説明

圧縮調整可能な織物および衣類

圧縮調節可能な織物および/または衣類、システムおよび/または方法は、(a)織物構造に一体化され、(b)織物構造に生来の圧縮圧力能力とは独立した圧縮圧力能力を有し、(c)様々な圧縮圧力を提供するように調整可能な、圧縮エレメントを含むことができる。そのような衣類では、衣類によって提供される圧縮圧力は、衣類が装着されている間に衣類の全部または一部で調節することができる。衣類の異なる部分中の圧縮圧力は、独立に調節可能であっても良い。圧縮エレメントは更に、膨張可能なチューブおよび/または電気的に刺激可能な織り糸からなることができる。圧縮エレメントは、織物構造に編み込まれるかまたはその中に横たえられることによって織物構造に一体化されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願へのクロスリファレンス]この出願は、2008年3月13日出願の米国仮特許出願番号61/036,099の優先権を主張し、その出願はその全体がここに引用によって組み込まれる。
【0002】
本発明は、圧縮調節可能な織物および圧縮調節可能な織物から作られた衣類に関する。そのような圧縮調節可能な織物および衣類は、織物または衣類が装着されている間に人の体上の異なる位置における圧縮圧力を動的に調節するのに有用であり得る。
【背景技術】
【0003】
いくつかの従来の圧縮衣類では、衣類が発生することができる圧縮力は、様々な織り糸と構成ファクターによって提供されることができる。そのようなファクターは、例えば、織り糸の種類とサイズと、利用される伸長織り糸の特性と、スティッチサイズのような織物構造を含むことができる。そのような従来の織物および衣類によって提供される圧縮力は静的である。つまり、衣類の装着者に印加される圧縮力の量は変えることができない。よって、そのような従来の衣類によって印加される圧縮力は、最初の織物構造および特性に限定されることがある。加えて、印加される実際の圧縮力は、圧縮される解剖学的エリア、例えば脚上での衣類のフィットにも依存する。結果として、特定の圧縮力の正確な印加を、そのような従来の圧縮衣類を使って達成することは困難であり得る。
【0004】
そのような静的な圧縮力の衣類は、他の不利点を有することもある。例えば、そのような衣類を使って装着者上の異なる点またはゾーン上に異なる量の圧縮力を達成するには、異なる規定された圧縮力能力を有した異なる衣類が、各ゾーンにおいて装着者によって装着される必要があり得る。装着者上で高い圧縮力値を達成する努力は、単一層の高い圧縮の衣類または多数の層のより低い圧縮の衣類を要求し得る。静的圧縮力の衣類の圧縮力は変えることができないので、特定の位置においてまたは(肋骨のような)解剖学的エリア全体に沿って圧縮力を変化させるためには、単一または多数の衣類が変えられなければならない。従来の静的圧縮力の衣類の別の不利点は、そのような衣類の最初の圧縮力が、織り糸の疲労の結果としてしばしば時間を経て減少することがあるということである。織り糸の疲労は、繰り返し変形された後でその元の形状またはサイズに復元するそれの能力のいくらかの損失によって引き起こされる織り糸の弱体化として規定することができる。
【0005】
従来の圧縮製品のいくつかは、解剖学的エリアに圧縮力を提供するのに空気ポンプおよび嚢を利用する。例えば、空気嚢を装着者の肋骨に巻きつけて、所望の量の空気圧を嚢に押し込むかまたはそこから抜くことができる。空気嚢は、装着者の異なるゾーン、例えば足、膝、ふくらはぎ、および/または太ももに、圧縮を印加する能力を有し得る。嚢は、様々なゾーンで異なる量の圧縮、例えば、装着者の膝、ふくらはぎおよび太ももに段々と増加する圧縮を、提供するように規制されても良い。嚢は、一つ以上のゾーンで一定の圧力または間欠的な圧力を、また一つ以上のゾーンで可変な圧力を、提供するように適応されても良い。しかしながら、そのような空気ポンプ/嚢装置は不利点を有することがある。例えば、そのような空気嚢装置は、装着するには嵩張っていることがあり、嚢を構成するプラスチックまたはビニール材料の下からの熱発散の阻止により不快であり得る。加えて、空気ポンプ/嚢は、装着者が動いている間の足の甲の周りのような、いくつかの解剖学的位置では使用可能ではないかもしれない。
【0006】
よって、装着されている間に動的にかつ正確に調節することができる圧縮織物および衣類の必要がある。
【発明の概要】
【0007】
本発明のいくつかの実施形態は、圧縮調節可能な織物および/または衣類、システムおよび/または方法を含むことができる。いくつかの実施形態では、圧縮調節可能な織物は、(a)織物構造に一体化され、(b)織物構造に生来の圧縮圧力能力とは独立した圧縮圧力能力を有し、(c)様々な圧縮圧力を提供するように調整可能な、圧縮エレメントを含むことができる。圧縮調節可能な織物は更に、圧縮調節可能な衣類をからなっても良い。そのような衣類では、衣類によって提供される圧縮圧力は、衣類が装着されている間に衣類の全部または一部で調節することができる。衣類の異なる部分中の圧縮圧力は、独立に調節可能であることができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、圧縮エレメントは更に、膨張可能なチューブからなることができ、チューブの膨張および収縮はポンプによって制御することが可能である。或る実施形態では、膨張可能なチューブは、約1mmの内径からなることができる。或る実施形態では、織物は、複数の分離された未接続の膨張可能なチューブを含むことができ、チューブの各々の中の圧力量はポンプによって独立して制御することが可能である。代替的に、チューブの各々の中の圧力量は異なるポンプによって制御することが可能である。圧縮調節可能な衣類からなる実施形態では、ポンプは、小型化され、衣類に取り付け可能で、衣類と共に装着可能であることができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、圧縮エレメントは更に、電気的に刺激可能な織り糸からなることができ、織り糸の収縮および弛緩は電気的刺激器によって制御することが可能である。電気的に刺激可能な織り糸は、織り糸が電気的に刺激された時に、織り糸の長さが縮小され、それにより織物によって印加される圧縮圧力を増加させるような磁気的性質からなることができる。或る実施形態では、織物は、複数の分離された未接続の電気的に刺激可能な織り糸を含むことができ、織り糸の各々の長さは電気的刺激器によって独立に制御することが可能である。代替的に、織り糸の各々の長さは異なる電気的刺激器によって制御することが可能である。圧縮調節可能な衣類からなる実施形態では、電気的刺激器は、小型化され、衣類に取り付け可能で、衣類と共に装着可能であることができる。
【0010】
圧縮調節可能な織物および/または衣類のいくつかの実施形態では、圧縮エレメントは更に、化学的に刺激可能な織り糸からなることができる。いくつかの実施形態では、圧縮エレメントは、膨張可能なチューブ、電気的に刺激可能な織り糸、化学的に刺激可能な織り糸、またはそれらの組み合わせからなることができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、圧縮エレメントは、リブニット構成中でのように、織物構造に編み込まれることによって、織物構造に一体化されることができる。いくつかの実施形態では、圧縮エレメントは、タックスティッチ構成中でのように、織物構造中に横たえられることによって、織物構造に一体化されることができる。特定の実施形態では、圧縮エレメントは、織物の第一の部分に編み込まれ、織物の第二の部分中に横たえられることができる。いくつかの実施形態では、圧縮調節可能な織物および/または衣類は、圧縮調節可能な衣類によって印加された圧縮圧力を監視するように適応されたセンサーを更に含むことができる。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態は、圧縮調節可能な衣類システムを含むことができる。そのようなシステムは、(a)衣類の織物構造に一体化され、(b)織物構造に生来の圧縮圧力能力とは独立した圧縮圧力能力を有し、(c)様々な圧縮圧力を提供するように調整可能な、圧縮エレメントからなる、圧縮調節可能な衣類からなることができる。システムの実施形態では、圧縮エレメントは、織物構造に編み込まれることによって、織物構造中に横たえられることによって、またはその両方によって、織物構造に一体化されることができる。
【0013】
圧縮調節可能な衣類システムのいくつかの実施形態は更に、一つ以上の健康インジケーター中の変化を検出するように適応されたセンサーと、センサーからの健康インジケーターデータを受け取って分析し、衣類中の圧縮圧力を調節するためのコマンドを定式化するように適応されたマイクロプロセッサと、を含むことができる。圧縮エレメントは、コマンドを受け取って、健康インジケーターデータに応答して衣類中の圧縮圧力を調節するように適応されることができる。一つの描写的実施形態では、センサーは、血流感知システムを含むことができる。圧縮エレメントは、ポンプによって制御可能な膨張可能なチューブからなることができ、衣類中の圧縮圧力の調節は、検出された血流のレベルに応答した膨張可能なチューブの膨張または収縮の量のポンプによる調節からなることができる。別の描写的実施形態では、圧縮エレメントは、電気的刺激器によって制御可能な電気的に刺激可能な織り糸からなることができ、衣類中の圧縮圧力の調節は、検出された血流のレベルに応答した電気的に刺激可能な織り糸の縦の収縮の量の電気的刺激器による調節からなることができる。そのようなシステムの別の実施形態は、圧縮調節可能な衣類の上に装着可能な圧縮圧力空気嚢からなることができ、空気嚢によって提供される圧縮圧力は、衣類から分離されたポンプによって制御されることが可能である。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態は、(a)織物構造の部分に一体化され、(b)織物構造に生来の圧縮圧力能力とは独立した圧縮圧力能力を有し、(c)様々な圧縮圧力を提供するように調整可能な、圧縮エレメントからなる、圧縮調節可能な衣類を提供することからなる方法を含むことができる。方法は更に、衣類が装着されている間に、衣類の第一の部分中に提供された圧縮圧力を調節することと、衣類の第一の部分中に提供された圧縮圧力を調節することとは独立に、衣類の第二の部分中に提供された圧縮圧力を調節することと、を含むことができる。
【0015】
そのような方法のいくつかの実施形態では、圧縮エレメントは、膨張可能なチューブであることができ、圧縮圧力を独立に調節することは、ポンプでチューブの膨張および収縮を制御することを含むことができる。そのような方法のいくつかの実施形態では、圧縮エレメントは、電気的に刺激可能な織り糸であることができ、圧縮圧力を独立に調節することは、電気的刺激器で織り糸の収縮および弛緩を制御することを含むことができる。方法のいくつかの実施形態は、圧縮調節可能な衣類によって印加された圧縮圧力をセンサーで監視することを更に含むことができる。方法のいくつかの実施形態は、圧縮調節可能な衣類の下の血流を監視することと、検出された血流のレベルに応答して衣類によって提供された圧縮圧力を調節することと、を更に含むことができる。
【0016】
圧縮調節可能な織物および/または衣類、システムおよび/または方法の特徴は、本発明の実施形態の一つ以上において、単独でまたは組み合わせで達成されても良い。当業者によって実現されるであろうように、圧縮調節可能な織物および/または衣類、システムおよび/または方法の多くの異なる実施形態が可能である。本発明の側面の追加の用法、利点および特徴は、ここでの詳細な記載中で説明される描写的実施形態で述べられ、以下の精査によって当業者により明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の実施形態における、衣類の選択されたエリア中の圧縮エレメントチューブと空気ポンプを有する圧縮調節可能な衣類の図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態における、衣類全体の圧縮エレメントチューブと空気ポンプを有する圧縮調節可能な衣類の図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態における、衣類の選択されたエリア中の電気的に刺激可能な織り糸と電気的刺激器を有する圧縮調節可能な衣類の図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態における、衣類全体の電気的に刺激可能な織り糸と電気的刺激器を有する圧縮調節可能な衣類の図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態における、衣類の選択されたエリア中の圧縮エレメントチューブと、衣類のそれらの選択されたエリア中の空気嚢と、空気ポンプを有する圧縮調節可能な衣類の図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態における、圧縮エレメントを編むのに有用なリブスティッチニットパターンの図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態における、中に横たえられた圧縮エレメントを保持するのに有用なタックスティッチニットパターンの図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のいくつかの実施形態は、圧縮調節可能な織物および/または圧縮調節可能な織物から作られた衣類を提供することができる。図1−7は、そのような圧縮調節可能な織物および衣類の実施形態を描いている。図1−7に示されるように、圧縮調節可能な織物および衣類10のいくつかの実施形態は、織物構造と一体化され、可変な圧縮能力を有する圧縮エレメント11を含むことができる。ここでの目的のために、織物構造は、織り糸の種類、サイズ、性能特性、ニットパターン、およびスティッチサイズのようなエレメントを含むが、それらに限定はされない、織物の構成エレメントとして規定される。いくつかの実施形態では、圧縮エレメント11は、織物構造単独の圧縮能力とは独立した/に追加の圧縮能力を有することができる。そのような織物において、およびそれから作られた衣類において、圧縮は、それが装着されている間に織物または衣類10の全部または一部で調節されることができる。それが装着されている間に織物または衣類10中の圧縮を調節する能力を有することは、治療の実効性と結果を最適化することができる特定の患者条件の治療における柔軟性を許容することができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、図1と2に示されるように、圧縮エレメント11は、織物構造に組み込まれた膨張可能なチューブ12からなることができる。膨張可能なチューブ12は、小さな直径、例えば約1mmの内径を有することができる。或る実施形態では、チューブ12は1mmよりも小さいかまたは大きい直径を有することができる。圧縮チューブ12の直径は、例えば、チューブ12を作るのに使われた材料、チューブ12中の望ましい圧縮圧力能力、その中にチューブ12が組み込まれた圧縮織物10の意図された用途、および/または衣類10が施されることになる解剖学的エリアを含んだ、様々なファクターに依存することができる。チューブ12は、変化する圧縮力を提供するように変化する膨張量に応答したチューブ12の内径の拡大および縮小のために好適な様々な材料からなることができる。そのような材料は、ポリプロピレン、ポリウレタン、またはその他のプラスチック、ポリマーおよび/または材料を含んでも良い。或る実施形態では、圧縮エレメントチューブ12は、チューブ直径の拡大および縮小を容易にすることができる積層された材料の層からなることができる。或る実施形態では、圧縮エレメントチューブ12は、チューブ12の拡大および縮小性能を強化するように適応された流体、ガスまたはその他の材料を含むことができる。材料は、圧縮エレメントチューブ12を膨張するのに使われる主要材料と同じ材料かまたは異なる材料であることができる。例えば、一実施形態では、主要膨張材料は空気であることができ、拡大強化材料は空気の拡大能力を強化する別のガスであることができる。拡大強化材料は、チューブ12を収縮させるべく主要膨張材料が取り除かれた時に圧縮チューブ12中に残るように適応されたものであることができる。代替的に、拡大強化材料は、チューブ12の収縮中に主要膨張材料と共にチューブ12から取り除かれることができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、圧縮エレメントチューブ12は、織物10が編まれるにつれて織物10中にチューブ12を編み込むことによって織物構造中に組み込まれることができる。例えば、圧縮エレメントチューブ12は、マルチフィード円形編み物機械を利用して、1×1リブスティッチパターンのようなリブスティッチ構成20中で織物10中に編み込まれても良い。図6は、そのようなリブスティッチニットパターン20を描いている。リブスティッチ20は、織物10の2つの面上のうね21の交番によって特徴付けられる編みスティッチとして規定される。2列の針が採用され、一つが面のうね21を編み、他が背面のうね21を編む。(Fairchild’s Dictionary of Textiles, 7th Edition, p. 472.)編みパターンは、うね21とコース22を含むことができる。うねは、織物の長さに沿った連続するコースでの一つの針の動きによって形成される一連のループとして規定される。(Fairchild’s Dictionary of Textiles, 7th Edition, p. 619.)コースは、編まれた織物の幅に渡って走るループまたはスティッチの列として規定される。(Fairchild’s Dictionary of Textiles, 7th Edition, p. 144.)そのようなリブスティッチパターン20では、圧縮エレメントチューブ12は、織物10の「リブ」部分23の一つをなす交番するうね21を形成するべく編まれることができる。このようにして、圧縮エレメントチューブ12は織物構造と一体化されることができる。
【0021】
他の実施形態では、圧縮エレメントチューブ12は、織物構造中に「横たえられる」ことができる。「横たえられた」織物では、編まれたかまたは重複された(たて編みされた)糸のベース構造が、同じ編みサイクル中に構造中に組み込まれたかまたは「横たえられた」その他の編まれていない糸をその場に保持する。中に横たえられた織り糸は編まれたループ中に形成されてはいないが、ベース織物構造は、中に横たえられた織り糸をその場に保持するのに様々な編みスティッチ、例えばタックスティッチ24を利用することができる。タックスティッチ24は、いくらかの針が一つより多くのスティッチを一度に保持するようにすることによってタックまたは透かし効果を作り出す編みスティッチとして規定される。(Fairchild’s Dictionary of Textiles, 7th Edition, p. 591.)タックスティッチ24では、上部編み位置の針は編まないが、織り糸の余分なループが針の上に横たえられる。余分なループは、古いループを通してインターメッシュされないが、スティッチの反対側上でその後ろにたくし込まれる。それらの針が編み位置に戻された時、針上の全てのループは単一のスティッチで編まれている。(David J. Spencer, Knitting Technology, p. 59.)図7に示されるように、そのようなタックスティッチニットパターン24は、コース22の間に圧縮エレメントチューブ12を組み込むことができる。このやり方で、タックスティッチ24は、織物構造内の場所にチューブ12を保持することを助けることができる。
【0022】
或る実施形態では、圧縮調節可能な織物10は、織物10の全部または部分中に編み込まれた圧縮チューブエレメント11と織物10の全部または部分中に横たえられた圧縮チューブエレメント11の組み合わせを含むことができる。その中に圧縮エレメントチューブ12が一体的に編み込まれ、その中に圧縮エレメントチューブ12が横たえられた織物10の部分は、織物10の同じかまたは異なる部分であることができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、例えば図1に示されるように、圧縮エレメント11は、複数の分離された未接続のチューブ12を含むことができる。例えば、圧縮調節可能な抗塞栓ストッキング10のふくらはぎ部分30は第一のチューブ35を含むことができ、膝部分31は第一のチューブ35とは分離された第二のチューブ36を含むことができ、足部分33は第一、第二のチューブ35、36それぞれから分離された第三のチューブ37を含むことができる。第一、第二、第三のチューブ35、36、37の各々はそれぞれ独立してポンプ接続チューブ41でポンプ40に接続されることができる。このようにして、第一、第二、第三のチューブ35、36、37の各々中の圧縮圧力の量は、衣類10中の異なる位置における圧縮圧力の量を別々に変化させるようにそれぞれ独立して調節されることができる。複数の独立したチューブ12を有する特定の実施形態では、各チューブ12中の圧力は別々のポンプ40によって制御されることができる。
【0024】
複数の独立したチューブ12を有する実施形態では、各チューブ12中の圧力は同じポンプ40によって制御されることができる。そのようなポンプ40は小型化されたポンプ40であることができる。そのようなポンプ40は、異なるチューブ12へのまたはからの空気のような膨張材料の流れを別々に制御するための規制機構を含むことができる。更に他の実施形態では、複数のチューブ12の選択されたものをお互いに接続することができる。或る実施形態では、第一、第二、第三のチューブ35、36、37の各々はそれぞれ、衣類10のそれぞれの分離された領域内の連続したチューブ12であることができる。他の実施形態では、ふくらはぎ領域30中の第一のチューブ35は複数の独立したチューブ12からなることができ、ふくらはぎ第一チューブ領域30中の各チューブ12はポンプ40または別々の小型化されたポンプ40に独立して接続されることができる。同様に、膝領域31中の第二のチューブ36と足領域33中の第三のチューブ37は複数の独立したチューブ12からなることができ、これらのチューブ12の各々はポンプ40または別々の小型化されたポンプ40に独立して接続されることができる。
【0025】
他の実施形態では、圧縮エレメントチューブ12は、図2に示されるように、織物10の連続した部分中に一体化された単一の連続したチューブ12であることができる。このようにして、チューブ12内の圧力の単一の変化が衣類10の連続した部分の圧縮レベルを調節することができる。図2に示された実施形態では、衣類10の連続した部分は、ふくらはぎ30、膝31、踵32および足33領域からなるが、下肢圧縮圧力衣類10の爪先34領域からはならない。他の実施形態では、衣類10の連続した部分は、例えばこの場合にはふくらはぎ30、膝31、踵32、足33および爪先34領域からなる、衣類10全体であることができる。
【0026】
動作では、チューブ12内の変化する圧力の量を提供するために、空気のような膨張材料を圧縮エレメントチューブ12に押し込むかまたはそこから抜くことができ、それによりチューブ12に対応して変化する度合いの圧縮圧力および/または縦の伸長を提供する。例えば、チューブ12中の増加する量の圧力は、チューブ12の直径を増加することができ、そこでチューブ12が増加された圧力を有するところの位置に隣接する装着者の体上の圧縮圧力を直接増加しても良い。或る実施形態では、チューブ12中の圧力の量を増加することはまた、チューブ12がその縦軸に沿って伸長するまたは延長するその能力を減少することも引き起こしても良い。結果として、チューブ12の減少された伸長特性は、装着者の体上の圧縮圧力を更に増加しても良い。
【0027】
圧縮エレメントチューブ12が織物構造中に「横たえられ」ている実施形態では、チューブ12内の圧力を増加することは、そのような織物10をなしている衣類10の領域中に増加した圧縮圧力を提供するように、チューブ12の直径を増加し、チューブ12の延長または縦の伸長を減少することができる。圧縮エレメントチューブ12が織物構造中に編み込まれている実施形態では、チューブ12内の圧力を増加することは、そのような織物10をなしている衣類10の領域中に増加した圧縮圧力を提供するように、チューブ12の直径を増加し、チューブ12の延長または縦の伸長を減少することができる。
【0028】
空気のような膨張材料は、様々なタイプとサイズのポンプ40で圧縮エレメントチューブ12中に押し込まれることができる。例えば、ポンプ40は、圧縮調節可能な衣類10から分離されていて、衣類10の圧縮圧力を増加することが望ましい時に衣類10上のポートに取り付けられても良い。代替的に、ポンプ40は、それが衣類10に取り付けられて衣類10の装着者によって目立つことなく装着されることができるように小型化されることができる。
【0029】
或る実施形態では、圧縮圧力衣類10および/またはポンプ40は、圧力監視能力を含むことができる。つまり、圧縮圧力衣類10および/またはポンプ40は、チューブ12内の圧力および/または圧縮調節可能な衣類10によって印加されている圧縮圧力を監視するセンサー42を含んでも良い。そのような圧力監視能力は、衣類装着者に適切な量の圧力が印加されていることの保証を提供することができ、チューブ12内の空気圧と衣類10の圧縮圧力の時間に渡るおよび調節された時の変化を監視するのに利用されることができる。
【0030】
代替的実施形態では、図3と4に示されるように、圧縮エレメント11は、電気的に刺激可能な織り糸43からなることができる。電気的に刺激可能な織り糸43は、圧縮エレメントチューブ12についてここで記載したように、織物構造中に「横たえられる」かまたは編み込まれることができる。電気的に刺激可能な織り糸43は、織り糸43が電気的に刺激された時にその長さを縮小するようにそれが縦に収縮するような磁気的性質からなることができる。電気的に刺激可能な織り糸43が織物構造中に「横たえられ」ているかまたは編み込まれている圧縮調節可能な織物10の実施形態では、織り糸の長さの電気的に刺激された縮小は、そこに電気的に刺激可能な織り糸43が位置しているところの衣類10中の領域の下の装着者のエリア上の圧縮のレベルの増加を引き起こすことができる。
【0031】
動作では、電気的刺激の変化するレベルを電気的に刺激可能な織り糸43に提供することができる。結果として、電気的に刺激可能な織り糸43は変化する量で短縮されることができ、それによりその下にあるそのような電気的に刺激可能な織り糸43を調節可能な圧縮エレメント11として有する衣類10を装着している人の解剖学的構造に対応して変化する度合いの圧縮圧力を提供する。
【0032】
いくつかの実施形態では、例えば図3に示されるように、圧縮エレメント11は、複数の分離された電気的に刺激可能な織り糸43を含むことができる。例えば、圧縮調節可能な抗塞栓ストッキング10のふくらはぎ部分30は第一の電気的に刺激可能な織り糸46を含むことができ、膝部分31は第一の電気的に刺激可能な織り糸46とは分離された第二の電気的に刺激可能な織り糸47を含むことができ、足部分33は第一、第二の電気的に刺激可能な織り糸46、47それぞれから分離された第三の電気的に刺激可能な織り糸48を含むことができる。第一、第二、第三の電気的に刺激可能な織り糸46、47、48の各々はそれぞれ独立して刺激器接続ケーブル45で電気的刺激器44に接続されることができる。このようにして、第一、第二、第三の電気的に刺激可能な織り糸46、47、48の各々中の圧縮圧力の量は、衣類10中の異なる位置における圧縮圧力の量を別々に変化させるようにそれぞれ独立して調節されることができる。複数の独立した電気的に刺激可能な織り糸43を有する特定の実施形態では、各電気的に刺激可能な織り糸43によって作り出される圧力は別々の電気的刺激器44によって制御されることができる。
【0033】
複数の独立した電気的に刺激可能な織り糸43を有する実施形態では、各電気的に刺激可能な織り糸43中の圧力は同じ電気的刺激器44によって制御されることができる。そのような電気的刺激器44は小型化された電気的刺激器44であることができる。そのような電気的刺激器44は、異なる電気的に刺激可能な織り糸43への電流を別々に制御するための規制機構を含むことができる。更に他の実施形態では、複数の電気的に刺激可能な織り糸43の選択されたものをお互いに接続することができる。或る実施形態では、第一、第二、第三の電気的に刺激可能な織り糸46、47、48の各々はそれぞれ、衣類10のそれぞれの分離された領域内の連続した電気的に刺激可能な織り糸43であることができる。他の実施形態では、ふくらはぎ領域30中の第一の電気的に刺激可能な織り糸46は複数の独立した電気的に刺激可能な織り糸43からなることができ、ふくらはぎ領域30中の各電気的に刺激可能な織り糸43は電気的刺激器44または別々の小型化された電気的刺激器44に独立して接続されることができる。同様に、膝領域31中の第二の織り糸47と足領域33中の第三の織り糸48は複数の独立した電気的に刺激可能な織り糸43からなることができ、これらの電気的に刺激可能な織り糸43の各々は電気的刺激器44または別々の小型化された電気的刺激器44に独立して接続されることができる。
【0034】
他の実施形態では、圧縮エレメント11は、図4に示されるように、織物構造の連続した部分中に一体化された単一の連続した電気的に刺激可能な織り糸43であることができる。このようにして、電気的に刺激可能な織り糸43によって引き起こされた圧力の単一の変化が衣類10の連続した部分の圧縮レベルを調節することができる。図4に示された実施形態では、衣類10の連続した部分は、ふくらはぎ30、膝31、踵32および足33領域からなるが、下肢圧縮圧力衣類10の爪先34領域からはならない。他の実施形態では、衣類10の連続した部分は、例えばこの場合にはふくらはぎ30、膝31、踵32、足33および爪先34領域からなる、衣類10全体であることができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、電気的に刺激可能な織り糸43は、電気的に刺激可能な織り糸43に接続され圧縮調節可能な衣類10と共に装着された電気的刺激器44または発生器によって刺激されることができる。電気的発生器/刺激器44は、例えばバッテリーを含んだ様々なエネルギーソースを含むことができる。電気的発生器/刺激器44は、圧縮調節可能な衣類10から分離されていて、衣類10の圧縮圧力を増加することが望ましい時に電気的に刺激可能な織り糸43に取り付けられることができる。代替的に、電気的発生器44は、それが衣類10に取り付けられて衣類10の装着者によって目立つことなく装着されることができるように小型化されることができる。
【0036】
或る実施形態では、圧縮圧力衣類10および/または電気的刺激器44は、圧力監視能力を含むことができる。つまり、圧縮圧力衣類10および/または電気的刺激器44は、圧縮調節可能な衣類10によって印加されている圧縮圧力を監視するセンサー42を含んでも良い。そのような圧力監視能力は、衣類装着者に適切な量の圧力が印加されていることの保証を提供することができ、衣類10の圧縮圧力の時間に渡るおよび調節された時の変化を監視するのに利用されることができる。
【0037】
圧縮調節可能な衣類10の別の実施形態では、圧縮エレメント11は、織り糸の圧縮圧力を調節するように化学的に刺激されることができる織り糸(図示せず)からなることができる。化学的に刺激可能な織り糸は、圧縮エレメントチューブ12と電気的に刺激可能な織り糸43に関してここで記載したように、織物構造中に「横たえられる」かまたは編み込まれることができる。化学的に刺激された時に、化学的に刺激可能な織り糸は、その長さを縮小するように縦に収縮することができ、それによりそこに織り糸が置かれているところの衣類10の部分中の圧縮圧力の増加を引き起こす。このようにして、衣類10中の圧縮圧力を装着されている間に調節することができる。化学的に刺激可能な織り糸は、衣類10全体または衣類10の一部を通した単一の連続した織り糸であることができる。代替的に、衣類10は、衣類10の望ましい部分中に置かれた複数の独立した化学的に刺激可能な織り糸を含むことができる。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態では、圧縮調節可能な織物および/または衣類10の圧縮圧力能力は、最初のベース織物構造と分離された圧縮エレメント11の両方によって提供されることができる。最初のベース織物構造の圧縮圧力能力は、例えば、織り糸の種類とサイズと、スパンデックスのような利用される伸長織り糸の特性と、スティッチサイズと密度のような構成特性を含んだ、様々なファクターに関連することができる。最初の織物構造によって提供される静的な圧縮圧力に加えて、分離された圧縮エレメント11は、調節可能であることができる更なる圧縮圧力能力を提供することができる。
【0039】
或る実施形態では、圧縮調節可能な織物および/または衣類10は、圧縮エレメントチューブ12、電気的に刺激可能な織り糸43および/または化学的に刺激可能な織り糸を含むことができる。
【0040】
特定の実施形態では、圧縮調節可能な織物および/または衣類10は、圧縮チューブ12および/または電気的に刺激可能な織り糸43のような分離された圧縮エレメント11と、圧縮圧力を増加し制御するためのその他の機構の組み合わせを含むことができる。例えば、図5に示されるように、一つ以上の空気嚢50が、ここで記載された圧縮エレメントの一つ以上からなる衣類10の中に構成されるかまたはその上にかぶせられることができる。空気嚢50内部の圧力を変え、よってその下にある解剖学的構造上の圧縮圧力を調節するように、空気が空気嚢50中に押し込まれることができる。複数の空気嚢50の一つ以上は、圧縮エレメントチューブ12と同じポンプ40かまたは別のポンプ40に取り付けられることができる。従って、本発明のいくつかの実施形態は、生来の圧縮能力と、織物構造に生来のものに追加して圧縮能力を提供することができる、織物構造に一体化された圧縮チューブ12および/または電気的に刺激可能な織り糸43のような圧縮エレメント11と、および/またはその他の圧縮圧力機構を有する衣類10を含むことができる。そのようなマルチコンポーネント圧縮織物および/または衣類の少なくとも一つの圧縮コンポーネントは、調節可能であることができる。
【0041】
本発明に従った圧縮調節可能な織物および衣類10のいくつかの実施形態は、従来の圧縮織物および衣類に対して利点を提供することができる。例えば、本発明のいくつかの実施形態は、織物構造と一体化され、可変な圧縮能力を有する圧縮エレメント11を提供することができる。或る実施形態では、圧縮は、それが装着されている間に動的な様式で織物または衣類10の全部または選択された部分において調節されることができる。それが装着されている間に織物または衣類10において圧縮を調節する能力を有することは、装着者によって装着される前にカリブレートされた静的圧縮圧力を有する織物または衣類によって提供され得るよりも正確な圧縮圧力の装着者への配送を許容することができる。結果として、動的に調節可能な圧縮圧力能力を有する圧縮織物および衣類10は、治療の実効性と結果を最適化することができる特定の患者条件の治療における柔軟性を有利に提供することができる。
【0042】
別の利点は、本発明のいくつかの実施形態は体のあらゆる部分にフィットするようにデザインされることができる圧縮調節可能な織物および衣類10を提供することができ、それにより事実上あらゆる解剖学的エリアのために調節可能な圧縮を提供するということである。例えば、圧縮エレメント11の織物構造への一体化により、圧縮調節可能な衣類10の特定の実施形態は人の足の周りに装着されるように適応されることができる。結果として、人の足上の圧縮圧力を人が起立または歩行している間に調節することができる。このようにして、例えば、足上の静脈鬱血性潰瘍またはその他の傷を治療するように、治療学的に最適な圧縮圧力を人の足に印加することができ、および/または調節することができる。加えて、そのような装着可能なシステムは、衣類10が圧縮圧力の変化を間欠的なまたは頻繁でない間隔においてのみ提供しながら長期間に渡って装着されることを許容することができる。
【0043】
別の利点は、本発明のいくつかの実施形態では、提供された圧縮圧力が、個別の患者に、異なる時間における同じ患者について、仕立てられることができるということである。別の利点は、本発明のいくつかの実施形態では、印加された圧縮圧力を、同じ衣類10によって覆われた異なる解剖学的エリアについて同じ衣類10内で変化させることができるということである。別の利点は、本発明のいくつかの実施形態では、圧縮エレメント11が、異なる織り糸特性を有する様々なベース織物中に組み込まれることができ、それにより広い範囲のフィットと心地よさのオプションを許容するということである。
【0044】
ここに記載されたように圧縮エレメント11が組み込まれている圧縮調節可能な織物10の実施形態と織物10のそのような実施形態の特性は、その圧縮調節可能な織物10からなる圧縮調節可能な衣類10の実施形態に適用可能であることが理解されるべきである。
【0045】
圧縮調節可能な織物および/または衣類10のいくつかの実施形態は、健康監視および管理システムと共に利用されることができる。そのようなシステムは、2009年3月12日出願の”Health Monitoring and Management System”と題された係属中の米国特許出願に記載されており、その出願はその全体がここに引用によって組み込まれる。そのような健康監視および管理システムのいくつかの実施形態は、一つ以上の健康インジケーター中の変化を検出し、健康インジケーターに関連するデータを送るように適応されたセンサー42を含むことができる。他の実施形態では、健康監視および管理システムは更に、健康介入コマンドを受け取り、健康インジケーターに関連する健康介入を提供するように適応された介入的エレメントを含むことができる。いくつかの実施形態では、システムは更に、センサーによって送られた健康インジケーターデータを受け取って分析し、予め決められたパラメータに従って健康インジケーターデータに関連する健康介入コマンドを定式化し、健康介入コマンドを介入的エレメントに送るように適応されたマイクロプロセッサを含むことができる。或る実施形態では、予め決められたパラメータは、健康介入コマンドの定式化と介入的エレメントへのコマンドの送信を自動的に制御するように構成された制御アルゴリズムからなることができる。健康介入コマンドは、臨床的に適切な期間内に介入的エレメントに送信されることができる。
【0046】
健康監視および管理システムのいくつかの実施形態では、センサーとマイクロプロセッサは、圧縮調節可能な衣類10の実施形態のような衣類に取り付け可能であるかまたはそれと一体化されることができる。このようにして、健康介入は、衣類10中の圧縮圧力の調節からなることができる。例として、圧縮調節可能な衣類10のそのような実施形態は、血流感知システムおよび/または浮腫感知システムを含むことができる。介入的エレメントは、圧縮エレメントチューブ12に接続されたポンプ40または電気的に刺激可能な織り糸43に接続された電気的刺激器44からなることができる。健康介入は、検出された浮腫および血流に関連した、圧縮エレメントチューブ12中の膨張材料の量のポンプ40による調節かまたは電気的に刺激可能な織り糸43の縦の収縮の量の電気的刺激器44による調節と、それによる圧縮調節可能な衣類10によって印加される圧縮圧力の量の調節からなることができる。
【0047】
本発明は、圧縮調節可能な衣類システムの実施形態を含むことができる。そのようなシステムは、(a)衣類10の織物構造に一体化され、(b)織物構造に生来の圧縮圧力能力とは独立した圧縮圧力能力を有し、(c)様々な圧縮圧力を提供するように調整可能な、圧縮エレメント11からなる、圧縮調節可能な衣類10からなることができる。圧縮調節可能な衣類システムの実施形態では、圧縮エレメント11は、織物構造に編み込まれることによって、織物構造中に横たえられることによって、またはその両方によって、織物構造に一体化されることができる。
【0048】
圧縮調節可能な衣類システムのいくつかの実施形態は更に、一つ以上の健康インジケーター中の変化を検出するように適応されたセンサー42と、センサー42からの健康インジケーターデータを受け取って分析し、衣類10中の圧縮圧力を調節するためのコマンドを定式化するように適応されたマイクロプロセッサと、を含むことができる。或る実施形態では、マイクロプロセッサは、センサー42からの健康インジケーターデータを無線で受け取るように適応されることができる。圧縮エレメント11は、コマンドを受け取って、健康インジケーターデータに応答して衣類10中の圧縮圧力を調節するように適応されることができる。一つの描写的実施形態では、センサー42は、血流感知システムを含むことができる。圧縮エレメント11は、ポンプ40によって制御可能な膨張可能なチューブ12からなることができ、衣類10中の圧縮圧力の調節は、検出された血流のレベルに応答した膨張可能なチューブ12の膨張の量のポンプ40による調節からなることができる。別の描写的実施形態では、圧縮エレメント11は、電気的刺激器44によって制御可能な電気的に刺激可能な織り糸43からなることができ、衣類10中の圧縮圧力の調節は、検出された血流のレベルに応答した電気的に刺激可能な織り糸43の縦の収縮の量の電気的刺激器44による調節からなることができる。そのようなシステムの別の実施形態は、圧縮調節可能な衣類10の上に装着可能な圧縮圧力空気嚢50からなることができ、空気嚢50によって提供される圧縮圧力は、衣類10から分離されたポンプ40によって制御されることが可能である。
【0049】
本発明は、圧縮調節可能な織物および衣類10を使用する方法の実施形態を提供することができる。そのような圧縮調節可能な織物および衣類10を使用する方法は、ここに記載されたような圧縮調節可能な織物および/または衣類10の様々なコンポーネンツを組み合わせることを含むことができる。例えば、方法のいくつかの実施形態は、(a)織物構造の部分に一体化され、(b)織物構造に生来の圧縮圧力能力とは独立した圧縮圧力能力を有し、(c)様々な圧縮圧力を提供するように調整可能な、圧縮エレメント11からなる、圧縮調節可能な衣類10を提供することを含むことができる。方法は更に、衣類が装着されている間に、衣類10の第一の部分中に提供された圧縮圧力を調節することと、衣類10の第一の部分中に提供された圧縮圧力を調節することとは独立に、衣類10の第二の部分中に提供された圧縮圧力を調節することと、を含むことができる。
【0050】
そのような方法のいくつかの実施形態では、圧縮エレメント11は、膨張可能なチューブ12であることができ、圧縮圧力を独立に調節することは、ポンプ40でチューブ12の膨張および収縮を制御することを含むことができる。そのような方法のいくつかの実施形態では、圧縮エレメント11は、電気的に刺激可能な織り糸43であることができ、圧縮圧力を独立に調節することは、電気的刺激器44で織り糸43の収縮および弛緩を制御することを含むことができる。方法のいくつかの実施形態は、圧縮調節可能な衣類10によって印加された圧縮圧力をセンサー42で監視することを更に含むことができる。方法のいくつかの実施形態は、圧縮調節可能な衣類10の下の血流を監視することと、検出された血流のレベルに応答して衣類10によって提供された圧縮圧力を調節することと、を更に含むことができる。
【0051】
圧縮調節可能な織物および/または衣類10、システムおよび/または方法の実施形態は、様々な応用で利用されることができる。例えば、織物、衣類、システムおよび/または方法のいくつかの実施形態が人に利用されることができる一方、その他のものは動物中の圧縮圧力を調節するのに利用されても良い。圧縮調節可能な衣類10のいくつかの実施形態は、単独でかまたは他のセラピーと共に、傷の治療に利用されることができる。例えば、圧縮調節可能な衣類10は、衣類10が足の周りに装着されており人が歩行している間に人の足の静脈鬱血潰瘍またはその他の傷に印加された圧縮圧力を調節するように適応されることができる。このようにして、血流を強化して浮腫を削減するために最適な圧縮圧力を印加し、動的なやり方で調節することができる。別の応用では、圧縮調節可能な衣類10の或る実施形態が、人の腕の周りに装着されて、リンパ浮腫を管理するように腕の周りの圧縮圧力のレベルを調節することができる。圧縮調節可能な衣類10、システムおよび/または方法の実施形態は、その周りに衣類10を施すことができる事実上あらゆる解剖学的な領域中の圧縮圧力のレベルを調節するのに利用されることができる。いくつかの実施形態は、非常に小さい領域および/または細かく分けられた隣接する領域中の圧縮圧力の様々なレベルを管理するのに特に有用であり得る。このタイプの「マイクロコントロール」のそのような使用は、たとえば、外科手術の場とその周りで出血または排液を制御することにおいて有利であり得る。
【0052】
本発明の圧縮調節可能な織物および衣類10、圧縮調節可能な織物システム、および圧縮調節可能な織物および衣類10を使用する方法の特徴は、本発明の一つ以上の実施形態において、単独でまたは組み合わせで達成されても良い。特定の実施形態が記載されたが、これらの実施形態は単に本発明の原理を描写するものであることが認識されるべきである。当業者は、本発明の圧縮調節可能な織物および衣類10、圧縮調節可能な織物システム、および圧縮調節可能な織物および衣類10を使用する方法が、その他のやり方および実施形態で構成され実装され得ることを理解するであろう。従って、その他の実施形態も本発明の範囲内に入るので、ここでの記載は本発明を限定するものとして読まれるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)織物構造に一体化され、(b)織物構造に生来の圧縮圧力能力とは独立した圧縮圧力能力を有し、(c)様々な圧縮圧力を提供するように調整可能な、圧縮エレメントを含む、圧縮調節可能な織物。
【請求項2】
圧縮調節可能な織物は更に、圧縮調節可能な衣類を含み、
衣類によって提供される圧縮圧力は、装着されている間に衣類の全部または一部で調節可能である、
請求項1の織物。
【請求項3】
衣類の異なる部分での圧縮圧力は独立して調節可能である、請求項2の織物。
【請求項4】
圧縮エレメントは更に、膨張可能なチューブを含み、チューブの膨張および収縮はポンプによって制御可能である、請求項1の織物。
【請求項5】
膨張可能なチューブは、約1mmの内径からなる、請求項4の織物。
【請求項6】
膨張可能なチューブは更に、複数の分離された未接続の膨張可能なチューブを含み、
チューブの各々の中の圧力量はポンプによって独立して制御可能である、
請求項4の織物。
【請求項7】
チューブの各々の中の圧力量は異なるポンプによって制御可能である、請求項6の織物。
【請求項8】
圧縮調節可能な織物は更に、圧縮調節可能な衣類を含み、
ポンプは更に、衣類に取り付け可能で、衣類と共に装着可能な小型化されたポンプを含む、
請求項4の織物。
【請求項9】
圧縮エレメントは更に、電気的に刺激可能な織り糸を含み、織り糸の収縮および弛緩は電気的刺激器によって制御可能である、請求項1の織物。
【請求項10】
電気的に刺激可能な織り糸は、織り糸が電気的に刺激された時に、織り糸の長さが縮小され、それにより織物によって印加される圧縮圧力を増加させるような磁気的性質からなる、請求項9の織物。
【請求項11】
電気的に刺激可能な織り糸は更に、複数の分離された未接続の電気的に刺激可能な織り糸を含み、
織り糸の各々の長さは電気的刺激器によって独立に制御可能である、
請求項9の織物。
【請求項12】
織り糸の各々の長さは異なる電気的刺激器によって制御可能である、請求項11の織物。
【請求項13】
電気的刺激器は更に、衣類に取り付け可能で、衣類と共に装着可能な小型化された電気的刺激器を含む、請求項9の織物。
【請求項14】
圧縮エレメントは更に、化学的に刺激可能な織り糸を含む、請求項1の織物。
【請求項15】
圧縮エレメントは更に、膨張可能なチューブ、電気的に刺激可能な織り糸、化学的に刺激可能な織り糸、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1の織物。
【請求項16】
圧縮エレメントの織物構造への一体化は、織物構造に編み込まれた圧縮エレメントを含む、請求項1の織物。
【請求項17】
圧縮エレメントは、リブニット構成中で織物構造に編み込まれる、請求項16の織物。
【請求項18】
圧縮エレメントの織物構造への一体化は、織物構造中に横たえられた圧縮エレメントを含む、請求項1の織物。
【請求項19】
圧縮エレメントは、タックスティッチ構成中で織物構造中に横たえられる、請求項18の織物。
【請求項20】
圧縮エレメントは、織物の第一の部分に編み込まれ、織物の第二の部分中に横たえられる、請求項1の織物。
【請求項21】
圧縮調節可能な衣類によって印加された圧縮圧力を監視するように適応されたセンサーを更に含む、請求項2の織物。
【請求項22】
(a)衣類の織物構造に一体化され、(b)織物構造に生来の圧縮圧力能力とは独立した圧縮圧力能力を有し、(c)様々な圧縮圧力を提供するように調整可能な、圧縮エレメントを含んだ、圧縮調節可能な衣類を含む、
圧縮調節可能な衣類システム。
【請求項23】
一つ以上の健康インジケーター中の変化を検出するように適応されたセンサーと、
センサーからの健康インジケーターデータを受け取って分析し、衣類中の圧縮圧力を調節するためのコマンドを定式化するように適応されたマイクロプロセッサと、
コマンドを受け取って、健康インジケーターデータに応答して衣類中の圧縮圧力を調節するように適応された圧縮エレメントと、
を更に含む請求項22のシステム。
【請求項24】
センサーは更に、血流感知システムを含み、
圧縮エレメントは更に、ポンプによって制御可能な膨張可能なチューブを含み、
衣類中の圧縮圧力の調節は、検出された血流のレベルに応答した膨張可能なチューブの膨張または収縮の量のポンプによる調節を含む、
請求項23のシステム。
【請求項25】
センサーは更に、血流感知システムを含み、
圧縮エレメントは更に、電気的刺激器によって制御可能な電気的に刺激可能な織り糸を含み、
衣類中の圧縮圧力の調節は、検出された血流のレベルに応答した電気的に刺激可能な織り糸の縦の収縮の量の電気的刺激器による調節を含む、
請求項23のシステム。
【請求項26】
圧縮調節可能な衣類の上に装着可能な圧縮圧力空気嚢であって、空気嚢によって提供される圧縮圧力は衣類から分離されたポンプによって制御可能であるものを更に含む、請求項22のシステム。
【請求項27】
圧縮エレメントの織物構造への一体化は、織物構造に編み込まれた圧縮エレメントを含む、請求項22のシステム。
【請求項28】
圧縮エレメントの織物構造への一体化は、織物構造中に横たえられた圧縮エレメントを含む、請求項22のシステム。
【請求項29】
(a)織物構造の部分に一体化され、(b)織物構造に生来の圧縮圧力能力とは独立した圧縮圧力能力を有し、(c)様々な圧縮圧力を提供するように調整可能な、圧縮エレメントを含む、圧縮調節可能な衣類を提供することと、
衣類が装着されている間に、衣類の第一の部分中に提供された圧縮圧力を調節することと、
衣類の第一の部分中に提供された圧縮圧力を調節することとは独立に、衣類の第二の部分中に提供された圧縮圧力を調節することと、
を含む方法。
【請求項30】
圧縮エレメントは更に、膨張可能なチューブを含み、圧縮圧力を独立に調節することは更に、ポンプでチューブの膨張および収縮を制御することを含む、請求項29の方法。
【請求項31】
圧縮エレメントは更に、電気的に刺激可能な織り糸を含み、圧縮圧力を独立に調節することは更に、電気的刺激器で織り糸の収縮および弛緩を制御することを含む、請求項29の方法。
【請求項32】
圧縮調節可能な衣類によって印加された圧縮圧力をセンサーで監視することを更に含む、請求項29の方法。
【請求項33】
圧縮調節可能な衣類の下の血流を監視することと、
検出された血流のレベルに応答して衣類によって提供される圧縮圧力を調節することと、
を更に含む、請求項29の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−518260(P2011−518260A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−550857(P2010−550857)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/036931
【国際公開番号】WO2009/114676
【国際公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(501490988)キャロロン カンパニー (1)
【氏名又は名称原語表記】CAROLON COMPANY
【住所又は居所原語表記】601 Forum Parkway,Rural Hall,NC 27045 U.S.A.
【Fターム(参考)】