説明

在宅ヘルスケアシステム

【課題】従来の在宅ヘルスケアシステムでは、管理サーバーのソフトウェアがアップグレードされることで、健康端末装置と管理サーバーとの通信方式が変更になると通信ができなくなるため、健康端末装置と管理サーバーのソフトウェアを同時に変更する必要があるという課題があった。
【解決手段】本発明の在宅ヘルスケアシステムでは、健康管理端末は管理サーバーと通信する前にソフト更新サーバーと通信して、あらかじめソフトウェアを更新してその後に管理サーバーと通信することで、管理サーバーのソフトウェアが更新され通信方式が変化しても、その後の次回通信で自動的に健康端末装置のソフトウェアが更新され、バージョンアップによる通信方式の変更で通信不能状態になることを防ぐのを可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医師や看護師などの医療関係者と、在宅あるいは医療機関内の患者との間で医療情報や生体情報の交信を行うことができる健康診断ネットワークシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の在宅ヘルスケアシステムは、各家庭に設置された健康端末装置へ体温計、血糖計などの各種センサにより測定したデータを転送することで、データセンターなどに設置されたデータベースサーバーへ蓄積する。同時にWebサーバーを設置して、患者宅から離れた医師はインターネット網を経由して病院にてInternetExplorerなどのブラウザによりデータベースサーバーに蓄積された患者データをチェックできるようにしてある。これによって患者の通院なしに、適切なアドバイスを患者へ与えたり、遠隔診療をおこなうことができる(特許文献1)。データベースサーバーには患者を特定するための年齢・性別・住所・電話番号といった個人特定情報と共に、患者の生体情報データなどの病状などの個人生体情報が蓄積される(特許文献2)。
【特許文献1】特開2002−83066号公報
【特許文献2】特開平7−141451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の在宅ヘルスケアシステムでは管理サーバーのソフトウェアがアップグレードされることで、健康端末装置と管理サーバーとの通信方式が変更になると通信ができなくなるため、健康端末装置と管理サーバーのソフトウェアを同時に変更する必要があるという問題があった。
【0004】
本発明は、健康管理端末は管理サーバーと通信する前にソフト更新サーバーと通信して、あらかじめソフトウェアを更新してその後に管理サーバーと通信することで、管理サーバーのソフトウェアが更新され通信方式が変化しても、その後の次回通信で自動的に健康端末装置のソフトウェアが更新され、バージョンアップによる通信方式の変更で通信不能状態になることを防ぐのを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の在宅ヘルスケアシステムは、患者が測定した生体情報をネットワークを介して管理手段へ送信可能で、かつ医師からのアドバイス情報を受信できる健康端末装置と、前記生体情報を前記管理手段より取得して閲覧可能とし、かつ患者へのアドバイス情報を送信することができる医師が使用する医師端末と、前記健康端末装置のソフトを更新するためのソフト更新手段を備え、前記管理手段は患者の生体情報を蓄積するデータベース手段と前記データベース手段に前記健康端末装置からの生体情報の蓄積制御をする情報制御手段とを有し、前記ソフト更新手段は前記健康端末装置の更新ファイルを保存する更新ソフト蓄積手段と前記更新ソフト蓄積手段から更新ファイルを取り出し前記健康端末装置との通信を制御することでソフトウェアアップデートをおこなうソフト更新判断手段とを有する。
【0006】
この構成により、健康管理端末は管理サーバーと通信する前にソフト更新サーバーと通信して、あらかじめソフトウェアを更新してその後に管理サーバーと通信することで、管理サーバーのソフトウェアが更新され通信方式が変化しても、その後の次回通信で自動的に健康端末装置のソフトウェアが更新され、バージョンアップによる通信方式の変更で通信不能状態になることを防ぐことができる。
【0007】
本発明の在宅ヘルスケアシステムは、さらに前記ソフト更新手段が送付する前記更新ファイルが前記健康端末装置のソフトウェアのバージョンに応じて変化することを特徴とする。
【0008】
この構成により、各健康端末装置に実装されているソフトの古さに応じて、既に健康端末装置に存在するファイルの転送をしないので、バージョンアップ時間の短縮とネットワークトラフィックの削減をすることができる。
【0009】
本発明の在宅ヘルスケアシステムは、さらに前記ソフト蓄積手段の更新ファイルをリモート制御により入れ替えをおこなうメンテナンス端末と、前記メンテナンス端末からのリモート制御により前記更新ソフト蓄積手段の更新ファイルを入れ替える更新ソフト受入手段を有することを特徴とする。
【0010】
この構成により、これによりソフト更新サーバーが更新ソフト開発場所から離れた場所に設置されていても、即座にアップグレードソフトのリリースをおこなうことができる。
【0011】
本発明の在宅ヘルスケアシステムは、前記データベース手段がクラスタリングにより構成されたことを特徴とする。
【0012】
この構成により、機器などのトラブル時による患者の生体情報の損傷を防ぐことができる。
【0013】
本発明のプログラムは、さらに在宅ヘルスケアシステムのの少なくとも一部の制御動作をコンピューターに実行させる。
【0014】
この構成により、CPU(マイコン)、RAM、ROM、記憶装置、I/Oなどを備えた電気情報機器、コンピューター、サーバー等のハードリソースを協働させて、本発明の健康端末装置の一部あるいは全てを容易に実現することができる。
【0015】
また記録媒体に記録したり通信回線を用いてプログラムを配信したりすることでプログラムの配布やインストール作業が簡単にできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、患者が測定した体温、血糖値などの生体情報を管理サーバーへ送信すると共に、医師からのアドバイス情報を受信する健康端末装置と、患者が測定した生体情報を管理サーバーより取得して閲覧すると共に、患者へアドバイス情報を送信するために医師が使用する医師端末と、各患者の測定データなどの生体情報を蓄積されたデータベース手段と、前記データベース手段に前記健康端末装置からの生体情報の蓄積制御をする情報制御手段と、前記健康端末装置の更新ファイルを保存する更新ソフト蓄積手段と、前記更新ソフト蓄積手段から更新ファイルを取り出し前記健康端末装置との通信を制御することでソフトウェアアップデートをおこなうソフト更新判断手段と、前記通信インタフェース手段と前記特定情報アクセス手段と前記生体情報アクセス手段を制御することで前記医師端末に患者情報を表示させる情報制御手段とで構成されている。この構成により、健康管理端末は管理サーバーと通信する前にソフト更新サーバーと通信して、あらかじめソフトウェアを更新してその後に管理サーバーと通信することで、管理サーバーのソフトウェアが更新され通信方式が変化しても、その後の次回通信で自動的に健康端末装置のソフトウェアが更新され、バージョンアップによる通信方式の変更で通信不能状態になることを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態の在宅ヘルスケアシステムについて、図面を用いて説明する。
【0018】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態における在宅ヘルスケアシステムの構成図を図1に示す。
【0019】
図1において、健康端末装置101は患者が測定した体温、血糖値などの生体情報を管理手段である管理サーバー102へ送信すると共に、医師からのアドバイス情報を受信する。管理サーバー102は、情報制御手段111とデータベース手段112から構成された管理サーバー。医師端末103は患者が測定した生体情報を管理サーバー102より取得して閲覧すると共に、患者へアドバイス情報を送信するために医師が使用する。インターネット網104は健康端末装置101と医師端末103が管理サーバー102及びソフト更新手段であるソフト更新サーバー106と通信する。ファイアウォール105は管理サーバー102とソフト更新サーバー106を悪意のある者から防御するためのセキュリティ機器である。ソフト更新サーバー106はソフト更判断手段113と更新ソフト蓄積手段114から構成される。情報制御手段111はデータベース手段112に健康端末装置101からの生体情報の蓄積制御をする。データベース手段112は各患者の測定データなどの生体情報を蓄積される。ソフト更新判断手段113は更新ソフト蓄積手段114から更新ファイルを取り出し健康端末装置101との通信を制御することでソフトウェアアップデートをおこなう。更新ソフト蓄積手段114は健康端末装置101の更新ファイルを保存する。
【0020】
以上のように構成された在宅ヘルスケアシステムについて、本発明の動作を詳細に説明する。
【0021】
健康端末装置101は患者が自宅で入力した生体情報をインターネット網104を介して、管理サーバー102へ送信する。管理サーバー102の情報制御手段111はこれを受信してデータベース手段112に蓄積をする。また医者は医師端末103を使用してインターネット網104を経由してデータベース手段112に蓄積された患者データを遠隔にて閲覧することで、患者が病院に行かずに日々の健康管理状態を医師は知ることができ治療に生かすことができる。もし医師が食事内容などの健康アドバイスや通院指示をしたい場合には、医師端末103を使用することでデータベース手段112へ書き込みを行い。健康端末装置101は情報制御手段111を介してその書き込みを受信、患者はそのアドバイス情報を入手することができる。このようなシステムでは日々ソフトウェアの更新やバグ修正がおこなわれるが、この手順はこれまでは、健康端末装置101が情報制御手段111と通信するときに処理される。しかしながら本システムはそうではなく、健康端末装置101が管理サーバー102と通信するより先に、ソフト更新サーバー106と通信をおこなうことで健康端末装置101のソフトウェアを更新して、その後管理サーバー102との通信を開始する。このソフト更新手順について図2を用いて説明をする。
【0022】
図2は本発明の第1の実施の形態における通信シーケンス図である。
【0023】
健康端末装置201はバージョン1.0のソフトウェアが実装されている。健康端末装置202はバージョン2.0のソフトウェアが実装されている。健康端末装置201はソフト更新サーバー106から最新ソフトウェアである更新ソフトファイル212を受信する。そしてソフトウェアを最新状態にアップグレードした後に、管理サーバー102と患者が測定した生体情報である測定データ213を送信したり、アドバイス情報がはいった患者データ214の受信をおこなう。また違うソフトバージョンが実装された健康端末装置202、203においても全く同じ更新ソフトファイル212をソフト更新サーバー106から受信することで最新ソフトにアップグレードが行われる。これによって、健康管理端末201、202、203は管理サーバー102と通信する前にソフト更新サーバー106と通信して、あらかじめソフトウェアを更新してその後に管理サーバー102と通信することで、管理サーバー102のソフトウェアが更新され通信方式が変化しても、その後の次回通信で自動的にソフトウェアが更新され、バージョンアップによる通信方式の変更で通信不能状態になることを防ぐことができる。
【0024】
(第2の実施の形態)
次に図3を用いて、本発明の第2の実施の形態を説明する。図3は本発明の第2の実施の形態における通信シーケンス図である。健康端末装置201はバージョン1.0のソフトウェアが実装されている。健康端末装置202はバージョン2.0のソフトウェアが実装されている。健康端末装置201は実装されているソフトウェアが1.0であることをバージョン情報211としてソフト更新サーバー106へ送信する。するとソフト更新サーバー106は、最新ソフト(ここでは3.0とする)とバージョン1.0との差分ファイルのみ更新ソフトファイル212としてダウンロードさせる。その後、健康端末装置201はバージョン3.0として管理サーバー102と測定データや患者データの送受信をおこなう。バージョン2.0のソフトウェアが実装された健康端末装置202の場合も同様である。バージョン2.0を意味するバージョン情報221をソフト更新サーバー106え送信することで、バージョン2.0と3.0の差分ファイルである更新ソフトファイル222を取得して、最新のソフトウェア3.0へとアップグレードされる。次に既に最新のソフトウェアが十曽された健康端末装置203の動きについて説明をする。健康端末装置203はソフトウェアのバージョンが3.0であることをバージョン情報231を送信することでソフト更新サーバー106へ通知する。ソフト更新サーバー106は既に最新のソフトウェアであるためアップグレードのひつようがないことを最新バージョン通知2232によって健康端末装置203へ知らせる。すると健康端末装置203はソフトウェアのアップグレードなしに管理サーバー102との通信に移行する。
【0025】
図4は本発明の第2の実施の形態におけるフローチャート図を示したものである。ソフト更新サーバー106におけるソフト更新判断手段113では健康端末装置101からバージョン情報を取得(端末ソフトバージョン取得処理302)、そして更新ソフト蓄積手段114に蓄積されたソフトウェアのバージョンと比較(バージョン比較処理303)して、バージョン毎にファイル処理される(ファイル選択処理304a、304b)。そして更新ソフト蓄積手段114に保存されている差分ファイルを健康端末装置101へ送信をおこなう(更新ファイルダウンロード処理305)。これによって、ソフト更新サーバーが送付する更新ファイルが健康端末装置のソフトウェアバージョンに応じて変化する構成を有している。この構成により、各健康端末装置に実装されているソフトの古さに応じて、既に健康端末装置に存在するファイルの転送をしないので、バージョンアップ時間の短縮とネットワークトラフィックの削減をすることができる。
【0026】
(第3の実施の形態)
次に図5を用いて、本発明の第3の実施の形態を説明する。図5は、本発明の第3の実施の形態における在宅ヘルスケアシステムの構成図である。なお図1と同じものは説明を省略する。メンテナンス端末107はソフト蓄積手段114の更新ファイルをリモート制御により入れ替えをおこなう。更新ソフト受入手段115はメンテナンス端末107からのリモート制御により更新ソフト蓄積手段114の更新ファイルを入れ替える。管理者はメンテナンス端末107を操作することで、インターネット網104を介して更新ソフト受入手段115と通信をおこない、更新ソフト蓄積手段114に更新ファイルをアップロードしたりすることができる。
【0027】
これによって、ソフト更新サーバーが更新ソフト開発場所から離れた場所に設置されていても、即座にアップグレードソフトのリリースをおこなうことができる。
【0028】
(第4の実施の形態)
次に図6を用いて、本発明の第4実施の形態を説明する。図6にて、本発明の第4の実施の形態における在宅ヘルスケアシステムの構成図である。なお図1と同じものは説明を省略する。データベースサーバー108はデータベース手段112を有する。データベース手段112は情報制御手段111を有した管理サーバーと別のものとして管理されるため、管理サーバーが102が故障などに破損しても、データベース手段112に蓄積されたデータベースの損傷を防ぐ。これによって、機器などのトラブル時による患者の生体情報の損傷を防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
以上のように、本発明にかかる在宅ヘルスケアシステムは、健康管理端末は管理サーバーと通信する前にソフト更新サーバーと通信して、あらかじめソフトウェアを更新してその後に管理サーバーと通信することで、管理サーバーのソフトウェアが更新され通信方式が変化しても、その後の次回通信で自動的に健康端末装置のソフトウェアが更新され、バージョンアップによる通信方式の変更で通信不能状態になることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1の実施の形態における在宅ヘルスケアシステムの構成図
【図2】本発明の第1の実施の形態における通信シーケンス図
【図3】本発明の第2の実施の形態における通信シーケンス図
【図4】本発明の第2の実施の形態におけるフローチャート
【図5】本発明の第3の実施の形態における在宅ヘルスケアシステムの構成図
【図6】本発明の第4の実施の形態における在宅ヘルスケアシステムの構成図
【符号の説明】
【0031】
101 健康端末装置
102 管理サーバー
103 医師端末
104 インターネット網
105 ファイアウォール
106 ソフト更新サーバー
107 メンテナンス端末
108 データベースサーバー
111 情報制御手段
112 データベース手段
113 ソフト更新判断手段
114 更新ソフト蓄積手段
115 更新ソフト受入手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者が測定した生体情報をネットワークを介して管理手段へ送信可能で、かつ医師からのアドバイス情報を受信できる健康端末装置と、前記生体情報を前記管理手段より取得して閲覧可能とし、かつ患者へのアドバイス情報を送信することができる医師が使用する医師端末と、前記健康端末装置のソフトを更新するためのソフト更新手段を備え、前記管理手段は患者の生体情報を蓄積するデータベース手段と前記データベース手段に前記健康端末装置からの生体情報の蓄積制御をする情報制御手段とを有し、前記ソフト更新手段は前記健康端末装置の更新ファイルを保存する更新ソフト蓄積手段と前記更新ソフト蓄積手段から更新ファイルを取り出し前記健康端末装置との通信を制御することでソフトウェアアップデートをおこなうソフト更新判断手段とを有することを特徴とする
在宅ヘルスケアシステム。
【請求項2】
前記ソフト更新手段が送付する前記更新ファイルが前記健康端末装置のソフトウェアのバージョンに応じて変化することを特徴とする請求項1記載の在宅ヘルスケアシステム。
【請求項3】
前記ソフト蓄積手段の更新ファイルをリモート制御により入れ替えをおこなうメンテナンス端末と、前記メンテナンス端末からのリモート制御により前記更新ソフト蓄積手段の更新ファイルを入れ替える更新ソフト受入手段を有することを特徴とする請求項2記載の在宅ヘルスケアシステム。
【請求項4】
前記データベース手段がクラスタリングにより構成されたことを特徴とする請求項3記載の在宅ヘルスケアシステム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項記載の在宅ヘルスケアシステムの少なくとも一部の制御動作をコンピューターに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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