圧縮木製品の製造方法
【課題】所定形状を有するブランク材の一部の強度を向上する圧縮木製品の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の圧縮木製品の製造方法は、厚さ方向が木材の繊維方向と略平行であって圧縮を行う際の圧縮金型の移動方向と略直交するとともに、端面が圧縮時に対向する前記圧縮金型の当接面と異なる形状をなすブランク材を形取る形取工程を有し、前記ブランク材を前記圧縮金型を用いて圧縮することにより圧縮木製品を製造する。
【解決手段】本発明の圧縮木製品の製造方法は、厚さ方向が木材の繊維方向と略平行であって圧縮を行う際の圧縮金型の移動方向と略直交するとともに、端面が圧縮時に対向する前記圧縮金型の当接面と異なる形状をなすブランク材を形取る形取工程を有し、前記ブランク材を前記圧縮金型を用いて圧縮することにより圧縮木製品を製造する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材を所定の形状に圧縮成形する圧縮木製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自然素材である木材が注目されている。木材はさまざまな木目を有するため、原木から形取る箇所に応じて個体差が生じ、その個体差が製品ごとの個性となる。また、長期の使用によって生じる傷や色合いの変化自体も、独特の風合いとなって使用者に親しみを生じさせることがある。これらの理由により、合成樹脂や軽金属を用いた製品にはない、個性的で味わい深い製品を生み出すことの出来る素材として木材が注目されており、その成形技術も飛躍的に進歩しつつある。
【0003】
従来より、木材の圧縮成形技術として、木材に対する圧縮方向をあらかじめ考慮した上で木材を形取り、その後圧縮成形することにより、圧縮成形品の強度を向上する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。この技術では、主板部と、該主板部からの全周縁から斜め外側方向に立ち上がる側板部とを備えるブランク材を、繊維が直線状に延在している形取用木材から前記主板部が前記形取用木材の繊維方向に沿うように形取り、前記主板部の板面および繊維方向に直交する方向に圧縮することにより高い強度を得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4217165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、ブランク材を圧縮した圧縮木材全体にある程度高い強度を付与することが出来るものの、例えば、板目模様の主板部と、該主板部の全周縁から所定の角度をなして延出する側板部を有する略椀形の3次元形状を有するブランク材を、主板部の板面と直交する方向から圧縮する場合、部分的に見れば、厚さ方向が木材繊維方向と平行な側板部は、主板部や厚さ方向が木材繊維方向と直交する側板部と比較して、厚さ方向からの荷重に対する耐性が弱いという問題を有している。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、板状体や3次元形状を有するブランク材を圧縮した圧縮木材において、厚さ方向が圧縮方向と直交し、かつ厚さ方向が木材繊維方向と平行である部分の強度を向上する圧縮木製品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る圧縮木製品の製造方法は、原木から形取られたブランク材を、圧縮金型を用いて圧縮することによって圧縮木製品を製造する圧縮木製品の製造方法であって、厚さ方向が木材の繊維方向と略平行であって圧縮を行う際の前記圧縮金型の移動方向と略直交するとともに、端面が圧縮時に対向する前記圧縮金型の当接面と異なる形状をなすブランク材を形取る形取工程を含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る圧縮木製品の製造方法は、上記発明において、前記ブランク材は、厚さ方向が前記木材の繊維方向と略直交する主板部と、該主板部の全周縁から所定の角度をなして延出する側板部と、からなる略椀状であり、前記側板部が、その厚さ方向が木材の繊維方向と略平行であって圧縮を行う際の前記圧縮金型の移動方向と略直交する部分を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る圧縮木製品の製造方法は、上記発明において、前記ブランク材は、板状をなすことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る圧縮木製品の製造方法は、上記発明において、前記ブランク材の前記端面を前記当接面に対し傾斜させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る圧縮木製品の製造方法は、上記発明において、前記ブランク材の前記端面に、凹部および/または凸部を形成することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る圧縮木製品の製造方法は、上記発明において、前記当接面を前記ブランク材の前記端面に対し傾斜させることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る圧縮木製品の製造方法は、上記発明において、前記圧縮金型の前記当接面に、凹部および/または凸部を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、厚さ方向が木材の繊維方向と略平行であって圧縮を行う際の前記圧縮金型の移動方向と略直交するとともに、端面が圧縮時に対向する前記圧縮金型の当接面と異なる形状をなすブランク材を形取り、圧縮金型により該ブランク材を圧縮することにより、前記ブランク材を圧縮した圧縮木材の厚さ方向からの荷重に対する耐性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る圧縮木製品の製造方法の概要を示すフローチャートである。
【図2】図2は、本発明の実施の形態1に係る圧縮木製品の製造方法の形取工程の概要を模式的に示す図である。
【図3】図3は、図2に示すブランク材のA−A線断面図である。
【図4】図4は、図2に示すブランク材のB−B線断面図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態1に係る圧縮木製品の製造方法の圧縮工程の概要を模式的に示す図である。
【図6】図6は、図5のC−C線断面図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態1に係る圧縮木製品の製造方法の圧縮工程において、ブランク材の変形がほぼ完了した状態を示す図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態1に係る圧縮木製品の製造方法の圧縮工程終了後の圧縮木材の構成を示す斜視図である。
【図9】図9は、図8のD−D線の一部断面を拡大した図である。
【図10】図10は、図5に示すブランク材のC−C線の一部断面を拡大した図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態1に係る圧縮木製品の製造方法の加熱整形工程の概要を模式的に示す図である。
【図12】図12は、本発明の実施の形態1に係る圧縮木製品の製造方法の加熱整形工程において、一対の加熱整形用凹金型と加熱整形用凸金型とを型締めした状態を模式的に示す図である。
【図13】図13は、本発明の実施の形態1に係る圧縮木製品の製造方法の加熱整形工程後のブランク材の構成を示す斜視図である。
【図14】図14は、本発明の実施の形態1に係る圧縮木製品の製造方法によって製造された圧縮木製品の適用例であるデジタルカメラの外装体の構成を示す斜視図である。
【図15】図15は、図14に示す外装体によって外装されるデジタルカメラの外観構成を示す斜視図である。
【図16】図16は、実施の形態1の変形例1に係るブランク材の側板部の一部断面を拡大した図である。
【図17】図17は、実施の形態1の変形例2に係るブランク材の側板部の一部断面を拡大した図である。
【図18】図18は、実施の形態1の変形例3に係るブランク材の側板部の一部断面を拡大した図である。
【図19】図19は、実施の形態1の変形例4に係るブランク材の側板部の一部断面を拡大した図である。
【図20】図20は、実施の形態1の変形例5に係るブランク材の側板部の一部断面を拡大した図である。
【図21】図21は、本発明の実施の形態2に係る圧縮木製品の製造方法の概要を示すフローチャートである。
【図22】図22は、本発明の実施の形態2に係る圧縮木製品の製造方法の形取工程の概要を模式的に示す図である。
【図23】図23は、図22に示すブランク材のE−E線断面図である。
【図24】図24は、本発明の実施の形態2に係る圧縮木製品の製造方法の圧縮工程の概要を模式的に示す図である。
【図25】図25は、図24のF−F線断面図である。
【図26】図26は、本発明の実施の形態2で使用する凸金型の一部断面を拡大した図である。
【図27】図27は、本発明の実施の形態2に係る圧縮木製品の製造方法の圧縮工程において、ブランク材の変形がほぼ完了した状態を示す図である。
【図28】図28は、圧縮木材の一部断面の拡大図である。
【図29】図29は、圧縮工程前のブランク材の一部断面の拡大図である。
【図30】図30は、実施の形態2の変形例1にかかる凹金型および凸金型の一部断面を拡大した図である。
【図31】図31は、実施の形態2の変形例2にかかる凹金型および凸金型の一部断面を拡大した図である。
【図32】図32は、本発明の実施の形態3に係る圧縮木製品の製造方法の形取の概要を模式的に示す図である。
【図33】図33は、実施の形態3に係るブランク材の圧縮工程を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。なお、以下の説明で参照する図面は模式的なものであって、同じ物体を異なる図面で示す場合には、寸法や縮尺等が異なる場合もある。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明の一実施の形態に係る圧縮木製品の製造方法の処理の概要を示すフローチャートである。まず、原木から略椀状をなすブランク材を形取る(ステップS1)。図2は、形取工程の概要を模式的に示す図である。形取工程では、無圧縮状態にある無垢材などの原木1から、略椀状をなすブランク材2を切削等によって形取る。
【0018】
図3および図4に、図2に示すブランク材2のA−A線断面図およびB−B線断面図を示す。ブランク材2は、略長方形の表面を有する平板状の主板部2aと、主板部2aの表面で対向する二つの長辺部の各々から主板部2aに対して湾曲して延在する二つの側板部2bと、主板部2aの表面で対向する二つの短辺部の各々から主板部2aに対して湾曲して延在する二つの側板部2cと、を備える。図3に示すように、二つの側板部2cには、外側面から側板部2cの端部にかけて斜めの切欠き部2dが設けられている。図2〜図4に示すように、短辺部である側板部2cは、その厚さW1方向が、後述する圧縮工程での圧縮金型の移動方向と直交し、木材繊維方向Lと平行であるブランク材2の部分である。側板部2cは、木材の強度異方性により、主板部2aおよび側板部2bより厚さ方向からの荷重に対する耐性が弱い。本実施の形態1では、側板部2cに切欠き部2dを設け、その後圧縮金型による圧縮により側板部2cの外側面側と内側面側の圧縮率を変更することにより、木材の繊維方向を曲げている。
【0019】
ブランク材2は、後述する圧縮工程によって減少する分の容積を予め加えた容積を有する。なお、図2では、主板部2aの木目Gがブランク材2の繊維方向と略平行な板目材を形取った場合を示しているが、形取工程で形取るブランク材は、その部分の厚さ方向が、圧縮工程での圧縮金型の移動方向と直交し、木材繊維方向Lと平行である部分を有していれば、柾目材でもよい。また、ブランク材2の形状はあくまでも一例に過ぎない。すなわち、ここでいう略椀状には、椀状のほか皿状や函形状などの形状も含まれるものとする。
【0020】
次に、形取ったブランク材2を、高温高圧の水蒸気雰囲気中で所定時間放置して、ブランク材2を軟化させる(ステップS2)。この水蒸気雰囲気は、圧力が0.1〜0.6MPa程度であり、温度が100〜160℃程度である。このような水蒸気雰囲気は、圧力容器を用いることによって実現される。圧力容器を用いる場合には、上記水蒸気雰囲気を有する圧力容器の中にブランク材2を放置することによって軟化させればよい。なお、高温高圧の水蒸気雰囲気中でブランク材2を軟化させる代わりに、マイクロ波によってブランク材2を加熱して軟化させてもよい。またブランク材2を煮沸して軟化させてもよい。
【0021】
この後、軟化させたブランク材2を圧縮する(ステップS3)。この工程では、軟化工程と同じ水蒸気雰囲気中で一対の金型を用いてブランク材2を挟持して圧縮力を加えることにより、ブランク材2を軟化工程前とは異なる略椀状に変形させる。圧力容器の中でブランク材2を軟化させた場合には、引き続きその圧力容器の中でブランク材2を圧縮すればよい。
【0022】
図5は、圧縮工程の概要を示すとともに、圧縮工程で使用する金型の要部の構成を示す図である。図6は、図5のC−C線断面図である。図5および図6に示すように、ブランク材2は、一対の凹金型101、凸金型102によって挟持され、所定の圧縮力が加えられる。
【0023】
圧縮工程の際にブランク材2の上方から圧縮力を加える凹金型101は、ブランク材2の突出している外側面に当接する平滑面を有する凹部111を備える。主板部2aから側板部2bにかけて湾曲する部分の表面であって凹金型101と対向する側の表面の曲率半径をROとし、この表面に当接する凹部111の表面の曲率半径をRAとすると、二つの曲率半径RO、RAは、RO≧RAという関係を満たす。
【0024】
一方、圧縮工程の際にブランク材2の下方から圧縮力を加える凸金型102は、ブランク材2の窪んでいる内側面に当接する平滑面を有する凸部121を備える。主板部2aから側板部2bにかけて湾曲する部分の表面であって凸金型102と対向する側の表面の曲率半径をRIとし、この表面に当接する凸部121の表面の曲率半径をRBとすると、二つの曲率半径RI、RBは、RI≧RBという関係を満たす。
【0025】
図7は、圧縮工程において、凹金型101および凸金型102によってブランク材2が挟持されて所定の圧力が加えられた状態を示す図であり、ブランク材2の変形がほぼ完了した状態を示す図である。図7に示す状態で、ブランク材2は、凹金型101および凸金型102から圧縮力を受けることにより、軟化工程前とは異なる略椀状に変形する。ここでいう略椀状は、凹金型101と凸金型102が最接近した状態で凹部111および凸部121が形成する隙間に相当する形状である。凹部111および凸部121が形成する隙間の側板部2cの端面との当接部分122の形状は水平であり、側板部2cの切欠き部2dを含む端面の形状と異なる。側板部2cの端面の形状と、凸金型102の当接部分122の形状とを異なるものとして、ブランク材2を凹金型101および凸金型102により圧縮することにより、側板部2cの厚さ方向からの荷重に対する耐性を向上することができる。
【0026】
なお、凸金型102の凸部121の表面は、本実施の形態に係る圧縮木製品の製造方法によって形成されるべき圧縮木製品の形状、すなわち後述する加熱整形工程(ステップS6)の後で到達すべき形状(以下、「最終形状」という)と同じ形状をなしている。したがって、圧縮工程後のブランク材2において、凸部121と対向して凹状をなす内側面の形状は、最終形状と略等しくなる。これに対して、凹金型101の凹部111の表面積は、最終形状における略椀状の外側面の表面積よりも大きい。
【0027】
圧縮工程が終了した後(以後、圧縮工程が終了したブランク材2を「圧縮木材」という)、凹金型101および凸金型102によって圧縮木材を挟持し、所定の三次元形状に保持したままの状態で、上述した水蒸気雰囲気よりもさらに高温高圧の水蒸気雰囲気を凹金型101および凸金型102の周囲に形成することにより、圧縮木材の形状を固定化する(ステップS4)。このときの水蒸気雰囲気は、圧力が0.6〜3.4MPa程度であるとともに、温度が160〜240℃程度であり、圧縮工程における水蒸気雰囲気よりも高温高圧となるように定められる。この固定化処理を圧力容器中で行う場合には、軟化工程における容器内圧力を上述した範囲に含まれる値とすればよい。
【0028】
続いて、凹金型101、凸金型102、および圧縮木材を大気中へ放出し、圧縮木材を乾燥させる(ステップS5)。この際には、凹金型101と凸金型102を離間することによってブランク材2の乾燥を促進するようにしてもよい。
【0029】
図8は、乾燥工程が終了した圧縮木材(以下、乾燥工程終了後の圧縮木材を「圧縮木材3」という)の構成を示す斜視図である。圧縮木材3は、ブランク材2の主板部2aおよび側板部2b、2cにそれぞれ対応する主板部3aおよび側板部3b、3cを有する。図8に示すように、圧縮金型(凹金型101および凸金型102)による圧縮工程により、圧縮木材3の側板部3cの端面は金型の当接部分122と同様の水平形状に圧縮される。
【0030】
図9は、図8の圧縮木材3のD−D線の一部断面を拡大した図である。図10は、図5に示すブランク材2のC−C線の一部断面を拡大した図である。図9および図10に示すように、ブランク材2の圧縮等により、圧縮木材3の側板部3cの高さはh1からh3に圧縮され、側板部3cの厚さはW1からW3に圧縮されている。側板部2cの外側面は切欠き部2dの高さh2の分だけ内側面より圧縮率が小さくなる。このように、圧縮前のブランク材2の側板部2cでは略平行であった木材の繊維配列が、圧縮木材3の側板部3cでは、内側面の木材の繊維配列の間隔が外側面より短くなるようにずれて圧縮される(繊維方向が右上がり)。木材の繊維方向を平行から曲げることにより、側板部3cの厚さ方向からの荷重に対する耐性が向上する。
【0031】
なお、圧縮木材3の略椀状における内側面の形状は、その外側面の形状よりも最終形状に近い。乾燥工程後の圧縮木材3の主板部3aの肉厚は、圧縮工程前のブランク材2の主板部2aの厚さの20〜50%程度であるのが好ましい。ここで、圧縮木材3は、厚さに若干のバラツキを有している可能性がある。そのため、本実施の形態においては、圧縮木材3の肉厚の最小値が、最終形状の肉厚以上となるように設定されることが望ましい。
【0032】
乾燥工程の後、大気中で圧縮木材3を加熱しながら圧縮木材3と略相似する形状に整形する(ステップS6)。図11は、この加熱整形工程の概要を模式的に示す図である。加熱整形工程では、一対の加熱整形用凹金型151および加熱整形用凸金型152を用いて圧縮木材3を挟持することにより、圧縮木材3を整形する。
【0033】
図11で圧縮木材3の上方に位置する加熱整形用凹金型151は、圧縮木材3の突出している側の表面に当接する平滑面を有する凹部161を備える。凹部161の表面積は、図4等に示す凹金型101の凹部111の表面積よりも小さく、整形代がほぼ均一に設けられている。なお、圧縮木材3の主板部3aと当接する部分の整形代を側板部3b、3cと当接する部分の整形代より多く取るようにしてもよい。このように、整形代の取り方は、圧縮木材3の形状や最終形状に応じて適宜変更することが可能である。
【0034】
一方、図11で圧縮木材3の下方に位置する加熱整形用凸金型152は、圧縮木材3の窪んでいる側の表面に当接する平滑面を有する凸部162を備える。凸部162の形状は、図4等に示す凸金型102の凸部121の形状と同じである。
【0035】
図12に示すように、加熱整形用凹金型151と加熱整形用凸金型152を型締めしたときに凹部161と凸部162によって形成される隙間の形状は最終形状に対応している。この最終形状の容積は、加熱整形工程によって減少する分だけ圧縮木材3の容積よりも小さい。この加熱整形工程後の圧縮木材3の形状は、最終形状と一致することが望ましいが、個々の圧縮木材3には個体差があるため、最終形状とは若干の誤差が生じる場合もある。
【0036】
加熱整形用凹金型151および加熱整形用凸金型152の内部には、熱を発生するヒータ153、154がそれぞれ設けられている。ヒータ153、154は、温度制御機能を有する制御装置155にそれぞれ接続されており、制御装置155のもとで発熱し、加熱整形用凹金型151および加熱整形用凸金型152にそれぞれ熱を加える。制御装置155は、圧縮木材3を挟持している時の金型温度を、木質部の非結晶領域が結晶化する温度以上であって木質部の熱分解温度以下となるように制御する。
【0037】
このようして、制御装置155が金型温度を制御することにより、加熱整形工程の最中に木質部の結晶化が進むと同時に木質部の密度が一段と高くなるため、木質部の表面硬度が増加する。その結果、吸湿がなく形状安定性に優れた圧縮木製品を得ることができる。
【0038】
また、凹部161と対向する圧縮木材3の外側表面に整形代が設けられているため、加熱整形時に圧縮木材3の外側表面に働く引っ張り力を極力抑えることができる。したがって、加熱整形時における圧縮木材3の表面の割れ等を防止することができる。
【0039】
また、圧縮木材3の表面を大気中で加熱整形することにより、木質部の細胞壁の内部に含まれている物質が表面に抽出され、その表面に色、艶が生じる。その結果、木材ならではの独特の風合いを醸し出すことができる。
【0040】
図13は、圧縮木材3を加熱整形することによって得られる圧縮木製品4の構成を示す斜視図である。同図に示す圧縮木製品4は、圧縮木材3の主板部3aおよび側板部3b、3cにそれぞれ対応する主板部4aおよび側板部4b、4cを有する。図13に示す破線部は、圧縮木材3の外縁を示している。すなわち、圧縮木製品4の外側面の表面積が圧縮木材3の外側面の表面積よりも小さい形状をなす。これに対し、圧縮木製品4の内側面は、圧縮木材3の内側面とほぼ同じ形状をなす。
【0041】
図14は、以上説明した圧縮木製品の製造方法によって製造された圧縮木製品の適用例であるデジタルカメラの外装体の構成を示す斜視図である。同図に示す外装体5は、デジタルカメラの前面側(被写体と対向する側)を外装するものであり、圧縮木製品4の主板部4aおよび側板部4b、4cにそれぞれ対応する主板部5aおよび側板部5b、5cを備える。主板部5aは、デジタルカメラの撮像部を表出する円筒形状の開口部51と、デジタルカメラのフラッシュを表出する直方体形状の開口部52とを有する。側板部5bは、シャッターボタンを表出する半円筒形状の切り欠き53を有する。
【0042】
図15は、外装体5によって前面側が外装されるデジタルカメラの外観構成を示す斜視図である。同図に示すデジタルカメラ301は、撮像部302と、フラッシュ303と、シャッターボタン304とを有する。撮像部302およびフラッシュ303が表出するデジタルカメラ301の前面側は、外装体5によって外装される。一方、デジタルカメラ301の背面側は、圧縮木製品4を用いて外装体5と同様に形成される外装体5Aによって外装される。このように、本実施の形態1に係る圧縮木製品の製造方法によって製造された圧縮木製品を、デジタルカメラの外装体として適用する場合には、肉厚が1.0〜1.6mm程度となるようにすればより好ましい。
【0043】
以上説明した本発明の実施の形態1によれば、相対的に強度が弱い、厚さ方向が木材の繊維方向と略平行であって圧縮を行う際の前記圧縮金型の移動方向と略直交するブランク材の部分について、前記ブランク材の部分の端面に切欠き部を設けることで、前記圧縮金型の当接面と異なるものとして前記ブランク材を圧縮することにより、木材の繊維方向を平行からずらすことができ、これにより、圧縮後のブランク材の前記部分について厚さ方向からの荷重に対する耐性を向上することができる。
【0044】
本実施の形態1では、ブランク材2の側板部2cの端面に外側面から斜めに切欠き部2dを設けているが、切欠き部2dの形状は図16〜図20に示すような構造としてもよい。図16〜図20は、実施の形態1の変形例1〜5にかかるブランク材2の側板部2cの一部断面を拡大した図である。図16に示す変形例1に係る切欠き部2dは、内側面から側板部2cの端部にかけて斜めに切削されている。このブランク材2を図5〜図7に示す金型により圧縮すると、木材の繊維方向が左上がりになるようにずれて圧縮される。変形例1では、木材の繊維方向を平行から左上がりに曲げることにより、側板部の厚さ方向からの荷重に対する耐性を向上することができる。
【0045】
また、図17に示す変形例2に係る切欠き部2dは、外側面から側板部2cの端部の中央部まで水平方向に切削後、斜めに切削されている。このブランク材2を図5〜図7に示す金型により圧縮すると、木材の繊維方向が外側面中央部までは略平行でその後右上がりになるようにずれて圧縮される。変形例2では、木材の繊維方向を中央部から右上がりに曲げることにより、側板部の厚さ方向からの荷重に対する耐性を向上することができる。
【0046】
また、図18に示す変形例3に係る切欠き部2dは、内側面から側板部2cの端部の中央部まで水平方向に切削後、斜めに切削されている。このブランク材2を図5〜図7に示す金型により圧縮すると、木材の繊維方向が内側面から中央部までは略平行でその後左上がりになるようにずれて圧縮される。変形例2では、木材の繊維方向を中央部から左上がりに曲げることにより、側板部の真横からの荷重に対する耐性を向上することができる。
【0047】
さらに、図19に示す変形例4に係る切欠き部2dは、側板部2cの端面の中央部に凹部を形成するように切削されている。このブランク材2を図5〜図7に示す金型により圧縮すると、木材の繊維方向は中央部が凸になるようにずれて圧縮される。変形例4では、木材の繊維方向を中央部が凸になるように曲げることにより、側板部の厚さ方向からの荷重に対する耐性を向上することができる。
【0048】
さらにまた、図20に示す変形例5に係る切欠き部2dは、側板部2cの端面の中央部に凸部を形成するように切削されている。このブランク材2を図5〜図7に示す金型により圧縮すると、木材の繊維方向は中央部が凹になるようにずれて圧縮される。変形例5では、木材の繊維方向を中央部が凹になるように曲げることにより、側板部の厚さ方向からの荷重に対する耐性を向上することができる。
【0049】
(実施の形態2)
実施の形態1にかかる圧縮木製品の製造方法では、厚さ方向からの荷重に対する耐性を付与したいブランク材の側板部の端面に切欠き部を設けることにより、側板部の外側面と内側面の圧縮率を変更して、木材の繊維方向を曲げているが、実施の形態2では、ブランク材の側板部に切欠き部を設けるのではなく、圧縮金型の側板部との当接部分に凸部および/または凹部を設けることにより、側板部の外側面と内側面の圧縮率を変更し、側板部の木材の繊維方向を曲げて厚さ方向からの荷重に対する耐性を付与する。
【0050】
図21は、本発明の実施の形態2に係る圧縮木製品の製造方法の処理の概要を示すフローチャートである。まず、原木1から略椀状をなすブランク材6を形取る(ステップS21)。図22は、形取工程の概要を模式的に示す図である。図23は、図22に示すブランク材6のE−E線断面図である。形取工程では、無圧縮状態にある無垢材などの原木1から、略椀状をなすブランク材6を切削等によって形取る。ブランク材6は、実施の形態1のブランク材2と同様に、略長方形の表面を有する平板状の主板部6aと、主板部6aの表面で対向する二つの長辺部の各々から主板部6aに対して湾曲して延在する二つの側板部6bと、主板部6aの表面で対向する二つの短辺部の各々から主板部6aに対して湾曲して延在する二つの側板部6cと、を備える。ブランク材6の側板部6cの端面は、図23に示すように、切欠き部を設けず、水平に切削されている点で実施の形態1のブランク材2と異なる。
【0051】
次に、形取ったブランク材6を、高温高圧の水蒸気雰囲気中で所定時間放置して、ブランク材6を軟化させる(ステップS22)。軟化の方法は実施の形態1と同様に行う。
【0052】
この後、軟化させたブランク材6を圧縮する(ステップS23)。図24は、圧縮工程の概要を示すとともに、圧縮工程で使用する金型の要部の構成を示す図である。図25は、図24のF−F線断面図である。図24および図25に示すように、ブランク材6は、一対の凹金型201、凸金型202によって挟持され、所定の圧縮力が加えられる。凸金型202のブランク材6の側板部6cと当接する部分には、凸金型202の水平部から凸部221方向に斜めに盛り上がる当接部分222が設けられている。図26は、凸金型202の一部断面を拡大した図である。当接部分222は、凸金型202の水平部から凸部221方向にh4の高さの斜面を形成している。
【0053】
図27は、圧縮工程において、凹金型201および凸金型202によってブランク材6が挟持されて所定の圧力が加えられた状態を示す図であり、ブランク材6の変形がほぼ完了した状態を示す図である。側板部6cの端面は水平であるのに対し、凹部211および凸部221が形成する隙間の側板部6cの端面との当接部分222の形状は斜めに形成され、側板部6cの端面と該端面と接する当接部分222の形状とは異なる。図27に示す状態で、ブランク材6は、凹金型201および凸金型202から圧縮力を受けることにより、軟化工程前とは異なる略椀状に変形され、側板部6cの端面は凸金型202の当接部分222と当接する形状になるよう圧縮される。これにより、側板部6cの真横からの荷重に対する耐性を向上することができる(以下、圧縮工程まで終了したブランク材6を「圧縮木材7」という)。
【0054】
図28は、圧縮木材7の一部断面の拡大図である。図29は、圧縮工程前のブランク材6の一部断面の拡大図である。図28および図29に示すように、ブランク材6の圧縮等により、圧縮木材7の側板部7cの高さはh5からh6に圧縮され、側板部7cの厚さはW4からW5に圧縮されている。側板部7cの内側面側は凸金型202の当接部分222の高さh4の分だけ外側面より圧縮率が大きくなる。このように、圧縮前のブランク材6の側板部6cでは略平行であった木材の繊維方向が、圧縮木材7の側板部7cでは、内側面の木材の繊維配列の間隔が外側面より短くなるようにずれて圧縮される(木材繊維方向が右上がり)。木材の繊維方向が平行から曲がることにより、側板部7cの厚さ方向からの荷重に対する耐性が向上する。
【0055】
圧縮工程が終了した後、凹金型201および凸金型202によって圧縮木材7を挟持し、所定の三次元形状に保持したままの状態で、上述した水蒸気雰囲気よりもさらに高温高圧の水蒸気雰囲気を凹金型201および凸金型202の周囲に形成することにより、圧縮木材7の形状を固定化する(ステップS24)。このときの水蒸気雰囲気は、実施の形態1と同様とする。
【0056】
続いて、凹金型201、凸金型202、および圧縮木材7を大気中へ放出し、圧縮木材7を乾燥させ(ステップS25)、乾燥した圧縮木材7の側板部7cおよび側板部7bの端面を水平に切削する(以下、切削工程まで終了した圧縮木材7を「圧縮木材8」という)(ステップS26)。
【0057】
切削工程の後、大気中で圧縮木材8を加熱しながら圧縮木材8と略相似する形状に整形する(ステップS27)。加熱整形工程は、実施の形態1と同様にして行なう。
【0058】
以上説明した本発明の実施の形態2によれば、厚さ方向が木材の繊維方向と略平行であって圧縮を行う際の前記圧縮金型の移動方向と略直交するブランク材の部分について、前記ブランク材の一部の端面の形状を水平に形取り、前記端面と当接する前記圧縮金型面に凸部を形成して前記ブランク材を圧縮することにより、木材の繊維方向を平行から曲げることができ、これにより圧縮後のブランク材の前記部分について厚さ方向からの荷重に対する耐性を向上することができる。
【0059】
なお、本実施の形態2では、乾燥工程(ステップS25)の後に圧縮木材の側板部の端面の切削工程を設けているが(ステップS26)、加熱整形工程で使用する加熱整形用凸金型に、圧縮工程(ステップS24)で使用する凸金型202と同様に、斜めに形成された当接部分を設けることにより切削工程を加熱整形工程の後に行うこともできる。
【0060】
また、本実施の形態2では、凸金型202の側板部6cの端面との当接部分222を、凸金型202の水平部から凸部221方向に斜めに盛り上がるように設けている。当接部分の形状は、側板部6cの端面形状(水平)と異なるものであれば、図30および図31に示すような構造としてもよい。図30および図31は、実施の形態2の変形例1および2にかかる凹金型および凸金型の一部断面を拡大した図である。図30に示す変形例1に係る凸金型202Aの当接部分222Aは、当接部分の中央が凸になるように形成されている。この凹金型201Aおよび凸金型202Aによりブランク材6を圧縮すると、木材の繊維方向は中央部が凸になるようにずれて圧縮される。変形例1では、木材の繊維方向の中央部が凸になるように曲がることにより、側板部の厚さ方向からの荷重に対する耐性を向上することができる。
【0061】
また、図31に示す変形例2に係る凸金型202Bの当接部分222Bは、当接部分の中央部分から凸部221B方向に凸部が形成されている。この凹金型201Bおよび凸金型202Bによりブランク材6を圧縮すると、木材の繊維方向は外側面中央部までは略平行でその後右上がりになるようにずれて圧縮される。変形例2では、木材の繊維方向が中央部から右上がりに曲がることにより、側板部の厚さ方向からの荷重に対する耐性を向上することができる。
【0062】
本実施の形態2では、ブランク材側板部の端面を水平とし、圧縮金型の前記側板部の端面との当接部分に凸部を設けることにより、前記ブランク材側板部の端面の形状と、前記端面と当接する前記圧縮金型面の形状とを異なるものとしているが、いずれか一方の形状を水平に固定する必要はなく、前記ブランク材側板部の端面の形状と、前記圧縮金型面の当接部分の形状とを異なるものとして圧縮し、圧縮後のブランク材側板部の木材繊維方向を平行から曲げることができる組み合わせであればよい。
【0063】
(実施の形態3)
実施の形態1および2にかかる圧縮木製品の製造方法では、略椀状のブランク材の圧縮成形方法について説明したが、実施の形態3では、板状のブランク材の圧縮成形方法について説明する。
【0064】
図32は、本発明の実施の形態3に係る圧縮木製品の製造方法の形取の概要を模式的に示す図である。ブランク材9は、図32に示すように、原木を輪切状にした平板部の一部である。ブランク材9の厚さW7方向は、図33に示す圧縮金型の移動方向と直交であり、かつ、厚さ方向W7は木材繊維方向Lと平行である。
【0065】
図33は、実施の形態3に係るブランク材9の圧縮工程を説明する断面図である。ブランク材9は、一対の凹金型301、凸金型302によって挟持され、凹金型301と凸金型302とにより上下方向から所定の圧縮力を加えることにより圧縮される。
【0066】
圧縮工程の際にブランク材9の上方から圧縮力を加える凹金型301は、ブランク材9の平板部の厚さW7と略同じ厚さの凹部を有し、ブランク材9の端面と接する当接部分311は凹状の窪みが形成されている。また、圧縮工程の際にブランク材9の下方から圧縮力を加える凸金型302は、ブランク材9の端面と接する当接部分312が凸状に形成されている。
【0067】
図33に示すように、凹金型301および凸金型302によってブランク材9を挟持して(図33−1)、所定の圧力を加えて圧縮することによりブランク材9は上下方向に圧縮される(図33−2)。ブランク材9は、圧縮により上下方向に圧縮されるとともに、その端面の形状は、凹金型301の当接部分311および凸金型302の当接部分312と当接する形状9dになるよう圧縮される。
【0068】
凹金型301および凸金型302によるブランク材9の圧縮により、ブランク材9の上部端面は凹金型301の当接部分311と当接する凸状の形状となり、ブランク材9の下部端面は凸金型302の当接部分312と当接する凹状の形状となる。また、圧縮前のブランク材9では略平行であった木材の繊維方向が、圧縮により木材の繊維方向の中央部が凸状にずれて圧縮される。木材の繊維方向が平行から曲がることにより、ブランク材9を圧縮した圧縮木材の厚さ方向からの荷重に対する耐性を向上することができる。このように板状のブランク材を圧縮した圧縮木材は、厚さ方向からの荷重に対する耐性が向上するので、3次元成形して所望の形状に成形することも可能である。
【0069】
以上説明した本発明の実施の形態3によれば、ブランク材の厚さ方向が圧縮金型の移動方向と直交し、かつ、前記厚さ方向が木材繊維方向と平行である部分について、前記ブランク材の端面の形状を水平に形取り、前記端面と当接する前記圧縮金型面に凸部を形成して、当接する端面と異なるものとして圧縮することにより、木材の繊維方向を平行からずらすことができ、これによりブランク材を圧縮した圧縮木材の前記部分について厚さ方向からの荷重に対する耐性を向上することができる。
【0070】
上記の実施の形態3では、圧縮金型のブランク材9の端面との当接部分311および当接部分312に凹部および凸部をそれぞれ設けているが、いずれか一方のみに凹部または凸部を設けることにしてもよい。あるいは、圧縮金型の当接部分は水平として、ブランク材9の端面に切欠き部を設けることにしてもよく、ブランク材9の端面の形状と、圧縮金型の当接部分の形状とを異なるものとして圧縮し、ブランク材9を圧縮した圧縮木材の繊維方向を平行から曲げることができる組み合わせであればよい。
【0071】
また、実施の形態3では、板状のブランク材の圧縮成形方法について説明したが、ブランク材の少なくとも一部の厚さ方向が圧縮金型の移動方向と直交し、かつ、前記厚さ方向が木材繊維方向と平行である部分を有するものであれば、ブランク材はL字状やコの字状であってもよい。
【0072】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態等を含みうるものであり、特許請求の範囲により特定される技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を施すことが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明に係る圧縮木製品の製造方法によって製造された圧縮木製品は、電子機器用外装体として有用であり、特にデジタルカメラの外装体として好適に使用できる。また、本発明に係る圧縮木製品の製造方法によって製造された圧縮木製品は、例えば食器、各種筐体、建材などにも適用可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 原木
2、6、9 ブランク材
2a、3a、4a、5a、6a 主板部
2b、2c、3b、3c、4b、4c、5b、5c、6b、6c 側板部
2d 切欠き部
3、7、8 圧縮木材
4 圧縮木製品
5、5A 外装体
101、201、201A、201B、301 凹金型
102、202、202A、202B、302 凸金型
111、211 凹部
121、221 凸部
151 加熱整形用凹金型
152 加熱整形用凸金型
153、154 ヒータ
155 制御装置
222、222A、222B、311 当接部分
301 デジタルカメラ
302 撮像部
303 フラッシュ
304 シャッターボタン
G 木目
L 木材繊維方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材を所定の形状に圧縮成形する圧縮木製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自然素材である木材が注目されている。木材はさまざまな木目を有するため、原木から形取る箇所に応じて個体差が生じ、その個体差が製品ごとの個性となる。また、長期の使用によって生じる傷や色合いの変化自体も、独特の風合いとなって使用者に親しみを生じさせることがある。これらの理由により、合成樹脂や軽金属を用いた製品にはない、個性的で味わい深い製品を生み出すことの出来る素材として木材が注目されており、その成形技術も飛躍的に進歩しつつある。
【0003】
従来より、木材の圧縮成形技術として、木材に対する圧縮方向をあらかじめ考慮した上で木材を形取り、その後圧縮成形することにより、圧縮成形品の強度を向上する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。この技術では、主板部と、該主板部からの全周縁から斜め外側方向に立ち上がる側板部とを備えるブランク材を、繊維が直線状に延在している形取用木材から前記主板部が前記形取用木材の繊維方向に沿うように形取り、前記主板部の板面および繊維方向に直交する方向に圧縮することにより高い強度を得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4217165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、ブランク材を圧縮した圧縮木材全体にある程度高い強度を付与することが出来るものの、例えば、板目模様の主板部と、該主板部の全周縁から所定の角度をなして延出する側板部を有する略椀形の3次元形状を有するブランク材を、主板部の板面と直交する方向から圧縮する場合、部分的に見れば、厚さ方向が木材繊維方向と平行な側板部は、主板部や厚さ方向が木材繊維方向と直交する側板部と比較して、厚さ方向からの荷重に対する耐性が弱いという問題を有している。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、板状体や3次元形状を有するブランク材を圧縮した圧縮木材において、厚さ方向が圧縮方向と直交し、かつ厚さ方向が木材繊維方向と平行である部分の強度を向上する圧縮木製品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る圧縮木製品の製造方法は、原木から形取られたブランク材を、圧縮金型を用いて圧縮することによって圧縮木製品を製造する圧縮木製品の製造方法であって、厚さ方向が木材の繊維方向と略平行であって圧縮を行う際の前記圧縮金型の移動方向と略直交するとともに、端面が圧縮時に対向する前記圧縮金型の当接面と異なる形状をなすブランク材を形取る形取工程を含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る圧縮木製品の製造方法は、上記発明において、前記ブランク材は、厚さ方向が前記木材の繊維方向と略直交する主板部と、該主板部の全周縁から所定の角度をなして延出する側板部と、からなる略椀状であり、前記側板部が、その厚さ方向が木材の繊維方向と略平行であって圧縮を行う際の前記圧縮金型の移動方向と略直交する部分を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る圧縮木製品の製造方法は、上記発明において、前記ブランク材は、板状をなすことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る圧縮木製品の製造方法は、上記発明において、前記ブランク材の前記端面を前記当接面に対し傾斜させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る圧縮木製品の製造方法は、上記発明において、前記ブランク材の前記端面に、凹部および/または凸部を形成することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る圧縮木製品の製造方法は、上記発明において、前記当接面を前記ブランク材の前記端面に対し傾斜させることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る圧縮木製品の製造方法は、上記発明において、前記圧縮金型の前記当接面に、凹部および/または凸部を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、厚さ方向が木材の繊維方向と略平行であって圧縮を行う際の前記圧縮金型の移動方向と略直交するとともに、端面が圧縮時に対向する前記圧縮金型の当接面と異なる形状をなすブランク材を形取り、圧縮金型により該ブランク材を圧縮することにより、前記ブランク材を圧縮した圧縮木材の厚さ方向からの荷重に対する耐性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る圧縮木製品の製造方法の概要を示すフローチャートである。
【図2】図2は、本発明の実施の形態1に係る圧縮木製品の製造方法の形取工程の概要を模式的に示す図である。
【図3】図3は、図2に示すブランク材のA−A線断面図である。
【図4】図4は、図2に示すブランク材のB−B線断面図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態1に係る圧縮木製品の製造方法の圧縮工程の概要を模式的に示す図である。
【図6】図6は、図5のC−C線断面図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態1に係る圧縮木製品の製造方法の圧縮工程において、ブランク材の変形がほぼ完了した状態を示す図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態1に係る圧縮木製品の製造方法の圧縮工程終了後の圧縮木材の構成を示す斜視図である。
【図9】図9は、図8のD−D線の一部断面を拡大した図である。
【図10】図10は、図5に示すブランク材のC−C線の一部断面を拡大した図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態1に係る圧縮木製品の製造方法の加熱整形工程の概要を模式的に示す図である。
【図12】図12は、本発明の実施の形態1に係る圧縮木製品の製造方法の加熱整形工程において、一対の加熱整形用凹金型と加熱整形用凸金型とを型締めした状態を模式的に示す図である。
【図13】図13は、本発明の実施の形態1に係る圧縮木製品の製造方法の加熱整形工程後のブランク材の構成を示す斜視図である。
【図14】図14は、本発明の実施の形態1に係る圧縮木製品の製造方法によって製造された圧縮木製品の適用例であるデジタルカメラの外装体の構成を示す斜視図である。
【図15】図15は、図14に示す外装体によって外装されるデジタルカメラの外観構成を示す斜視図である。
【図16】図16は、実施の形態1の変形例1に係るブランク材の側板部の一部断面を拡大した図である。
【図17】図17は、実施の形態1の変形例2に係るブランク材の側板部の一部断面を拡大した図である。
【図18】図18は、実施の形態1の変形例3に係るブランク材の側板部の一部断面を拡大した図である。
【図19】図19は、実施の形態1の変形例4に係るブランク材の側板部の一部断面を拡大した図である。
【図20】図20は、実施の形態1の変形例5に係るブランク材の側板部の一部断面を拡大した図である。
【図21】図21は、本発明の実施の形態2に係る圧縮木製品の製造方法の概要を示すフローチャートである。
【図22】図22は、本発明の実施の形態2に係る圧縮木製品の製造方法の形取工程の概要を模式的に示す図である。
【図23】図23は、図22に示すブランク材のE−E線断面図である。
【図24】図24は、本発明の実施の形態2に係る圧縮木製品の製造方法の圧縮工程の概要を模式的に示す図である。
【図25】図25は、図24のF−F線断面図である。
【図26】図26は、本発明の実施の形態2で使用する凸金型の一部断面を拡大した図である。
【図27】図27は、本発明の実施の形態2に係る圧縮木製品の製造方法の圧縮工程において、ブランク材の変形がほぼ完了した状態を示す図である。
【図28】図28は、圧縮木材の一部断面の拡大図である。
【図29】図29は、圧縮工程前のブランク材の一部断面の拡大図である。
【図30】図30は、実施の形態2の変形例1にかかる凹金型および凸金型の一部断面を拡大した図である。
【図31】図31は、実施の形態2の変形例2にかかる凹金型および凸金型の一部断面を拡大した図である。
【図32】図32は、本発明の実施の形態3に係る圧縮木製品の製造方法の形取の概要を模式的に示す図である。
【図33】図33は、実施の形態3に係るブランク材の圧縮工程を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。なお、以下の説明で参照する図面は模式的なものであって、同じ物体を異なる図面で示す場合には、寸法や縮尺等が異なる場合もある。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明の一実施の形態に係る圧縮木製品の製造方法の処理の概要を示すフローチャートである。まず、原木から略椀状をなすブランク材を形取る(ステップS1)。図2は、形取工程の概要を模式的に示す図である。形取工程では、無圧縮状態にある無垢材などの原木1から、略椀状をなすブランク材2を切削等によって形取る。
【0018】
図3および図4に、図2に示すブランク材2のA−A線断面図およびB−B線断面図を示す。ブランク材2は、略長方形の表面を有する平板状の主板部2aと、主板部2aの表面で対向する二つの長辺部の各々から主板部2aに対して湾曲して延在する二つの側板部2bと、主板部2aの表面で対向する二つの短辺部の各々から主板部2aに対して湾曲して延在する二つの側板部2cと、を備える。図3に示すように、二つの側板部2cには、外側面から側板部2cの端部にかけて斜めの切欠き部2dが設けられている。図2〜図4に示すように、短辺部である側板部2cは、その厚さW1方向が、後述する圧縮工程での圧縮金型の移動方向と直交し、木材繊維方向Lと平行であるブランク材2の部分である。側板部2cは、木材の強度異方性により、主板部2aおよび側板部2bより厚さ方向からの荷重に対する耐性が弱い。本実施の形態1では、側板部2cに切欠き部2dを設け、その後圧縮金型による圧縮により側板部2cの外側面側と内側面側の圧縮率を変更することにより、木材の繊維方向を曲げている。
【0019】
ブランク材2は、後述する圧縮工程によって減少する分の容積を予め加えた容積を有する。なお、図2では、主板部2aの木目Gがブランク材2の繊維方向と略平行な板目材を形取った場合を示しているが、形取工程で形取るブランク材は、その部分の厚さ方向が、圧縮工程での圧縮金型の移動方向と直交し、木材繊維方向Lと平行である部分を有していれば、柾目材でもよい。また、ブランク材2の形状はあくまでも一例に過ぎない。すなわち、ここでいう略椀状には、椀状のほか皿状や函形状などの形状も含まれるものとする。
【0020】
次に、形取ったブランク材2を、高温高圧の水蒸気雰囲気中で所定時間放置して、ブランク材2を軟化させる(ステップS2)。この水蒸気雰囲気は、圧力が0.1〜0.6MPa程度であり、温度が100〜160℃程度である。このような水蒸気雰囲気は、圧力容器を用いることによって実現される。圧力容器を用いる場合には、上記水蒸気雰囲気を有する圧力容器の中にブランク材2を放置することによって軟化させればよい。なお、高温高圧の水蒸気雰囲気中でブランク材2を軟化させる代わりに、マイクロ波によってブランク材2を加熱して軟化させてもよい。またブランク材2を煮沸して軟化させてもよい。
【0021】
この後、軟化させたブランク材2を圧縮する(ステップS3)。この工程では、軟化工程と同じ水蒸気雰囲気中で一対の金型を用いてブランク材2を挟持して圧縮力を加えることにより、ブランク材2を軟化工程前とは異なる略椀状に変形させる。圧力容器の中でブランク材2を軟化させた場合には、引き続きその圧力容器の中でブランク材2を圧縮すればよい。
【0022】
図5は、圧縮工程の概要を示すとともに、圧縮工程で使用する金型の要部の構成を示す図である。図6は、図5のC−C線断面図である。図5および図6に示すように、ブランク材2は、一対の凹金型101、凸金型102によって挟持され、所定の圧縮力が加えられる。
【0023】
圧縮工程の際にブランク材2の上方から圧縮力を加える凹金型101は、ブランク材2の突出している外側面に当接する平滑面を有する凹部111を備える。主板部2aから側板部2bにかけて湾曲する部分の表面であって凹金型101と対向する側の表面の曲率半径をROとし、この表面に当接する凹部111の表面の曲率半径をRAとすると、二つの曲率半径RO、RAは、RO≧RAという関係を満たす。
【0024】
一方、圧縮工程の際にブランク材2の下方から圧縮力を加える凸金型102は、ブランク材2の窪んでいる内側面に当接する平滑面を有する凸部121を備える。主板部2aから側板部2bにかけて湾曲する部分の表面であって凸金型102と対向する側の表面の曲率半径をRIとし、この表面に当接する凸部121の表面の曲率半径をRBとすると、二つの曲率半径RI、RBは、RI≧RBという関係を満たす。
【0025】
図7は、圧縮工程において、凹金型101および凸金型102によってブランク材2が挟持されて所定の圧力が加えられた状態を示す図であり、ブランク材2の変形がほぼ完了した状態を示す図である。図7に示す状態で、ブランク材2は、凹金型101および凸金型102から圧縮力を受けることにより、軟化工程前とは異なる略椀状に変形する。ここでいう略椀状は、凹金型101と凸金型102が最接近した状態で凹部111および凸部121が形成する隙間に相当する形状である。凹部111および凸部121が形成する隙間の側板部2cの端面との当接部分122の形状は水平であり、側板部2cの切欠き部2dを含む端面の形状と異なる。側板部2cの端面の形状と、凸金型102の当接部分122の形状とを異なるものとして、ブランク材2を凹金型101および凸金型102により圧縮することにより、側板部2cの厚さ方向からの荷重に対する耐性を向上することができる。
【0026】
なお、凸金型102の凸部121の表面は、本実施の形態に係る圧縮木製品の製造方法によって形成されるべき圧縮木製品の形状、すなわち後述する加熱整形工程(ステップS6)の後で到達すべき形状(以下、「最終形状」という)と同じ形状をなしている。したがって、圧縮工程後のブランク材2において、凸部121と対向して凹状をなす内側面の形状は、最終形状と略等しくなる。これに対して、凹金型101の凹部111の表面積は、最終形状における略椀状の外側面の表面積よりも大きい。
【0027】
圧縮工程が終了した後(以後、圧縮工程が終了したブランク材2を「圧縮木材」という)、凹金型101および凸金型102によって圧縮木材を挟持し、所定の三次元形状に保持したままの状態で、上述した水蒸気雰囲気よりもさらに高温高圧の水蒸気雰囲気を凹金型101および凸金型102の周囲に形成することにより、圧縮木材の形状を固定化する(ステップS4)。このときの水蒸気雰囲気は、圧力が0.6〜3.4MPa程度であるとともに、温度が160〜240℃程度であり、圧縮工程における水蒸気雰囲気よりも高温高圧となるように定められる。この固定化処理を圧力容器中で行う場合には、軟化工程における容器内圧力を上述した範囲に含まれる値とすればよい。
【0028】
続いて、凹金型101、凸金型102、および圧縮木材を大気中へ放出し、圧縮木材を乾燥させる(ステップS5)。この際には、凹金型101と凸金型102を離間することによってブランク材2の乾燥を促進するようにしてもよい。
【0029】
図8は、乾燥工程が終了した圧縮木材(以下、乾燥工程終了後の圧縮木材を「圧縮木材3」という)の構成を示す斜視図である。圧縮木材3は、ブランク材2の主板部2aおよび側板部2b、2cにそれぞれ対応する主板部3aおよび側板部3b、3cを有する。図8に示すように、圧縮金型(凹金型101および凸金型102)による圧縮工程により、圧縮木材3の側板部3cの端面は金型の当接部分122と同様の水平形状に圧縮される。
【0030】
図9は、図8の圧縮木材3のD−D線の一部断面を拡大した図である。図10は、図5に示すブランク材2のC−C線の一部断面を拡大した図である。図9および図10に示すように、ブランク材2の圧縮等により、圧縮木材3の側板部3cの高さはh1からh3に圧縮され、側板部3cの厚さはW1からW3に圧縮されている。側板部2cの外側面は切欠き部2dの高さh2の分だけ内側面より圧縮率が小さくなる。このように、圧縮前のブランク材2の側板部2cでは略平行であった木材の繊維配列が、圧縮木材3の側板部3cでは、内側面の木材の繊維配列の間隔が外側面より短くなるようにずれて圧縮される(繊維方向が右上がり)。木材の繊維方向を平行から曲げることにより、側板部3cの厚さ方向からの荷重に対する耐性が向上する。
【0031】
なお、圧縮木材3の略椀状における内側面の形状は、その外側面の形状よりも最終形状に近い。乾燥工程後の圧縮木材3の主板部3aの肉厚は、圧縮工程前のブランク材2の主板部2aの厚さの20〜50%程度であるのが好ましい。ここで、圧縮木材3は、厚さに若干のバラツキを有している可能性がある。そのため、本実施の形態においては、圧縮木材3の肉厚の最小値が、最終形状の肉厚以上となるように設定されることが望ましい。
【0032】
乾燥工程の後、大気中で圧縮木材3を加熱しながら圧縮木材3と略相似する形状に整形する(ステップS6)。図11は、この加熱整形工程の概要を模式的に示す図である。加熱整形工程では、一対の加熱整形用凹金型151および加熱整形用凸金型152を用いて圧縮木材3を挟持することにより、圧縮木材3を整形する。
【0033】
図11で圧縮木材3の上方に位置する加熱整形用凹金型151は、圧縮木材3の突出している側の表面に当接する平滑面を有する凹部161を備える。凹部161の表面積は、図4等に示す凹金型101の凹部111の表面積よりも小さく、整形代がほぼ均一に設けられている。なお、圧縮木材3の主板部3aと当接する部分の整形代を側板部3b、3cと当接する部分の整形代より多く取るようにしてもよい。このように、整形代の取り方は、圧縮木材3の形状や最終形状に応じて適宜変更することが可能である。
【0034】
一方、図11で圧縮木材3の下方に位置する加熱整形用凸金型152は、圧縮木材3の窪んでいる側の表面に当接する平滑面を有する凸部162を備える。凸部162の形状は、図4等に示す凸金型102の凸部121の形状と同じである。
【0035】
図12に示すように、加熱整形用凹金型151と加熱整形用凸金型152を型締めしたときに凹部161と凸部162によって形成される隙間の形状は最終形状に対応している。この最終形状の容積は、加熱整形工程によって減少する分だけ圧縮木材3の容積よりも小さい。この加熱整形工程後の圧縮木材3の形状は、最終形状と一致することが望ましいが、個々の圧縮木材3には個体差があるため、最終形状とは若干の誤差が生じる場合もある。
【0036】
加熱整形用凹金型151および加熱整形用凸金型152の内部には、熱を発生するヒータ153、154がそれぞれ設けられている。ヒータ153、154は、温度制御機能を有する制御装置155にそれぞれ接続されており、制御装置155のもとで発熱し、加熱整形用凹金型151および加熱整形用凸金型152にそれぞれ熱を加える。制御装置155は、圧縮木材3を挟持している時の金型温度を、木質部の非結晶領域が結晶化する温度以上であって木質部の熱分解温度以下となるように制御する。
【0037】
このようして、制御装置155が金型温度を制御することにより、加熱整形工程の最中に木質部の結晶化が進むと同時に木質部の密度が一段と高くなるため、木質部の表面硬度が増加する。その結果、吸湿がなく形状安定性に優れた圧縮木製品を得ることができる。
【0038】
また、凹部161と対向する圧縮木材3の外側表面に整形代が設けられているため、加熱整形時に圧縮木材3の外側表面に働く引っ張り力を極力抑えることができる。したがって、加熱整形時における圧縮木材3の表面の割れ等を防止することができる。
【0039】
また、圧縮木材3の表面を大気中で加熱整形することにより、木質部の細胞壁の内部に含まれている物質が表面に抽出され、その表面に色、艶が生じる。その結果、木材ならではの独特の風合いを醸し出すことができる。
【0040】
図13は、圧縮木材3を加熱整形することによって得られる圧縮木製品4の構成を示す斜視図である。同図に示す圧縮木製品4は、圧縮木材3の主板部3aおよび側板部3b、3cにそれぞれ対応する主板部4aおよび側板部4b、4cを有する。図13に示す破線部は、圧縮木材3の外縁を示している。すなわち、圧縮木製品4の外側面の表面積が圧縮木材3の外側面の表面積よりも小さい形状をなす。これに対し、圧縮木製品4の内側面は、圧縮木材3の内側面とほぼ同じ形状をなす。
【0041】
図14は、以上説明した圧縮木製品の製造方法によって製造された圧縮木製品の適用例であるデジタルカメラの外装体の構成を示す斜視図である。同図に示す外装体5は、デジタルカメラの前面側(被写体と対向する側)を外装するものであり、圧縮木製品4の主板部4aおよび側板部4b、4cにそれぞれ対応する主板部5aおよび側板部5b、5cを備える。主板部5aは、デジタルカメラの撮像部を表出する円筒形状の開口部51と、デジタルカメラのフラッシュを表出する直方体形状の開口部52とを有する。側板部5bは、シャッターボタンを表出する半円筒形状の切り欠き53を有する。
【0042】
図15は、外装体5によって前面側が外装されるデジタルカメラの外観構成を示す斜視図である。同図に示すデジタルカメラ301は、撮像部302と、フラッシュ303と、シャッターボタン304とを有する。撮像部302およびフラッシュ303が表出するデジタルカメラ301の前面側は、外装体5によって外装される。一方、デジタルカメラ301の背面側は、圧縮木製品4を用いて外装体5と同様に形成される外装体5Aによって外装される。このように、本実施の形態1に係る圧縮木製品の製造方法によって製造された圧縮木製品を、デジタルカメラの外装体として適用する場合には、肉厚が1.0〜1.6mm程度となるようにすればより好ましい。
【0043】
以上説明した本発明の実施の形態1によれば、相対的に強度が弱い、厚さ方向が木材の繊維方向と略平行であって圧縮を行う際の前記圧縮金型の移動方向と略直交するブランク材の部分について、前記ブランク材の部分の端面に切欠き部を設けることで、前記圧縮金型の当接面と異なるものとして前記ブランク材を圧縮することにより、木材の繊維方向を平行からずらすことができ、これにより、圧縮後のブランク材の前記部分について厚さ方向からの荷重に対する耐性を向上することができる。
【0044】
本実施の形態1では、ブランク材2の側板部2cの端面に外側面から斜めに切欠き部2dを設けているが、切欠き部2dの形状は図16〜図20に示すような構造としてもよい。図16〜図20は、実施の形態1の変形例1〜5にかかるブランク材2の側板部2cの一部断面を拡大した図である。図16に示す変形例1に係る切欠き部2dは、内側面から側板部2cの端部にかけて斜めに切削されている。このブランク材2を図5〜図7に示す金型により圧縮すると、木材の繊維方向が左上がりになるようにずれて圧縮される。変形例1では、木材の繊維方向を平行から左上がりに曲げることにより、側板部の厚さ方向からの荷重に対する耐性を向上することができる。
【0045】
また、図17に示す変形例2に係る切欠き部2dは、外側面から側板部2cの端部の中央部まで水平方向に切削後、斜めに切削されている。このブランク材2を図5〜図7に示す金型により圧縮すると、木材の繊維方向が外側面中央部までは略平行でその後右上がりになるようにずれて圧縮される。変形例2では、木材の繊維方向を中央部から右上がりに曲げることにより、側板部の厚さ方向からの荷重に対する耐性を向上することができる。
【0046】
また、図18に示す変形例3に係る切欠き部2dは、内側面から側板部2cの端部の中央部まで水平方向に切削後、斜めに切削されている。このブランク材2を図5〜図7に示す金型により圧縮すると、木材の繊維方向が内側面から中央部までは略平行でその後左上がりになるようにずれて圧縮される。変形例2では、木材の繊維方向を中央部から左上がりに曲げることにより、側板部の真横からの荷重に対する耐性を向上することができる。
【0047】
さらに、図19に示す変形例4に係る切欠き部2dは、側板部2cの端面の中央部に凹部を形成するように切削されている。このブランク材2を図5〜図7に示す金型により圧縮すると、木材の繊維方向は中央部が凸になるようにずれて圧縮される。変形例4では、木材の繊維方向を中央部が凸になるように曲げることにより、側板部の厚さ方向からの荷重に対する耐性を向上することができる。
【0048】
さらにまた、図20に示す変形例5に係る切欠き部2dは、側板部2cの端面の中央部に凸部を形成するように切削されている。このブランク材2を図5〜図7に示す金型により圧縮すると、木材の繊維方向は中央部が凹になるようにずれて圧縮される。変形例5では、木材の繊維方向を中央部が凹になるように曲げることにより、側板部の厚さ方向からの荷重に対する耐性を向上することができる。
【0049】
(実施の形態2)
実施の形態1にかかる圧縮木製品の製造方法では、厚さ方向からの荷重に対する耐性を付与したいブランク材の側板部の端面に切欠き部を設けることにより、側板部の外側面と内側面の圧縮率を変更して、木材の繊維方向を曲げているが、実施の形態2では、ブランク材の側板部に切欠き部を設けるのではなく、圧縮金型の側板部との当接部分に凸部および/または凹部を設けることにより、側板部の外側面と内側面の圧縮率を変更し、側板部の木材の繊維方向を曲げて厚さ方向からの荷重に対する耐性を付与する。
【0050】
図21は、本発明の実施の形態2に係る圧縮木製品の製造方法の処理の概要を示すフローチャートである。まず、原木1から略椀状をなすブランク材6を形取る(ステップS21)。図22は、形取工程の概要を模式的に示す図である。図23は、図22に示すブランク材6のE−E線断面図である。形取工程では、無圧縮状態にある無垢材などの原木1から、略椀状をなすブランク材6を切削等によって形取る。ブランク材6は、実施の形態1のブランク材2と同様に、略長方形の表面を有する平板状の主板部6aと、主板部6aの表面で対向する二つの長辺部の各々から主板部6aに対して湾曲して延在する二つの側板部6bと、主板部6aの表面で対向する二つの短辺部の各々から主板部6aに対して湾曲して延在する二つの側板部6cと、を備える。ブランク材6の側板部6cの端面は、図23に示すように、切欠き部を設けず、水平に切削されている点で実施の形態1のブランク材2と異なる。
【0051】
次に、形取ったブランク材6を、高温高圧の水蒸気雰囲気中で所定時間放置して、ブランク材6を軟化させる(ステップS22)。軟化の方法は実施の形態1と同様に行う。
【0052】
この後、軟化させたブランク材6を圧縮する(ステップS23)。図24は、圧縮工程の概要を示すとともに、圧縮工程で使用する金型の要部の構成を示す図である。図25は、図24のF−F線断面図である。図24および図25に示すように、ブランク材6は、一対の凹金型201、凸金型202によって挟持され、所定の圧縮力が加えられる。凸金型202のブランク材6の側板部6cと当接する部分には、凸金型202の水平部から凸部221方向に斜めに盛り上がる当接部分222が設けられている。図26は、凸金型202の一部断面を拡大した図である。当接部分222は、凸金型202の水平部から凸部221方向にh4の高さの斜面を形成している。
【0053】
図27は、圧縮工程において、凹金型201および凸金型202によってブランク材6が挟持されて所定の圧力が加えられた状態を示す図であり、ブランク材6の変形がほぼ完了した状態を示す図である。側板部6cの端面は水平であるのに対し、凹部211および凸部221が形成する隙間の側板部6cの端面との当接部分222の形状は斜めに形成され、側板部6cの端面と該端面と接する当接部分222の形状とは異なる。図27に示す状態で、ブランク材6は、凹金型201および凸金型202から圧縮力を受けることにより、軟化工程前とは異なる略椀状に変形され、側板部6cの端面は凸金型202の当接部分222と当接する形状になるよう圧縮される。これにより、側板部6cの真横からの荷重に対する耐性を向上することができる(以下、圧縮工程まで終了したブランク材6を「圧縮木材7」という)。
【0054】
図28は、圧縮木材7の一部断面の拡大図である。図29は、圧縮工程前のブランク材6の一部断面の拡大図である。図28および図29に示すように、ブランク材6の圧縮等により、圧縮木材7の側板部7cの高さはh5からh6に圧縮され、側板部7cの厚さはW4からW5に圧縮されている。側板部7cの内側面側は凸金型202の当接部分222の高さh4の分だけ外側面より圧縮率が大きくなる。このように、圧縮前のブランク材6の側板部6cでは略平行であった木材の繊維方向が、圧縮木材7の側板部7cでは、内側面の木材の繊維配列の間隔が外側面より短くなるようにずれて圧縮される(木材繊維方向が右上がり)。木材の繊維方向が平行から曲がることにより、側板部7cの厚さ方向からの荷重に対する耐性が向上する。
【0055】
圧縮工程が終了した後、凹金型201および凸金型202によって圧縮木材7を挟持し、所定の三次元形状に保持したままの状態で、上述した水蒸気雰囲気よりもさらに高温高圧の水蒸気雰囲気を凹金型201および凸金型202の周囲に形成することにより、圧縮木材7の形状を固定化する(ステップS24)。このときの水蒸気雰囲気は、実施の形態1と同様とする。
【0056】
続いて、凹金型201、凸金型202、および圧縮木材7を大気中へ放出し、圧縮木材7を乾燥させ(ステップS25)、乾燥した圧縮木材7の側板部7cおよび側板部7bの端面を水平に切削する(以下、切削工程まで終了した圧縮木材7を「圧縮木材8」という)(ステップS26)。
【0057】
切削工程の後、大気中で圧縮木材8を加熱しながら圧縮木材8と略相似する形状に整形する(ステップS27)。加熱整形工程は、実施の形態1と同様にして行なう。
【0058】
以上説明した本発明の実施の形態2によれば、厚さ方向が木材の繊維方向と略平行であって圧縮を行う際の前記圧縮金型の移動方向と略直交するブランク材の部分について、前記ブランク材の一部の端面の形状を水平に形取り、前記端面と当接する前記圧縮金型面に凸部を形成して前記ブランク材を圧縮することにより、木材の繊維方向を平行から曲げることができ、これにより圧縮後のブランク材の前記部分について厚さ方向からの荷重に対する耐性を向上することができる。
【0059】
なお、本実施の形態2では、乾燥工程(ステップS25)の後に圧縮木材の側板部の端面の切削工程を設けているが(ステップS26)、加熱整形工程で使用する加熱整形用凸金型に、圧縮工程(ステップS24)で使用する凸金型202と同様に、斜めに形成された当接部分を設けることにより切削工程を加熱整形工程の後に行うこともできる。
【0060】
また、本実施の形態2では、凸金型202の側板部6cの端面との当接部分222を、凸金型202の水平部から凸部221方向に斜めに盛り上がるように設けている。当接部分の形状は、側板部6cの端面形状(水平)と異なるものであれば、図30および図31に示すような構造としてもよい。図30および図31は、実施の形態2の変形例1および2にかかる凹金型および凸金型の一部断面を拡大した図である。図30に示す変形例1に係る凸金型202Aの当接部分222Aは、当接部分の中央が凸になるように形成されている。この凹金型201Aおよび凸金型202Aによりブランク材6を圧縮すると、木材の繊維方向は中央部が凸になるようにずれて圧縮される。変形例1では、木材の繊維方向の中央部が凸になるように曲がることにより、側板部の厚さ方向からの荷重に対する耐性を向上することができる。
【0061】
また、図31に示す変形例2に係る凸金型202Bの当接部分222Bは、当接部分の中央部分から凸部221B方向に凸部が形成されている。この凹金型201Bおよび凸金型202Bによりブランク材6を圧縮すると、木材の繊維方向は外側面中央部までは略平行でその後右上がりになるようにずれて圧縮される。変形例2では、木材の繊維方向が中央部から右上がりに曲がることにより、側板部の厚さ方向からの荷重に対する耐性を向上することができる。
【0062】
本実施の形態2では、ブランク材側板部の端面を水平とし、圧縮金型の前記側板部の端面との当接部分に凸部を設けることにより、前記ブランク材側板部の端面の形状と、前記端面と当接する前記圧縮金型面の形状とを異なるものとしているが、いずれか一方の形状を水平に固定する必要はなく、前記ブランク材側板部の端面の形状と、前記圧縮金型面の当接部分の形状とを異なるものとして圧縮し、圧縮後のブランク材側板部の木材繊維方向を平行から曲げることができる組み合わせであればよい。
【0063】
(実施の形態3)
実施の形態1および2にかかる圧縮木製品の製造方法では、略椀状のブランク材の圧縮成形方法について説明したが、実施の形態3では、板状のブランク材の圧縮成形方法について説明する。
【0064】
図32は、本発明の実施の形態3に係る圧縮木製品の製造方法の形取の概要を模式的に示す図である。ブランク材9は、図32に示すように、原木を輪切状にした平板部の一部である。ブランク材9の厚さW7方向は、図33に示す圧縮金型の移動方向と直交であり、かつ、厚さ方向W7は木材繊維方向Lと平行である。
【0065】
図33は、実施の形態3に係るブランク材9の圧縮工程を説明する断面図である。ブランク材9は、一対の凹金型301、凸金型302によって挟持され、凹金型301と凸金型302とにより上下方向から所定の圧縮力を加えることにより圧縮される。
【0066】
圧縮工程の際にブランク材9の上方から圧縮力を加える凹金型301は、ブランク材9の平板部の厚さW7と略同じ厚さの凹部を有し、ブランク材9の端面と接する当接部分311は凹状の窪みが形成されている。また、圧縮工程の際にブランク材9の下方から圧縮力を加える凸金型302は、ブランク材9の端面と接する当接部分312が凸状に形成されている。
【0067】
図33に示すように、凹金型301および凸金型302によってブランク材9を挟持して(図33−1)、所定の圧力を加えて圧縮することによりブランク材9は上下方向に圧縮される(図33−2)。ブランク材9は、圧縮により上下方向に圧縮されるとともに、その端面の形状は、凹金型301の当接部分311および凸金型302の当接部分312と当接する形状9dになるよう圧縮される。
【0068】
凹金型301および凸金型302によるブランク材9の圧縮により、ブランク材9の上部端面は凹金型301の当接部分311と当接する凸状の形状となり、ブランク材9の下部端面は凸金型302の当接部分312と当接する凹状の形状となる。また、圧縮前のブランク材9では略平行であった木材の繊維方向が、圧縮により木材の繊維方向の中央部が凸状にずれて圧縮される。木材の繊維方向が平行から曲がることにより、ブランク材9を圧縮した圧縮木材の厚さ方向からの荷重に対する耐性を向上することができる。このように板状のブランク材を圧縮した圧縮木材は、厚さ方向からの荷重に対する耐性が向上するので、3次元成形して所望の形状に成形することも可能である。
【0069】
以上説明した本発明の実施の形態3によれば、ブランク材の厚さ方向が圧縮金型の移動方向と直交し、かつ、前記厚さ方向が木材繊維方向と平行である部分について、前記ブランク材の端面の形状を水平に形取り、前記端面と当接する前記圧縮金型面に凸部を形成して、当接する端面と異なるものとして圧縮することにより、木材の繊維方向を平行からずらすことができ、これによりブランク材を圧縮した圧縮木材の前記部分について厚さ方向からの荷重に対する耐性を向上することができる。
【0070】
上記の実施の形態3では、圧縮金型のブランク材9の端面との当接部分311および当接部分312に凹部および凸部をそれぞれ設けているが、いずれか一方のみに凹部または凸部を設けることにしてもよい。あるいは、圧縮金型の当接部分は水平として、ブランク材9の端面に切欠き部を設けることにしてもよく、ブランク材9の端面の形状と、圧縮金型の当接部分の形状とを異なるものとして圧縮し、ブランク材9を圧縮した圧縮木材の繊維方向を平行から曲げることができる組み合わせであればよい。
【0071】
また、実施の形態3では、板状のブランク材の圧縮成形方法について説明したが、ブランク材の少なくとも一部の厚さ方向が圧縮金型の移動方向と直交し、かつ、前記厚さ方向が木材繊維方向と平行である部分を有するものであれば、ブランク材はL字状やコの字状であってもよい。
【0072】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態等を含みうるものであり、特許請求の範囲により特定される技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を施すことが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明に係る圧縮木製品の製造方法によって製造された圧縮木製品は、電子機器用外装体として有用であり、特にデジタルカメラの外装体として好適に使用できる。また、本発明に係る圧縮木製品の製造方法によって製造された圧縮木製品は、例えば食器、各種筐体、建材などにも適用可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 原木
2、6、9 ブランク材
2a、3a、4a、5a、6a 主板部
2b、2c、3b、3c、4b、4c、5b、5c、6b、6c 側板部
2d 切欠き部
3、7、8 圧縮木材
4 圧縮木製品
5、5A 外装体
101、201、201A、201B、301 凹金型
102、202、202A、202B、302 凸金型
111、211 凹部
121、221 凸部
151 加熱整形用凹金型
152 加熱整形用凸金型
153、154 ヒータ
155 制御装置
222、222A、222B、311 当接部分
301 デジタルカメラ
302 撮像部
303 フラッシュ
304 シャッターボタン
G 木目
L 木材繊維方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原木から形取られたブランク材を、圧縮金型を用いて圧縮することによって圧縮木製品を製造する圧縮木製品の製造方法であって、
厚さ方向が木材の繊維方向と略平行であって圧縮を行う際の前記圧縮金型の移動方向と略直交するとともに、端面が圧縮時に対向する前記圧縮金型の当接面と異なる形状をなすブランク材を形取る形取工程を含むことを特徴とする圧縮木製品の製造方法。
【請求項2】
前記ブランク材は、
厚さ方向が前記木材の繊維方向と略直交する主板部と、
該主板部の全周縁から所定の角度をなして延出する側板部と、
からなる略椀状であり、前記側板部が、その厚さ方向が木材の繊維方向と略平行であって圧縮を行う際の前記圧縮金型の移動方向と略直交する部分を有することを特徴とする請求項1に記載の圧縮木製品の製造方法。
【請求項3】
前記ブランク材は、板状をなすことを特徴とする請求項1に記載の圧縮木製品の製造方法。
【請求項4】
前記ブランク材の前記端面を前記当接面に対し傾斜させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の圧縮木製品の製造方法。
【請求項5】
前記ブランク材の前記端面に、凹部および/または凸部を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の圧縮木製品の製造方法。
【請求項6】
前記当接面を前記ブランク材の前記端面に対し傾斜させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の圧縮木製品の製造方法。
【請求項7】
前記圧縮金型の前記当接面に、凹部および/または凸部を形成することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の圧縮木製品の製造方法。
【請求項1】
原木から形取られたブランク材を、圧縮金型を用いて圧縮することによって圧縮木製品を製造する圧縮木製品の製造方法であって、
厚さ方向が木材の繊維方向と略平行であって圧縮を行う際の前記圧縮金型の移動方向と略直交するとともに、端面が圧縮時に対向する前記圧縮金型の当接面と異なる形状をなすブランク材を形取る形取工程を含むことを特徴とする圧縮木製品の製造方法。
【請求項2】
前記ブランク材は、
厚さ方向が前記木材の繊維方向と略直交する主板部と、
該主板部の全周縁から所定の角度をなして延出する側板部と、
からなる略椀状であり、前記側板部が、その厚さ方向が木材の繊維方向と略平行であって圧縮を行う際の前記圧縮金型の移動方向と略直交する部分を有することを特徴とする請求項1に記載の圧縮木製品の製造方法。
【請求項3】
前記ブランク材は、板状をなすことを特徴とする請求項1に記載の圧縮木製品の製造方法。
【請求項4】
前記ブランク材の前記端面を前記当接面に対し傾斜させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の圧縮木製品の製造方法。
【請求項5】
前記ブランク材の前記端面に、凹部および/または凸部を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の圧縮木製品の製造方法。
【請求項6】
前記当接面を前記ブランク材の前記端面に対し傾斜させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の圧縮木製品の製造方法。
【請求項7】
前記圧縮金型の前記当接面に、凹部および/または凸部を形成することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の圧縮木製品の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図2】
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【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【公開番号】特開2012−35410(P2012−35410A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174370(P2010−174370)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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