説明

圧縮性部材を含むカニューレ挿入デバイス、システム、および方法

組織を通してカニューレ(158)を挿入するための挿入デバイス(100)は、全般的に、内側シャフト(102)、内側シャフト(102)の遠位端部分(104)に結合された先端部材(108)、内側シャフト(102)上で摺動可能に受けられた中空の外側シャフト(120)、および内側シャフト(102)上で先端部材(108)と外側シャフト(120)の間に受けられた圧縮性部材(116)を備える。圧縮性部材(116)は、カニューレ(158)の管腔(160)内に受けられるように構成され、内側シャフト(102)は外側シャフト(120)に対して軸方向に沿って可動であり、圧縮性部材(116)を先端部材(108)と外側シャフト(120)の間で圧縮して、圧縮性部材(116)を全般的に半径方向に外側方向に拡張させる。圧縮性部材(116)の半径方向の拡張によって挿入デバイス(100)がカニューレ(158)に解放可能に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(相互参照)
本出願は、参照により開示の全体が本明細書に明確に組み込まれている、2007年8月28日に出願されたPCT出願第PCT/US07/76956号(係属中)の一部継続出願であり、2006年8月30日に出願された「Devices, Methods and Systems for Establishing Supplemental Blood Flow in the Circulatory System」という名称の米国仮特許出願第60/823,971号(係属中)の恩典を主張するものである。本出願は、全般的に、参照により全体が本明細書に明確に組み込まれている、「Devices, Methods and Systems for Establishing Supplemental Blood Flow in the Circulatory System」という名称の同じ日付で出願された同時係属中の米国特許出願第11/846,839号にも関する。
【0002】
本発明は、一般に、医療デバイスおよび方法に関し、より詳細には、患者の身体の組織を通してカニューレを挿入するためのデバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
心臓から血液を誘導して、患者の血液循環を助けるための様々なデバイスおよび方法が使用されてきた。これは、患者がうっ血性心不全を患っており、移植臓器をまだ受けていない場合、または患者が移植の対象に適していない場合に、望ましく、または必要とされることが多い。血液ポンプは、通常、心臓の左心室に直接取り付けられるが、少なくとも1つの血液ポンプシステムではポンプがペースメーカ式に皮下など遠隔に配置される。これに関しては、参照により開示が本明細書に完全に組み込まれている、特許文献1を参照されたい。この状況、または同様の状況では、カニューレを使用して流入導管を心臓(胸腔内部位)から「ペースメーカポケット」といわれる浅部(非胸腔)に配置されたポンプまで作成することができる。ペースメーカポケットは、通常、乳房に向かって下方に胸筋上に伸びる、鎖骨に概ね平行の鎖骨の下の外科的切開でアクセスされる部位である。ペースメーカポケットは時には筋肉下に作成される。カニューレが連結されるポンプは、ペースメーカポケット内に、好ましくは、限定的ではないが、胸の右側の部位に着座するものである。
【0004】
周知の、本発明に関連して使用可能な一般のカニューレ移植方法は、様々な手法を含むものであり、幾つかの代表的な手法を以下にさらに記載する。たとえば、カニューレを胸腔内に直接入れることによって移植することができる。外科的方法には、胸骨正中切開を行い、胸腔内で心臓を完全に露出する、いわゆる開心術が含まれる。他の外科的方法には、開胸術、小開胸術、胸腔鏡下手術、または任意の他の低侵襲的な手法など低侵襲性の外科的方法が含まれる。本明細書に記載するように、上記その他の外科的方法を使用して、カニューレを心臓の任意の所望の部位と流体連通状態になるように移植することができる。
【0005】
こうした移植方法および患者の胸の解剖学的構造に対応するには、流入カニューレがねじれることなく、できるだけ可撓性であることが非常に望ましい。しかし、この設計目的を制限する一考察は、カニューレが移植中に患者の心臓の所望の部位内に延びるように、十分剛性でなければならないことである。たとえば、カニューレを患者の心臓の左心房壁を通るように押し込んで、左心房と流体連通状態になるように配置することがある。拡張器、カニューレ自体、または他のデバイスで作成した心房壁の孔を通して、カニューレを挿入することもある。したがって、カニューレに心臓の壁を通って延びるのに十分な剛性を与え、移植後はカニューレの可撓性を損なわないデバイスおよび方法が望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,530,876号明細書
【特許文献2】米国特許第6,176,848号明細書
【特許文献3】米国特許第6,116,862号明細書
【特許文献4】米国特許第6,942,611号明細書
【特許文献5】米国特許第6,623,475号明細書
【特許文献6】独国特許第DE 10 2004 019 721.0号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、患者の身体の組織を通してカニューレを挿入するためのデバイスおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
カニューレを組織を通して挿入しやすくする挿入デバイスまたはトロカールを提供する。挿入デバイスは、全般的に、シャフト、およびシャフトに動作可能に結合された圧縮性部材を備える。シャフトはカニューレの管腔内に受けられるように構成され、圧縮性部材は軸方向に圧縮されると全般的に半径方向に外側方向に拡張するように構成される。そのため、圧縮性部材は、圧縮性部材がカニューレの管腔よりも小さい径方向寸法を有する最初の状態から、圧縮性部材がカニューレの管腔よりも大きい径方向寸法を有して、挿入デバイスをカニューレに解放可能に固定する圧縮された状態に可動である。たとえば、圧縮性部材は拡張されるとカニューレの内側壁と係合することができる。
【0009】
一態様または実施形態では、挿入デバイスはさらに、シャフトに動作可能に結合された第1の係合部材および第2の係合部材を含む。圧縮性部材は第1の係合部材と第2の係合部材の間に配置され、係合部材は互いに軸方向に可動であり、圧縮性部材を係合部材の間で圧縮する。
【0010】
他の態様または実施形態では、圧縮性部材は、遠位端部分および近位端部分を有する内側シャフト上に受けられる。先端部材が内側シャフトの遠位端部分に結合され、中空の外側シャフトが内側シャフト上で摺動可能に受けられて、圧縮性部材が中空の外側シャフトと先端部材の間に配置されるようにする。内側シャフトは中空の外側シャフトに対して軸方向に沿って可動であり、圧縮性部材を先端部材と中空の外側シャフトとの間で圧縮する。圧縮性部材は圧縮されると、全般的に半径方向に外側方向に拡張して、挿入デバイスをカニューレに解放可能に固定する。
【0011】
患者の心腔と患者の循環系の第1の部位との間の血流を増加させるシステムも提供する。このシステムは、入口および出口を有する血液ポンプと共に、上記の挿入デバイスおよびカニューレを含む。血液ポンプの出口は患者の循環系の第1の部位に連結されるように適合される。第1の部位は心腔以外の任意の部位でもよい。さらに、カニューレは、血液ポンプの入口に結合されるように構成された近位端部分、および心腔内に挿入されるように構成された遠位端部分を含む。挿入デバイスはカニューレの管腔内に受けられて、圧縮性部材を軸方向に圧縮して、全般的に半径方向に外側方向に拡張させ、それによって挿入デバイスをカニューレに解放可能に固定することができる。
【0012】
最後にカニューレを組織を通して挿入する方法も提供する。この方法は、全般的に、遠位連結部分を含む挿入デバイスをカニューレの管腔内に挿入する段階を含む。次いで、挿入デバイスに動作可能に結合された圧縮性部材を軸方向に圧縮して、圧縮性部材を全般的に半径方向に外側方向に拡張させる。この拡張によって、挿入デバイスの遠位連結部分がカニューレの遠位端部分に連結される。たとえば、圧縮性部材は拡張されると、カニューレの内側壁と係合することができる。次いで、カニューレの遠位端部分が組織を通して挿入される。方法は、カニューレを組織に固定する段階を含むこともできる。圧縮性部材を半径方向に収縮させて、挿入デバイスの遠位連結部分をカニューレの遠位端部分から解放した後に、挿入デバイスをカニューレから除去することができる。
【0013】
理解されるように、本発明による挿入デバイスは、患者の心臓の壁を画定する組織など、組織を通るように方向付けるために必要とされる剛性をカニューレに一時的に提供するものである。カニューレが心臓組織に固定され、関連する挿入デバイスが除去された後、患者の胸の解剖学的構造に対応するように必要に応じてカニューレを配置することができる。挿入デバイスが除去されるため、カニューレ自体の可撓性は損なわれない。
【0014】
添付の図面と併せた例示の実施形態の以下の詳細な記載の検討により、様々な他の特徴および態様がさらに分かりやすくなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】患者に移植された血液循環補助システムの一例を示す胸の解剖学的構造の概略図である。
【図2A】本発明の一実施形態による挿入デバイスを示す縦断面図である。
【図2B】本発明の一実施形態による挿入デバイスを示す縦断面図である。
【図3A】カニューレに解放可能に固定された図2Aおよび2Bの挿入デバイスの遠位端を示す拡大断面図である。
【図3B】カニューレに解放可能に固定された図2Aおよび2Bの挿入デバイスの遠位端を示す拡大断面図である。
【図4A】血液循環補助システムの流入カニューレを患者の心臓壁を通して挿入するのに使用される、本発明の他の実施形態による挿入デバイスの遠位端を示す縦断面図である。
【図4B】血液循環補助システムの流入カニューレを患者の心臓壁を通して挿入するのに使用される、本発明の他の実施形態による挿入デバイスの遠位端を示す縦断面図である。
【図4C】血液循環補助システムの流入カニューレを患者の心臓壁を通して挿入するのに使用される、本発明の他の実施形態による挿入デバイスの遠位端を示す縦断面図である。
【図5A】本発明の他の実施形態による挿入デバイスを示す縦断面図である。
【図5B】本発明の他の実施形態による挿入デバイスを示す縦断面図である。
【図5C】本発明の他の実施形態による挿入デバイスを示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、患者16の心臓14内の腔12と患者16の循環系の離れた部位との間の血流を増加させるためのシステム10の多くの可能な全体的な構成のうちの1つを示す。システム10およびシステム10の構成要素を、全体的にさらに以下に論じる外科的技法を含む任意の外科的方法で移植することができる。
【0017】
図1で示したように、システム10は、入口22および出口24を有する循環補助デバイス20を含む。循環補助デバイス20は、特許文献2、特許文献3、特許文献4、および特許文献5、または特許文献6に記載されたものの1つを含む、任意の適切な血液ポンプでもよい。流入カニューレ26は、循環補助デバイス20の入口22に結合された近位端部分28、および心臓14の壁18を通って腔12内に通過する遠位端部分30を含む。図1は左心房内に延びる流入カニューレ26を示しているが、心臓14の左側の任意の部位(たとえば左心房および/または左心室)内にアクセスして、酸素を豊富に含んだ血液にアクセスすることができる。
【0018】
流入カニューレ26はさらに1つまたは複数の固定要素34を含んで、遠位端部分30を壁18に固定することができる。流入カニューレ26の固定は、縫合糸(図示略)を、流入カニューレ26の周囲の壁18を通して巾着縫合式に使用し、または、1つあるいは複数の固定要素34の一部および壁18を通して使用することを含むこともできる。実際、流入カニューレ26を壁18に任意の適切な技法を使用して固定することができ、そのために流入カニューレ26に任意の構成または構成要素(たとえば固定要素)を設けることができる。代替技法および構成には、限定的ではないが、上記の米国仮特許出願第60/823,971号に記載されたものが含まれる。
【0019】
システム10は、循環補助デバイス20の出口24と浅動脈(superficial artery)42など動脈との間に連結される流出カニューレ40も含む。システム10が患者16の体内に移植された後、酸化血液が矢印44の方向に腔12(たとえば左心房)から流入カニューレ26を通って循環補助デバイス20まで流れる。循環補助デバイス20は、血液を流出カニューレ40内にポンピングして、血液が患者の動脈系に供給されるようにする。
【0020】
図2Aおよび2Bは、システム10で使用して、流入カニューレ26を組織を通して挿入しやすくすることができる挿入デバイス100の例示の実施形態を示す。たとえば、挿入デバイス100を使用して、流入カニューレ26を心臓14の壁18(図1)を画定する組織を通して左心房または他の腔内に挿入しやすくすることができる。挿入デバイス100は内側シャフト102を含む。内側シャフト102は中実または中空であり、遠位端部分104および近位端部分106を有する。以下にさらに詳細に記載するように、遠位端部分104に結合された先端部材108は尖頭端部110に向かって先細りになされ、挿入デバイス100が組織を通過しやすくする。先端部材108は内側シャフト102に固定される別個の構成要素でもよく、または内側シャフト102と一体に形成することもできる。たとえば、先端部材108を遠位端部分104の周囲に設けられたねじ山112との係合によって内側シャフト102に固定することができる。
【0021】
挿入デバイス100はさらに、全て内側シャフト102上に受けられる、圧縮性部材116、カラー118、および中空の外側シャフト120を含む。圧縮性部材116は、エラストマー材料から構築することができ、カラー118と先端部材108の間に配置される。一実施形態では、先端部材108、圧縮性部材116、およびカラー118は実質的に同じ、または同様の外径を有する。中空の外側シャフト120は、遠位端部分122および近位端部分124を含み、内側シャフト102に対して摺動するように構成される。カラー118の端部部分126を中空の外側シャフト120の遠位端部分122上で受けて、中空の外側シャフト120をカラー118と係合させることができる。そのため、カラー118を圧入または他の方法で中空の外側シャフト120に固定して、中空の外側シャフト120がなお内側シャフト102に対して摺動するように構成することができる。別法として、カラー118を中空の外側シャフト120と一体に形成し、または固定することなく中空の外側シャフト120と係合するように単純に構成することもできる。
【0022】
ハブ130は中空の外側シャフト120の近位端部分124に結合される。カラー118と同様に、ハブ130を中空の外側シャフト120上に固定し、または中空の外側シャフト120と一体に形成することができる。ハブ130は管腔132を含んで、内側シャフト102の近位端部分106を、近位端部分106と関連するハンドル部材134まで管腔132を通して延ばすことができる。以下に記載するように、ハンドル部材134は、ハンドル部材134を操作して、内側シャフト102を中空の外側シャフト120に対して軸方向136に沿って移動させるように構成される。
【0023】
当業者には理解されるように、多様なハンドル部材を使用して、内側シャフト102と中空の外側シャフト120を相対運動させることができる。しかし、図2Aおよび2Bで示したハンドル部材134は、全般的に、円板またはノブ138、円筒形隆起部140、およびハンドル部材134を通って延びる孔142を含む。内側ねじ山146を有する作動部材144が孔142内に受けられ、内側シャフト102の近位端部分106に設けられた外側ねじ山148と係合するように構成される。作動部材144は孔142内に圧入され、または他の方法でハンドル部材134に固定されて、ハンドル部材134と共に回転するように構成される。別法として、孔142に内側ねじ山(図示略)を設けて、作動部材144を画定することもできる。
【0024】
図2Bで示したように、ハンドル部材134が時計回りの方向150に回転されると、内側シャフト102がハンドル部材134に対して軸方向136に移動される。ハブ130はハンドル部材134と衝合し、中空の外側シャフト120の位置を保持して、やはり内側シャフト102が中空の外側シャフト120に対して移動するようにする。先端部材108が内側シャフト102と共に移動するときに、圧縮性部材116が先端部材108とカラー118の間で(矢印136で示した)軸方向に圧縮される。そのため、先端部材108およびカラー118はそれぞれ圧縮性部材を圧縮するための第1と第2の係合要素として働く。この圧縮によって、圧縮性部材116が矢印152で示したように全般的に半径方向に外側方向に拡張する。
【0025】
図3A〜3Bは、圧縮性部材116の軸方向の圧縮を用いて、挿入デバイス100をカニューレ158に解放可能に固定する方法を示す。先ず挿入デバイス100が、先端部材108がカニューレ158の遠位端162を超えて突き出るまで、カニューレ158の管腔160内に挿入される。次いで、挿入デバイス100を固定するため、ハンドル部材134(図2Aおよび2B)が回転されて、内側シャフト102を中空の外側シャフト120に対して移動させ、それによって圧縮性部材116を先端部材108とカラー118の間で圧縮する。内側シャフト102は、圧縮性部材116が全般的に半径方向に外側方向152(図2B)に十分拡張して、カニューレ158の管腔160を画定する内側壁164と摩擦係合するまで、軸方向136に移動される。以下にさらに詳細に記載するように、この摩擦係合でシールを形成して、挿入デバイス100が、血液の損失および/または空気が患者の血流内に侵入するのを防ぐようにすることができる。
【0026】
多数の設計考察を最適化して、圧縮性部材116とカニューレ158の間に比較的強い摩擦力を生成することができる。たとえば、圧縮性部材116によって加えられる半径方向の力、内側壁164と接触する表面積、ならびに、圧縮性部材116の幾何形状および材料が全てこの摩擦係合に影響を与える。圧縮性部材116が比較的厚く、加えられる摩擦力が、薄い膜または材料の層だけがカニューレ158と接触するバルーンまたは他の拡張可能な部材に関連する摩擦力よりも大きいことが有利である。挿入デバイス100を固定する摩擦力は、カニューレ158の遠位端162が剛直な場合は特に強い。
【0027】
次に、図4A〜4Cを参照し、挿入デバイス200を使用して、流入カニューレ180を組織を通して挿入する方法を記載する。図4A〜4Cで示した組織は心臓14の壁18を画定する組織であるが、この方法を心臓14と関連しない他の組織または臓器の壁に等しく適用することができる。
【0028】
挿入デバイス200は、図2A〜3Bで示した挿入デバイス100と実質的に同じである。したがって、同様の参照番号が図2A〜3Bで示した実施形態と同様の構造を指すために使用される。しかし、この実施形態では、内側シャフト102が中空であり、少なくとも部分的に内側シャフト102を通って延びる管腔204を含む。先端部材108も管腔206を含む。こうした構成により、挿入デバイス200を、管腔204、206を通って延びるガイドワイヤ208に沿って前進させることができる。
【0029】
管腔204は、内側シャフト102を完全に通って延びて、挿入デバイス200が前進されると、ガイドワイヤ208が近位端部分106から出るようにすることができる。しかし、理解されるように、別法として、ガイドワイヤ208は内側シャフト102上に設けられた側部開口部(図示略)から出ることもできる。さらに、ガイドワイヤ208が先端部材108だけを通過するように、挿入デバイス200を構成することもできる。カニューレ158を参照して上述したのと同じ方法で、ガイドワイヤ208を受ける前または後に、挿入デバイス200を流入カニューレ180に固定することができる。
【0030】
流入カニューレ180は、全般的に、主本体216、フレア先端部分218、およびフレア先端部分218から間隔をおいて配置されたリング部材220を含む。流入カニューレ26(図1)と同様に、流入カニューレ180はシステム10で使用することができるカニューレの単なる一例である。フレア先端部分218およびリング部材220は固定要素34(図1)と同様の機能を果たす。したがって、フレア先端部分218およびリング部材220を以下に簡単に記載したが、当業者には理解されるように、流入カニューレ180は他の構成を有し、かつ/または他の構成要素を含むことができる。
【0031】
挿入デバイス200および流入カニューレ180はガイドワイヤ208に沿って前進されるときに、心臓14の壁18に向けられる。先端部材108は、先ず壁18と接触し、その尖頭端部110のために拡張器として働く。換言すれば、先端部材108は壁18の開口部214を徐々に拡大して、開口部214が流入カニューレ180をさらに受け入れやすくなるようにする。
【0032】
図4Bで示したように、流入カニューレ180が壁18を通過するときに、フレア先端部分218は主本体216に向かって内向きに屈曲する。流入カニューレ180は、フレア先端部分218とリング部材220の両方が腔12内に位置付けられるまで、さらに前進される。腔12は左心房の腔でもよい。フレア先端部分218は、壁18を通過した後に、元の形状に広がって戻り、次いで流入カニューレ180を後退させて、リング部材220を開口部214を通して引き出す。流入カニューレ180が開口部214を通って挿入された結果生じた緩んだ組織をフレア先端部分218が捕獲し、リング部材220を後退させたときに、壁18に対するシールを形成することが有利である。
【0033】
図4Cで示したように、次いで巾着縫合糸224を使用して、壁18を流入カニューレ180の周囲でフレア先端部分218とリング部材220の間に固定する助けをする。やはり、こうした構成は流入カニューレを心房壁に固定する方法の単なる一例である。流入カニューレを挿入するための本明細書に記載した方法を多様な他のカニューレ、および心臓壁にこうしたカニューレを固定するための技法と共に使用することができる。したがって、当業者には理解されるように、この方法は上記の特定の流入カニューレおよび取付け技法に限定されない。たとえば、カニューレを心臓壁に固定するための他の技法が米国仮特許出願第60/823,971号に示され記載されている。
【0034】
流入カニューレ180が開口部214を取り囲む壁18の組織に固定された後、ハンドル部材134(図2Aおよび2B)を反対方向に回転させて、内側シャフト102を中空の外側シャフト120に対して元の位置に向かって戻るように移動させることができる。先端部材108が内側シャフト102と共に移動するときに、圧縮性部材116を軸方向に長く伸ばして、圧縮性部材116の径方向寸法を縮小または収縮することができる。最後に、圧縮性部材116が半径方向に収縮して最初の状態に戻り、挿入デバイス200を流入カニューレ180から解放する。こうすると、挿入デバイス200およびガイドワイヤ208を流入カニューレ180から除去することができる。
【0035】
したがって、挿入デバイス200は、心臓14の壁18を通して挿入中に、流入カニューレ180の少なくとも遠位部分に十分な剛性を一時的に与える。それによって、最適の可撓性を有するように流入カニューレ180を設計することができる。換言すれば、流入カニューレ180の可撓性を損ねて、流入カニューレ180が壁18の開口部214を通って延びることができるようにする必要がない。流入カニューレ180が壁18に取り付けられた後に、挿入デバイス200を除去することができるため、流入カニューレ180をなお患者の胸の解剖学的構造の周囲で望み通りに操作することができる。
【0036】
心臓14の壁18に至る最初の経路を確立するのにガイドワイヤ208が不要の場合、挿入デバイス100(図3Aおよび3B)を挿入デバイス200の代わりに使用して、流入カニューレ180を壁18を通して挿入することができる。挿入デバイス100は、挿入デバイス200と実質的に同様であるが、ガイドワイヤ208を収容するための管腔204および管腔206を含まない。その結果、圧縮性部材116が軸方向136に圧縮されて、半径方向に拡張し、挿入デバイス100を流入カニューレ180に固定したときに、圧縮性部材116は挿入デバイス100と流入カニューレ180の間にシールを形成することができる。このシールは血液の損失および/または空気の血液への侵入を有利に防止する。
【0037】
たとえば、先端部材108を壁18に押し付けて、開口部214を形成し、拡張した後に、心臓14内の圧力によって血液が流入カニューレ180を通って心臓14から出ようとすることがある。高血圧の患者は、流入カニューレ180を通るこうした血液の損失を特に受けやすい。しかし、挿入デバイス100と流入カニューレ180の間にシールを形成することによって、流入カニューレ180が開口部214を取り囲む壁18の組織に(巾着縫合224などの形成によって)固定されたままで、圧縮性部材116がこの血液損失を防止する。
【0038】
流入カニューレ180が壁18に固定された後、ハンドル部材134を操作して、圧縮性部材116を最初の距離に軸方向に長く伸ばすことができる。最初の距離は、圧縮性部材116によって流入カニューレ180に加えられる半径方向の力が低減されるように十分長く、流入カニューレ180とのシールが維持されるように十分小さいものである。たとえば、外科医が挿入デバイス100を流入カニューレ180に対して摺動させることができるようになるまで、圧縮性部材116によって加えられる半径方向の力を低減することができる。挿入デバイス100を流入カニューレ180を通して引き戻すことができ、流入カニューレ180は心臓14の壁18に固定されたままである。圧縮性部材116は、この相対運動中にまだ挿入デバイス100と流入カニューレ180の間にシールを形成することができるため、挿入デバイス100は空気を除去するピストンのように機能することができる。具体的には、挿入デバイス100は、引き出されるときに真空を生成して、血液を心臓14から流入カニューレ180内に吸い込むことができる。血液が、前に流入カニューレ180内に存在した空気と置換される。
【0039】
挿入デバイス100が流入カニューレ180の第1の部分を通って引き出されて、第1の部分に血液を充填した後、まだ挿入デバイス100が存在する流入カニューレ180の第2の部分から第1の部分をクランプし、または他の方法でシールすることができる。次に、挿入デバイス100を流入カニューレ180から完全に除去することができる。所望の場合は、先ずハンドル部材134を操作して、圧縮性部材116を軸方向に追加の距離だけ長くして、流入カニューレ180に加えられる半径方向の力をさらに低減することができる。流入カニューレ180の第1の部分はクランプまたはシールされているため、挿入デバイス100と流入カニューレ180の間のシールが維持されなくなるまで圧縮性部材116をさらに長くすることができる。それによって、挿入デバイス100を通してさらに容易に引き出し、流入カニューレ180から除去することができる。
【0040】
挿入デバイス100を除去した後、流入カニューレ180をシステム10(図1)の他の構成要素に連結することができる。たとえば、流入カニューレを次いで循環補助デバイス20の入口22に連結することができる。この連結が血液損失に対してシールされた後に、流入カニューレ180の第1の部分をシールするクランプまたは他の構造を解放することができる。
【0041】
図5A〜5Cは、代替実施形態による挿入デバイス300を示す。やはり、挿入デバイス300は挿入デバイス100、200と実質的に同様であり、同じ参照番号が挿入デバイス100、200と同様の構造を指すために使用される。この実施形態では、挿入デバイス300は、継手部分304、および継手部分304から延びるトグルまたはレバー部分306を有するハンドル部材302を含む。継手部分304は、円または実質的に円形の断面形状を有する外面308を含み、ハブ130は継手部分304の外面308と全般的に一致するように形付けられた後面312を含む。こうした構成により、ハンドル部材302がハブ130および中空の外側シャフト120に対して軸314の周りで回転することができる。
【0042】
ハンドル部材302はハンドル部材302を、少なくとも部分的に通って延びる偏心ボルト320をさらに含む。換言すれば、ボルト320の中心は軸314からオフセットされる。ボルト320は楕円形の断面構成を有し、オフセット構成であるが、軸314と重なる部分322を含む。
【0043】
内側シャフト102の近位端部分106に結合されたタブまたは突起326は、ハンドル部材302が回転するときにボルト320と接触するように構成される。たとえば、図5Aは最初の位置にある挿入デバイス300を示しており、ハンドル部材302のトグル306は内側シャフト102に対して概ね90°の角度が付けられ、圧縮性部材116は非圧縮状態であり、タブ326はボルト320と接触し、軸314から第1の距離だけ離れるように位置付けられる。圧縮性部材116を先端部材108とカラー118の間で圧縮するには、ハンドル部材302を方向328に回転させる。ハンドル部材302が回転するときに、ボルト320の偏心構成によって、ボルト320がタブ326を軸314から軸方向330にさらに離れるように移動させる。したがって、トグル306が約180°回転される(図5C)ときには、タブ326が軸314から第2の距離だけ離れるように位置付けられる(第2の距離は第1の距離よりも長い)。
【0044】
内側シャフト102は軸方向330にタブ326に沿って移動し、ハンドル部材302はハブ130および中空の外側シャフト120を実質的に同じ位置に保持する。その結果、内側シャフト102が中空の外側シャフト120に対して移動して、圧縮性部材116を先端部材108とカラー118の間で圧縮する。圧縮性部材116は、挿入デバイス100および200を参照して上述したのと同じ方法で、矢印330で示した軸方向に圧縮されると、矢印332で示したように全般的に半径方向に外側方向に拡張する。したがって、図3A〜4Cおよびその記載を参照して、挿入デバイス300をカニューレに解放可能に固定して、カニューレを心臓壁を通して挿入しやすくする方法を理解することができる。
【0045】
カニューレを解放するには、ハンドル部材302を元の位置に単に回転させて戻せばよい。それによって、圧縮性部材116が非圧縮形状に半径方向に収縮することができ、先端部材108が中空の外側シャフト120およびカラー118から離れるように移動される。その結果、内側シャフト102が中空の外側シャフト120、ハブ130、およびハンドル部材302に対して移動し、タブ326がボルト320と接触したままになされる。図5A〜5Cで示していないが、理解されるように、挿入デバイス300の上記の操作により、組織を通って移動中に挿入デバイス300が剛性になるために、挿入デバイス300をカニューレの遠位端に一時的に取り付けることができるようになる。
【0046】
挿入デバイス100、200、または300を使用して流入カニューレ180および他のカニューレを多様な外科的手法で容易に移植することができるため、流入カニューレ180の外科的移植に関連する他の態様は詳細に記載しない。こうした外科的手法の非限定的な例を以下に簡潔に記載する。
【0047】
胸骨切開術 この手法は、心臓、特に左心房への完全なアクセスを可能にし、血液流入カニューレを心臓に取り付けることができる幾つかの異なる部位へのアクセスを可能にする。しかし、この手法は侵襲性が非常に高いため、外科医には、低侵襲的な体内移植の手法がより望ましい。
【0048】
開胸術 この外科的手法では、比較的上方および尾側に開胸術によりアクセスして、流入カニューレを左心房のカニューレを固定する位置に送る。心房のこの部位は、心房の壁がこの部位で平滑であり、比較的大きく、カニューレの先端部を心房内の他の構造から離すことができるために、特に有益である。
【0049】
他の適した外科的方法では、比較的横方向に開胸術によりアクセスして、血液流入カニューレを左心房に送り、血液流入カニューレを心房中隔付近の後内側壁上の部位に固定する。この部位は「Watersonの溝」と呼ばれることが多く、僧帽弁修復手術を行う際に左心房切開を行う一般的な部位である。Watersonの溝は、上大静脈と左心房の左肺静脈の間で終端する。
【0050】
胸腔鏡下手術 この外科的方法では、管状トロカールを使用して、胸腔内部位(たとえばWatersonの溝)にアクセスし、そこにカニューレを心臓壁を通して固定する点で、血液流入カニューレを上記と同様の部位に移植することができる。この最小侵襲的または低侵襲的な外科的方法では、手術全体がこうした比較的小さい管状トロカールによって行われるため、患者の胸の開口の大きさが最小限に抑えられる。通常、追加の小さい孔を作成して、主な送出用トロカールと共に使用されるトロカールを送り、内視鏡カメラ、および、把持、切断、縫合、焼灼、または他の操作を組織に行うための特殊な外科ツールを配置することができるようにする。主なトロカールを通して、流入カニューレを開放外科手術技法と同じ部位(すなわちWatersonの溝)に、胸壁を横切る低侵襲的なアクセスで送ることができる。
【0051】
オーバーザワイヤ(セルディンガー)技法 セルディンガー技法の変形を上記の様々な外科的移植手法で使用することができ、カニューレシステムを特別に適合させて、この移植技法を容易にすることができる。セルディンガー技法は、通常、血管への経皮的アクセスに関連するものであるが、特別に適合されたカニューレ導入システムを使用する技法の適合バージョンは、心臓自体に直接アクセスする外科的移植に非常に好ましい手法である。その場合、たとえば、針を心臓壁を通して挿入して、心房切開を行い、次いでガイドワイヤをその針を通して配置することができる。針を除去した後に、出血を制御し、最小限に抑え、その中に特殊な挿入デバイスを有するカニューレシステムをワイヤ上で導入し、それによって、外科的手法でも、いわゆるセルディンガー技法の多くの利点を維持することができる。
【0052】
本発明を本発明の1つまたは複数の実施形態の記載で示し、実施形態をかなり詳細に記載したが、それらは添付の特許請求の範囲をこうした詳細に決して制限または限定するものではない。当業者は追加の利点および変更を容易に思いつくであろう。たとえば、別法として、本明細書に開示した挿入デバイスを使用して、カニューレを、腎臓、または他の臓器、あるいは体腔(図示略)の壁を通して挿入することもできる。さらに、図5A〜5Cのボルト320は、楕円形の代わりに円形または任意の他の所望の断面形状を有することができる。したがって本発明は、本発明の広範な態様で、図で示し記載した特定の詳細、代表的な装置、および方法、ならびに説明の例に限定されるものではない。本発明の様々な特徴をユーザの必要および好みによって単独または任意の組合せで使用することができる。したがって、全般的な発明の概念の範囲または精神から逸脱することなく、こうした詳細から離れることができる。
【符号の説明】
【0053】
10 血液循環補助システム
12 腔
14 心臓
16 患者
18 壁
20 循環補助デバイス
22 入口
24 出口
26、180 流入カニューレ
28 近位端部分
30 遠位端部分
34 固定要素
40 流出カニューレ
42 浅動脈
100、200、300 挿入デバイス
102 内側シャフト
104 (内側シャフトの)遠位端部分
106 (内側シャフトの)近位端部分
108 先端部材
110 尖頭端部
112 ねじ山
116 圧縮性部材
118 カラー
120 中空の外側シャフト
122 (外側シャフトの)遠位端部分
124 (外側シャフトの)近位端部分
126 (カラーの)端部部分126
130 ハブ
132 (ハブの)管腔
134、302 ハンドル部材
138 円板またはノブ
140 円筒形隆起部
142 孔
144 作動部材
146 内側ねじ山
148 外側ねじ山
158 カニューレ
160 (カニューレの)管腔
162 (カニューレの)遠位端
164 内側壁
204 (内側シャフトの)管腔204
206 (先端部材の)管腔
208 ガイドワイヤ
214 開口部
216 主本体
218 フレア先端部分
220 リング部材
224 巾着縫合糸
304 継手部分
306 トグルまたはレバー部分
308 外面
312 後面
314 軸
320 ボルト
326 タブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管腔を有するカニューレを組織を通して挿入するための挿入デバイスであって、
前記カニューレの前記管腔内に受けられるように構成されたシャフトと、
前記シャフトに動作可能に結合され、軸方向に圧縮されると全般的に半径方向に外側方向に拡張するように構成された圧縮性部材とを備え、
前記圧縮性部材は、前記圧縮性部材が前記カニューレの前記管腔よりも小さい径方向寸法を有する最初の状態から、前記圧縮性部材が前記カニューレの前記管腔よりも大きい径方向寸法を有する前記挿入デバイスを前記カニューレに解放可能に固定する圧縮された状態へと可動である、挿入デバイス。
【請求項2】
前記圧縮性部材が前記シャフト上で受けられる、請求項1に記載の挿入デバイス。
【請求項3】
前記シャフトに動作可能に結合された第1の係合部材と、
前記シャフトに動作可能に結合された第2の係合部材であって、前記圧縮性部材が前記第1の係合部材と第2の係合部材の間に位置付けられた第2の係合部材と、をさらに具備し
前記第1の係合部材が前記第2の係合部材に対して軸方向に可動であり、前記圧縮性部材を前記第1の係合部材と前記第2の係合部材の間で圧縮する、請求項1に記載の挿入デバイス。
【請求項4】
管腔を有するカニューレと、
挿入デバイスであって、
(a)前記カニューレの前記管腔内に受けられるように構成されたシャフトと、
(b)前記シャフトに動作可能に結合され、軸方向に圧縮されると全般的に半径方向に外側方向に拡張するように構成された圧縮性部材を含んだ挿入デバイスと、を備え、
前記圧縮性部材が、前記圧縮性部材が前記カニューレの前記管腔よりも小さい径方向寸法を有する最初の状態から、前記圧縮性部材が前記カニューレの前記管腔よりも大きい径方向寸法を有する前記挿入デバイスを前記カニューレに解放可能に固定する圧縮された状態へと可動である、カニューレアセンブリ。
【請求項5】
前記カニューレは内側壁を有し、前記圧縮性部材が全般的に半径方向に外側方向に拡張されたときに前記内側壁と係合するように構成されている、請求項4に記載のカニューレアセンブリ。
【請求項6】
管腔を有するカニューレを組織を通して挿入するための挿入デバイスであって、
遠位端部分および近位端部分を有する内側シャフトと、
前記内側シャフトの前記遠位端部分に結合された先端部材と、
前記内側シャフト上で摺動可能に受けられる中空の外側シャフトと、
前記内側シャフト上で前記先端部材と前記外側シャフトの間に受けられる圧縮性部材であって、前記圧縮性部材は前記カニューレの前記管腔内に受けられるように構成された圧縮性部材と、を具備し、
前記内側シャフトが前記中空の外側シャフトに対して軸方向に沿って可動であり、前記圧縮性部材を前記先端部材と前記中空の外側シャフトの間で圧縮し、前記圧縮性部材が圧縮されると全般的に半径方向に外側方向に拡張して前記挿入デバイスを前記カニューレに解放可能に固定するように構成されている、挿入デバイス。
【請求項7】
前記圧縮性部材がエラストマー材料からなる、請求項6に記載の挿入デバイス。
【請求項8】
前記内側シャフト上で前記中空の外側シャフトと前記圧縮性部材の間に受けられるカラーをさらに備え、
前記内側シャフトが前記中空の外側シャフトに対して移動すると、前記中空の外側シャフトが前記カラーと係合して、前記圧縮性部材が前記カラーと前記先端部材の間で圧縮される、請求項6に記載の挿入デバイス。
【請求項9】
前記内側シャフトが前記内側シャフトを通って少なくとも部分的に延びてガイドワイヤを受ける管腔を含み、前記挿入デバイスを前記ガイドワイヤに沿って前記組織に向けることができる、請求項6に記載の挿入デバイス。
【請求項10】
前記内側シャフトの前記近位端部分と関連し、前記内側シャフトを軸方向に沿って前記中空の外側シャフトに対して移動させるように操作されるように構成されたハンドル部材をさらに備えている、請求項6に記載の挿入デバイス。
【請求項11】
前記中空の外側シャフトが遠位端部分および近位端部分を含み、前記挿入デバイスがさらに、
前記中空の外側シャフトの前記近位端部分に結合され、前記ハンドル部材の一部と連結するように構成されたハブを備え、前記ハブが管腔を含んで、前記内側シャフトの前記近位端部分が前記管腔を通って前記ハンドル部材まで延びることができる、請求項10に記載の挿入デバイス。
【請求項12】
前記ハンドル部材が内側ねじ山を有する作動部材を含み、前記内側シャフトの前記近位端部分が外側ねじ山を含み、前記ハンドル部材が前記内側シャフトの前記近位端部分上に受けられて、前記内側ねじ山が前記外側ねじ山と係合する、請求項10に記載の挿入デバイス。
【請求項13】
前記ハンドル部材が前記軸方向に対して実質的に垂直の軸の周りで回転され、前記挿入デバイスが、
前記内側シャフトに結合されたボルトをさらに備え、前記ボルトが前記ハンドル部材の前記回転軸からオフセットされ、
前記ハンドル部材が回転されると前記ボルトおよび前記内側シャフトを前記軸方向に沿って移動させるように構成されている、請求項10に記載の挿入デバイス。
【請求項14】
前記ハンドル部材が約180°の回転範囲を有する、請求項13に記載の挿入デバイス。
【請求項15】
前記先端部材が前記シャフトと一体である、請求項6に記載の挿入デバイス。
【請求項16】
前記内側シャフトの前記遠位端部分が外側ねじ山を含み、前記先端部材が内側ねじ山を含み、前記先端部材が前記内側シャフトの前記遠位端部分上に受けられて、前記内側ねじ山が前記外側ねじ山と係合する、請求項6に記載の挿入デバイス。
【請求項17】
前記カニューレが内側壁を有し、前記圧縮性部材が全般的に半径方向に外側方向に拡張されると前記内側壁と係合するように構成される、請求項6に記載の挿入デバイス。
【請求項18】
患者の心腔と前記腔から離れた前記患者の循環系の第1の部位との間の血流を増加させるシステムであって、
入口と出口とを有し、前記出口が前記患者の前記循環系の前記第1の部位に連結されるように適合された血液ポンプと、
管腔、前記血液ポンプの前記入口に結合されるように構成された近位端部分、および前記心腔内に挿入されるように構成された遠位端部分を有するカニューレと、
前記カニューレの前記管腔内に受けられるように構成された挿入デバイスと、を具備し、
前記挿入デバイスが、
(a)遠位部分および近位部分を有する内側シャフト、
(b)前記内側シャフトの前記遠位端部分に結合された先端部材、
(c)前記内側シャフト上に摺動可能に受けられる中空の外側シャフト、および
(d)前記内側シャフト上で前記先端部材と前記中空の外側シャフトの間に受けられる圧縮性部材を備え、
前記挿入デバイスの前記内側シャフトが前記中空の外側シャフトに対して軸方向に沿って可動であり、前記圧縮性部材を前記先端部材と前記中空の外側シャフトの間で圧縮し、前記圧縮性部材が圧縮されると全般的に半径方向に外側方向に拡張して前記挿入デバイスを前記カニューレに解放可能に固定するように構成されているシステム。
【請求項19】
前記圧縮性部材がエラストマー材料からなる、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記挿入デバイスが、
前記内側シャフトの前記近位端部分と関連し、前記内側シャフトを前記軸方向に沿って前記中空の外側シャフトに対して移動させるように操作されるように構成されたハンドル部材をさらに備えている、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
患者の心腔と前記患者の循環系の第1の部位との間の血流を増加させるシステムであって、
入口と出口とを有し、前記出口が前記患者の前記循環系の前記第1の部位に連結されるように適合された血液ポンプと、
管腔、前記血液ポンプの前記入口に結合されるように構成された近位端部分、および前記心腔内に挿入されるように構成された遠位端部分を有するカニューレと、
前記カニューレの前記管腔内に受けられるように構成された挿入デバイスと、を具備し、
前記挿入デバイスが、軸方向に圧縮されると全般的に半径方向に外側方向に拡張するように構成された圧縮性部材を含み、
前記圧縮性部材が、前記圧縮性部材が前記カニューレの前記管腔よりも小さい径方向寸法を有する最初の状態から、前記圧縮性部材が前記カニューレの前記管腔よりも大きい径方向寸法を有する前記挿入デバイスを前記カニューレに解放可能に固定する圧縮された状態へと可動であるシステム。
【請求項22】
前記圧縮性部材が最初の状態では前記軸方向に圧縮されない、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記圧縮性部材がエラストマー材料からなる、請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
前記挿入デバイスが、前記圧縮性部材を前記最初の状態から前記圧縮された状態に移動させるように操作されるように構成されたハンドル部材をさらに含んでいる、請求項21に記載のシステム。
【請求項25】
カニューレを組織を通して挿入する方法であって、前記カニューレが管腔および遠位端部分を含み、前記方法が、
遠位連結部分を含む挿入デバイスを前記カニューレの前記管腔内に挿入する段階と、
前記挿入デバイスの前記遠位連結部分に動作可能に結合された圧縮性部材を軸方向に圧縮して、前記圧縮性部材を全般的に半径方向に外側方向に拡張させることによって前記挿入デバイスの前記遠位連結部分を前記カニューレの前記遠位端部分に連結させる段階と、
前記カニューレの前記遠位端部分を前記組織を通して挿入する段階と、を含んでいる方法。
【請求項26】
前記組織が心腔の壁を画定し、前記カニューレの前記遠位端部分を前記組織を通して挿入する段階が前記カニューレの前記遠位端部分を前記心腔内に挿入する段階を含んでいる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記カニューレを前記組織に固定する段階、
前記圧縮性部材を半径方向に収縮させて、前記挿入デバイスの前記遠位連結部分を前記カニューレの前記遠位端部分から解放する段階、および
前記挿入デバイスを前記カニューレから除去する段階さらに含んでいる、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記挿入デバイスが、前記遠位連結部分を含む内側シャフト、前記内側シャフトの前記遠位連結部分に結合された先端部材、および前記内側シャフト上で摺動可能に受けられる中空の外側シャフトを有し、前記圧縮性部材が前記内側シャフト上で前記中空の外側シャフトと前記先端部材の間に受けられ、
前記圧縮性部材を圧縮する段階が、前記内側シャフトを前記中空の外側シャフトに対して前記軸方向に沿って移動させて、前記圧縮性部材が前記中空の外側シャフトと前記先端部材の間で圧縮される段階をさらに含んでいる、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記内側シャフトを前記中空の外側シャフトに対して移動させる段階が、前記内側シャフトと関連するハンドル部材を操作する段階をさらに含んでいる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記圧縮性部材を圧縮する段階によって、前記圧縮性部材が半径方向の力を前記カニューレに加え、前記挿入デバイスと前記カニューレの間にシールを形成し、前記方法が、
前記圧縮性部材を最初の量だけ半径方向に収縮させて、前記圧縮性部材によって前記カニューレに加えられた半径方向の力を低減し、前記カニューレが前記最初の量だけ半径方向に収縮したときに、前記圧縮性部材が前記挿入デバイスと前記カニューレの間のシールを維持する段階と、
前記挿入デバイスを前記カニューレの前記管腔を通して少なくとも部分的に後退させる段階と、をさらに含んでいる、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記挿入デバイスを後退させる段階によって、空気を第1の部分のカニューレから除去し、血液を前記第1の部分内に吸い込み、前記方法が、
前記カニューレの前記第1の部分と前記カニューレの第2の部分の間にシールを形成し、前記第2の部分が前記挿入デバイスの前記遠位連結部分によって少なくとも部分的に占領される段階と、
前記挿入デバイスを前記カニューレから除去する段階と、をさらに含んでいる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記挿入デバイスを前記カニューレから除去する前に、前記圧縮性部材を追加の量だけ半径方向に収縮させて、前記遠位連結部分を前記カニューレの前記第2の部分から解放する段階をさらに含んでいる、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記カニューレを血液ポンプの入口に結合する段階と、
前記カニューレの前記第1の部分と第2の部分の間に形成されたシールを解除する段階と、をさらに含んでいる、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
カニューレを組織を通して挿入する方法であって、前記カニューレが管腔および遠位端部分を含み、前記方法が、
遠位連結部分を含んだ挿入デバイスを前記カニューレの前記管腔内に挿入する段階と、
前記挿入デバイスの一部を半径方向に外側方向に拡張させて、前記挿入デバイスと前記カニューレの間にシールを形成し、前記挿入デバイスの前記遠位連結部分と前記カニューレの前記遠位端部分を連結する段階と、
前記カニューレの前記遠位端部分を前記組織を通して挿入する段階と、
前記拡張した部分を最初の量だけ半径方向に収縮させ、最初の量だけ半径方向に収縮したときに、前記拡張した部分が前記挿入デバイスと前記カニューレの間にシールを維持する段階と、
前記挿入デバイスを前記カニューレの前記管腔を通して少なくとも部分的に後退させる段階と、を含んでいる方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【公表番号】特表2010−537725(P2010−537725A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−523012(P2010−523012)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【国際出願番号】PCT/US2008/071922
【国際公開番号】WO2009/029387
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(508226322)サーキュライト・インコーポレーテッド (17)
【Fターム(参考)】