圧縮かしめ管継手
【課題】かしめが完了しているか否かを容易に視認できるとともに、作業性に優れた圧縮かしめ管継手を提供することを目的としている。
【解決手段】配管材Pの端部が外嵌されるノズル部23を有する継手本体2と、ノズル部23の周囲を囲繞するように設けられ、かしめ工具によって縮径方向にかしめられて、ノズル部23に外嵌された配管材Pの端部を、ノズル部23の間で挟着するスリーブ3とを有するとともに、スリーブ3に外嵌され、スリーブ3のかしめ工具によるかしめ時に、かしめ動作によってかしめ工具によって破砕されてスリーブ3から離脱するかしめ確認用環状部材4aを備えている構成とした。
【解決手段】配管材Pの端部が外嵌されるノズル部23を有する継手本体2と、ノズル部23の周囲を囲繞するように設けられ、かしめ工具によって縮径方向にかしめられて、ノズル部23に外嵌された配管材Pの端部を、ノズル部23の間で挟着するスリーブ3とを有するとともに、スリーブ3に外嵌され、スリーブ3のかしめ工具によるかしめ時に、かしめ動作によってかしめ工具によって破砕されてスリーブ3から離脱するかしめ確認用環状部材4aを備えている構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水・給湯配管や、冷暖房用の冷温水配管等の設備配管の配管作業に用いる圧縮かしめ管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、図21に示すような半割りの2つのかしめダイス110を有し、一方のかしめダイス110を他方のかしめダイス110方向に進退させるような専用のかしめ工具100を用いて、図22に示すようにかしめダイス110の間にスリーブ210を挟み込んで、スリーブ210を縮径方向にかしめることによって、配管材Pの管端部をスリーブ210と継手本体220のノズル部221の環状凹部222に嵌められた止水パッキン223との間で止水した圧縮かしめ管継手200が、給水・給湯配管や、冷暖房用の冷温水配管等の設備配管の接続に用いられている(特許文献1参照)。
すなわち、上記のような圧縮かしめ継手は、専用のかしめ工具を使用することで継手の構造をシンプルにしているので、ワンタッチ継手や、袋ナット式の継手と比較し、大量に使用する場合はコストメリットを発揮できる。また、接続品質が安定し、漏水リスクが少ない。
【0003】
一方、上記圧縮かしめ継手を用いる配管施工現場では、一度に大量に接続を行った場合には、かしめ忘れが発生するおそれがある。
しかし、圧縮かしめ継手は、上記のようなかしめ忘れがあったとしても、Oリング等の止水パッキンの働きによって漏水することがない。したがって、施工完了時の水圧試験時には、かしめ忘れが殆ど発見されない。
しかしながら、配管を長期間使用している間には、止水パッキンの劣化やウォーターハンマーなどによって、かしめ忘れた圧縮かしめ継手から配管がはずれて、漏水事故が発生するおそれがある。したがって、経時的に発生する漏水事故を防止するには、すべての圧縮かしめ継手にかしめ忘れがないか否かを確認することが重要となる。
【0004】
ところが、かしめ作業によってスリーブに形成された圧縮かしめ痕は、配管施工場所によっては外見上視認しにくく、特に、天井配管のようにかしめ作業位置が高い位置にある場合、圧縮かしめ痕の視認が非常に困難であり、確認作業が非常に面倒で、見落としも往々にして発生する。
他方、圧縮後に視認性を高めるために、かしめ作業完了毎に確認マークを貼ったり、油性ペンでサインしたりして、視認性を高める方法もあるが、かかる方法は、作業工数が増大するため嫌われる。
【0005】
そこで、例えば、管継手受口(継手部)の表面に感圧塗料を塗布あるいはスリーブの周囲に感圧塗料を塗布したテープを貼着し、かしめにより感圧塗料が変色して他の部分との色差を生じさせてかしめ作業が行われたか否かを視認できるようにした圧縮かしめ管継手(プレス式管継手、特許文献2,3,4参照)や、スリーブの外周面とは色彩が異なり、スリーブをかしめた際に裂け目が形成されて取り去られる視認用薄帯部材がスリーブに予め巻き付けられた圧縮かしめ継手(特許文献5参照)が既に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−132516号公報
【特許文献2】特開2004−84713号公報
【特許文献3】特開2004−116554号公報
【特許文献4】特開2004−138169号公報
【特許文献5】特開2009−2402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記感圧塗料を用いた圧縮かしめ継手においては、継手を日光が当たる場所で保存しておくと発色が劣化する場合があり、品質保持が難しいとともに、主にコスト上の問題から、テープを大きく形成するのが難しく、床上から天井配管のかしめ忘れの確認をするのが困難となるという虞れもある。一方、上記視認用薄帯部材を用いた圧縮かしめ管継手においては、視認用薄帯部材が接着剤でスリーブに固定されているため、強制的に剥がさなければならず、作業性の点で問題が残る。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みて、かしめが完了しているか否かを容易に視認できるとともに、作業性に優れた圧縮かしめ管継手を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明にかかる圧縮かしめ管継手は、配管材の端部が外嵌されるノズル部を有する継手本体と、前記ノズル部の周囲を囲繞するように設けられ、かしめ工具によって縮径方向にかしめられて、前記ノズル部に外嵌された配管材の端部を、前記ノズル部の間で挟着するスリーブとを有する圧縮かしめ管継手において、前記スリーブに外嵌され、スリーブのかしめ時に、かしめ動作によって破砕されてスリーブから離脱するかしめ確認用環状部材を備えていることを特徴としている。
【0010】
本発明の圧縮かしめ管継手は、特に限定されないが、かしめ工具に設けられた2つ割りのかしめダイスによってスリーブがかしめられるものであって、かしめ確認用環状部材には、より確実に破砕されてスリーブから離脱させることのために、かしめ時に他の部分より破砕されやすい脆弱部が、周方向に間欠的に設けられていることが好ましい。
上記脆弱部とは、他の部分より破砕されやすくなっていれば、その構造は特に限定されないが、他の部分より薄肉にする、幅を狭くする、スリット状の切れ目を間欠的に設けるなどの構造が挙げられる。
【0011】
また、上記脆弱部は、スリーブが、その先端に外周方向に広がるようにフランジを備えている場合、このフランジを臨む位置にフランジの周方向に間欠的に設けられている構成としてもよい。
さらに、上記のように、脆弱部をフランジに臨む位置に設ける場合、かしめ動作によって、脆弱部が、フランジに当接してせん断される構造としてもよい。
【0012】
また、上記脆弱部は、前記2つのかしめダイスの開き幅以下の間隔で設けられていることが好ましい。
すなわち、上記のように脆弱部を前記かしめダイスの開き幅以下の間隔で周方向に設けることによって、かしめ確認用環状部材の回転方向の位置にかかわらず、かしめダイスの口開きの両方の位置に脆弱部が必ず少なくとも1つずつ配置される。
したがって、確実に2つ以上の脆弱部で割れが発生して、破砕片がスリーブの周囲から確実に離脱する。
【0013】
また、かしめ確認用環状部材の装着位置は、かしめ確認用環状部材が、スリーブのかしめ時に破砕されてスリーブから離脱すれば、特に限定されないが、例えば、スリーブのかしめ位置が3箇所ある継手で、中央部に止水パッキンがある場合には、両端部のいずれかの圧縮位置にのみかしめ確認用環状部材が配置されることが望ましい。すなわち、スリーブの止水パッキンに対応する位置にかしめ確認用環状部材が配置されていると、スリーブのかしめが不十分となり、止水パッキンの止水性能が十分確保されないおそれがある。
したがって、かしめ確認用環状部材は、特に限定されないが、軸方向にズレ動いて、止水パッキンに対応する位置に来ないように、環状をした部材本体と、この部材本体をスリーブの軸方向の定位置に保持する位置保持手段を備えていることが好ましい。
また、上記位置保持手段は、スリーブがその先端に外周方向に広がるフランジを備えている場合、このフランジに係止される係止爪としてもよい。
【0014】
さらに、かしめ確認用環状部材は、かしめ工具のかしめ開始から終了までのかしめ動作時に確実に破砕されるようになっていれば、かしめ工具のスリーブのかしめに直接作用する部分で挟まれて破砕されるようにしても構わないし、かしめに直接作用しない位置で挟まれて破砕されるようにしても構わないが、スリーブのかしめの邪魔にならず、より効率よくかしめ確認用環状部材を破砕できることから、かしめ時に2つのかしめダイスのダイスエッジ間で挟まれる位置に設けられていることが好ましい。
なお、上記ダイスエッジとは、ダイスのスリーブを直接かしめるスリーブかしめ部に隣接する部分を意味し、スリーブかしめ部と同じ内径をしていても構わないが、スリーブかしめ部に対して段状に大径化していても構わない。
【0015】
本発明において、かしめ確認用環状部材の材質は、かしめ確認用環状部材が、スリーブのかしめ時にかしめ工具のかしめ動作によって破砕されてスリーブから離脱すれば、特に限定されないが、圧縮時にスリーブやかしめダイスを傷つけることの無いように、これらより硬度の低いものが望ましく、また、変形時に容易に破壊切断されるよう、破壊伸びが比較的小さいものが好適である。具体的には、例えば、硬質塩化ビニル、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリカーボネート、ポリスチレンなどが挙げられる。
【0016】
本発明の圧縮かしめ管継手の用途としては、特に限定されないが、例えば、住宅などの床下に給水・給湯用として配管される架橋ポリエチレン管、ポリブテン管や、ファンコイル等の空調機器の冷温水配管に用いられるアルミニウムの芯層を挟んで内外層にポリエチレンなどの合成樹脂層が形成された複合管などの柔軟管の接合に用いられる。
【発明の効果】
【0017】
本発明にかかる圧縮かしめ管継手は、配管材の端部が外嵌されるノズル部を有する継手本体と、前記ノズル部の周囲を囲繞するように設けられ、かしめ工具によって縮径方向にかしめられて、前記ノズル部に外嵌された配管材の端部を、前記ノズル部の間で挟着するスリーブとを有する圧縮かしめ管継手において、前記スリーブに外嵌され、スリーブのかしめ時に、かしめ動作によって破砕されてスリーブから離脱するかしめ確認用環状部材を備えているので、かしめ確認用環状部材の存在を確認することによって容易にかしめが完了しているか否かを視認することができる。
しかも、かしめ確認用環状部材がかしめにより破砕されて離脱するので、後で取り除くという手間もなく、また、一度かしめた管継手を複数回かしめたりすることがない。したがって、作業性に優れている。
さらに、かしめ確認用環状部材の色彩や外観形状を任意にすることで、他の継手との識別が容易にでき、また専用工具以外の工具は接続作業ができないようにすることができ、施工ミスを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明にかかる圧縮かしめ管継手の第1の実施の形態をあらわす斜視図である。
【図2】図1の圧縮かしめ管継手のスリーブかしめ前の状態をあらわす断面図である。
【図3】図1の圧縮かしめ管継手のかしめ確認用環状部材の斜視図である。
【図4】図3のかしめ確認用環状部材を、フランジ係止部側から中心軸方向にみた正面図である。
【図5】図3のかしめ確認用環状部材の側面図である。
【図6】かしめ工具によるかしめ確認用環状部材の破砕メカニズムを模式的に説明する図である。
【図7】本発明にかかる圧縮かしめ管継手の第2の実施の形態をあらわす斜視図である。
【図8】図7の圧縮かしめ管継手のスリーブかしめ前の状態をあらわす断面図である。
【図9】図7の圧縮かしめ管継手のかしめ確認用環状部材の斜視図である。
【図10】図9のかしめ確認用環状部材を、フランジ係止部側から中心軸方向にみた正面図である。
【図11】図9のかしめ確認用環状部材の側面図である。
【図12】本発明にかかる圧縮かしめ管継手の第3の実施の形態をあらわす斜視図である。
【図13】図12の圧縮かしめ管継手の半断面図である。
【図14】図12の圧縮かしめ管継手の環状部材の斜視図である。
【図15】図14の環状部材をスリーブ本体支持部側から見た図である。
【図16】図14の環状部材の半断面図である。
【図17】本発明にかかる圧縮かしめ管継手の第4の実施の形態をあらわす斜視図である。
【図18】図17の圧縮かしめ管継手の環状部材の斜視図である。
【図19】図18の環状部材をスリーブ本体支持部側から見た図である。
【図20】図19のX方向矢視図である。
【図21】かしめ工具の1例を示す正面図である。
【図22】従来の圧縮かしめ管継手の配管材の接合状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1及び図2は、本発明にかかる圧縮かしめ管継手の第1の実施の形態をあらわしている。
【0020】
図1及び図2に示すように、この圧縮かしめ管継手1aは、継手本体2と、スリーブ3と、かしめ確認用環状部材(以下、「環状部材」とのみ記す)4aとを備えている。
【0021】
継手本体2は、真鍮、砲金、ステンレス鋼などから形成されていて、六角ナット状をしたフランジ部21と、フランジ部21の一方に連設された雄ねじ筒部22と、フランジ部21の他方に連設されたノズル部23とを備えている。
ノズル部23は、図2に示すように、中央付近に環状溝23aを有し、この環状溝23aにリング状の止水パッキン23bが嵌装されている。
【0022】
スリーブ3は、ステンレス鋼やアルミニウムによって形成されていて、スリーブ本体31と、スリーブ本体31の一端に連設された円形フランジ32とを備えている。
スリーブ本体31は、図2に示すように、他端が継手本体2のフランジ部21のノズル部23側に設けられたリング状の嵌合溝21aに嵌合一体化されているとともに、図1に示すように、配管材の挿入確認孔31aが穿設されている。
円形フランジ32は、スリーブ本体31の一端から外周方向に広がるように設けられている。
【0023】
環状部材4aは、硬質塩化ビニル樹脂、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリカーボネート、ポリスチレン等の樹脂で形成されていて、図3〜図5に示すように、部材本体41と、8つのフランジ係止部42とを備えている。
部材本体41は、スリーブ本体31の外径より少し大きな内径をしたリング状をしていて、リングの厚み方向の一端から他端に向かう8つのスリット41aが間欠的かつ等ピッチで設けられている。
すなわち、部材本体41は、このスリット41aが設けられることによって、リングの厚み方向に狭小な脆弱部となる狭小部41bを周方向の8箇所に等ピッチで備えている。
【0024】
なお、狭小部41bのピッチは、図21に示すかしめ工具100の2つのかしめダイス110が、図6に示すように、かしめ開始前の開放状態にされたときの2つのかしめダイス110の開き幅Wより狭いピッチに設定されている。
また、部材本体41は、スリット41aの開口端の幅方向の一端縁から部材本体41の端縁に沿って隣接するスリット41aまでは達しない長さの突条41cが設けられている。
【0025】
8つのフランジ係止部42は、すべて同形同大をしていて、フランジ受部42aと係止部本体42bとをそれぞれ備え、部材本体41のリングの厚み方向の他端に放射状に等ピッチで連設されている。
すなわち、フランジ受部42aは、部材本体41のリングの厚み方向の他端において、部材本体41の壁面から直角に張り出すように設けられている。
また、フランジ受部42aは、その幅方向の一端がスリット41aの突条41cが設けられていない側の幅方向の端縁の延長線上、幅方向の他端が、突条41cの端縁の延長線上にくる幅をしている。
【0026】
係止部本体42bは、その幅方向の中央部でフランジ受部42aの先端に連結されていて、内壁面が部材本体41の中心軸を中心とする円弧状をしていて、2つの係止爪42cを位置保持手段として備えている。
係止爪42cは、係止部本体42bの内壁面の先端側に部材本体41の中心軸方向に向かって突設されている。
【0027】
そして、環状部材4aは、部材本体41がスリーブ本体31に非接着状態で外嵌されるとともに、円形フランジ32のスリーブ本体31側の面がフランジ受部42aに当接し、各係止部本体42bの係止爪42cが円形フランジ32のスリーブ本体31側と逆の面に係止された状態でスリーブ3に装着されている。
すなわち、環状部材4aは、スリーブ3の軸方向への移動が防止されている。すなわち、環状部材4aは、スリーブ3に対して常に定位置に保持されている。
なお、スリーブ3は、上記環状部材4aが上記のようにスリーブ3に装着された状態で継手本体2に取り付けられる。
【0028】
つぎに、この圧縮かしめ管継手1aと配管材Pとの接合動作を図2及び図6を参照して説明する。
すなわち、この圧縮かしめ管継手1aは、従来の圧縮かしめ管継手と同様に、まず、図2に示すように、配管材Pの管端部がスリーブ3の挿入確認孔31aから確認できるまでノズル部23を配管材Pの管端部内に挿入する。
【0029】
続いて、図21に示すかしめ工具100の開放状態の2つのかしめダイス110の間に、図6に示すように、スリーブ3を臨ませたのち、かしめ工具100を操作して一方のかしめダイス110を他方のかしめダイス110に向かって進出させて、スリーブ3のスリーブ本体31を2つのかしめダイス110の、スリーブ3のかしめ部であるかしめ面111で挟み込んで縮径方向にかしめる。
このかしめ動作時に環状部材4aの部材本体41が、かしめダイス110のかしめ面111によって挟まれて変形し、割れやすい脆弱部としての狭小部41bが優先的に割れる。したがって、環状部材4aが破砕される。しかも、狭小部41bのピッチが、かしめ開始前の開放状態の2つのかしめダイス110の開き幅Wより狭いピッチで設けられているので、開放状態の2つのかしめダイス110間に必ず狭小部41bが2つ以上配置されるようになる。したがって、環状部材4aは、かしめ時に必ず2箇所以上の狭小部41bの部分で確実に割れて破砕される。
【0030】
そして、環状部材4aは、部材本体41が、スリーブ本体31に非接着状態で外嵌されているだけであるので、この破砕によってかしめ動作時に部材本体41の一部及びこの部材本体41の一部に連設されたフランジ係止部42が手などで除去しなくても自然とスリーブ3から離脱し、かしめ完了後、かしめダイス110が開放されると、部材本体41及びフランジ係止部42の残部がスリーブ3から離脱する。
【0031】
この圧縮かしめ管継手1aは、以上のように、環状部材4aを備え、この環状部材4aがスリーブ3のかしめと同時に破砕されてスリーブ3の部分から離脱するので、スリーブ3がかしめ済みか否かを外見上容易に見分けることができる。
また、2つのかしめダイス110によって部材本体41が確実に挟まれないと、環状部材4aが破砕されないので、この圧縮かしめ管継手1aに適合する専用のかしめ工具以外の工具は接続作業ができないようにすることができ、施工ミスを防止できる。
【0032】
さらに、環状部材4aに蛍光色等の暗がりでも視認しやすい着色を施すことによって、離れた位置からでも容易に環状部材4aが残っているか否か、すなわち、スリーブ3のかしめが完了しているか否かをより容易に視認することができる。
【0033】
図7及び図8は、本発明にかかる圧縮かしめ管継手の第2の実施の形態をあらわしている。
図7及び図8に示すように、この圧縮かしめ管継手1bは、継手本体2と、スリーブ3と、環状部材4bとを備えている。
そして、継手本体2及びスリーブ3は、上記圧縮かしめ管継手1aと同様になっている。
【0034】
一方、環状部材4bは、図9〜図11に示すように、部材本体43と、8つのフランジ係止部44とを備えている。
部材本体43は、スリーブ3のスリーブ本体31の外径よりすこし大きな内径をしていて円形フランジ32より大径で幅の狭いリング状をしている。
【0035】
また、部材本体43は、外周面からリングの中心に向かって設けられた細幅の第1溝部43aと、第1溝部43aより太い幅の第2溝部43bとを交互に8つずつそれぞれ等ピッチで備えている。第1溝部43aのピッチは、図21に示すかしめ工具100の2つのかしめダイス110が、かしめ開始前の開放状態にされたときの2つのかしめダイス110の開き幅Wより狭いピッチに設定されている。
すなわち、部材本体43は、第1溝部43a及び第2溝部43bの部分で薄肉になっていて、第1溝部43aの底を形成する薄肉部43cが脆弱部となっている。
【0036】
フランジ係止部44は、係止部本体44aと、位置保持手段としての係止爪44bとを備えている。
係止部本体44aは、部材本体の厚み方向の一方の面の第1溝部43a部分を除いた位置から部材本体43に中心軸方向に延出するように設けられていて、外周面が、部材本体43のリングの外径に沿い、内周面がスリーブ3の円形フランジ32の外径と略同じか少し大きな内径の断面円弧状をしている。
係止爪44bは、第2溝部43bを部材本体43のリングの中心軸方向に臨む係止部本体44aの円弧の内周面に設けられている。
【0037】
そして、環状部材4bは、図8に示すように、部材本体43がスリーブ本体31に非接着状態で外嵌されるとともに、係止部本体44a形成面が、円形フランジ32のスリーブ本体31側の面に当接し、円形フランジ32のスリーブ本体31側と逆の面に各係止部本体42bの係止爪42cが係止された状態でスリーブ3に装着されている。
【0038】
そして、この圧縮かしめ管継手1bは、かしめ工具100のかしめ動作時に、図8に示すように、かしめダイス110のかしめ面111に隣接するダイスエッジに設けられた切欠段部112に部材本体43が嵌り込み、かしめ面111でのスリーブ本体31のかしめに伴って、部材本体43がこの切欠段部112の壁面で押されて変形する。また、この変形によって、脆弱部としての薄肉部43cが優先的に割れて環状部材4bが破砕される。
すなわち、この圧縮かしめ管継手1bは、上記圧縮かしめ管継手1aと同様の効果を備えているとともに、上記のように、環状部材4bの部材本体43が、かしめ動作時にダイスエッジに設けられた切欠段部112で変形させられて、環状部材4bが破砕されるようになっているので、スリーブ3をかしめる際に、かしめ面111とスリーブ本体31との間に全く介在するものがない。したがって、スリーブ本体31をかしめ面111に沿うように確実にかしめることができる。
【0039】
図12及び図13は、本発明にかかる圧縮かしめ管継手の第3の実施の形態をあらわしている。
図12及び図13に示すように、この圧縮かしめ管継手1cは、環状部材5が、以下のような構成を備えている以外は、上記第2の実施の形態の圧縮かしめ管継手1bと同様になっている。
【0040】
すなわち、環状部材5は、図12〜図16に示すように、同形同大に形成された10対のスリーブ本体支持部51と、10対のフランジ係止部52と、20対の脆弱部となる連結部53とを備えている。
各スリーブ本体支持部51は、図15に示すように、対となる2つの山形部51aと、脆弱部となる薄肉部51bと、ベース部51cと、を備えている。
【0041】
2つの山形部51aは、円弧状をした薄肉部51bを介して山形の中腹部で連結されている。
ベース部51cは、この山形部51aの底に沿うとともに、一部が山形部51aの底より他方の山形部51a側に設けられていて、その内周面(スリーブ本体31側の面)がスリーブ本体31の外径とほぼ同じか少し大きな径の円弧に形成されている。
そして、スリーブ本体支持部51は、隣接するスリーブ本体支持部51との間に同じ幅の隙間54を隔てた状態でその内周面が同一円周上に沿うようにサークル状に配置されている。
【0042】
各フランジ係止部52は、内周面が円形フランジ32の外径とほぼ同じか少し大きな円弧状をするとともに、円弧の内周面側に1つの係止爪52aを備えている。
そして、フランジ係止部52は、隣接するフランジ係止部52との間に同じ幅の隙間55を隔てた状態で、その内周面が同一円周上に沿うようにサークル状に配置されている。
【0043】
連結部53は、スリーブ本体支持部51の2つの山形部51aの頂部からフランジ係止部52方向に延出し、円形フランジ32の外周面に対面するように配置されるとともに、一方の山形部51aから延出する連結部53と、他方の山形部51aから延出する連結部53とが隙間55を挟んで異なるフランジ係止部52に連結されている。
そして、この連結状態で、係止爪52aがスリーブ本体支持部51とスリーブ本体支持部51との隙間54を臨む位置に配置されている。
【0044】
環状部材5は、上記のようになっており、各フランジ係止部52の係止爪52aが円形フランジ32の周縁に係止され、スリーブ本体支持部51のフランジ係止部52側の面が係止爪52aとの間で円形フランジ32の周縁部を両側から挟むように装着されている。
この圧縮かしめ管継手1cは、上記のようになっており、第2の実施の形態の圧縮かしめ管継手1bと同様のかしめ工具100を用いてスリーブ本体31がかしめられる。
【0045】
すなわち、圧縮かしめ管継手1cは、かしめ動作時に、10対のスリーブ本体支持部51が、かしめダイス110の厚み方向の端面に設けられた切欠段部112に臨む。そして、かしめ動作が開始されて、両かしめダイス110間の距離が縮まるにつれて、いずれかのスリーブ本体支持部51の山形部51aの頂点部分が切欠段部112の底部分にあたり、さらに、かしめダイス110間の距離が縮まると、10対のスリーブ本体支持部51からなるサークルが円形から、図6に示すようにかしめダイス110の移動方向に直交する方向に長軸を有する楕円形状に変形し、この変形によって楕円の長軸方向に位置するスリーブ本体支持部51の山形部51aと山形部51aとを連結する薄肉部51bに破断が生じる。また、切欠段部112の底付近では、スリーブ本体支持部51に円形フランジ32のエッジ部分を中心にしてスリーブ本体32側へ向かうモーメントが働くため、連結部53がせん断される。
【0046】
この圧縮かしめ管継手1cは、以上のように、かしめ動作によってスリーブ本体支持部51の山形部51aと山形部51aとを連結する薄肉部51bの破断が生じるとともに、連結部53がせん断されて、環状部材5が確実に破砕される。したがって、スリーブ3がかしめられている状態か否かを外見上容易に見分けることができる。
【0047】
図17は、本発明にかかる圧縮かしめ管継手の第4の実施の形態をあらわしている。
図17に示すように、この圧縮かしめ管継手1dは、環状部材6が、以下のような構成を備えている以外は、上記第2の実施の形態の圧縮かしめ管継手1bと同様になっている。
【0048】
すなわち、環状部材6は、図17〜図20に示すように、同形同大に形成された8対のスリーブ本体支持部61と、8対のフランジ係止部62と、16対の脆弱部となる連結部63とを備えている。
各スリーブ本体支持部61は、内周面がスリーブ本体31の外径とほぼ同じか少し大きな径の円弧状をしていて、略三角形をした2つの山形部61aが脆弱部となる下端部61bを介して連結された形状をしている。
そして、スリーブ本体支持部61は、隣接するスリーブ本体支持部61との間に同じ幅の隙間64を隔てた状態でその内周面が同一円周上に沿うようにサークル状に配置されている。
【0049】
各フランジ係止部62は、内周面が円形フランジ32の外径とほぼ同じか少し大きな円弧状をするとともに、円弧の内周面側に1つの係止爪62aを備えている。
そして、フランジ係止部62は、隣接するフランジ係止部62との間に同じ幅の隙間65を隔てた状態でその内周面が同一円周上に沿うようにサークル状に配置されている。
【0050】
連結部63は、スリーブ本体支持部61の2つの山形部61aの頂部からフランジ係止部62方向に延出し、円形フランジ32の外周面に対面するように配置されるとともに、一方の山形部61aから延出する連結部63と、他方の山形部61aから延出する連結部とが、隙間65を挟んで異なるフランジ係止部62に連結されている。
そして、この連結状態で、係止爪62aがスリーブ本体支持部61とスリーブ本体支持部61との隙間64を臨む位置に配置されている。
【0051】
環状部材6は、上記のようになっており、各フランジ係止部62の係止爪62aが円形フランジ32の周縁に係止され、スリーブ本体支持部61のフランジ係止部62側の面が係止爪62aとの間で円形フランジ32の周縁部を両側から挟むように装着されている。
【0052】
この圧縮かしめ管継手1dは、上記のようになっており、第2の実施の形態の圧縮かしめ管継手1bや第3の実施の形態の圧縮かしめ管継手1cと同様のかしめ工具100を用いてスリーブ本体31がかしめられる。
すなわち、圧縮かしめ管継手1dは、図示していないが、かしめ動作時に、8対のスリーブ本体支持部61が、かしめダイス110の厚み方向の端面に設けられた切欠段部112に臨む。そして、かしめ動作が開始されて、両かしめダイス110間の距離が縮まるにつれて、いずれかのスリーブ本体支持部61が、切欠段部112の底部分にあたり、さらにかしめダイス110間の距離が縮まると、8対のスリーブ本体支持部61からなる円形のサークルが、図6に示すように、かしめダイス110の移動方向に直交する方向に長軸を有する楕円形状に変形し、この変形によって楕円の長軸方向に位置するスリーブ本体支持部61の山形部61aと山形部61aとの境界部分である下端部61b部分が破断する。また、切欠段部112の底付近では、スリーブ本体支持部61に円形フランジ32のエッジ部分を中心にしてスリーブ本体32側へ向かうモーメントが働くため、連結部63がせん断される。
【0053】
この圧縮かしめ管継手1dは、以上のように、かしめ動作によってスリーブ本体支持部61の山形部61aと山形部61aとの境界部分である下端部61bが破断するとともに、連結部63がせん断される。したがって、環状部材6が、確実に破砕され、スリーブ3がかしめられている状態か否かを外見上容易に見分けることができる。
【0054】
本発明にかかる圧縮かしめ管継手は、上記の実施の形態に限定されない。例えば、上記の実施の形態では、係止爪によって環状部材の移動を防止していたが、部材本体の内周面に摩擦抵抗の大きい弾性突起等の弾接手段を設け、この弾接手段のスリーブ本体外周面への弾接によって環状部材の移動を防止するようにしても構わない。
また、上記の実施の形態では、ノズル部に止水パッキンが外嵌されていたが、接続される配管材が柔らかい材料で形成されている場合には、止水パッキンを無くし、配管材のノズル部周面に設けられた突条への喰い込みによって止水を図るようにしても構わない。
【0055】
上記第3及び第4の実施の形態では、全てのスリーブ本体支持部、フランジ係止部が同形同大に形成されていたが、隣接するスリーブ本体支持部間、あるいはフランジ係止部の形状や円弧部分の円周方向の長さが異なっていても構わない。
また、第3及び第4の実施の形態では、スリーブ本体支持部とスリーブ本体支持部との隙間及びフランジ係止部とフランジ係止部との隙間が等ピッチ及び等幅で形成されていたが、隙間も等ピッチでなくても構わない。
【符号の説明】
【0056】
1a,1b,1c,1d 圧縮かしめ管継手
2 継手本体
23 ノズル部
3 スリーブ
4a,4b,5,6 環状部材
41c 狭小部(脆弱部)
43c 薄肉部(脆弱部)
41,43 部材本体
42c,44b,52a,62a 係止爪(位置保持手段)
51,61 スリーブ本体支持部
52,62 フランジ係止部
53,63 連結部(脆弱部)
54,64 隙間
55,65 隙間
51a 薄肉部(脆弱部)
61b 下端部(脆弱部)
100 かしめ工具
110 かしめダイス
W 開き幅
P 配管材
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水・給湯配管や、冷暖房用の冷温水配管等の設備配管の配管作業に用いる圧縮かしめ管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、図21に示すような半割りの2つのかしめダイス110を有し、一方のかしめダイス110を他方のかしめダイス110方向に進退させるような専用のかしめ工具100を用いて、図22に示すようにかしめダイス110の間にスリーブ210を挟み込んで、スリーブ210を縮径方向にかしめることによって、配管材Pの管端部をスリーブ210と継手本体220のノズル部221の環状凹部222に嵌められた止水パッキン223との間で止水した圧縮かしめ管継手200が、給水・給湯配管や、冷暖房用の冷温水配管等の設備配管の接続に用いられている(特許文献1参照)。
すなわち、上記のような圧縮かしめ継手は、専用のかしめ工具を使用することで継手の構造をシンプルにしているので、ワンタッチ継手や、袋ナット式の継手と比較し、大量に使用する場合はコストメリットを発揮できる。また、接続品質が安定し、漏水リスクが少ない。
【0003】
一方、上記圧縮かしめ継手を用いる配管施工現場では、一度に大量に接続を行った場合には、かしめ忘れが発生するおそれがある。
しかし、圧縮かしめ継手は、上記のようなかしめ忘れがあったとしても、Oリング等の止水パッキンの働きによって漏水することがない。したがって、施工完了時の水圧試験時には、かしめ忘れが殆ど発見されない。
しかしながら、配管を長期間使用している間には、止水パッキンの劣化やウォーターハンマーなどによって、かしめ忘れた圧縮かしめ継手から配管がはずれて、漏水事故が発生するおそれがある。したがって、経時的に発生する漏水事故を防止するには、すべての圧縮かしめ継手にかしめ忘れがないか否かを確認することが重要となる。
【0004】
ところが、かしめ作業によってスリーブに形成された圧縮かしめ痕は、配管施工場所によっては外見上視認しにくく、特に、天井配管のようにかしめ作業位置が高い位置にある場合、圧縮かしめ痕の視認が非常に困難であり、確認作業が非常に面倒で、見落としも往々にして発生する。
他方、圧縮後に視認性を高めるために、かしめ作業完了毎に確認マークを貼ったり、油性ペンでサインしたりして、視認性を高める方法もあるが、かかる方法は、作業工数が増大するため嫌われる。
【0005】
そこで、例えば、管継手受口(継手部)の表面に感圧塗料を塗布あるいはスリーブの周囲に感圧塗料を塗布したテープを貼着し、かしめにより感圧塗料が変色して他の部分との色差を生じさせてかしめ作業が行われたか否かを視認できるようにした圧縮かしめ管継手(プレス式管継手、特許文献2,3,4参照)や、スリーブの外周面とは色彩が異なり、スリーブをかしめた際に裂け目が形成されて取り去られる視認用薄帯部材がスリーブに予め巻き付けられた圧縮かしめ継手(特許文献5参照)が既に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−132516号公報
【特許文献2】特開2004−84713号公報
【特許文献3】特開2004−116554号公報
【特許文献4】特開2004−138169号公報
【特許文献5】特開2009−2402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記感圧塗料を用いた圧縮かしめ継手においては、継手を日光が当たる場所で保存しておくと発色が劣化する場合があり、品質保持が難しいとともに、主にコスト上の問題から、テープを大きく形成するのが難しく、床上から天井配管のかしめ忘れの確認をするのが困難となるという虞れもある。一方、上記視認用薄帯部材を用いた圧縮かしめ管継手においては、視認用薄帯部材が接着剤でスリーブに固定されているため、強制的に剥がさなければならず、作業性の点で問題が残る。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みて、かしめが完了しているか否かを容易に視認できるとともに、作業性に優れた圧縮かしめ管継手を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明にかかる圧縮かしめ管継手は、配管材の端部が外嵌されるノズル部を有する継手本体と、前記ノズル部の周囲を囲繞するように設けられ、かしめ工具によって縮径方向にかしめられて、前記ノズル部に外嵌された配管材の端部を、前記ノズル部の間で挟着するスリーブとを有する圧縮かしめ管継手において、前記スリーブに外嵌され、スリーブのかしめ時に、かしめ動作によって破砕されてスリーブから離脱するかしめ確認用環状部材を備えていることを特徴としている。
【0010】
本発明の圧縮かしめ管継手は、特に限定されないが、かしめ工具に設けられた2つ割りのかしめダイスによってスリーブがかしめられるものであって、かしめ確認用環状部材には、より確実に破砕されてスリーブから離脱させることのために、かしめ時に他の部分より破砕されやすい脆弱部が、周方向に間欠的に設けられていることが好ましい。
上記脆弱部とは、他の部分より破砕されやすくなっていれば、その構造は特に限定されないが、他の部分より薄肉にする、幅を狭くする、スリット状の切れ目を間欠的に設けるなどの構造が挙げられる。
【0011】
また、上記脆弱部は、スリーブが、その先端に外周方向に広がるようにフランジを備えている場合、このフランジを臨む位置にフランジの周方向に間欠的に設けられている構成としてもよい。
さらに、上記のように、脆弱部をフランジに臨む位置に設ける場合、かしめ動作によって、脆弱部が、フランジに当接してせん断される構造としてもよい。
【0012】
また、上記脆弱部は、前記2つのかしめダイスの開き幅以下の間隔で設けられていることが好ましい。
すなわち、上記のように脆弱部を前記かしめダイスの開き幅以下の間隔で周方向に設けることによって、かしめ確認用環状部材の回転方向の位置にかかわらず、かしめダイスの口開きの両方の位置に脆弱部が必ず少なくとも1つずつ配置される。
したがって、確実に2つ以上の脆弱部で割れが発生して、破砕片がスリーブの周囲から確実に離脱する。
【0013】
また、かしめ確認用環状部材の装着位置は、かしめ確認用環状部材が、スリーブのかしめ時に破砕されてスリーブから離脱すれば、特に限定されないが、例えば、スリーブのかしめ位置が3箇所ある継手で、中央部に止水パッキンがある場合には、両端部のいずれかの圧縮位置にのみかしめ確認用環状部材が配置されることが望ましい。すなわち、スリーブの止水パッキンに対応する位置にかしめ確認用環状部材が配置されていると、スリーブのかしめが不十分となり、止水パッキンの止水性能が十分確保されないおそれがある。
したがって、かしめ確認用環状部材は、特に限定されないが、軸方向にズレ動いて、止水パッキンに対応する位置に来ないように、環状をした部材本体と、この部材本体をスリーブの軸方向の定位置に保持する位置保持手段を備えていることが好ましい。
また、上記位置保持手段は、スリーブがその先端に外周方向に広がるフランジを備えている場合、このフランジに係止される係止爪としてもよい。
【0014】
さらに、かしめ確認用環状部材は、かしめ工具のかしめ開始から終了までのかしめ動作時に確実に破砕されるようになっていれば、かしめ工具のスリーブのかしめに直接作用する部分で挟まれて破砕されるようにしても構わないし、かしめに直接作用しない位置で挟まれて破砕されるようにしても構わないが、スリーブのかしめの邪魔にならず、より効率よくかしめ確認用環状部材を破砕できることから、かしめ時に2つのかしめダイスのダイスエッジ間で挟まれる位置に設けられていることが好ましい。
なお、上記ダイスエッジとは、ダイスのスリーブを直接かしめるスリーブかしめ部に隣接する部分を意味し、スリーブかしめ部と同じ内径をしていても構わないが、スリーブかしめ部に対して段状に大径化していても構わない。
【0015】
本発明において、かしめ確認用環状部材の材質は、かしめ確認用環状部材が、スリーブのかしめ時にかしめ工具のかしめ動作によって破砕されてスリーブから離脱すれば、特に限定されないが、圧縮時にスリーブやかしめダイスを傷つけることの無いように、これらより硬度の低いものが望ましく、また、変形時に容易に破壊切断されるよう、破壊伸びが比較的小さいものが好適である。具体的には、例えば、硬質塩化ビニル、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリカーボネート、ポリスチレンなどが挙げられる。
【0016】
本発明の圧縮かしめ管継手の用途としては、特に限定されないが、例えば、住宅などの床下に給水・給湯用として配管される架橋ポリエチレン管、ポリブテン管や、ファンコイル等の空調機器の冷温水配管に用いられるアルミニウムの芯層を挟んで内外層にポリエチレンなどの合成樹脂層が形成された複合管などの柔軟管の接合に用いられる。
【発明の効果】
【0017】
本発明にかかる圧縮かしめ管継手は、配管材の端部が外嵌されるノズル部を有する継手本体と、前記ノズル部の周囲を囲繞するように設けられ、かしめ工具によって縮径方向にかしめられて、前記ノズル部に外嵌された配管材の端部を、前記ノズル部の間で挟着するスリーブとを有する圧縮かしめ管継手において、前記スリーブに外嵌され、スリーブのかしめ時に、かしめ動作によって破砕されてスリーブから離脱するかしめ確認用環状部材を備えているので、かしめ確認用環状部材の存在を確認することによって容易にかしめが完了しているか否かを視認することができる。
しかも、かしめ確認用環状部材がかしめにより破砕されて離脱するので、後で取り除くという手間もなく、また、一度かしめた管継手を複数回かしめたりすることがない。したがって、作業性に優れている。
さらに、かしめ確認用環状部材の色彩や外観形状を任意にすることで、他の継手との識別が容易にでき、また専用工具以外の工具は接続作業ができないようにすることができ、施工ミスを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明にかかる圧縮かしめ管継手の第1の実施の形態をあらわす斜視図である。
【図2】図1の圧縮かしめ管継手のスリーブかしめ前の状態をあらわす断面図である。
【図3】図1の圧縮かしめ管継手のかしめ確認用環状部材の斜視図である。
【図4】図3のかしめ確認用環状部材を、フランジ係止部側から中心軸方向にみた正面図である。
【図5】図3のかしめ確認用環状部材の側面図である。
【図6】かしめ工具によるかしめ確認用環状部材の破砕メカニズムを模式的に説明する図である。
【図7】本発明にかかる圧縮かしめ管継手の第2の実施の形態をあらわす斜視図である。
【図8】図7の圧縮かしめ管継手のスリーブかしめ前の状態をあらわす断面図である。
【図9】図7の圧縮かしめ管継手のかしめ確認用環状部材の斜視図である。
【図10】図9のかしめ確認用環状部材を、フランジ係止部側から中心軸方向にみた正面図である。
【図11】図9のかしめ確認用環状部材の側面図である。
【図12】本発明にかかる圧縮かしめ管継手の第3の実施の形態をあらわす斜視図である。
【図13】図12の圧縮かしめ管継手の半断面図である。
【図14】図12の圧縮かしめ管継手の環状部材の斜視図である。
【図15】図14の環状部材をスリーブ本体支持部側から見た図である。
【図16】図14の環状部材の半断面図である。
【図17】本発明にかかる圧縮かしめ管継手の第4の実施の形態をあらわす斜視図である。
【図18】図17の圧縮かしめ管継手の環状部材の斜視図である。
【図19】図18の環状部材をスリーブ本体支持部側から見た図である。
【図20】図19のX方向矢視図である。
【図21】かしめ工具の1例を示す正面図である。
【図22】従来の圧縮かしめ管継手の配管材の接合状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1及び図2は、本発明にかかる圧縮かしめ管継手の第1の実施の形態をあらわしている。
【0020】
図1及び図2に示すように、この圧縮かしめ管継手1aは、継手本体2と、スリーブ3と、かしめ確認用環状部材(以下、「環状部材」とのみ記す)4aとを備えている。
【0021】
継手本体2は、真鍮、砲金、ステンレス鋼などから形成されていて、六角ナット状をしたフランジ部21と、フランジ部21の一方に連設された雄ねじ筒部22と、フランジ部21の他方に連設されたノズル部23とを備えている。
ノズル部23は、図2に示すように、中央付近に環状溝23aを有し、この環状溝23aにリング状の止水パッキン23bが嵌装されている。
【0022】
スリーブ3は、ステンレス鋼やアルミニウムによって形成されていて、スリーブ本体31と、スリーブ本体31の一端に連設された円形フランジ32とを備えている。
スリーブ本体31は、図2に示すように、他端が継手本体2のフランジ部21のノズル部23側に設けられたリング状の嵌合溝21aに嵌合一体化されているとともに、図1に示すように、配管材の挿入確認孔31aが穿設されている。
円形フランジ32は、スリーブ本体31の一端から外周方向に広がるように設けられている。
【0023】
環状部材4aは、硬質塩化ビニル樹脂、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリカーボネート、ポリスチレン等の樹脂で形成されていて、図3〜図5に示すように、部材本体41と、8つのフランジ係止部42とを備えている。
部材本体41は、スリーブ本体31の外径より少し大きな内径をしたリング状をしていて、リングの厚み方向の一端から他端に向かう8つのスリット41aが間欠的かつ等ピッチで設けられている。
すなわち、部材本体41は、このスリット41aが設けられることによって、リングの厚み方向に狭小な脆弱部となる狭小部41bを周方向の8箇所に等ピッチで備えている。
【0024】
なお、狭小部41bのピッチは、図21に示すかしめ工具100の2つのかしめダイス110が、図6に示すように、かしめ開始前の開放状態にされたときの2つのかしめダイス110の開き幅Wより狭いピッチに設定されている。
また、部材本体41は、スリット41aの開口端の幅方向の一端縁から部材本体41の端縁に沿って隣接するスリット41aまでは達しない長さの突条41cが設けられている。
【0025】
8つのフランジ係止部42は、すべて同形同大をしていて、フランジ受部42aと係止部本体42bとをそれぞれ備え、部材本体41のリングの厚み方向の他端に放射状に等ピッチで連設されている。
すなわち、フランジ受部42aは、部材本体41のリングの厚み方向の他端において、部材本体41の壁面から直角に張り出すように設けられている。
また、フランジ受部42aは、その幅方向の一端がスリット41aの突条41cが設けられていない側の幅方向の端縁の延長線上、幅方向の他端が、突条41cの端縁の延長線上にくる幅をしている。
【0026】
係止部本体42bは、その幅方向の中央部でフランジ受部42aの先端に連結されていて、内壁面が部材本体41の中心軸を中心とする円弧状をしていて、2つの係止爪42cを位置保持手段として備えている。
係止爪42cは、係止部本体42bの内壁面の先端側に部材本体41の中心軸方向に向かって突設されている。
【0027】
そして、環状部材4aは、部材本体41がスリーブ本体31に非接着状態で外嵌されるとともに、円形フランジ32のスリーブ本体31側の面がフランジ受部42aに当接し、各係止部本体42bの係止爪42cが円形フランジ32のスリーブ本体31側と逆の面に係止された状態でスリーブ3に装着されている。
すなわち、環状部材4aは、スリーブ3の軸方向への移動が防止されている。すなわち、環状部材4aは、スリーブ3に対して常に定位置に保持されている。
なお、スリーブ3は、上記環状部材4aが上記のようにスリーブ3に装着された状態で継手本体2に取り付けられる。
【0028】
つぎに、この圧縮かしめ管継手1aと配管材Pとの接合動作を図2及び図6を参照して説明する。
すなわち、この圧縮かしめ管継手1aは、従来の圧縮かしめ管継手と同様に、まず、図2に示すように、配管材Pの管端部がスリーブ3の挿入確認孔31aから確認できるまでノズル部23を配管材Pの管端部内に挿入する。
【0029】
続いて、図21に示すかしめ工具100の開放状態の2つのかしめダイス110の間に、図6に示すように、スリーブ3を臨ませたのち、かしめ工具100を操作して一方のかしめダイス110を他方のかしめダイス110に向かって進出させて、スリーブ3のスリーブ本体31を2つのかしめダイス110の、スリーブ3のかしめ部であるかしめ面111で挟み込んで縮径方向にかしめる。
このかしめ動作時に環状部材4aの部材本体41が、かしめダイス110のかしめ面111によって挟まれて変形し、割れやすい脆弱部としての狭小部41bが優先的に割れる。したがって、環状部材4aが破砕される。しかも、狭小部41bのピッチが、かしめ開始前の開放状態の2つのかしめダイス110の開き幅Wより狭いピッチで設けられているので、開放状態の2つのかしめダイス110間に必ず狭小部41bが2つ以上配置されるようになる。したがって、環状部材4aは、かしめ時に必ず2箇所以上の狭小部41bの部分で確実に割れて破砕される。
【0030】
そして、環状部材4aは、部材本体41が、スリーブ本体31に非接着状態で外嵌されているだけであるので、この破砕によってかしめ動作時に部材本体41の一部及びこの部材本体41の一部に連設されたフランジ係止部42が手などで除去しなくても自然とスリーブ3から離脱し、かしめ完了後、かしめダイス110が開放されると、部材本体41及びフランジ係止部42の残部がスリーブ3から離脱する。
【0031】
この圧縮かしめ管継手1aは、以上のように、環状部材4aを備え、この環状部材4aがスリーブ3のかしめと同時に破砕されてスリーブ3の部分から離脱するので、スリーブ3がかしめ済みか否かを外見上容易に見分けることができる。
また、2つのかしめダイス110によって部材本体41が確実に挟まれないと、環状部材4aが破砕されないので、この圧縮かしめ管継手1aに適合する専用のかしめ工具以外の工具は接続作業ができないようにすることができ、施工ミスを防止できる。
【0032】
さらに、環状部材4aに蛍光色等の暗がりでも視認しやすい着色を施すことによって、離れた位置からでも容易に環状部材4aが残っているか否か、すなわち、スリーブ3のかしめが完了しているか否かをより容易に視認することができる。
【0033】
図7及び図8は、本発明にかかる圧縮かしめ管継手の第2の実施の形態をあらわしている。
図7及び図8に示すように、この圧縮かしめ管継手1bは、継手本体2と、スリーブ3と、環状部材4bとを備えている。
そして、継手本体2及びスリーブ3は、上記圧縮かしめ管継手1aと同様になっている。
【0034】
一方、環状部材4bは、図9〜図11に示すように、部材本体43と、8つのフランジ係止部44とを備えている。
部材本体43は、スリーブ3のスリーブ本体31の外径よりすこし大きな内径をしていて円形フランジ32より大径で幅の狭いリング状をしている。
【0035】
また、部材本体43は、外周面からリングの中心に向かって設けられた細幅の第1溝部43aと、第1溝部43aより太い幅の第2溝部43bとを交互に8つずつそれぞれ等ピッチで備えている。第1溝部43aのピッチは、図21に示すかしめ工具100の2つのかしめダイス110が、かしめ開始前の開放状態にされたときの2つのかしめダイス110の開き幅Wより狭いピッチに設定されている。
すなわち、部材本体43は、第1溝部43a及び第2溝部43bの部分で薄肉になっていて、第1溝部43aの底を形成する薄肉部43cが脆弱部となっている。
【0036】
フランジ係止部44は、係止部本体44aと、位置保持手段としての係止爪44bとを備えている。
係止部本体44aは、部材本体の厚み方向の一方の面の第1溝部43a部分を除いた位置から部材本体43に中心軸方向に延出するように設けられていて、外周面が、部材本体43のリングの外径に沿い、内周面がスリーブ3の円形フランジ32の外径と略同じか少し大きな内径の断面円弧状をしている。
係止爪44bは、第2溝部43bを部材本体43のリングの中心軸方向に臨む係止部本体44aの円弧の内周面に設けられている。
【0037】
そして、環状部材4bは、図8に示すように、部材本体43がスリーブ本体31に非接着状態で外嵌されるとともに、係止部本体44a形成面が、円形フランジ32のスリーブ本体31側の面に当接し、円形フランジ32のスリーブ本体31側と逆の面に各係止部本体42bの係止爪42cが係止された状態でスリーブ3に装着されている。
【0038】
そして、この圧縮かしめ管継手1bは、かしめ工具100のかしめ動作時に、図8に示すように、かしめダイス110のかしめ面111に隣接するダイスエッジに設けられた切欠段部112に部材本体43が嵌り込み、かしめ面111でのスリーブ本体31のかしめに伴って、部材本体43がこの切欠段部112の壁面で押されて変形する。また、この変形によって、脆弱部としての薄肉部43cが優先的に割れて環状部材4bが破砕される。
すなわち、この圧縮かしめ管継手1bは、上記圧縮かしめ管継手1aと同様の効果を備えているとともに、上記のように、環状部材4bの部材本体43が、かしめ動作時にダイスエッジに設けられた切欠段部112で変形させられて、環状部材4bが破砕されるようになっているので、スリーブ3をかしめる際に、かしめ面111とスリーブ本体31との間に全く介在するものがない。したがって、スリーブ本体31をかしめ面111に沿うように確実にかしめることができる。
【0039】
図12及び図13は、本発明にかかる圧縮かしめ管継手の第3の実施の形態をあらわしている。
図12及び図13に示すように、この圧縮かしめ管継手1cは、環状部材5が、以下のような構成を備えている以外は、上記第2の実施の形態の圧縮かしめ管継手1bと同様になっている。
【0040】
すなわち、環状部材5は、図12〜図16に示すように、同形同大に形成された10対のスリーブ本体支持部51と、10対のフランジ係止部52と、20対の脆弱部となる連結部53とを備えている。
各スリーブ本体支持部51は、図15に示すように、対となる2つの山形部51aと、脆弱部となる薄肉部51bと、ベース部51cと、を備えている。
【0041】
2つの山形部51aは、円弧状をした薄肉部51bを介して山形の中腹部で連結されている。
ベース部51cは、この山形部51aの底に沿うとともに、一部が山形部51aの底より他方の山形部51a側に設けられていて、その内周面(スリーブ本体31側の面)がスリーブ本体31の外径とほぼ同じか少し大きな径の円弧に形成されている。
そして、スリーブ本体支持部51は、隣接するスリーブ本体支持部51との間に同じ幅の隙間54を隔てた状態でその内周面が同一円周上に沿うようにサークル状に配置されている。
【0042】
各フランジ係止部52は、内周面が円形フランジ32の外径とほぼ同じか少し大きな円弧状をするとともに、円弧の内周面側に1つの係止爪52aを備えている。
そして、フランジ係止部52は、隣接するフランジ係止部52との間に同じ幅の隙間55を隔てた状態で、その内周面が同一円周上に沿うようにサークル状に配置されている。
【0043】
連結部53は、スリーブ本体支持部51の2つの山形部51aの頂部からフランジ係止部52方向に延出し、円形フランジ32の外周面に対面するように配置されるとともに、一方の山形部51aから延出する連結部53と、他方の山形部51aから延出する連結部53とが隙間55を挟んで異なるフランジ係止部52に連結されている。
そして、この連結状態で、係止爪52aがスリーブ本体支持部51とスリーブ本体支持部51との隙間54を臨む位置に配置されている。
【0044】
環状部材5は、上記のようになっており、各フランジ係止部52の係止爪52aが円形フランジ32の周縁に係止され、スリーブ本体支持部51のフランジ係止部52側の面が係止爪52aとの間で円形フランジ32の周縁部を両側から挟むように装着されている。
この圧縮かしめ管継手1cは、上記のようになっており、第2の実施の形態の圧縮かしめ管継手1bと同様のかしめ工具100を用いてスリーブ本体31がかしめられる。
【0045】
すなわち、圧縮かしめ管継手1cは、かしめ動作時に、10対のスリーブ本体支持部51が、かしめダイス110の厚み方向の端面に設けられた切欠段部112に臨む。そして、かしめ動作が開始されて、両かしめダイス110間の距離が縮まるにつれて、いずれかのスリーブ本体支持部51の山形部51aの頂点部分が切欠段部112の底部分にあたり、さらに、かしめダイス110間の距離が縮まると、10対のスリーブ本体支持部51からなるサークルが円形から、図6に示すようにかしめダイス110の移動方向に直交する方向に長軸を有する楕円形状に変形し、この変形によって楕円の長軸方向に位置するスリーブ本体支持部51の山形部51aと山形部51aとを連結する薄肉部51bに破断が生じる。また、切欠段部112の底付近では、スリーブ本体支持部51に円形フランジ32のエッジ部分を中心にしてスリーブ本体32側へ向かうモーメントが働くため、連結部53がせん断される。
【0046】
この圧縮かしめ管継手1cは、以上のように、かしめ動作によってスリーブ本体支持部51の山形部51aと山形部51aとを連結する薄肉部51bの破断が生じるとともに、連結部53がせん断されて、環状部材5が確実に破砕される。したがって、スリーブ3がかしめられている状態か否かを外見上容易に見分けることができる。
【0047】
図17は、本発明にかかる圧縮かしめ管継手の第4の実施の形態をあらわしている。
図17に示すように、この圧縮かしめ管継手1dは、環状部材6が、以下のような構成を備えている以外は、上記第2の実施の形態の圧縮かしめ管継手1bと同様になっている。
【0048】
すなわち、環状部材6は、図17〜図20に示すように、同形同大に形成された8対のスリーブ本体支持部61と、8対のフランジ係止部62と、16対の脆弱部となる連結部63とを備えている。
各スリーブ本体支持部61は、内周面がスリーブ本体31の外径とほぼ同じか少し大きな径の円弧状をしていて、略三角形をした2つの山形部61aが脆弱部となる下端部61bを介して連結された形状をしている。
そして、スリーブ本体支持部61は、隣接するスリーブ本体支持部61との間に同じ幅の隙間64を隔てた状態でその内周面が同一円周上に沿うようにサークル状に配置されている。
【0049】
各フランジ係止部62は、内周面が円形フランジ32の外径とほぼ同じか少し大きな円弧状をするとともに、円弧の内周面側に1つの係止爪62aを備えている。
そして、フランジ係止部62は、隣接するフランジ係止部62との間に同じ幅の隙間65を隔てた状態でその内周面が同一円周上に沿うようにサークル状に配置されている。
【0050】
連結部63は、スリーブ本体支持部61の2つの山形部61aの頂部からフランジ係止部62方向に延出し、円形フランジ32の外周面に対面するように配置されるとともに、一方の山形部61aから延出する連結部63と、他方の山形部61aから延出する連結部とが、隙間65を挟んで異なるフランジ係止部62に連結されている。
そして、この連結状態で、係止爪62aがスリーブ本体支持部61とスリーブ本体支持部61との隙間64を臨む位置に配置されている。
【0051】
環状部材6は、上記のようになっており、各フランジ係止部62の係止爪62aが円形フランジ32の周縁に係止され、スリーブ本体支持部61のフランジ係止部62側の面が係止爪62aとの間で円形フランジ32の周縁部を両側から挟むように装着されている。
【0052】
この圧縮かしめ管継手1dは、上記のようになっており、第2の実施の形態の圧縮かしめ管継手1bや第3の実施の形態の圧縮かしめ管継手1cと同様のかしめ工具100を用いてスリーブ本体31がかしめられる。
すなわち、圧縮かしめ管継手1dは、図示していないが、かしめ動作時に、8対のスリーブ本体支持部61が、かしめダイス110の厚み方向の端面に設けられた切欠段部112に臨む。そして、かしめ動作が開始されて、両かしめダイス110間の距離が縮まるにつれて、いずれかのスリーブ本体支持部61が、切欠段部112の底部分にあたり、さらにかしめダイス110間の距離が縮まると、8対のスリーブ本体支持部61からなる円形のサークルが、図6に示すように、かしめダイス110の移動方向に直交する方向に長軸を有する楕円形状に変形し、この変形によって楕円の長軸方向に位置するスリーブ本体支持部61の山形部61aと山形部61aとの境界部分である下端部61b部分が破断する。また、切欠段部112の底付近では、スリーブ本体支持部61に円形フランジ32のエッジ部分を中心にしてスリーブ本体32側へ向かうモーメントが働くため、連結部63がせん断される。
【0053】
この圧縮かしめ管継手1dは、以上のように、かしめ動作によってスリーブ本体支持部61の山形部61aと山形部61aとの境界部分である下端部61bが破断するとともに、連結部63がせん断される。したがって、環状部材6が、確実に破砕され、スリーブ3がかしめられている状態か否かを外見上容易に見分けることができる。
【0054】
本発明にかかる圧縮かしめ管継手は、上記の実施の形態に限定されない。例えば、上記の実施の形態では、係止爪によって環状部材の移動を防止していたが、部材本体の内周面に摩擦抵抗の大きい弾性突起等の弾接手段を設け、この弾接手段のスリーブ本体外周面への弾接によって環状部材の移動を防止するようにしても構わない。
また、上記の実施の形態では、ノズル部に止水パッキンが外嵌されていたが、接続される配管材が柔らかい材料で形成されている場合には、止水パッキンを無くし、配管材のノズル部周面に設けられた突条への喰い込みによって止水を図るようにしても構わない。
【0055】
上記第3及び第4の実施の形態では、全てのスリーブ本体支持部、フランジ係止部が同形同大に形成されていたが、隣接するスリーブ本体支持部間、あるいはフランジ係止部の形状や円弧部分の円周方向の長さが異なっていても構わない。
また、第3及び第4の実施の形態では、スリーブ本体支持部とスリーブ本体支持部との隙間及びフランジ係止部とフランジ係止部との隙間が等ピッチ及び等幅で形成されていたが、隙間も等ピッチでなくても構わない。
【符号の説明】
【0056】
1a,1b,1c,1d 圧縮かしめ管継手
2 継手本体
23 ノズル部
3 スリーブ
4a,4b,5,6 環状部材
41c 狭小部(脆弱部)
43c 薄肉部(脆弱部)
41,43 部材本体
42c,44b,52a,62a 係止爪(位置保持手段)
51,61 スリーブ本体支持部
52,62 フランジ係止部
53,63 連結部(脆弱部)
54,64 隙間
55,65 隙間
51a 薄肉部(脆弱部)
61b 下端部(脆弱部)
100 かしめ工具
110 かしめダイス
W 開き幅
P 配管材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管材の端部が外嵌されるノズル部を有する継手本体と、前記ノズル部の周囲を囲繞するように設けられ、かしめ工具によって縮径方向にかしめられて、前記ノズル部に外嵌された配管材の端部を、前記ノズル部との間で挟着するスリーブとを有する圧縮かしめ管継手において、
前記スリーブに外嵌され、スリーブのかしめ時に、かしめ動作によって破砕されてスリーブから離脱するかしめ確認用環状部材を備えていることを特徴とする圧縮かしめ管継手。
【請求項2】
かしめ工具に設けられた2つ割りのかしめダイスによってスリーブがかしめられるものであって、かしめ確認用環状部材には、かしめ時に他の部分より破砕されやすい脆弱部が、周方向に間欠的に設けられている請求項1に記載の圧縮かしめ管継手。
【請求項3】
前記脆弱部がスリーブの先端に外周方向に広がるように設けられたフランジを臨む位置に前記フランジの周方向に間欠的に設けられている請求項2に記載の圧縮かしめ管継手。
【請求項4】
かしめ動作によって、脆弱部が、前記フランジに当接してせん断される請求項3に記載の圧縮かしめ管継手。
【請求項5】
かしめ確認用環状部材が、かしめ時に2つのかしめダイスのダイスエッジ間で挟まれる位置に設けられている請求項2〜4のいずれかに記載の圧縮かしめ管継手。
【請求項6】
前記脆弱部が周方向に前記2つのかしめダイスの開き幅以下の間隔で設けられている請求項2〜5のいずれかに記載の圧縮かしめ管継手。
【請求項7】
かしめ確認用環状部材が、スリーブの軸方向の移動を防止する位置保持手段を備えている請求項1〜請求項6のいずれかに記載の圧縮かしめ管継手。
【請求項8】
位置保持手段が、スリーブの先端に外周方向に広がるように設けられたフランジに係止される係止爪である請求項7に記載の圧縮かしめ管継手。
【請求項1】
配管材の端部が外嵌されるノズル部を有する継手本体と、前記ノズル部の周囲を囲繞するように設けられ、かしめ工具によって縮径方向にかしめられて、前記ノズル部に外嵌された配管材の端部を、前記ノズル部との間で挟着するスリーブとを有する圧縮かしめ管継手において、
前記スリーブに外嵌され、スリーブのかしめ時に、かしめ動作によって破砕されてスリーブから離脱するかしめ確認用環状部材を備えていることを特徴とする圧縮かしめ管継手。
【請求項2】
かしめ工具に設けられた2つ割りのかしめダイスによってスリーブがかしめられるものであって、かしめ確認用環状部材には、かしめ時に他の部分より破砕されやすい脆弱部が、周方向に間欠的に設けられている請求項1に記載の圧縮かしめ管継手。
【請求項3】
前記脆弱部がスリーブの先端に外周方向に広がるように設けられたフランジを臨む位置に前記フランジの周方向に間欠的に設けられている請求項2に記載の圧縮かしめ管継手。
【請求項4】
かしめ動作によって、脆弱部が、前記フランジに当接してせん断される請求項3に記載の圧縮かしめ管継手。
【請求項5】
かしめ確認用環状部材が、かしめ時に2つのかしめダイスのダイスエッジ間で挟まれる位置に設けられている請求項2〜4のいずれかに記載の圧縮かしめ管継手。
【請求項6】
前記脆弱部が周方向に前記2つのかしめダイスの開き幅以下の間隔で設けられている請求項2〜5のいずれかに記載の圧縮かしめ管継手。
【請求項7】
かしめ確認用環状部材が、スリーブの軸方向の移動を防止する位置保持手段を備えている請求項1〜請求項6のいずれかに記載の圧縮かしめ管継手。
【請求項8】
位置保持手段が、スリーブの先端に外周方向に広がるように設けられたフランジに係止される係止爪である請求項7に記載の圧縮かしめ管継手。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2011−122648(P2011−122648A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−280377(P2009−280377)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
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