説明

圧縮成型製剤

【課題】 特殊な技術を必要とせず、通常の製造工程によりながら、より少ない添加剤量によって、口腔内で速やかに崩壊する錠剤を製造する技術を提供すること。
【解決手段】 崩壊剤と2種類以上のケイ酸類を含有した圧縮成型製剤およびケイ酸類の少なくとも1種類を付着させた崩壊剤と、別の種類のケイ酸類を含有する圧縮成型製剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圧縮成型製剤に関し、更に詳細には、少量で、且つ簡易に処理した添加剤を用い、速やかに崩壊するように設計された圧縮成型製剤に関し、特にこの技術を利用して、口腔内で速やかに崩壊する口腔内速崩錠等として使用される圧縮成型製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品の製剤設計にあたり、有効成分をそのまま使用する事はまれであり、通常、薬効を示さない物質である添加剤を用いて医薬品の製造を実施している。そして、これらの添加剤を組み合わせて設計者の意図する製剤の設計がなされる。
【0003】
ところで、通常医薬品としては、携帯や保存の簡便さ、服用の容易性などから、経口固形製剤が汎用されている。このような経口固形製剤に使用される添加剤のうち、崩壊剤は内服固形製剤の崩壊を助ける働きのある添加剤である。経口投与された内服固形剤は、通常、消化管で有効成分を放出し、これが生体内に吸収される。そのため、消化管で内服固形製剤がどのような形態にあるかは非常に重要である。通常、固形製剤に含まれる薬効成分は、製剤の崩壊、分散、溶解の過程を経て消化管で吸収される。従って、固形製剤が崩壊するか否かは固形経口医薬品が薬効を示すか否かという点で非常に重要な要素であり、その崩壊を左右する崩壊剤の存在は製剤設計上、非常に重要である。また、クオリティ・オブ・ライフ(Quality of Life)の向上を目指して、昨今では水なしで服用可能な錠剤も開発されている。これらの錠剤は口腔内で速やかに崩壊させることが重要な要素である。従って、崩壊能力の高い添加剤の組み合わせはこのような分野でも非常に重要である。
【0004】
例えば、上記のような錠剤等の口腔内崩壊性の固形製剤の製造方法として、粒子表面が湿潤する程度の水分を含む混合物を打錠する口腔内崩壊錠の製造方法(特許文献1)や、非晶質糖類を主体とし、低圧で圧縮成型した後、錠剤を加湿下に置いて湿潤させ、更に乾燥することにより得られる口腔内崩壊錠の製造方法(特許文献2及び特許文献3)が知られている。
【0005】
上記した従来技術では、水性溶媒中での速やかな崩壊性や、携帯に必要な硬度が一応保たれた製剤が得られるものの、いずれも製造工程中における水分取扱、高湿度下での放置を必要とするなど、使用する薬効成分(生理活性成分)との関係で、安定性に問題を来す可能性があり、また、製造工程管理の点から、必ずしも満足できるものではなかった。
【0006】
これらの問題を解消するために、糖アルコールにメタケイ酸アルミン酸マグネシウムをコーティングした顆粒を用いた口腔内速崩錠(特許文献4)や、一定条件のもと、生理活性物質、糖アルコール、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを組み合わせた口腔内速崩錠(特許文献5)が知られており、これらの技術を用いると、製造工程中における水分取扱、高湿度下での放置等、特殊な製造を必要とせず、既存の設備で口腔内速崩錠を設計することができる。
【0007】
しかし、マンニトールをはじめとする糖アルコールは圧縮成形性が悪く、良好な錠剤強度が得られないという問題があった。また、これらの技術は口腔内での速崩を担保するために口腔内速崩に係わる添加剤を錠剤中に50%以上含まなければならないという問題があった。
【0008】
また、経口固形製剤の中には有効成分を多量に含まないと期待した薬効を示さないものもあるが、このような医薬品の場合にも崩壊能力は要求される。このような医薬品について崩壊能力を高めるために、崩壊剤を増量する方法も考えられるが、この方法を用いると一回あたりの製剤単位としての服用量が多くなり結果的に服用性が悪くなる。そして、服用性の改善は、クオリティ・オブ・ライフの観点より非常に重要であるため。崩壊剤を含めた添加剤を極力減らし固形剤の質量や、体積量を減らすことが重要になるが、崩壊能力が低下することは薬効効果を発揮する上では大きな問題となり、服用性と崩壊性の両立を図ることが求められている。
【0009】
更に、最近では難溶性薬物の可溶化のためにヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンのような高分子化合物と固体分散体を作成することもある。このような高分子化合物は崩壊を抑制する働きがある。このような固体分散体を使用した経口固形製剤を製造する場合には今まで以上に強力な崩壊能力を有する添加剤が必要になる。
【0010】
更にいえば、クオリティ・オブ・ライフの観点からは、不快な味を有する有効成分について何らかの添加剤を用いて味をマスキングすることが要求されており、また、有効成分を時限的に若しくは持続的に放出させるために特殊な添加剤を使用した製剤技術を用いることもしばしば要求される。更には、安定性を担保する目的で各種添加剤を使用することもしばしば見受けられることである。
【0011】
このように、有効成分を目的に合った形で製剤化するためには何らかの添加剤が必要になる結果、製剤占める添加剤が多くなり、結果的に製剤が大きくなり、運搬、服用時に不便であることが問題になっている。
【0012】
【特許文献1】特開平5−271054号
【特許文献2】特開平11−12162号
【特許文献3】特開平11−349475号
【特許文献4】特開2002−308760号
【特許文献5】特開2000−103731号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、特殊な技術を必要とせず、通常の製造工程によりながら、より少ない添加剤量によって、口腔内で速やかに崩壊する錠剤を製造する技術の開発が求められており、本発明は、このような技術の提供をその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、崩壊剤と2種以上のケイ酸類の混合物を添加物として使用することにより、速やかな崩壊性を有し、且つ、崩壊成分が比較的少量である圧縮成型製剤を得ることができることを見いだした。更には、薬効成分の粒子径を一定以上とすることにより、口腔内崩壊時の口当たりが良く、且つ、崩壊成分の添加量が少ない圧縮成型製剤が得られることを見いだした。
【0015】
すなわち本発明は、崩壊剤と2種類以上のケイ酸類を含有してなる圧縮成型製剤である。
【0016】
また本発明は、ケイ酸類の少なくとも1種が付着された崩壊剤と、少なくとも1種の他のケイ酸類とを含有する上記の圧縮成型製剤である。
【0017】
更に本発明は、有効成分から若しくは有効成分を含有した組成物から形成された平均粒子径が4μm以上の顆粒を圧縮成型して得られる口腔内速崩錠である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の圧縮成型製剤は、少ない添加剤の使用でありながら、優れた崩壊性を有する製剤であり、例えば、口腔内で素早く崩壊し、効果的に有効成分を放出するので、服用感の優れた錠剤等とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明において使用される崩壊剤としては、通常医薬品に用いることができる崩壊剤であれば特段限定されることなく、種々のものが使用される。使用される崩壊剤の例としては、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、部分アルファー化デンプン等が挙げられる。そのうち、好ましいものとしては、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドンが挙げられ、更に好ましいものとしては、クロスポビドンが挙げられる。
【0020】
一方、本発明においては、2種以上のケイ酸類が使用されるが、これらのケイ酸類の種類は特に限定されず、例えば、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウムなどのケイ酸のアルカリ金属もしくはアルカリ金属塩塩、メタケイ酸アルミン酸塩、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素などが挙げられる。これらのケイ酸類は粒径が50μm以下であることが好ましく、更に好ましくは10μmである。
【0021】
本発明の圧縮成型製剤における、崩壊剤とケイ酸類との配合割合は特に限定されないが、好ましくは崩壊剤とケイ酸類の合計との割合が100:1〜1:100程度であり、更に好ましくは10:1〜1:10程度である。
【0022】
崩壊剤と2種以上のケイ酸類は、これらが混合物として単位製剤内に存在することによりその能力を発揮するものであるが、より効果を発揮するためには崩壊剤にケイ酸類が付着している形態が望ましい。崩壊剤にケイ酸を付着させる方法は限定されないが、崩壊剤と一種以上のケイ酸類を単純に撹拌混合させるのみでも効果が得られる。更には、他の添加剤成分と共に、崩壊剤と一種以上のケイ酸類を造粒することもできる。このうち、望ましい方法は攪拌造粒機もしくはそれと同等な機能を有する機器での混合、流動層造粒機もしくはそれと同等の機能を有する機器でのケイ酸類のコーティングなどが挙げられる。
【0023】
また、本発明の利用するケイ酸類は、2種以上で有れば特段限定する必要はないが、少なくとも、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の金属塩であるケイ酸類を含むことが好ましく、2種以上を使用する場合には、内一種は、金属を含有しないケイ酸類であることが好ましい。
【0024】
上記した、崩壊剤と2種類以上のケイ酸類を使用して圧縮成型製剤を調製するには、これらをそのまま添加し、常法に従って製剤化することも可能であるが、例えば、崩壊剤の周りに1種類のケイ酸類を付着させた後、これを他のケイ酸類と配合することにより崩壊剤の崩壊能力を増強させ、結果的に口腔内で速やかに崩壊することのできる錠剤を製造することである。崩壊剤の周りにすべてのケイ酸類を付着させれば、より良い崩壊性を得ることができる。
【0025】
更に、より口腔内での崩壊状態を良くし、より製造上のハンドリングを良くするために、崩壊剤と2種類以上のケイ酸類の混合物を常法で顆粒化することも可能である。その場合、顆粒化する方法は特段、限定されるものではないが、例えば、流動層造粒法、攪拌造粒法、押出造粒法、転動造粒法、乾式造粒法若しくはこれらを組み合わせた方法が好ましい方法として挙げられる。特に好ましくは攪拌造粒法である。また、造粒にもちいる溶媒についても特に制限は無いが、好ましくは精製水若しくはエタノールがよい。
【0026】
本発明の圧縮成型製剤の製造に当たっては、更にこれらの組成に糖を加えることができる。糖の種類は特に限定されないが、乳糖、白糖、グラニュー糖、トレハロース、マンニトール、キシリトール、エリスリトール等の糖アルコールなどが挙げられる。これらの糖はそのまま使用することも可能であるが、好ましくは糖の全体若しくは一部が非晶質化しているものが良い。非晶質の方法は常法であれは特段限定されることはないが、その方法としては例えばスプレードライ法、凍結乾燥法等が挙げられる。より好ましい非晶質化の方法は凍結乾燥法である。なお、糖を非晶質化処理するにあたっては、先に記載した崩壊剤、ケイ酸類を同時に添加してもよい。
【0027】
本発明の圧縮成型製剤において、配合される薬効成分は特に限定されず、種々のものを使用することができる。例えば、睡眠鎮静剤、抗不安剤、抗てんかん剤、解熱鎮痛剤、抗パーキンソン剤、精神神経用剤、自律神経剤、鎮けい剤、強心剤、不整脈用剤、利尿剤、血圧降下剤、血管収縮剤、血管拡張剤、高脂血症用剤、鎮咳剤、去たん剤、気管支拡張剤、止瀉剤、消化性潰瘍用剤、健胃消化剤、制酸剤、下剤、ホルモン剤、ビタミン剤、滋養強壮剤、酵素製剤、糖尿病用剤、抗ヒスタミン剤、アレルギー剤、抗生物質製剤、合成抗菌剤等の有効成分として知られる薬効成分を配合することができる。
【0028】
このうち、睡眠鎮静剤、抗不安剤の薬効成分としては、例えばアルプラゾラム、エスタゾラム、クアゼパム、トリアゾラム、ブロチゾラム、アモバルビタール、タンドスピロン等が、抗てんかん剤の薬効成分としては、フェニトイン、カルバマゼピン、クロナゼパム、フェニトイン等が、解熱鎮痛剤の薬効成分としては、例えば、アセトアミノフェン、フェナセチン、メフェナム、アスピリン、エテンザミド、イソプロピルアンチピリン、サリチル酸ナトリウム、インドメタシン、ジクロフェナク、チアラミド、アクタリット、アンピロキシカム、イブプロフェン、エトドラク、ケトプロフェン、ザルトプロフェン、ピロキシカム、プラノプロフェン、ロキソプロフェン等が、抗パーキンソン剤の薬効成分としては、例えば、アマンタジン、ピペリデン、セレギリン、トリヘキシフェニジル、カベルゴリン、ペルゴリド等が、精神神経用剤の薬効成分としては、例えばクロルプロマジン、ペルフェナジン、トリプロペラジン、イミプラミン、エチゾラム、オランザピン、クアゼパム、スルピリド、ハロペリドール、リスペリドン等が、自律神経剤の薬効成分としては、例えば、カルプロニウム、ジスチグミン、トラゾリン等が、鎮けい剤の薬効成分としては、臭化ブチルスコポラミン、パパベリン、エペリゾン、チザニジン、バクロフェン等がそれぞれ挙げられる。
【0029】
また、強心剤の場合は、例えばジキトキシン、ジゴキシン、メチルジゴキシン、アミノフィリン、カフェイン、エチレフリン、ユビデカレノン等が、不整脈用剤の場合は、例えばプロカインアミド、アテノロール、オクスプレノロール、カルテオロール、プロプラノール、ナドロール、ピンドロール、ビソプロロール、アジマリン、ピルジカイニド、プロパフェノン、メチシレチン、ジソピラミド等が、利尿剤の場合は、例えばヒドロクロロチアジド、スピロノラクトン、アセタゾラミド、イソソルビド、トラセミド、フロセミド、血圧降下剤の場合は、例えばヒドララジン、レセルピン、アラセプリル、イミダプリル、キナプリル、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、リシノプリル、メチルドバ、エホニジピン、セリプロロール、ニカルジピン、プラゾシン、ベタキソロール、マニジピン、カルベジロール、メトプロロール、シルニジピン、フェロジピン、ドキサゾシン等が、血管収縮剤の場合は、例えば、ミドドリン、ジヒドロエルゴタミン等が、血管拡張剤の場合は、一硝酸イソソルビド、エタフェノン、ジルチアゼム、ベニジピン、ジピリダモール、硝酸イソソルビド、ニコランジル、ニソルジピン、ニトログリセリン、ニフェジピン等が、高脂血症用剤の場合は、例えば、クロフェブラート、フェノフィブラート、ベザフィブラート、アドルバスタチン、エラスターゼ、ニコモール、プラバスタチン、フルバスタチン、プロブコール、シンバスタチン等が挙げられる。
【0030】
更に、鎮咳剤としては、例えば、エフェドリン、メチルエフェドリン、ノスカルビン、ベンプロペリン、去たん剤としてはカルボシステイン、ブロムヘキシン、アンブロキソール、桜皮、コデイン、ジヒドロコデイン、チペピジン等が、気管支拡張剤としては、例えばテオフィリン、フェノテロール、サルブタモール、クレンブテロール、ツロブテロール、トリメトキノール、プロカテロール、ホルモテロール等が、止瀉剤・整腸剤としては、例えばベルベリン、アルブミン、ビフィズス菌、ラクトミン、ジメチコン、ロペラミド等が、消化性潰瘍剤としては、例えばグルタミン、アズレン、ラニチジン、シメチジン、ファモチジン、ニザチジン、ロキサチジン、アルジオキサ、ピレンゼピン、オメプラゾール、ゲファルナート、スクラルファート、スルピリド、ソファルコン、テプレノン、トロキシピド、イソグラジン、ラベプラゾール、ランソプラゾール等が、健胃消化剤としては、例えばアミラーゼ、ジアスターゼ、パンクレアチン、ホミカチンキ、カルニチン、ガラクトシダーゼ等が、制酸剤としては例えば、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸マグネシウム、沈降炭酸カルシウム等が、下剤としては、例えばセンナエキス、センノシド、硫酸マグネシウム、ピコスルファート等がそれぞれ挙げられる。
【0031】
更にまた、ホルモン剤としては、例えばレボチロキシン、リオチロニン、チアマゾール、プロピルリオウラシル、コルチゾン、パラメタゾン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、プレドニゾロン、テストステロン、ホスフェストロール、エストリオール、クロルマジノン、アリルエストレノール、クロミフェン、タナゾール、タムスロシン、フラボキサート、ミドドリン、ガンマーオリザノール等が、ビタミン剤としては、例えば、ビタミンA、カルシトリオール、チアミン、フルスルチアミン、リボフラビン、パンテチン、パントテン酸、ピリドキシン、葉酸、コバマミド、メコバラミン、アスコルビン酸、トコフェロール、フィトナジオン、メナテトレノン、ビオチン等が、酵素製剤としては、例えば、リゾチーム、セラペプターゼ等が、糖尿病用剤としては、例えば、グリクラジド、グリベンクラミド、グリメピリド、トルブタミド、メトホルミン、アカルボース、ボグリボース等が、抗ヒスタミン剤としては、例えば、ジフェンヒドラミン、プロメタジン、メキタジン、クロルフェニラミン、クレマスチン等が、アレルギー用剤としては、イブジラスト、アゼラスチン、エピナスチン、セチリジン、スプラタスト、トラニラスト、ケトチフェン、プランルカスト、ペミロラスト、ロラタジン等が挙げられる。
【0032】
また更に、抗生物質としてはクリンダマイシン、リンコマイシン、バンコマイシン、カナマイシン、アモキシシリン、アンピシリン、セファクロル、セファレキシン、セフィキシム、セフポドキシム、セフジニル、セフテラム、セフポドキシム、ホスホマイシン、ファロペネム、エリスロマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ロキシスロマイシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、ミノサイクリン、サラゾスルファピリジン、シプロフロキサシン、ガチフロキサシン、ノルフロキサシン、アシクロビル、イトラコナゾール、テルビナフィン、フルコナゾール、ミコナゾール等が挙げられる。
【0033】
なお、これら有効成分若しくは有効成分を含有した顆粒の粒径は特段限定されないが、好ましくは中心粒子径が4μm以上、更に好ましくは5μm以上が良い。もし、この粒径より細かな場合は錠剤の中心部に芯が残ることが確認されている。このような粒径を有する薬効成分を利用することにより、特に無機塩である薬効成分を含む口腔内崩壊錠の作成が容易となる。この無機塩を有する薬効成分を利用した口腔内崩壊錠においては、必ずしも崩壊剤とケイ酸類の混合物は必要ではない。
【0034】
本発明の圧縮成型製剤ないし口腔内崩壊錠においては、上記した各成分以外にも本発明の効果を損なわない範囲で、適宜、従来公知の任意成分、例えば、種々の滑沢剤、可溶化剤、緩衝剤、吸着剤、結合剤、懸濁化剤、抗酸化剤、充填剤、pH調整剤、賦形剤、分散剤、崩壊剤、崩壊補助剤、防湿剤、防腐剤、溶剤、溶解補助剤、流動化剤等を使用することができる。
【0035】
賦形剤としては、例えば乳糖、精製白糖、結晶セルロース、コーンスターチ、バレイショデンプン、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール等の糖アルコール、トレハロース、無機塩、デキストラン、デキストリン、ブドウ糖、粉糖等が挙げられる。崩壊剤としては例えば、コーンスターチ、バレイショデンプン等のデンプン類、部分アルファー化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルメチルセルロース、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルスターチ等が挙げられる。結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アラビアゴム、アルファー化デンプン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、寒天、ハチミツ等が挙げられる。
【0036】
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、タルク、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。また、コーティング剤としてはヒドロキシプロピルメチルセルロース、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー、アミノアクリルメタクリレートコポリマーE、アミノアクリルメタクリレートコポリマーRS、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマーLD、メタクリル酸コポリマーS等が挙げられる。更に、矯味成分としては、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸などが挙げられる。発泡剤としては、例えば、重曹などが挙げられる。人口甘味料としては、例えば、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチンなどが挙げられる。マスキング剤としては、例えば、エチルセルロース等の水不溶性高分子、メタアクリル酸メチル・メタアクリル酸ブチル・メタアクリル酸ジエチルアミノエチル・コポリマー等の胃溶性高分子などが挙げられる。
【0037】
本発明の圧縮成型製剤ないし口腔内崩壊錠の形態は固形製剤もしくはそれに準ずる形態であればよい。固形製剤としては錠剤のような圧縮成型製剤、丸剤、粒剤、顆粒剤、細粒剤等が挙げられる。また、固形製剤に準ずる製剤としては水に不溶性な高分子でコーティングした顆粒を液に懸濁させた懸濁化剤等が挙げられる。このような製剤でも体内中に入ると即時崩壊を望む製剤もあるからである。また、圧縮成形製剤はQOL、DDSの観点より、素錠はもとより、フィルムコーティング錠、口腔内速崩錠なども挙げられる。
【0038】
本発明の圧縮成型製剤は、以上説明した崩壊剤と2種類以上のケイ酸類および薬効成分のほか、必要に応じて糖類や任意成分を配合した組成物を圧縮成型することにより製造することができ、薬効成分の粒子径を一定以下とすることにより製造できる。
【0039】
圧縮成型の方法は常法であれば特に限定されず、例えば、ロータリー式打錠機、単発打錠機での圧縮成型が使用可能である。また、圧縮成型を行う際の圧力についても口腔内での崩壊時間や、テクスチャーが適切で、製造時、運搬時での割れ欠け等がなければ特に限定されることはないが、好ましくは100〜2000kgf、更に好ましくは300〜1500kgfである。
【実施例】
【0040】
次に実施例、参考例および試験例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等に何ら制約されるものではない。
【0041】
試 料 例 1
クラリスロマイシン819.6g、乳糖200M26.4g、ノイシリンUFL−2
20.0gおよびPVP K−30 16.0gに精製水400mLを添加して攪拌造粒機にて造粒を行った。
【0042】
実 施 例 1
コリドンCL100gとアエロジル200 60gを攪拌造粒機を用いて10分間混合した。この混合物16gと試料例1の顆粒221.5gをV型混合機にて20分間混合し、この混合顆粒にステアリン酸マグネシウム3.5gを加え、更に5分間混合した。次いで、この混合物をロータリー打錠機により、打錠圧600kgfの条件で打錠して1錠当たり240mgの錠剤を得た。
【0043】
比 較 例 1
試料例1の顆粒221.5g、コリドンCL10gおよびアエロジル2006gをV型混合機にて20分間混合した。その後、この混合顆粒にステアリン酸マグネシウム3.5gを加え、更に5分間混合した。次いで、この混合物をロータリー打錠機により、打錠圧600kgfの条件で打錠して1錠当たり240mgの錠剤を得た。
【0044】
試 験 例 1
実施例1および比較例1で製した錠剤を用い、溶出試験機で錠剤の崩壊を観察した。なお、崩壊試験の条件は下記の通りである。
試 験 液: McIlvain buffer pH3.0
パドル回転数: 50rpm
試験液の量: 900mL
【0045】
この結果、実施例1の錠剤は2分で崩壊したのに対して、比較例1の錠剤は崩壊に20分を要した。
【0046】
参 考 例 1
腸溶性顆粒の調製:
(1)ランソプラゾール600g、クムライト(水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウム共沈物)100gおよび乳糖200M(乳糖)200gを20%エタノール水溶液
2160gに加え、懸濁液を得た。
【0047】
一方、マルチスレックスFD−MP−01(微粒子コーティング装置:(株)パウレック製)にセルフィアSCP100(結晶セルロース(粒))900gを投入し、先に調製した懸濁液を用いてコーティングを行ない、ランソプラゾール顆粒を得た。
【0048】
(2)TC−5(E)(ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910)120g、酸化チタン60gおよびタルク60gを精製水1200gに加え、懸濁液を得た。先に製造したランソプラゾール顆粒960gをマルチスレックスFD−MP−01に投入し、先に調製した懸濁液を用いてコーティングし、コーティング顆粒を得た。
【0049】
(3)オイドラギットL30D55(メタクリル酸コポリマーLD)2100g、オイドラギットNE30D(アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液)240g、クエン酸トリエチル139.2g、モノステアリン酸グリセリド45g、ポリソルベート80 13.2gおよび無水クエン酸0.6gを精製水1000gに加え、懸濁液を得た。先に製造したコーティング顆粒をマルチスレックスFD−MP−01に投入し、調製した懸濁液を用いてコーティングし、腸溶性顆粒を得た。
【0050】
実 施 例 2
圧縮成型錠剤の調製:
コリドンCL(クロスポビドン:平均粒子径 約50μm)10g、ノイシリンUFL2(メタケイ酸アルミン酸マグネシウム:平均粒子径 約1.6μm)5gおよびアドソリダー101(軽質無水ケイ酸:平均粒子径 約3μm)5gを50%エタノールを用いて乳鉢で造粒した。得られた顆粒15gに、参考例1で調製した腸溶製顆粒50gおよびフローラック100(乳糖)35gを添加し、良く混合した。この顆粒を、オイルプレスを用い、1500kgfで打錠して、1錠当たり200mgの圧縮成型錠剤を得た。
【0051】
比 較 例 2
コリドンCL(クロスポビドン)10gおよびノイシリンUFL2(メタケイ酸アルミン酸マグネシウム)5gを、50%エタノールを用いて乳鉢で造粒した。得られた顆粒11.25gに、参考例1で調製した腸溶製顆粒50gおよびフローラック100(乳糖)38.75gを添加し、良く混合した。この顆粒をオイルプレスを用い、1500kgfで打錠して、1錠当たり200mgの圧縮成型錠剤を得た。
【0052】
比 較 例3
コリドンCL(クロスポビドン)10gおよびアドソリダー101(軽質無水ケイ酸)5gを、50%エタノールを用いて乳鉢で造粒した。得られた顆粒11.25gに、参考例1で調製した腸溶製顆粒50gおよびフローラック100(乳糖)38.75gを添加し、良く混合した。この顆粒を、オイルプレスを用い、1500kgfで打錠して、1錠当たり200mgの圧縮成型錠剤を得た。
【0053】
試 験 例 2
実施例2、比較例2および比較例3で得られた錠剤について、硬度と口腔内での崩壊時間を測定した。その結果を表1に示す。なお、硬度は、及び口腔内での崩壊時間は、下記の方法により、それぞれ測定した。
【0054】
硬 度:
硬度計(錠剤破壊試験装置:富山産業)を用いて測定した。
口腔内での崩壊時間:
口腔内に錠剤を投入し、錠剤が無くなる時間を測定した。
【0055】
【表1】

【0056】
表1に示すように、崩壊剤であるコリドンCLに、ノイシリンUFL2およびアドソリダー101の2種類のケイ酸類を使用して造粒した顆粒を用いると口腔内での崩壊性がより早い錠剤が得られた。
【0057】
実 施 例 3
コリドンCL(クロスポビドン)120g、ノイシリンUFL2(メタケイ酸アルミン酸マグネシウム)60gおよびアドソリダー101(軽質無水ケイ酸)60gをハイスピードミキサー(攪拌造粒機)に投入し、50%エタノール400mLで造粒した。この造粒物150gに、フローラック100(乳糖)350gおよび腸溶性顆粒500gを添加し、V型混合機で20分間混合後、ステアリン酸マグネシウム5gを添加し、更に5分間混合した。この顆粒を用い、1錠300mgになるように圧縮力500kgfで打錠し、圧縮成型錠剤を得た。
【0058】
実 施 例 4
コリドンCL(クロスポビドン)120g、ノイシリンUFL2(メタケイ酸アルミン酸マグネシウム)60gおよびアドソリダー101(軽質無水ケイ酸)60gをハイスピードミキサー(攪拌造粒機)に投入し、50%エタノール400mLで造粒した。この造粒物100gに、フローラック100(乳糖)245g、ノイシリンSG2(メタケイ酸アルミン酸マグネシウム:平均粒子径 約120μm)150gおよび腸溶性顆粒500gを添加し、V型混合機で20分間混合後、ステアリン酸マグネシウム5gを添加し、更に5分間混合した。この顆粒を用い、1錠300mgになるように圧縮力500kgfで打錠し、圧縮成型錠剤を得た。
【0059】
実 施 例 5
コリドンCL(クロスポビドン)120g、ノイシリンUFL2(メタケイ酸アルミン酸マグネシウム)60gおよびアドソリダー101(軽質無水ケイ酸)60gをハイスピードミキサー(攪拌造粒機)に投入し、50%エタノール400mLで造粒した。この造粒物160gに、フローラック100(乳糖)410g、ノイシリンSG2(メタケイ酸アルミン酸マグネシウム)220gおよび腸溶性顆粒1000gを添加し、V型混合機で20分間混合後、ステアリン酸マグネシウム9gを添加し、更に5分間混合した。この顆粒を用い、1錠270mgになるように圧縮力500kgfで打錠し、圧縮成型錠剤を得た。
【0060】
実 施 例 6
コリドンCL(クロスポビドン)150g、ノイシリンUFL2(メタケイ酸アルミン酸マグネシウム)75gおよびアドソリダー101(軽質無水ケイ酸)75gをハイスピードミキサー(攪拌造粒機)に投入し、50%エタノール500mLで造粒、さらにフローラック100(乳糖)438gを投入し、50%エタノール80mLで造粒した。この造粒物492gに、ノイシリンSG2(メタケイ酸アルミン酸マグネシウム)300gおよび腸溶性顆粒1000g添加し、V型混合機で20分間混合後、ステアリン酸マグネシウム9gを添加し、更に5分間混合した。この顆粒を用い、1錠270mgになるように圧縮力500kgfで打錠し、圧縮成型錠剤を得た。
【0061】
実 施 例 7
コリドンCL(クロスポビドン)150gおよびアドソリダー101(軽質無水ケイ酸)75gをハイスピードミキサー(攪拌造粒機)に投入し、50%エタノール300mLで造粒した。この造粒物150gに、フローラック100(乳糖)650g、ノイシリンSG2(メタケイ酸アルミン酸マグネシウム)200gおよび腸溶性顆粒1000gを添加し、V型混合機で20分間混合した。この顆粒を用い、1錠300mgになるように圧縮力500kgfで打錠し、圧縮成型錠剤を得た。
【0062】
実 施 例 8
コリドンCL(クロスポビドン)150gおよびアドソリダー101(軽質無水ケイ酸)75gをハイスピードミキサー(攪拌造粒機)に投入し、50%エタノール300mLで造粒した。この造粒物150gに、ノイシリンSG2(メタケイ酸アルミン酸マグネシウム)850gおよび腸溶性顆粒1000g添加し、V型混合機で20分間混合した。この顆粒を用い、1錠300mgになるように圧縮力500kgfで打錠し、圧縮成型錠剤を得た。
【0063】
実 施 例 9
トレハロース(トレハロース)160gおよびノイシリンUFL2(メタケイ酸アルミン酸マグネシウム)16gを水1000mLに混合・懸濁させた混合液を凍結乾燥した。この凍結乾燥品135g、コリドンCL(クロスポビドン)303gおよびノイシリンUFL2(メタケイ酸アルミン酸マグネシウム)153gをハイスピードミキサー(攪拌造粒機)に投入し、精製水200mLで造粒した。この造粒物394gに、フローラック100(乳糖)606gおよび腸溶性顆粒1000gを添加し、V型混合機で20分間混合した。この顆粒を用い、1錠300mgになるように圧縮力500kgfで打錠し、圧縮成型錠剤を得た。
【0064】
実 施 例 10
乳糖200M(乳糖)100gおよびアビセルPH101(結晶セルロース)25gを水600mLに混合・懸濁させた混合液を凍結乾燥した。この凍結乾燥品75g、コリドンCL(クロスポビドン)150gおよびアドソリダー101(軽質無水ケイ酸)75gをハイスピードミキサー(攪拌造粒機)に投入し、80%エタノール300mLで造粒した。この造粒物200gに、フローラック100(乳糖)580g、ノイシリンSG2(メタケイ酸アルミン酸マグネシウム)200gおよび腸溶性顆粒1000g添加し、V型混合機で20分間混合後、ステアリン酸マグネシウム20gを添加し、更に5分間混合した。この顆粒を用い、1錠300mgになるように圧縮力500kgfで打錠し、圧縮成型錠剤を得た。
【0065】
試 験 例 3
実施例3ないし10で得られた錠剤について、その硬度と口腔内での崩壊時間を測定した。その結果を表2に示す。
【0066】
【表2】

【0067】
表2に示すとおり、本発明の圧縮成型錠剤は、口腔内での崩壊が良く、しかも運搬に十分な強度を示すものであった。
【0068】
実 施 例 11
制酸剤口腔内速崩錠:
(1)コリドンCL(クロスポビドン)120g、ノイシリンUFL2(メタケイ酸アルミン酸マグネシウム)60gおよびアドソリダー101(軽質無水ケイ酸)60gを、ハイスピードミキサー(攪拌造粒機)に投入し、50%エタノール400mLで造粒した。この造粒物100gに、フローラック100(乳糖)245gおよびノイシリンSG2(メタケイ酸アルミン酸マグネシウム)150gを添加して速崩ユニットを製造した。
【0069】
(2)上記(1)の速崩ユニット297gに、沈降炭酸カルシウム500g、ノイシリンSG2(メタケイ酸アルミン酸マグネシウム)193gおよびステアリン酸マグネシウム5gを添加した。この顆粒を用い、1錠1000mgになるように圧縮力2000kgfで打錠し、圧縮成型錠剤(制酸製剤1)を得た。
【0070】
(3)上記(1)の速崩ユニット545gに、沈降炭酸カルシウム250g、ノイシリンSG2(メタケイ酸アルミン酸マグネシウム)200gおよびステアリン酸マグネシウム5gを添加した。この顆粒を用い、1錠1000mgになるように圧縮力2000kgfで打錠し、圧縮成型錠剤(制酸製剤2)を得た。
【0071】
試 験 例 4
試験例10で得られた錠剤(制酸製剤)について、その硬度と口腔内での崩壊時間を測定した。その結果を表3に示す。
【0072】
【表3】

【0073】
表3に示すとおり、本発明の圧縮成型製剤は、口腔内での崩壊が良く、しかも運搬に十分な強度を有するものであった。
【0074】
実 施 例 12
デキストリン(パインデックス#100:松谷化学工業(株)製)5gを300mLの精製水に溶解させた。この溶解液を使用して、沈降炭酸カルシウム(平均粒子径 11.75μm:備北粉化工業(株)製)500gを流動層にて造粒をした。この造粒物252.5gにDマンニトール(パーテックM−200:メルク(株)製)212.5g、クロスポビドン(コリドンCL:BASF武田ビタミン(株)製)25gおよびアスパルテーム(アスパルテーム:味の素(株)製)5gを添加してV型混合機で20分間混合した。混合後、ステアリン酸マグネシウム(ステアリン酸マグネシウム:太平化学産業(株)製)5gを更に加え、5分間混合した。このようにして打錠用顆粒を製造した。この打錠用顆粒を10mmの杵を用いロータリー打錠機にて圧縮圧750kgfで圧縮成型し、1錠当たり500mgの圧縮成型錠剤を得た。
【0075】
実 施 例 13
沈降炭酸カルシウムの平均粒子径を4.80μmにした以外は実施例12と同様にして圧縮成型錠剤を製造した。
【0076】
比 較 例 4
沈降炭酸カルシウムの平均粒子径を2.49μmにした以外は実施例12と同様にして圧縮成型錠剤を製造した。
【0077】
実 施 例 14
デキストリン5gを300mLの精製水に溶解させた。この溶解液を使用して、沈降炭酸カルシウム500gを流動層にて造粒をした。この造粒物252.5gにDマンニトール212.5g、クロスポビドン25g、アスパルテーム5gを添加してV型混合機で20分間混合した。混合後、ステアリン酸マグネシウム5gを更に加え、5分間混合した。このようにして打錠用顆粒を製造した。この打錠用顆粒を10mmの杵を用いロータリー打錠機にて圧縮圧750kgfで圧縮成型し、1錠当たり500mgの圧縮成型錠剤を得た。
【0078】
試 験 例 2
実施例12〜14及び比較例4に従って製造した口腔内速崩錠について下記の方法の試験を実施した。その結果を表4に示す。
【0079】
口腔内での崩壊時間:
口腔内に錠剤を投入し、錠剤が無くなる時間を測定した。
口腔内での錠剤の様子:
口腔内に錠剤を含み、崩壊していく段階での芯の有無、ざらつき感等を確認した。
【0080】
【表4】

【0081】
上記の結果、原体の粒子径により口腔内速崩錠の崩壊時間及びその様子に顕著な差が現れたことを確認した。
【産業上の利用可能性】
【0082】
従来、口腔内速崩錠は非常に多いユニットを必要とするか、若しくは特殊な手法をもちいないと製造できなかったが、本発明の圧縮成型製剤では、崩壊剤と、2種類以上のケイ酸類を併用することや、薬効成分の粒子径を一定以上に制御することにより、簡便で且つ少量の崩壊成分で、十分な強度と崩壊性を有する錠剤が得られ、口腔内速崩錠等として有利に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
崩壊剤と2種以上のケイ酸類を含有してなる圧縮成型製剤。
【請求項2】
ケイ酸類が、それぞれメタケイ酸アルミン酸塩、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸および含水二酸化ケイ素よりなる群から選択されたものである請求項1記載の圧縮成型製剤。
【請求項3】
崩壊剤がカルボキシメチルスターチナトリウムまたはクロスポビドンである請求項1若しくは2記載の圧縮成型製剤。
【請求項4】
崩壊剤がクロスポビドンである請求項1ないし3の何れかの項記載の圧縮成型製剤。
【請求項5】
口腔内で速やかに崩壊するものである、請求項1ないし4の何れかの項記載の圧縮成型製剤。
【請求項6】
ケイ酸類の少なくとも1種が付着された崩壊剤と、少なくとも1種の他のケイ酸類とを含有する請求項1ないし5の何れかの項記載の圧縮成型製剤。
【請求項7】
2種以上のケイ酸類のうち、少なくとも1種のケイ酸塩がアルカリもしくはアルカリ土類金属の塩の形態である請求項1ないし6の何れかの項記載の圧縮成型製剤。
【請求項8】
2種以上のケイ酸類として、少なくともメタケイ酸アルミン酸塩と無水ケイ酸を含有する請求項1ないし7の何れかの項記載の圧縮成型製剤。
【請求項9】
更に糖類を含有する請求項1ないし8の何れかの項記載の圧縮成型製剤。
【請求項10】
糖類が、糖アルコールである請求項9記載の圧縮成型製剤。
【請求項11】
糖類が、非晶質の糖類である請求項9または10記載の圧縮成型製剤。
【請求項12】
非晶質の糖類が、凍結乾燥により得られた糖である請求項11記載の圧縮成型製剤。
【請求項13】
更に、薬効成分を含有させた請求項1ないし12の何れかの項記載の圧縮成型製剤。
【請求項14】
有効成分から若しくは有効成分を含有した組成物から形成された平均粒子径が4μm以上の顆粒を圧縮成型して得られる口腔内速崩錠。
【請求項15】
有効成分が、無機塩である請求項14記載の口腔内速崩錠。

【公開番号】特開2007−51109(P2007−51109A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−238577(P2005−238577)
【出願日】平成17年8月19日(2005.8.19)
【出願人】(000208145)大洋薬品工業株式会社 (29)
【Fターム(参考)】