説明

圧造機械の操作装置

【課題】 操作盤が1つであり、圧造機械のメンテナンス作業の邪魔にならない圧造機械の操作装置を提供することである。
【解決手段】 本発明の圧造機械の操作装置1は、圧造機械を内部に収納し、開閉可能な開閉部21を側面23に有するカバー2の外部で、開閉部21の位置する側面23をスライド可能な移動本体部3と、移動本体部3に取り付けられ、圧造機械の操作をするための操作部2と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンチとダイスとでワークを圧造成形する圧造機械の操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、パンチとダイスとでワークを圧造成形する圧造機械は、ワークを供給するワーク供給部、供給されたワークを切断する切断部、切断されたワークを所定の位置に搬送する搬送部、搬送されたワークを圧造成形する圧造部、圧造成形された成形材を金型からキックアウトするキックアウト部等から構成される。そして、これらの操作を行うために、例えば、図7のような操作装置が圧造機械に取り付けられている。この装置では、圧造機械を覆うカバー91の内側に配置される機内操作盤93(図8)と、カバーの外側に配置される機外操作盤94(図9)との2つから構成される。その他に、特許文献1に示される圧造機械は、本体に取り付けられた第1の操作盤と本体から取り外して遠隔操作可能な第2の操作盤との2つの操作盤とを有する。
【0003】
図7の圧造機械では、ワークの加工状態を確認する試運転の際、圧造機械の微調整のためにカバー内部に作業者が入り、圧造機械や機内操作盤93を操作する。そして、本運転の際は、機内操作盤93と機外操作盤94との間の扉92を閉めた状態で機外操作盤94にて圧造機械を運転させる。圧造機械の操作全般は機外操作盤94で行い、機内操作盤93は機外操作盤94より小さく、機外操作盤94の一部の操作(簡易操作)が行える。ワークの加工状態を確認するために、カバー内部にある機内操作盤93を操作しながら試運転を行う要求がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6−5799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、操作盤が2つあるのは圧造機械全体が大きくなり、設置場所が限定されたり、運搬コストなどがかかったりする。操作盤を1つにするとして、操作上の安全性を考慮すると機外操作盤94のみが望ましい。しかし、精度良く成型するためには、機械の操作をしながら試運転を行うことのできる機内操作盤93の位置が望ましい。そこで、機内操作盤93より大きい機外操作盤94を機内操作盤93の位置に移動させることが考えられる。しかし、一定箇所に大きな操作盤が設置されると、操作盤の裏手に位置する圧造機械本体のメンテナンス作業などがし難いという問題が考えられる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、操作盤が1つであり、圧造機械のメンテナンス作業の邪魔にならない圧造機械の操作装置を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1に係る発明の構成上の特徴は、圧造機械を内部に収納し、開閉可能な開閉部を側面に有するカバーの外部で、前記開閉部の位置する側面をスライド可能な移動本体部と、
前記移動本体部に取り付けられ、前記圧造機械の操作をするための操作部と、
を有することである。
【0008】
また請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請求項1において、前記操作部は、前記開閉部に対して略平行な位置と略垂直な位置との間を移動可能であることである。
【0009】
また請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請求項1又は2において、前記移動本体部は、前記カバーの前記側面の下方から前記カバーの上面部に位置するL字の上下逆の略逆L字形状であることである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明は、圧造機械を収納するカバーの開閉部の位置する側面をスライドして移動可能な移動本体部に、圧造機械の操作を行うことができる操作部が取り付けられている。そのため、圧造機械の調整を行える開閉部の近くに移動本体部をスライドさせることができる。また、圧造機械のメンテナンス作業を行う際、移動本体部をメンテナンス作業などを行う位置から離れた位置にスライドさせることができる。結果、操作部が1つにできる。そして、操作部が圧造機械のメンテナンス作業の邪魔にならない。
【0011】
請求項2に係る発明においては、操作部が開閉部に対して略平行な位置と略垂直な位置との間を移動可能であるため、圧造機械の調整作業などがより行い。
【0012】
請求項3に係る発明においては、移動本体部を略逆L字形状とすることで、移動本体部の荷重がカバーにかかり、移動本体部のスライド移動がスムーズになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態1の圧造機械の操作装置1の構成を示す正面図である。
【図2】本実施形態1の圧造機械の操作装置1の構成を示す側面図である。
【図3】本実施形態1の圧造機械の操作装置1の構成を示す上面図である。
【図4】本実施形態1の圧造機械の操作装置1の構成を示す説明図である。
【図5】本実施形態1の圧造機械の操作装置1の構成を示す説明図である。
【図6】本実施形態1の圧造機械の操作装置1の構成を示す説明図である。
【図7】従来の圧造機械の操作装置の構成を示す説明図である。
【図8】従来の圧造機械の操作装置の機内操作盤を拡大した図である。
【図9】従来の圧造機械の操作装置の機外操作盤を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の代表的な実施形態を図1〜図6を参照して説明する。本実施形態に係る変速機は、車両に搭載される。
【0015】
(実施形態1)
本実施形態1の圧造機械の操作装置1は、図1〜3に示されるように、移動本体部3と操作部4とを有する。本実施形態1の圧造機械本体は、カバー2に覆われており、図示を省略する。なお、圧造機械は、例えば、ワークを供給するワーク供給部、供給されたワークを切断する切断部、切断されたワークを所定の位置に搬送する搬送部、搬送されたワークを圧造成形する圧造部、圧造成形された成形材を金型からキックアウトするキックアウト部等から構成される。
【0016】
圧造機械本体を覆うカバー2には、側面23に開閉可能な開閉部21が位置している。開閉部21は、閉じられた状態でも作業者がカバー2内部の圧造機械本体を視認することでき、また開閉に利用する取っ手211が取り付けられている。そして、開閉部21は作業者が内部を視認しやすいように、鉛直方向に対して若干傾斜している。
【0017】
移動本体部3は、上方部31と正面部32とからなり、上方部31と正面部32とか繋がった、英文字のL字を上下逆にした略L字形状をしている。上方部31は、圧造機械本体を覆うカバー2の上面部22に位置し、繋がっている正面部32とは逆の端部に、戸車33が取り付けられている。カバー2の上面部22には、戸車33が転がることができるレール(図示略)が設置されている。
【0018】
正面部32は、開閉部21が位置する側面23に位置し、繋がっている上面部22とは逆の位置、つまり下端に戸車34が取り付けられている。カバー2の側面部23の下方には、戸車34が転がることができるレールが設置されている。
【0019】
移動本体部3は、カバー2の上面部22と側面23とを戸車33,34により、スライド移動する。図1及び図3においては、移動本体部3は左右方向にスライドする。図1及び図3に示されるように、例えば、移動本本体部3は実線で示されているカバー2の側面23の右端から、破線の位置にスライドで移動することができる。移動本体部3は、破線で示される位置のように、開閉部21の正面(開閉ができない位置)にもスライド移動可能である。その際、移動本体部3は開閉部21の取っ手211と接触することはない(図2参照)。
【0020】
また、移動本体部3は、側面の一方、鉛直方向中央より上方に取っ手35が配置されている。図1において、移動本体部3の左側側面に1つの取っ手35が配置されている。図2においては、取っ手35は図示が省略されている。作業者は、この取っ手35を握って、移動本体部3をスライド移動させることができる。
【0021】
操作部4は、移動本体部3の正面部32の鉛直方向において中央より上側、作業者が操作しやすい位置(高さ)に設置される。移動本体部3の取っ手35が配置されている高さである。操作部4には、圧造機械の各操作が行えるスイッチ類(図示略)が配置されており、側面の一方に取っ手41が配置されている。操作部4は、カバー2の側面23に対して略平行な位置(通常位置)と、カバー2の側面23に対して略垂直な位置(垂直位置)との間を、側面側の一方を支点として移動可能である。図2及び図3において、実線で示される操作部4が通常位置、破線で示される操作部4が垂直位置である。操作部4が通常位置の際、操作部4は移動本体部3から突出しておらず、移動本体部3にはめ込まれている。そして、操作部4が垂直位置の際は、移動本体部3から突出した状態となる。
【0022】
取っ手41は、移動本体部3の取っ手35に対向する位置、図1において、操作部4の右側側面に配置されている。操作装置1の左右に2つの取っ手が耳状に配置されている。操作装置1は、移動本体部3の取っ手35と操作部4の取っ手41とを使い、スライドしやすくなっている(図2では、取っ手41の図示が省略されている)。また、取っ手41は、操作部4を通常位置と垂直位置とを移動させる際に、利用することができる。
【0023】
その他に、操作部4に接続される配電及び配線は、図2及び図3に示されるカバー2の上面部22に配置されるケーブルベア部5から移動本体部3の上方部31を通っている。
【0024】
本実施形態1の圧造機械の操作装置1は、図4〜6の用にカバー2の側面23をスライド移動する。例えば、カバー2の開閉部21で圧造機械を視認しながら、操作部4を操作する場合、図6に示されるように、操作部4を垂直位置に移動させて行うことができる。操作装置1は、操作部4が通常位置又は垂直位置のどちらにあっても、移動本体部3をスライド移動可能である。また、カバー2を外して圧造機械のメンテナンスなどを行う際は、移動本体部3をスライドさせて、作業の邪魔にならない位置に移動させる。
【0025】
本実施形態1の圧造機械の操作装置1によれば、操作部4は1つである。そして、操作部4を操作しやすい位置にスライドにより移動させることができる。そのため、カバー2の開閉部21から圧造機械を視認しながら圧造機械の操作が可能である。また、圧造機械のメンテナンスなどを行う際には、メンテナンス作業の邪魔にならない位置にスライド移動させることができる。
【0026】
従来の圧造機械の操作装置と比べた場合、安全性を維持した上で、操作盤(操作部)を1つに統合することができ、重複するスイッチ機能がなくなる。結果、圧造機械を小型化可能である。
【符号の説明】
【0027】
1:圧造機械の操作装置、
2:カバー、21:開閉部、211:取っ手、22:上面部、23:側面、
3:移動本体部、31:上方部、32:正面部、33,34:戸車、35:取っ手、
4:操作盤、41:取っ手、
5:ケーブルベア部、
91:カバー、92:扉、93:機内操作盤、94:機外操作盤。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧造機械を内部に収納し、開閉可能な開閉部を側面に有するカバーの外部で、前記開閉部の位置する側面をスライド可能な移動本体部と、
前記移動本体部に取り付けられ、前記圧造機械の操作をするための操作部と、
を有することを特徴とする圧造機械の操作装置。
【請求項2】
前記操作部は、前記開閉部に対して略平行な位置と略垂直な位置との間を移動可能である請求項1に記載の圧造機械の操作装置。
【請求項3】
前記移動本体部は、前記カバーの前記側面の下方から前記カバーの上面部に位置するL字の上下逆の略逆L字形状である請求項1又は2に記載の圧造機械の操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−40596(P2012−40596A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185128(P2010−185128)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ケーブルベア
【出願人】(000117009)旭サナック株式会社 (194)
【Fターム(参考)】