説明

圧接型コネクタ

【課題】加工コストが従来に比べて低く、しかも低背化が容易であり、瞬断の問題も生じない圧接型コネクタの提供。
【解決手段】端子収容部14を有する絶縁性ハウジングと、端子収容部14内にスライド可能に収容される可動接触子12と、可動接触子12を付勢する押し出しバネ20と、コンタクト13とを備え、コンタクト13は、抜止め部16を当て止めさせて可動接触子12の絶縁ハウジング11からの抜け出しを防止する抜け出し防止片35,35と、端子収容部内に挿入されて可動接触子と弾性的に接触する接触バネ部30とを一体に有し、コンタクト13を絶縁性ハウジング11に対して固定することによって、抜止め防止片35による可動接触子12の抜止めと、接触バネ部30の可動接触子12に対する常時弾性接触がなされるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機等の小型電子機器において、主としてバッテリー接続用のコネクタとして使用される圧接型コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機のバッテリー接続用コネクタには、コイルスプリングにより付勢されたピン状の可動接触子を使用した圧接型コネクタが使用されている。
【0003】
この種の圧接型コネクタに使用されている従来の可動接触子は、図6に示すように金属製の有底円筒型をしたシリンダー1内に、コイルスプリング2によって押し出し方向に付勢した可動接触子3を出入自在に収容し、該可動接触子3の圧接ピン部3aの先端をシリンダー1の先端から突出させ、これをバッテリーの接触端子部に、コイルスプリング2による突出方向の付勢力によって圧接させるようにしている。
【0004】
この可動接触子3のシリンダー内側端面は軸方向に対して傾斜したバイアスカット面4が形成され、この面をコイルスプリング2によって押圧することにより、該押圧方向と直行する方向の分力を生じさせ、これによって可動接触子3の周面がシリンダー1の内面に常時圧接されるようにし、可動接触子3からシリンダー1を通して通電されるように構成している。
【0005】
しかし、このような可動接触子を使用した圧接型コネクタは、シリンダー1及び可動接触子3が、旋盤、フライス盤及びプレスの各種機械加工によって製造されるものであるため、コスト高となるとともに加工上の制限から小型化に限界があった。
【0006】
また、これをモールド成形されたハウジングに組み込んで使用するものであるため、コネクタ全体が嵩高とならざるを得ないという問題があった。
【0007】
更に、可動接触子3がシリンダー1内で半径方向に移動できる構造となるため、外的ショックによる瞬断が発生し易いという問題があった。
【0008】
上述した加工コストや耐瞬断性能を改善したものとして、図7に示すように、可動接触子3及びこれを収容するシリンダー1を、金属板材の打ち抜き及び曲げ加工によって製造し、シリンダー1と可動接触子3との導通を、シリンダー1の内面に突出させた弾性接触片5を可動接触子3の外周面に常時圧接させることによって確保するようにしたものが開発されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】公表2005−112200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した図7に示すような板材の折り曲げ加工によってシリンダー及び可動接触子を形成するものにあっては、加工コスト及び外的ショックに対する耐瞬断性能は改善されるが、シリンダーである外筒と可動接触子である内筒とをともに金属加工品によって製造し、これをモールド成形されるハウジングに組み込むものであるため、このような圧接型コネクタを接続基板と平行な方向に実装する場合の低背性の要望に充分に答えることが出来ないという問題があった。
【0011】
本発明は、上述した従来技術の問題に鑑み、加工コストが従来に比べて低く、しかも低背化が容易であり、瞬断の問題も生じない圧接型コネクタの提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の如き従来の問題を解決し、所期の目的を達成するための請求項1に記載の発明の特徴は、前端に開口した端子収容部を有する絶縁性ハウジングと、前記端子収容部内に前後方向でスライド可能に収容される可動接触子と、前記端子収容部内に収容され、且つ前記絶縁性ハウジングの後端を閉鎖する後端板部に反力をとって前記可動接触子を前記前端面より突出する方向に付勢する押し出しバネと、前記絶縁性ハウジングの外側に固定された導電性金属板材をもって形成されたコンタクトとを備え、該コンタクトは、前記可動接触子に形成された抜止め部を当て止めさせて該可動接触子の絶縁ハウジングからの抜け出しを防止する抜け出し防止片と、前記端子収容部内に挿入されて前記可動接触子と弾性的に接触する接触バネ部と、接続基板に接続される基板接続端子部とを一体に有し、前記絶縁性ハウジングの端子収容部内に前記押し出しバネと可動接触子を挿入した状態で前記コンタクトを前記絶縁性ハウジングに対して固定することによって、前記抜止め防止片による可動接触子の抜止めと、前記接触バネ部の可動接触子に対する常時弾性接触がなされるようにしたことにある。
【0013】
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記コンタクトは、平板状の天板と、該天板の側縁より下向きに折り曲げた形状の前記絶縁性ハウジングの側面を覆う側板とを備え、前記接触バネ部は、前記天板の一部を前記端子収容部側に向けて切り起こして形成され、前記側板は、前記絶縁性ハウジングの側面部に突設された係合突部と互いに係合する係合孔を有し、前記係合突部と係合孔との係合により前記コンタクトが絶縁性ハウジングに上下方向で移動不能に固定されるようにしたことにある。
【0014】
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項2の構成に加え、前記コンタクトは、前記側板の後縁より内側に折り曲げた形状の後端板を備え、該後端板の内側縁に、絶縁性ハウジングの後面に突出した突条部の外側縁に形成された係合部と係合する係合突片を備えたことにある。
【0015】
請求項4に記載の発明の特徴は、請求項2又は3の構成に加え、前記基板接続端子部は、前記側板の下縁部に形成されたことにある。
【0016】
請求項5に記載の発明の特徴は、請求項2、3又は4の構成に加え、前記抜止め部は、前記可動接触子の側縁より外向きに突出した形状に形成され、前記抜け出し防止片は、前記側板の前縁部を内側に向けて折り曲げた形状に形成され、前記コンタクトを前記絶縁ハウジングに固定することにより前記抜け出し防止片により前記端子収容部の開口外側部が閉鎖されるようにしたことにある。
【0017】
請求項6に記載の発明の特徴は、請求項1〜4又は5の構成に加え、前記可動接触子は、帯状金属板材を折り曲げて上面側に前方下側に向けて傾けた傾斜部が形成されたことにある。
【0018】
請求項7に記載の発明の特徴は、請求項1〜4又は5の構成に加え、前記可動接触子は、帯状金属板材を折り曲げてU字状の可動接触子本体部が形成されたことにある。
【0019】
請求項8に記載の発明の特徴は、請求項6又は7の構成に加え、前記可動接触子は、前記帯状金属板材の一方の端部を折り曲げて後端にバネ受け部を形成し、該バネ受け部に前記押し出しバネの先端を当接させたことにある。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る圧接型コネクタは、上述したように、前端に開口した端子収容部を有する絶縁性ハウジングと、前記端子収容部内に前後方向でスライド可能に収容される可動接触子と、前記端子収容部内に収容され、且つ前記絶縁性ハウジングの後端を閉鎖する後端板部に反力をとって前記可動接触子を前記前端面より突出する方向に付勢する押し出しバネと、前記絶縁性ハウジングの外側に固定された導電性金属板材をもって形成されたコンタクトとを備え、該コンタクトは、前記可動接触子に形成された抜止め部を当て止めさせて該可動接触子の絶縁ハウジングからの抜け出しを防止する抜け出し防止片と、前記端子収容部内に挿入されて前記可動接触子と弾性的に接触する接触バネ部と、接続基板に接続される基板接続端子部とを一体に有し、前記絶縁性ハウジングの端子収容部内に前記押し出しバネと可動接触子を挿入した状態で前記コンタクトを前記絶縁性ハウジングに対して固定することによって、前記抜止め防止片による可動接触子の抜止めと、前記接触バネ部の可動接触子に対する常時弾性接触がなされるようにしたことにより、絶縁性ハウジングに上述の従来技術におけるシリンダーの機能を兼用させることにより、小型化が可能となる。
【0021】
また、本発明において、前記コンタクトは、平板状の天板と、該天板の側縁より下向きに折り曲げた形状の前記絶縁性ハウジングの側面を覆う側板とを備え、前記接触バネ部は、前記天板の一部を前記端子収容部側に向けて切り起こして形成され、前記側板は、前記絶縁性ハウジングの側面部に突設された係合突部と互いに係合する係合孔を有し、前記係合突部と係合孔との係合により前記コンタクトが絶縁性ハウジングに上下方向で移動不能に固定されるようにしたことにより、容易に組み立てることができ、且つ接触バネ部を常時安定した状態で可動接触子に圧接させることができる。
【0022】
更に本発明において、前記コンタクトは、前記側板の後縁より内側に折り曲げた形状の後端板を備え、該後端板の内側縁に、絶縁性ハウジングの後面に突出した突条部の外側縁に形成された係合部と係合する係合突片を備えたことにより、コンタクトを確実に絶縁性ハウジングに固定することができる。
【0023】
更にまた、前記基板接続端子部は、前記側板の下縁部に形成されたことにより、基板から引きはがす方向に作用する力に対し高い剛性を得られ、また、コネクタの前後方向長さの短縮が可能となる。
【0024】
また、本発明において、前記抜止め部は、前記可動接触子の側縁より外向きに突出した形状に形成され、前記抜け出し防止片は、前記側板の前縁部を内側に向けて折り曲げた形状に形成され、前記コンタクトを前記絶縁ハウジングに固定することにより前記抜け出し防止片により前記端子収容部の開口外側部が閉鎖されるようにしたことにより、簡易な構造で可動接触子を抜止めできるとともに、容易に組み立てることができる。
【0025】
更に、本発明において、前記可動接触子は、帯状金属板材を折り曲げて上面側に前方下側に向けて傾けた傾斜部が形成されたことにより、板材を材料としたプレス加工によって製造することが出来るため、製造コストが削減できる。一方、バッテリー等の相手側の接続端子部を傾斜部で誘導し、該接側端子部と可動接触子とを確実に接触させることができるとともに、可動接触子の上面に作用するせん断力によるコネクタの破損を防止することができる。
【0026】
また、本発明において、前記可動接触子は、帯状金属板材を折り曲げてU字状の可動接触子本体部が形成されたことにより、板材を材料としたプレス加工によって製造することが出来るため、製造コストが削減できる。
【0027】
更に本発明において、前記可動接触子は、前記帯状金属板材の一方の端部を折り曲げて後端にバネ受け部を形成し、該バネ受け部に前記押し出しバネの先端を当接させたことにより、コイルスプリング等からなる押出しバネの長さを短く出来るため、押出しバネのコスト削減に伴う低廉化を図ることができるとともに、可動接触子のスライド動作の安定化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る圧接型コネクタの一例を示す斜視図である。
【図2】同上の下側から見た斜視図である。
【図3】同上の分解斜視図である。
【図4】同上の縦断面図である。
【図5】本発明に係る圧接型コネクタの他の一例を示す縦断面図である。
【図6】従来の圧接型コネクタの一例を示す縦断面図である。
【図7】従来の圧接型コネクタの他の一例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、本発明に係る圧接型コネクタの実施の態様を図1〜図4に示す実施例に基づいて説明する。尚、図中符号10は圧接型コネクタである。
【0030】
この圧接型コネクタ10は、絶縁性ハウジング11に出入り可能に収容された可動接触子12と、この可動接触子12と常時接触状態にあるコンタクト13とを備え、可動接触子12をバッテリー等の接触端子部に圧接させることにより、接続基板に接続させたコンタクト13を介してバッテリーと接続基板とを電気的に接続させるようになっている。
【0031】
絶縁性ハウジング11は、絶縁性樹脂材をもってモールド成形され、前端に開口した端子収容部14が形成されている。この絶縁性ハウジング11は、端子収容部14内に可動接触子12を出入り可能に収容させることにより上述した従来技術におけるシリンダーとしての役割を担うようになっている。尚、ここで前後とは、可動接触子12の突出側を前とし、上下方向とはコネクタの高さ方向をいうものとする。
【0032】
この端子収容部14は、絶縁性ハウジング11の天板部11a、底板部11b及び左右側板部11c,11dによって囲まれて前後方向に向けた四角孔状に形成され、後端が絶縁性ハウジング11の後端板部11eによって閉鎖されている。
【0033】
また、端子収容部14の左右内側部には、絶縁性ハウジング11の前端に開口した前後方向に向けたスライド溝15が上下に間隔を置いて形成され、このスライド溝15に可動接触子12の側部に張り出したスライド片16が挿入され、このスライド片16がスライド溝15にガイドされて、前端開口側より可動接触子12を端子収容部14内に挿入できるとともに、可動接触子12が回転不能な状態で端子収容部14内を前後方向に移動できるようになっている。
【0034】
可動接触子12は、導電性金属性板材を打ち抜き及び折り曲げ加工することにより形成され、帯状の板状材をU字状に湾曲させて接触端子本体部17が形成され、そのU字状の折り返し湾曲された半円形部分が加圧接触面17aとなっている。
【0035】
また、U字状の互いに対向する配置の平行片部18a,18bの各後端部両側縁に平行板状のスライド片16,16が外向きに張り出された形状に形成されている。
【0036】
更に一方の平行片部18aの後端には、他方の平行片部18b側に向けて直角に折り曲げた形状のバネ受け部19が形成され、このバネ受け部19をコイルスプリング等の押出しバネ20で押圧し、可動接触子12を押し出し方向に付勢するようになっている。
【0037】
押し出しバネ20は、後端部を絶縁性ハウジング11の後端板部11eに当接させ、且つ前端をバネ受け部19に当接させた状態で端子収容部14内に収容され、それにより可動接触子12を押し出し方向に付勢している。
【0038】
一方、絶縁性ハウジング11の天板部11aには、その中央部に前後に向け、且つ天板部11aの厚み方向で貫通した露出溝21が形成されており、この露出溝21を通してコンタクト13の接触バネ部30が端子収容部14内に挿入されるようになっている。
【0039】
コンタクト13は、導電性金属性板材を打ち抜き及び折り曲げ加工することにより形成され、平板状の天板13aと、天板13aの側縁より下向きに折り曲げた形状の側板13b、13bとを一体に有し、下面が開口した中空箱状となっている。
【0040】
接触バネ部30は、平板状の天板13aの一部を切り起こし、それを内側、即ち端子収容部14側に折り曲げることにより形成され、折り目部30aより前方下側(前方内側)に向けて傾けた弾性片30bの前端に接点部30cが形成されている。
【0041】
この接点部30cは、弾性片30bの前端部を上向きに折り曲げることにより形成され、コンタクト13が絶縁性ハウジング11に対し上下方向に移動不能に固定されることにより、可動接触子12の上面部に常時圧接されるようになっている。
【0042】
コンタクト13の絶縁性ハウジング11に対する固定は、側板13bに形成された係止孔31の下側内縁部を絶縁性ハウジング11の側面より突出した係合突部32の下面と互いに係合させることによりなされている。
【0043】
係合突部32は、上部に上方内側に向けて傾斜したテーパ部32aを備え、コンタクト13を絶縁性ハウジング11に嵌め込んで固定する際には、このテーパ部32aに誘導されて側板13b,13bが外側に押し広げられて上下方向で移動でき、且つ所定の固定位置において係合孔31が係合突部32と互いに係合するようになっている。
【0044】
また、側板13bには、後縁より内側に折り曲げた形状の後端板33,33が形成されており、この後端板33の内側縁に、絶縁性ハウジング11の後面に突出した突条部34の外側縁に形成された係合部34aの下縁に係合する係合突片33aが形成されている。
【0045】
一方、側板13bの前縁部には、前縁より内側に折り曲げた形状の抜け出し防止片35,35が形成され、この抜止め防止片35が端子収容部14の開口外側部、即ちスライド溝15,15...の前端開口部を閉鎖するようになっている。
【0046】
これにより可動接触子12の抜止め部としてのスライド片16,16が抜け出し防止片35の内面に当て止めされ、押出しバネ20に付勢された可動接触子12が絶縁性ハウジング11の前端より先端側が出入り可能に突出し、且つ全体が抜け出ないようになっている。
【0047】
また、側板13b,13bの下縁には、接続基板に形成された接続パターンに半田付けによって接続される接続端子部40,40が下向きに突出した形状に前後に間隔を置いて形成されている。
【0048】
この接続端子部40を接続基板の接続パターンに半田付けにより接続することにより、コネクタ10全体がコンタクト13により基板側に固着され、引きはがし方向に作用する力に対して高い剛性が得られるようになっている。
【0049】
このように構成された圧接型コネクタ10は、絶縁性ハウジング11の端子収容部14内に押し出しバネ20と可動接触子12とを挿入した状態でコンタクト13を絶縁性ハウジング11に対して上方より嵌め込むことにより、コンタクト側板13b,13bの係止孔31と絶縁性ハウジング11の係合突部32と係合するとともに、後端板33の係合突片33aが突条部34の係合部34aと係合し、絶縁性ハウジング11に対してコンタクト13が固定される。
【0050】
それにより、抜止め防止片35,35が端子収容部14の前端開口外側部、即ちスライド溝15,15の前端開口を閉鎖して抜止め防止片35による可動接触子12の抜止めをなし、一方で接触バネ部30が露出溝21を通して端子収容部14内に挿入されて可動接触子12に対する常時弾性接触がなされる。
【0051】
尚、上述の実施例では、可動接触子12をU字状に折り曲げた形状に加工したものについて説明したが、可動接触子50は、図5に示すように、上面側に前方下側に向けて傾けた傾斜部51を有する形状に形成したものであってもよい。尚、上述の実施例と同様の構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0052】
この可動接触子50は、導電性帯板材を折り曲げ加工して形成され、傾斜部51の上端より後向きに折り曲げた形状の上側平行片部52aと、傾斜部51の下縁より後向きに折り曲げた形状の下側平行片部52bとを有し、また、下側平行片部52bの後端より上側平行片部側52a、即ち上向きに折り曲げた形状のバネ受部53が形成されている。
【0053】
更に、上下側両平行片部52a,52bの後端部両側縁には、外向きに張り出した形状のスライド片54,54が形成されており、上述の実施例と同様に、このスライド片54がスライド溝15,15にガイドされるとともに、抜止め防止片35に当て止めされる抜止め部として機能するようになっている。
【0054】
この可動接触子50は、この圧接型コネクタ10が装着された機器にバッテリー等を装着する際に、バッテリーの裏面が傾斜部51の表面に当接したとしても、バッテリーの裏面から受ける反力を傾斜部51により可動接触子50を押し込む方向に分散でき、それにより確実に可動接触子50を押し込むことができるとともに、可動接触子50の上面側がバッテリー裏面に接触することにより生じるせん断力による破損を防止できる。
【0055】
また、上述の実施例では、抜止め部を可動接触子の後端部両側縁より外向きに張り出した形状に形成し、抜止め防止片をコンタクトの側板13bの前縁より内側に折り曲げた形状に形成した例について説明したが、両者はこのような構成に拘泥されるものではなく、可動接触子に形成された抜止め部を抜止め防止片に当て止めさせるようにする構成であればよい。
【0056】
例えば、可動接触子の上面部に前後に向けた長孔を形成するとともに、コンタクトの天板前縁部より下向きに突出させた形状の抜止め防止片を形成し、この抜止め防止片を長孔に挿入し、この長孔の後端内縁を抜止め部として抜止め防止片に当て止めさせることにより可動接触子が絶縁性ハウジングより抜け出ないようにしたものであってもよい。
【符号の説明】
【0057】
10 圧接型コネクタ
11 絶縁性ハウジング
12 可動接触子
13 コンタクト
14 端子収容部
15 スライド溝
16 スライド片
17 接触端子本体部
18 平行片部
19 バネ受部
20 押し出しバネ
30 接触バネ部
31 係止孔
32 係合突部
33 後端板
34 突条部
35 抜け出し防止片
40 接続端子部
50 可動接触子
51 傾斜部
52 平行片部
53 バネ受部
54 スライド片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端に開口した端子収容部を有する絶縁性ハウジングと、前記端子収容部内に前後方向でスライド可能に収容される可動接触子と、前記端子収容部内に収容され、且つ前記絶縁性ハウジングの後端を閉鎖する後端板部に反力をとって前記可動接触子を前記前端面より突出する方向に付勢する押し出しバネと、前記絶縁性ハウジングの外側に固定された導電性金属板材をもって形成されたコンタクトとを備え、
該コンタクトは、前記可動接触子に形成された抜止め部を当て止めさせて該可動接触子の絶縁ハウジングからの抜け出しを防止する抜け出し防止片と、前記端子収容部内に挿入されて前記可動接触子と弾性的に接触する接触バネ部と、接続基板に接続される基板接続端子部とを一体に有し、
前記絶縁性ハウジングの端子収容部内に前記押し出しバネと可動接触子を挿入した状態で前記コンタクトを前記絶縁性ハウジングに対して固定することによって、前記抜止め防止片による可動接触子の抜止めと、前記接触バネ部の可動接触子に対する常時弾性接触がなされるようにしたことを特徴としてなる圧接型コネクタ。
【請求項2】
前記コンタクトは、平板状の天板と、該天板の側縁より下向きに折り曲げた形状の前記絶縁性ハウジングの側面を覆う側板とを備え、前記接触バネ部は、前記天板の一部を前記端子収容部側に向けて切り起こして形成され、前記側板は、前記絶縁性ハウジングの側面部に突設された係合突部と互いに係合する係合孔を有し、前記係合突部と係合孔との係合により前記コンタクトが絶縁性ハウジングに上下方向で移動不能に固定されるようにした請求項1に記載の圧接型コネクタ。
【請求項3】
前記コンタクトは、前記側板の後縁より内側に折り曲げた形状の後端板を備え、該後端板の内側縁に、絶縁性ハウジングの後面に突出した突条部の外側縁に形成された係合部と係合する係合突片を備えた請求項2に記載の圧接型コネクタ。
【請求項4】
前記基板接続端子部は、前記側板の下縁部に形成された請求項2又は3に記載の圧接型コネクタ。
【請求項5】
前記抜止め部は、前記可動接触子の側縁より外向きに突出した形状に形成され、前記抜け出し防止片は、前記側板の前縁部を内側に向けて折り曲げた形状に形成され、前記コンタクトを前記絶縁ハウジングに固定することにより前記抜け出し防止片により前記端子収容部の開口外側部が閉鎖されるようにした請求項2、3又は4に記載の圧接型コネクタ。
【請求項6】
前記可動接触子は、帯状金属板材を折り曲げて上面側に前方下側に向けて傾けた傾斜部が形成された請求項1〜4又は5に記載の圧接型コネクタ。
【請求項7】
前記可動接触子は、帯状金属板材を折り曲げてU字状の可動接触子本体部が形成された請求項1〜4又は5に記載の圧接型コネクタ。
【請求項8】
前記可動接触子は、前記帯状金属板材の一方の端部を折り曲げて後端にバネ受け部を形成し、該バネ受け部に前記押し出しバネの先端を当接させた請求項6又は7に記載の圧接型コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−238435(P2012−238435A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105799(P2011−105799)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000102500)SMK株式会社 (528)