説明

固液分離装置

【課題】従来の固液分離装置は、筒体の筒の延長方向に固液混合物を収容して筒体の筒の延長方向に押圧力を加える方式や、固液混合物を筒体の一端側から他端側に螺旋羽で搬送する方式であるため、筒体の筒長が長くなり、装置が大型化してしまう。
【解決手段】円筒状の回転体1と、回転体の外周面に外周面より窪むように設けられた凹部36と、凹部内に設けられて回転体の外周面に相当する位置にある凹部の開口部と凹部の底面との間を移動可能な押体44と、押体と凹部の開口部との間で形成された収容部51と、回転体を回転可能に収容し、固体と液体とが混在した固液混合物の入口部66と出口部68と入口部の一端と出口部の一端とに連接されて回転体の外周面を所定角度範囲で覆う脱水孔73付きの脱水板71とを有したケーシング2とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体と液体とが混在した固液混合物を固体と液体とに分離する固液分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
固体と液体とが混在した固液混合物を固体と液体とに分離する固液分離装置が知られている。例えば、筒体(シリンダ)と押体(ピストン)とを備え、筒体内に固液混合物としての泥水土砂を収容した後に、泥水土砂を押体で押し、筒体の他端方向に設けられた透水フィルタを通して泥水土砂の水を排水することによって、固液混合物を固体と液体とに分離する固液分離装置や、筒体と筒体内において筒体の一端から他端にかけて延長するよう設けられた螺旋羽(スクリューコンベア)とを備え、固液混合物を筒体の一端から筒体内に供給し、筒体の一端から他端に螺旋羽で固液混合物を搬送しながら螺旋羽で固液混合物に圧力を加えることによって固液混合物を固体と液体とに分離する固液分離装置が知られている。
【特許文献1】特開2005−133368号公報
【特許文献2】特開平09−220598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の固液分離装置は、筒体の筒の延長方向に固液混合物を収容して筒体の筒の延長方向に押圧力を加える方式や、固液混合物を筒体の一端側から他端側に螺旋羽で搬送する方式であるため、筒体の筒長が長くなり、装置が大型化してしまうという欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明による固液分離装置は、円筒状の回転体と、回転体の外周面に外周面より窪むように設けられた凹部と、凹部内に設けられて回転体の外周面に相当する位置にある凹部の開口部と凹部の底面との間を移動可能な押体と、押体と凹部の開口部との間で形成された収容部と、回転体を回転可能に収容し、固体と液体とが混在した固液混合物の入口部と出口部と入口部の一端と出口部の一端とに連接されて回転体の外周面を所定角度範囲で覆う脱水孔付きの脱水板とを有したケーシングとを備えたことを特徴とする。
脱水板が、回転体の外周面に形成された複数の収容部の開口部を覆える大きさに形成されたことも特徴とする。
収容部が、回転体の外周囲に沿った方向において所定間隔を隔てて複数形成されたことも特徴とする。
収容部を形成する凹部の内壁面が、押体の移動方向に沿って平行な面により形成されたことも特徴とする。
脱水部が、脱水板の外側に設けられて脱水板を覆う外板を備え、外板が、脱水板の外面側に排出された水を排水する排水孔を備えたことも特徴とする。
押体が、油圧駆動の加圧機構により移動可能に形成されたことも特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、回転体の外周面に設けた収容部に固液混合物を収容し、回転体を回転させるとともに収容部に収容された固液混合物を回転体の外周面に沿って配置された脱水板の方向に押体で押して固液混合物を脱水処理できる構成としたので、固液混合物を押圧するためや固液混合物を搬送するために長い筒体を設ける必要がなくなり、装置を小型化できる。
脱水板を、回転体の外周面に形成された複数の収容部の開口部を覆える大きさに形成すれば、複数の収容部による脱水処理が可能となる。
収容部を、回転体の外周囲に沿った方向において所定間隔を隔てて複数設ければ、複数の収容部による連続脱水処理が可能となる。また、収容部を、回転体の外周囲に沿った方向において所定間隔を隔てて複数設け、この複数の収容部の外周面を覆える大きさに脱水板を形成すれば、脱水区間を長くできるので、脱水時間の長い連続脱水処理が可能となる。
収容部を形成する凹部の内壁面を、押体の移動方向に沿って平行な面により形成すれば、押体としては、凹部の内壁面と平行で内壁面と互いに接触した状態で移動可能な側面を備えたものを用いればよく、簡単な構成の押体により密閉状態の収容部を形成できる。
脱水部が、脱水板の外側に設けられて脱水板を覆う外板を備え、外板が、脱水板の外面側に排出された水を排水する排水孔を備えたことで、水を排水孔より集中的に排水でき、排水効率を向上できる。
押体を、油圧駆動の加圧機構により移動させる構成とすれば、押体の移動をスムーズにでき、また、制御も容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1乃至図4は最良の形態を示し、図1は、固液分離装置を縦断して示し、図2は、固液分離装置を分解して示し、図3は、固液分離装置の回転体の内部構造を示し、図4は、脱水部及び収容部を拡大して示す。
【0007】
図1を参照し、固液分離装置の構成を説明する。固液分離装置は、円筒状の回転体1、回転体の外周面に設けられた凹部36、凹部内に設けられた押体44と、泥水土砂や食品などような固液混合物を収容する収容部51と、回転体1を回転可能に収容したケーシング2と、押体44の駆動制御機構99と、回転体の回転軸を回転させるための駆動源であるモータ3とを備える。
【0008】
回転体1は、回転軸10、回転ドラム部11を備える。回転ドラム部11は、筒部12、円形の塞板13を備える。回転ドラム部11は、筒部12の両端と塞板13;13とが連結されたことによって、筒部12の両端の開口がそれぞれ塞板13;13で塞がれた構成である(図2参照)。回転軸10は、筒部12の筒中心及び筒部12の両端の塞板13;13の円中心を通過して塞板13;13に対して回転不能に連結される(図2参照)。これにより、モータ3の動力で回転する回転軸10の回転力が塞板13;13を経由して筒部12に伝達される。即ち、回転軸10と回転ドラム部11とが一緒に回転する回転体1が形成される。
【0009】
筒部12は、内壁部15、仕切壁体16を備える。内壁部15は、断面が略正八角形の筒状に形成される。仕切壁体16は、断面が扇状の棒材により形成される。仕切壁体16は、内壁部15の外周における略正八角形の角部17に相当する位置において、内壁部15の筒の延長する方向(以下、「筒長方向」という)に沿って棒が延長するように設けられる。つまり、8個の仕切壁体16が、内壁部15の外周囲に沿った方向(以下、「周方向」という)において互いに45°の角度を隔てて配置され、かつ、1つ1つの仕切壁体16が、内壁部15の筒長方向に沿って延長するように設けられる。
【0010】
内壁部15は、8枚の平板21の両端とこれら両端に対応する塞板13;13とが図外の止ねじで互いに連結されたことによって断面略正八角形の筒状に形状される(図2参照)。平板21と平板21との間には隙間25が設けられる。この隙間25内に、断面扇形状の仕切壁体16の2つの斜面26;26で挟まれた扇の基部分27が挿入された状態で該仕切壁体16の両端とこれら両端に対応する塞板13;13とが図外の止ねじで互いに連結されたことによって、回転軸10の回転中心を筒の中心とする断面略正八角形の筒状体からなる内壁部15と、この内壁部15の周方向において互いに45°の角度を隔てて内壁部15の外周に配置された8個の仕切壁体16とからなる筒部12が形成される。内壁部15の断面略正八角形の1辺を形成する平板21の外面31と当該平板21の両側に配置される仕切壁体16の斜面26;26とは互いに直角をなす。つまり、平板21の両側に配置される2つの仕切壁体16の互いに向かい合う斜面26;26は互いに平行であり、これら斜面26;26と平板21の外面31とが直角をなす。筒部12の仕切壁体16の外面33は、筒部12の外周面、すなわち、回転体1の外周面32上に位置される。平板21の両側の位置する仕切壁体16;16の平行に相対峙する面26;26と塞板13;13の内面34;34とによって凹部36が区画形成される。即ち、回転体1は、回転体1の外周面32に外周面32より窪むように設けられた凹部36を8つ備える。8つの凹部36は、回転体1の筒長方向に沿って延長する矩形状の凹部であり、回転体1の周方向において等間隔を隔てて間欠的に設けられる。回転体1の外周面32は、凹部36の開口部35(=収容部51の開口部35)を塞ぐような仕切壁体16の外面33と外面33とを繋いで円筒面を形成する仮想の弧面と、仕切壁体16の外面33とにより形成される。
【0011】
平板21には、加圧機構41が取り付けられる。加圧機構41は、シリンダ42、押体43、押体44を備える。シリンダ42の一端部の周囲には取付フランジ41aが設けられる。平板21には、平板21を貫通するシリンダ設置孔37が、筒部12の筒の延長する方向に沿って所定の間隔を隔てて3箇所に形成される(図3参照)。筒部12の外側から内側方向にシリンダ42をシリンダ42の他端側からシリンダ設置孔37に通して取付フランジ41aと平板21の外面31とを接触させてこれらが互いに図外のねじで固定される。押体43の先端部には押体44が取り付けられる。押体44は、平板21の両側に位置する仕切壁体16;16の平行に相対峙する面26;26と塞板13;13の内面45;45とに接触して平板21の外面31を外側から塞ぐ大きさに形成される。つまり、押体44は、平板21の外面31の面積に合せた面を備えた板材により形成され、凹部36の4つの内壁面(面26;26、内面45;45)に接触する周面47を備える。即ち、後述する収容部51を形成する凹部36の内壁面を、押体44の移動方向に沿って平行な面により形成したので、押体44としては、凹部36の内壁面と平行で内壁面と互いに接触した状態で移動可能な周面47を備えたものを用いればよく、板材のような簡単な構成の押体44により密閉状態の収容部51を形成できる。押体44の外面46の曲率は回転体1の外周面32の曲率と同じ曲率に形成される。押体44の周面47には周面47を一周するシール溝48が形成され、シール溝48内にシール材49が設けられる(図4参照)。押体44は、加圧機構41による油圧駆動によって、回転軸10の回転中心と回転体1の外周面32とを繋ぐ半径線上を移動可能である。すなわち、押体44は、凹部36内に、回転体1の外周面32に相当する位置にある凹部36の開口部35と平板21の外面31で形成される凹部36の底面との間を移動可能である。1つの収容部51に収容された押体44を3つの加圧機構41により駆動するように構成したので、小型の加圧機構41を使用できて装置の小型化が図れ、また、押体44をスムーズに移動させることが可能となる。
【0012】
押体44の外面46と相対峙する仕切壁体16;16の互いに平行な面26;26と相対峙する塞板13;13の互いに平行な内面34;34とで囲まれた空間によって収容部51が形成される。即ち、収容部51は、押体44と凹部36の開口部35との間で形成される。回転体1は、回転体1の外周面32において筒長方向に沿って延長する矩形状の8つの収容部51を、回転体1の周方向において等間隔を隔てて間欠的に備える。収容部51は、回転体1の筒の延長方向に沿った方向に延長するとともに回転体1の外周面32に沿って延長する形状であり、外周面32に沿った長さが、筒の延長方向に沿った長さより短い。このため、回転体1の外周面32に沿った方向に収容部51を複数設けることができ、かつ、1つ1つの収容部51の収容容量も多くできる。
【0013】
加圧機構41のシリンダ42と油タンク52とが油送ケーブル53;54;55及び油圧制御弁56を経由して互いに接続される(図2参照)。尚、図1;2では、油送ケーブル53;54;55及び油圧制御弁56は油供給系と油排出系とを1つでまとめて図示している。回転軸10にはロータリージョイントと呼ばれるようなケーブル中継器57が設けられ、シリンダ42に接続された内部の油送ケーブル53とケーブル中継器57とが接続され、油圧制御弁56に接続された外部の油送ケーブル54と油圧制御弁56とが接続され、タンクに接続されたタンク側の油送ケーブル55と油圧制御弁56とが接続される。ケーブル中継器57を用いたことにより、油送ケーブル53;54が回転軸10の回転によっても捻れないように接続されて、油送ケーブル53;54とケーブル中継器57とにより、シリンダ42と油圧制御弁56とを互いに繋ぐ油送路が形成される。即ち、押体44が、油圧駆動の加圧機構41により移動可能に形成されたので、押体44の移動をスムーズにでき、また、制御も容易となる。
【0014】
ケーシング2は、前連結部61、後壁部62、胴壁部63を備える。胴壁部63は、前壁部64、後連結部65、入口部66、脱水部67、出口部68、待機部69を備える(図2参照)。1つ1つの収容部51における回転体1の周方向の幅Tは同じである。この幅Tは、入口部66の入口孔66a、脱水部67、出口部68の出口孔68a、待機部69における回転体1の周方向に沿った部分の幅よりも小さい。脱水部67は、脱水板71、外板72を備える。脱水板71は、回転体1の外周面32に沿って配置される。脱水板71は、回転体1の外周面32に沿って形成された複数の収容部51の開口部35を覆える大きさに形成される。例えば、図1のように、脱水板71は、5個の収容部51を覆える角度範囲の断面弧状に形成されて回転体1の筒長方向に沿って延長し、回転体1の外周面32を上記角度範囲で覆う。脱水板71には固液混合物の液体を回転体1の外周面32側から外板72側に通過させる脱水孔73が形成される。即ち、脱水板71は、パンチングメタルのような孔開板により形成される(図4参照)。脱水孔73は、脱水板71の内面71a側から外面71b側にかけて漸次大径となるように形成される。例えば、内面71aの径が2mm、外面71bの径が3mmに設定された細孔である。外板72は、脱水板71と同様に、5個の収容部51を覆える角度範囲の断面弧状に形成されて回転体1の筒の延長する方向に沿って延長し、回転体1の外周面32を上記角度範囲で覆う板であるが、脱水板71の外面71bに沿って対向するように脱水板71の外側に配置されるため、脱水板71より径が大きい。脱水板71と外板72とが支柱74及び図外の止ねじにより互いに連結される。脱水板71と外板72とで囲まれた空間により排水空間77が形成される。脱水板71の他端と外板72の他端とが封止板70により互いに連結され、脱水板71の一端と外板72の一端とが封止板60により互いに連結され、排水空間77の前端開口部77aに前連結部61が連結され、排水空間77の後端開口部77bに後連結部62が連結されることによって、脱水板71と外板72と前連結部61の内面75(図2参照)と後連結部62の内面76(図2参照)と封止板60;70とで密閉状態に囲まれた排水空間77が形成される。封止板60は排水空間77と入口部66とを区切る板、封止板70は排水空間77と出口部68とを区切る板である。排水空間77の下部における外板72には排水孔78が形成され、この排水孔78には排水管79が連結される。排水管79には排水ポンプ80が連結され、排水空間77に排出された水が排水ポンプ80により吸引されて図外の貯水部に送られる。即ち、収容部51を、回転体1の外周囲に沿った方向において所定間隔を隔てて複数設け、この複数の収容部51の開口部35を覆える大きさに脱水板71を形成したので、脱水区間を長くでき、脱水時間の長い連続脱水処理が可能となる。また、外板72に排水空間77と繋がる排水孔78を設けたので、排水処理を効率的に行える。
【0015】
入口部66は、脱水部67の一端部81と連接される。出口部68は、脱水部67の他端部82と連接される。出口部68の出口孔68aにおける回転体1の周方向に沿った部分の幅の長さaは、1個の収容部51における開口部35の全てが出口孔68aと対応している間は、その他の収容部51における開口部35が出口孔68aと対応しないような長さに設定される。具体的には、収容部51の開口部35における回転体1の周方向に沿った部分の幅の長さをTとし、回転体1の外周面32を構成する仕切壁体16の外面33における回転体1の周方向に沿った部分の幅の長さをbとすると、T<a<(T+b)に設定される。このように設定すれば、出口部68以外の部分、特に、脱水部67の範囲を長くできることから、連続脱水を効率的に行えるようになる。
【0016】
待機部69は、入口部66の他端部83と出口部68の他端部84とに連接され、入口部66と出口部68とを区切る。待機部69と出口部68との境界を形成する出口部内面85が、出口部68を通過する押体44の外面44aに付着した固体を掻き落とす残余固体掻き落とし部を形成する。よって、出口部68を通過した収容部51が入口部66に到達する前に外面44aに付着した固体が残余固体掻き落とし部により掻き落とされるので、入口部66に到達する収容部51にその都度決まった定量分の固液混合物を収容できることから、処理効率を向上できる。
【0017】
図2に示すように、前壁部64と後壁部62とには、回転軸10を回転可能に支持するベアリング90;91が設けられる。回転体1の回転軸10の両端部が前壁部64のベアリング90と後壁部のベアリング91とに回転可能に支持される。後壁部62の内面76と後連結部65とが図外の止ねじにより連結され、前連結部61の内面75と前壁部64の外面77とが図外の止ねじにより連結され、脱水部67が後壁部62の内面76と前連結部61の内面75とに図外の止ねじにより連結されることによって、回転体1の回転可能に収容して回転体1を囲むケーシング2が組み立てられる。後壁部62に別途設けられたモータ3のモータ軸92と回転軸10とに回転伝達ベルト93が掛け回され、モータ軸92の回転力が回転伝達ベルト93を介して回転軸10に伝達される。モータ軸92と回転伝達ベルト93とによって接続された回転軸10の一端には角度センサ(エンコーダ)95が取り付けられており、角度センサ95と制御装置96とが信号線97により互いに接続される。角度センサ95は、回転軸10の中心と何れか1つの仕切壁体16の断面の中心とを結ぶ線と交わる回転軸10の外周面の位置が角度検出基準(原点)となるよう回転軸10に取り付けられる。制御装置96と油圧制御弁56とが制御信号線98により互いに接続される。ケーシング2には、図外の固定土台や固定腕のようなベースが設けられ、ベースにより固液分離装置を設置面に安定に設置できる。制御装置96、加圧機構41、油タンク52や油送ケーブル53;54;54及び油圧制御弁56のような油系統により、押体44の駆動制御機構99が構成される。
【0018】
固液分離装置の動作を説明する。図1において、想像線Wと交わる回転軸の外周面の位置が角度センサ95の角度検出基準(原点)に設定されているとして説明する。また、図1では、最初に(1)の位置にあった加圧機構41が回転体1の回転に伴って、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)の位置に進んだ場合における押体44の移動経緯を図示している。まず、入口部66に固液混合物を供給しながら、所定時間経過後に、図1の状態からモータ3で回転軸10を矢印eの方向に回転させ、45度回転した場合に、最初に(1)の位置にあった加圧機構41が(2)の位置に来る。この場合、制御装置96が、45度回転したことを角度センサ95から入力して(2)の位置に来た加圧機構41のシリンダ42に油圧を供給し始めるよう油圧制御弁52を制御する。これにより、加圧機構41の押体43の先端に設けられた押体44が回転体1の外周面32の方向に移動し、押体44によって固液混合物が脱水板71の方向に押圧されて固液混合物中の水が脱水孔73を経由して排水空間77に排出される。さらに、回転軸10が回転すると、最初に(1)の位置にあった加圧機構41が(3)、(4)、(5)、(6)の位置に順次進む。制御装置96は、加圧機構41が(1)の位置から(6)の位置に近づくに従って徐々に押体44を回転体1の外周面32の方向に移動するように油圧制御弁56を制御したり、あるいは、回転軸10が原点位置から45°、90°、135°、180°、225°というように所定角度回転する毎に押体44を回転体1の外周面32の方向に移動するように油圧制御弁56を制御する。制御装置96は、原点位置から315度回転した場合、即ち、最初に(1)の位置にあった加圧機構41が(7)の位置に来たら、油圧制御弁56を制御して加圧機構41の押体43を最大限伸ばして押体44の外面44aが回転体1の外周面32の位置にくるまで押体44を移動させる。そして、制御装置96は、最初に(1)の位置にあった加圧機構41が(8)の位置に来たら、油圧制御弁56を制御して加圧機構41の押体44を縮めて押体44を凹部36の底面(平板21の外面31)の方向に下げ始めるよう制御する。これにより収容部51が形成され、入口部66からの固液混合物が収容部51に収容される。8個の加圧機構41はそれぞれ個別に上述したように制御される。
【0019】
最良の形態では、円筒状の回転体1と、回転体1の外周面32に外周面32より窪むように設けられた凹部36と、凹部36内に設けられて回転体1の外周面32に相当する位置にある凹部36の開口部35と凹部36の底面(平板21の外面31)との間を移動可能な押体44と、押体44と凹部36の開口部35との間で形成された収容部51と、回転体1を回転可能に収容したケーシング2と、押体44の駆動制御機構99とを備え、ケーシング2が、固体と液体とが混在した固液混合物の入口部66と、出口部68と、入口部66の一端と出口部68の一端とに連接されて回転体1の外周面32を所定角度範囲で覆う脱水部67とを備え、脱水部67が、回転体1の外周面32に沿って配置された脱水板71を備え、脱水板71が、脱水孔73を備え、入口部66に位置した収容部51が入口部66からの固液混合物を収容してから回転体1の回転に伴って脱水板71に対応する位置に到達した場合に、駆動制御機構99が押体44を脱水板71の方向に移動させることによって、固液混合物中の液体が脱水板71の脱水孔73を経由して脱水板71の外面側に排出され、回転体1の回転に伴って脱水部67を通過した収容部51が出口部68に到達した場合に、駆動制御機構99が押体44を回転体1の外周面32の方向に移動させることによって、収容部51内の固体が押体44で押されて出口部68より排出され、回転体1の回転に伴って出口部68を通過した収容部51が入口部66に到達した場合に、当該収容部51に入口部66からの固液混合物が収容される構成とした。すなわち、回転体1の外周面32に設けた収容部51に固液混合物を収容し、回転体1を回転させるとともに収容部51に収容された固液混合物を回転体1の外周面32に沿って配置された脱水板71の方向に押体44で押して固液混合物を脱水処理する構成としたので、固液混合物を押圧するためや固液混合物を搬送するために長い筒体を設ける必要がなくなり、装置を小型化できる。
また、最良の形態では、回転体1の外周囲に沿った方向において所定間隔を隔てて複数の収容部51を設け、この複数の収容部51の開口部53を覆える大きさの脱水板71を備えたので、回転体1の回転に伴って複数の収容部51に連続的に固液混合物を収容させ、複数の収容部51に収容された固液混合物を連続的に脱水処理できる。即ち、脱水処理を効率的に行える。
【産業上の利用可能性】
【0020】
回転体1の外周面32に設ける収容部51の数は、1つ以上であればよい。油圧駆動の加圧機構41の代わりに、水圧駆動や空気圧駆動の加圧機構、あるいは、カムとばねを用いた加圧機構を使用してもよい。また、回転体1の回転軸10側から外周面32に近くなるにつれて幅広となる収容部、即ち、収容部を仕切る仕切壁体の壁面が回転体の半径線と平行な面に形成されて、壁面が末広がりとなった収容部を形成し、押体として、ばね機構などで幅が可変に構成されたものを使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】固液分離装置の縦断面図(最良の形態)。
【図2】固液分離装置の分解斜視図(最良の形態)。
【図3】固液分離装置の回転体の内部構造を示す斜視図(最良の形態)。
【図4】固液分離装置の脱水部及び収容部の拡大図(最良の形態)。
【符号の説明】
【0022】
1 回転体、2 ケーシング、32 回転体の外周面、
35 収容部の開口部、36 凹部41 加圧機構、44 押体、
51収容部、66 入口部、67 脱水部、71 脱水板、72 外板、
73 脱水孔、78 排水孔、68 出口部、99 駆動制御機構。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の回転体と、回転体の外周面に外周面より窪むように設けられた凹部と、凹部内に設けられて回転体の外周面に相当する位置にある凹部の開口部と凹部の底面との間を移動可能な押体と、押体と凹部の開口部との間で形成された収容部と、回転体を回転可能に収容し、固体と液体とが混在した固液混合物の入口部と出口部と入口部の一端と出口部の一端とに連接されて回転体の外周面を所定角度範囲で覆う脱水孔付きの脱水板とを有したケーシングとを備えたことを特徴とする固液分離装置。
【請求項2】
脱水板が、回転体の外周面に形成された複数の収容部の開口部を覆える大きさに形成されたことを特徴とする請求項1に記載の固液分離装置。
【請求項3】
収容部が、回転体の外周囲に沿った方向において所定間隔を隔てて複数形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の固液分離装置。
【請求項4】
収容部を形成する凹部の内壁面が、押体の移動方向に沿って平行な面により形成されたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の固液分離装置。
【請求項5】
脱水部が、脱水板の外側に設けられて脱水板を覆う外板を備え、外板が、脱水板の外面側に排出された水を排水する排水孔を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の固液分離装置。
【請求項6】
押体が、油圧駆動の加圧機構により移動可能に形成されたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の固液分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−152322(P2007−152322A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−355047(P2005−355047)
【出願日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(000001317)株式会社熊谷組 (551)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】