説明

圧着ツールヘッド

【課題】圧着ツールにて電線を端子に圧着後、組立て品を取り除く作業を容易にする。
【解決手段】圧着ツールは、圧着領域61内に第一圧着ダイおよび第二圧着ダイ44を保持するフレームを含む。フレームは、圧着領域へアクセス可能な開口60を有する。ラム92は、第一圧着ダイに連結され、第一圧着ダイを第二圧着ダイ方向へ駆動するように構成される。揺動アーム62は、開位置と閉位置間でフレームと回転可能に連結される。揺動アームは、閉位置のときに、フレーム内で開口を閉じる。揺動アームは、フレームに回動可能に連結された回動端部70と、回動端部とは反対側の末端部72とを備える。末端部は、閉位置のときに、フレームと係合する。偏倚部材80は、開口を閉じるために、揺動アームを閉位置へ向かって偏倚させるために揺動アームと連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に圧着ツールヘッドに関し、特にはラッチ要素を備える圧着ツールヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
プレス装置は、数多くのアプリケーションに使用され、所望の機械的利点を使用者に与えている。一例としてのアプリケーションは、導電体に端子を圧着するような、圧着接続するために用いられる圧着ツールである。圧着ツールは,典型的には、特定のアプリケーションのための適切なツールを備えるワークヘッドと、ツールを駆動させるためのワークヘッドに連結されたアクチュエータを含む。ワークヘッドは、典型的には、固定ダイと、作業を実施するための固定ダイ方向へ駆動される可動ダイを含む。アクチュエータは、油圧駆動され、直接的にまたは間接的に、ワークヘッドの可動ダイを駆動するために作動する油圧ポンプを含む。他の手動で取り扱う組立体などの他の駆動手段も可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
公知の圧着ツールは、典型的には3種の異なるツールヘッドのタイプ、すなわち、オープンツールヘッド、クローズツールヘッド、ラッチタイプツールヘッドのうちの1つを含む。異なるツールヘッドのタイプの各々は、一定の利点と不利点を有する。オープンツールヘッドは、一般的に開側面を持ち、C字形状である。圧着端子および対応するワイヤは、圧着工程後に開側面を通じてツールヘッドから取り除かれる。そのようなオープンツールヘッドタイプは、1つの端子で2つのワイヤを接続するために用いられる。コンポーネントは、2つのワイヤが接続された後、クローズツールヘッドからコンポーネントを取り除くことができないため、1つの端子と2つのワイヤで接続するために用いられないクローズツールヘッドタイプとは異なり、開側面を通じて取り除かれる。しかしながら、オープンツールヘッドに課題がないわけではない。例えば、オープンツールヘッドは、例えば、圧着工程時に、C字形状のフレームを拡げる圧着力がフレームの外側アームにかかるなど、圧着工程時にオープンツールヘッドのフレームに課せられるストレスを克服するために、大きく、頑丈であり、ゆえに重い。長期間、フレームへの力がかかると、結果としてフレームを損傷し、ひいては、フレームを欠陥品にすることになる。フレームは、損傷と欠陥品の課題を克服するために、他のツールヘッドのタイプよりも厚く形成されている。加えられた嵩張るフレームによって、ツールヘッドはより重くなり、作業者が保持することがより困難になる。作業者も、他のツールヘッドのタイプよりも早く疲労する場合もある。
【0004】
クローズツールヘッドタイプは、オープンツールヘッドタイプよりも、より安定な構造を有する。フレームは、オープンツールヘッドタイプよりも、同等またはより良い完成度を与えるが、より少ない材料から形成可能である。そのようなフレームは、軽く、製造コストが安い。しかし、上述に示すように、クローズツールヘッドは、ツールヘッドによって形成された圧着接続のタイプにより制限されてしまう。例えば、クローズツールヘッドタイプは、例えば用いようとしても、完全なワイヤが便宜な方法で圧着領域から取り除かれないので、2つのワイヤ間の接合部を圧着するために用いることができない。
【0005】
ラッチツールヘッドタイプは、オープンツールヘッドとクローズツールヘッドの両方の特徴を備える。ラッチツールヘッドは、典型的には、ツールヘッドが開閉可能なように、互いに相対的に移動可能な2つのピースを含む。開いたときに、端子とワイヤを圧着領域から容易に取り除くことが可能である。閉じたときに、2つのピースは、圧着工程を実施するためのクローズツールヘッドタイプと同様の構造を形成することで、開口を閉じる。ラッチツールヘッドには、課題がないわけではない。例えば、各圧着工程前後に、作業者によって、ピースの片方または両方が物理的に開閉されなければならない。この仕事は、時間を消費する。さらに、2つのピースを開閉させることは、設計上、製造上および組立上複雑となる場合があり、ツールヘッドがコスト高になってしまう場合がある。2つのピースを保持するラッチ機構も複雑となってしまう場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題を解決するための手段は、以下に記載されるように、圧着領域内に第一圧着ダイおよび第二圧着ダイを保持するフレームを含む圧着ツールによって与えられる。フレームは、圧着領域へアクセス可能な開口を有する。ラムは、前記第一圧着ダイに連結され、前記第一圧着ダイを前記第二圧着ダイ方向へ駆動するように構成される。揺動アームは、開位置と閉位置間で前記フレームと回転可能に連結される。前記揺動アームは、前記閉位置のときに、前記フレーム内で前記開口を閉じる。前記揺動アームは、前記フレームに回動可能に連結された回動端部と、前記回動端部とは反対側の末端部とを備える。前記末端部は、前記閉位置のときに、前記フレームと係合する。前記開口を閉じるために、前記揺動アームを前記閉位置へ向かって偏倚させるために前記揺動アームと連結された偏倚部材を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、一実施形態における形成された圧着ツールを示す図である。
【図2】図2は、図1に示される圧着ツールのためのツールヘッドの後退状態を前から見た図である。
【図3】図3は、図2に示されるツールヘッドの開かれた状態を前から見た図である。
【図4】図4は、図2に示されるツールヘッドの閉じられた状態(非着座状態)を前から見た図である。
【図5】図5は、図2に示されるツールヘッドの閉じられた状態(着座状態)を前から見た図である。
【図6】図6は、図1に示される圧着ツールのための他のツールヘッドの部分的な側面断面図である。
【図7】図7は、図6に示されるツールヘッドの別の部分的な側面断面図である。
【図8】図8は、図6および7に示されるツールヘッドの別の側面図である。
【図9】図9は、他の圧着ヘッドを備える他の圧着ツールの前から見た斜視図である。
【図10】図10は、図9に示されるツールヘッドの部分分解図である。
【図11】図11は、図9に示されるツールヘッドの開かれた状態を前から見た図である。
【図12】図12は、図9に示されるツールヘッドの閉じられた状態(非着座状態)を前から見た図である。
【図13】図13は、図9に示されるツールヘッドの閉じられた状態(着座状態)を前から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
添付の図面を参照して、以下実施形態を説明する。
【0009】
図1は、一例示的な実施形態に従って形成された圧着ツール10を示す図である。圧着ツール10は、端子をワイヤ(図示しない)と圧着するなど、複数の圧着コンポーネントを共に圧着するために用いられるツールヘッド12を含む。ツールヘッド12は、ワイヤ組立体の完成体を形成するように、2つのワイヤを端子と圧着接続するために用いられてもよい。他の場合においては、端子は、ワイヤ組立体の完成体を形成するためのシングルワイヤの端部に接続されてもよい。ツールヘッド12は、ツール16を保持するツールヘッドフレーム14を備える。一例示的な実施形態において、ツールヘッド12は、ラッチタイプのツールヘッドである。ツールヘッドフレーム14は、圧着工程時には閉じられ、圧着工程後は、ワイヤ組立体の完成体を取り除くために開かれる。ツールヘッド12は、ヘッド端20の反対側の嵌合端18を含む。
【0010】
圧着ツール10は、ツール16を駆動作業可能な油圧ポンプ26(破線で図示)を保持するアクチュエータ体部24を備えるアクチュエータ22を含む。アクチュエータ22は、嵌合端28を備える。ツールヘッド12は、ねじ接続などでアクチュエータ22の嵌合端28に連結される。アクチュエータ22は、他の実施形態においては、電気モータによるスクリュー駆動など、油圧ポンプ26以外の他の作動手段または装置を用いてもよい。油圧ポンプ26は、単にアクチュエータコンポーネントの一実施形態としての例示に過ぎず、アクチュエータ22は、油圧ポンプ26を用いることに限定されるものではない。
【0011】
ツールヘッドフレーム14は、ツール16を保持する。ツール16は、ツールヘッドフレーム14から分離され、ツールヘッドフレーム14に連結されてもよい。ツール16は、圧着領域内に第一圧着ダイ42および第二圧着ダイ44を含む。一例示的な実施形態において、第一圧着ダイ42は、以下では可動ダイ42とも称される可動ダイに代表され、第二圧着ダイ44は、以下では固定ダイ44とも称される固定ダイを示す。可動ダイ42は、固定ダイ44に対して移動可能である。ツール16は、複数の可動ダイまたは互いに向かって移動可能なコンポーネントを含んでもよい。固定ダイ44および/または可動ダイ42は、摩耗したツールを取り替えるため、および/または、異なるタイプ、サイズおよび/または形状のツールを用いるために、ツールヘッドフレーム14から取り除かれる。他の場合において、ツールヘッドフレーム14は、アクチュエータ22から取り除かれ、異なるタイプまたは異なるサイズおよび/または形状のツールを備える異なるツールヘッドフレームと置換されてもよい。
【0012】
アクチュエータ22は、後退位置から前進位置までツール16を移動させるように、圧着工程のときに作動する。例えば、可動ダイ42は、固定ダイ44へ向かって前進方向へ移動する。端子は、圧着工程のときに、ワイヤに圧着される。ツールが完全に前進位置まで到達した後、ツールは、後退位置へ戻るように後退方向へ移動する。
【0013】
ツールヘッドフレーム14は、アクチュエータ体部24と回転ねじ接続するために、嵌合端28において、ほぼ円筒形状とされるが、ツールヘッドフレーム14は、他の実施形態においては、他の形状であってもよい。ツールヘッドフレーム14は、ヘッド端20において、ほぼ直方体形状であるが、ツールヘッドフレーム14は、他の実施形態においては、他の形状であってもよい。ツールヘッドフレーム14は、嵌合端18とヘッド端20との間に延伸する長手軸46に沿って延伸する。任意において、可動ダイ42は、作動のときに、ほぼ長手軸46に沿って駆動される方向へ移動してもよい。
【0014】
一例示的な実施形態において、作動スイッチ48は、アクチュエータ22の外面に備えられる。作動スイッチ48は、プレス装置10の作動を制御する。例えば、作動スイッチ48は、オン位置とオフ位置との間を移動してもよい。作動スイッチ48がオン位置に移動するときに可動ダイ42が固定ダイ44へ向かって駆動される。作動スイッチ48は、アクチュエータ22以外のヘッドフレーム14に備えられてもよい。
【0015】
アクチュエータ22は、アクチュエータ体部24内に油圧ポンプ26を含む。油圧ポンプ26は、ベース端54にある電源52に作動可能に接続される。任意において、電源52は、バッテリであってもよい。他の場合では、電源52は、アクチュエータ22のベース端54から延伸するコードを備えた交流電源であってもよい。油圧ポンプ26は、ツール16を作動させるために用いられる油圧機構の一部を形成する。例示的な実施形態において、プレス装置10は、油圧ポンプ26が電源52によって電力供給された電気モータによって制御される電気油圧プレス装置である。
【0016】
アクチュエータ体部24は、ほぼ円筒形状であるが、アクチュエータ体部24は、他の実施形態においては、他の形状であってもよい。例えば、アクチュエータ体部24の形状は、作業者の手の内に収まるように形成されてもよい。アクチュエータ体部24は、バランスをとるため、または、アクチュエータ体部24の重量を分散するために角度がつけられてもよい。アクチュエータ体部24は、嵌合端28とベース端54との間に延伸する長手軸56に沿って延伸する。カプラ58は、ツールヘッド12をアクチュエータ22に装着する目的のために、アクチュエータ22の嵌合端28に備えられる。
【0017】
図2は、図1に示される圧着ツール10用のツールヘッド12を、ツールヘッド12が後退状態にあるときに、前から見た図である。ツールヘッドフレーム14が、図示されている。フレーム14は、圧着領域61へアクセス可能とする開口60を備えるラッチタイプツールヘッドフレーム14を示す。フレーム14も、圧着領域61へのアクセスを可能にし、かつアクセスを制限するために、開位置と閉位置との間を移動可能な揺動アーム62を含む。揺動アーム62は、閉位置で図示されている。揺動アーム62は、圧着工程後、圧着領域61からワイヤおよび端子を取り除くために開く。
【0018】
フレーム14は、第一アーム64と第二アーム66とを備え、ほぼC字形状である。第一アーム64は、図1に示される内部アームを規定し、第二アーム66は、第一アーム64よりも、アクチュエータ22からさらに外側に配置された外部アームを規定する。開口60は、第一アーム64と第二アーム66間に規定される。ベース68は、開口60の反対側で第一アーム64と第二アーム66間を延伸する。ベース68、第一アーム64および第二アーム66により、フレーム14のC字形状体が規定される。
【0019】
揺動アーム62は、開口60を閉じるために、第一アーム64および第二アーム66間のフレーム14と連結される。揺動アーム62は、回動端部70と末端部72間に延伸する。末端部72は、揺動アーム62が閉位置にあるときに、第一アーム64および第二アーム66の両方と連結するように構成される。回動端部70は、第一アーム64と回動可能に連結される。一例示的な実施形態において、揺動アーム62は、回動端部70から延伸する回動ピン74を含む。回動ピン74は、フレーム14の開口内に受容される。揺動アーム62は、回動ピン74の周囲を回転する。他の実施形態において、回動ピン74は、フレーム14から延伸し、揺動アーム62の開口内に受容される。揺動アーム62は、圧着領域61に対面する内側76および内側76の逆側の外側78を含む。揺動アーム62が閉位置にあるときに、内側76がフレーム14と係合してもよい。
【0020】
一例示的な実施形態において、ばね80の形態の偏倚部材が、フレーム14と揺動アーム62との間に配置される。ばね80は、図2の矢印Aで示されるように、偏倚力を偏倚方向へ揺動アーム62に与える。ばね80は、揺動アーム62を閉位置へ向かって偏倚させる。ばね80は、揺動アーム62が閉位置まで付勢させる。ばね80は、自動的に揺動アーム62を閉じる。任意において、揺動アーム62は、ばね80を受容する収容部82を含んでもよい。収容部82は、ばね80を受容するために、外側に開口してもよい。他のばね構成が、他の実施形態では可能である。さらに、ばね以外の他のタイプの偏倚部材が揺動アーム62を閉じるために用いられてもよい。
【0021】
揺動アーム62は、圧着工程中または前に閉位置へ移動する。揺動アーム62は、第一アーム64に対して第二アーム66を堅牢に保持するために、圧着工程の間、第二アーム66によりロックされる。一例示的な実施形態において、揺動アーム62は、ラッチ要素86を含み、フレーム14の第二アーム66は、フレームラッチ要素88を含む。ラッチ要素86およびフレームラッチ要素88は、揺動アーム62とフレーム14とがロックするために、圧着工程の間、互いに係合する。揺動アーム62は、フレーム14を堅牢に閉じるために、第一アーム64と第二アーム66間の連結材として作用する。図示される実施形態において、ラッチ要素86は、ポストに代表され、フレームラッチ要素88は、ラッチ要素86を収容する収容部89を含む。ラッチ要素86は、揺動アーム62から片持ち状とされている。他の場合において、ラッチ要素86の両端は、揺動アーム62によって支持されてもよい。フレームラッチ要素88は、収容部89の半径方向外縁にあるフランジ部90を含む。フランジ部90は、収容部89内にラッチ要素89を保持するために、ラッチ要素86の少なくとも部分的周囲を覆っている。他の実施形態において、揺動アーム62と第二アーム66とをロックするために、他のラッチ構成を用いることが可能である。例えば、ラッチ要素86は、収容部を含んでもよく、フレームラッチ要素88は、収容部内に収容されるポストを含んでもよい。他のタイプのラッチが、揺動アーム62と第二アーム66を共に保持するために用いられてもよい。
【0022】
ツールヘッド12は、可動ダイ42に連結されたラム92を含む。フレーム14は、第一アーム64と第二アーム66との間にラムキャビティ94を含む。ラム92は、図2に図示されるなどの後退位置と前進位置との間をラムキャビティ94内で移動可能である。ラム92は、図1に示されるアクチュエータ22が作動するときなど、圧着工程の間、前進方向に、長手軸46に沿って移動可能である。前進方向は、図2の矢印Bで図示される。ラム92は、ラム92が前進位置まで前進方向へ移動するにつれて、可動ダイ42を固定ダイ44へ向かって駆動する。端子は、可動ダイ42が、圧着工程の間、固定ダイ44へ向かって前進すると、ワイヤと圧着される。ラム92も、図2の矢印Cで図示される後退方向へ長手軸46に沿って移動可能である。
【0023】
図3は、開かれた状態のツールヘッド12を前から見た図である。開かれた状態において、揺動アーム62は、ラムキャビティ94と圧着領域61にアクセス可能な開かれた状態にある。揺動アーム62は、矢印Dの方向へ、閉位置から開位置まで回動する。ワイヤ組立体の完成体(例えば、1端子と1以上のワイヤ)は、開口60を通じてラムキャビティ94から取り出され、すなわち取り除かれる。例えば、作業者は、揺動アーム62の方向へツールヘッド12を弾いてもよい。そのような弾く作業は、揺動アーム62を開く十分な力となる。弾くときに、ワイヤ組立体の完成体は、揺動アーム62を開くように、揺動アーム62へ放られる。揺動アーム62が下側に位置するようにツールヘッド12を配置すると、揺動アーム62および/またはワイヤ組立体の完成体の重量により、揺動アーム62を開くことができる。作業者は、揺動アーム62を引っ張り力に抗して開かせるように、ワイヤ組立体の完成体を揺動アーム62へ向かって半径方向外側に引っ張る。開位置において、揺動アーム62の末端部72は、遠隔位置、すなわち第二アーム66から離れた位置に配置される。ラッチ要素86は、もはやフレームラッチ要素88と接続されない。間隙が、末端部72と第二アーム66との間に設けられる。
【0024】
一例示的な実施形態において、揺動アーム62の一部は、揺動アーム62が開位置にあるとき、ラムキャビティ94内に延伸する。例えば、回動端部70は、レバー端にカム表面96を含む。カム表面96は、揺動アーム62の内側76に沿って設けられる。揺動アーム62が回動ピン74の周りを回動するときに、カム表面96はラムキャビティ94内に延伸する。ラム92は、揺動アーム62の開移動を制限する停止部を規定してもよい。例えば、揺動アーム62は、カム表面96がラム92と係合するまで、開かれた状態で回動してもよい。
【0025】
一例示的な実施形態において、ラム92は、揺動アーム62と対面するカム表面98を含む。カム表面98は、ラムキャビティ94内で回動する揺動アーム62の一部と係合する。揺動アーム62は、カム表面96がカム表面98と係合するまで、開かれた状態である。ラム92は、開位置から閉位置まで揺動アーム62を自動的に閉じるために用いられてもよい。例えば、ラム92が前進方向へ前進するにつれて、カム表面98は、揺動アーム62を回動させて閉位置まで付勢するために、カム表面96と係合する。カム表面96の先端部は、ラム92が前進するにつれて、カム表面96とカム表面98の間を回動可能にするように、曲面とされている。自動的に揺動アーム62を閉じることによって、圧着ツール10は、揺動アーム62が閉位置にある状態以外では、端子を圧着することがない。このようにして、ラム92により、圧着工程のときに、ツールヘッド12を損傷することが防止され、および/または、圧着工程のときに、第二アーム66と固定ダイ44の撓みによる不完全な圧着が防止される。ラム92を用いて揺動アーム62を閉じる方法は、ばね80にさらに加えて、または、ばね80に換えるような揺動アーム62を閉じる他の方法であってもよい。例えば、ツールヘッド12は、ばね80なしで設けられてもよい。
【0026】
図4は、閉じられた状態(非着座状態)のツールヘッド12を前から見た図である。図5は、閉じられた状態(着座状態)のツールヘッド12を前から見た図である。ツールヘッド12は、揺動アーム62が閉位置にあり、ラッチ要素86がフレームラッチ要素88と整合するときに、閉じられた状態にある。揺動アーム62の末端部72は、揺動アーム62が閉位置にあるときに、フレーム14の第二アーム66と係合する。ラッチ要素86は、特定の実施形態によっては、揺動アーム62が閉位置にあるときに、フレームラッチ要素88と係合しない。ツールヘッド12は、以下のさらに詳述されるように、圧着工程の間、非着座位置から着座位置まで移動する。
【0027】
揺動アーム62は、ツールヘッド12が非着座位置にあるときに、開位置と閉位置との間を自由に移動可能である。ラッチ要素86は、ツールヘッド12が非着座位置にあるときに、フレームラッチ要素88の中へおよび外へ移動可能である。例えば、ラッチ要素86は、ツールヘッド12が非着座位置にあるときに、フレームラッチ要素88のフランジ部90を越えることが可能である。非着座位置では、間隙100が、ラッチ要素86とフレームラッチ要素88間に存在する。間隙100は、揺動アーム62が閉位置から開位置まで移動可能なように、ラッチ要素86のための間隙を与えてもよい。
【0028】
ツールヘッド12は、圧着工程の間、非着座位置から着座位置まで移動する。ラム92が前進すると、可動ダイ42は、固定ダイ44に対して付勢される。ラム92への図1に示されるアクチュエータ22からの連続的圧力が、固定ダイ44を付勢し、第二アーム66をツールフレーム14の嵌合端18から離れる外側へ付勢する。フレーム14は、第二アーム66が撓み、すなわち第一アーム64から外側へ離れるように移動して拡がる。フレーム14が拡がると、間隙100は、閉じられ、フランジ部90は、ラッチ要素86に相対的に近づくように移動する。第二アーム66は、フレームラッチ要素88がラッチ要素86と係合するまで、第一アーム64から外側へ離れるように付勢される。ラッチ要素86と揺動アーム62は、圧着工程の間、第一アーム64および第二アーム66を所定位置に保持するために、第二アーム66のさらなる外側への移動を防止する。揺動アーム62は、第一アーム64と第二アーム66とを連結する。着座位置において、フランジ部90は、ラッチ要素86が収容部89から移動することを阻止する。そのようにして、ラッチ要素86は、フレームラッチ要素88に対してロックされる。揺動アーム62は、ツールヘッド12が着座位置にあるとき、閉位置から開位置まで移動することを阻止される。
【0029】
一例示的な実施形態において、ラム92が前進すると、ラム92は、揺動アーム62が開くことを阻止する。例えば、ラム92は、揺動アーム62の内側76に沿って配置される。揺動アーム62は、ラム92により開位置まで回動することが防止される。このようにして、ラム92は、圧着工程の間、ツールヘッド12を損傷すること、および/または、圧着工程の間、固定ダイ44の撓みによる不完全な圧着が防止される。
【0030】
図6は、図1に示される圧着ツール10のための他のツールヘッド112の部分断面斜視図である。ツールヘッド112は、が圧着領域161へアクセス可能となる開口160を備えるラッチタイプツールヘッドを代表するツールヘッドフレーム114を含む。フレーム114は、圧着領域161に対してアクセス可能およびアクセス制限するための、開位置と閉位置との間を移動可能な揺動アーム162を含む。揺動アーム162は、開位置で図示されている。ツールヘッド112は、自動開閉モードと常閉モードの2つのモードで作動する。自動開閉モードにおいて、揺動アーム162は、ツール10の作動の間、自動的に開閉される。常閉モードにおいて、ツール10の全体ストロークの間、揺動アーム162は閉じたままである。
【0031】
フレーム114は、第一アーム164と第二アーム166とを備え、ほぼC字形状である。第一アーム164は、図1に示される内部アームを規定し、第二アーム166は、第一アーム164よりも、アクチュエータ22からさらに外側に配置された外部アームを規定する。図示される実施形態において、第一アーム164と第二アーム166が互いに分離し、ピン168により互いに連結される。ピン168は、せん断ピンであり、圧着工程の間、第二アーム166への力があまりに大きいならば、せん断ピン168がせん断され、第二アーム166は、第一アーム164から取り外されてしまう。例えば、揺動アーム162が圧着前に第二アーム166とラッチ係合しないと、ピン168は、圧着工程の早期段階でせん断し、第二アーム166を回動ピン169の周りを回動させ、圧着ダイを開かせる。そのような過程によって、明らかに粗悪な圧着となったので、ツールを停止しして修理が必要であり、粗悪な圧着製造であったため端子を処分するべきであることを作業者に信号を送る。開口160は、第一アーム164と第二アーム166との間に規定される。
【0032】
揺動アーム162は、開口160を閉じるために、第一アーム164と第二アーム166との間において、フレーム114に連結される。揺動アーム162は、回動端部170と末端部172間に延伸する。末端部172は、揺動アーム162が閉位置にあるときに、第二アーム166と係合するように構成されている。回動端部170は、第一アーム164に回動可能に連結される。一例示的な実施形態において、揺動アーム162は、回動端部170で揺動アーム162から延伸する回動ピン174を含む。揺動アーム162は、圧着領域161と対面する内側176および内側176の逆側の外側178とを含む。内面176は、揺動アーム162が閉位置にあるときに、フレーム114に係合してもよい。
【0033】
一例示的な実施形態において、ツールヘッド112は、揺動アーム162を閉位置まで偏倚させる偏倚部材180を含む。図示される実施形態において、偏倚部材180は、ラム192および揺動アーム162と連結するカムフォロワ182を構成する。カムフォロワ182は、ツールヘッド112が自動開閉モード状態であるときに、自動的に揺動アーム162を開閉するために用いられる。カムフォロワ182は、ラム192により前進および後退する。一例示的な実施形態において、第一カム184は、揺動アーム162と連結する。カム184は、曲面形状部の突出部を備える。カムフォロワ182は、フレーム114に対して揺動アーム162の位置を変えるために、圧着工程の間、カム184と相互作用する。例えば、カムフォロワ182が前進すると、カムフォロワ182は、カム184の曲面形状部と相互作用し、自動的に揺動アーム162を閉じる。例えば、カムフォロワ182は、カムフォロワ182がカム184に沿って乗り上げると、揺動アーム162を閉じさせるように引っ張る。そのようにして、カムフォロワ182は、揺動アーム162を閉位置まで付勢する偏倚機構として作用する。さらに、カムフォロワ182が後退位置まで移動すると、カムフォロワ182は、カム184の曲面形状部と相互作用し、自動的に揺動アーム162を開く。例えば、カム184は、カムフォロワ182が下部185の表面に沿って係合し、乗り上げるように、揺動アーム162を外側へ案内する下部185を含んでもよい。
【0034】
閉位置において、揺動アーム162は、第一アーム164に対して第二アーム166を堅牢に固定するように、圧着工程の間、第二アーム166にロックされてもよい。一例示的な実施形態において、揺動アーム162は、ラッチ要素186を含み、フレーム114の第二アーム166は、フレームラッチ要素188を含む。ラッチ要素186およびフレームラッチ要素188は、揺動アーム162およびフレーム114をロックするために、圧着工程の間、互いに係合する。揺動アーム162は、フレーム114を堅牢に閉じるために、第一アーム164と第二アーム166との間の連結として作用する。図示される実施形態において、ラッチ要素186は、ポストに代表され、フレームラッチ要素188は、ラッチ要素186を収容する収容部189を含む。
【0035】
ツールヘッド112は、可動ダイ142に連結されるラム192を含む。フレーム114は、第一アーム164と第二アーム166との間にラムキャビティ194を含む。ラム192は、図6に図示される位置などの後退位置と前進位置との間を、ラムキャビティ194内で移動可能である。ラム192が前進すると、カムフォロワ182も前進する。カムフォロワ182は、カム184と係合するピン196を含む。カムフォロワ182が前進すると、ピン196は、揺動アーム162を閉位置へと付勢し、カム184の表面に沿って乗り上げる。同様に、ラム192が後退すると、カムフォロワ182も後退する。ピン196は、カム184に沿って乗り上げ、揺動アーム162を開位置まで外側へ付勢する。カムフォロワ182および/またはピンは、安全性等があるプラスチック材料など、弾性材料から製造されてもよい。例えば、作業者が、圧着工程の間、揺動アーム162が閉じられることを阻止するように指を用いるならば、カムフォロワ182は、柔軟にカム184から解除される。そのようにして、作業者の指の挟み込みを回避することができる。
【0036】
図7は、常閉位置におけるツールヘッド112の図6とは別の部分分解斜視図である。常閉位置において、揺動アーム162は、ラム192が前進および後退しても、閉じられた状態である。偏倚部材180は、揺動アーム162を閉じられた状態で保持することで、揺動アーム162を閉位置まで偏倚させる。図示される実施形態において、偏倚部材180は、カムフォロワ182に代表される。カムフォロワ182は、異なるカム形状を有する第二カム198と係合する。カム形状は、線形垂直形状である。ピン196およびカムフォロワ182が、前進位置と後退位置との間を移動するにつれて、揺動アーム162を閉位置のままとしながら、ピン196は、第二カム198に沿って乗り上げる。
【0037】
一例示的な実施形態において、揺動アーム162は、第一カム184と第二カム198の両方を含む。カムフォロワ182は、それぞれ第一カム184と係合する第一位置と第二カム198と係合する第二位置との間を移動可能である。そのようにして、作業者は、自動開閉モードと常閉モードとの間の作業モードを制御することができる。選択部材が、カムフォロワ182の位置を制御し、モード間を選択するために用いられる。他の場合において、選択部材は、カムフォロワ182の位置を変化させるのではなく、第一カム184と第二カム198の位置を制御するように設けられてもよい。
【0038】
図8は、ツールヘッド112の他の側面図である。ツールヘッド112は、カムフォロワ182が第一カム184と係合する自動開閉モードにおいて図示されている。カムフォロワ182は、第二カム198と係合しない。
【0039】
選択部材200は、矢印202で示されるように、モード選択方向にカムフォロワ182の位置を移動させるように設けられる。選択部材200は、作業モードを選択するために、作業者によって押されるボタン204を含む。ボタン204は、ボタン204を両側から押せるように、フレーム114の両側から延伸する。片側を押すことで、選択部材200を一方向へ移動させ、別の側を押すことで、選択部材200を他方向へ移動させる。他の場合において、ボタン204は、一方向からのみアクセス可能であってもよく、選択部材200を両方向へ移動させるために、押すことと押すことと逆のこと、すなわち、プッシュ・プルであってもよい。他の場合において、カムフォロワ182が移動することなく、揺動アーム162がカムフォロワ182に対して移動可能とし、カムフォロワ182と係合するおよび係合解除する異なるカム184,198を移動させてもよい。選択部材200は、揺動アーム162のための回動ピンを含み、回動可能であるが、フレーム114に対して揺動アーム162の位置を制御する凹みを含むようにしてもよい。
【0040】
図9は、一例示的な実施形態に従って形成された圧着ツール210を示す図である。圧着ツール210は、端子とワイヤ(図示しない)の圧着など、コンポーネントを共に圧着するために用いられるツールヘッド212を含む。ツールヘッド212は、ツール216を保持するツールヘッドフレーム214を備える。一例示的な実施形態において、ツールヘッド212は、ラッチタイプツールヘッドに代表される。ツールヘッドフレーム214は、圧着工程の間、閉じられており、圧着工程後、ワイヤ組立体の完成体を取り除くために開かれる。ツールヘッド212は、ヘッド端220の末端部の嵌合端218を含む。
【0041】
圧着ツール210は、手によって作動させられるレバーまたはハンドルによって示されるアクチュエータ222を含む。他の実施形態において、アクチュエータは、図1に示されるアクチュエータ22を用いるなど、油圧作動される。
【0042】
ツールヘッドフレーム214は、ツール216を含む。ツール216は、ツールヘッドフレーム214から分離されてもよく、ツールヘッドフレーム214に連結されてもよい。ツール216は、圧着領域内に第一圧着ダイ242および第二圧着ダイ244を含む。図示される実施形態において、第一圧着ダイ242は、以下では可動ダイ242とも称される可動ダイに代表され、および第二圧着ダイ244は、以下では固定ダイ244とも称される固定ダイに代表される。可動ダイ242は、固定ダイ244に対して移動可能である。ツール216は、互いに向かって移動可能な複数の可動ダイまたは要素を含んでもよい。
【0043】
アクチュエータ222は、後退位置から前進位置まで、ツール216を移動させるように、圧着工程の間、作動する。例えば、可動ダイ242は、固定ダイ244へ向かって前進方向に移動する。端子は、圧着工程の間、ワイヤに圧着される。ツール216が、完全に前進位置まで到達すると、ツール216は、後退方向へ、後退位置まで戻るように移動する。
【0044】
図10は、図9に示される圧着ツール210のためのツールヘッド212の部分分解図である。ツールヘッドフレーム214は、圧着領域261へアクセス可能にする開口260を備えるラッチタイプツールヘッドフレーム214に代表される。フレーム214は、圧着領域161に対してアクセス可能およびアクセス制限するための、開位置と閉位置との間を移動可能な揺動アーム262を含む。揺動アーム262は、閉位置で図示される。圧着工程後、圧着領域261から端子とワイヤを取り出すために、揺動アーム262を開くことができる。
【0045】
組立の際、フレーム214は、第一アーム264と第二アーム266とを備え、ほぼC字形状である。第一アーム264は、内部アームを規定し、第二アーム266は、第一アーム264よりも、図9に示されるアクチュエータ222からさらに外側に配置された外部アームを規定する。第二アーム266は、固定ダイ244を規定してもよい。開口260は、第一アーム264と第二アーム266との間に規定される。ベース268は、開口260の反対側で、第一アーム264と第二アーム266との間を延伸する。ベース268、第一アーム264および第二アーム266により、フレーム214がC字形状に規定される。ベース268は、第一アーム264および/または第二アーム266で形成されてもよい。他の場合において、ベース268は、第一アーム264および第二アーム266から分離されてもよい。ベース268、第一アーム264および第二アーム266は、対応する第一アーム264および第二アーム266またはベース268を形成するために共に連結される複数の部材から各々が形成されてもよい。可動ダイ242を形成する部材など、他の部材を受容する部材間に間隙が備えられる。
【0046】
揺動アーム262は、開口260を閉じるために、第一アーム264と第二アーム266との間でフレーム214に連結される。揺動アーム262は、回動端部270と末端部272間に延伸する。揺動アーム262は、揺動アーム262が閉位置にあるときに、共に第一アーム264と第二アーム266の両方を連結する。回動端部270は、回転可能に図示しない回動ピンなどで第一アーム264に連結される。揺動アーム262は、圧着領域261と対面する内側276および内側276の逆側の外側278とを含む。内面276は、揺動アーム262が閉位置にあるときに、フレーム214および/または可動ダイ242に係合してもよい。
【0047】
一例示的な実施形態において、図11に示されるばねの形態の偏倚部材280が、フレーム214と揺動アーム162間に配置される。ばね280は、図11の矢印Eで示されるように、偏倚力を偏倚方向へ揺動アーム262に与える。ばね280は、揺動アーム262を閉位置へ向かって偏倚させる。ばね280は、揺動アーム262が閉位置まで付勢させる。ばね280は、自動的に揺動アーム262を閉じる。さらに、ばね以外の他のタイプの偏倚部材が揺動アーム262を閉じるために用いられてもよい。
【0048】
揺動アーム262は、圧着工程中または前に閉位置へ移動する。揺動アーム262は、第一アーム264に対して第二アーム266を堅牢に保持するために、圧着工程の間、第二アーム266にロックされる。一例示的な実施形態において、揺動アーム262は、ラッチ要素286を含み、フレーム214の第二アーム266は、フレームラッチ要素288を含む。揺動アーム262とフレーム214がロックするために、圧着工程の間、ラッチ要素286およびフレームラッチ要素288は、互いに係合する。揺動アーム262は、フレーム214を堅牢に閉じるために、第一アーム264と第二アーム266間の連結として作用する。図示される実施形態において、ラッチ要素286は、ポストに代表され、フレームラッチ要素288は、ラッチ要素286を収容する収容部289を含む。ラッチ要素286は、揺動アーム262から片持ち状とされている。他の場合において、ラッチ要素286の両端は、揺動アーム262によって支持されてもよい。フレームラッチ要素288は、収容部289の半径方向外縁にあるフランジ部290を含む。フランジ部290は、収容部289内にラッチ要素286を保持するために、ラッチ要素286の少なくとも部分的周囲を覆っている。他の実施形態において、揺動アーム262と第二アーム266とをロックするために、他のラッチ構成を用いることが可能である。例えば、ラッチ要素286は、収容部を含んでもよく、フレームラッチ要素288は、収容部内に収容されるポストを含んでもよい。他のタイプのラッチが、揺動アーム262と第二アーム266とを共に保持するために用いられてもよい。
【0049】
ツールヘッド212は、可動ダイ242に連結されたラム292を含む。ラム292も、図9に示されるアクチュエータ222と連結され、アクチュエータ222によって移動可能とされる。ラム292は、図10に図示されるなどの後退位置と前進位置との間を移動可能である。ラム292は、ラム292が前進位置まで前進方向へ移動するにつれて、可動ダイ242を固定ダイ244へ向かって駆動する。端子は、可動ダイ242が、圧着工程の間、固定ダイ244へ向かって前進すると、ワイヤに圧着される。ラム292および可動ダイ242も、後退方向へ長手軸に沿って移動可能である。フレーム214は、前進方向または後退方向の線形経路に沿って、可動ダイ242を案内する一以上のガイド部材294を含む。ガイド部材294は、ベース268および揺動アーム262の一部を形成してもよい。
【0050】
図11は、開かれた状態のツールヘッド212を前から見た図である。開かれた状態において、揺動アーム262は、圧着領域261にアクセス可能な開かれた状態にある。揺動アーム262は、矢印Fの方向へ、閉位置から開位置まで回動する。ワイヤ組立体の完成体(例えば、1端子と1以上のワイヤ)は、開口260を通じて圧着領域261から取り出され、すなわち取り除かれる。開位置において、揺動アーム262の末端部272は、遠隔位置、すなわち第二アーム266から離れた位置に配置される。ラッチ要素286は、もはやフレームラッチ要素288と接続されない。間隙が、末端部272と第二アーム266との間に設けられる。
【0051】
一例示的な実施形態において、揺動アーム262の一部は、カム表面296を含む。カム表面296は、揺動アーム262の外側278に沿って設けられる。ラム292は、揺動アーム262のカム表面296に係合するカム表面298を含む。例えば、ラム292は、揺動アーム262の外側278を越えるよう、揺動アーム262と貫通する指部を含んでもよい。カム表面298は、揺動アーム262の外郭表面に沿って乗り越えるポストによって規定される。ラム292は、開位置から閉位置まで揺動アーム262を自動的に閉じるために用いられてもよい。例えば、ラム292が前進方向へ前進するにつれて、カム表面298は、揺動アーム62を回動させて閉位置まで付勢するために、カム表面296と係合する。カム表面296の輪郭は、ラム292が前進するにつれて、カム表面296とカム表面298の間を回動可能にするように、曲面とされている。自動的に揺動アーム262を閉じることによって、揺動アーム262が閉位置にある状態以外では、圧着ツール210は、端子を圧着しない。このようにして、圧着工程のときに、ツールヘッド212を損傷することが防止され、および/または、圧着工程のときに、第二アーム266と固定ダイ244の撓みによる不完全な圧着が防止される。ラム292を用いて揺動アーム62を閉じる方法は、ばね280にさらに加えて、または、ばね280に換えるような揺動アーム262を閉じる他の方法であってもよい。例えば、ツールヘッド212は、ばね280なしで設けられてもよい。
【0052】
図12は、閉じられた状態(非着座状態)のツールヘッド212を前から見た図である。図13は、閉じられた状態(着座状態)のツールヘッド212を前から見た図である。揺動アーム262が閉位置にあり、ラッチ要素286がフレームラッチ要素288と整合するときに、ツールヘッド212は、閉状態となる。揺動アーム262の末端部272は、揺動アーム262が閉位置にあるときに、フレーム214の第二アーム266と係合する。非着座状態において、ラッチ要素286は、フレームラッチ要素288と係合しないが、第二アーム266の別部分と係合してもよい。着座状態においては、ラッチ要素286は、フレームラッチ要素288と係合する。ツールヘッド212は、以下のさらに詳述されるように、圧着工程の間、非着座位置から着座位置まで移動する。
【0053】
揺動アーム262は、ツールヘッド212が非着座位置にあるときに、開位置と閉位置との間を自由に移動可能である。ラッチ要素286は、ツールヘッド212が非着座位置にあるときに、フレームラッチ要素288の中へおよび外へ移動可能である。例えば、ラッチ要素286は、ツールヘッド212が非着座位置にあるときに、フレームラッチ要素288のフランジ部290を越えることが可能である。非着座位置では、図12に示される間隙300が、ラッチ要素286とフレームラッチ要素288間に存在する。間隙300は、揺動アーム262が閉位置から開位置まで移動可能なように、ラッチ要素286のための間隙を与えてもよい。
【0054】
ツールヘッド212は、圧着工程の間、非着座位置から着座位置まで移動する。ラム292が前進すると、可動ダイ242によって保持されたツールヘッド212は、固定ダイ244よって保持されたツールヘッド212に対して付勢され、および/または、端子が圧着される。連続的圧力が、固定ダイ244を付勢し、第二アーム266をツールフレーム214の嵌合端218から離れる外側へ付勢する。一例示的な実施形態において、第二アーム266および固定ダイ244は、線形に外方向へ移動する。例えば、第二アーム266は、ベース268から延伸するガイドポスト304を収容する一以上のガイドスロット302を含む。ガイドスロット302は、細長く、第二アーム266の移動を線形方向に制御する。そのようにして、第二アーム266は、ガイドスロット302およびガイドポスト304が浮動方向へ制御するので、非着座位置から着座位置まで、線形浮動方向に浮動可能である。
【0055】
一例示的な実施形態において、第二アーム266は、ラム292に沿って延伸する指部306を含む。ラム292は、指部306の回転を阻止し、第二アーム266が前進方向に平行に線形方向に移動することを保証する。指部306は、ガイド部材294の1つを規定する。指部306は、第二アーム266がほぼL字形状を有するように、第二アーム266の主要部に対して垂直となるように方向づけされる。第二アーム266は、第二アーム266の回転を阻止するように、2点でベース268と連結される。
【0056】
圧着工程の間、フレーム214は、第二アーム266が撓み、すなわち図の破線で示される第一アーム264から、外側へ離れるように移動して拡がる。フレーム214が拡がると、間隙300は、閉じられ、フレームラッチ要素288は、ラッチ要素286に相対的に近づくように移動する。フレームラッチ要素288がラッチ要素286と係合するまで、第二アーム266は、第一アーム264から外側へ離れるように付勢される。第二アーム266の内側308は、第二アーム266が外側に付勢されても平行のままである。換言すれば、内側308は、可動ダイ242が前進する長手軸に対して垂直のままである。内側308が回転しないので、図9に示される圧着ツール216は、圧着工程の間、適切な位置に配置され、不適切な圧着となる、端子が巻回されることや他の問題が少なくなる。
【0057】
一旦、フレーム214が着座位置になると、ラッチ要素286と揺動アーム262は、圧着工程の間、第一アーム264および第二アーム266の相対位置に保持する第二アーム266のさらなる外側への移動を防止する。揺動アーム262は、第一アーム264と第二アーム266とを連結する。着座位置において、フランジ部290は、ラッチ要素286が収容部289からの移動することを阻止する。そのようにして、ラッチ要素286は、フレームラッチ要素288に対してロックされる。揺動アーム262は、ツールヘッド212が着座位置にあるとき、閉位置から開位置まで移動することを阻止される。
【0058】
一例示的な実施形態において、ラム292が前進すると、ラム292は、揺動アーム262が開くことを阻止する。例えば、ラム292のカム表面298は、カム表面286に沿って移動し、揺動アーム262の外側278に係合してもよい。揺動アーム262は、ラム292により開位置まで回動することが防止される。このようにして、ラム292は、圧着工程の間、ツールヘッド212を損傷すること、および/または、圧着工程の間、固定ダイ244の撓みによる不完全な圧着を防止する。
【0059】
一例示的な実施形態において、ラム292は、ポストに代表される、ベース268の外側312と係合する第二カム表面310を含む。ベース268が第一アーム264に装着するベース268の連結点314周囲のベース268の回転など、第二カム表面310は、ベース268の外側への移動を防止する。他の実施形態において、ラム292が後退位置にあるときに、ベース268および第二アーム266は、揺動アーム262と同様の方法で連結点314の周囲を外側へ回転することを可能とされてもよい。そのようにして、フレーム214が開状態にあるとき、開口260は、拡げられてもよい。
【0060】
以上の実施形態は例示的なものであって、限定的でないことが理解されるべきである。例えば、以上の実施形態(および/または実施形態の実施)は互いに組み合わされて用いられてもよい。さらに、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるために、多くの変更を加えることができる。本実施形態において、寸法、材料の種類、様々な部材の採用、および様々名部材の数量および場所について規定されている傾向にあるが、決してこれら実施形態だけに限定されるものではない。当業者であば、本実施形態を参照して、本願請求項の範囲内であれば、多くの他の実施形態や変更をすることが可能である。それゆえに、本発明の範囲は、本願請求項に含まれる全ての実施形態を含むものである。添付の特許請求の範囲では、「含む(including)」および「そこにおいて(in which)」という用語は、それぞれ「含む(comprising)」および「そこにおいて(wherein)」という用語の平易な英語として使用されるが、意味は等しい。さらに、以下の特許請求の範囲では、「第1」、「第2」、および「第3」などの用語は単なる標識として使用されるにすぎず、これらの用語の対象に数値的な要件を課すものではない。さらに、以下に示す特許請求の範囲の限定は、ミーンズ・プラス・ファンクション形式で記載されたものではない。当該限定が「手段(means for)」というフレーズを明示的に使用し、かつ、さらなる構造を欠いたまま機能(ファンクション)についての言及が当該フレーズに続かない限り、米国特許法(35 U.S.C.)第112条の第6段落に基づいて解釈されるものではない。
【符号の説明】
【0061】
10・・・圧着ツール
14,114,214・・・フレーム
42,142・・・第一ダイ
44,144・・・第二ダイ
60,160,260・・・開口
61・・・圧着領域
62,162,262・・・揺動アーム
64,164,264・・・第一アーム
66,166,266・・・第二アーム
70・・・回動端部
72・・・末端部
80・・・偏倚部材
86・・・ラッチ要素
88・・・フレームラッチ要素
89・・・収容部
90・・・フランジ部
92,192・・・ラム
100・・・間隙
182・・・カムフォロワ
184・・・カム
302・・・ガイドスロット
304・・・ガイドポスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧着ツール(10)であって、
圧着領域(61)内に第一圧着ダイ(42)および第二圧着ダイ(44)を保持するフレーム(14)と、
前記第一圧着ダイと前記第二圧着ダイのうちの少なくとも一方は、圧着工程の間、移動可能であり、
前記フレームは、第一アーム(64)と第二アーム(66)を備え、
前記第一アームと前記第二アームとの間の開口(60)を規定し、
前記開口は、前記圧着領域にアクセス可能とされ、
前記第二アームは、フレームラッチ要素(88)を備え、
前記フレームの前記第一アームに回動可能に連結された回動端部(70)と、前記回動端部とは反対側の末端部(72)を備える揺動アーム(62)と、
前記揺動アームは、前記フレームラッチ要素と係合するように構成されたラッチ要素(86)を備え、
前記揺動アームは、開位置と閉位置の間を移動可能であり、
前記末端部は、前記開口を閉じるための前記閉位置にあるときに、前記フレームの前記第二アームと係合し、
前記第二アームは、圧着工程の間、非着座位置から着座位置まで、前記第一アームから離れる方向へ移動可能であり、
前記フレームラッチ要素は、前記着座位置にあるときに、前記ラッチ要素と係合し、さらに前記第一アームから離れる方向へ前記第二アームが移動することを制限することを特徴とする圧着ツール。
【請求項2】
前記揺動アームの前記ラッチ要素は、前記揺動アームが前記閉位置にあるとき、前記フレームラッチ要素と整合し、外側に配置され、
前記フレームラッチ要素は、圧着工程の間、前記フレームラッチ要素が前記揺動アームの前記ラッチ要素に対して着座するまで、前記第二アームと共に外側に付勢されることを特徴とする請求項1記載の圧着ツール。
【請求項3】
前記第二アームが前記非着座位置にあるとき、間隙(100)が前記揺動アームの前記ラッチ要素と前記フレームラッチ要素との間にあり、
前記間隙は、前記第二アームが前記着座位置まで移動すると、閉じられることを特徴とする請求項1記載の圧着ツール。
【請求項4】
前記フレームラッチ要素は、収容部(89)と前記収容部の外縁にあるフランジ部(90)とを含み、
前記揺動アームの前記ラッチ要素は、前記第二アームが非着座位置にあるときに、前記収容部の中へおよび外へ自由に移動可能であり、
前記ラッチ要素を前記収容部内に保持するために、前記第二アームが前記着座位置にあるとき、前記フランジ部は、前記揺動アームの前記ラッチ要素と干渉することを特徴とする請求項1記載の圧着ツール。
【請求項5】
前記第二アームは、ガイドポスト(304)を収容する細長ガイドスロット(302)を含み、
前記第二アームは、前記圧着工程の間、線形浮動方向に移動可能であり、
前記ガイドポストは、前記第二アームが前記線形浮動方向へ移動すると、前記ガイドスロット内へ移動することを特徴とする請求項1記載の圧着ツール。
【請求項6】
前記フレームは、C字形状であり、
前記揺動アームは、前記第一アームと前記第二アームとの間の開口の拡がりを防止するように、前記C字形状の前記第一アームと前記第二アームとを連結することを特徴とする請求項1記載の圧着ツール。
【請求項7】
さらに、前記第一圧着ダイに作動可能に連結されたラム(92)を含み、
前記第二圧着ダイは、前記第二アームに連結され、
前記ラムは、前記第一圧着ダイを前記第二圧着ダイへ向かって駆動させ、
前記フレームラッチ要素が前記揺動アームの前記ラッチ要素に対して着座されるまで、前記第二アームは、前記ラムによって外側へ付勢されることを特徴とする請求項1記載の圧着ツール。
【請求項8】
さらに、前記第一圧着ダイに連結されるラム(192)を含み、
前記ラムは前進位置と後退位置との間を移動可能であり、
前記ラムが前記前進位置に移動すると、前記ラムは、前記第一圧着ダイを前記第二圧着ダイ方向へ駆動し、
前記ラムは、前記揺動アームが前記開位置にあるとき、前記揺動アーム上のカム(184)に係合するカムフォロワ(182)を備え、前記ラムが前記後退位置から前記前進位置まで移動すると、自動的に前記揺動アームを前記閉位置まで移動させることを特徴とする請求項1記載の圧着ツール。
【請求項9】
さらに、前記揺動アームに連結された偏倚部材(80)を含み、
前記偏倚部材は、前記開口を閉じるために、前記揺動アームを前記閉位置に向かって偏倚させることを特徴とする請求項1記載の圧着ツール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−171302(P2011−171302A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32962(P2011−32962)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(399132320)タイコ・エレクトロニクス・コーポレイション (234)
【氏名又は名称原語表記】Tyco Electronics Corporation
【Fターム(参考)】