説明

土舗装材、土舗装方法及び土舗装層

【課題】 六価クロム汚染の心配が無く、土舗装としての必要な強度を満たし、長時間をかけた均一な固化により土舗装が均一構造となり、表面の不均一な剥がれが生じにくい土舗装を得る。
【解決手段】 土舗装材は、転圧前の土1m3 に対して石灰系固化材60〜230kgが混合されてなる。土舗装方法は、土に石灰系固化材が配合されてなる土舗装材を地盤上に敷き均して、土舗装層の1層目1aを形成するステップと、1層目に散水するステップと、土に石灰系固化材が配合されてなる土舗装材を1層目上に敷き均して、土舗装層の2層目1bを形成するステップと、1層目及び2層目を転圧するステップと、2層目に散水するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土舗装材、土舗装方法及び土舗装層に関するものである。
【背景技術】
【0002】
土舗装は、土を主材料として用いる舗装であり、土に固化材を混合した舗装用材を敷き均し、散水してから転圧する、等の方法によって行われる。この土舗装は土の質感を備えているため、土のある景観にマッチし、足にも優しく、透水性もあるという利点がある。このため、土舗装は、公園(広場や通路)、歩道、駐車場、家庭の土間、緑地などでよく使われている。
【0003】
従来の土舗装は、固化材としてセメント系固化材(ポルトランドセメント系固化材)を用いることにより、必要な強度を満たしている(特許文献1〜3)。しかし、近年、セメント系固化材から汚染物の一つである六価クロムが滲み出すことが分かり、環境汚染が懸念されている。また、セメント系固化材の水和反応による急速な固化と不均一な吸湿による不均等固化とにより、土舗装が不均一構造となり、数年のうちに土舗装の表面に不均一な剥がれが生じて、でこぼこになるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−10305号公報
【特許文献2】特開平9−87621号公報
【特許文献3】特開2008−14117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の課題は、六価クロム汚染の心配が無く、土舗装としての必要な強度を満たし、長時間をかけた均一な固化により土舗装が均一構造となり、表面の不均一な剥がれが生じにくい土舗装を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、次の手段を採った。
(1)転圧前の土1m3 に対して石灰系固化材60〜230kgが混合されてなる土舗装材。
(2)土に石灰系固化材が混合されてなる土舗装材を地盤上に敷き均して、土舗装層の1層目を形成するステップと、
前記1層目に散水するステップと、
土に石灰系固化材が配合されてなる土舗装材を前記1層目上に敷き均して、土舗装層の2層目を形成するステップと、
前記1層目及び2層目を転圧するステップと、
前記2層目に散水するステップとを含む土舗装方法。
(3)土が石灰系固化材により固化してなる土舗装層。
【0007】
ここで、石灰系固化材は、生石灰(酸化カルシウム)又は消石灰(水酸化カルシウム)を主成分とする固化材であり、水酸化カルシウムを主成分とする固化材が好ましい。酸化カルシウムは、水を加えると水酸化カルシウムを生成する。水酸化カルシウムは、土中又は空気中の二酸化炭素を吸収し、炭酸カルシウムを生成して固まるため、土の固化材として機能する。この固化は二酸化炭素を徐々に吸収して進行するため時間がかかるが、土舗装は均一構造となる。また、この固化は二酸化炭素を均一に吸収して進行するため、土舗装は均等固化する。
【0008】
石灰系固化材の好ましい混合比は、敷設する土舗装の場所によって異なり、人や自動車による踏圧が頻繁にかかる場所(歩道、駐車場、公園(広場や通路)、家庭の土間など)については、転圧前の土1m3 に対して石灰系固化材130〜230kgの混合が好ましく、踏圧がほとんどかからない場所(防草したい道路の中央分離帯や路肩など)については、転圧前の土1m3 に対して石灰系固化材60〜130kgの混合が好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、六価クロム汚染の心配が無く、土舗装としての必要な強度を満たし、長時間をかけた均等な固化により土舗装が均一構造となり、表面の不均一な剥がれが生じにくい土舗装を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例の土舗装及び土舗装方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
土舗装材は、転圧前の土1m3 に対して石灰系固化材60〜230kgが混合されてなる。
土舗装方法は、土に石灰系固化材が配合されてなる土舗装材を地盤上に敷き均して、土舗装層の1層目を形成するステップと、前記1層目に散水するステップと、土に石灰系固化材が配合されてなる土舗装材を前記1層目上に敷き均して、土舗装層の2層目を形成するステップと、前記1層目及び2層目を転圧するステップと、前記2層目に散水するステップとを含む。
【実施例1】
【0012】
転圧前の土1m3 に対して石灰系固化材180kgを混合して、土舗装材を得た。土には岐阜県関市産出の真砂土(通称サバ土)を用い、石灰系固化材には株式会社古田石灰工業所の商品名「グルーサンド」を用いた。
【0013】
得られた土舗装材を用いて、自動車による踏圧が頻繁にかかる駐車場予定地に、図1に示す土舗装層1を以下の手順で施工した。
(1)必要に応じて駐車場予定地の地盤を整備した。例えば、掘削現地3上に砕石4を厚さ100mm程度に敷設した。
(2)砕石4上に上記で得られた土舗装材を厚さ50mm以上に敷き均して、土舗装層の1層目1aを形成した(図1(a))。
(3)1層目1aに散水した(図1(a))。
(4)1層目1a上に上記で得られた土舗装材を厚さ50mm以上に敷き均して、土舗装層の2層目1bを形成した(図1(b))。
(5)1層目1a及び2層目1bを1トン・ローラー車5で転圧して厚さ100mm程度の土舗装層1とした(図1(b))。
(6)2層目1bに散水した(図1(c))。
(7)土舗装層1を1トン・ローラー車5で仕上げ転圧した(図1(d))。
(8)土舗装層1に仕上げ散水した(図1(e))。
(9)土舗装層1を7日間(いずれも晴天)静置し、石灰系固化材により土を固化させるとともに、乾燥させて完成した(図1(f))。
【0014】
完成した土舗装層1の諸性質を現場測定又はサンプル測定したところ、次のとおりであった。土の一軸圧縮強さは、JIS A 1216「土の一軸圧縮試験」に従って測定した。透水係数は、JIS A 1218「土の透水試験(変水位)」(供試体作成、飽和方法については、JSF T 711呼び名Aにより突固め回数25回で作成)に従って測定した。
土の一軸圧縮強さ qu=1112.0kN/m2
乾燥時の含水比 15.4重量%
透水係数 3.76×10-4cm/秒
【0015】
この土舗装層1により、次の効果が得られた。
(a)石灰系固化材の使用により、六価クロム汚染の心配がない。
(b)汚染物質がないので、土舗装の廃棄時には残土として処分できる。
(c)駐車場としての必要な強度を満たし、表面のすり減りが少ない。2トントラック程度ならば、普通に走行できる。
(d)石灰系固化材による固化は二酸化炭素を徐々に吸収して進行するため時間がかかるが、土舗装は均一構造となる。また、この固化は二酸化炭素を均一に吸収して進行するため、土舗装は均等固化する。これにより土舗装が均一構造となり、表面の不均一な剥がれが生じにくい。
(e)透水力・保水力があるので、ヒートアイランド防止に役立つ。
(f)防草効果がある。
(g)土舗装層を2層に分けて施工したことにより、均一な密度を実現できる。
(h)従来のセメント系固化材を用いた土舗装では硬すぎてできない、コア抜き(サンプリング)が可能である。
【実施例2】
【0016】
転圧前の土1m3 に対して石灰系固化材80kgを混合して、土舗装材を得た。土及び石灰系固化材には実施例1と同じものを用いた。
【0017】
得られた土舗装材を用いて、人や自動車による踏圧がほとんどかからない道路の中央分離帯と路肩に、主として景観向上と防草の目的で、土舗装層を施工した。施工は、現地上に土舗装材を厚さ50〜100mm程度に敷き均し、コンパクターなどで転圧してから散水し、7日間静置して石灰系固化材により土を固化させるとともに乾燥させて完成した。
【0018】
この土舗装層によっても、実施例1と同様の効果が得られた。但し、(c)の強度については実施例1よりも低いが、踏圧がほどんどかからない場所としての必要な強度は満たした。
【0019】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、例えば次のように、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
(1)仕上げ転圧及び仕上げ散水は、省略してもよい。
【符号の説明】
【0020】
1 土舗装層
1a 1層目
1b 2層目
3 掘削現地
4 砕石
5 ローラー車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転圧前の土1m3 に対して石灰系固化材60〜230kgが混合されてなる土舗装材。
【請求項2】
土に石灰系固化材が混合されてなる土舗装材を地盤上に敷き均して、土舗装層の1層目を形成するステップと、
前記1層目に散水するステップと、
土に石灰系固化材が配合されてなる土舗装材を前記1層目上に敷き均して、土舗装層の2層目を形成するステップと、
前記1層目及び2層目を転圧するステップと、
前記2層目に散水するステップとを含む土舗装方法。
【請求項3】
土が石灰系固化材により固化してなる土舗装層。

【図1】
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