説明

土練機

【課題】スクリュー軸の外周面とスクリーンの軸孔との隙間に原料が詰まってしまうことのない土練機を提供すること。
【解決手段】スクリュー片を螺旋状に備えるとともに胴部14内に平行に回転自在に設けられた2本のスクリュー軸18a、18bと、スクリュー軸18a、18bを遊貫させ、かつ、軸受けするための軸孔22、22が中央部に備えられた盤状のスクリーン20とを有する土練機であって、スクリーン20が、放射状に軸孔22、22から連続して伸びた多数の通孔24aを備えたもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、瓦、陶磁器、タイルなどの各種セラミックス製品の原料用の土練機に関する。
【背景技術】
【0002】
この技術分野の従来の装置としては、先端に吐出口を備えた胴部内に真空室と混練室とが連続して設けられるとともに、スクリュー片を螺旋状に備えたスクリュー軸が回転自在に設けられた土練機であって、混練室と真空室との境目に多数の通孔を備えるとともに、前記スクリュー軸を遊貫させ、かつ、前記スクリュー軸を軸受けするための軸孔が、通孔とは別に中央部に設けられた盤状のスクリーンを有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
なお、ここでいう「遊貫」とは、スクリュー軸の外周面とスクリーンの軸孔との間に隙間を設け、回転自在となるようにスクリュー軸をスクリーンに貫通させている状態のことをいう。
【0004】
従来の土練機では、スクリュー軸の回転によって押し出される原料を、多数の通孔を備えたスクリーンによって阻止し、高密度に圧縮された原料の壁を作ることにより、真空室から混練室への空気の漏れを防ぎ、真空室内の原料を効率よく脱気することができた。
【0005】
さらに、従来の土練機では、前記の高密度に圧縮された原料の壁に対して、さらにスクリュー軸の回転による圧力を連続して加えることにより、原料をスクリーンの通孔に強制的に通過させ、原料内の異物を除去するとともに、原料をほぐすことができた。
【0006】
【特許文献1】特公昭53−4946号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の土練機では、スクリュー軸をスクリーンに対して遊貫させていることから、当然にスクリュー軸の外周面とスクリーンの軸孔との間に隙間が存在し、この隙間に原料が詰まってしまい、やがては、スクリュー軸の外周面付近にスクリーンを通過できない原料の一部が滞留してしまうおそれがあった。
【0008】
なぜなら、通常、スクリュー軸の外周面付近の原料は、スクリュー軸の回転による圧力を受けるものの、スクリュー軸の外周面との摩擦抵抗を受けることから、それ以外の箇所であるスクリュー片付近の原料と比べて受ける圧力が低くなり、隙間へと押し出された原料が隙間を通過することができず、詰まってしまうことが多いためである。
【0009】
本発明は、スクリュー軸の外周面とスクリーンの軸孔との隙間に原料が詰まってしまい、やがては、スクリュー軸の外周面付近にスクリーンを通過できない原料の一部が滞留してしまうことのない土練機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明は、先端に吐出口を備えた胴部と、スクリュー片を螺旋状に備えるとともに前記胴部内に回転自在に設けられたスクリュー軸と、前記スクリュー軸を遊貫させ、かつ、前記スクリュー軸を軸受けするための軸孔が中央部に備えられた盤状のスクリーンとを有する土練機であって、前記スクリーンが、前記軸孔から連続して外周方向に伸びた通孔を備えたことを特徴とする。
【0011】
したがって、スクリュー軸の外周面付近に加えられる圧力が、スクリュー片付近のものと比べて低いものであっても、通孔内に露出されたスクリュー軸の外周面付近の原料が、スクリュー片付近の強い圧力を受けて通孔を通過するスクリュー片付近の原料によって、力強く押し出され、通孔を通過することとなる。
【0012】
さらに、スクリュー軸の外周面付近に加えられる圧力が、スクリュー片付近のものと比べて低いものであっても、スクリュー片付近の原料によって力強く押し出された、通孔内に露出されたスクリュー軸の外周面付近の原料の一部が、隙間へも力強く押し出されることにより、隙間に詰まりかけた原料が、これに伴って力強く押し出され、隙間を通過することとなる。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の土練機であって、前記通孔が、放射状に前記軸孔から連続して伸びた多数のものであることを特徴とする。
【0014】
したがって、スクリュー軸の外周面付近に加えられる圧力が、スクリュー片付近のものと比べて低いものであっても、それぞれの通孔内に露出されたスクリュー軸の外周面付近の原料が、スクリュー片付近の強い圧力を受けて、それぞれの通孔を通過するスクリュー片付近の原料によって、一層力強く押し出され、通孔を通過することとなる。
【0015】
さらに、スクリュー軸の外周面付近に加えられる圧力が、スクリュー片付近のものと比べて低いものであっても、スクリュー片付近の原料によって力強く押し出された、それぞれの通孔内に露出されたスクリュー軸の外周面付近の原料の一部が、四方八方から満遍なく隙間へも力強く押し出されることにより、隙間に詰まりかけた原料が、これに伴って一層力強く押し出され、隙間を通過することとなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の土練機は、スクリュー軸の外周面とスクリーンの軸孔との隙間に原料が詰まるおそれがないため、スクリュー軸の外周面付近にスクリーンを通過できない原料の一部を滞留させることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
本発明の土練機10は、瓦製品の原料である瓦用粘土(以下、「原料M」という。)を混練して押し出すためのものである。
なお、土練機10にて押し出す原料は、瓦用粘土に限られず、その他の各種セラミック製品の原料としても良い。
【0018】
土練機10は、後方に図示しない原料投入口であるホッパーを備えるとともに先端に吐出口12を備えた胴部14と、スクリュー片16を螺旋状に備えるとともに胴部14内に平行に設けられた2本のスクリュー軸18a、18bと、胴部14内の中間においてスクリュー軸18a、18bを遊貫させたスクリーン20とを有するものである(図1参照)。
【0019】
スクリュー軸18aは、吐出口12までの長さに設けられているとともに、スクリュー軸18bは、胴部14の長手方向途中までの長さに設けられている。
なお、2本のスクリュー軸18a、18bは、平面視で見て、互いが内側の方向に回転自在となるように、土練機10の図示しない後端にて軸受けされるとともに、駆動用モーターに接続されている。
【0020】
スクリーン20は盤状に設けられたものであり、超硬金属からなるものである。
なお、スクリーン20は、超硬金属からなるものに限定されない。
スクリーン20の中央部には、一対の軸孔22、22が備えられ、スクリュー軸18a、18bがそれぞれ遊貫されている(図2参照)。
【0021】
このため、スクリュー軸18a、18bのそれぞれの外周面とそれぞれの軸孔22との間には、隙間Cが設けられていることとなる。
隙間Cは、0.1mm〜1.0mmの範囲となるように設けられている。
なお、隙間Cの大きさは、上記の範囲のものに限定されず、スクリュー軸を回転させ、かつ、安定させて軸受けができるように、適宜調整して設けられることが望ましい。
【0022】
さらに、スクリーン20には、原料Mを通過させるための10個の通孔24aが、放射状にそれぞれの軸孔22、22から連続して伸びた態様にて一対設けられている。
具体的にいえば、略長円形に設けられたそれぞれの通孔24aの一端が、軸孔22の一部と連続し、放射状に伸びた態様となっている。
【0023】
なお、それぞれの通孔24aの形状は上記のものに限定されず、略円形、略多角形など、その他の形状のものであっても良い。
さらに、軸孔22において、通孔24aと軸孔22とが連続していない各部分は、スクリュー軸18a、18bのそれぞれを軸受けするための10箇所の支持部28となっている。
【0024】
それぞれの10箇所の支持部28は、いくつかの支持部28を、スクリュー軸18a、18bのそれぞれの外周面の一部分と原料Mを介して面接触させることにより、スクリュー軸18a、18bのそれぞれを、大きく振動させることなく安定させた状態にて軸受けする。
【0025】
なお、スクリーン20は、通孔24aとは別に多数の円形の通孔24bを備えたものとしても良い(図4参照)。
また、スクリーン20は、上記のものに限定されず、それぞれ4個の略扇形の通孔24aが、それぞれの軸孔22、22から連続して外周方向に十字状に伸びた態様のもの(図5参照)としても良い。
【0026】
なお、本実施例のスクリーン20においては、通孔24aと連続した軸孔22をそれぞれ一対備えたものとしたが、通孔24aと連続した軸孔22の数はこれに限定されるものではなく、土練機に設けられたスクリュー軸の本数に対応して備えられ、例えば、スクリュー軸が1本の場合には、通孔24aと連続した軸孔22は1つとなる。
また、土練機10の胴部14内を、連続した真空室と混練室とに分け、その境目にスクリーン20を設けても良い。
【0027】
次に、本発明の土練機10の作用を図面に基づき説明する。
まず、図示しない後方のホッパーから投入された原料Mが、スクリュー軸18a、18bの回転によって、混練されながら矢印Fの方向に押し出されていく(図3参照)。
【0028】
押し出された原料Mは、スクリーン20に衝突して、いったん阻止され、高密度に圧縮された原料の壁Wを作る。
そして、原料の壁Wに対して、さらにスクリュー軸18a、18bの回転による圧力が加わることにより、原料Mが、力強く押し出され、それぞれ10個の通孔24aを通過していく。
【0029】
この時、それぞれ10個の通孔24aが、放射状にそれぞれの軸孔22、22から連続して伸びた態様にて設けられたものであることから、スクリュー軸18a、18bのそれぞれの外周面付近に加えられる圧力が、スクリュー片16付近のものと比べて低いものであっても、それぞれ10個の通孔24a内に露出されたスクリュー軸18a、18bのそれぞれの外周面付近の原料Mが、スクリュー片16付近の強い圧力を受けてそれぞれ10個の通孔24aを通過するスクリュー片16付近の原料Mによって、力強く押し出され、それぞれ10個の通孔24aを通過することとなる。(図2、3参照)。
【0030】
さらにこの時、スクリュー軸18a、18bのそれぞれの外周面付近に加えられる圧力が、スクリュー片16付近のものと比べて低いものであっても、スクリュー片16付近の原料Mによって力強く押し出された、それぞれ10個の通孔24a内に露出されたスクリュー軸18a、18bのそれぞれの外周面付近の原料Mの一部が、四方八方から満遍なく隙間Cへも力強く押し出されることにより、隙間Cに詰まりかけた原料Mが、これに伴って力強く押し出され、隙間Cを通過することとなる。
このため、隙間Cに原料Mが詰まらないことから、原料Mの一部がスクリーン20を通過できずに滞留してしまうことがない。
【0031】
そして、スクリーン20を通過した原料Mは、原料内の異物が除去されるとともに、ほぐされた後、スクリュー軸18aの回転によって、円滑に吐出口12から押し出されていく。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の土練機の部分断面平面図である。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】本発明の土練機の原料の流れを示す部分断面説明図である。
【図4】本発明の別の土練機のスクリーン正面図である。
【図5】本発明のさらに別の土練機のスクリーン正面図である。
【符号の説明】
【0033】
10 土練機
12 吐出口
14 胴部
16 スクリュー片
18a スクリュー軸
18b スクリュー軸
20 スクリーン
22 軸孔
24a 通孔
24b 通孔
28 支持部
C 隙間
F 矢印
M 原料
W 原料の壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に吐出口を備えた胴部と、スクリュー片を螺旋状に備えるとともに前記胴部内に回転自在に設けられたスクリュー軸と、前記スクリュー軸を遊貫させ、かつ、前記スクリュー軸を軸受けするための軸孔が中央部に備えられた盤状のスクリーンとを有する土練機であって、
前記スクリーンが、
前記軸孔から連続して外周方向に伸びた通孔を備えたことを特徴とする土練機。
【請求項2】
前記通孔が、放射状に前記軸孔から連続して伸びた多数のものであることを特徴とする請求項1記載の土練機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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