説明

圧力検出装置、電子機器

【課題】簡素な構成で外圧の3次元ベクトルを精度よく検出可能な圧力検出装置、これを
備えた電子機器を提供すること。
【解決手段】圧力検出装置10は、一対の基板1,2と、一対の基板1,2間に設けられ
ると共に、一対の基板1,2のうち一方の基板2の外周に沿って配置された複数の圧力検
出部15と、を備え、圧力検出部15は、一対の基板1,2のうち他方の基板1に設けら
れた圧力センサーと、先端部が圧力センサーに当接するように配置された弾性体突起とか
らなり、一方の基板2に加わる外圧の方向と大きさを複数の圧力検出部15により検出す
る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外圧を検出可能な圧力検出装置およびこれを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
上記圧力検出装置として、ディスプレイに装着されるパネルの四隅に設けられた荷重を
検出するセンサーと、該センサーからの出力をデジタル化するAD変換器とを備えた3次
元タッチパネルが知られている(特許文献1)。
【0003】
また、この他にも表面に変位可能な接触子を複数設け、該接触子の変位を検出ポイント
で検出して出力する感圧素子を備えた触覚センサーが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−126997号公報
【特許文献2】特開2008−164557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記3次元タッチパネルは、パネル上において荷重が加えられた平面的な位置(X,Y
座標)と、パネル面に対して垂直な方向における荷重の検出が可能であるが、パネル面に
対して実際にはどのような方向に荷重が加わっているかは検出不能であった。
また、上記触覚センサーは、複数の接触子と、これに対応した複数の感圧素子とを基板
表面のほぼ全面に亘って設ける必要があり、構造が複雑であるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の
形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例の圧力検出装置は、一対の基板と、前記一対の基板間に設けられ
ると共に、前記一対の基板のうち一方の基板の外周に沿って配置された複数の圧力検出部
と、を備え、前記圧力検出部は、前記一対の基板のうち他方の基板に設けられた圧力セン
サーと、先端部が前記圧力センサーに当接するように配置された弾性体突起とからなり、
前記一方の基板に加わる外圧の方向と大きさを複数の前記圧力検出部により検出すること
を特徴とする。
【0008】
この構成によれば、一方の基板に外圧が加わると外周に沿って配置された複数の弾性体
突起に外圧が伝わって弾性変形する。他方の基板に設けられた圧力センサーは、対応する
弾性体突起の変形量に応じた圧力と変形方向に応じた圧力方向とを検出する。したがって
、複数の圧力検出部が検出した圧力の情報を分析すれば、一方の基板に加えられた外圧の
平面的な位置座標と、加えられた外圧の2次元ベクトルだけでなく、3次元ベクトルをも
検出することが可能である。すなわち、他方の基板の全面に亘って圧力センサーを配置す
る必要がなく、簡素化された構造で外圧の3次元ベクトルの検出が可能な圧力検出装置を
提供することができる。
【0009】
[適用例2]上記適用例の圧力検出装置において、前記圧力センサーは、前記他方の基
板において基準点周りに複数配置され、前記弾性体突起は略半球状であって前記先端部が
前記基準点に当接するように前記一対の基板間に配置されていることが好ましい。
この構成によれば、1つの弾性体突起に対して基準点周りに複数の圧力センサーを備え
ているので、精度よく外圧の3次元ベクトルを検出可能である。
【0010】
[適用例3]上記適用例の圧力検出装置において、前記一方の基板が弾性部材からなり
、前記他方の基板が硬質部材からなることが好ましい。
この構成によれば、外圧によって一方の基板が他方の基板よりも撓み易くなり、より高
感度で圧力検出が可能となる。
【0011】
[適用例4]上記適用例の圧力検出装置において、前記一方の基板は、外周に配置され
たシール材により前記他方の基板に接着されていることが好ましい。
この構成によれば、基板の外周に沿って配置された圧力検出部を周囲の環境変化に対し
てシール材により保護することができ、高い信頼性を有する圧力検出装置を提供できる。
【0012】
[適用例5]上記適用例の圧力検出装置において、前記シール材は、複数の前記圧力セ
ンサーと前記弾性体突起とを包含するように配置され、前記弾性体突起の硬度よりも低い
硬度を有する弾性体であるとしてもよい。
この構成によれば、シール材にて圧力検出部を直接保護し、小型で精度よく圧力検出可
能な圧力検出装置を提供できる。
【0013】
[適用例6]本適用例の電子機器は、上記適用例の圧力検出装置を備えたことを特徴と
する。
この構成によれば、圧力検出装置を例えば入力装置の一部として活用し、3次元的な入
力に対しても対応可能な電子機器としての情報端末装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】圧力検出装置の構成を示す概略平面図。
【図2】図1のA−A’線で切った圧力検出装置の構造を示す要部概略断面図。
【図3】圧力検出部の構成を示す概略斜視図。
【図4】(a)〜(c)は圧力検出部における圧力の検出状態を説明する概略平面図。
【図5】圧力検出装置に加えられた外圧の一例を示す概略平面図。
【図6】(a)および(b)は圧力検出部によって検出された圧力の分布を示すグラフ。
【図7】外圧の3次元ベクトルを説明する斜視図。
【図8】(a)は電子機器としての携帯型電話機を示す概略斜視図、(b)は電子機器としての携帯型情報端末を示す概略斜視図。
【図9】(a)は変形例の圧力検出装置の構造を示す概略断面図、(b)は圧力センサーと弾性体突起の配置を示す概略平面図。
【図10】変形例の圧力検出装置の構造を示す概略断面図。
【図11】変形例の圧力検出装置を示す概略平面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、使用する図
面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示してい
る。
【0016】
なお、以下の形態において、例えば「基板上に」と記載された場合、基板の上に接する
ように配置される場合、または基板の上に他の構成物を介して配置される場合、または基
板の上に一部が接するように配置され、一部が他の構成物を介して配置される場合を表す
ものとする。
【0017】
(第1実施形態)
<圧力検出装置>
まず、本実施形態の圧力検出装置について、図1〜図3を参照して説明する。図1は圧
力検出装置の構成を示す概略平面図、図2は図1のA−A’線で切った圧力検出装置の構
造を示す要部概略断面図、図3は圧力検出部の構成を示す概略斜視図である。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の圧力検出装置10は、外形が例えば四角形(長方形)
の一対の基板1,2と、一対の基板1,2の間に設けられ、一対の基板1,2の外周に沿
って配置された複数の圧力検出部15と、を備えている。
以降、一対の基板1,2の長手方向をX軸方向とし、長手方向に直交する短手方向をY
軸方向とする。また、X軸方向とY軸方向とにそれぞれ直交する方向すなわち基板面に対
する法線方向をZ軸方向として説明する。
【0019】
図2に示すように、対向配置された一対の基板1,2は、外周に沿って配置されたシー
ル材4によって接着されている。シール材4よりも内側に圧力検出部15が設けられてい
る。シール材4としては、熱硬化型樹脂あるいはUV硬化型樹脂を用いることができる。
【0020】
圧力検出部15は、一対の基板1,2のうちの他方の基板1に設けられた複数の圧力セ
ンサー11と、一対の基板1,2のうちの一方の基板2に設けられ、先端部が複数の圧力
センサー11に当接する略半球状の弾性体突起12とにより構成されている。なお、圧力
センサー11と弾性体突起12とを直接当接させてもよいし、圧力センサー11を覆って
保護部材を配置し、保護部材を介して間接的に圧力センサー11と弾性体突起12とを当
接させる構成としてもよい。保護部材を配置することにより圧力に対する感度が低下する
ことが考えられるが圧力センサー11の耐久性を向上させることができる。
【0021】
他方の基板1は、硬質部材からなり、例えばガラス基板やセラミック基板などを用いる
ことができる。これに対して、一方の基板2は、弾性部材からなり、例えばシリコンゴム
や天然ゴムなどを用いることができる。両基板の大きさは、例えば縦40mm×横64m
mである。
本実施形態では、圧力検出部15が、一対の基板1,2の外周に沿って合計56個配置
されている。
【0022】
圧力センサー11は、印加された圧力を例えば、電気的な容量変化や抵抗変化によって
検出する素子を用いることができる。
【0023】
弾性体突起12は、例えば、シリコンやネオプレンなどのゴムや樹脂材料を用いること
ができる。一方の基板2に加えられた圧力(外圧)によって変形可能な程度の硬度を有す
ることが望ましく、例えばデュロメーター硬さ(タイプA、ISO7619準拠のデュロ
メーターによる硬さ測定値)は30〜70程度になっている。直径はおよそ1.8mm、
圧力が与えられていないときの高さはおよそ2mm程度である。また、弾性体突起12の
形状は、略半球状でもよいし、錐状あるいは柱状でもよい。
【0024】
図3に示すように、圧力センサー11は、他方の基板1上において基準点P周りに所定
の間隔を置いてX軸方向に2つ、Y軸方向に2つ、合計4つが配置されている。4つの圧
力センサー11(S1〜S4)が基準点Pに対して点対称な状態(マトリクス状)に配置
され、単位検出領域Sを構成している。弾性体突起12は、単位検出領域Sごとに先端部
が基準点Pに当接するように一対の基板1,2間に配置されている。
例えば、4つの圧力センサーS1〜S4のX軸方向およびY軸方向における間隔は、お
よそ0.1mmである。また、単位検出領域Sの大きさ(平面視のサイズ)は、縦2.8
mm×横2.8mm程度になっている。また、4つの圧力センサーS1〜S4の各面積が
ほぼ等しくなっている。
【0025】
本実施形態の圧力検出装置10は、一方の基板2に加えられた外圧によって弾性体突起
12が弾性変形することにより変化する複数の圧力センサーS1〜S4のうち任意に組み
合わされた圧力センサー11の例えば電気容量や抵抗値の差分を演算し、その差分に基づ
いて外圧が加えられた方向と外圧の大きさを求める演算装置(図示省略)を備えている。
【0026】
圧力センサーS1〜S4は、基準点P周りに等間隔で配置されていると共に、それぞれ
が電気的に同じ特性を有しているので、4つの圧力センサーS1〜S4のうち任意に組み
合わされた圧力センサー11における例えば電気容量や抵抗値の差分を容易に演算するこ
とができる。
【0027】
図4(a)〜(c)は圧力検出部における圧力の検出状態を説明する概略平面図、図5
は圧力検出装置に加えられた外圧の一例を示す概略平面図、図6(a)および(b)は圧
力検出部によって検出された圧力の分布を示すグラフ、図7は外圧の3次元ベクトルを説
明する斜視図である。なお、図4(a)〜(c)におけるハッチング部分は、弾性体突起
12と単位検出領域Sとの接触領域を示すものである。
【0028】
図4(a)に示すように、一方の基板2の表面に外圧が付加される前においては、弾性
体突起12は変形しない。弾性体突起12の先端部は基準点Pに当接するとともに、4つ
の圧力センサーS1〜S4のそれぞれにわずかに接触している。このとき、弾性体突起1
2の重心Gは基準点Pと重なる位置に配置されている。また、このときの各圧力センサー
S1〜S4が示す例えば電気容量値や抵抗値などの検出値は初期値として前述した演算装
置のメモリーに記憶されている。メモリーに記憶された各圧力センサーS1〜S4の検出
値を基準として外圧の作用する方向や大きさが求められる。
【0029】
図4(b)に示すように、一方の基板2を介して弾性体突起12に垂直方向の外圧が付
加されたときには、弾性体突起12は先端部が他方の基板1の表面に当接した状態でZ方
向に圧縮変形する。これにより、各圧力センサーS1〜S4の検出値は、外圧の作用がな
いときに比べて変化し、例えば圧力センサー11が誘電層を介した一対の電極間の電気容
量値を検出する場合には、電気容量値が大きくなる。
【0030】
弾性体突起12は、外圧の大きさに応じて圧縮変形する。外圧が大きくなると、弾性体
突起12はこれ以上変形しない臨界点を迎える。弾性体突起12に臨界点を越えた外圧が
作用すると、一方の基板2がZ方向に柔軟に変形する。このため、弾性体突起12が変形
しうる臨界点以上の大きさの外圧を検出することができる。
【0031】
図4(c)に示すように、例えば一方の基板2の表面に斜め方向の外圧が付加されたと
きには、弾性体突起12は先端部が他方の基板1の表面に当接した状態で斜めに傾いて圧
縮変形する。これにより、弾性体突起12の重心Gは基準点Pから外圧が付加された方向
にずれる。この場合、弾性体突起12が4つの圧力センサーS1〜S4のうち−X方向及
び−Y方向に配置された部分と重なる面積よりも+X方向及び+Y方向に配置された部分
と重なる面積のほうが大きくなる。
【0032】
弾性体突起12は、外圧の大きさに応じて斜めに圧縮変形し、外圧が大きくなるとこれ
以上変形しない臨界点を迎える。また、弾性体突起12は、斜め方向の外圧により変形に
偏りが生じる。すなわち、弾性体突起12の重心Gは基準点Pからずれてすべり方向(X
軸方向及びY軸方向)に移動する。すると、弾性体突起12の重心Gが移動した部分の圧
力センサー11における検出値が初期値に対して大きく変化する。つまり、弾性体突起1
2の重心Gと重なる位置の圧力センサー11では相対的に大きい検出値が検出され、弾性
体突起12の重心Gと重ならない位置の圧力センサー11では相対的に小さい検出値が検
出されることとなる。
【0033】
つまり、4つの圧力センサーS1〜S4によって検出された検出値を合計すると、単位
検出領域Sあたりに加わったZ軸方向の圧力すなわち垂直力(垂直ベクトル)を求めるこ
とができる。また、4つの圧力センサーS1〜S4のうち任意に組み合わされた圧力セン
サー11の検出値の差分を演算し、その差分に基づいて外圧が加えられた方向と外圧の大
きさ、すなわち水平力(水平ベクトル)を求めることができる。
【0034】
次に、より具体的な外圧の検出方法について、図5〜図7を参照して説明する。
図5に示すように、例えば外圧Lが、一方の基板2の中心よりもX軸方向において左寄
り、Y軸方向において上方寄りに付加されているとする。圧力検出装置10の外周に沿っ
て配列した複数の圧力検出部15には、一方の基板2を介して外圧Lが間接的に印加され
る。ここで、X軸方向に配置された複数の圧力検出部15の列をA列およびB列とする。
Y軸方向に配置された複数の圧力検出部15の列をC列およびD列とする。また、圧力検
出装置10における平面的な座標の原点を左下隅とする。
【0035】
図6(a)に示したグラフは、横軸がA列またはB列に配置された複数の圧力検出部1
5を示すものであり、縦軸がA列またはB列の圧力検出部15が検出した圧力のうちZ軸
方向の垂直力Vの値を示すものである。
図6(b)に示したグラフは、横軸がC列またはD列に配置された複数の圧力検出部1
5を示すものであり、縦軸がC列またはD列の圧力検出部15が検出した圧力のうちZ軸
方向の垂直力Vの値を示すものである。
【0036】
図5および図6(a)に示すように、A列またはB列の複数の圧力検出部15のうちX
軸方向において外圧Lが加えられた位置に最も近い圧力検出部15が最も高い垂直力Vを
示す。X軸方向において外圧Lが加えられた位置から遠ざかるほど圧力検出部15の検出
値は低下して初期値に近づく。
同様にして、図5および図6(b)に示すように、C列またはD列の複数の圧力検出部
15のうちY軸方向において外圧Lが加えられた位置に最も近い圧力検出部15が最も高
い垂直力Vを示す。Y軸方向において外圧Lが加えられた位置から遠ざかるほど圧力検出
部15の検出値は低下して初期値に近づく。
【0037】
すなわち、一方の基板2における外圧Lが加えられた位置(以降、押下座標と呼ぶ)に
最も近い圧力検出部15へ最も大きい垂直力Vが与えられるため、A(B)列およびC(
D)列の垂直力分布を求めることにより、押下座標を求めることができる。
【0038】
また、図7に示すように、例えば一方の基板2に対して外圧Lが斜め方向から加えられ
た場合(外圧Lの方向とZ軸とが交差した場合)、外圧Lの垂直ベクトルVsumは、次
の数式(1)で与えられる。
【0039】
Vsum=sum(VA)+sum(VB)+sum(VC)+sum(VD)・・・
(1)
すなわち、外圧Lの垂直ベクトルVsumは、A列、B列、C列、B列における複数の
圧力検出部15が検出した垂直力(垂直ベクトル)Vの合計値である。
【0040】
また、X軸方向の水平ベクトルHxは、次の数式(2)で与えられる。
Hx=sum(HA)+sum(HB)・・・(2)
すなわち、外圧LのX軸方向の水平ベクトルHxは、A列、B列における複数の圧力検
出部15が検出した水平力(水平ベクトル)Hの合計値である。
【0041】
また、Y軸方向の水平ベクトルHyは、次の数式(3)で与えられる。
Hy=sum(HC)+sum(HD)・・・(3)
すなわち、外圧LのY軸方向の水平ベクトルHyは、C列、D列における複数の圧力検
出部15が検出した水平力(水平ベクトル)Hの合計値である。
【0042】
以上に述べた上記第1実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)圧力検出装置10は、一対の基板1,2間において外周に沿って配置された複数
の圧力検出部15を有している。したがって、複数の感圧素子を基板表面のほぼ全面に亘
って設ける必要がないので、簡素な構成で外圧Lの押下座標と、外圧Lの3次元ベクトル
とを求めることが可能な圧力検出装置10を提供できる。
【0043】
(2)圧力検出部15は、基準点P周りに配置された複数の圧力センサーS1〜S4と
、基準点Pに当接するように配置されると共に加えられた圧力によって弾性変形する略半
球状の弾性体突起12からなる。したがって、精度よく外圧Lの押下座標と、外圧Lの3
次元ベクトルとを求めることができる。
【0044】
(3)一対の基板1,2は外周部においてシール材4により封着されている。したがっ
て、外部の環境変化から圧力検出部15を保護し、高い信頼性を有する圧力検出装置10
を提供できる。
【0045】
(第2実施形態)
次に、第1実施形態の圧力検出装置10を適用した本実施形態の電子機器について、図
8を参照して説明する。図8(a)は電子機器としての携帯型電話機を示す概略斜視図、
図8(b)は電子機器としての携帯型情報端末を示す概略斜視図である。
【0046】
図8(a)に示すように、本実施形態の携帯型電話機1000は、複数の操作ボタン1
003およびスクロールボタン1002を備えた本体と、本体に対して折り畳み可能な常
態で連結された表示部1001とを備えている。表示部1001には、液晶方式などの表
示パネルと、表示パネルとほぼ同じ面積を有し表示パネルの前面側あるいは背面側に配置
された上記第1実施形態の圧力検出装置10とが搭載されている。スクロールボタン10
02を操作することによって、表示部1001に表示される画面がスクロールされる。表
示部1001にはメニューボタン(図示略)が表示される。メニューボタンを指で触れる
とその外圧を圧力検出装置10が検知して、例えば電話帳が表示されたり、携帯型電話機
1000の電話番号が表示されたりする。
【0047】
図8(b)に示すように、本実施形態の携帯情報端末(PDA:Personal D
igital Assistants)2000は、複数の操作ボタン2002及び電源
スイッチ2003、並びに表示部2001を備えている。表示部2001には、液晶方式
などの表示パネルと、表示パネルとほぼ同じ面積を有し表示パネルの前面側あるいは背面
側に配置された上記第1実施形態の圧力検出装置10とが搭載されている。電源スイッチ
2003を操作すると、表示部2001にはメニューボタンが表示される。メニューボタ
ン(図示略)を指で触れるとその外圧を圧力検出装置10が検知して、例えば住所録が表
示されたり、スケジュール帳が表示されたりする。
【0048】
このような電子機器によれば、上述した圧力検出装置10を備えているので、外圧の方
向と大きさを高い精度で検出することが可能な電子機器を提供することができる。
【0049】
なお、電子機器としては、この他にも、例えばパーソナルコンピューター、ビデオカメ
ラのモニター、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電卓、ワードプロセッ
サー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、デジタルスチルカメラ、タッチパ
ネルを備えた機器などが挙げられる。これらの電子機器に対しても、上記第1実施形態の
圧力検出装置10を適用させることができる。
【0050】
上記実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、変形例を挙げて説明する。な
お、第1実施形態の圧力検出装置10と同じ構成には同じ符号を付して詳細な説明は省略
する。
【0051】
(変形例1)圧力検出部15において基準点P周りに配置される圧力センサー11の数
は、4つに限定されない。図9(a)は変形例の圧力検出装置の構造を示す概略断面図、
同図(b)は圧力センサーと弾性体突起の配置を示す概略平面図である。
図9(a)および(b)に示すように、変形例の圧力検出装置10Bは、一対の基板1
,2の外周に配置されたシール材4とその内側に沿って配置された複数の圧力検出部15
Bとを有する。圧力検出部15Bは、他方の基板1上に配置された複数の圧力センサー1
1Bと、先端部が圧力センサー11Bに直接または間接的に当接するように配置された弾
性体突起12とを有する。
圧力センサー11Bは、他方の基板1上において基準点P周りに互いに所定の間隔を置
いて合計16個、マトリクス状に配置されている。
変形例の圧力検出装置10Bは、第1実施形態に比べて基準点P周りにより多くの圧力
センサー11Bが配置されているので、より高い精度で外圧の方向と大きさとを検出する
ことができる。
【0052】
(変形例2)圧力検出装置10におけるシール材4と圧力検出部15との相対的な配置
は、これに限定されない。図10は変形例の圧力検出装置の構造を示す概略断面図である

図10に示すように、変形例の圧力検出装置10Cは、一対の基板1,2の外周に配置
された複数の圧力検出部15を有する。圧力検出部15は、他方の基板1上に配置された
複数の圧力センサー11と、先端部が圧力センサー11に直接または間接的に当接するよ
うに配置された弾性体突起12とを有する。一対の基板1,2の外周に配置された複数の
圧力検出部15を包含するようにシール材6が配置されている。シール材6は、ポリウレ
タン樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂などの弾性シールからなり、例えば弾性体突起1
2がデュロメーター硬さ(タイプA、ISO7619準拠)60程度であれば、弾性シー
ルは弾性体突起12の硬さよりも軟らかい10〜40程度の硬さとすることが好ましい。
これによれば、圧力検出部15の配置スペースとシール材6の配置スペースとを共有す
るので、より小型な圧力検出装置10Cを提供できる。
【0053】
(変形例3)圧力検出装置10の外形は四角形であることに限定されない。図11は変
形例の圧力検出装置を示す概略平面図である。
図11に示すように、変形例の圧力検出装置10Dは、外形が円形の一対の基板1d,
2dと、一対の基板1d,2d間において外周部に配置されたシール材4と、シール材4
の内側に沿って配置された複数の圧力検出部15とを有する。
このように圧力検出装置の外形は四角形に限らず、圧力検出装置を適用する電子機器の
形態に合わせて円形、楕円形、多角形を採用することができる。
【0054】
(変形例4)圧力検出装置10における圧力検出部15の構成は、圧力センサー11と
弾性体突起12とからなる構成に限定されない。例えば、ピエゾなどの圧電素子を用いる
こともできる。
【符号の説明】
【0055】
1…一対の基板のうちの他方の基板、2…一対の基板のうちの一方の基板、4,6…シ
ール材、10…圧力検出装置、11,S1〜S4…圧力センサー、12…弾性体突起、1
5…圧力検出部、1000…電子機器としての携帯型電話機、2000…電子機器として
の携帯型情報端末、P…基準点、S…単位検出領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の基板と、
前記一対の基板間に設けられると共に、前記一対の基板のうち一方の基板の外周に沿っ
て配置された複数の圧力検出部と、を備え、
前記圧力検出部は、前記一対の基板のうち他方の基板に設けられた圧力センサーと、先
端部が前記圧力センサーに当接するように配置された弾性体突起とからなり、
前記一方の基板に加わる外圧の方向と大きさを複数の前記圧力検出部により検出するこ
とを特徴とする圧力検出装置。
【請求項2】
前記圧力センサーは、前記他方の基板において基準点周りに複数配置され、前記弾性体
突起は略半球状であって前記先端部が前記基準点に当接するように前記一対の基板間に配
置されていることを特徴とする請求項1に記載の圧力検出装置。
【請求項3】
前記一方の基板が弾性部材からなり、前記他方の基板が硬質部材からなることを特徴と
する請求項1または2に記載の圧力検出装置。
【請求項4】
前記一方の基板は、外周に配置されたシール材により前記他方の基板に接着されている
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の圧力検出装置。
【請求項5】
前記シール材は、複数の前記圧力センサーと前記弾性体突起とを包含するように配置さ
れ、前記弾性体突起の硬度よりも低い硬度を有する弾性体であることを特徴とする請求項
4に記載の圧力検出装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の圧力検出装置を備えたことを特徴とする電子機
器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−88264(P2012−88264A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237156(P2010−237156)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】