説明

土壌搬送装置

【課題】 土壌を連続して供給することができ、かつ熱損失を抑制でき、揮発したダイオキシン類の放散を抑制することができるように、ガス化装置を密閉することができる装置を提供する。
【解決手段】 本発明の装置は、容器14の密閉状態を保持しつつ、容器14内に土壌を搬入または容器14から土壌を搬出することを可能にする土壌搬送装置であり、容器14の搬入側および搬出側に取り付けられ、容器14の内部と連通し、鉛直方向に延びる搬送路を形成する筒状体21と、筒状体21内に回転可能に支持される軸体22と、軸体22から放射状に延びる複数の羽根材23とを備え、鉛直方向に離間して配設される少なくとも2つの羽根車24とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の密閉状態を保持しつつ、その容器内に土壌を搬入し、その容器から土壌を搬出するのに用いられる土壌搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイオキシンは、ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン(PCDD)、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)を総称したもので、除草剤の分解によって生成し、また、ごみ焼却の灰、製紙の汚泥、自動車の排ガス等に含まれる、毒性の強い難分解性の有機化合物である。このダイオキシン等の難分解性有機化合物を含む土壌を浄化するために、土壌を加熱し、難分解性有機化合物をガス化して分離除去するガス化装置が使用されている。
【0003】
ガス化装置は、電気ヒータといった加熱手段を備えており、供給される常温の土壌を約500℃〜600℃に加熱する。このように加熱していくと、沸点の低い水が蒸発し、土壌に含まれるダイオキシン類の沸点が低い順に揮発していき、土壌から分離される。このガス化装置では、熱損失をできるだけ低減し、揮発したダイオキシン類が漏洩しない構造であることが重要とされている。
【0004】
従来、このガス化装置に土壌を供給する場合には、揮発したダイオキシン類が漏洩しないように、ガス化装置の中空円筒状の容器に、弁を備える密閉構造のホッパーを連結し、弁を開いて土壌を供給していた。また、ホッパーと容器との間に、スクリューを備えるフィーダを設け、そのスクリューによってガス化装置に供給していた。このホッパーは、密閉構造であるため、揮発したダイオキシン類が仮にホッパーへと流れても、漏洩することはない。土壌等を供給するためのフィーダとしては、例えば、特許文献1〜5に開示されたものがある。
【0005】
また、ガス化装置は、その取り出し口に、ダイオキシン類が除去された土壌を収容し、その外部を、冷却水を循環させて間接的に冷却する土砂排出箱が連結されており、揮発したダイオキシン類が漏洩しないように、密閉構造とされている。
【特許文献1】特開平05−330665号公報
【特許文献2】特開平06−137771号公報
【特許文献3】特開平06−145736号公報
【特許文献4】特開平11−226542号公報
【特許文献5】特開平08−025343号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のフィーダでは、フィーダ自体が容器を密閉する機能を備えていなくても、密閉構造のホッパーを用いているため、揮発したダイオキシン類が漏洩することはない。しかしながら、処理中にホッパーの蓋を開くことができず、土壌を追加することができないため、連続して処理することができないという問題があった。このため、一度に処理することができる処理量が制限されていた。
【0007】
また、従来のフィーダを用いた場合、ホッパーからガス化装置までの空間が連続しており、空気の通り抜けが可能で、ガス化装置内で約500〜600℃に加熱しても、ホッパーへと放熱し、ガス化装置において熱損失が大きいという問題もあった。
【0008】
ガス化装置に連結される土砂排出箱も、ガス化装置と空間が連続しており、それに加えて、約500℃〜600℃で排出される土壌を冷却水によって冷却するため、土砂排出箱への放熱はホッパーへの放熱以上に大きいといった問題があった。また、ガス化装置と空間が連続していることから、この土砂排出箱内に、揮発したダイオキシン類が流入するおそれもあり、土砂排出箱から土壌を取り出す際に、大気中に放出されるという問題もあった。
【0009】
そこで、土壌を連続して搬入および搬出することができ、また、熱損失を抑制でき、揮発したダイオキシン類の放散を抑制することができるように、ガス化装置を密閉することができる装置が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、鋭意検討の結果、フィーダを、筒状体と少なくとも2つの羽根車とから構成し、羽根車の回転によって、土壌を搬入および搬出することができるようにするとともに、少なくとも2段に設けられる羽根車の2つの羽根車間に土壌を充填することができ、これにより、揮発したダイオキシン類が漏洩するのを確実に防止することができ、かつ充分に熱損失を抑制することができることを見出した。本発明は、このように、ガス化装置に土壌を搬入し、ガス化装置から土壌を搬出することを可能にするとともに、ガス化装置を密閉することができることを見出すことによりなされたものであり、上記課題は、本発明の土壌搬送装置を提供することにより解決される。
【0011】
すなわち、本発明は、汚染物質により汚染された土壌を収容する容器の搬入側と搬出側のそれぞれに取り付けられ、容器の密閉状態を保持しつつ土壌を搬入し、容器内で汚染物質が分離され、除去された土壌を搬出することを可能にする土壌搬送装置であり、その装置は、
容器の内部と連通し、鉛直方向に向けて延びる搬送路を形成する筒状体と、
筒状体内に回転可能に支持される軸体と、軸体から放射状に延びる複数の羽根材とを備え、鉛直方向に離間して配設される少なくとも2つの羽根車とを含む。
【0012】
上記軸体の径は、搬送路の幅または内径の約1/3〜1/2であることが好ましい。これは、筒状体内に土壌を充填するためである。
【0013】
上記容器は、土壌に含まれる難分解性有機化合物をガス化して分離除去するために使用される、抵抗加熱手段が周設された中空円筒容器であり、中空円筒容器の搬出側に取り付けられる土壌搬送装置は、2つの羽根車間に水を噴霧する噴霧装置を備えることを特徴とする。加熱された土壌に直接、水を噴霧するため、効果的に冷却することができる。
【0014】
上記容器の搬入側に取り付けられる土壌搬送装置の筒状体は、羽根車が配設される内部筒状体と、外部筒状体とから構成され、水を噴霧することにより発生する蒸気を、内部筒状体と外部筒状体との間に供給し、内部筒状体内を搬送される土壌を間接加熱することができる。これにより、熱を回収し、容器に設けられる電気ヒータ等の加熱手段の負荷を低減することができる。
【0015】
上記容器の搬入側に取り付けられる土壌搬送装置の筒状体は、水を噴霧することにより発生する蒸気を受け入れる蒸気受入口を備え、筒状体内を搬送される土壌を直接加熱することもできる。これにより、熱を回収し、容器に設けられる電気ヒータ等の加熱手段の負荷を低減することができるとともに、ガス化した難分解性有機化合物が漏洩したとしても、蒸気受入口から蒸気とともに送り込み、再度、処理することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の土壌搬送装置を提供することにより、土壌を連続的に処理することができ、また、熱損失を抑制することができ、揮発した難分解性有機化合物の漏洩も抑制することができる。また、噴霧装置を設け、難分解性有機化合物が除去された土壌に水を噴霧することで、土壌を冷却することができるとともに、蒸気を発生させ、この蒸気を土壌の加熱に利用することができる。これにより、ガス化装置における加熱手段の負荷を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の土壌搬送装置は、汚染物質により汚染された土壌を収容する容器の搬送側および搬出側のそれぞれに取り付けられ、その容器を密閉状態に保持しつつ、その容器内に汚染物質を含む土壌を搬入し、その容器から汚染物質が除去された土壌を搬出するのに使用されるものである。汚染物質により汚染された土壌には、難分解性有機化合物や揮発性有機化合物により汚染された土壌や、これらにより汚染された湾港の底泥等が含まれる。容器としては、汚染物質として難分解性有機化合物を含む土壌を浄化するために使用されるガス化装置の、抵抗加熱手段である電気ヒータが周設された中空円筒容器とすることができるが、これに限定されるものではない。汚染物質が揮発性有機化合物である場合、容器内の土壌に、空気を吹き込んだり、蒸気を送り込んだり、その土壌を加熱し、撹拌したりして、揮発させ、分離処理することができる。そのため、その容器には、空気噴射装置、蒸気供給装置、加熱装置、撹拌装置を備えることができる。ここでは、1つの実施形態として、容器を、ガス化装置の中空円筒容器とし、汚染物質を含む土壌を、難分解性有機化合物を含む土壌として、以下に説明する。
【0018】
まず、図1を参照して、難分解性有機化合物をガス化し、分離除去するガス化装置について説明する。ガス化装置10は、土壌を受け入れる土壌受入ノズル11と、土壌を排出する土壌排出ノズル12と、ガス化した難分解性有機化合物を排出するガス排出ノズル13とを備える中空円筒容器14を含む。この中空円筒容器14は、その長さ方向が、地面に対して水平方向になるように配置され、一端に近隣して土壌受入ノズル11が配設され、他端に近隣して土壌排出ノズル12およびガス排出ノズル13が配設されている。土壌受入ノズル11およびガス排出ノズル13は、上方に向くように配置され、土壌排出ノズル12は、下方に向くように配置される。すなわち、いずれのノズルも、鉛直方向に向いて延びている。
【0019】
この中空円筒容器14内には、受け入れた土壌を撹拌しつつ、一方向に移動させるための回転軸と螺旋状羽根とからなるスクリュー15を備えており、また、中空円筒容器14の外周には、内部の土壌を間接加熱するための加熱手段である電気ヒータ16が巻き付けられるようにして取り付けられている。電気ヒータ16の周囲は、放熱しないように断熱材で覆われている。
【0020】
ガス化装置10は、電気ヒータ16により、予め内部温度が約500℃〜600℃になるように加熱しておき、その中に、土壌受入ノズル11を通して、難分解性有機化合物を含む汚染土壌を受け入れる。汚染土壌を受け入れた後、スクリュー15に接続されるモータによってスクリュー15を所定方向に回転させ、その回転により汚染土壌を土壌受入ノズル11から土壌排出ノズル12へ向けて移動させる。
【0021】
この移動の間、電気ヒータ16による加熱により、汚染土壌中に含まれる水分は蒸発し、さらに加熱されて過熱蒸気となる。また、難分解性有機化合物は、低沸点成分のものから順に揮発し、最終的にはすべての成分が揮発する。過熱蒸気およびガス化した難分解性有機化合物を含む土壌は、スクリュー15によって土壌排出ノズル12が配設されている位置まで移動され、過熱蒸気およびガス化した難分解性有機化合物は、上方に設けられているガス排出ノズル13から排出され、これらが分離除去された土壌は、下方に設けられている土壌排出ノズル12から排出される。
【0022】
ガス排出ノズル13から出たガスは、図示しない反応装置へと送られ、さらに加熱されて難分解性有機化合物と過熱蒸気とが反応し、難分解性有機化合物は、一酸化炭素、水素、塩化水素といった低分子に分解される。土壌排出ノズル12から排出された土壌は、難分解性有機化合物をほとんど含まない浄化された土壌であり、土壌排出ノズル12に連続する土砂排出箱17に収容され、冷却される。土砂排出箱17は、例えば、取り出し口を備える二重構造の密閉容器とされ、内部に土壌を、その外部には冷却水を循環して、内部の土壌を冷却することができる。冷却水は、土砂排出箱17と冷却塔との間で循環される。
【0023】
ガス化装置10への汚染土壌の供給は、ホッパーおよび土壌搬送装置によって行われる。汚染土壌を連続的に処理するためには、ホッパーは開放され、汚染土壌を適宜追加することができるようにしなければならない。また、処理された土壌は、土砂排出箱17に収容されるが、満杯にならないように、これも適宜開放し、取り出さなければならない。この開放の際、ガス化した難分解性有機化合物が漏洩するおそれがある。これを防止し、中空円筒容器14内を密閉状態に保持しつつ、土壌を搬入し、搬出するようにするため、本発明の土壌搬送装置が採用される。
【0024】
図1では、1つのガス化装置のみの構成を示したが、中空円筒容器同士が互いに連通した第1ガス化装置と第2ガス化装置とからなる構成であってもよく、この場合、搬入側の装置は、土壌を受け入れる第1ガス化装置の中空円筒容器に、搬出側の装置は、汚染物質が除去された土壌を排出する第2ガス化装置の中空円筒容器に取り付けることができる。
【0025】
図2は、土壌搬送装置の1つの実施形態を示した図である。図2(a)では、土壌搬送装置20が、ガス化装置10の土壌受入ノズル11と、土壌排出ノズル12との2箇所に取り付けられ、中空円筒容器14内を密閉状態に保持しているのが示されている。
【0026】
土壌搬送装置20は、中空円筒容器14の上部である土壌受入ノズル11に取り付けられ、中空円筒容器14の内部と連通し、鉛直方向に延びる搬送路を形成する筒状体21と、その筒状体21内に回転可能に支持される軸体22と、軸体22から放射状に延びる複数の羽根材23とを備える2つの羽根車24から構成されている。2つの羽根車24は、鉛直方向に離間して配設されている。同様のものが、中空円筒容器14の下部である土壌排出ノズル12にも取り付けられている。
【0027】
筒状体21は、中空で、所定長さを有し、その形状は、円筒形であってもよいし、断面矩形であってもよい。土壌を搬入または搬出する際、土圧がかかり、土壌を介して熱も伝えられるので、その土圧によって変形等せず、かつ高温にも耐えうる材料、例えば鋼製とされる。この筒状体21は、その長さ方向が、鉛直方向に向くように配設される。筒状体21には、フランジ等が設けられ、フランジ接続により、土壌受入ノズル11や土壌排出ノズル12と接続することができる。
【0028】
図2(b)に示す切断線A−Aで切断した拡大断面図のように、軸体22は、棒状部材であり、水平方向、すなわち筒状体21の長さ方向に対して垂直に延びるように配置される。例えば、両端に突出部を備え、中空の筒状体21の対向する内壁間を橋渡すように配置し、その内壁に形成される支持溝に突出部をそれぞれ挿嵌することにより、回転可能に支持されるようにすることができる。そのほか、支持溝を備えるプレートを、筒状体21の内壁に対向して配設し、同様の軸体22を配置することで、軸体22を回転可能に支持することができる。なお、軸体22は、ある程度の土壌が充填された後に回転するように、軸体22の径は、筒状体21内の搬送路の幅または内径の約1/3〜1/2であることが好ましい。ちなみに、筒状体21が断面矩形のものであれば、搬送路の幅W、円筒形のものであれば内径の約1/3〜1/2である。約1/3より小さいと、羽根車24の羽根の長さ(軸体22から離間する方向に向けた長さ)が長くなり、回転しやすくなって、土壌が充填されにくくなる。これに対し、約1/2より大きいと、羽根車24の羽根の長さが短くなり、回転しにくくなって、充填量が増加し、土壌が搬送されなくなる。
【0029】
軸体22には、放射状に延びる複数の羽根材23が設けられる。羽根材23は、1つの羽根材が延びる方向に対し、もう1つがその反対方向に延びるように、軸体22を中心としてある角度をもって複数設けられている。すなわち、図2(c)に示す切断線B−Bで切断した拡大断面図のように、軸体22を中心として、0°位置にある羽根材23aに対して180°位置にある羽根材23d、60°位置にある羽根材23bに対して240°位置にある羽根材23e、120°位置にある羽根材23cに対して300°位置にある羽根材23fのように設けられる。このため、0°位置にある羽根材23aと180°位置にある羽根材23dのように、互いに反対方向に延びる1対の羽根材23が、共に、水平方向を向いて停止した場合、筒状体21の搬送路を閉鎖することができる。羽根材23は、軸体22から筒状体21の内壁に向けて延び、その内壁に近接し、水平方向を向いて停止した場合に筒状体21の搬送路を閉鎖することができる形状および大きさとされる。羽根材23の縁部が、筒状体21の内壁に、回転可能な程度に近接していることが好ましい。羽根材23は、筒状体21が円筒状であれば、半円形の羽根材とされ、断面矩形であれば、矩形の羽根材とされる。なお、羽根材23は6枚に限らず、8枚や10枚等とすることができる。
【0030】
軸体22の回転により、羽根材23上の土壌が下方へ送り出され、これにより、土壌が搬送される。中空円筒容器14の上部、すなわち搬入側に取り付けられる装置の場合、土壌が搬入され、下部、すなわち搬出側に取り付けられる装置の場合、土壌が搬出される。羽根車24は、鉛直方向に離間して少なくとも2つ設けられており、連続的に土壌を搬入および搬出するためには、少なくとも2つの羽根車24は、連動して同調することが好ましい。上側の羽根車を通過した土壌は、下側の羽根車上に落下する。下側の羽根車は、ある程度の量の土壌が堆積した後、回転するため、2つの羽根車間に土壌が充填された状態を形成することができる。下側の羽根車上には、連続して土壌が落下し、ある程度の量の土壌が堆積すると羽根車が回転し、堆積する土壌の一部が落下して、中空円筒容器14内に搬入される。
【0031】
例えば、2つの羽根車間全体が土壌で充填されると、羽根車24が回転しなくなる。このため、軸体22に、羽根車24を回転させるためのモータを備え、軸体22を強制的に回転させ、土壌を落下させることができる。このモータは、必要に応じて設けることができる。
【0032】
この土壌を充填した状態は、土壌排出ノズル12に接続された土壌搬送装置も同様であり、この2つの土壌搬送装置によりガス化装置10内を密閉状態に保持することができる。このように中空円筒容器14を密閉状態にすることができるため、ガス化した難分解性有機化合物が外部に漏洩することはなく、また、空気が通過できないため、放熱を抑制することができる。
【0033】
ここでは中空円筒容器14に各ノズルを備える構成として説明してきたが、中空円筒容器14は、受入口、排出口といった開口のみが設けられた構造とし、筒状体21に、その筒状体21から受入口や排出口に向けて拡張された搬送路を有するスカートを取り付け、その受け入れ、排出を容易にすることができる。また、搬出側の筒状体25は、中空円筒容器14と土砂搬出箱17との間に接続するため、取り外しが容易なように、2つに分離した構造とすることができる。
【0034】
図3は、土壌搬送装置の別の実施形態を示した図である。図3に示す土壌搬送装置は、土壌の搬出側である、ガス化装置10の土壌排出ノズル12に接続されるものである。ガス化装置10から搬出される土壌は、約500℃〜600℃になっており、連続的に汚染土壌を処理するためには、冷却時間を短縮しなければならない。このため、図3に示す土壌搬送装置は、水を噴霧する噴霧装置30を備えている。
【0035】
噴霧装置30は、筒状体25内に水を噴霧するためのスプレーノズル31と、スプレーノズル31に接続される管32と、水を供給するためのポンプ33とを備えている。スプレーノズル31は、先端に多数の小穴を備え、その小穴を通して霧状にした水を噴射させる。このスプレーノズル31は、2つの羽根車26の間に筒状体25を貫通して設けられ、2つの羽根車26の間に充填される土壌に向けて噴霧する。
【0036】
2つの羽根車26間の土壌の充填量が多い場合、噴霧した水が行き渡らず、土壌を充分に冷却することができない。このため、噴霧装置30を備える場合には、充填量が少ないほうが好ましい。なお、噴霧した水は、約500℃〜600℃の土壌と接触して蒸気となり、筒状体25に設けられた排出口34から排出される。土壌は、水に顕熱および蒸発潜熱を与えることで、冷却される。この実施形態では、直接、水を土壌に噴霧するため、効果的に冷却することができる。
【0037】
冷却後の土壌は、下側の羽根車を通して地下ピット35に設けられたベルトコンベア36上に落下し、ベルトコンベア36によって再利用あるいは再処理のため、搬送される。この場合、搬出側の筒状体25の地下ピット35と連結する部分に、ゴム製のスカート37を取り付け、土砂の飛散を防止することができる。図3では、地下ピット35を例示したが、土砂排出箱17に連結され、冷却水を循環して土壌を充分に冷却することもできる。この場合、冷却後の土壌は、取り出し口から取り出され、ピットに集めることができる。
【0038】
ガス化装置10は、土壌を常温から約500℃〜600℃に加熱する。この加熱には、多くの熱量が必要であり、加熱するために使用される電気ヒータ16は、多くの電力、伝熱面積が必要である。これでは装置コストがかかり、運転コストもかかる。
【0039】
上記噴霧装置30による水の噴霧では、多量の蒸気が発生する。これを大気中に排出するのは、その熱量が無駄になる。この蒸気を、土壌を加熱するのに使用することができれば、装置コストおよび運転コストを低減させることができる。
【0040】
図4は、土壌搬送装置のさらに別の実施形態を示した図である。この土壌搬送装置は、搬入側の筒状体21が、内部筒状体21aと、外部筒状体21bとから構成され、その内部筒状体21aと外部筒状体21bとの間に、上記蒸気を流し、土壌の搬送中に、その土壌を加熱することができる。なお、筒状体21を通して流れた蒸気は、その蒸気温度、内部の土壌温度、蒸気流量によっても異なるが、蒸気として、または凝縮水として排出される。
【0041】
内部筒状体21a内には、図2に示した構成と同様、軸体22と複数の羽根材23とからなる羽根車24が少なくとも2段に設けられ、土壌を搬送することができるようにされている。
【0042】
図4では、筒状体21を、内部筒状体21aと外部筒状体21bとから構成し、間接加熱する実施形態を示したが、図5に示すように、筒状体21の側面に蒸気受入口50を設け、上記蒸気の排出口34から、その蒸気受入口50に連続するラインを取り付け、搬送する土壌中に蒸気を送り込み、直接加熱することもできる。この場合、ガス化装置10から排出される土壌に難分解性有機化合物が含まれていても、その難分解性有機化合物を蒸気とともに排出口34から排出して、再度、ガス化装置10に送り込み、処理することができる。また、伝熱面積を大きくするために、内部筒状体21aと外部筒状体21bとの間に、螺旋状の流路を形成する仕切板を設けることもできる。
【0043】
これまで図面を参照して本発明の装置について詳細に説明してきたが、筒状体の形状、長さ、開口部の大きさ、羽根材の数、軸体の径、羽根車の取り付け位置等はいかなるものであってもよく、土壌の処理量等によって適宜決定することができるものである。また、噴霧装置により発生した蒸気は、別途設けることができる土壌の予備加熱装置の加熱源として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】ガス化装置を例示した図。
【図2】土壌搬送装置の第1実施形態を示した図。
【図3】土壌搬送装置の第2実施形態を示した図。
【図4】土壌搬送装置の第3実施形態を示した図。
【図5】土壌搬送装置の第4実施形態を示した図。
【符号の説明】
【0045】
10…ガス化装置、11…土壌受入ノズル、12…土壌排出ノズル、13…ガス排出ノズル、14…中空円筒容器、15…スクリュー、16…電気ヒータ、17…土砂排出箱、20…土壌搬送装置、21、25…筒状体、21a…内部筒状体、21b…外部筒状体、22…軸体、23、23a〜23f…羽根材、24、26…羽根車、30…噴霧装置、31…スプレーノズル、32…管、33…ポンプ、34…排出口、35…地下ピット、36…ベルトコンベア、37…スカート、50…蒸気受入口


























【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚染物質により汚染された土壌を収容する容器の搬入側と搬出側のそれぞれに取り付けられ、前記容器の密閉状態を保持しつつ前記土壌を搬入し、前記容器内で前記汚染物質が分離され、除去された前記土壌を搬出することを可能にする土壌搬送装置であって、
前記容器の内部と連通し、鉛直方向に向けて延びる搬送路を形成する筒状体と、
前記筒状体内に回転可能に支持される軸体と、前記軸体から放射状に延びる複数の羽根材とを備え、前記鉛直方向に離間して配設される少なくとも2つの羽根車とを含む、土壌搬送装置。
【請求項2】
前記軸体の径は、前記搬送路の幅または内径の1/3〜1/2である、請求項1に記載の土壌搬送装置。
【請求項3】
前記容器は、前記汚染物質である難分解性有機化合物をガス化して分離除去するために使用される、抵抗加熱手段が周設された中空円筒容器であり、前記中空円筒容器の搬出側に取り付けられる前記土壌搬送装置は、2つの前記羽根車の間に水を噴霧する噴霧装置を備える、請求項1または2に記載の土壌搬送装置。
【請求項4】
前記容器の搬入側に取り付けられる前記土壌搬送装置の前記筒状体は、前記羽根車が配設される内部筒状体と、外部筒状体とから構成され、前記水を噴霧することにより発生する蒸気を、前記内部筒状体と前記外部筒状体との間に供給し、前記内部筒状体内を搬送される前記土壌を間接加熱する、請求項3に記載の土壌搬送装置。
【請求項5】
前記容器の搬入側に取り付けられる前記土壌搬送装置の前記筒状体は、前記水を噴霧することにより発生する蒸気を受け入れる蒸気受入口を備え、前記筒状体内を搬送される前記土壌を直接加熱する、請求項3に記載の土壌搬送装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−110292(P2008−110292A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−294084(P2006−294084)
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【出願人】(000195971)西松建設株式会社 (329)
【出願人】(593147531)大旺管財株式会社 (15)
【Fターム(参考)】