説明

土中水分量センサ、および土中水分量計測システム

【課題】
本発明の課題は、地中の土壌の水分含有量および浸水水位を高精度で連続的に計測できる土中水分量センサ、および土中水分量計測システムを提供することにある。
【解決手段】
土壌の水分量を検出する土中水分量センサであって、一方面が閉塞され、他方面が開放された筒状の筐体と、前記筐体の側壁に設けられる一対の電極と、前記筐体の1断面を占有するように配置され、前記土壌を構成する土粒子よりも小さい開口を有する仕切部材と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土壌の水分含有量および浸水水位を検出する土中水分量センサ、および該土中水分量センサを用いて土壌の水分含有量および浸水水位を計測する土中水分量計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
地中の土壌は、水分を含まない乾燥状態から、降雨などにより、適度に水分を含む湿潤状態となり、やがて土壌の水分含有量が飽和して土壌が水に浸る浸水状態となる。土砂崩れなどが懸念される地域では、地中の土壌の水分含有量および浸水水位(水分量)を高精度でモニタしていくことが必要である。
【0003】
地中の土壌の水分量を計測する方法としては、水分含有量センサおよび水位センサを地中に埋設して用いる方法が考えられる。水分含有量センサは、例えば、対向配置された一対の電極を有し、電極間に配置された土壌の水分含有量変化を、静電容量変化として検出する(例えば特許文献1、および2)。水位センサは、例えば、圧力センサを有し、浸水水位の変化を、水深に応じた水圧の変化として検出する(例えば間隙水位計など)。水分含有量センサは土壌の水分含有量が飽和するまでの水分量が検出範囲となり、水位センサは土壌の水分含有量が飽和してからの水分量が検出範囲となる。低コストで容易に土壌の水分量を検出するためには、土壌の水分含有量および浸水水位を連続的に検出できる水分量センサが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−064933号公報
【特許文献2】特開2008−224450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、地中の土壌の水分含有量および浸水水位を高精度で連続的に計測できる土中水分量センサ、および土中水分量計測システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、
土壌の水分量を検出する土中水分量センサであって、
一方面が閉塞され、他方面が開放された筒状の筐体と、
前記筐体の側壁に設けられる一対の電極と、
前記筐体の1断面を占有するように配置され、前記土壌を構成する土粒子よりも小さい開口を有する仕切部材と、を有する土中水分量センサ、が提供される。
【発明の効果】
【0007】
地中の土壌の水分含有量および浸水水位を高精度で連続的に計測できる土中水分量センサ、および土中水分量計測システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1Aおよび1Bは、第1の土中水分量センサの側面断面図、および下面図である。
【図2】図2は、第2の土中水分量センサの側面断面図である。
【図3】図3は、第1,2の土中水分量センサを含む土中水分量計測システムのブロック図である。
【図4】図4A〜4Cは、従来の水分含有量センサを地中に埋設した様子を示すダイアグラムであり、図4Dは、従来の水分含有量センサが検出する比誘電率変化を示すグラフである。
【図5】図5A〜5Cは、第1の土中水分量センサを地中に埋設した様子を示すダイアグラムであり、図5Dは、第1の土中水分量センサが検出する比誘電率変化を示すグラフである。
【図6】図6A〜6Dは、第2の土中水分量センサを地中に埋設した様子を示すダイアグラムであり、図6Eは、第2の土中水分量センサが検出する比誘電率変化を示すグラフである。
【図7】図7Aおよび7Bは、本発明者らが提供する土中水分量センサの他の例を示す下面図、および側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1Aおよび1Bは、本発明者らが提供する第1の土中水分量センサの構成を示す側面断面図および下面図である。なお、図1Aに示す側面断面図は、図1BにおけるIA−IA断面を示す。第1の土中水分量センサは、下面が開放された円筒型容器形状の筐体1と、筐体1の側壁に間隙部2aを有して対向配置される一対の電極2と、一対の電極2が対向する領域に配置され、被測定土壌の土粒子径よりも小さい開口を有する仕切部材3と、によって構成される。仕切部材3は、一対の電極2が対向する領域を領域10,11に区画し、当該センサを地中に埋設する際、領域11への土壌の侵入を防ぐ役割を果たす。仕切部材3は、強度の高い金属、例えばステンレスなどにより構成され、被測定土壌の土粒子径よりも小さい網目を有するメッシュ板などが好ましい。筐体1は、有機樹脂等で構成され、上面には空気抜きのための防水通気性膜1a等を備えていることが好ましい。また、一対の電極2は、腐食耐性の向上および絶縁性の担保のため有機絶縁膜等によりコーティングされていることが好ましい。
【0010】
図2は、本発明者らが提供する第2の土中水分量センサの構成を示す側面断面図である。第2の土中水分量センサは、第1の土中水分量センサの構成に加え、さらに筐体1の上面に弾性体4を介して接続される誘電部材5を備える。弾性体4は、例えばステンレス等により構成されたベローズ構造を用いることが可能である。誘電部材5は、有機樹脂、例えばシリコンゴム等により構成され、少なくともその一部が一対の電極2間の上方領域にかかるよう配置される。誘電部材5は、弾性体4を介して筐体1の上面に接続されているため、押圧ないし自重によって上下方向に移動することが可能である。なお、一対の電極2が対向する領域において、仕切部材3によって区切られた領域を領域10,11とし、さらに誘電部材5の重力と弾性体4の弾性力が均衡している状態で、誘電部材5が一対の電極2が対向する領域にかかる領域を領域12とする。
【0011】
これらの土中水分量センサを地中に埋設すると、地中の土壌を構成する土粒子は、筐体1の下面が開放されているため仕切部材3よりも下方の領域(領域10)には侵入できるが、土粒子よりも小さい開口を有する仕切部材3が配置されているため仕切部材3よりも上方の領域(領域11)には侵入することができない。ただし、領域10に侵入している土壌が徐々に水分を含み、やがて土壌の水分含有量が飽和すると、土壌の水分含有量を飽和した水は、仕切部材3を透過して、領域11に侵入することができる。つまり、これらの土中水分量センサの仕切部材3は、地中の水分量に対応して土壌の土成分と水成分を分離する役割を果たす。
【0012】
図3は、本発明者らが提供する土中水分量センサを含む土中水分量計測システムの一例を示すブロック図である。地中に埋設され、一対の電極間に水分含有量が異なる土壌や水などが配置される土中水分量センサは、図に示すようにそれぞれ異なる誘電体を含むコンデンサを並列接続した回路として等価にみなすことが可能である。土中水分量センサの一対の電極間の水分量変化は、この等価回路の合成静電容量変化に対応している。したがって、土中水分量センサと、土中水分量センサが検出する静電容量を地中の水分量に変換する変換部と、を組み合わせることにより地中の水分量を計測することが可能である。この水分量変換部は、例えば、交流電圧を出力するオシレータ(OSC)と、入力された電流を電圧に変換して出力する電圧変換回路と、入力されたアナログ電圧をデジタル変換して出力するA/Dコンバータと、所定の電圧値と水分量との変換テーブルを備え、入力された電圧値に対応する水分量を出力する水分量変換器と、により構成される。土中水分量計測システムは、具体的には、オシレータ(OSC)から出力される矩形ないし正弦波の交流電圧を土中水分量センサに印加し、土中水分量センサの静電容量に応じて流れる電流を、例えば抵抗やコンデンサ、ダイオードにより構成される電圧変換回路により電圧に変換する。これより後段においては、電圧変換回路から出力された電圧をA/Dコンバータによりデジタル変換し、デジタル化された電圧値と地中の水分量との変換対応テーブルを参照して、地中の水分量を導出する。
【0013】
本発明者らは、従来の水分含有量センサおよび第1,2の土中水分量センサを用いた水分量計測についてシミュレーションを行った。なお、従来の水分含有量センサとは、本発明者らが提供する第1の土中水分量センサの構成において、仕切部材3を取り除いた構成である。第1,2の土中水分量センサは、例えば外径30mm以下、全長5cm程度を想定する。仕切部材3はメッシュ板とし、メッシュ板3の網目は直径10〜200μm、弾性体4の弾性定数は0.5〜2.0N/mm、誘電部材5のサイズは外形10mm×全長20mm程度を想定する。
【0014】
図4A〜4Cは従来の水分含有量センサが地中に埋設された様子を示すダイアグラムである。ここで、地中の土壌を、水分を全く含まない乾燥土壌(水分含有量0%、比誘電率ε1)と、水分を適度に含む湿潤土壌(水分含有量0より大きく100%未満、比誘電率ε2)と、水分含有量が飽和した水分飽和土壌(水分含有量100%、比誘電率ε3)と、に区別する。湿潤土壌の比誘電率ε2は、ε1<ε2<ε3の範囲をとり得る。地中の土壌が全く水分を含まない状態、つまり乾燥土壌によって構成される状態を状態0とする。
【0015】
図4Aは、土壌が下方から徐々に水分を含み、一対の電極2間の下方領域の土壌が徐々に湿り始める状態を示す。筐体1の下面が開放されているため一対の電極2間の領域には土壌が充填し、その上方から下方にかけて乾燥土壌21、湿潤土壌22および水分飽和土壌23が充填している状態となる。
【0016】
図4Bは、土壌が下方からさらに水分を含み、一対の電極2間の領域に湿潤土壌22および水分飽和土壌23が充填している状態を示す(状態1)。一対の電極2間の領域には、その上方から下方にかけて湿潤土壌22および水分飽和土壌23が充填している状態となる。
【0017】
図4Cは、土壌が下方からさらに水分を含んで水分飽和土壌23の上端位置(浸水水位)が上昇し、一対の電極2間に水分飽和土壌23が充填している状態を示す(状態2)。これよりさらに浸水水位が上昇すると、従来の水分含有量センサ自体が完全に水分飽和土壌23に埋もれる状態(状態3)となる。
【0018】
図4Dは、状態0〜3において、従来の水分含有量センサが検出する比誘電率変化を示すグラフである。一対の電極2間の領域に水分含有量が異なる土壌が充填される水分含有量センサは、所定の比誘電率を有する誘電体を含むコンデンサとみなすことが可能である。コンデンサの静電容量は、電極面積、電極間距離および電極間に配置される誘電体の比誘電率によって決定される。従来の水分含有量センサが検出する比誘電率変化は、このコンデンサにおける静電容量変化の代替パラメータとみなすことが可能である。乾燥土壌の比誘電率ε1は土質に依存するが約5〜10程度であり、ここではε1を10程度と想定する。また、水分飽和土壌の比誘電率ε3も土質に依存し約30〜40程度であり、ここではε3を30程度と想定する。湿潤土壌の比誘電率ε2はε1(10)より大きくε3(30)未満の範囲をとり得る。従来の水分含有量センサが検出する比誘電率は、土壌の水分含有量に応じて状態0の比誘電率10〜状態2の比誘電率30の範囲をとり得る。状態2よりもさらに浸水水位が上昇しても、一対の電極間に充填される土壌の水分含有量は飽和し、比誘電率変化も飽和しているため、それ以上の水分量変化を検出することはできない。
【0019】
図5A〜5Cは、第1の土中水分量センサが地中に埋設された様子を示すダイアグラムである。地中の土壌が、全く水分を含まない状態を状態0とする。
【0020】
図5Aは、土壌の下方から徐々に水分を含み、第1の土中水分量センサの電極部分にかかる土壌が湿り始める状態を示す。なお、水分飽和土壌23の上端位置(浸水水位)は、メッシュ板3が配置される位置よりも低い位置である。土壌は、筐体1の下面が開放されているため領域10には侵入できるが、土壌を構成する土粒子よりも小さい網目を有するメッシュ板3が配置されているため領域11には侵入することができない。したがって、第1の土中水分量センサは、領域10には水分含有量の異なる土壌が充填し、領域11には予め封入されている空気24(比誘電率ε4)が充填している状態となる。土壌が下方からさらに水分を含むと、水分飽和土壌23の上端位置は徐々に上昇し、やがてメッシュ板3が配置される位置と同じ位置になる(状態1)。
【0021】
図5Bは、土壌が下方からさらに水分を含み、水分飽和土壌23の上端位置(浸水水位)が、メッシュ板3が配置される位置よりも高い位置まで上昇している状態を示す。図5Aと同様に、土壌は、筐体1の下端面が開放されているため領域10には侵入できるが、土壌を構成する土粒子よりも小さい網目を有するメッシュ板3が配置されているため領域11には侵入することができない。ただし、土壌の水分含有量を飽和した水25は、メッシュ板3を透過し、水分飽和土壌23の上端位置まで領域11に侵入することができる。したがって、第1の土中水分量センサは、領域10には水分飽和土壌23が充填し、領域11の下方の領域には水25(比誘電率ε5)が充填し、領域11の残りの領域には空気24が充填している状態となる。
【0022】
図5Cは、土壌が下方からさらに水分を含んで浸水水位が上昇し、第1の土中水分量センサの電極部分が水没している状態を示す(状態2)。第1の土中水分量センサは、領域10には水分飽和土壌23が充填し、領域11には水25が充填している状態となる。これよりさらに浸水水位が上昇すると、第1の土中水分量センサ自体が完全に水分飽和土壌23に埋もれる状態(状態3)となる。
【0023】
図5Dは、状態0〜3において、第1の水分量センサが検出する比誘電率変化を示すグラフである。一対の電極2間に水分含有量が異なる土壌や空気、水などが配置される第1の土中水分量センサは、所定の比誘電率を有する誘電体を含むコンデンサを並列接続した回路として等価にみなすことが可能である。第1の水分量センサが検出する比誘電率変化は、この等価回路における合成静電容量変化の代替パラメータとみなすことが可能である。ここで、領域10,11を等分に区画した場合を想定する。空気24の比誘電率ε4は約1であり、水25の比誘電率ε5は約80程度である。第1の土中水分量センサが検出する比誘電率は、地中の水分量に応じて状態0の合成比誘電率5.5(=(ε1+ε4)/2)から状態1の合成比誘電率15(=(ε3+ε4)/2)、さらに状態2の合成比誘電率55(=(ε3+ε5)/2)までの範囲をとり得る。従来の水分含有量センサと同様に、状態2を超えた水分量変化を検出することはできないが、従来の水分含有量センサと比べて検出レンジが広がっていることがわかる。第1の土中水分量センサは、地中の水分量計測の精度向上に寄与するであろう。
【0024】
図6A〜6Eは、第2の土中水分量センサが地中に埋設された様子を示すダイアグラムである。地中の土壌が、全く水分を含まない状態を状態0とする。
【0025】
図6Aは、土壌が下方から徐々に水分を含み、第2の土中水分量センサの電極部分にかかる土壌が湿り始める状態を示す。なお、水分飽和土壌23の上端位置(浸水水位)は、メッシュ板3が配置される位置よりも低い位置である。第2の土中水分量センサは、領域10には水分含有量の異なる土壌が、領域11には空気24が充填され、さらに領域12には誘電部材5が配置されている状態となる。土壌が下方からさらに水分を含むと、水分飽和土壌23の上端位置は徐々に上昇し、やがてメッシュ板3が配置される位置と同じ位置になる(状態1)。
【0026】
図6Bは、土壌が下方からさらに水分を含み、水分飽和土壌23の上端位置(浸水水位)が、メッシュ板3が配置される位置よりも高い位置まで上昇している状態を示す(状態2)。第2の土中水分量センサは、領域10には水分飽和土壌23が、領域11には水25が充填され、さらに領域12には誘電部材5が配置されている状態となる。
【0027】
図6Cは、土壌が下方からさらに水分を含んで浸水水位が上昇し、第2の土中水分量センサの電極部分が水没している状態を示す。浸水水位が上昇し、領域12に水25が侵入してくるようになると、誘電部材5には徐々に水圧がかかるようになる。誘電部材5は、筐体1の上面に弾性体4により接続されているため、水圧と弾性体4の弾性力が均衡する位置まで上方に移動する。したがって、第2の土中水分量センサは、領域10には水分飽和土壌23が充填され、領域11には水25が充填され、領域12の下方の領域には水25が充填され、領域12の残りの領域には誘電部材5が配置されている状態となる。
【0028】
図6Dは、さらに浸水水位が上昇し、第2の土中水分量センサ自体が完全に水分飽和土壌に埋もれている状態を示す(状態3)。浸水水位がさらに上昇し、第2の土中水分量センサの相対的な水深が深くなると、誘電部材5には水深に応じた水圧がかかるようになる。誘電部材5が領域12よりも上方に移動する、または弾性体4の縮状態が限界に達するまで、領域12における水25の占領比率は増加し続ける。
【0029】
図6Eは、状態0〜3において、第2の水分量センサが検出する比誘電率変化を示すグラフである。一対の電極2間に水分含有量が異なる土壌や空気、水、誘電部材などが配置される土中水分量センサは、それぞれ異なる比誘電率を有するコンデンサを並列接続した回路として等価にみなすことが可能である。第2の水分量センサが検出する比誘電率変化は、この等価回路における合成静電容量変化の代替パラメータとみなすことが可能である。例えば、領域10〜12を等分に区画する場合を想定し、誘電部材5の比誘電率ε6を約4とする。また、状態3で、誘電部材5が領域12の半分を占領するものとする。第2の土中水分量センサが検出する比誘電率は、地中の水分量に応じて状態0の合成比誘電率5(=(ε1+ε4+ε6)/3)から状態1の合成比誘電率11.7(=(ε3+ε4+ε6)/3)、状態2の合成比誘電率38(=(ε3+ε5+ε6)/3)、状態3の合成比誘電率50.7(=(ε3+1.5×ε5+0.5×ε6)/3)までの範囲をとり得る。このように、第2の土中水分量センサは、その全長以上の浸水水位を検出することが可能である。例えば、全長5cm程度の第2の土中水分量センサであっても、弾性体4の弾性定数および誘電部材5のサイズを調整することにより、10m相当の浸水水位を検出することが可能となる。第2の土中水分量センサを用いることにより、地中の土壌の水分含有量および浸水水位を連続的に検出することが可能となる。
【0030】
なお、第1,2の土中水分量センサが検出する比誘電率は、厳密には、一対の電極2の間隙部2a付近における筐体1の外側の土壌状態にも影響を受けるであろう。実際の計測では、予め所定の電極配置に対応した水分量変換テーブルを用意することが好ましいであろう。
【0031】
以上、本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、筐体1の形状は下面が開放された筒型容器状であればよく、図7Aに示すような角柱状でもかまわない。また、筐体1の上面に備える通気性膜は空気抜きのための構造であればよく、図7Bに示すような中空管1bであってもかまわない。さらに、図7Bに示すように、仕切部材3を一対の電極2にかからないように筐体1を塞いで配置し、浸水水位のみの検出に用いてもかまわない。その他、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【符号の説明】
【0032】
1 筐体、
2 電極、
3 仕切部材(メッシュ板)、
4 弾性体、
5 誘電部材、
21 乾燥土壌、
22 湿潤土壌、
23 水分飽和土壌、
24 空気、
25 水。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土壌の水分量を検出する土中水分量センサであって、
一方面が閉塞され、他方面が開放された筒状の筐体と、
前記筐体の側壁に設けられる一対の電極と、
前記筐体の1断面を占有するように配置され、前記土壌を構成する土粒子よりも小さい開口を有する仕切部材と、
を有する土中水分量センサ。
【請求項2】
前記仕切部材は、前記一対の電極が対向する領域に配置される請求項1記載の土中水分量センサ。
【請求項3】
さらに、前記筐体の一方面に弾性体を介して接続された誘電部材を有し、
前記誘電部材は、前記一対の電極が対向する領域に少なくとも該誘電部材の一部がかかるよう配置される請求項1または2記載の土中水分量センサ。
【請求項4】
前記一対の電極の表面は、絶縁性部材により覆われる請求項1〜3いずれか1項記載の土中水分量センサ。
【請求項5】
前記筐体の一方面は、通気性を有する構造を備える請求項1〜4いずれか1項記載の土中水分量センサ。
【請求項6】
請求項1〜5いずれか1項記載の土中水分量センサと、
前記土中水分量センサの一対の電極間の静電容量を所定の水分量に変換する水分量変換部と、を具備する土中水分量計測システム。
【請求項7】
前記水分量変換部は、
前記一対の電極に交流電圧を印加するオシレータと、
前記一対の電極に流れる電流を電圧に変換する電圧変換回路と、
前記電圧変換回路により変換された電圧値を所定の水分量に変換する水分量変換器と、を含む請求項6記載の土中水分量計測システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図7】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−112801(P2012−112801A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262048(P2010−262048)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】