用を有する。また、固形燃料投入口は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の固形燃料保管搬送装置から投下された固形燃料を受け入れて燃焼室に送るという作用を有する。さらに、固形燃料保管搬送装置は、請求項1乃至請求項3のそれぞれに記載の発明と同じ作用を有する。また、固形燃料保管搬送装置においてサポート部材が設けられないコンベアーの方向転換部においては、コンベアーが下降から上昇へ切り替わる際に固形燃料保持部から固形燃料が自由落下により投下されて固形燃料投入口に固形燃料を供給するという作用を有する。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の固形燃料燃焼装置であって、固形燃料投入口は、ダンパーを具備し、ダンパーは、その上面で固形燃料保管搬送装置から投下された固形燃料を一旦受けてから開いて燃焼室に固形燃料を送給することを特徴とするものである。
上記構成の発明は、請求項4記載の発明と同じ作用に加えて、固形燃料保管搬送装置から投下された固形燃料を、固形燃料投入口に設けられるダンパーで一旦受取ってから、続くダンパーの回動操作により燃焼室に送給することで、燃焼室内に送込まれる固形燃料の向きを一定にそろえるという作用を有する。
これにより、燃焼室内における固形燃料の向きの違いにより燃焼温度が変動するのを抑制するという作用を有する。
【0014】
請求項6記載の加温装置は、請求項4又は請求項5記載の固形燃料燃焼装置と、この固形燃料燃焼装置により加温された空気により加温される加温室とを有し、燃焼室は、その内部に加温室から吸気された空気を流通させて燃焼室内において発生した熱と熱交換させて加温する熱交換器を具備し、熱交換器は、加温室内の空気を吸気して熱交換器に導入するとともに、熱交換器において加温された空気を加温室に再び送給するための送風設備を備えることを特徴とするものである。
上記構成の発明において、固形燃料燃焼装置は、請求項4又は請求項5記載の発明と同じ作用を有する、また、加温室は固形燃料燃焼装置により暖められた空気が供給されることで、その内部に収容される乾燥対象物、又は、加熱対象物を乾燥させたり加温するという作用を有する。
また、熱交換器を備えることで、燃焼室において発生した熱が間接的に加温室に送給される空気を暖めるという作用を有する。このため、燃焼室内において発生した臭気や灰、あるいは、すす等が加温室内に収容される乾燥対象物、又は、加熱対象物に付着するのを防止するという作用を有する。
【0015】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の加温装置であって、固形燃料保管搬送装置は、燃焼設備の側面,及び,燃焼設備及び加温室の上面に付設されることを特徴とするものである。
上記構成の発明は、請求項6記載の発明と同じ作用に加えて、固形燃料保管搬送装置を、燃焼設備の側面,及び,燃焼設備及び加温室の上面に付設することで、床面における固形燃料保管搬送装置の占有面積をゼロにするという作用を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1記載の発明によれば、固形燃料の搬送設備と保管設備を兼ねることができるので、請求項1記載の固形燃料保管搬送装置を備える装置を省スペース化することができる。
また、請求項1記載の固形燃料保管搬送装置を、天井又は、本体装置の側面又は上面に取設することで、床面における固形燃料の搬送設備及び保管設備の占有面積をゼロにすることができるという効果を有する。
【0017】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同じ効果に加えて、固形燃料保持部を形成する折板材が底板を備えることで、コンベアーの外側面への固形燃料保持部の取付けを容易にすることができるという効果を有する。また、折板材が側板を有することで、コンベアーのより搬送される固形燃料を一定間隔ごとに間仕切ることができるという効果を有する。
このため、請求項2記載の発明に固形燃料を保管する際に、折板材とサポート部材により形成される空間を満たすように固形燃料を供給することで、1箇所の固形燃料保持部に保持される固形燃料の量のばらつきを小さくすることができるという効果を有する。
なお、折板材とサポート部材により形成される空間に収容される固形燃料は必ずしも1つである必要はなく、その空間内に収容可能であれば2つ以上の固形燃料を収容してもよい。
【0018】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明と同じ効果に加えて、サポート部材と側板の間に隙間が形成されるのを防止することができる。
これにより、コンベアーによる搬送中に、サポート部材と側板の間に隙間に固形燃料の角や端部が挟まってコンベアーが作動不能になる等の不具合が生じるのを防止することができるという効果を有する。
【0019】
請求項4記載の発明において、固形燃料保管搬送装置は、請求項1乃至請求項3のそれぞれに記載の発明と同じ効果を有する。
また、請求項4記載の発明によれば燃焼設備の燃焼室に人力によらず自動で固形燃料を供給することができるという効果を有する。
さらに、請求項4記載の発明においては、燃焼設備に供給する固形燃料を搬送する設備と保管する設備を一体にし、かつ、それを床面に設置する必要がないので、請求項4記載の固形燃料装置を小型化することができるという効果を有する。
【0020】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明と同じ効果に加えて、固形燃料保管搬送装置から投下された固形燃料を直接燃焼室に送るのではなく、ダンパーで一旦受けて緩衝してから燃焼室に送ることで、燃焼室中に送られる固形燃料の向きを毎回ほぼ一定にすることができる。
これにより、燃焼室内に送給された固形燃料の向きの違いによる燃焼速度が大きく変動するのを防止することができる。
この結果、燃焼室で発生した温度を加温や乾燥に用いる際に、大幅な温度変化を防止することができるという効果を有する。
【0021】
請求項6記載の発明において固形燃料燃焼装置は、請求項4又は請求項5記載の発明と同じ効果を有する。また、加温室を備えることで、固形燃料燃焼装置において固形燃料を燃焼させて発生させた熱を用いて、加温室内を効率的に加温し続けることができる。この結果、食品や物品を加熱乾燥することができるという効果を有する。
また、燃焼室において発生した熱を、熱交換器を介して空気を間接的に加温して、その空気を加温室に供給することで、加温室内の急激な温度変化を防止すると同時に、燃焼室内において発生する臭気や灰やすす等が、加温室内に侵入して加温又は乾燥中の食品や物品に付着して汚損したり品質を低下させるのを防止することができるという効果を有する。
さらに、特に、固形燃料として薪を用いた場合には、山林の間伐材や廃材、シイタケ栽培等に用いたほだ木等を燃料として有効に活用することができる。
【0022】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明と同じ効果に加えて、床面において固形燃料保管搬送装置が占有する面積をゼロにすることができるので、加温装置の小型化を実現することができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例1に係る固形燃料保管搬送装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施例1に係る固形燃料保管搬送装置の正面図である。
【図3】本発明の実施例1に係る固形燃料保管搬送装置の部分図である。
【図4】本発明の実施例2に係る固形燃料燃焼装置及びそれを用いた加温装置の斜視図である。
【図5】本発明の実施例2に係る固形燃料燃焼装置及びそれを用いた加温装置の正面図である。
【図6】本発明の実施例2に係る固形燃料燃焼装置及びそれを用いた加温装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の実施の形態に係る固形燃料保管搬送装置およびそれを備えた固形燃料燃焼装置およびそれを備えた加温装置について実施例を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0025】
以下、実施例1に係る固形燃料保管搬送装置について図1乃至図3を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施例1に係る固形燃料保管搬送装置の斜視図であり、図2は本発明の実施例1に係る固形燃料保管搬送装置の正面図である。
図1及び図2に示すように実施例1に係る固形燃料保管搬送装置1は、例えば、チェーンタイプ又はベルトタイプであり、かつ、鉛直方向に対して垂直に外側面を形成しながら環状に連結されたコンベアー2の外側面上に、一定間隔毎(略一定間隔毎の概念も含む)に固形燃料保持部3が設けられ、さらに、固形燃料保持部3に収容される固形燃料7(図2を参照)が、コンベアー2によって搬送される際に、鉛直下方側やその左右方向に落下するのを防止する目的で、コンベアー2の外側面と平行に(略平行の概念も含む),かつ,固形燃料保持部3の上端(固形燃料保持部3の外側端部をつなぐようにサポート部材4が取設されるものである。
また、実施例1に係る固形燃料保管搬送装置1のコンベアー2は、プーリ6を介してU字状に折り曲げられ、このプーリ6に、例えば、動力伝達ベルト35を介して動力発生装置5として、例えば、電動モータを接続しておき、この電動モータの回転力を、動力伝達ベルト35を介してコンベアー2に伝達することで、コンベアー2が環に沿って周回するよう構成されている。
【0026】
このような、実施例1に係る固形燃料保管搬送装置1によれば、コンベアー2に設けられる固形燃料保持部3とサポート部材4により形成される収容空間10に、固形燃料である、より具体的には、棒状の固形燃料である、例えば、薪を収容しておくことで、固形燃料保管搬送装置1を固形燃料の保管設備として用いることができ、また、動力発生装置5によりコンベアー2を駆動することで、固形燃料の搬送装置としても用いることができる。
【0027】
通常、コンベアー2は物品の搬送装置として用いられるため、コンベアー2を用いて何らかの物品を自動供給する場合には、コンベアー2とは別に物品の保管設備を設け、コンベアー2上に物品を載置してやる必要があった。
そして、特に固形燃料が薪等の棒状体である場合、コンベアー2はある程度の幅を備える必要があるため比較的大型のものが必要であり、また、保管設備についても十分な容量を確保する必要があるため、薪の自動供給設備は必然的に大型にならざるを得なかった。
そこで発明者は、環状に連結されるコンベアー2の重なり部分で、かつ、鉛直下側に配置される部分において固形燃料を落下させることなく保持することができれば、コンベアー2を搬送設備としてだけではなく保管設備としても用いることができると考えた。
そして、鋭意研究の結果、コンベアー2に固形燃料保持部3及びサポート部材4を設けることでコンベアー2の周回時に、コンベアー2の外側面上に形成される空間を間仕切ってその空間ごと周回させることを考えたのである。
【0028】
従って、実施例1に係る固形燃料保管搬送装置1によれば、棒状の固形燃料の保管設備と自動搬送設備を1つの装置で兼ねることができるので、小型でコンパクトな固形燃料である、例えば、薪等の自動供給設備を提供することができるという効果を有する。
この結果、床面上における薪等の棒状の固形燃料の自動供給設備の占有面積を小さくすることができる。
特に、実施例1に係る固形燃料保管搬送装置1を天井から吊り下げたり、建物の壁面に付設した場合には、床面上における薪等の棒状の固形燃料供給設備の占有面積をゼロにすることができるとう効果を有する。
【0029】
ここで、図3を参照しながら実施例1に係る固形燃料保管搬送装置1の固形燃料保持部3について詳細に説明する。
図3は本発明の実施例1に係る固形燃料保管搬送装置の固形燃料保持部の部分図である。なお、図1又は図2に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図3に示すように、実施例1に係る固形燃料保管搬送装置1の固形燃料保持部3は、例えば、平板材を断面略L字型に折り曲げた折板材8により構成してもよい。
この折板材8は、底板8aとそれに垂直(略垂直の概念も含む)を成す側板8bからなり、底板8aはコンベアー2への折板材8の取付を可能にするとともに、コンベアー2の外側面上に側板8bを立設させるという作用を有する。
また、側板8bはコンベアー2の外側面とサポート部材4の間に形成される空間を間仕切るという作用を有する。
よって、実施例1に係る固形燃料保管搬送装置1においては、コンベアー2の外側面とサポート部材4の間に形成される空間が折板材8の側板8bにより間仕切られた状態で(収容空間10となって)コンベアー2の周回に伴って移動するよう構成されている。
【0030】
また、図3に示すように、固形燃料保持部3を構成する折板材8の側板8bの上端部36に切欠き部9を形成しておき、この切欠き部9にサポート部材4を嵌め合わせるように収容してもよい。
この場合、固形燃料保持部3を構成する折板材8とサポート部材4の間に隙間ができるのを防止することができるので、サポート部材4と折板材8の間に固形燃料が挟まるなどしてコンベアー2に不具合が起こるのを防止することができる。
なお、本実施の形態においては、サポート部材4が棒状である場合を例に挙げて説明しているが、サポート部材4を平板材により構成し、折板材8の側板8bの上端部36を被覆するように設けてもよい。この場合も、固形燃料保持部3から固形燃料が落脱するのを防止することができるという効果を有する。
さらに、折板材8における底板8aと側板8bにより形成される角部に補強板8cを設けてもよい。
この場合、折板材8の形状保持性が高まり、固形燃料保持部3の荷重に対する耐久性を向上するとともに、固形燃料7の長さがほぼ同じであれば、以下に示す燃焼室13内に固形燃料7を供給する際に、燃焼床19のほぼ定位置に固形燃料7を供給することが可能となる(以下に示す図6を参照)。
【0031】
ここで、実施例1に係る固形燃料保管搬送装置1の使用方法について図1及び図2を参照しながら説明する。
図1及び図2には、何らかの装置(例えば、燃焼装置)の側面及び上面に実施例1に係る固形燃料保管搬送装置1を付設した状態を示している。
まず、実施例1に係る固形燃料保管搬送装置1に例えば、薪等の棒状の固形燃料7を収容して保管するには、作業者は、固形燃料保管搬送装置1の近傍の手の届く位置に立って、動力発生装置5を作動してコンベアー2を周回させながら、コンベアー2に取設される固形燃料保持部3(折板材8)とサポート部材4により形成される収容空間10内に、固形燃料7を、例えば、1本ずつ挿入していけばよい。
なお、図1及び図2においては、コンベアー2の方向転換部6a近傍にサポート部材4を備えていない場合を示しているが、これは、固形燃料7を自動供給する際に固形燃料保管搬送装置1からの固形燃料7の投下を可能にするためであり、固形燃料7を固形燃料保管搬送装置1に単に保管するだけの場合には、方向転換部6aに固形燃料7の落下を防止するためのサポート部材4を着脱可能に設けておいてもよい。
【0032】
そして、固形燃料7が全ての収容空間10に充填された固形燃料保管搬送装置1から固形燃料7を自動供給するには、コンベアー2の方向転換部6a近傍をサポート部材4がない状態にして、動力発生装置5を作動させてコンベアー2を周回させればよい。
この動作により、固形燃料7は、方向転換部6aを通過する際に固形燃料保持部3(折板材8)から開放されて、方向転換部6aの下方に投下される。
従って、固形燃料7の取り込み口は、コンベアー2の方向転換部6aの下方に設置する必要がある。
なお、実施例1に係る固形燃料保管搬送装置1においては、コンベアー2の長さを調節することで固形燃料保管搬送装置1に保管できる固形燃料7の量を調整することが可能である。
【実施例2】
【0033】
以下に実施例2に係る固形燃料燃焼装置及びそれを用いた加温装置について図4乃至図6を参照しながら詳細に説明する。
図4は本発明の実施例2に係る固形燃料燃焼装置及びそれを用いた加温装置の斜視図であり、図5は本発明の実施例2に係る固形燃料燃焼装置及びそれを用いた加温装置の正面図である。また、図6は本発明の実施例2に係る固形燃料燃焼装置及びそれを用いた加温装置の断面図である。なお、図1乃至図3に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
実施例2に係る固形燃料燃焼装置11は、主に上述の実施例1に係る固形燃料保管搬送装置1と、この固形燃料保管搬送装置1から供給される固形燃料7を燃焼させて熱を発生させる燃焼設備12により構成されている。
より具体的には、実施例2に係る固形燃料燃焼装置11は、図6に示すように、実施例1に係る固形燃料保管搬送装置1のコンベアー2の方向転換部6aより投下される固形燃料7を受けるための固形燃料投入口14を備えたシューター15を有し、このシューター15が固形燃料7を燃焼させるための燃焼室13に連通されるものである。
また、燃焼室13には、シューター15から送給された固形燃料7を受容して燃焼させる燃焼床19が設けられ、この燃焼床19には複数のスリット又は孔が形成されており、燃焼床19の下面側に固形燃料7が燃焼した際に生じる焼却灰21を収容するための焼却灰収容部20が設けられている。
さらに、この燃焼室13の燃焼床19近傍には、固形燃料7に着火するためのバーナ22が設けられている。なお、バーナ22は、実施例1に係る固形燃料保管搬送装置1に保管される固形燃料7が全て投下されてしまった際の補助的な熱量発生源として灯油等の液体燃料を燃料させることができるよう構成しておいてもよい。
そして、燃焼室13の上部には、排気ダクト23が設けられ、この排気ダクト23の端部に設けられる排気口24から、固形燃料7の燃焼に伴って発生した二酸化炭素等のガスを外部に導出できる仕組みになっている。
【0034】
このような実施例2に係る固形燃料燃焼装置11によれば、実施例1に係る固形燃料保管搬送装置1から自動で投下される固形燃料7を燃焼室13内において燃焼させることで、長時間にわたり固形燃料7を用いて熱を発生させ続けることができるという効果を有する。
この結果、例えば、シイタケ等の農産物や、海産物等の食品、あるいは、その他乾燥や加熱が必要な物品を昼夜にわたる長時間乾燥したり加熱したりすることができる。
【0035】
なお、実施例2に係る固形燃料燃焼装置11においては、シューター15の固形燃料投入口14に、固形燃料保管搬送装置1の方向転換部6aから投下される固形燃料7を受けるためのダンパー16を設けておいてもよい。なお、このダンパー16は枢軸17を基軸に回動するよう構成されている。
このように、シューター15の固形燃料投入口14にダンパー16を設けておくことで、実施例1に係る固形燃料保管搬送装置1から投下された固形燃料7をダンパー16の上面で受けてから、枢軸17を基軸にダンパー16をシューター15の内部側に回動させて燃焼室13に固形燃料7を送ることができる。
このダンパー16は、例えば、バネ等の弾性体を介して固定され、その上に投下される固形燃料7の重さの変化により開閉するよう構成しても良いし、図4及び図5に示すようにダンパー16の枢軸17に動力伝達軸38を介して駆動装置を設置しておき、センサー等を用いてダンパー16上に固形燃料7が投下されたことが検知されてから電気機械的に駆動装置を作動させてダンパー16を開いてもよい。
この場合、燃焼室13の燃焼床19に毎回ほぼ同じ向きを向いた状態で棒状の固形燃料7を供給することができるので、燃焼室13に投下される固形燃料7の向きが様々になることで固形燃料7の燃焼し易さが変わって燃焼室13内の燃焼速度が変動するのを防止することができる。
また、燃焼室13の燃焼床19に固形燃料7をスムースに送るために、シューター15の内側に、燃焼床19に向って傾斜するガイド板18を設けておくとよい。
【0036】
なお、図4及び図5に示すように、実施例2に係る固形燃料燃焼装置11の燃焼設備12には、燃焼室13内のメンテナンスを行うための点検口31が設けられている。さらに、燃焼室13の燃焼床19近傍には、バーナ22を含む補助燃焼装置32が設けられている(図4及び図5を参照)。
さらに、この補助燃焼装置32の取り付け板54の端部にヒンジ等を設けるなどして開閉式とすることで焼却灰収容部20から焼却灰21の取り出しを容易にすることができる。
【0037】
続いて、実施例2に係る加温装置33の一例について図4乃至図6を参照しながら説明する。
実施例2に係る加温装置33は主に、上述の実施例2に係る固形燃料燃焼装置11と、燃焼室13において発生した熱を利用して加熱した空気を連続的に送給しながら食品や物品等を加熱又は乾燥する加温室27とにより構成されるものである。
図6に示すように、実施例2に係る加温装置33は、例えば、燃焼室13を収容した燃焼設備12の近傍に加温室27が併設され、燃焼設備12の上部に形成される外気吸気口40から吸気される外気と加温室27の内部空間52の上部をつなぐ循環口42から送給される加温室27内の内部空間52上部の暖気を、燃焼室13において発生する熱との熱交換により加温した後、燃焼設備12の下部に設けられる給気口29を通じて加温室27に送給し、加温室27内の内部空間52を暖気の上昇気流により加温し最後に、加温室27の上方に設けられる排気口41より使用済の暖気を外部に排気できるよう構成されるものである。
より具体的には、燃焼設備12は、燃焼室13が設けられる下部空間12bと、外気吸気口40を備える上部空間12aとが隔壁39で仕切られおり、この隔壁39には上部空間12aから下部空間12bへの空気の流動を可能にするための通気口53が設けられており、この通気口53に設けられる送風設備26により、上部空間12a内の空気が強制的に下部空間12bに送給され、これに伴って下部空間12b内の空気が給気口29から加温室27の下部へと送給される仕組みになっている。
【0038】
また、燃焼設備12の下部空間12b内に設けられる燃焼室13の上部には、例えば、通気塔44,45が二股状に分岐するように設けられ、通気塔44,45の間には、通気塔44から通気塔45への空気の流動を可能にするため熱交換器46が複数介設されている。なお、燃焼設備12は、熱交換器46のメンテナンスや点検を行うための点検口30を備えている。
これにより、燃焼室13において生じた高温の空気の一部は、通気塔44に流入した後に熱交換器46を通って通気塔45に流れ込み排気ダクト23を通って排気口24から燃焼設備12の外に排出される。また、燃焼室13において生じた高温の残りの空気は通気塔45に流入し、熱交換器46から流入してくる他の高温の空気と合流してから排気ダクト23を通じて排気口24から排出される。
このように、燃焼室13上に通気塔44,45を設け、さらに、その間に熱交換器46を介設することで、燃焼室13を構成する躯体の表面積が広くなり、この躯体の表面において効率よく熱交換を行うことができる。これにより、上部空間12aから送風設備26により下部空間12bに送給される空気を効率よく暖めることができる。
また、排気ダクト23を上部空間12a内に設けることで、排気ダクト23の表面においても熱交換が行われるため、外気吸気口40から上部空間12a内に取り込まれた空気を暖気することができる。
【0039】
そして、燃焼設備12の下部空間12bにおいて加温され、給気口29から加温室27内に送給された暖気は、加温室27の下部に設けられる通気孔48を多数備えた多孔板47から内部空間52内に供給され、内部空間52内に収容される被乾燥(加熱)対象51を乾燥又は加熱させることができる。
なお、実施例2に係る加温室27内には、容器受49が設けられ、この容器受49上に被乾燥(加熱)対象51を収容するための、例えば、メッシュ体により底面が形成された容器50(例えば、エビラ等)を載置して保持することができるよう構成されている。
また、多孔板47から内部空間52に送給される暖気は上昇気流を形成するので、被乾燥(加熱)対象51を収容した容器50を複数段、層状に配置した場合に、加温室27の下方に配置される被乾燥(加熱)対象51から順次乾燥又は加温することができる。
そして、内部空間52の最上部まで到達した使用済みの暖気は、加温室27の上部に設けられる排気口41より加温室27の外部に排出される仕組みになっている。
また、燃焼設備12の上部に設けられる外気吸気口40に、枢軸を基軸に回動する吸気ダンパー43を設け、内部空間52内の温度や乾燥度合いに応じて吸気ダンパー43の開度を調整可能としてもよい。
【0040】
なお、図6においては、被乾燥(加熱)対象51の一例として、例えば、シイタケを乾燥する場合を例に挙げているが、被乾燥(加熱)対象51は図示されるものに限定される必要はなく、食品や布、建材(木材)等様々なものを乾燥させたり、加熱したりすることができる。
また、加温室27への被乾燥(加熱)対象51の収納方法も、図6に示すものに限定される必要はなく、加温室27の内部空間52内に吊り下げ用の棒状体を掛渡し、そこに被乾燥(加熱)対象51を吊り下げる等して乾燥又は加熱してもよい。
さらに、特に図示しないが、加温室27の内部空間52の上部をつなぐ循環口42を設けることなく、燃焼設備12の上部空間12aには外気吸入口40から吸気される外気のみが供給されるよう構成して、加温室27内に収容される被乾燥(加熱)対象51を乾燥又は加熱してもよい。
なお、被乾燥(加熱)対象51の含水率が高い場合で、かつ、それを乾燥させる必要がある場合、加温室27の内部空間52内を移動し、その上部に到達した暖気には多量の水分が含まれるため、燃焼設備12と加温室27の間を循環させることなく排気口41から外部に排出することが望ましい。
また、加温室27の内部空間52に湿度センサーを設けておき、内部空間52内の湿度の検出値に応じて外気吸気口40の開度を自動で調整可能としてもよい。
この場合、実施例2に係る加温装置33により、人の手に因らず高含水率の食品や物品を効率よく乾燥することができるという効果を有する。
【0041】
上述のような実施例2に係る加温装置33によれば、先に述べた実施例1に係る固形燃料保管搬送装置1を備えているので、人の手に因らず燃焼室13内に長時間にわたり少しずつ固形燃料7を供給することで、加温室27内の内部空間52を加温し続けることができるという効果を有する。
さらに、実施例2に係る加温装置33においては、燃焼設備12の側面,及び,燃焼設備12及び加温室27の上面に固形燃料保管搬送装置1を付設してもよい。この場合、燃焼設備12や加温室27の設置スペースと、固形燃料保管搬送装置1の設置スペースとを兼ねることができるので、実施例2に係る加温装置33の床面における占有面積を小さくコンパクトな形態にすることができるという効果を有する。また、このような配置とすれば、固形燃料7は燃焼設備12の周囲を移動するので固形燃料7の乾燥が促進され燃焼効率も向上させることができる。固形燃料保管搬送装置1のコンベアー2の長さは、動力発生装置5と動力伝達ベルト35の回転速度や停止・駆動といった運転制御方法にもよるが、例えば終夜運転で必要な固形燃料7の量に応じて決定することができる。特にコンベアー2を採用することでその長さや配置に柔軟性を発揮させることが可能である。
【0042】
さらに、実施例2に係る加温装置33においては、一定時間毎に固形燃料7が固形燃料保管搬送装置1から固形燃料投入口14に投下されるよう設定しても良いし、加温室27内に温度センサーを設けておき、内部空間52内の温度が一定の値よりも低くなった場合に、固形燃料保管搬送装置1のコンベアー2を作動させて固形燃料投入口14に固形燃料7が投下されるよう構成してもよい。
さらに、固形燃料保管搬送装置1の方向転換部6aの上流側に、固形燃料保持部3における固形燃料7の有無を検知するセンサー(図示せず)を設けておき、このセンサーで固形燃料7の通過が確認された後にコンベアー2を自動停止させるよう構成してもよい。
この場合、固形燃料保持部3がコンベアー2により移動する際にセンサーにより固形燃料7の通過が確認されなかった場合に、引き続き固形燃料7の通過を確認することができるまでコンベアー2を作動させることができる。
この結果、固形燃料保持部3に偶然固形燃料7が収容されていない箇所があったとしても、燃焼室13には確実に固形燃料7を供給することができるという効果を有する。
【0043】
なお、上述のような固形燃料7の通過をセンサーで検知した後にコンベアー2の周回を停止させるシステムでは、固形燃料7の大きさにバラつきがある場合に、コンベアー2の停止位置精度を向上させ難いという課題がある。
そして、コンベアー2の停止位置精度が悪い場合には、次回の固形燃料7の投入のタイミングがバラバラになってしまい、燃焼室13内の温度上昇が遅延する可能性もあり好ましくない。
そこで、このような事態を回避するために、上記の固形燃料7の通過を検知するセンサー(以下、このセンサーを第1のセンサーと呼ぶ)とは別に、コンベアー2上の任意の位置に固形燃料保持部3である折板材8(特に側板8b)の通過を検知するための第2のセンサーを設けてもよい。
この場合、例えば固形燃料保持部3とサポート部材4により形成される空間内に固形燃料7が収容されていない箇所があった場合、第2のセンサーにおいて折板材8の通過が確認されても、第1のセンサーにおいて固形燃料7の通過が検知されないためコンベアー2は作動し続ける。
【0044】
そして、第1のセンサーにおいて固形燃料7の通過が検知された場合で、かつ、第2のセンサーにおいて固形燃料保持部3を構成する折板材8の通過が確認された場合に、コンベアー2は自動で停止する。この場合、固形燃料保管搬送装置1への固形燃料7の充填時に、万一、固形燃料7の充填漏れがあった場合でも、次の固形燃料7が収容される収容空間10が固形燃料投入口14上に到達するまでコンベアー2を作動させ続けることが可能となるので、固形燃料投入口14に確実に固形燃料7を投入することができる。しかも、固形燃料投入口14に固形燃料7を投下させた後は、固形燃料保持部3が所定の位置に配置された状態で常にコンベアー2を停止させることができるので、固形燃料投入口14に固形燃料7が投下されるタイミングも毎回ほぼ同じにすることができるという効果を有する。
従って、実施例2に係る加温装置33に2つのセンサーを備えることで、加温装置33の温度維持機能に対する信頼性を向上させることができる。
なお、上述の第1のセンサーは、例えば、図6中において、コンベアー2の方向転換部6aにおいて固形燃料7が送給されるラインの上流側で、かつ、固形燃料7が投下される直前の位置、すなわち、図6中の符号37で示す位置に取り付けることが望ましい。
【0045】
さらに、実施例2に係る加温装置33においては、固形燃料保管搬送装置1に収容された固形燃料7を使いきった後もなお加温室27への暖気の供給が必要な場合も想定される。
この場合、加温室27に温度センサーを備え,かつ,固形燃料保管搬送装置1に第1及び第2のセンサーを備えことで、コンベアー2を所定時間作動させても第1のセンサーにおいて固形燃料7の通過を検出することができず、かつ、加温室27内の内部空間40の温度が所定の温度よりも低下しているという情報が検知された際に、自動で燃焼室13内のバーナ22を点火させて液体燃料を燃焼させることで加温室27内の温度を上昇させることができるよう構成してもよい。
この場合、固形燃料保管搬送装置1に収容される固形燃料7である,例えば,薪の量が不足した場合でも加温室27内に収容される食品や物品の乾燥や加温を最後まで確実に行うことができるので、加温装置33の信頼性を一層高めることができる。
【0046】
以上述べたような、本実施の形態に係る固形燃料保管搬送装置1によれば、固形燃料7として例えば、薪を用いることで、農産物等を乾燥又は加熱する際に使う灯油等の化石燃料を削減することができる。また、固形燃料7として例えば、薪のみを用いて農産物等を乾燥又は加熱した場合、人為的活動を行った際に排出される二酸化炭素の量と、環境に吸収される二酸化炭素量とをほぼ同じにすることができるので、カーボンニュートラルを実現することができる。
このような本実施の形態に係る固形燃料保管搬送装置1は、二酸化炭素の排出量削減に資するものである。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上説明したように、本発明は人の手に因らず長時間、例えば、薪等の固形燃料を自動で供給することができ、供給する固形燃料の保管設備と搬送設備を兼ねることで、床面における装置の占有面積を小さくすることのできる固形燃料保管搬送装置及びそれを備えた固形燃料燃焼装置及びそれを備えた加温装置に関するものであり、加温又は乾燥装置あるいは暖房設備に関する分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0048】
1…固形燃料保管搬送装置 2…コンベアー 3…固形燃料保持部 4…サポート部材 5…動力発生装置 6…プーリ 6a…方向転換部 7…固形燃料 8…折板材 8a…底板 8b…側板 8c…補強板 9…切欠き部 10…収容空間 11…固形燃料燃焼装置 12…燃焼設備 12a…上部空間 12b…下部空間 13…燃焼室 14…固形燃料投入口 15…シューター 16…ダンパー 17…枢軸 18…ガイド板 19…燃焼床 20…焼却灰収容部 21…焼却灰 22…バーナ 23…排気ダクト 24…排気口 26…送風設備 27…加温室 29…給気口 30…点検口 31…点検口 32…補助燃焼装置 33…加温装置 34…開閉扉 35…動力伝達用ベルト 36…上端部 37…センサー取り付け位置 38…動力伝達軸 39…隔壁 40…外気吸気口 41…排気口 42…循環口 43…吸気ダンパー 44,45…通気塔 46…熱交換器 47…多孔板 48…通気孔 49…容器受 50…容器 51…被乾燥(加熱)対象 52…内部空間 53…通気口 54…取り付け板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状に連結され鉛直方向に対して垂直に外側面を形成するコンベアーと、前記コンベアーの外側面に設けられる固形燃料保持部と、前記コンベアーにより形成される環の外側で,かつ,前記コンベアーの外側面と平行に配置されて搬送時に前記固形燃料保持部から前記固形燃料の落脱を防止するサポート部材とを有することを特徴とする固形燃料保管搬送装置。
【請求項2】
前記固形燃料保持部は、断面L字型で底板と側板とから成る折板材からなり、前記底板と前記コンベアーの外側面とを平行にしながら前記コンベアーに取り付けられることを特徴とする請求項1記載の固形燃料保管搬送装置。
【請求項3】
前記側板の上端は切欠き部を備え、この切欠き部内に前記サポート部材の少なくとも一部が存在することを特徴とする請求項2記載の固形燃料保管搬送装置。
【請求項4】
固形燃料を燃焼させる燃焼室と,前記燃焼室に連通する固形燃料投入口と,を備える燃焼設備と、前記固形燃料投入口に前記固形燃料を搬送して投下する請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の固形燃料保管搬送装置とを有し、
前記固形燃料投入口上に、前記コンベアーの下降から上昇への方向転換部が配置され、かつ、この方向転換部及びその近傍はサポート部材が設けられておらず、
前記固形燃料は、前記コンベアーの前記方向転換部を通過する際に前記固形燃料保持部から離間して前記固形燃料投入口に投下されることを特徴とする固形燃料燃焼装置。
【請求項5】
前記固形燃料投入口は、ダンパーを具備し、
前記ダンパーは、その上面で前記固形燃料保管搬送装置から投下された前記固形燃料を一旦受けてから開いて前記燃焼室に前記固形燃料を送給することを特徴とする請求項4記載の固形燃料燃焼装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5記載の固形燃料燃焼装置と、この固形燃料燃焼装置により加温された空気により加温される加温室とを有し、
前記燃焼室は、その内部に前記加温室から吸気された空気を流通させて前記燃焼室内において発生した熱と熱交換させて加温する熱交換器を具備し、
前記熱交換器は、前記加温室内の空気を吸気して前記熱交換器に導入するとともに、前記熱交換器において加温された空気を前記加温室に再び送給するための送風設備を備えることを特徴とする加温装置。
【請求項7】
前記固形燃料保管搬送装置は、前記燃焼設備の側面,及び,前記燃焼設備及び前記加温室の上面に付設されることを特徴とする請求項6記載の加温装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−190986(P2011−190986A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57386(P2010−57386)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(594189279)株式会社木原製作所 (6)
【Fターム(参考)】