説明

土壌病害防除用粉粒製剤および土壌病害防除方法

【課題】ドリフトが低減され、かつ薬効のバラツキによる効果不足の発生が抑制される土壌病害防除用粉粒製剤を提供する。
【解決手段】土壌病害防除用粉粒製剤に、土壌病害防除用活性成分の少なくとも1種と、鉱物担体の少なくとも1種と、ポリオキシアルキレン樹脂酸エステルの少なくとも1種とを含有せしめる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土壌病害防除用粉粒製剤および土壌病害防除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、作物を栽培する上での大きな障害の一つに作物の病害がある。病害の中でも特に土壌病原菌によって引き起こされる土壌病害の多くは難防除病害として問題となっており、作物栽培の集団化による連作により、被害がますます拡大する傾向にある。
これら土壌病害防除の薬剤の一つとして、従来から臭化メチル、クロルピクリン等の土壌薫蒸剤が利用されているが、そのガス剤という性質や毒性面から使用時の安全性に特別な注意が必要である。またガスの揮散を防ぐ為にプラスチックフィルムにより予め土壌を被覆する必要があり、作業方法としても非常に煩雑である。また、薬剤処理後は、薬害の発生を防ぐ為にガス抜き作業が必要であり、7〜20日以上にわたって作物の植え付けができない期間があり、コスト面や生産性の面からも不利な点がある。また殺菌処理後は土壌中の微生物の密度が減少するため、病害の再感染に対して無力であり、一度感染すると病害の発生をより助長する危険性もある。
一方、土壌病害を防除する方法として、粉剤あるいは水和剤を土壌混和、潅注する方法が知られており、例えばTPN、フルスルファミド、フルアジナム等の粉剤あるいは水和剤が知られている。
【0003】
粉剤を用いる土壌病害防除方法は、薬剤の均一な散布による薬効のばらつきが少ない反面、薬剤の粉立ちにより、散布時に薬剤が飛散(ドリフト)することによる作業者への薬剤の暴露の問題がある。このようなドリフトを抑えた製剤として、近年、粉剤DL等が開発されている。
また薬剤のドリフト防止の目的から、より飛散性の少ない剤形として、粒剤よりも粒径の小さい粒径0.05〜0.3mmの粉粒剤が知られている。このような粉粒剤は、水で希釈して用いる乳剤や水和剤に比べて使用が簡便で、かつ飛散(ドリフト)が抑制される。しかし、粉粒剤は、粉剤と比較して散布された薬剤の均一性が劣る場合があり、これによる効果のバラツキの問題や、製造コストが高いことがあり、実用化されたものが少ないのが現状である。
例えば、土壌病害防除用活性成分を含有する粉粒剤としてはダゾメット粉粒剤が知られているが、有効成分が土壌中で分解後ガス化して土壌を殺菌するという特殊なケースのものである。
【0004】
また、粉剤の代替製剤として粉粒剤の一種である微粒剤Fが知られている。これは、担体に有効成分をバインダーでコーティングする方法で製造されることが多い。しかし、このようにして製造される微粒剤Fにおいても、完全にドリフトの問題は解決されているわけではない。
以上述べたようにドリフトの抑制は、薬効のバラツキやコスト高と相反する関係にある為、よりよい粉粒剤の提供が希求されている。
【0005】
上記に関連して、土壌病害防除用活性成分であるフルスルファミドを含む混合剤として、粉剤、粒剤、水和剤、フロアブル剤、乳剤が開示されている(例えば、特許文献1、2、3参照)。
また、噴霧造粒法を用いた農薬粒状組成物が知られている(例えば、特許文献4参照)。さらに樹脂酸系界面活性剤を含む農薬用効果増強組成物が知られている(例えば、特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平03−227904号公報
【特許文献2】特開平08−198710号公報
【特許文献3】特開平08−198713号公報
【特許文献4】特開2007−308482号公報
【特許文献5】特開平08−151302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1〜3には粉粒剤についての形式的な記載はあるものの、具体的な粉粒剤については特に開示はなされていない。また特許文献4の噴霧造粒法では、生産設備が大規模になり、また製造工程も簡便なものとはいえなかった。
本発明は、ドリフトが低減され、かつ薬効のバラツキによる効果不足の発生が抑制される土壌病害防除用粉粒製剤、および該土壌病害防除用粉粒製剤を用いる土壌病害防除方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 土壌病害防除用活性成分と、鉱物担体と、ポリオキシアルキレン樹脂酸エステルと、を含有する土壌病害防除用粉粒製剤。
<2> 前記ポリオキシアルキレン樹脂酸エステルが、ポリオキシエチレン樹脂酸エステルおよびポリオキシエチレンポリオキシプロピレン樹脂酸エステルから選ばれる少なくとも1種である前記<1>に記載の土壌病害防除用粉粒製剤。
<3> 前記ポリオキシアルキレン樹脂酸エステルが、ポリオキシエチレンロジン酸エステルおよびポリオキシエチレンポリオキシプロピレンロジン酸エステルから選ばれる少なくとも1種である前記<1>または<2>に記載の土壌病害防除用粉粒製剤。
<4> 前記ポリオキシアルキレン樹脂酸エステルは、オキシアルキレン基の総付加モル数が樹脂酸1モルに対して平均1〜20モルである前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の土壌病害防除用粉粒製剤。
【0009】
<5> 前記ポリオキシアルキレン樹脂酸エステルの含有率が0.01〜1重量%である前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の土壌病害防除用粉粒製剤。
<6> 前記鉱物担体に対する前記ポリオキシアルキレン樹脂酸エステルの含有率が、0.01〜1.11重量%である前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の土壌病害防除用粉粒製剤。
【0010】
<7> 更に界面活性剤を含有する前記<1>〜<6>のいずれか1項に記載の土壌病害防除用粉粒製剤。
<8> 前記界面活性剤が、ポリアルキレングリコールである前記<7>に記載の土壌病害防除用粉粒製剤。
【0011】
<9> 前記土壌病害防除用活性成分が、2’,4−ジクロロ−α,α,α−トリフルオロ−4’−ニトロ−m−トルエンスルホンアニリド、3−クロロ−N−(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)−α,α,α−トリフルオロ−2,6−ジニトロ−p−トルイジン、および3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イルスルホニル)−N,N−ジメチル−1,2,4−トリアゾール−1−スルホンアミドから選ばれる少なくとも1種である前記<1>〜<8>のいずれか1項に記載の土壌病害防除用粉粒製剤。
<10> 前記土壌病害防除用活性成分が、2’,4−ジクロロ−α,α,α−トリフルオロ−4’−ニトロ−m−トルエンスルホンアニリドである前記<1>〜<9>のいずれか1項に記載の土壌病害防除用粉粒製剤。
<11> 鉱物担体およびポリオキシアルキレン樹脂酸エステルを混合して、結合剤含有鉱物担体を得る第1の工程と、前記結合剤含有鉱物担体および土壌病害防除用活性成分を混合して、土壌病害防除用粉粒製剤を得る第2の工程と、を含む土壌病害防除用粉粒製剤の製造方法。
<12> 前記<1>〜<10>のいずれか1項に記載の土壌病害防除用粉粒製剤を、土壌に施用することを含む土壌病害防除方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ドリフトが低減され、かつ薬効のバラツキによる効果不足の発生が抑制される土壌病害防除用粉粒製剤、および該土壌病害防除用粉粒製剤を用いる土壌病害防除方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の土壌病害防除用粉粒製剤は、土壌病害防除用活性成分の少なくとも1種と、鉱物担体の少なくとも1種と、ポリオキシアルキレン樹脂酸エステルの少なくとも1種と、を含有する。
かかる構成であることにより、ドリフトが低減され、かつ薬効のバラツキによる効果不足の発生が抑制される。さらに土壌病害防除用活性成分が、粒径の小さい(例えば、40μm以下)ものを含んでいても、粒径の小さい活性成分が鉱物担体から剥離して粉立ちが発生することが抑制される。
【0014】
(土壌病害防除用活性成分)
本発明に用いられる土壌病害防除用活性成分としては、土壌病害を防除可能な活性を有し、鉱物担体に担持可能なものであれば特に制限はない。例えば、有機塩素系化合物、スルホンアミド系化合物、シアノイミダゾール系化合物、フェニルピリジン系化合物、スルファモイルトリアゾール骨格を有する殺菌剤等を挙げることができる。
また本発明における土壌病害としては、土壌中に存在する細菌等に由来する病害であれば特に制限はない。具体的には例えば、根こぶ病、立枯病、疫病等を挙げることができる。
【0015】
上記のような土壌病害を防除可能な活性成分として、具体的には、TPN(化合物名:テトラクロロイソフタロニトリル)、フルスルファミド(化合物名:2’,4−ジクロロ−α,α,α−トリフルオロ−4’−ニトロ−m−トルエンスルホンアニリド)、シアゾファミド(化合物名:4−クロロ−2−シアノ−N,N−ジメチル−5−p−トリルイミダゾール−1−スルホンアミド)、フルアジナム(化合物名:3−クロロ−N−(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)−α,α,α−トリフルオロ−2,6−ジニトロ−p−トルイジン)、アミスルブロム(化合物名:3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イルスルホニル)−N,N−ジメチル−1,2,4−トリアゾール−1−スルホンアミド)、などが挙げられる。
これらは1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0016】
中でも、土壌病害防除活性の観点から、2’,4−ジクロロ−α,α,α−トリフルオロ−4’−ニトロ−m−トルエンスルホンアニリド、3−クロロ−N−(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)−α,α,α−トリフルオロ−2,6−ジニトロ−p−トルイジン、および3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イルスルホニル)−N,N−ジメチル−1,2,4−トリアゾール−1−スルホンアミドから選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、2’,4−ジクロロ−α,α,α−トリフルオロ−4’−ニトロ−m−トルエンスルホンアニリドであることがより好ましい。
【0017】
前記土壌病害防除用活性成分の含有量としては特に制限はないが、土壌病害防除活性の観点から、0.1〜1.0重量%であることが好ましく、0.1〜0.5重量%であることがより好ましい。
特に、土壌病害防除用活性成分が、2’,4−ジクロロ−α,α,α−トリフルオロ−4’−ニトロ−m−トルエンスルホンアニリドの場合は、0.1〜0.5重量%であることが好ましい。
【0018】
また本発明の土壌病害防除用粉粒製剤は、同時に発生する他の病害を防除するため、上記スルホンアミド系化合物やフェニルピリジン系化合物等の本発明に好適に用いられる化合物とは、異なる土壌病害防除効果を有する殺菌剤等をさらに含んで製剤化されていてもよい。そのような殺菌剤等としては、例えば、イソキサゾール、メプロニル、フルトラニル、ペンシクロン、リゾレックス、バリダマイシン等が挙げられる。
これら機能の異なる殺菌剤を併用することによって、一般に単独で使用される場合の含有量以下での使用が可能になる場合がある。これらの殺菌剤の含有量は殺菌剤の種類によって適宜選択できるが、例えば0.1〜3.0重量%とすることができる。
【0019】
(鉱物担体)
前記鉱物担体としては、土壌病害防除用活性成分を担持可能なものであれば特に制限はなく、農薬組成物に通常用いられる鉱物担体を適宜選択して用いることができる。具体的には例えば、アタパルジャイト、珪砂、焼成珪藻土、ゼオライト、セピオライト、炭酸カルシウム、ベントナイト、タルクなどが挙げられる。中でも、ゼオライト、珪砂、炭酸カルシウムが好ましく、炭酸カルシウムがより好ましい。
これら鉱物担体は単独で使用してもよく、また、複数種を併用してもよい。
【0020】
前記鉱物担体の粒径としては、土壌病害防除用活性成分を担持可能であれば特に制限はない。例えば、0.01〜0.7mmとすることができ、0.03〜0.6mmであることが好ましく、0.06〜0.45mmであることがより好ましい。
鉱物担体の粒径が前記範囲内であることで、飛散性をより効果的に抑制することができ、また、より良好な薬効の均一性を達成することができる。
尚、0.05〜0.3mmの粒径は、我が国においては粉粒剤に分類される。
【0021】
前記鉱物担体の含有量としては、土壌病害防除用粉粒製剤の全重量に対して、例えば、90〜99.5重量%とすることができ、95〜99重量%であることが好ましい。
【0022】
(ポリオキシアルキレン樹脂酸エステル)
本発明の土壌病害防除用粉粒製剤は、ポリオキシアルキレン樹脂酸エステルの少なくとも1種を含む。前記ポリオキシアルキレン樹脂酸エステルは、後述するように、例えば、前記鉱物担体上に前記土壌病害防除用活性成分を付着させる結合剤として作用すると考えられる。
これにより、本発明の土壌病害防除用粉粒製剤を土壌に施用する前は、活性成分が鉱物担体から剥離して粉立ちが発生することを抑制すると共に、土壌病害防除用粉粒製剤が土壌に施用された後は、土壌との混和などの物理的な刺激により容易に鉱物担体から剥離して、土壌に均一に混和可能となり、薬効の均一性に優れる。
【0023】
前記ポリオキシアルキレン樹脂酸エステルは、樹脂酸に酸化アルキレンを付加して製造することができる。具体的には、樹脂酸に酸化エチレンを付加して得られるポリオキシエチレン樹脂酸エステル、樹脂酸に酸化プロピレンを付加して得られるポリオキシプロピレン樹脂酸エステル、樹脂酸に酸化エチレンと酸化プロピレンを付加して得られるポリオキシエチレンポリオキシプロピレン樹脂酸エステルなどが挙げられる。
本発明においては、粉立ち抑制と薬効の均一性の観点から、ポリオキシエチレン樹脂酸エステルおよびポリオキシエチレンポリオキシプロピレン樹脂酸エステルから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0024】
前記樹脂酸としては、ロジン酸のようなジテルペン酸や、安息香酸やケイ皮酸などの芳香族カルボン酸とが挙げられる。本発明においては粉立ち抑制と薬効の均一性の観点から、ロジン酸であることが好ましい。
ロジン酸は、マツ属植物に含まれているモノカルボン酸系のジテルペン酸であり、アビエチン酸、ピマル酸等を主成分として含むものである。
【0025】
本発明においてポリオキシアルキレン樹脂酸エステルは、ポリオキシアルキレンロジン酸エステルであることが好ましい。ポリオキシアルキレンロジン酸エステルは、例えば、ロジン酸に酸化アルキレンを付加することによりポリオキシアルキレンロジン酸エステルを製造することができる。具体的には、ロジン酸に酸化エチレンを付加して得られるポリオキシエチレンロジン酸エステル、酸化プロピレンを付加して得られるポリオキシプロピレンロジン酸エステル、酸化エチレンと酸化プロピレンを付加して得られるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンロジン酸エステルなどが挙げられる。
これらポリオキシアルキレン樹脂酸エステルの中でも、ポリオキシエチレンロジン酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンロジン酸エステルが好ましく、更に、ポリオキシエチレンロジン酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンロジン酸エステルがより好ましい。
尚、ポリオキシアルキレンロジン酸エステルは、工業的にも容易に入手可能であり、例えば、DRAシリーズ(東邦化学工業(株)製品)などが挙げられる。
【0026】
前記ポリオキシアルキレン樹脂酸エステルにおいて、樹脂酸に対する酸化アルキレンの付加量としては特に制限はないが、粉立ち抑制と薬効の均一性の観点から、樹脂酸1モルに対して酸化アルキレンを1〜20モル付加させたポリオキシアルキレン樹脂酸エステルが好ましく、樹脂酸1モルに対して酸化アルキレンを3〜18付加させたポリオキシアルキレン樹脂酸エステルがより好ましい。
【0027】
ポリオキシアルキレン樹脂酸エステルの含有量は、付加した酸化アルキレンの種類に関係なく、土壌病害防除用粉粒製剤の全重量に対して0.01〜1重量%の範囲の含有量であることが好ましく、0.05〜0.8重量%であることがより好ましい。含有量が0.01重量%以上であることで、使用時の飛散(ドリフト)抑制効果がより効果的に得られる。また、1重量%以下であることで、土壌混和後における活性成分の剥離がより良好になり、より効果的に所望の生物効果が向上する。
【0028】
また本発明においては、前記鉱物担体に対するポリオキシアルキレン樹脂酸エステルの含有比率が0.01〜1.11重量%であることもまた好ましく、0.05〜0.89重量%であることがより好ましい。配合量が0.01重量%以上であることで、使用時の飛散(ドリフト)抑制効果がより効果的に得られる。また、1.11重量%以下であることで、土壌混和後における活性成分の剥離がより良好になり、生物効果の均一性がより向上する。
【0029】
本発明の土壌病害防除用粉粒製剤は、ポリオキシアルキレン樹脂酸エステルとして、ポリオキシエチレン樹脂酸エステルおよびポリオキシエチレンポリオキシプロピレン樹脂酸エステルから選ばれる少なくとも1種を、0.01〜1重量%の範囲で含有することが好ましく、ポリオキシエチレンロジン酸エステルおよびポリオキシエチレンポリオキシプロピレンロジン酸エステルから選ばれる少なくとも1種を、0.05〜0.8重量%の範囲で含有することがより好ましい。
【0030】
(その他の成分)
本発明の土壌病害防除用粉粒製剤は、前記土壌病害防除用活性成分、結合剤および鉱物担体に加えて、必要に応じてその他の成分をさらに含むことができる。その他の成分としては、一般的に農薬用助剤として公知の成分を適宜選択して含有することができる。その他の成分としての農薬用助剤は、例えば、結合剤の粘度、製剤の色、pH、鉱物担体微粉の凝集、固結防止、光安定性、施用後の土壌中での拡散性、浸透性などの各種効果を付与または調整する目的で使用することが出来る。
【0031】
その他の成分として具体的には、例えば、水、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、植物油(大豆油、綿実油など)、鉱物油(流動パラフィンなど)が挙げられ、その他、着色剤、pH調整剤、凝集剤(ドリレスA、ドリレスB、ドリレスCなど)、鉱物微粉(多孔質珪酸など)、紫外線吸収剤、界面活性剤などを必要に応じ使用することができる。
【0032】
−界面活性剤−
本発明の土壌病害防除用粉粒製剤は、界面活性剤の少なくとも1種をさらに含むことが好ましい。これにより生物効果の均一性がより向上し、また本発明の土壌病害防除用粉粒製剤をより効率的に製造することができる。
界面活性剤としては特に制限はなく、例えば、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤が挙げられる。中でも非イオン性界面活性剤を好適に用いることができる。非イオン性界面活性剤としては、ポリアルキレングリコール型界面活性剤、多価アルコール型界面活性剤、アセチレン系界面活性剤が挙げられるが、粉立ち抑制、効果の均一性および製造効率の観点から、ポリアルキレングリコールであることが好ましく、ポリエチレングリコールであることがより好ましい。
【0033】
前記ポリアルキレングリコール型界面活性剤の分子量としては特に制限はないが、粉立ち抑制、効果の均一性および製造効率の観点から、重量平均分子量として200〜600であることが好ましく、300〜500であることがより好ましい。
さらにポリアルキレングリコール型界面活性剤の含有量としては、土壌病害防除用粉粒製剤の全重量に対して、0.01〜1重量%であることが好ましく、0.05〜0.8重量%であることがより好ましい。
【0034】
本発明においては、界面活性剤として、重量平均分子量が200〜600であるポリアルキレングリコール型界面活性剤を、土壌病害防除用粉粒製剤の全重量に対して0.01〜1重量%含むことが好ましく、重量平均分子量が300〜500であるポリエチレングリコールを、土壌病害防除用粉粒製剤の全重量に対して0.05〜0.8重量%含むことがより好ましい。
【0035】
(製造方法)
本発明の土壌病害防除用粉粒製剤の製造方法としては、鉱物担体にポリオキシアルキレン樹脂酸エステルおよび土壌病害防除用活性成分を担持することができれば、特に制限はない。鉱物担体およびポリオキシアルキレン樹脂酸エステルを混合して、結合剤含有鉱物担体を得る第1の工程と、前記結合剤含有鉱物担体および土壌病害防除用活性成分を混合して、土壌病害防除用粉粒製剤を得る第2の工程とを含む土壌病害防除用粉粒製剤の製造方法であることが好ましい。
かかる製造方法で土壌病害防除用粉粒製剤を製造することにより、例えば、鉱物担体表面に、ポリオキシアルキレン樹脂酸エステルおよび土壌病害防除用活性成分が付着することで、土壌と混合する前における粉立ちを抑制し、さらに土壌と混合した後は土壌病害防除用活性成分が鉱物担体から剥離して、土壌中により均一に拡散する。
【0036】
前記第1の工程において、ポリオキシアルキレン樹脂酸エステルは、鉱物担体と直接混合してもよく、またポリオキシアルキレン樹脂酸エステルと界面活性剤(好ましくは、ポリエチレングリコール)等とをあらかじめ混合して得られる結合剤プレミックスと、鉱物担体とを混合してもよい。本発明においては、製造効率の観点から、あらかじめ調製した結合剤プレミックスと鉱物担体とを混合することが好ましい。
本工程においてポリオキシアルキレン樹脂酸エステルは、例えば、鉱物担体表面に付着する。鉱物担体表面に付着したポリオキシアルキレン樹脂酸エステルは、土壌病害防除用活性成分をより効率的に鉱物担体に付着することができる。
【0037】
前記結合剤プレミックスは、ポリオキシアルキレン樹脂酸エステルの少なくとも1種を含み、必要に応じてその他の成分をさらに含んで構成される。結合剤プレミックスに含まれるその他の成分としては、例えば、界面活性剤、有機溶剤等を挙げることができる。
結合剤プレミックスに含まれる界面活性剤は、既述の界面活性剤と同義であり、好ましい態様も同様である。
【0038】
ポリオキシアルキレン樹脂酸エステルおよび鉱物担体を混合する方法としては通常用いられる一般的な混合機を特に制限なく用いることができる。具体的には、例えば、リボンミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサーなどの各種混合翼を有する混合機を用いて混合することができる。
【0039】
前記第2の工程においては、第1の工程で得られた結合剤含有鉱物担体と、土壌病害防除用活性成分とを混合して、土壌病害防除用粉粒製剤を製造する。土壌病害防除用活性成分は結合剤含有鉱物担体と直接混合してもよく、また、あらかじめ調製した土壌病害防除用活性成分を含む土壌病害防除用活性成分プレミックスを結合剤含有鉱物担体と混合してもよい。
【0040】
前記土壌病害防除用活性成分プレミックスは、土壌病害防除用活性成分の少なくとも1種を含み、必要に応じてその他の成分をさらに含んで構成される。土壌病害防除用活性成分プレミックスに含まれるその他の成分としては、例えば、炭酸カルシウム、ホワイトカーボン等を挙げることができる。
【0041】
結合剤含有鉱物担体と、土壌病害防除用活性成分とを混合する方法としては、前記第1の工程における混合方法と同様である。
また本発明においては、前記第1の工程と第2の工程を別々の混合手段を用いて順次行っても、同一の混合手段を用いて連続して行ってもよい。
また前記土壌病害防除用粉粒製剤の製造方法は、必要に応じてその他の工程をさらに含むことができる。前記その他の工程としては、例えば、加熱工程、冷却工程、乾燥工程等を挙げることができる。
【0042】
(土壌病害防除方法)
本発明の土壌病害防除方法は、前記土壌病害防除用粉粒製剤を土壌に施用することを含む。前記土壌病害防除用粉粒製剤を用いることで、施用における薬剤の飛散(ドリフト)を抑制することができ、さらには、均一性に優れる土壌病害防除効果を達成することができる。
土壌病害防除用粉粒製剤を土壌に施用する方法としては、通常用いられる粉粒剤の施用方法を特に制限なく適用することができる。具体的には、手撒きあるいは専用処理機を用いて前記土壌病害防除用粉粒製剤を土壌表面に散布後、土壌と混和する等の操作により施用することができるが、処理の方法はこれらに限定されるわけではない。
【0043】
本発明の土壌病害防除用粉粒製剤により、作業者への薬剤の暴露を低減し、また、目的環境以外への薬剤の飛散を低減させ、更に効果が安定した粉粒剤を提供することができる。また本発明の土壌病害防除用粉粒製剤においては、浸透移行性あるいは揮発性を有していない活性成分を用いた場合でも、土壌中における活性成分の濃度にバラツキが抑制され、均一な土壌病害防除効果を達成することができる。
【0044】
さらに本発明の土壌病害防除用粉粒製剤は、散布後の薬剤の土壌拡散性が良好で、濃度のバラツキによる防除効果の不安定性が抑制される。また処理後の降雨、土壌水分といった環境要因による防除効果の変動が抑制され、少量の薬剤量でも効果完成までの日数が低減される。さらに水で希釈せず直接施用することができるため、薬液を調製する手間や、専用の散布器具を必要とせず、水利の悪い場所でも使用することが可能である。
【実施例】
【0045】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
【0046】
(製剤例1)フルスルファミド0.3%粉粒製剤の調製
KENMIX chef(株式会社愛工舎工業所製)に、鉱物担体として炭酸カルシウム(Aタンカル、粒径:500μm以上0%、150μm以下10.0%以下、旭鉱末株式会社製)1334.25gおよび炭酸カルシウム(K−250、粒径:425μm以上1.0%以下、45μm以下19%以下、旭鉱末株式会社製)150gを仕込み、2分間混合した。
ポリオキシエチレンロジン酸エステル(エチレンオキサイド付加モル数15、東邦化学工業株式会社製)35.81g、ポリエチレングリコール(PEG−400、三洋化成工業株式会社製)62.56gおよびポリオキシプロピレンアルキルエーテル燐酸エステル(ドリレスA、日本乳化剤株式会社製)1.63gを混合して結合剤プレミックスを予め調製した。
上記炭酸カルシウム混合物へ結合剤プレミックス6.45gを加え、更に15分間混合して、結合剤含有鉱物担体を得た。
【0047】
2’,4−ジクロロ−α,α,α−トリフルオロ−4’−ニトロ−m−トルエンスルホンアニリド(フルスルファミド、純度98%、三井化学株式会社製)51.01g、炭酸カルシウム(ミクロンカルST−130、旭鉱末株式会社製)41.75g、含水非晶質二酸化ケイ素(カープレックス#80D、デグサジャパン株式会社製)7.24gを混合後、エアーミルにて粉砕して土壌病害防除用活性成分プレミックスを調製した。
上記結合剤含有鉱物担体に土壌病害防除用活性成分プレミックス9.3gを加え、更に15分間混合し、求める土壌病害防除用粉粒製剤1500gを得た。
【0048】
(製剤例2)フルスルファミド0.3%粉粒製剤の調製
製剤例1において、ポリオキシエチレンロジン酸エステル(エチレンオキサイド付加モル数15、東邦化学工業株式会社製)を使用する代わりに、ポリオキシエチレンロジン酸エステル(エチレンオキサイド付加モル数3、東邦化学工業株式会社製)を使用したこと以外は製剤例1と同様の操作を行い、土壌病害防除用粉粒製剤を得た。
【0049】
(製剤例3)フルスルファミド0.3%粉粒製剤の調製
製剤例1において、ポリオキシエチレンロジン酸エステル(エチレンオキサイド付加モル数15、東邦化学工業株式会社製)を使用する代わりに、ポリオキシエチレンロジン酸エステル(エチレンオキサイド付加モル数12、東邦化学工業株式会社製)を使用したこと以外は、製造例1と同様の操作を行い、土壌病害防除用粉粒製剤を得た。
【0050】
(製剤例4)フルスルファミド0.3%粉粒製剤の調製
製剤例1において、ポリオキシエチレンロジン酸エステル(エチレンオキサイド付加モル数15、東邦化学工業株式会社製)を使用する代わりに、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンロジン酸エステル(エチレンオキサイド付加モル数12、プロピレンオキサイド付加モル数6、東邦化学工業株式会社製)を使用したこと以外は、製造例1と同様の操作を行い、土壌病害防除用粉粒製剤を得た。
【0051】
(製剤例5)フルスルファミド0.3%粉粒製剤の調製
製剤例1において、ポリオキシエチレンロジン酸エステル(エチレンオキサイド付加モル数15、東邦化学工業株式会社製)を使用する代わりに、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンロジン酸エステル(エチレンオキサイド付加モル数3、プロピレンオキサイド付加モル数3、東邦化学工業株式会社製)を使用したこと以外は、製剤例1と同様の操作を行い、土壌病害防除用粉粒製剤を得た。
【0052】
(製剤例6)フルアジナム0.5%粉粒製剤の調製
KENMIX chef(株式会社愛工舎工業所製)に鉱物担体として炭酸カルシウム(Aタンカル、粒径:500μm以上0%、150μm以下10.0%以下、旭鉱末株式会社製)1428.55gおよび炭酸カルシウム(K−250、粒径:425μm以上1.0%以下、45μm以下19%以下、旭鉱末株式会社製)50.00gを仕込み、2分間混合した。
ポリオキシエチレンロジン酸エステル(エチレンオキサイド付加モル数15、東邦化学工業株式会社製)37.44g、ポリエチレングリコール(PEG−400、三洋化成工業株式会社製品)62.56gを混合して結合剤プレミックを調製した。
上記炭酸カルシウム混合物へ結合剤プレミックス6.45gを加え、更に15分間混合して、結合剤含有鉱物担体を得た。
【0053】
3−クロロ−N−(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)−α,α,α−トリフルオロ−2,6−ジニトロ−p−トルイジン(フルアジナム、純度99%、合成品)50.51g、炭酸カルシウム(ミクロンカルST−130、旭鉱末株式会社製)42.49g、含水非晶質二酸化ケイ素(カープレックス#80D、デグサジャパン株式会社製)7.00gを混合後、エアーミルにて粉砕して土壌病害防除用活性成分プレミックスを調整した。
上記結合剤含有鉱物担体に土壌病害防除用活性成分プレミックス15.00gを加え、更に15分間混合し、求める土壌病害防除用粉粒製剤1500gを得た。
【0054】
(製剤例7)アミスルブロム0.5%粉粒製剤の調製
製剤例6において、3−クロロ−N−(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)−α,α,α−トリフルオロ−2,6−ジニトロ−p−トルイジン(フルアジナム、純度99%、合成品)を使用する代わりに、3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イルスルホニル)−N,N−ジメチル−1,2,4−トリアゾール−1−スルホンアミド(アミスルブロム、純度99%、合成品)を使用したこと以外は、製剤例6と同様の操作を行い、土壌病害防除用粉粒製剤を得た。
【0055】
(製剤例8)
製剤例1において、ポリオキシエチレンロジン酸エステル(エチレンオキサイド付加モル数15、東邦化学工業株式会社製)を含有する結合剤プレミックスを添加しなかったこと以外は、製剤例1と同様の操作を行い、土壌病害防除用粉粒製剤を得た。
【0056】
(製剤例9)
KENMIX chef(株式会社愛工舎工業所製)に鉱物担体として炭酸カルシウム(Aタンカル、粒径:500μm以上0%、150μm以下10.0%以下、旭鉱末株式会社製)1334.25gおよび炭酸カルシウム(K−250、粒径:425μm以上1.0%以下、45μm以下19%以下、旭鉱末株式会社製)150gを仕込み、2分間混合した。次に、予め調製しておいたポリビニルアルコール20%水溶液(ゴーセノールGL−05、日本合成化学工業株式会社製)6.45gを加え、更に15分間混合して、ポリビニルアルコールが付着した炭酸カルシウムを得た。
【0057】
2’,4−ジクロロ−α,α,α−トリフルオロ−4’−ニトロ−m−トルエンスルホンアニリド(フルスルファミド、純度98%、三井化学株式会社製)51.01g、炭酸カルシウム(ミクロンカルST−130、旭鉱末株式会社製)41.75g、含水非晶質二酸化ケイ素(カープレックス#80D、デグサジャパン株式会社製)7.24gを混合後、エアーミルにて粉砕して土壌病害防除用活性成分プレミックスを調整した。
上記ポリビニルアルコールが付着した炭酸カルシウムに、土壌病害防除用活性成分プレミックス9.3gを加え、更に15分間混合後、1昼夜風乾して土壌病害防除用粉粒製剤1495gを得た。
【0058】
<評価>
上記製剤例1〜9、及び対照薬剤としてネビジン粉剤(フルスルファミド0.3%含有市販土壌病害防除剤、三井化学アグロ株式会社製)、フロンサイド粉剤(フルアジナム0.5%含有市販土壌病害防除剤、石原産業株式会社製)の浮遊性指数測定並びに植物に対する防除効果をポットで比較検討した。
【0059】
(試験例1) 浮遊性指数測定
製剤例1〜9で調製した土壌病害防除用粉粒剤、及び市販対照薬剤(市販土壌病害防除剤)としてネビジン粉剤およびフロンサイド粉剤を用い、浮遊性指数の測定を実施した。浮遊性指数の測定は、「平成14年1月10日付け13生産第3987号生産局長通知」による方法に準じて3回行い、その算術平均値を求めた。結果を表1に示す。
尚、浮遊性指数とは、農薬製剤のドリフト性(粉立ち性)を判断する指標として用いられ、数値が大きいほど粉立ち(飛散)が大きいことを意味する。
【0060】
【表1】

【0061】
表1からも明らかな通り、本発明に係る土壌病害防除用粉粒製剤である製剤例1〜製剤例7は、ポリビニルアルコールを結合剤として用いた製剤例8、および粉剤である市販対照薬剤(ネビジン粉剤、フロンサイド粉剤)と比較し、粉立ち(飛散)が大きく抑制された粉粒製剤であることが明らかである。
【0062】
(試験例2) 土壌病害防除効果試験(ポット試験)
−コマツナ根こぶ病防除試験−
試験に用いたアブラナ科野菜根こぶ病菌(Plasmodiophora brassicae)は次の様にして調製した。−20℃の冷凍庫にて保存の罹病根に等倍以上の殺菌水を加え、ミキサーで5分間粉砕して得た磨砕液を4重ガーゼでろ過した。ろ液を2000rpmで10分間遠心分離し、上澄み部を捨て、沈降残渣に再度殺菌水を加え、ミキサーで均一化した。遠心分離する操作を2〜3回行って、休眠胞子を洗浄した後、得られた沈降休眠胞子を1×10個/g土の胞子濃度になるように希釈して使用した。
【0063】
調製した根こぶ病菌休眠胞子を土壌3kgに滴下し、よく混和した。製剤例1〜9で調製した土壌病害防除用粉粒製剤の所定量を添加し、更に十分に混合した後、直径15cmの素焼き鉢3個に詰め、コマツナ(品種:黒葉晩生)種子20粒を播種し、温室内で生育させた。播種後2週間頃までの間に生育の揃った10本を残し、他は間引いた。播種6週間後に根部を掘り起こして水洗いし、根こぶ着生の有無とその発病程度を調査し、効果の判定を行った。尚、発病程度は以下に示す0〜4の5段階評価の発病指数で行い、発病度および防除価を以下の式1、式2によりそれぞれ求めた。試験結果を表2、表3に示す。尚、表2と表3は試験日が異なる。
また試験中に、地上部に現れる薬害の有無を肉眼観察にて行うと共に処理後6週間後の草丈により、薬害の発生を判断したが、いずれの製剤も薬害は観察されなかった。
【0064】
−発病指数−
0:こぶ形成はなかった。
1:主根の末端、側根に小さなこぶが形成された。
2:主根の1/3以下未満が罹病した。
3:主根の1/3以上2/3未満が罹病した。
4:主根の2/3以上が罹病し、細根がほとんどなかった。
【0065】
発病度=Σ(発病指数×指数別株数)/(4×全株数)×100 : (式1)
防除価=(無処理の発病度−薬剤処理の発病度)/(無処理の発病度)×100 : (式2)
【0066】
【表2】

【0067】
【表3】

【0068】
表2、3に示す通り、本発明に係る土壌病害防除用粉粒製剤(製剤例1、2、3および5)はコマツナ根こぶ病に対して、従来の粉剤と同等の効果であることは明らかである。
以上の試験例で明らかなように、本発明の土壌病害防除用粉粒製剤は、薬液を調製する必要がなく使用が簡便かつ安全で、飛散(ドリフト)が抑制される。さらに、土壌病害防除用粉粒製剤を土壌と混和した際には、鉱物担体から土壌病害防除用活性成分が剥離し、土壌中に均一に分散することにより、薬剤の濃度にバラツキを生じることなく、安定した防除効果を発現する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土壌病害防除用活性成分と、鉱物担体と、ポリオキシアルキレン樹脂酸エステルと、を含有する土壌病害防除用粉粒製剤。
【請求項2】
前記ポリオキシアルキレン樹脂酸エステルが、ポリオキシエチレン樹脂酸エステルおよびポリオキシエチレンポリオキシプロピレン樹脂酸エステルから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の土壌病害防除用粉粒製剤。
【請求項3】
前記ポリオキシアルキレン樹脂酸エステルが、ポリオキシエチレンロジン酸エステルおよびポリオキシエチレンポリオキシプロピレンロジン酸エステルから選ばれる少なくとも1種である請求項1または請求項2に記載の土壌病害防除用粉粒製剤。
【請求項4】
前記ポリオキシアルキレン樹脂酸エステルは、オキシアルキレン基の総付加モル数が樹脂酸1モルに対して平均1〜20モルである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の土壌病害防除用粉粒製剤。
【請求項5】
前記ポリオキシアルキレン樹脂酸エステルの含有率が0.01〜1重量%である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の土壌病害防除用粉粒製剤。
【請求項6】
前記鉱物担体に対する前記ポリオキシアルキレン樹脂酸エステルの含有比率が、0.01〜1.11重量%である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の土壌病害防除用粉粒製剤。
【請求項7】
更に界面活性剤を含有する請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の土壌病害防除用粉粒製剤。
【請求項8】
前記界面活性剤が、ポリアルキレングリコールである請求項7に記載の土壌病害防除用粉粒製剤。
【請求項9】
前記土壌病害防除用活性成分が、2’,4−ジクロロ−α,α,α−トリフルオロ−4’−ニトロ−m−トルエンスルホンアニリド、3−クロロ−N−(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)−α,α,α−トリフルオロ−2,6−ジニトロ−p−トルイジン、および3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イルスルホニル)−N,N−ジメチル−1,2,4−トリアゾール−1−スルホンアミドから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の土壌病害防除用粉粒製剤。
【請求項10】
前記土壌病害防除用活性成分が、2’,4−ジクロロ−α,α,α−トリフルオロ−4’−ニトロ−m−トルエンスルホンアニリドである請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の土壌病害防除用粉粒製剤。
【請求項11】
鉱物担体およびポリオキシアルキレン樹脂酸エステルを混合して、結合剤含有鉱物担体を得る第1の工程と、
前記結合剤含有鉱物担体および土壌病害防除用活性成分を混合して、土壌病害防除用粉粒製剤を得る第2の工程と、
を含む土壌病害防除用粉粒製剤の製造方法。
【請求項12】
請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の土壌病害防除用粉粒製剤を、土壌に施用することを含む土壌病害防除方法。

【公開番号】特開2011−148723(P2011−148723A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10471(P2010−10471)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(303020956)三井化学アグロ株式会社 (70)
【Fターム(参考)】