説明

固相合成による2−18F−2−デオキシ−D−グルコースの製造

本発明は、式(I)の化合物、及び18F−FDGの合成のための該化合物の使用に関する。
【化1】


式中、P、P、P及びPは各々独立に水素又は保護基であり、nは2〜20の整数である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陽電子放出型断層撮影(PET)用トレーサである2−[18F]−フルオロ−2−デオキシ−D−グルコース(18F−FDG)の固相製造のための新規中間体並びに該中間体を用いた放射性フッ素化法に関する。本発明はこれらの新規方法及び中間体を用いた放射性医薬キットも含む。
【背景技術】
【0002】
PET用の好ましい放射性同位体18Fは半減期が110分と比較的短い。したがって、PET用18F−標識トレーサはできるだけ迅速に、理想的には臨床使用前1時間以内に合成・精製しなければならない。フッ素−18を導入する標準的合成法は比較的時間がかかり、反応後の精製(例えばHPLCによって)を必要とする。これは、臨床用18F−標識トレーサを良好な放射化学的収率で得るのが困難であることを意味している。放射線被曝から作業者を護るため自動化も必要とされる。多くの放射性フッ素化は手順が複雑であり、自動化を容易にするため手順を簡略化する必要がある。
【0003】
国際公開第03/002157号には、18F−標識トレーサを高い比放射能で迅速にしかも時間のかかる精製ステップを必要とせずに製造する固相法が記載されており、得られる18F−標識トレーサはPETでの使用に適している。固相法は自動化にも適しており、製造が容易でスループットが大きいという利点を有する。
【特許文献1】国際公開第03/002157号パンフレット
【非特許文献1】Protecting Groups in Organic Synthesis,Theordora W.Greene and Peter G.M.Wuts,published by John Wiley & Sons Inc.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
今回、本発明者らは、国際公開第03/002157号の技術的範囲に属する18F−FDGの製造用中間体で、良好な収率で合成でき、しかも放射性フッ素化反応の収率が驚くほど優れているなど数々の利点を有する特定の種類の中間体を発見した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本発明の第1の態様では、式(I)の化合物を提供する。
【0006】
【化1】

式中、P、P、P及びPは各々独立に水素又は保護基であり、nは2〜20の整数である。
【0007】
式(I)の化合物において、nは好適には4〜12、好ましくは6〜10、最も好ましくは10である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
式(I)の化合物において、好適な保護基P、P、P及びPは、例えばProtecting Groups in Organic Synthesis,Theordora W.Greene and Peter G.M.Wuts,published by John Wiley & Sons Inc.に見出すことができる。Pは好ましくはメチルのようなC1〜4アルキルである。Pは好ましくはエトキシメチルのようなC1〜4アルコキシメチルである。P及びPは、それらに結合した酸素と共に2−フェニル1,3−ジオキソラン(ベンジリデン保護基)のような1,3−ジオキソランを好適に形成する。
【0009】
他の態様では本発明は、上記で定義した式(I)の固相担体結合前駆体を、18を用いて処理して式(II)の標識トレーサを作製するステップと、
【0010】
【化2】

(式中、P、P、P及びPは各々独立に水素又は保護基である)
次いで適宜
(i)過剰の18を、例えばイオン交換クロマトグラフィーで除去するステップ、及び/又は、
(ii)上記保護基を除去するステップ、及び/又は
(iii)有機溶媒を除去するステップ、及び/又は
(iv)得られた式(II)の化合物を水溶液として製剤化するステップ
を含む、2−18F−フルオロ−2−デオキシ−D−グルコース(18F−FDG)の製造方法を提供する。
【0011】
式(II)の18F−標識トレーサを固相から溶液中に除去すると、未反応前駆体はすべて樹脂に結合したまま残り、簡単な濾過で分離できる。したがって、例えばHPLCによる複雑な精製を避けることができる。式(II)の18F−標識トレーサは、例えばイオン交換クロマトグラフィーによる過剰のFの除去又は/又は有機溶媒の除去によって浄化できる。次いで、得られた18F−FDGを、臨床用にさらに水性製剤に仕上げることができる。
【0012】
式(I)の化合物では、「固相担体」は、プロセスで用いられるいずれの溶媒にも不溶性であるが、リンカーが共有結合できる固相担体であればよい。好適な固相担体の例としては、ポリスチレン(例えばポリエチレングリコールなどでブロックグラフト化されたものでもよい。)、ポリアクリルアミド若しくはポリプロピレンのようなポリマー又はかかるポリマーでコーティングされたガラス若しくはシリコンが挙げられる。固相担体は、ビーズ又はピンのような小さな離散粒子の形態であっても、カートリッジの内表面又は微細加工容器のコーティングであってもよい。
【0013】
式(I)の化合物の18での処理は、Na18F、K18F、Cs18F、テトラアルキルアンモニウム18Fフルオリド又はテトラアルキルホスホニウム18Fフルオリドのような適当な18F源での処理によって実施できる。フルオリドの反応性を増大させるため、クラウンエーテル又はクリプタンド、例えば4,7,13,16,21,24ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8,8,8]ヘキサコサンのような相間移動触媒を加え、非プロトン溶媒中で反応を実施してもよい。こうした条件は反応性フッ素イオンを与える。18での処理は、極端ではない温度、例えば15℃〜180℃、好ましくは昇温下で、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2ジメトキシエタン、スルホラン、N−メチルピロリジンオンのような適当な有機溶媒の存在下で好適に実施される。反応完了後、溶媒に溶解した式(II)の18F−標識トレーサは濾過によって固相から簡便に分離される。
【0014】
過剰の18は、適当な手段、例えばイオン交換クロマトグラフィー又は固相吸収剤で18F−FDGの溶液から除去すればよい。好適なイオン交換樹脂としてはBIO−RAD AG1−X8又はWaters QMAが挙げられ、好適な固相吸収剤としてはアルミナが挙げられる。過剰の18は、非プロトン溶媒中室温でかかる固相を用いて除去すればよい。
【0015】
式(II)の化合物からの保護基の除去は常法で実施し得る。好適な保護及び脱保護の手法は、例えばProtecting Groups in Organic Synthesis,Theodora W.Greene and Peter G.M.Wuts(上掲)を参照することができる。本発明の好ましい実施形態では、糖ヒドロキシル基を、エステル、好適にはC1〜6アルカン酸エステル、好ましくは酢酸エステルとして、或いはエーテル、好ましくはC1〜6アルコキシメチルエーテルとして、或いはアセタールとして保護する。エステル保護基、アセタール保護基又はエーテル保護基は、例えば酸又は塩基の存在下での加水分解によって簡便に除去できる。かかる脱保護は、脱保護後の中和が不要な固体担持酸又は塩基触媒を用いて実施し得る。
【0016】
有機溶媒は、減圧昇温下での蒸発、或いは窒素又はアルゴンのような不活性気流を溶液に通気するなどの常法で除去できる。
【0017】
18F−FDGの使用前に、例えば滅菌等張食塩水(エタノールのような適当な有機溶媒を最大10%含んでいてもよい。)又はリン酸緩衝液のような適当な緩衝液に18F−標識トレーサを溶解して、水溶液として製剤化するのが適切なこともある。放射線分解を低減するためのアスコルビン酸のような他の添加剤を加えてもよい。
【0018】
式(I)の化合物はスキーム1に示す方法で調製し得る。式中、P、P、P及びPは式(I)の化合物について定義した通り、pはn−2(nは式(I)の化合物について定義した通りである。)である。
【0019】
【化3】

上述の通り、かかる固相法による18F−標識トレーサの調製の利点として、プロセスが比較的迅速であること、精製法が単純化されること及び自動化が容易であることが挙げられ、いずれも本方法がPET用の18F−標識トレーサの調製に適していることを意味している。したがって、本発明は、PET用18F−FDGの製造方法での用途を提供する。
【0020】
好適には、固相担体に結合した式(I)の前駆体は、放射性医薬品用のキットの一部として提供できる。キットは、適合した自動合成装置に装着できるカートリッジを備えていてもよい。固相担体結合前駆体とは別に、カートリッジは、不要なフッ素イオンの除去用カラム、及び反応混合物を蒸発させたり、生成物を必要に応じて製剤化できるように連結した適当な容器を備えていてもよい。放射能濃度、体積、送達の時間等についての顧客の要求を満足できるように合成装置が操作できるようにするソフトウェアを備えたコンパクトディスクと併せて、試薬及び溶媒その他合成に必要な消耗品を備えていてもよい。
【0021】
簡便には、複数回実施する際の汚染のリスクを最小限に抑えるためキットのコンポーネントはすべてディスポーザルにし、かつ滅菌し、品質保証してもよい。
【0022】
本発明は、さらに、PET用の18F−FDGの調製のための放射性医薬キットであって、
(i)式(I)の化合物を含む容器と、
(ii)容器を18源で溶出する手段と、
(iii)過剰の18を除去するためのイオン交換カートリッジと、
適宜
(iv)得られた式(II)の生成物の固相脱保護のためのカートリッジ
を含む放射性医薬キットを提供する。
【0023】
本発明は、さらに、PET用の18F−FDGの調製のための放射性医薬キット用のカートリッジであって、
(i)式(I)の化合物を含む容器と、
(ii)容器を18源で溶出する手段
を含む放射性医薬キット用カートリッジを提供する。
【0024】
本発明の他の態様では、上記の放射性医薬キット又は放射性医薬キット用のカートリッジを使用するステップを含む診断用PET画像の取得方法を提供する。
【0025】
本発明を、以下の実施例によって説明する。
【0026】
すべての実施例において、使用した略語は以下の通りである。
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
w/v:重量/体積
h:時間
L:リットル
TLC:薄層クロマトグラフィー
THF:テトラヒドロフラン
eq:当量
DCM:ジクロロメタン
EtOAc:酢酸エチル
EtO:ジエチルエーテル
min(s):分
【実施例】
【0027】
中間体1:メチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(5−ヨードオクタフルオロ−3−オキサペンタンスルホネート)−β−D−マンノピラノシド
中間体1(i)
メチル4,6−O−ベンジリデン−β−D−グルコピラノシドの合成
【0028】
【化4】

特記しない限り、材料はすべてAldrich Chemical社から入手した。
【0029】
Tetrahedron,1992,48(47),10249〜10264に記載の手順を修正して用いた。無水アセトニトリル(150ml)中でメチルβ−D−グルコピラノシド(Biosynth International M−3592;10.2g、50ミリモル)、ベンズアルデヒドジメチルアセタール(30ml、200ミリモル)及び10−カンファースルホン酸(116mg、0.5ミリモル)を室温で4時間攪拌した。反応をTLCでチェックして生成物に完全に転化していることを確認した(1:2のヘキサン:酢酸エチルで実施、モリブデン酸セリウムアンモニウムを噴霧して加熱して可視化した)。次いで反応液をトリエチルアミン(1ml)で処理して酸を中和した。溶液を濾過し、固形物をアセトニトリル(20ml)で洗浄した。母液を約60mlまで濃縮し、これを再度濾過して濾液をアセトニトリル(10ml)で洗浄した。固形物をまとめて真空中で乾燥して12.9g(91%)のメチル4,6−O−ベンジリデン−β−D−グルコピラノシドを得た。
【0030】
H NMR(CDSO(300MHz)TMS基準;δ3.09(1H,q);3.42(7H,m);3.69(1H,t,);4.18(1H,t,t);5.35(2H,d,d);5.57(1H,s,);7.37(3H,m);7.45(2H,m)。
【0031】
13C NMR(CDSO(300MHz)TMS基準;δ:56.4、65.78、67.97、72.81、74.27、80.63、100.67、104.53、126.35、128.03、128.85、137.80。
【0032】
中間体1(ii)
メチル4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−β−D−グルコピラノシド
【0033】
【化5】

オーバーヘッドスターラーを備え、窒素雰囲気に保った5L丸底フラスコ中に、乾燥メチル4,6−O−ベンジリデン−β−D−グルコピラノシド(50g、175ミリモル)と乾燥テトラヒドロフラン(3.5L)(Aldrich クロマトグラフィーグレード品)を入れ、糖が溶解するまで混合物を室温で攪拌した。次いで攪拌しながら、水素化ナトリウム(16.5gの60%油中懸濁液、0.41モル、2.36当量)を少量ずつ小分けにして加えた。その間15分間にわたって激しい水素の発生が認められた。メチル4,6−O−ベンジリデン−β−D−グルコピラノシドに水素化ナトリウムを添加すると激しく沸騰する。したがって、これを少量ずつ小分けにして加えて、沸騰がフラスコの能力を超えないようにしなければならない。僅かな発熱が観察された(約3℃)。この時点で反応液は非常に粘稠となった。
【0034】
エトキシメチルクロリド(20g、19.3ml、0.2127モル、1.21当量)を乾燥THF(100ml)に溶解し、滴下ロートを介して15分間にわたって反応混合物に加え、室温で20時間攪拌を継続した。次いで反応をTLC酢酸エチルでモニターし、モリブデン酸セリウムアンモニウム噴霧で可視化した。(付録(a))。TLCでは4つのスポットが得られた。
【0035】
2,3−ジアルキル化糖 RF0.78
2−アルキル化生成物 RF0.52
3−アルキル化生成物 RF0.26
出発材料 RF0.04。
【0036】
20時間後、出発材料の量はほとんど認められないほど低減し、反応が完了した。水(10ml)を滴下して反応液を注意深く奪活して過剰の水素化ナトリウムを分解し、得られた溶液を真空下で濃縮し(250mlまで)、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(500ml)と酢酸エチル(1L)とに分配させた。上層の酢酸エチル層を分離して硫酸ナトリウムで乾燥した。水層をさらに2×500mlの酢酸エチルで抽出し、酢酸エチル溶液をまとめて真空下で濃縮して黄色油状物(95g)を得た。
【0037】
生成物を2つに分割し、その各々についてフラッシュシリカ(フラッシュクロマトグラフィー用BDHシリカゲル、製品153325 d10〜33um、d90〜70um)(シリカゲル寸法75mm×300mm、カラム75mm径 400mm)での40〜60石油エーテル:酢酸エチルの勾配によるクロマトグラフにかけた。粗生成物を2:1の40〜60石油エーテル:酢酸エチルに溶解してフラッシュカラムにローディングした。出発物質のメチル4,6−O−ベンジリデン−β−D−グルコピラノシドだけが上記溶媒に比較的不溶性であるので、反応がほとんど完結していれば、粗原料はすべて溶液中に移る。カラムを、2:1の40〜60石油エーテル:酢酸エチル2.5L、1.5:1の40〜60石油エーテル:酢酸エチル2L及び1:1 40〜60石油エーテル:酢酸エチル2.5Lで順次溶出した。40mlの画分を集め、TLC(1:1の40〜60石油エーテル:酢酸エチル)でモニターし、モリブデン酸セリウムアンモニウム噴霧で可視化した(付属物(a))。TLCでは主に4つの生成物が認められた。
【0038】
4つの生成物を真空中で濃縮して以下のものを得た。
【0039】
溶出の最も速い化合物:画分24〜33。鉱油。
【0040】
生成物3a:画分40−62。メチル4,6−O−ベンジリデン−2,3−ジエトキシメチル−β−D−グルコピラノシド、分子量=398、重量7.689g、0.0193モル、収率11.0%。
【0041】
生成物3b:画分73〜91。メチル4,6−O−ベンジリデン−2−エトキシメチル−β−D−グルコピラノシド、分子量=340、重量8.73g、0.0256モル、収率14.6%。
【0042】
生成物3:画分95〜150。メチル4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−β−D−グルコピラノシド、分子量=340、重量32.603g、0.0958モル、収率54.8%。
【0043】
H NMR:CDCl(300ΜHz)δ1.25(3H,s)、3.34(1H,t)、3.43(1H,m)、3.58(5H,m)、3.75(4H,Μ)、3.92(1H,m)、4.33(2H,d,d)、4.73(1H,d)、4.80(1H,q)、5.53(1H,q)、7.35(3H,m)、7.48(2H,m)。
【0044】
生成物の回収率は80%であった。
【0045】
中間体1(iii)
メチル4,6−O−ベンジリデン−3−O−エトキシメチル−2−ケト−β−D−グルコピラノシド
【0046】
【化6】

メチル4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−β−D−グルコピラノシド(中間体1(ii)と同様に調製)(14g、41.2ミリモル)をメチルスルホキシド(168ml)と無水酢酸(84.5ml)で室温において24時間処理した。モリブデン酸アンモニウムセリウムで展開して加熱した(上記手順参照)薄層クロマトグラフィー(40〜60ヘキサン)/酢酸エチル1:1又は100%ジエチルエーテル)でケトンに完全に転化していることが確認された。次いで溶液を酢酸エチル(1L)で希釈し、分離ロート中で、炭酸カリウム飽和水溶液(600ml)と一緒に振盪して洗浄して過剰の無水酢酸を加水分解した。注意:未反応無水酢酸は水の中で加水分解して、糖を脱保護する酢酸を生成するおそれがあるので、過剰の炭酸カリウム溶液を用いなければならない。また、塩基が少ないと多量の二酸化炭素が発生して発泡を生ずる。酢酸エチル層を分離し、水(3×500ml)で洗浄し、酢酸エチル(3×500ml)で順次逆抽出した。酢酸エチル画分を硫酸ナトリウムで乾燥し、真空中で濃縮して半結晶質固形粗メチル4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2ケト−β−D−グルコピラノシドを得た(約20g>100%含有酢酸エチル)。サンプルを用いてジエチルエーテル/石油(petrol)エーテルから結晶化した。NMRから、化合物は溶媒中のケトンと水の混合物であり、ジオールと平衡状態にあることが分かる。
【0047】
H NMR:CDCl(300MHz)δ;1.09及び1.16(3H,t,);1.65(1H,s);2.61(1H,s);3.45(1H,m,);4.5(1H,S,);4.8(1H,d);4.87(1H,d);4.95(1H,d,);5.38(1H,s,);5.54(1H,s,);7.4(3H,m,);7.49(2H,m,)。
【0048】
13C NMR:CDCl(75MHz)δ;14.79、40.97、57.19、57.84、63.77、64.37、64.59、66.57、68.55、78.54、81.84、82.94、92.55、92.89、94.9、101.25、101.62、102.93、126.19、128.25、129.11、136.76、1327.17。
【0049】
粗原料は出発材料の酸化ではなくアセチル化で得られたメチル−2−アセトキシ−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−β−D−グルコピラノシドを含有している。この粗原料を次のステップで直接使用した。
【0050】
中間体1(iv)
メチル4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−β−D−マンノピラノシドの調製
【0051】
【化7】

メタノール(200ml)中のメチル4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2ケト−β−D−グルコピラノシド(前のステップからの約20gの粗原料、100%の収率と想定して0.0412モル)を、−20℃で絶えず攪拌しながら水素化ホウ素ナトリウム(1.686g、0.444ミリモル)で処理して48時間かけて室温に加温した。次いで反応をTLC(100%ジエチルエーテル)でモニターし、モリブデン酸セリウムアンモニウムで可視化し加熱した(付属物(a))。ケトンは、ジオールとして存在するのでアルコールとほとんど同じRfを有する。次いで真空中で反応液を濃縮して樹脂状物を得た。生成物を酢酸エチル(250ml)と希炭酸カリウム水溶液(50ml)に分配させた。酢酸エチル層を分離して硫酸ナトリウムで乾燥した。水層を酢酸エチル(2×100ml)で再抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、酢酸エチル抽出物をまとめて蒸発させて灰白色固形物を得た。この物質を、40〜60石油エーテル:酢酸エチルの勾配でのフラッシュシリカ(フラッシュクロマトグラフィー用BDHシリカゲル 製品153325 d10〜33um、d90〜70um)(シリカゲル寸法75mm×200mm、カラム75mm径 400mm)でクロマトグラフにかけた。カラムを、1:1の40〜60石油エーテル:酢酸エチル2L、1:1.5 40〜60石油エーテル:酢酸エチル2L及び酢酸エチル2.5Lで順次溶出した。40mlの画分を集め、TLC(1:1 40〜60石油エーテル:酢酸エチル)でモニターし、モリブデン酸セリウムアンモニウム噴霧で可視化した。TLCでは主に3つの生成物が認められた。
【0052】
3つの生成物を真空中で濃縮して以下のものを得た。
【0053】
生成物1:画分10〜30。メチル2−アセトキシ−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−β−D−グルコピラノシド(1.54g、0.0040モル)、9.8%。
【0054】
生成物2:画分35〜48。メチル4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−β−D−グルコピラノシド(2.743g、0.00806モル)、19.58%。純度が非常に低く、結晶化しない。多分50%しかない化合物。
【0055】
生成物3:画分50〜73。メチル4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−β−D−マンノピラノシド(10.62g、0.0312モル)、2ステップで76%。エーテルからの結晶化によって、7.84gの非常に高純度の物質と、母液の蒸発による2.78gの固形物を得た。これは次のステップでの使用に適していた。
【0056】
全体での生成物の回収率は105%であり、おそらく画分2へのジメチルスルホキシドの混入を反映している。
【0057】
H NMR:CDCl(300MHz)δ:1.19(3H,t,)1.60(1H,s)、2.54(1H,s);3.39(1H,m,);3,59(3H,s,);3.64(2H,m,)3.77(2H,m,);4.09(1H,t)、4.37(1H,d,d);4.51(1H,s,);4.78(1H,d,)4.85,1H,d,);5.54(1H,s,);7.36(3H,m,)7.47(2H,m)。
【0058】
13C NMR:CDCl(75MHz)δ;14.8、57.10、63.41、66.81、68.40、70.07、74.57、77.42、94.51、101.51、126.29、128.54、128.78、137.21。
【0059】
中間体1(v)
メチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(5−ヨードオクタフルオロ−3−オキサペンタンスルホネート)−β−D−マンノピラノシド
【0060】
【化8】

メチル4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−β−D−マノピラノシド(中間体1(iv))(1g、2.93ミリモル)を乾燥窒素下で乾燥THF(30ml)に溶解し、THF中の1モルのナトリウムヘキサメチルジシリザン(4.43ml、4.43ミリモル、1.5当量)で処理し、5分間攪拌し、次いで5−ヨードオクタフルオロ−3−オキサペンタフルオロスルホニルフルオリド(Appollo社製、1.89g、4.43ミリモル)で処理した。反応液を室温で1時間攪拌した。反応液を、酢酸エチルで展開したシリカのTLCでモニターし、モリブデン酸セリウムアンモニウムを噴霧し加熱して可視化した。
【0061】
反応液を真空下で低体積になるまで濃縮し(過剰の5−ヨードオクタフルオロ−3−オキサペンタフルオロスルホニルフルオリド及びテトラヒドロフランを除去するため)、酢酸エチル(30ml)で希釈し炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で洗浄した。有機相を分離して硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮して樹脂状物を得た。水相を酢酸エチル(2×30ml)で再抽出し、抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、酢酸エチル抽出物をまとめて真空下で濃縮してメチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(5−ヨードオクタフルオロ−3−オキサペンタンスルホネート)−β−D−マンノピラノシド(2.712g)を得た。
【0062】
H NMR:CDCl(300MHz)TMS基準;δ7.50〜7.30(5H,m、Ph)、5.57(1H,s,PhCHO)、5.13(1H,d,J=2.9Hz,H)、4.81(2H,AB,J=7.4,21.3Hz,OCHO)、4.57(1H,s,H)、4.34(1H,dd,J=5.1,10.3Hz,H)、4.12(1H,dd,J=2.9,9.6Hz,H)、3.94〜3.82(2H,m、H,H6’)、3.74〜3.55(2H,m、CH)、3.56(3H,s,CHO)、3.44(1H,ddd,J=4.4,9.5,10.3Hz,H)、1.13(3H,t,J=6.6Hz,CH)。
【0063】
13C NMR:CDCl(75MHz,)TMS基準;δ:137.13、129.28、128.37、126.19、101.92(PhCHO)、99.16(C)、94.07(OCHO)、83.61(C)、77.32(C)、71.04(C)、68.44(C)、67.58(C)、63.96(CHO)、57.50(CHO)、15.01(CH)。
【0064】
19F NMR:CDCl(282MHz)基準C。。δ:96.98、79.97、76.42、48.24。
【0065】
νmax(フィルム)/cm−1 2973w、2941w、1738m、1413m、1380m、1337m、1295m、1209s、1148s、1094s、1026s、917m。
【0066】
実施例1
メチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(3−オキサ−12,12,13,13,15,15,16,16−オクタフルオロヘキサデカン酸−16−スルホネート)−β−D−マンノピラノシドアミノポリスチレン樹脂アミドの調製
実施例1(i)
メチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(3−オキサ−12,12,13,13,15,15,16,16−オクタフルオロ10−ヨード−ヘキサデカン酸−16−スルホネート)−β−D−マンノピラノシド
【0067】
【化9】

メチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(5−ヨードオクタフルオロ−3−オキサペンタンスルホネート−β−D−マンノピラノシド(粗中間体1)(2.7g、2.96ミリモル理論値)を、氷浴で0℃に冷却したアセトニトリル(40ml)と水(20ml)に溶解し、攪拌し、炭酸水素ナトリウム(298mg、3.55ミリモル 1.2当量)、亜ジチオン酸塩ナトリウム(617mg、3.55ミリモル、1.2当量)及びウンデシレン酸(Aldrich、544mg、2.96ミリモル、1.0当量)で処理した。攪拌した反応液を1時間で室温に加温した。反応液を酢酸エチル中で展開したシリカのTLCでモニターし、モリブデン酸セリウムアンモニウムで噴霧し、加熱して可視化した。
【0068】
反応液を高真空下、室温で20mlに濃縮してアセトニトリルを除去し、酢酸エチル(30ml)で抽出した(2層の分離はかなり遅い)。酢酸エチル層を分離して水(30ml)で洗浄した。水性抽出物を順次酢酸エチル(3×30ml)で再抽出し、酢酸エチル抽出物をまとめて硫酸ナトリウムで乾燥し、高真空下で樹脂状になるまで濃縮してメチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(3−オキサ−12,12,13,13,15,15,16,16−オクタフルオロ−10−ヨード−ヘキサデカン酸−16−スルホネート)−β−D−マンノピラノシド(3.1g)を得た。この粗材料を、それ以上精製せずに次のステップで直接使用した。この材料を−25℃で一晩保存して分解が起こらないことを確認した。この化合物のサンプルを、石油中の酢酸エチルの勾配でのシリカでクロマトグラフィーにかけて精製して高純度サンプルを得た。
【0069】
H NMR:CDCl(300MHz)TMS基準;δ:7.50〜7.31(5H,m、Ph)、5.58(1H,s,PhCHO)、5.15(1H,d,J=2.9Hz,H)、4.80(2H,AB,J=7.4Hz,OCHO)、4.61(1H,s,H)、4.40〜4.25(1H,m、CHI,H)、4.17(1H,dd,J=2.9,10.3Hz,H)、3.95〜3.85(2H,m、H,H)、3.75〜3.60(2H,m、CH)、3.58(3H,s,CHO)、3.51〜3.42(1H,m、H)、3.00〜2.65(2H,m、CH)、2.35(2H,t,J=7.4Hz,CH)、1.90〜1.30(14H,m、CH)、1.15(3H,t,J=6.6Hz,CH)。
【0070】
13C NMR:CDCl(75MHz)δ:179.52(CO)、137.31,129.51,128.41,126.35(Ph)、102.09(PhCHO)、99.37(C)、94.15(OCHO)、83.73(C)、77.48(C)、71.28(C)、68.60(C)、67.79(C)、64.14(CHO)、57.62(CHO)、41.54,40.58,34.19,29.74,29.41,29.38,29.26,28.71,24.93(CH)、21.36(CHI)、15.12(CH)。
【0071】
19F NMR:CDCl(282MHz)、基準Cδ:79.78、74.37、47.92、及び43.70。
【0072】
m/z(ES)929.3[M]
【0073】
νmax(フィルム)/cm−1 2972w、2931w、2858w、1709m、1410m、1192s、1147s、1093s、1025s、993s、919s。
【0074】
実施例1(ii)
メチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(3−オキサ−12,12,13,13,15,15,16,16−オクタフルオロヘキサデカン酸−16−スルホネート)−β−D−マンノピラノシド
【0075】
【化10】

メチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(3−オキサ−12,12,13,13,15,15,16,16−オクタフルオロ−10−ヨード−ヘキサデカン酸−16−スルホネート)−β−D−マンノピラノシド(実施例1(i)と同様に調製)(2.96ミリモル、2.75g)を、乾燥ジエチルエーテル(40ml)と乾燥酢酸(20ml)に溶解し、窒素雰囲気下で亜鉛粉末(1150mg、17.8ミリモル、6当量)で処理した。反応液を70℃の油浴で2.5時間還流温度で攪拌した。内温は45〜50℃であった。酢酸エチル中で行い、モリブデン酸セリウムアンモニウムで展開し加熱した反応液のTLCでは主スポットのRFに変化はみられなかった。
【0076】
次いで反応液を室温に冷却し、デカントして未反応亜鉛粉末を分離した。亜鉛粉末をエーテルで洗浄し、酢酸とジエチルエーテルの溶液を一緒にしてロータリーエバポレータで高真空下で濃縮した。蒸発で得られた樹脂状残留物を酢酸エチル(50ml)に溶解し、水(50ml)で洗浄した。水層を酢酸エチル(2×25ml)で再抽出し、有機抽出物をまとめて分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮して所望の生成物を樹脂状物として得た。2.4gの粗生成物を次のステップで直接使用した。
【0077】
保存前に、高真空下、室温で樹脂状物をトルエン(3×30ml)と共沸蒸留させて痕跡量の酢酸と水をすべて除去した。粗生成物のサンプルを、シリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(3cm径のカラム、20cmシリカ深さ、2:1のペトロール:酢酸エチルから1:1で溶出、純粋の酢酸エチル中でRf=0.6を有する所望の生成物)で精製して無色油状物を得た(2ステップで1.05g、55%)。油状物を高真空下に24時間置いて痕跡量の溶媒を除去した。
【0078】
H NMR:CDCl(300MHz)TMS基準;δ、7.50〜7.31(5H,m、Ph)、5.58(1H,s,PhCHΟ)、5.15(1H,d,J=2.9Hz H)、4.80(2H,AB,J=7.4Hz,OCHΟ)、4.61(1H,s,H)、4.40〜4.25(1H,m、CHΙ,H)、4.17(1H,dd,J=2.9,10.3Hz,H)、3.95〜3.85(2H,m、H,H)、3.75〜3.60(2H,m、CH)、3.58(3H,s,CHΟ)、3.51〜3.42(1H,m、H)、3.00〜2.65(2H,m、CH)、2.35(2H,t,J=7.4Hz,CH)、1.90〜1.30(14H,m、CH)、1.15(3H,t,J=6.6Hz,CH)。
13C NMR:CDCl(75MHz)δ:179.64(CO)、137.31、129.39、128.48、126.34(Ph)、102.08(PhCHO)、99.38(C)、94.14(OCHO)、83.57(C)、77.46(C)、71.31(C)、68.59(C)、67.78(C)、64.11(CHO)、57.58(CHO)、34.22、30.89、30.67、30.45、29.57、29.45、29.36、29.30、24.95、20.56(CH)、15.09(CH)。
19F NMR:CDCl、(282MHz)基準Cδ:79.8、74.2、47.9、及び43.5。
【0079】
m/z(ES)803.3[M]
【0080】
νmax(フィルム)/cm−1 2929w、2858w、2858w、1710m、1411m、1147s、1093s、1025s、994s、918s。
【0081】
実施例1(iii)
メチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(3−オキサ−12,12,13,13,15,15,16,16−オクタフルオロヘキサデカン酸−16−スルホネート)−β−D−マンノピラノシドアミノポリスチレン樹脂アミド
【0082】
【化11】

実施例1(ii)からの粗メチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(3−オキサ−12,12,13,13,15,15,16,16−オクタフルオロヘキサデカン酸−16−スルホネート)−β−D−マンノピラノシド(804mg、1ミリモル)を、Corning 20ml遠心チューブ内の乾燥ジクロロメタン(7.5ml)中でトルエン(10ml)と3回共沸蒸留して乾燥し、アミノポリスチレン樹脂(Nova Biochem 01−64−0143 1.4ミリモル/g、lot A24595、500mg、0.7ミリモル)、ジイソプロピルエチルアミン(260mg、2ミリモル)及びジフェニルホスホリルクロリド(236mg、1ミリモル)で処理した。反応液をブラッドホイールで室温で15時間振盪した。
【0083】
次いで樹脂を濾過して集め、ジクロロメタン(100ml)メタノール、(100ml)及びエーテル(50ml)で順次洗浄した。樹脂を高真空下で恒量になるまで乾燥して973mgのメチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(3−オキサ−12,12,13,13,15,15,16,16−オクタフルオロヘキサデカン酸−16−スルホネート)−β−D−マンノピラノシドアミノポリスチレン樹脂アミドを得た。
【0084】
CDCl中で樹脂のスラリーを調製し、通常の形でゲル相NMRを実施した。
【0085】
19 NMR:CDCl CFCl ref δ:82.4、88.5、114.2、118.58。
【0086】
実施例2
メチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(8−オキサ−6,6,7,7,9,9,10,10−オクタフルオロデカン酸−10−スルホネート)−β−D−マンノピラノシドアミノポリスチレン樹脂アミドの調製
【0087】
【化12】

実施例2(i)
メチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(4−ヨードー8−オキサ−6,6,7,7,9,9,10,10−オクタフルオロデカン酸−10−スルホネート)−β−D−マンノピラノシドの調製
【0088】
【化13】

CHCN:HO(4mL:2mL)中のメチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(5−ヨードオクタフルオロ−3−オキサペンタンスルホネート)−β−D−マンノピラノシド(中間体1)(400mg、0.54ミリモル)及び4−ペンテン酸(56mg、0.56ミリモル)に、NaHCO(59mg、0.70モル)及びNa(85%、140mg、0.70ミリモル)を加え、反応液を室温で20分間攪拌した。反応液を真空下で濃縮した。EtOAc:ヘキサン(1:2)で溶出してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、メチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(4−ヨードー8−オキサ−6,6,7,7,9,9,10,10−オクタフルオロデカン酸−10−スルホネート)−β−D−マンノピラノシドを無色油状物として得た(305mg、67%)。
【0089】
H NMR(300MHz,CDCl)δ:7.50〜7.25(5H,m、Ph)、5.52(1H,s,PhCHO)、5.17(1H,d,J=2.9Hz,H)、4.75(2H,AB,J=7.4Hz,OCHO)、4.53(1H,s,H)、4.34〜4.24(2H,m、H,CHI)、4.09(1H,dd,J=2.9Hz,H)、3.90〜3.77(2H,m、H,H)、3.70〜3.50(2H,m、CH)、3.50(3H,s,CHO)、3.45〜3.32(1H,m、H)、2.98〜2.28(4H,m、CH)、2.18〜1.90(2H,m、CH)、1.05(3H,t,J=7.4Hz,CH3)。
【0090】
13C NMR(75MHz,CDCl)δ:177.32、137.12、129.28、128.36、126.20(Ph)、101.93(PhCHO)、99.19(C)、94.02(OCHO)、83.66(C)、77.28(C)、71.10(C)、68.43(C)、67.61(C)、64.01(CHO)、57.54(CHO)、41.37、35.14、34.21、19.09(CH)、14.98(CH);19F NMR(282MHz,CDCl,基準C)δ:79.74、72.97、47.56、43.89。
【0091】
m/z(ES)740.9[M+Na]、1458.4[2M+Na]
【0092】
νmax(フィルム)/cm−1 2975w、2878w、1714m、1410m、1192s、1146s、1093s、1025s、994m、920s。
【0093】
実施例2(ii)
メチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(4−ヨード−8−オキサ−6,6,7,7,9,9,10,10−オクタフルオロデカン酸−10−スルホネート)−β−D−マンノピラノシド
【0094】
【化14】

EtO(2mL)中のメチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(4−ヨード−8−オキサ−6,6,7,7,9,9,10,10−オクタフルオロデカン酸−10−スルホネート)−β−D−マンノピラノシド(実施例2(i)と同様に調製)(300mg、0.36ミリモル)に、亜鉛(99.998%、100メッシュ、93mg、1.42ミリモル)と酢酸(1mL)を加え、反応液をアルゴン雰囲気下で3時間還流した(浴温=80℃)。反応液を室温まで冷却し、セライトで濾過してEtO(50mL)で洗浄した。濾液を真空下で濃縮してすべての溶媒を除去した。EtOAc:ヘキサン(1:3)で溶出してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製してメチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(8−オキサ−6,6,7,7,9,9,10,10−オクタフルオロデカン酸−10−スルホネート)−β−D−マンノピラノシドを無色油状物として得た(70mg、27%)。
【0095】
H NMR(300MHz,CDCl)δ:7.50〜7.31(5H,m、Ph)、5.58(1H,s,PhCHO)、5.15(1H,d,J=2.9Hz,H)、4.80(2H,AB,J=7.4Hz,OCHO)、4.63(1H,s,H)、4.36(1H,q,J=5.2Hz,H)、4.17(1H,dd,J=2.9,10.3Hz,H)、3.95〜3.86(2H,m、H,H)、3.75〜3.60(2H,m、CH)、3.58(3H,s,CHO)、3.52〜3.43(1H,m、H)、2.42(2H,t,J=7.4Hz,CH)、2.20〜2.00(2H,m、CH)、1.80〜1.60(4H,m、CH)、1.15(3H,t,J=7.4Hz,CH)。
【0096】
13C NMR(75MHz,CDCl)δ:178.65(CO)、137.11、129.29、128.37、126.20(Ph)、101.92(PhCHO)、99.19(C)、93.99(OCHO)、83.50(C)、77.27(C)、71.08(C)、68.42(C)、67.60(C)、64.00(CHO)、57.54(CHO)、33.55、30.29、24.16、20.07(CH)、14.97(CH);19F NMR(282MHz,CDCl,基準C)δ:79.72、73.61、47.91、43.70。
【0097】
m/z(ES)719.0[M]、832.9[M+TFA]
【0098】
νmax(フィルム)/cm−1 2932w、1723m、1410m、1192s、1149s、1115、1027s、922s。
【0099】
実施例2(iii)
メチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(8−オキサ−6,6,7,7,9,9,10,10−オクタフルオロデカン酸−10−スルホネート)−β−D−マンノピラノシドアミノポリスチレン樹脂アミド
【0100】
【化15】

無水CHCl(1mL)中のアミノ化ポリスチレン(NovaBiochem、50〜100メッシュ、01−64−0383、ロットA24063、担持量:1.5ミリモル/g、45mg、0.067ミリモル)及びメチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(8−オキサ−6,6,7,7,9,9,10,10−オクタフルオロデカン酸−10−スルホネート)−β−D−マンノピラノシド(実施例2(ii)と同様に調製)(58mg、0.081ミリモル)に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(21mg、28μL、0.162ミリモル)を加え、続いてジフェニルホスホリルクロリド(19mg、16μL、0.081ミリモル)を加えた。反応液をアルゴン雰囲気下で室温で18時間緩やかに攪拌した。樹脂を濾別し、CHCl(3×10mL)、CHOH(2×10mL)及びEtO(5×5mL)で洗浄し、真空中40℃で48時間乾燥した。これによって、メチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(8−オキサ−6,6,7,7,9,9,10,10−オクタフルオロデカン酸−10−スルホネート)−β−D−マンノピラノシドアミノポリスチレン樹脂アミドを薄黄色固形物として得た(87mg、99%)。
【0101】
担持量:理論値=0.73ミリモル/g;結果(F微量分析)=0.55ミリモル/g。
【0102】
νmax(オン−ビーズ)/cm−1 2931w、1662m、1493m、1452m、1410m、1275m、1146s、1094s、1025s、919s;19F NMR(282MHz、CDCl、基準CFCl) δ:−82.01、−88.13、−113.86、−118.23。
【0103】
実施例3
メチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(6−オキサ−4,4,5,5,7,7,8,8−オクタフルオロデカン酸−8−スルホネート)−β−D−マンノピラノシドアミノポリスチレン樹脂アミドの調製
【0104】
【化16】

実施例3(i)
メチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(6−オキサ−4,4,5,5,7,7,8,8−オクタフルオロデカン酸−8−スルホネート)−β−D−マンノピラノシド
【0105】
【化17】

CHCN:HO(8mL:4mL)中のメチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(5−ヨードオクタフルオロ−3−オキサペンタンスルホネート)−β−D−マンノピラノシド(中間体1)、1.0g、1.34ミリモル)とアクリル酸(101mg、1.41ミリモル)にNaHCO(135mg、1.61ミリモル)とNa(85%、322mg、1.61ミリモル)を加え、反応液を室温で45分間攪拌した。反応液を真空下で濃縮してEtO(150mL)に溶解し、水(150mL)で洗浄し水相をEtO(100mL)で再抽出した。有機層をまとめてブライン(150mL)で洗浄して乾燥(無水MgSO)で乾燥し、真空下で濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーでEtOAc:ヘキサン(1:4)からEtOAc:ヘキサン(1:0)で溶出して精製して所望の生成物を無色油状物として得た(419mg、38%)。
【0106】
H NMR(300MHz,CDCl)δ:7.52〜7.32(5H,m、Ph)、5.58(1H,s,PhCHO)、5.15(1H,d,J=2.9Hz,H)、4.83(2H,AB,J=7.4Hz,OCHO)、4.61(1H,s,H)、4.30(1H,q,J=5.2Hz,H)、4.16(1H,dd,J=2.9,10.3Hz,H)、3.90〜3.78(2H,m、H,H)、3.75〜3.62(2H,m、CH)、3.58(3H,s,CHO)、3.51〜3.42(1H,m、H)、2.68(2H,t,J=7.4Hz,CH)、2.55〜2.36(2H,m、CH)、1.65〜1.15(3H,t,J=7.4Hz,CH)。
【0107】
13C NMR(75MHz,CDCl)δ:176.63(CO)、137.11、129.31、128.38、126.20(Ph)、101.92(PhCHO)、99.19(C)、93.93(OCHO)、83.61(C)、77.23(C)、71.09(C)、68.41(C)、67.58(C)、64.01(CHO)、57.54(CHO)、25.97、25.69(CH)、14.94(CH)。
19F NMR(282MHz,CDCl,基準C)δ:79.82、73.56、47.73、43.27;m/z(ES)804.8[M+TFA]、1382.20[2M]
【0108】
νmax(フィルム)/cm−1 2972w、1722m、1412m、1193s、1148s、1096s、1026s、921s。
【0109】
実施例3(ii)
メチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(6−オキサ−4,4,5,5,7,7,8,8−オクタフルオロデカン酸−8−スルホネート)−β−D−マンノピラノシドアミノポリスチレン樹脂アミド
【0110】
【化18】

無水CHCl(2mL)中のアミノ−メチル化ポリスチレン(NovaBiochem、50〜100メッシュ、01−64−0383、ロットA24063、担持量:1.5ミリモル/g、145mg、0.218ミリモル)と実施例3(i)の化合物(200mg、0.289ミリモル)にN,N−ジイソプロピルエチルアミン(75mg、100μL、0.579ミリモル)を加え、続いてジフェニルホスホリルクロリド(68mg、55μL、0.289ミリモル)を加えた。反応液を室温で18時間アルゴン雰囲気下で緩やかに攪拌した。樹脂を濾別し、CHCl(3×5mL)、CHOH(3×5mL)、EtO(5×5mL)で洗浄し、真空中40℃で24時間乾燥した。これによって、標記の樹脂を薄黄色固形物として得た(283mg、94%)。
【0111】
担持量:理論値=0.75ミリモル/g;結果(F微量分析)=0.80ミリモル/g。
【0112】
19F NMR(282MHz、CDCl、基準CFCl) δ:−81.84、−87.79、−113.67、−117.96。
【0113】
実施例4
メチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(20−オキサ−18,18,19,19,21,21,22,22−オクタフルオロドコサン酸−22−スルホネート)−β−D−マンノピラノシドアミノポリスチレン樹脂アミドの調製
【0114】
【化19】

実施例4(i)
メチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(16−ヨード−20−オキサ−18,18,19,19,21,21,22,22−オクタフルオロドコサン酸−22−スルホネート)−β−D−マンノピラノシド
【0115】
【化20】

ヨウ素化物(中間体1、1.0g、1.34ミリモル)と16−ヘプタデセン酸(Apollo Scientific社製、378mg、1.41ミリモル)はCHCN(30mL)中で濁った懸濁液を形成した。この懸濁液にHO(20mL)を加え、続いてNaHCO(135mg、1.61ミリモル)及びNa(85%、322mg、16.1ミリモル)を加え、反応液を室温で10分間攪拌した。さらにMeCN(25mL)とHO(10mL)を一部加えたが反応液は濁ったままであった。1時間後、反応を真空下で濃縮してEtO(100mL)に溶解し、水(100mL)で洗浄して水相をEtO(50mL)で抽出した。有機層をまとめてブライン(100mL)で洗浄して乾燥し(無水MgSO)、真空下で濃縮して粗白濁油状物を得た。EtOAc:ヘキサン(1:3)で溶出してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製してメチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(16−ヨード−20−オキサ−18,18,19,19,21,21,22,22−オクタフルオロドコサン酸−22−スルホネート)−β−D−マンノピラノシドを無色油状物として得た(230mg、17%)。
【0116】
H NMR(300MHz,CDCl)δ:7.50〜7.31(5H,m、Ph)、5.58(1H,s,PhCHO)、5.15(1H,d,J=2.9Hz,H)、4.85(2H,AB,J=7.4Hz,OCHO)、4.63(1H,s,H)、4.40〜4.28(1H,m、CHI,H)、4.17(1H,dd,J=2.9,10.3Hz,H)、3.97〜3.87(2H,m、H,H)、3.75〜3.62(2H,m、CH)、3.60(3H,s,CHO)、3.52〜3.42(1H,m、H)、3.00〜2.70(2H,m、CH)、2.37(2H,t,J=7.4Hz,CH)、1.85〜1.40(4H,m、CH)、1.30〜1.10(22H,m、CH)、1.15(3H,t,J=7.4Hz,CH)。
【0117】
13C NMR(100MHz,CDCl)δ:179.04(CO)、137.56、129.67、128.76、126.62(Ph)、102.36(PhCHO)、99.64(C)、94.47(OCHO)、84.00(C)、77.59(C)、71.55(C)、68.87(C)、68.06(C)、64.41(CHO)、57.91(CHO)、42.02、41.82、41.62、40.91、34.48、30.17、30.14、30.10、29.99、29.93、29.81、29.65、29.10、25.32(CH)、21.79(CHI)、15.40(CH)。
【0118】
19F NMR(282MHz,CDCl,基準C)δ:80.20、73.14、47.87、43.76。
【0119】
m/z(ES)1013.1[M]、1127.5[M+TFA]
【0120】
νmax(フィルム)/cm−1 2927w、2855w、1725m、1412m、1194s、1149s、1096s、1026s、921s。
【0121】
実施例4(ii)
メチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(20−オキサ−18,18,19,19,21,21,22,22−オクタフルオロドコサン酸−22−スルホネート)−β−D−マンノピラノシドの調製
【0122】
【化21】

EtO(4mL)中のメチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(16−ヨード−20−オキサ−18,18,19,19,21,21,22,22−オクタフルオロドコサン酸−22−スルホネート)−β−D−マンノピラノシド(実施例4(i)と同様に調製)(200mg、0.204ミリモル)に、亜鉛(99.998%、100メッシュ、80mg、1.23ミリモル)と酢酸(2mL)を加え、反応液をアルゴン雰囲気下で3時間還流した(浴温=80℃)。反応液を室温まで冷却しデカントして亜鉛を分離し、亜鉛をEtO(3×30mL)で洗浄した。洗浄物をまとめて真空下で濃縮した。EtOAc:ヘキサン(1:3)で溶出してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製してメチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(20−オキサ−18,18,19,19,21,21,22,22−オクタフルオロドコサン酸−22−スルホネート)−β−D−マンノピラノシドを無色油状物として得た(132mg、75%)。
【0123】
H NMR(300MHz,CDCl)δ:7.50〜7.35(5H,m、Ph)、5.60(1H,s,PhCHO)、5.15(1H,d,J=2.9Hz,H)、4.83(2H,AB,J=7.4Hz,OCHO)、4.61(1H,s,H)、4.36(1H,q,J=5.1Hz,H)、4.20〜4.12(1H,m、H)、3.95〜3.85(2H,m、H,H)、3.75〜3.60(2H,m、CH)、3.58(3H,s,CHO)、3.51〜3.42(1H,m、H)、2.37(2H,t,J=7.4Hz,CH)、1.70〜1.55(4H,m、CH)、1.40〜1.20(26H,m、CH)、1.15(3H,t,J=7.4Hz,CH)。
【0124】
13C NMR(75MHz,CDCl)δ:179.40(CO)、137.07、129.51、128.60、126.45(Ph)、102.19(PhCHO)、99.49(C)、94.28(OCHO)、83.70(C)、77.58(C)、71.43(C)、68.71(C)、67.89(C)、64.29(CHO)、57.78(CHO)、34.46、31.02、30.80、30.58、30.04、29.99、29.84、29.80、29.65、29.49、25.17、21.43、20.70(CH)、15.21(CH)。
【0125】
19F NMR(282MHz,CDCl,基準C)δ:80.01、74.08、47.96、43.34。
【0126】
m/z(ES)887.1[M]
【0127】
νmax(フィルム)/cm−1 2926w、2854w、1711m、1412m、1191、1149s、1096s、1027s、920s。
【0128】
実施例4(iii)
メチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(20−オキサ−18,18,19,19,21,21,22,22−オクタフルオロドコサン酸−22−スルホネート)−β−D−マンノピラノシドアミノポリスチレン樹脂アミド
【0129】
【化22】

無水CHCl(3mL)中のアミノ−メチル化ポリスチレン(NovaBiochem、50〜100メッシュ、01−64−0383、ロットA24063、担持量:1.5ミリモル/g、62mg、0.093ミリモル)とメチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(20−オキサ−18,18,19,19,21,21,22,22−オクタフルオロドコサン酸−22−スルホネート)−β−D−マンノピラノシド(実施例4(ii)と同様に調製)(108mg、0.121ミリモル)に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(42μL、0.243ミリモル)を加え、続いてジフェニルホスホリルクロリド(29mg、0.121ミリモル)を加えた。反応液をアルゴン雰囲気下、室温で18時間緩やかに攪拌した。樹脂を濾別し、CHCl(3×10mL)、CHOH(3×10mL)、EtO(3×10mL)で洗浄して、真空中40℃で48時間乾燥した。これによって、メチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(20−オキサ−18,18,19,19,21,21,22,22−オクタフルオロドコサン酸−22−スルホネート)−β−D−マンノピラノシドアミノポリスチレン樹脂アミドを薄黄色固形物として得た(136mg、86%)。
【0130】
担持量:理論値=0.65ミリモル/g;結果(F微量分析)=0.52ミリモル/g。
【0131】
19F NMR(282MHz、CDCl、基準CFCl) δ:−82.06、−88.14、−113.93、−118.34。
【0132】
νmax(オン−ビーズ)/cm−1 2925m、1662m、1493m、1453m、1411m、1146m、1095s、1025s。
【0133】
比較例5
メチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(5−オキサ−3,3,4,4,6,6,7,7−オクタフルオロデカン酸−7−スルホネート)−β−D−マンノピラノシドアミノポリスチレン樹脂アミドの調製
【0134】
【化23】

例5(i)
【0135】
【化24】

メチル4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−β−D−マンノピラノシド(中間体1(iv))(0.5g、1.47ミリモル)をTHF(10mL)に溶解し、乾燥ヘキサンで洗浄した後NaH(1.1当量、1.62ミリモル、0.11g)を加えた。混合物を窒素雰囲気下で15分間加熱還流してメチル4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−β−D−マンノピラノシドナトリウム塩のTHF中の溶液を得た。
【0136】
例5(ii)
【0137】
【化25】

国際公開第02/055026号に記載の通り調製した3,3,4,4,6,6,7,7,オクタフルオロ5−オキソ−7−スルホニルフルオリド−ヘプタン酸(1.5当量、0.79g、2.21ミリモル)をTHF(10mL)に溶解し、NaH(1.1当量.0.162g、2.43ミリモル)を乾燥ヘキサンで洗浄して加えて15分間撹拌後、THF中で3,3,4,4,6,6,7,7,オクタフルオロ5−オキソ−7−スルホニルフルオリド−ヘプタン酸ナトリウム塩を得た。
【0138】
例5(iii)
【0139】
【化26】

THF中のメチル4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−β−D−マンノピラノシドナトリウム塩(例5(i))を、ピペットでTHF中の3,3,4,4,6,6,7,7,オクタフルオロ−5−オキソ−7−スルホニルフルオリド−ヘプタン酸ナトリウム塩(例5(ii))に加え、混合物を窒素雰囲気下RTで24時間攪拌した。霜状の黄色溶液を99%酢酸(6当量)で酸性化し、酢酸エチル(50mL)と水(30mL)を加えた。有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機洗浄物をまとめてMgSOで乾燥し、真空下で濃縮し無色の黄色油状物を得た。これを高真空下で3時間乾燥した。19F及びH NMRによって、反応で粗生成物中60%飽和EOM−マンノース−リンカーが得られたことを確認した。この物質をGilson自動逆相システムでの逆相HPLCによって精製した。画分を、ロータリーエバポレータで部分蒸発させ、凍結乾燥してメチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(5−オキサ−3,3,4,4,6,6,7,7−オクタフルオロデカン酸−7−スルホネート)−β−D−マンノピラノシドを綿状の白色固形物として得た(0.3g、30%)。
【0140】
H NMR:CDCl TMS基準;δ:ベンジリデンフェニル)、7.35(3H,ベンジリデンフェニル)、5.58(s,1H,ベンジリデン)、5.14(d,1H,H−2,J=2.7Hz)、4.80(2H,2二重線,EOM−CH,J=7.5Hz)、4.60(s,1H,H−1)、4.35(dd,1H,H−3,J=5,10.5Hz)、4.12(dd,1H,H−4,J=10.5,10Hz)、3.89(2H,2四重線,エチルCH)、3.70(2H,2つの二重線,H−6)、3.56(s,3H,1−OMe)、3.45(1H,ddd,H−5)、3.08(t,2H,CH−CF)、1.09(3H,t,メチル)。
【0141】
19F NMR(CDCl,CFCl基準):δ−82.5、−88.6、−114.3、−117.4。
【0142】
232612S 計算値C,40.72%;H,3.86%;F,22.4%。実測値:C,40.53%;H,3.94%;F,21.52。
【0143】
例5(iv)
【0144】
【化27】

ジイソプロピルエチルアミン(2ミリモル、0.26g)を、DCM(8mL)中のメチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(5−オキサ−3,3,4,4,6,6,7,7−オクタフルオロデカン酸−7−スルホネート)−β−D−マンノピラノシド(例5(iii))(0.442ミリモル、0.3g)、アミノメチル化PS樹脂(0.398ミリモル、0.265g)及びジフェニルホスフィン酸クロリド(0.885ミリモル、0.21g)の溶液に加えた。混合物をRTで3時間攪拌した。上清を濾別し、樹脂をジイソプロピルエチルアミン溶液(3×2mL)(DCM、36mL中20ミリモル)、DCM、次いでメタノールで5回洗浄した。最終的に樹脂を真空下で乾燥してメチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(5−オキサ−3,3,4,4,6,6,7,7−オクタフルオロデカン酸−7−スルホネート)−β−D−マンノピラノシドアミノポリスチレン樹脂アミドを得た。
【0145】
ゲル相19F NMR:CDCl ref CFCl: δ−82.4、−89.0、−114.3、−116.0。
【0146】
【表1】

実施例6
メチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(14−オキサ−12,12,13,13,15,15,16,16−オクタフルオロヘキサデカン酸−16−スルホネート)−β−D−マンノピラノシドアミノメチルフェニルArgopore樹脂アミドの調製
【0147】
【化28】

無水CHCl(1.5ml)中のArgopore(Argonaut Technologies社製、粒子径=134μm、800047、ロット00130、担持量:0.75ミリモル/g、200mg、0.15ミリモル)及びメチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(3−オキサ−12,12,13,13,15,15,16,16−オクタフルオロヘキサデカン酸−16−スルホネート)−β−D−マンノピラノシド(実施例1(ii))(157mg、0.195ミリモル)に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(50mg、67μL、0.39ミリモル)を加え、続いてジフェニルホスホリルクロリド(46mg、0.195ミリモル)を加えた。反応液を室温で18時間アルゴン雰囲気下で緩やかに攪拌した。樹脂を濾別し、CHCl(3×5ml)、CHOH(3×5ml)、EtO(5×5ml)で洗浄し、真空中40℃で24時間で乾燥した。これによって、メチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(14−オキサ−12,12,13,13,15,15,16,16−オクタフルオロヘキサデカン酸−16−スルホネート)−β−D−マンノピラノシドアミノメチルフェニルArgopore樹脂アミドを薄黄色固形物として得た(302mg、86%(重量))。
【0148】
担持量:理論値=0.472ミリモル/g。
【0149】
νmax(オン−ビーズ)/cm−1 2928m、1738s、1493w、1452m、1414m、1373m、1216s、1094s、1026s、919m。
【0150】
19F NMR(282MHz、CDCl、基準CFCl) δ:−82.07、−88.50、−113.65(幅広いピーク)。
【0151】
実施例7
メチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(14−オキサ−12,12,13,13,15,15,16,16−オクタフルオロヘキサデカン酸−16−スルホネート)−β−D−マンノピラノシドアミノエトキシTenta Gel樹脂アミドの調製
【0152】
【化29】

無水CHCl(2.5mL)中のTentagel S NH(Rapp Polymere社製、粒子径=130μm、S30 132、担持量:0.25ミリモル/g、200mg、0.05ミリモル)及びメチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(3−オキサ−12,12,13,13,15,15,16,16−オクタフルオロヘキサデカン酸−16−スルホネート)−β−D−マンノピラノシド(実施例1(ii))(84mg、0.104ミリモル)に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(26.8mg、36μL、0.208ミリモルを加え、続いてジフェニルホスホリルクロリド(24.6mg、0.104ミリモル)を加えた。反応液を室温で18時間アルゴン雰囲気下で緩やかに攪拌した。樹脂を濾別し、CHCl(3×5mL)、CHOH(3×5mL)、EtO(5×5mL)で洗浄し、真空中40℃で24時間乾燥した。これによって、メチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(14−オキサ−12,12,13,13,15,15,16,16−オクタフルオロヘキサデカン酸−16−スルホネート)−β−D−マンノピラノシドアミノエトキシTentaGel樹脂アミドを薄黄色固形物として得た(230mg、76%(重量))。
【0153】
担持量:理論値=0.21ミリモル/g。
【0154】
νmax(オン−ビーズ)/cm−1 3459br、2914m、2875m、1738m、1453m、1351m、1216m、1091s、948m。
【0155】
19F NMR(282MHz、CDCl、基準CFCl) δ:−82.03、−88.10、−113.92、−118.22。
【0156】
実施例8
メチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(14−オキサ−12,12,13,13,15,15,16,16−オクタフルオロヘキサデカン酸−16−スルホネート)−β−D−マンノピラノシドアミノエトキシArgogel Gel樹脂アミドの調製
【0157】
【化30】

無水CHCl(2.5ml)中のArgogel(Argonaut Technologies社製、800007、担持量:0.40ミリモル/g、200mg、0.08ミリモル)及びメチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(3−オキサ−12,12,13,13,15,15,16,16−オクタフルオロヘキサデカン酸−16−スルホネート)−β−D−マンノピラノシド(実施例1(ii))(55mg、0.065ミリモル)に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(17mg、23μL、0.13ミリモル)を加え、続いてジフェニルホスホリルクロリド(15.4mg、0.065ミリモル)を加えた。反応液を、室温で18時間アルゴン雰囲気下で緩やかに攪拌した。樹脂を濾別し、CHCl(3×5ml)、CHOH(3×5ml)、EtO(5×5ml)で洗浄し、40℃で24時間真空中で乾燥した。これによって、メチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(14−オキサ−12,12,13,13,15,15,16,16−オクタフルオロヘキサデカン酸−16−スルホネート)−β−D−マンノピラノシドアミノアルキルLCAA−CPG樹脂アミドを薄黄色固形物として得た(244mg、70%(重量))。
【0158】
担持量:理論値=0.30ミリモル/g。
【0159】
νmax(オン−ビーズ)/cm−1 3483br、2914m、2873m、1738m、1454m、1350m、1216m、1092s、948m。
19F NMR(282MHz、CDCl、基準CFCl) δ:−82.01、−88.08、−113.91、−118.20。
【0160】
実施例9
メチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(14−オキサ−12,12,13,13,15,15,16,16−オクタフルオロヘキサデカン酸−16−スルホネート)−β−D−マンノピラノシドアミノアルキルLCAA−CPG樹脂アミドの調製
【0161】
【化31】

無水CHCl(2mL)中の長鎖アルキルアミノ細孔径制御ガラス(LCAA−CPG、Link Technologies社製、担持量:0.092ミリモル/g、200mg、0.0184ミリモル)とメチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(3−オキサ−12,12,13,13,15,15,16,16−オクタフルオロヘキサデカン酸−16−スルホネート)−β−D−マンノピラノシド(実施例1(ii))(30mg、0.037ミリモル)に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(9.5mg、13μL、0.074ミリモル)を加え、続いてジフェニルホスホリルクロリド(9mg、0.037ミリモル)を加えた。反応液を、室温で18時間アルゴン雰囲気下で緩やかにまわした(ガラスビーズの破砕を避けるため攪拌はしなかった)。樹脂を濾別し、CHCl(3×5mL)、CHOH(3×5mL)、EtO(5×5mL)で洗浄し、真空中40℃で24時間乾燥した。これによって、メチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(14−オキサ−12,12,13,13,15,15,16,16−オクタフルオロヘキサデカン酸−16−スルホネート)−β−D−マンノピラノシドアミノアルキルLCAA−CPG樹脂アミドを白色固形物として得た(212mg、80%(重量))。
【0162】
担持量:理論値=0.086ミリモル/g。
【0163】
実施例10〜21
樹枝上の反応に利用可能なアミノ基に対して化学量論量未満の糖リンカーを用いた糖リンカー担持量の低い樹脂リンカー糖の合成(実施例10、12、14、16、18、20)。
【0164】
化学量論的担持量未満の糖リンカーでの樹脂上の未反応アミノ基のアセチル封鎖(実施例11、13、15、17、19、21)。
【0165】
ジクロロメタンでなくアセトニトリル中での樹脂上の糖リンカーへの担持(実施例20、21)。
【0166】
実施例10〜19の一般的合成手順
大型濾過チューブ中での乾燥ジクロロメタン中の実施例1(ii)と同様に調製したメチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(3−オキサ−12,12,13,13,15,15,16,16−オクタフルオロヘキサデカン酸−16−スルホネート)−β−D−マンノピラノシドを、アミノポリスチレン樹脂(NovaBiochem 01−64−0143 1.4ミリモル/g)、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)及びジフェニルホスフィン酸クロリド(DppCl)で順次処理した。反応液をブラッドホイール上で室温で4時間攪拌した。
【0167】
反応液を濾別し、樹脂をジクロロメタンとメタノール(3回)で順次洗浄した。樹脂を高真空下で恒量になるまで乾燥してメチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(3−オキサ−12,12,13,13,15,15,16,16−オクタフルオロヘキサデカン酸−16−スルホネート)−β−D−マンノピラノシドアミノポリスチレン樹脂アミドを得た。
【0168】
封鎖−一般的手順 実施例11、13、15、17、19、21
実施例10、12、14、16、18及び20で得られたサンプルを、ブラッドホイール(実施例10、12、14、16、18)上の反応管又は回転式振盪機上の密封三角フラスコ(実施例20)内で、DCM中の無水酢酸及びピリジンで2日間処理した。反応液を濾別し、樹脂をジクロロメタンとメタノール(3回)で順次洗浄した。Kaiser試験で、樹脂が若干の遊離第一級アミンを含有していることが認められた。これはTNBSAでのカラー試験で確認した。これらの樹脂を同じ手順で再度無水酢酸及びピリジンと2日間反応させた。反応液を濾別し、樹脂をジクロロメタンとメタノール(3回)で順次洗浄した。樹脂を高真空下で恒量になるまで乾燥して、封鎖メチル−4,6−O−ベンジリデン−3−エトキシメチル−2−(3−オキサ−12,12,13,13,15,15,16,16−オクタフルオロヘキサデカン酸−16−スルホネート)−β−D−マンノピラノシドアミノポリスチレン樹脂アミドを得た。これらの樹脂上の遊離アミノ基について、Kaiser試験では陰性であった。
【0169】
実施例20〜21の一般的手順
但し、実施例10〜19については溶媒として乾燥アセトニトリルを使用した。
【0170】
実施例10〜21の合成で使用した試薬量(表1)
【0171】
【表2】

実施例10〜21について分析データを集めた。
【0172】
NMR
ゲル相19F NMRサンプルは、CDCl中で、CFClを基準として128スキャン用いて実施例1(Viii)と同様に調製した。
【0173】
実施例10、11、12、13、14、15、20及び21はδ=−82.5、−88.5、−114.4、−118.8で4つのピークを示した。実施例16及び実施例17のスペクトルは128スキャンで明瞭な解像度のピークはみられなかった。実施例18又は実施例19のスペクトルは得なかった。実施例20及び実施例21の洗液のスペクトルのSN比は実施例12と実施例14の中間であった。
【0174】
フッ素元素分析
実施例22に記載の手順1及び2を用いた。
【0175】
【表3】

実施例22
放射性標識
18F−フルオリドでの樹脂の処理におけるFDGの収率測定の手順1
炭素ガラス反応容器を真ちゅう製ヒーター内に入れ、ポットの蓋(蒸発、窒素気流及び試薬の添加ができるように3つのラインを取り付けたもの)を締め、系全体の漏れ試験を行った。アセトニトリル(300ul)中のKryptofix(22mg)と水(300ul)の中の炭酸カリウム(8mg)を、プラスチックシリンジ(1ml)を用いて炭素ガラス反応容器に移した。18F−フルオリドを加えて125℃に加熱した。15分経過後、アセトニトリル(0.5ml)を3アリコートずつ1分間隔で加えた。18F−フルオリドを合計40分間乾燥した。ヒーターを室温まで冷却し、ポットの蓋を取り外し、アセトニトリル(0.2ml)を加えた。ポットの蓋をもとに戻して、ラインをストッパーでキャップした。ヒーターを100℃、10分間に設定して18F−フルオリドを再溶解した。もう一度室温に冷却後、プラスチックシリンジ(1ml)を用いて、アセトニトリル(0.2ml)を、樹脂(20〜25mg)を入れた第2の炭素ガラス反応容器に移した。この炭素ガラス容器を電離箱に移し、標識活性を測定した。炭素ガラス容器を真ちゅう製ヒーターに戻し、キャップをしたポットの蓋を締めた。反応液を4分間かけて86℃に加熱し、次いで圧縮空気で冷却した。ポットの蓋を取り外し、アセトニトリル(1ml)を加えて、反応容器中での活性を測定した。プラスチックシリンジ(5ml)とベージュ針(19G×2”)を用いて、樹脂を混合し、プラスチックシリンジ(5ml)に引き込んだ。次いで焼結シリンジを通して反応混合物を回収バイアルに注入した。反応容器を追加量のアセトニトリル(0.5ml)で洗浄し、これを焼結シリンジに通した。回収バイアル内の活性を測定し、また樹脂及び焼結シリンジ上の活性も測定した。
【0176】
保護糖への18F−フルオリドの取り込み収率を求めるためRP HPLC分析用サンプルを採取した。
【0177】
18F−フルオリドでの樹脂の処理におけるFDGの収率測定の手順2
試験する樹脂(30mg)を小さなテフロン(登録商標)カートリッジ2cm×2.5mm内径(id)に詰める。これを、乾燥MeCNで予め平衡化しておいたHPLCシステムに取り付け、流量を50ul/分にした。カートリッジを、カートリッジ温度を85℃に上げるように設定したHPLCカラムヒーター内に置く。
【0178】
Kryptofix 222(12.7mg)、炭酸カリウム水溶液(100ul)(水1ml中炭酸カリウム13.4mg)、アセトニトリル(0.5ml)及びO−18水(1ml)中の37mmBqの無担体F−18フルオリドの混合物を、乾燥用容器内に入れた。乾燥窒素流下125℃で10分間加熱して揮発性溶媒を蒸発させ、残留物を冷却し、次いで乾燥アセトニトリル(1ml)に再溶解した。この工程を3回繰り返して少量の水を除去し、最後に乾燥残留物を1mlのアセトニトリルに溶解した。
【0179】
アセトニトリル(100ul)中のF−18フルオリドのこの溶液を、HPLC注入バルブを用いてカートリッジに注入した。その結果、フルオリドの放射性溶液がカートリッジ内を流れ、それに伴って樹脂と反応する。溶出液を放射計とUV検出器を用いてモニターする。生成物は2分以内に約1カートリッジ分の体積でカラムから流出し、放射性生成物を集め、続いて逆相HPLC分析とTLC分析にかける。F−18保護フルオロデオキシグルコースと遊離18−フルオリドの比を用いて放射化学的収率を推定した。この方法は、反応で他の化学種が生成したか否かも示す。
【0180】
結果
リンカーのCH数の関数としての保護FDGの放射化学的収率
【0181】
【化32】

フッ素イオンでの実施例(1〜5)の処理における保護FDGの収率を表3に示す。
【0182】
【表4】

放射化学的収率に対する担持量、担持用及び封鎖用溶媒の効果の結果
フッ素イオンによる実施例(10〜21)の処理の際の保護FDGの収率は、担持量が最大に届かないと放射化学的収率が低下し、担持量が最大に届かない場合、封鎖ステップ(実施例11、13、15、17、19及び21と同様に)を実施するのが有利であることを示した。
【0183】
実施例23
脱保護手順
次いで樹脂から溶出した溶液を、シリカSepPakカートリッジに通してフルオリドを除去した。回収した溶液を清浄な炭素ガラス反応容器に入れ、放射能を電離箱中で測定した。次いで炭素ガラス容器を100℃に10分間加熱して溶媒を蒸発させ、次いで冷却した。HCl(6M、0.5ml)を加え、密閉系で120℃で5分間加熱した。NaOHで中和した後、反応混合物をイオンクロマトグラフィーで分析した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物。
【化1】

式中、P、P、P及びPは各々独立に水素又は保護基であり、nは2〜20の整数である。
【請求項2】
nが4〜12である、請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
nが6〜10である、請求項1又は請求項2記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
nが10である、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
2−18F−フルオロ−2−デオキシ−D−グルコース(18F−FDG)の製造方法であって、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の式(I)の化合物を18で処理して式(II)の標識トレーサを作製するステップと、
【化2】

(式中、P、P、P及びPは各々独立に水素又は保護基である。)
次いで適宜
(i)過剰の18を、例えばイオン交換クロマトグラフィーで除去するステップ、及び/又は
(ii)上記保護基を除去するステップ、及び/又は
(iii)有機溶媒を除去するステップ、及び/又は
(iv)得られた式(II)の化合物を水溶液として製剤化するステップ
を含む方法。
【請求項6】
PET使の18F−FDGの調製のための放射性医薬キットであって、
(v)請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の式(I)の化合物を含む容器と、
(vi)容器を18源で溶出する手段と、
(vii)過剰の18を除去するためのイオン交換カートリッジと、
適宜
(viii)請求項5記載の方法で得られた式(II)の生成物の固相脱保護のためのカートリッジ
を含む放射性医薬キット。
【請求項7】
PET用18F−FDGの調製のための放射性医薬キット用カートリッジであって、
(i)請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の式(I)の化合物を含む容器と、
(ii)容器を18源で溶出する手段
とを含む放射性医薬キット用カートリッジ。
【請求項8】
請求項6又は請求項7記載の放射性医薬キット又は放射性医薬キット用カートリッジを使用するステップを含む、診断用PET画像の取得方法。

【公表番号】特表2007−500688(P2007−500688A)
【公表日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521666(P2006−521666)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【国際出願番号】PCT/GB2004/003287
【国際公開番号】WO2005/012319
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(305040710)ジーイー・ヘルスケア・リミテッド (99)
【Fターム(参考)】