説明

土練機及び混練治具

【課題】 より迅速かつ確実に焼物用土を混練できる土練機及び混練治具を提供する。
【解決手段】 土練機10を、焼物用土の投入口12及び吐出口14を有する混練室16と、混練室16内で回転させられることにより焼物用土を送りつつ混練する混練治具18とを備えて構成した。混練治具18は、吐出口14に向かって焼物用土を送るスクリュー状の第一のブレイド20(a)及び20(b)と、逆方向へ焼物用土を押し戻すスクリュー状の第二のブレイド22とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼物を形成するために、ブレイドの回転によって焼物用土を混練する土練機及び混練治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、焼物を形成するための土練機が案出されて使用されている(例えば、特許文献1参照。)。このような土練機は、ブレイドの回転により焼物用土を混練室内で循環させることによって、焼物用土を混練することができる。しかし、より迅速かつ確実に混練することのできる土練機が望まれている。
【特許文献1】特開2001−62822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、より迅速かつ確実に焼物用土を混練できる土練機及び混練治具を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の土練機は、焼物用土の投入口及び吐出口を有する混練室と、該混練室内で回転させられることにより該焼物用土を送りつつ混練する混練治具とを備えた土練機において、前記混練治具が、前記吐出口に向かって前記焼物用土を送る第一のブレイドと、該送られた焼物用土を逆方向へ押し戻す第二のブレイドとを備えたことを特徴とする。
【0005】
また、本発明の土練機は、前記土練機において、前記混練治具が、一本の回転軸の周囲に、前記第一のブレイド及び第二のブレイドを備えたことを特徴とする。
【0006】
また、本発明の土練機は、前記土練機において、前記第一のブレイド及び第二のブレイドが前記回転軸の軸方向に配置され、該第二のブレイドが該第一のブレイドの間に位置し、該回転軸の周囲からの該第二のブレイドの高さが該第一のブレイドの高さよりも低いことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の土練機は、前記土練機において、前記第二のブレイドの高さが前記第一のブレイドの高さの1/2であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の土練機は、前記土練機において、互いに逆方向に回転させられる二本一対の前記混練治具を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の土練機は、前記土練機において、前記第二のブレイドが、投入口側の第一のブレイド及び吐出口側の第一のブレイドの間に位置することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の混練治具は、前記土練機に使用し、焼物用土の投入口及び吐出口を有する混練室内で回転させられることにより該焼物用土を送りつつ混練する混練治具において、一本の回転軸の周囲に、前記吐出口に向かって前記焼物用土を送る第一のブレイドと、逆方向へ該焼物用土を押し戻す第二のブレイドとを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の混練治具は、前記混練治具において、前記第一のブレイド及び第二のブレイドが前記回転軸の軸方向に配置され、該第二のブレイドが該第一のブレイドの間に位置し、該回転軸の周囲からの該第二のブレイドの高さが該第一のブレイドの高さよりも低いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の土練機及び混練治具によれば、焼物用土を第一のブレイドによって吐出口に向かって送る一方で、第二のブレイドによって逆方向に戻すため、送る焼物用土と戻す焼物用土とを互いに押圧させ合うことにより、迅速かつ確実に脱気を行なうことができる。また、複数種類の焼物用土を効率的に満遍なく混合することができる。
【0013】
また、一本の回転軸の周囲に第一のブレイド及び第二のブレイドを備えた本発明の土練機及び混練治具によれば、一本の回転軸に沿って吐出口に向かって送る焼物用土と、第二のブレイドによってその回転軸に沿って戻す焼物用土とを直接押圧させ合うことができる。このため、より迅速かつ確実に混練を行なうことができる。
【0014】
また、第二のブレイドの高さが第一のブレイドの高さよりも低い本発明の土練機及び混練治具によれば、第二のブレイドの周囲に隙間を積極的に生じさせて、第二のブレイドにより一旦押し戻した焼物用土を、その隙間から吐出口に向かって送り出すことができる。
【0015】
また、互いに逆方向に回転させられる二本一対の混練治具を備えた本発明の土練機によれば、一方の混練治具の第二のブレイドによって戻す焼物用土を他方の混練治具の第一のによって送られる焼物用土にも押圧させて、焼物用土の流れを複雑に乱し、効率的に混練することができる。
【0016】
また、第二のブレイドが投入口側の第一のブレイド及び吐出口側の第一のブレイドの間に位置する本発明の土練機によれば、専ら焼物用土の混練を目的とする投入口側のブレイドと専ら吐き出しを目的とする吐出口側のブレイドとの間に、押し戻しを目的とするブレイドを位置させることにより、混練から吐出までを円滑に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係る土練機を図面に基づいて詳しく説明する。図1及び図2において、符号10は、本発明の土練機10を示す。この土練機10は、焼物用土の投入口12及び吐出口14を有する混練室16と、混練室16内で回転させられることにより焼物用土を送りつつ混練する混練治具18とを備えている。
【0018】
混練治具18は、吐出口14に向かって焼物用土を送るスクリュー状の第一のブレイド20(a)及び20(b)と、逆方向へ焼物用土を押し戻すスクリュー状の第二のブレイド22とを備えている。一の混練治具18は、一本の回転軸24の周囲に、第一のブレイド20(a)及び20(b)と第二のブレイド22とを備え、このような混練治具18が、互いに逆方向に回転させられるように二本一対備えられている。歯車機構25によって、二本の混練治具18の第一のブレイド20(a)、20(b)及び第二のブレイド22は、互いに逆向きのスクリュー状となっている。第二のブレイド22は、投入口12側の第一のブレイド20(a)及び吐出口14側の第一のブレイド20(b)の間に位置し、第一のブレイド20(a)及び20(b)に対して逆向きのスクリュー状となっている。回転軸24の周囲からの第二のブレイド22の高さは、第一のブレイドの高さHの1/2である。第二のブレイド22の回転中心軸方向長さは、第一のブレイド20(a)の1ピッチPの長さの1/2である。
【0019】
この混練治具18の第一のブレイド20(a)は、図3に示すように、3個のパーツ26(a)、26(b)及び26(c)を組み合わせて構成される。また、第一のブレイド20(b)は、2個のパーツ26(d)及び26(e)を組み合わせて構成される。第二のブレイド22は、1個のパーツ28から構成される。これらパーツ26(a)、26(b)、26(c)、26(d)、26(e)及び28を、図3に示すように、回転軸24に嵌合することにより、混練治具18が組み立てられる。
【0020】
このような土練機10及び混練治具18の作用について以下に説明する。
【0021】
土練機10を使用して、例えば2種類の焼物用土を混練する場合、図示しないモーターを駆動させて、2本の混練治具18を互いに逆方向に回転させた状態で、2種類の焼物用土を投入口12から混練室16内へ同時に投入する。ブレイド20(a)が回転しているため、2種類の焼物用土は、ブレイド20(a)によって混練室16内へ引き込まれていく。
【0022】
引き込まれた2種類の焼物用土は、ブレイド20(a)によって混練されながら吐出口14の方へ送られる。吐出口14の方へ送られた焼物用土は、図4に矢印で示すように、ブレイド20(a)に対して逆向きのスクリュー状のブレイド22によって投入口12側へ戻される。戻された焼物用土は、ブレイド20(a)によって吐出口14の方へ順次送られて来る焼物用土とぶつかり合うこととなる。すなわち、回転軸24の切断面に対してθ2の方向にN2の力で焼物用土が押し戻される一方で、θ1の方向にN1の力で焼物用土が順次送られ、互いにぶつかり合い圧迫し合うこととなる。圧迫し合うことにより、脱気される。ぶつかり合った焼物用土は、ブレイド22の周囲の隙間30からブレイド20(b)の方に向かって送られる。
【0023】
ブレイド20(b)の方に送られた焼物用土は、回転するブレイド20(b)により吐出口14に向かって送られ、吐出口14から排出されていく。排出された焼物用土は、投入口12へ再度投入し、再度混練することが好ましい。このようにして赤色の焼物用土及び灰色の焼物用土の2種類の焼物用土を、実際に混練した結果、3度混練すれば完全に混合し、斑模様は生じなかった。なお、ブレイド22を取り外して同じ焼物用土で試験したところ、3度混練しても斑模様が生じた。また、完全に脱気し、焼き終えた焼物に空気穴は生じなかった。
【0024】
本発明の土練機10によれば、焼物用土をブレイド22によって一旦押し戻してブレイド20(a)から送られる焼物用土に押し当て、隙間30から吐出口14の方へ送る作動により、焼物用土を満遍なく混練し脱気することができる。すなわち、ブレイド22及び隙間の相乗効果により優れた効果が生じる。なお、第二のブレイド22の回転中心軸方向長さが、第一のブレイド20(a)の1ピッチPの長さの1/2程度である場合、現実に、優れた効果が生じている。
【0025】
また、一本の回転軸24の周囲に第一のブレイド20及び第二のブレイド22の両方を備えているため、一本の回転軸24に沿って吐出口14に向かって送る焼物用土と、第二のブレイド22によって回転軸24に沿って戻す焼物用土とを直接押圧させ合うことができる。一方で、互いに逆方向に回転させられる二本一対の混練治具18を備えているため、一方の混練治具18の第二のブレイド22によって戻す焼物用土を他方の混練治具18の第一のブレイド20(a)によって送られる焼物用土にも押圧させることができる。このため、一の焼物用土の流れが複数の焼物用土の流れとぶつかり合って、焼物用土の流れが複雑に乱れ、効率的に混練することができる。
【0026】
また、本発明の土練機10によれば、一旦停止させて焼物用土が中で固まった場合、固まった焼物用土をブレイド22により押し戻して動かすため、固まった焼物用土がブレイド22等から剥離する。このため、作業上の便宜から、土練機10を停止させた場合でも、迅速に作業復帰することができる。
【0027】
また、第二のブレイド22が第一のブレイド20(a)及び第一のブレイド20(b)の間に位置するため、専ら焼物用土の混練を目的とするブレイド20(a)と専ら吐き出しを目的とするブレイド20(b)との間に押し戻しを目的とするブレイド22を位置させることにより、混練から吐出までを円滑に行なうことができる。すなわち、ブレイド20(a)及びブレイド22によって十分に混練させた後、ブレイド20(b)により効率良く吐き出すことができる。
【0028】
以上、本発明の土練機の一実施形態について説明したが、本発明は他の実施形態であっても良い。
【0029】
例えば、土練機10において、図5に示すように、1本の混練治具18に対してブレイド22を2箇所備えても良い。回転軸24の先端側のブレイド22は分割したブレイド20(b)間に挟まれている。この土練機10の場合、2箇所において焼物用土を押し戻して混練することができる。この場合、混練治具18の長さが図1の場合よりも長くなるため、1回の焼物用土の投入による混練効果を高めることができる。
【0030】
また、土練機10において、図6に示すように、混練治具38が、スクリュー状ではなく平板状の第一のブレイド40(a)及び40(b)と第二のブレイド42とを備えても良い。このような混練治具38であっても、ブレイド42によって焼物用土を押し戻して混練することができる。また、ブレイド40によって焼物用土を切断する作用によっても焼物用土を混練できる。
【0031】
また、土練機10において、図7に示すように、パーツ26(a)、26(b)及び26(c)の面が連続しないように組み合わせて第一のブレイド20(a)を形成しても良い。専ら焼物用土を吐き出すためのブレイド20(b)と異なり専ら混練するためのブレイド20(a)であれば、混練効率を向上させるために、パーツ26(a)、26(b)及び26(c)の互いの角度を調節しても良い。すなわち、焼物用土を送る速度は多少遅くなるが、各パーツ26(a)、26(b)及び26(c)の継ぎ目により焼物用土を切断しながら混練することができる。
【0032】
また、本発明の土練機10の第二のブレイドは、図8に示す第二のブレイド52であっても良い。このブレイド52は、高さHは第一のブレイド22と同じであるが、中空部54を備えている。よって、ブレイド52により押し戻した焼物用土を中空部54から吐出口14の方へ送ることができる。これにより、図1等に示す土練機と略同様の効果が生じる。
【0033】
以上、本発明の土練機及び混練治具について、図面に基いて説明したが、図示したものには限定されない。例えば、上述のような第一のブレイド及び第二のブレイドを備えた混練治具を有し、混練室内の空気を抜きながら混練する真空土練機であっても良い。また、本発明の土練機及び混練治具によって混練する焼物用土は、2種類のものに限定されず、1種類又は3種類以上であっても良い。また、混練する焼物用土の質は、焼物に使用できるものであれば、特に限定されない。また、混練治具のブレイドの形状は、上述のスクリュー状及び平板状には限定されず、その他の形状であっても良い。例えば、棒状部材を組み合わせたものであっても良い。また、第二のブレイドは特に第一のブレイドの間に位置しなくとも良い。
【0034】
以上本発明の土練機の態様を説明したが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変形を加えた態様で実施し得るものであり、これらの態様はいずれも本発明の範囲に属するものである。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の土練機及び混練治具は、焼物用土を第一のブレイドによって吐出口に向かって送る一方で、第二のブレイドによって逆方向に戻すことによって、より迅速かつ確実に焼物用土を混練できるため、種々の焼物用土の混練のために広く汎用的に利用出来る。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る土練機の実施例を示す平面断面図である。
【図2】図1の土練機の側面断面図である。
【図3】図1の土練機の混練治具の組立図である。
【図4】図1の土練機における焼物用土の流れを説明するための拡大側面断面図である。
【図5】本発明の土練機の他の実施例を示す平面断面図である。
【図6】本発明の土練機の更に他の実施例を示す平面断面図である。
【図7】本発明の土練機の更に他の実施例を示す平面断面図である。
【図8】本発明の土練機の第二のブレイドの他の実施例を示す拡大正面断面図である。
【符号の説明】
【0037】
10;土練機
12;投入口
14;吐出口
16;混練室
18、38;混練治具
20(a)、20(b)、40(a),40(b);第一のブレイド
22、42、52;第二のブレイド
24;回転軸




【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼物用土の投入口及び吐出口を有する混練室と、該混練室内で回転させられることにより該焼物用土を送りつつ混練する混練治具とを備えた土練機において、
前記混練治具が、前記吐出口に向かって前記焼物用土を送る第一のブレイドと、該送られた焼物用土を逆方向へ押し戻す第二のブレイドとを備えた土練機。
【請求項2】
前記混練治具が、一本の回転軸の周囲に、前記第一のブレイド及び第二のブレイドを備えた請求項1に記載する土練機。
【請求項3】
前記第一のブレイド及び第二のブレイドが前記回転軸の軸方向に配置され、該第二のブレイドが該第一のブレイドの間に位置し、該回転軸の周囲からの該第二のブレイドの高さが該第一のブレイドの高さよりも低い請求項2に記載する土練機。
【請求項4】
前記第二のブレイドの高さが前記第一のブレイドの高さの1/2である請求項3に記載する土練機。
【請求項5】
互いに逆方向に回転させられる二本一対の前記混練治具を備えた請求項2乃至請求項4のいずれかに記載する土練機。
【請求項6】
前記第二のブレイドが、投入口側の第一のブレイド及び吐出口側の第一のブレイドの間に位置する請求項2乃至請求項5のいずれかに記載する土練機。
【請求項7】
土練機に使用し、焼物用土の投入口及び吐出口を有する混練室内で回転させられることにより該焼物用土を送りつつ混練する混練治具において、
一本の回転軸の周囲に、前記吐出口に向かって前記焼物用土を送る第一のブレイドと、逆方向へ該焼物用土を押し戻す第二のブレイドとを備えた混練治具。
【請求項8】
前記第一のブレイド及び第二のブレイドが前記回転軸の軸方向に配置され、該第二のブレイドが該第一のブレイドの間に位置し、該回転軸の周囲からの該第二のブレイドの高さが該第一のブレイドの高さよりも低い請求項7に記載する混練治具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate