説明

園芸工具

【課題】
本発明の目的は、重負荷時の駆動源の動力不足を補う作業性の良い園芸工具を提供する。
【解決手段】
回転駆動源6と、回転駆動源6からの回転力を受けて動作する作業部4を備えた園芸工具において、長尺バーの一端に着脱可能に取付けられる作業部が刈払機、チェーンソー、ヘッジトリマ、エッジャなどの動作の異なるものである場合に、作業部、作業状況に応じて回転トルクを増幅させ、作業性を向上させることができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転駆動源からの回転力を受けて動作する作業部を備えた刈払機等の園芸工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンや電動モータを駆動源とする刈払機は、長尺バーの先端へ作業部となるスピンドルの下端に草や枝を刈り込むための刈刃を結着し、回転駆動源へ長尺バーの他端に連結して構成され、刈刃に動力を伝達して該刈刃を回転駆動するものが一般的である。
【0003】
また、前記作業部は先端工具のアタッチメント化により、刈払はもちろん、小型のチェーンソー、ヘッジトリマ、エッジャを取付けることができ、高所の枝剪定、植木の刈り込み作業も可能となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した刈払機は、平地はもとより、傾斜地、山地などでも使用される。
【0005】
作業内容としては草刈りが主であるが、頻繁に草刈りを行っている所は軽負荷状態で使用できるが、手入れがされていない所は草の丈が高く密度が多いため重負荷で使用される。
【0006】
前記軽負荷時は何ら問題は無いが、重負荷時は駆動源の動力不足となり、駆動部が停止することもあった。
【0007】
また、長尺バーの一端に着脱可能に取付けられる作業部が刈払機、チェーンソー、ヘッジトリマ、エッジャなどの動作の異なるものである場合には、作業に応じて異なる回転トルクが要求される場合がある。
【0008】
本発明の目的は、上記した従来技術の欠点をなくし、駆動源の動力を有効に活用し、作業性の良い園芸工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、回転駆動源と、前記回転駆動源からの回転力を受けて動作する刈刃等の作業部を備えた園芸工具において、変速機構部を設け回転トルクを増減可能にしたことにより達成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、重負荷時は変速機構部により減速し、作業部の先端工具の回転を落とし回転トルクを増幅させることができ、作業性を良くすることができる。
【0011】
また、長尺バーの一端に着脱可能に取付けられる作業部が刈払機、チェーンソー、ヘッジトリマ、エッジャなどの動作の異なるものである場合には、作業部、作業状況に応じて回転トルクを変更することができ、作業性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施形態に係るアタッチメント式コードレス刈払機の側面図、図2は図1の駆動部拡大断面図A、図3は図1の駆動部拡大断面図Bである。
図1に示すアタッチメント式コードレス刈払機は、主操作部2のシャフトパイプ3の先端に刈刃アタッチメント4をジョイント5によって着脱可能に装着して構成される。主操作部2は、シャフトパイプ3とその上端部に固定された駆動部6とで構成されており、図2に示すように駆動部6内にはモータ15とバッテリ22、及び変速部14が収納されている。
変速部14はモータシャフト15aに固着した小ギヤM17と大ギヤM16と駆動シャフト18側に前後移動可能に嵌合させた小ギヤS19と大ギヤS20を有すると共に、小ギヤS19、大ギヤS20を移動するチェンジノブ21から構成される。大ギヤM16と小ギヤS19(図2の状態)、小ギヤM17と大ギヤS20(図3の状態)が連結することにより、モータ15の回転トルクは駆動シャフト18に伝達される。図2の状態では駆動シャフト18は通常回転となり、図3の状態では駆動シャフト18は減速されるため高回転トルクの状態で回転する。
【0013】
尚、シャフトパイプ3の内部には、駆動シャフト18が挿通しており、シャフトパイプ3の長手方向中間部の外周には主ハンドル7が結着されており、この主ハンドル7にはモータ15を起動/停止するためのスイッチ8が取付けられている。
【0014】
更に、シャフトパイプ3の主ハンドル7の前方には補助ハンドル9が着脱可能に固定され、この補助ハンドル9と主ハンドル7の間には肩掛バンド10が取付けられている。
一方、刈刃アタッチメント4は、ギヤボックス11を備えており、ギヤボックス11にはシャフトパイプ12が斜めに上方から差し込まれて固定されている。尚、図示しないが、シャフトパイプ12内には従動シャフトが挿通しており、従動シャフトは、ギヤボックス11内に収納されたベベルギヤを介してスピンドルに連結されており、スピンドルの下端部には円板状の刈刃13が結着されている。刈刃アタッチメント4をジョイント5によって主操作部2に装着することによって図1に示すアタッチメント式コードレス刈払機1が構成されるが、このとき同時に主操作部2の駆動シャフト18と刈刃アタッチメント4の従動シャフトが連結される。尚、当該アタッチメント式コードレス刈払機1においては、ジョイント5によって連結されたシャフトパイプ3及び,シャフトパイプ12が長尺バーを構成している。
【0015】
次に、以上のように構成されたアタッチメント式コードレス刈払機1の動作を説明する。刈払作業時、肩掛けバンド10を肩に掛け、主ハンドル7と補助ハンドル9を握り、主ハンドル7に設けられたスイッチ8をONにすると、駆動部6に内蔵されたバッテリ22からモータ15に給電されてモータ15が起動され、その回転は変速部14によって変速されて駆動シャフト18に伝達され、この駆動シャフト18の回転は刈刃アッタッチメント4の従動シャフトに伝達され、該従動シャフトが所定の回転数で回転駆動される。
【0016】
そして、この従動シャフトの回転は、ギヤボックス11に内蔵されたベベルギヤによって方向が変えられてスピンドルへと伝達され、該スピンドルとこれに結着された刈刃13が所定の速度で回転駆動され、回転する刈刃13によって草や枝が刈り込まれる。
【0017】
このとき、変速部14が図3の状態の時は上記したように、モータ15は減速されるため、刈刃13は高回転トルクの状態で回転することになり、重切削が可能となり刈払作業を作業性良く行うことができる。
【0018】
図1に示すコードレス刈払機1は、ジョイント5に着脱可能な刈刃アタッチメント4(刈払機)を取付けた状態を示すが、ジョイント5に着脱可能なアタッチメントは、チェーンソー、ヘッジトリマ、エッジャなどであっても良い。
【0019】
ヘッジトリマでは刈り込みを行う枝木、チェーンソーでは切削対象となる切削材、エッジャでは対象となる土壌などによっては、高い回転トルクが要求される場合があり、本発明ではこのようにジョイント5に取付ける作業部によって回転トルクを変更することができ、作業性を向上させることができるものである。
【0020】
また、上記実施形態ではシャフトパイプ3、12の間にジョイント部5を設けた構成としたが、特開平8−172909に示すようにシャフトパイプの先端のギヤボックス11に種類の異なる作業部を着脱可能な構成としても良いものであり、上記実施形態と同様の作用効果を奏し得るものである。
【0021】
また、上記実施形態では、駆動部6がモータであるが、エンジンであっても良い。但し、駆動部6がモータである場合には、回転トルクが小さい状態で重負荷作業を連続するとモータの焼損が発生しやすいものであるため、回転トルクを変更することでモータの焼損を抑制することができ、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明園芸工具の一実施形態を示す側面図。
【図2】図1の駆動部の一実施形態を示す要部拡大断面図。
【図3】図2の一動作状態を示す図1の要部拡大断面図。
【符号の説明】
【0023】
2…主操作部、4…刈刃アタッチメント、5…ジョイント、6…駆動部、13…刈刃、15…モータ、15a…モータ軸、16…大ギヤM、17…小ギヤM、19…小ギヤS、20…大ギヤS、21…チェンジノブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動源と、前記回転駆動源からの回転力を受けて動作する刈刃等の作業部を備えた園芸工具において、変速機構部を設け回転トルクを増減可能にしたことを特徴とする園芸工具。
【請求項2】
前記回転駆動源と前記作業部との間に長尺バーを有し、該長尺バーの一端に前記作業部が着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の園芸工具。
【請求項3】
前記作業部は、刈払機、ヘッジトリマ、エッジャー、チェーンソーなど動作の異なる数種類の作業部であるものであることを特徴とする請求項2記載の園芸工具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−11741(P2010−11741A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−171787(P2008−171787)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000005094)日立工機株式会社 (1,861)
【Fターム(参考)】