説明

土砂及び廃材の選別処理方法

【課題】建設現場で発生する瓦礫等の廃材と土砂の混合物から、廃材と土砂を分離する処理方法であって、篩の目詰まりや、土砂と廃材との付着による土砂回収量の減少等の問題がない土砂及び廃材の選別処理方法を提供する。
【解決手段】土砂及び廃材を含有する被処理物、並びに、石灰粉及び/又はセメントを、同一方向に回転駆動するドラム内に投入して、前記被処理物、並びに、石灰粉及び/又はセメントを撹拌、混合し、得られた混合物を空気中に放置後、土砂と廃材の篩分けをする、又は土砂及び廃材を含有する被処理物を乾燥雰囲気下で放置し、含有水分量を低減した後、同一方向に回転駆動するドラム内に投入して撹拌し、その後土砂と廃材を篩分けすることを特徴とする土砂及び廃材の選別処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設現場等で発生する廃棄物から、土砂及び廃材をそれぞれ分離する選別処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場や廃棄物処理場等では土砂及び廃材を含有する廃棄物が大量に発生する。この廃棄物は、木材、プラスチック、石材、金属等の多種の廃材からなり、大きさや形状が異なるものの雑多な混合物である。従って、そのままでは、含有されている材料の再利用や焼却、埋立て等の処理を行うことは困難であるので、構成物を分離する選別をした後の処理が望まれている。
【0003】
例えば、廃棄物に含まれる土砂を、改良土として埋立て等に再利用するためには土砂中の廃材の割合を一定値以下にする必要があるので、土砂及び廃材を選別する操作が必要となる。
【0004】
土砂及び廃材を選別する方法としては、篩い分けが考えられ、篩い分け手段としては、トロンメルや振動篩機等が知られている。ここで、粗大な廃材が含まれると、篩い分け手段への投入が困難になるので、従来は、手作業による荒選別で、粗大な廃材を取り除き、その後、前記のような篩い分け手段を用いて、他の廃材と土砂等を篩い分けする方法が行われていた。
【0005】
しかし、建設現場等で発生する廃棄物は水分を含み、土砂が粘着性を有する場合が多い。その結果、篩の目詰まりを生じやすい。又、水分により土砂が廃材に付着している場合が多いので、単に篩装置により篩分けをするのみでは、土砂と廃材を充分に選別できない。
【0006】
その結果、改良土等として回収される土砂の量が著しく少なくなり、廃材も土砂が付着しているのでその再利用が困難になるとの問題があった。又、荒選別により取り除かれる粗大な廃材にも土砂が付着しており、この理由からも、改良土等として回収される土砂の量が少なくなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、建設現場や廃棄物処理場等で発生する廃材と土砂の混合物から、廃材と土砂を分離する選別処理方法であって、前記の従来技術の問題点、すなわち、篩の目詰まりや、土砂と廃材との付着による土砂回収量の減少等の問題がない土砂及び廃材の選別処理方法を提供することを課題とする。なお、以後、本発明の選別処理方法より処理される廃材と土砂の混合物を、被処理物と言うことがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題は、土砂及び廃材を含有する被処理物、並びに、石灰粉及び/又はセメントを、同一方向に回転駆動するドラム内に投入して、前記被処理物、並びに、石灰粉及び/又はセメントを撹拌、混合し、得られた混合物を空気中に放置後、土砂と廃材の篩分けをすることを特徴とする土砂及び廃材の選別処理方法(請求項1)により達成される。
【0009】
本発明者は、水分を含有する土砂と、石灰粉及び/又はセメントを混合させることにより、土砂の粘着性が減少することに着目して検討を行うとともに、さらに土砂と、石灰粉及び/又はセメントの混合及びその後の乾燥処理を効率よく行う方法を見出した。そしてこの方法により、土砂及び廃材の篩い分けにおける従来技術の問題が解決できることを見出し、請求項1に記載の本発明を完成した。
【0010】
前記の課題は、又、土砂及び廃材を含有する被処理物を乾燥雰囲気下で放置し、含有水分量を低減した後、同一方向に回転駆動するドラム内に投入して撹拌し、その後土砂と廃材を篩分けすることを特徴とする土砂及び廃材の選別処理方法(請求項2)によっても達成される。
【0011】
土砂を乾燥雰囲気下で放置して乾燥することにより、土砂の粘着性は低下する。しかし、単に放置して乾燥するのみでは、被処理物中に粘着性が高い土砂が残存し、又、容易に破砕しない土砂粒や、容易に剥離しない土砂の付着等が生じ、篩の目詰まりや土砂の回収量の減少等の問題を解決することができない。本発明者は、検討の結果、放置による乾燥後、同一方向に回転駆動するドラム内での撹拌を行うことにより、篩の目詰まりや土砂の回収量の減少等の問題が解決されることを見出し、請求項2に記載の本発明を完成した。
【0012】
本発明は、前記の請求項1及び請求項2の態様に加えて、より好ましい態様として次ぎに示す構成からなる発明を提供する。
【0013】
請求項1又は請求項2に記載の選別処理方法であって、被処理物(請求項2の態様の場合)、又は被処理物、並びに、石灰粉及び/又はセメントの混合物(請求項1の態様の場合)が、投入口から排出口方向に送られるように、前記ドラムが傾斜していることを特徴とする土砂及び廃材の選別処理方法(請求項3)。
【0014】
ドラムの傾斜を調整することにより、被処理物や、被処理物と、石灰粉及び/又はセメントの混合物がドラム内に滞留する時間を調整することができる。なお、土砂に含まれる水分量等により、ドラム内に滞留する時間の好ましい範囲は変動するので、水分量等に基づき最適な時間を選択し、その時間に基づきドラムの傾斜が調整される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の土砂及び廃材の選別処理方法によれば、雑多な廃材及び土砂の混合物である被処理物、特に水分を含み土砂が粘着性を有する被処理物から、廃材及び土砂のそれぞれを、再利用可能な状態で、容易に選別することができる。その結果、廃材の再利用が容易になり、又改良土等として回収される土砂の量も多くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図を用いて説明するが、この形態は本発明の一例であり、本発明の範囲はこの形態に限定されず、本発明の趣旨を損なわない範囲で他の形態に変更することができる。
【0017】
先ず、本発明で用いられる同一方向に回転駆動するドラム1について説明する。図1はドラム1の正面図であり、図2はドラム1の右側面図である。
【0018】
ドラム1は、その長さ方向(図2の横方向)の左端に被処理物及び石灰粉の投入口2を有し、右端にドラム1内で撹拌処理された処理物の排出口3を有する。ドラム1の投入口2近傍の周囲にはチェーンガイド4が、又両端に近い位置には、2本のローラガイド5が設けられている。
【0019】
2本のローラガイド5は、ドラム支持台6の上の設けられたローラ7と係合している。図1に示されるように、ローラ7はドラム1の左右に設けられ、左右で1本のローラガイド5と係合する。ローラガイド5は2本設けられているので、ローラ7は計4個設けられている。ローラ7は回転自在に設けられており、従って、それに係合するローラガイド5及びローラガイド5に固着しているドラム1も、回転自在である。
【0020】
チェーンガイド4は、チェーン8と係合しており、チェーン8はモータ9と係合する。モータ9が駆動することにより、チェーン8が動き、さらにチェーンガイド4も回転する。ドラム1は、チェーンガイド4と固着しており、かつ前記のように回転自在に設けられているので、モータ9の駆動により、ドラム1は一方向に回転する。なお、この例では、ドラム1の回転はチェーン8等の使用により行われるが、ドラムの回転中心にドラムに固着する回転軸を設け、チェーンの代わりに、この回転軸を使用してドラムの回転を行う方法など、他の方法の使用も可能である。
【0021】
ドラム内には、撹拌をより充分に行うため、羽根やスクリュウが設けられていてもよいが、これらは図示されていない。
【0022】
モータ9及びローラ7がその上の設けられているドラム支持台6には、安全のための覆い10が設けられ、覆い10は支持柱11により支持されている。ドラム支持台6は、ドラム1の長さ方向の左端の左右の位置に設けられた支持脚12、及び長さ方向の右端の左右の位置に設けられた支持脚13により支えられている。
【0023】
支持脚12にはアジャスタボルト14が設けられており、このアジャスタボルト14により、支持脚12の長さが調整され、ドラム1の傾きが調整される。通常、ドラム1は、投入口2側を高くして傾けられ、処理物が撹拌とともに排出口3側に移送されるようにされる。支持脚12及び支持脚13は台車15上に設けられている。
【0024】
図3は、台車15及びその上に設けられた装置等を示す右側面図である。台車15上には、支持脚12及び支持脚13が設けられ、その上にはドラム1が設けられているが、さらにドラム1の投入口2側には、被処理物移送用コンベヤ16が設けられ、排出口3側には処理物(被処理物と石灰粉等の混合物)移送用コンベヤ17が設けられ、又、投入口2に接して石灰粉及び/又はセメントをドラム1内に投入するための石灰粉投入口18が設けられている。
【0025】
次ぎに、本発明の請求項1の態様の一例について説明する。
【0026】
図4aは、図3で表わされる装置、すなわち台車15及びその上に設けられた装置等を示す平面図である。請求項1の態様においては、被処理物は、先ず、図中の矢印Aに示す位置で被処理物移送用コンベヤ16上に投入される。被処理物移送用コンベヤ16は、ドラム1の方向(図中の矢印A’の方向)に被処理物を移送し、被処理物は、投入口2からドラム1内に投入される。
【0027】
ここで、被処理物は、建設現場や廃棄物処理場等から排出される、廃材及び土砂等が混合した廃棄物であるが、特に水分を多く含むものについて、本発明の効果が顕著に発揮される。廃材は、木材、PET等のプラスチック、石材、金属等の多種からなり、大きさや形状も異なるものが通常含まれている。石、コンクリート片、残土や壁土の塊、瓦、金属片、木片、プラスチック製品やその破片、布片等の粗大物が含まれている場合もある。
【0028】
石灰粉及び/又はセメントは、図中の矢印Bに示す位置で、石灰粉及び/又はセメントのサイロ19内に投入され貯留される。サイロ19からは石灰粉移送路20を通り、貯留ホッパー21に貯留され、石灰粉投入路22を通り、石灰粉投入口18からドラム1内に投入される。石灰粉投入路22には、石灰粉の投入量を調節する手段(図示されていない。)が設けられており、被処理物の投入量やドラム1の稼働状態に合わせて、石灰粉の投入量が調節される。なお、石灰粉投入口18、石灰粉移送路20、石灰粉投入路22等は、石灰粉だけでなくセメントの投入、移送等に使用される場合もあるが、装置名の簡略化のため、その名称には石灰粉のみを使用している。
【0029】
図5は、貯留ホッパー21を示す正面図である。図5に示されるように貯留ホッパー21は、ホッパー支持台42上に設けられ、貯留ホッパー21の上部に石灰粉移送路20の出口が、下部に石灰粉投入路22の入口が設けられている。
【0030】
ここで石灰粉とは、酸化カルシウム(生石灰)、水酸化カルシウム(消石灰)又は炭酸カルシウム(石灰石)の粉末であり、石灰粉として市販されているものが使用できる。又、石灰粉の代わりにセメントの粉末を使用することもできるし、石灰粉及びセメントからなる混合物を使用することもできる。粉末の粒径は特に限定されないが、粒径が小さい程、土砂と廃材の選別を容易にする効果が大きい。水酸化カルシウム(消石灰)は、土砂と廃材の選別を容易にする効果については酸化カルシウムより劣るものの、発熱等が少なく安全に使用でき、かつ市販品の入手が容易なので、通常使用される。建設現場等で種々の用途に通常使用されている水酸化カルシウム(消石灰)を使用することができる。
【0031】
前記のようにドラム1は、回転自在に設けられており、モータ9の駆動により、一方向に回転する。被処理物、並びに、石灰粉及び/又はセメントは、それぞれ、投入口2及び石灰粉投入口18より、この一方向に回転しているドラム1内に投入され、ドラム1内で撹拌され互いに混合される。ドラム1内に羽根やスクリュウが設けられていると撹拌及び混合がより充分に行えるので好ましい。
【0032】
ドラム1の回転速度の好ましい範囲は、ドラム1の大きさ、被処理物の投入量等により変動し、特に限定されない。又、被処理物の種類、例えば粗大物の含有量や土砂と廃材の割合、含有水分量等により回転速度の好ましい範囲は変動する。ドラム1の大きさが径1.5〜2.5m、長さ4〜6m程度の場合は、5〜30rpmの範囲から選択される場合が多い。
【0033】
ドラム1内での被処理物の滞留時間、又被処理物のフィード量(処理量)の好ましい範囲も、ドラム1の大きさや被処理物の種類により変動する。ドラム1の大きさが径1.5〜2.5m、長さ4〜6m程度で、一般的な建設現場からの廃棄物を処理する場合は、30〜100m/時程度の範囲から選択される場合が多い。
【0034】
被処理物と石灰粉及び/又はセメントの混合割合も、被処理物中の水分量等に応じて適宜調整されるが、一般的な建設現場での廃棄物を処理する場合は、被処理物の重量に対し、石灰粉及び/又はセメントが1〜30%(重量)程度である範囲から選択され、好ましくは5〜10%である場合が多い。
【0035】
前記のように、ドラム1は、好ましくは、被処理物と、石灰粉及び/又はセメントの混合物が、投入口2から排出口3方向に送られるように傾斜している。この傾斜の角度により、被処理物と、石灰粉及び/又はセメントの混合物のドラム1内での滞留時間や処理量等が調整される。図1、図2に示す例では、傾斜の角度は、支持脚12に設けられているアジャスタボルト14により行われる。この傾斜により被処理物と、石灰粉及び/又はセメントの混合物は、撹拌、混合と同時に、排出口3方向に送られ、排出口3から排出される。通常、傾斜の角度は、2〜10°の範囲から選択されるが、この範囲外の傾斜の角度で行われる場合もある。
【0036】
排出された、被処理物と、石灰粉及び/又はセメントの混合物、すなわち処理物は、処理物移送用コンベヤ17により図4a中の矢印C方向に移送され、一時貯留所23に一時的に貯留(山積み)される。一時貯留所23に一時的に貯留された処理物は、パワーショベル等の手段を用いて、図4bに示される処理物放置場24に移送され、そこで、暫時、放置され空気にさらされ、その後、パワーショベル等の手段を用いて、篩い分け手段に移送される。
【0037】
図4bは、処理物放置場24を示す平面図である。図4bの例では、処理物放置場24は、2つの区画(1)及び(2)からなり、区画(1)において、一時貯留所23からの移送、投入が行われ、区画(2)において篩い分け手段への排出、移送が行われている。
【0038】
このように複数の区画を設けることにより、投入と排出を同時に行う場合であっても、空気中での放置が不十分なものが、排出されるとの問題を防ぐことができる。区画(2)からの排出が終了した後、区画(2)への投入が開始され、区画(1)への投入を終了し、所定の放置時間を経過した後、区画(1)からの排出が開始される。
【0039】
好ましくは、3以上の区画を設け、1区画で処理物の投入を、他の1区画で処理物の排出を、さらに他の1以上の区画で処理物の放置を行う。このようにすれば、投入及び排出のタイミングに影響されることなく、処理物の放置を充分に行うことができる。
【0040】
処理物の放置時間の好ましい範囲は、放置の温度、雰囲気の湿度、その他の環境条件により変動し特に限定されないが、24時間程度放置される場合が多い。土砂の粒子間の粘着が軽減され、土砂の塊が、人間の握力よりもはるかに小さい力で、土砂粒に破砕される程度の粘着力になるまで放置することが好ましい。放置が不十分であると、次の篩い分け工程で、篩の目詰まり等の問題が生じやすくなる。
【0041】
処理物の放置は、好ましくは、処理物を日光に暴露する環境で行われる。日光に暴露することにより、放置に要する時間が短縮される等の利点が得られる。又、放置される雰囲気(周辺空気)の湿度が低い方が、放置に要する時間が短縮されるので好ましい。
【0042】
所定時間放置された処理物(以後、処置物と言う。)は、篩い分け手段に移送され、篩い分けがされる。図6は篩い分け手段の一例を示す平面図である。処置物は、篩装置投入部26より、篩装置25に投入され、篩い分けが行われる。
【0043】
図7は、図6でその平面図が示される篩い分け手段の左側面図である。篩装置25は、篩装置投入部26、2段の篩である篩27及び篩28、篩27及び篩28に振動を与えるための加振機29、篩27上の篩い分け物を排出する上排出口37、上排出口37より排出された篩い分け物を、重力の作用により移送するための急傾斜を持った上排出ガイド30、篩28上の篩い分け物を排出する下排出口38、下排出口38より排出された篩い分け物を、重力の作用により移送するための急傾斜を持った下排出ガイド31を備えている。
【0044】
篩装置25は、支持部32により支持されており、支持部32は、台車33上に設けられている。台車33上には、さらに篩装置25の底部より排出される篩い分け物を移送するためのコンベヤ34が設けられ、コンベヤ34の途中には、鉄等の磁性体金属からなる廃材を選別除去するための磁選機35が設けられている。又、下排出ガイド31の出口には、コンベヤ36が設けられている。
【0045】
篩装置25内の加振機29を作動させることにより、篩27及び篩28が振動し、篩装置投入部26から投入された処理物が篩い分けされる。加振機29としては、偏心体を回転させて振動を発生するもの等が例示される。
【0046】
篩27は、篩28より篩の目が大きく、従って、粗大物を含む大きな形状の廃材が篩27上に残存する。粗大物を含む大きな形状の廃材に付着していた土砂の大部分は、ドラム1内での撹拌により取り除かれているが、その工程で取り除くことができなかった土砂も、篩い分け工程での振動により大部分が取り除かれる。従って、篩27上に残存する廃材に付着する土砂は少量であり、これらの廃材の再利用が容易になる。
【0047】
篩27上に残存した廃材は、上排出口37より上排出ガイド30に排出され、重力の作用で、篩い分け物の貯留場39に移送され、そこに一時貯留される。
【0048】
篩27を通過した処理物は、篩28により篩い分けされる。篩28は、篩27より目の小さい篩であり、すでに大きな形状の廃材は取り除かれているので、中程度の大きさの廃材が篩28上に残存する。この廃材についても、前記と同様の理由により、付着する土砂は少量であり、これらの廃材の再利用が容易になる。
【0049】
篩28を通過した処理物は、形状の小さいもの、例えば土砂等であり、篩装置25の底部より、コンベヤ34上に排出される。排出された篩い分け物は、コンベヤ34により、図6中の矢印Dの方向に移送され、篩い分け物貯留場40に移送され、そこに一時貯留される。この篩い分け物中には、小さな鉄製部材等が含まれているが、これらはコンベヤ34の途中に設けられた磁選機35により取り除かれる。
【0050】
貯留場40に貯留される篩い分け物は、土砂等からなるが、含まれている廃材は微細なもののみであり、又鉄製部材等は除かれているので、改良土等として埋立て等に容易に再利用できるものである。
【0051】
篩28上に残存する篩い分け物は、下排出口38より下排出ガイド31に排出され、重力の作用で、コンベヤ36上に移送される。移送された篩い分け物は、コンベヤ36により図6中の矢印Eの方向に移送され、篩い分け物の貯留場41に移送され、そこに一時貯留される。
【0052】
なお、篩い分け手段としては、図6、図7に示されるような装置に限定されず、たとえばトロンメル等も用いることができる。
【0053】
次に、本発明の請求項2の態様について説明する。
【0054】
この態様では、土砂及び廃材を含有する被処理物は、先ず乾燥雰囲気下で放置され、含有水分量が低減される。被処理物の放置は、前記の図4bに示される処理物放置場24と同様な放置場にて行われる。対象となる被処理物、被処理物等の移送手段、処理物放置場24の好ましい構造や、放置場への移送、放置場からの排出等については、請求項1の態様の場合と同様である。
【0055】
ここで、乾燥雰囲気下とは、湿度の低い空気内であるが、湿度が低い程放置に要する時間が短縮できるので好ましい。放置時間の好ましい範囲は、放置の温度、湿度、その他の環境条件により変動し特に限定されないが、24時間程度放置される場合が多い。土砂の粒子間の粘着が軽減され、土砂の塊が、人間の握力よりもはるかに小さい力で、土砂粒に破砕される程度の粘着力になるまで放置することが好ましい。放置が不十分であると、次のドラム内での撹拌工程を経ても、廃材よりの土砂の分離が不十分になりやすい。
【0056】
放置は、好ましくは、被処理物を日光に暴露する環境で行われる。日光に暴露することにより、放置に要する時間が短縮される等の利点がある。
【0057】
放置され含有水分量を低減された被処理物は、同一方向に回転駆動するドラム内に投入され撹拌される。ここで使用されるドラム及びその周辺装置としては、請求項1の態様で使用されるドラム1及びその周辺装置と同様なもの、すなわち図1〜3及び図4aで表わされる装置を使用することができる。この装置を用いる方法、条件等も、前記と同様である。
【0058】
請求項2の態様においては、ドラム1内で撹拌され処理物移送用コンベヤ17により移送されて、一時貯留所23に貯留された処理物は、パワーショベル等の手段を用いて、篩い分け手段に移送される。篩い分け手段及び、そこにおける処理物の篩い分けは請求項1の態様の場合と同様である。
【0059】
すなわち、処理物は、篩装置投入部26より、篩装置25に投入され、篩27及び篩28が振動して篩い分けが行われ、粗大物を含む大きな形状の廃材、中程度の大きさの廃材、及び、土砂や形状の小さいものに選別される。それぞれ、前記と同様にして、貯留場39、貯留場41、及び貯留場40に移送され、そこに一時貯留される。
【0060】
このようにして選別された廃材に付着する土砂は少量であり、これらの廃材の再利用が容易になる。又選別された土砂等に含まれている廃材は微細なもののみであり、又鉄製部材等は除かれているので、改良土等として埋立て等に容易に再利用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明で用いられるドラムの一例の正面図である。
【図2】本発明で用いられるドラムの一例の右側面図である。
【図3】本発明で用いられるドラム及びその周辺装置の一例の右側面図である。
【図4】本発明で用いられる装置及び処理物放置場の一例を示す平面図である。
【図5】本発明で用いられる原料供給装置の一例を示す正面図である。
【図6】本発明で用いられる篩い分け手段及びその周辺の一例を示す平面図である。
【図7】本発明で用いられる篩い分け手段及びその周辺の一例を示す左側面図である。
【符号の説明】
【0062】
1 ドラム
2 投入口
3 排出口
4 チェーンガイド
5 ローラガイド
6 ドラム支持台
7 ローラ
8 チェーン
9 モータ
12、13 支持脚
14 アジャスタボルト
16 被処理物移送用コンベヤ
17 処理物移送用コンベヤ
18 石灰粉投入口
19 サイロ
20 石灰粉移送路
21 貯留ホッパー
22 石灰粉投入路
23 一時貯留所
24 処理物放置場
25 篩装置
26 篩装置投入部
27、28 篩
29 加振機
30 上排出ガイド
31 下排出ガイド
32 支持部
33 台車
34、36 コンベヤ
35 磁選機
37 上排出口
38 下排出口
39、40、41 貯留場

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土砂及び廃材を含有する被処理物、並びに、石灰粉及び/又はセメントを、同一方向に回転駆動するドラム内に投入して、前記被処理物、並びに、石灰粉及び/又はセメントを撹拌、混合し、得られた混合物を空気中に放置後、土砂と廃材の篩分けをすることを特徴とする土砂及び廃材の選別処理方法。
【請求項2】
土砂及び廃材を含有する被処理物を乾燥雰囲気下で放置し、含有水分量を低減した後、同一方向に回転駆動するドラム内に投入して撹拌し、その後土砂と廃材を篩分けすることを特徴とする土砂及び廃材の選別処理方法。
【請求項3】
前記被処理物、又は被処理物、並びに、石灰粉及び/又はセメントの混合物が、投入口から排出口方向に送られるように、前記ドラムが傾斜していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の土砂及び廃材の選別処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−175661(P2007−175661A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−379610(P2005−379610)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(591288182)株式会社秋田機械工業所 (2)
【出願人】(505099680)株式会社セーフティーアイランド (4)
【出願人】(506003727)株式会社コウキ (3)
【Fターム(参考)】