説明

在庫管理システム

【課題】発注点設定方法を簡略化し、需要の変動に応じて発注点を迅速に変化させることができる在庫管理システムを提供する。
【解決手段】在庫管理システム20において、製品の発注点、発注基準点を記憶する製品情報記憶部1と、発注基準日を発注基準日データとして記憶する発注基準日データ記憶部5と、発注基準日データを利用して発注基準日間隔を算出する発注基準日間隔算出部6と、直近を含む所定回数分の発注基準日間隔の合計を算出する第一の発注基準日間隔合計算出部7と、直近を除く前記所定回数分の発注基準日間隔の合計を算出する第二の発注基準日間隔合計算出部8と、第一の発注基準日間隔の合計を第二の発注基準日間隔の合計で除算することにより発注基準点間隔比率を算出する発注基準点間隔比率算出部9と、発注基準点間隔比率に発注点を乗算することにより発注点を設定する発注点設定部10とを備えるようになした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、定点管理方式を用いた在庫管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、特開2000−168917号公報に示されるように、過去の出荷量および出荷日を含む出荷データから、製品の総出荷量、出荷日数、1日あたりの平均出荷量および最大出荷量を算出し、発注点保有日数(発注点の保有日数換算)を設定する在庫管理装置が知られている。この在庫管理装置は、図17に示すフローチャートに従って、発注点保有日数を設定している。まず、製品別に1日あたりの実出荷量および最大出荷量を算出する(ステップS701)。1日あたりの実出荷量は、製品毎に過去の出荷データから総出荷量を求め、それを出荷日数で割って出荷日1日当たりの平均出荷量としている。また、1日あたりの最大出荷量は、過去の出荷データから1日当たりの出荷が最大である出荷量から得られる。次に、製品別に平均指数(最大出荷量/実出荷量)を算出する(ステップS702)。そして、出荷金額ランクおよび出荷日数ランクによって区分けされた製品群毎に、平均指数の平均値を算出する(ステップS703)。次に、製品毎に出荷日数ランクが上位であるか判断する(ステップS704)。ステップS704で、出荷日数ランクが上位であると判断された場合、発注点保有日数として、各ランクにおける平均指数の平均値に所定のリードタイムを加算したものを在庫管理データに設定する(ステップS705)。ステップS704で、出荷日数ランクが上位でないと判断された場合、発注点保有日数として、各ランクにおける平均指数の平均値を四捨五入した値を在庫管理データに設定する(ステップS706)。
【特許文献1】特開2000−168917号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来例である在庫管理装置にあっては、所定期間の出荷データに基づいて発注点保有日数を算出するので、需要変動が平均化され、需要変動の激しい商品に対しては、発注点保有日数の変更が追いつかないという問題があった。また、出荷データの他にランクデータも必要であるため、データ管理が煩雑となる。
【0004】
本願発明は、上記背景技術に鑑みてなしたものであり、その目的は、発注点設定方法を簡略化し、需要の変動に応じて発注点を迅速に変化させることができる在庫管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本願請求項1記載の発明は、製品の在庫量が発注点より下回った場合に、発注されるようになした在庫管理システムにおいて、製品の発注点、発注点追加数、発注基準点を含む製品情報を記憶する製品情報記憶部と、発注点に発注点追加数を加算して発注基準点を設定する発注基準点設定部と、在庫量が発注基準点より下回ったか否かを判断する基準在庫量判断部と、基準在庫量判断部により在庫量が発注基準点を下回ったと判断された場合に、在庫量が発注基準点を下回った日を発注基準日として設定する発注基準日設定部と、発注基準日を発注基準日データとして記憶する発注基準日データ記憶部と、発注基準日データを利用して発注基準日間隔を算出する発注基準日間隔算出部と、直近を含む所定回数分の発注基準日間隔の合計を算出する第一の発注基準日間隔合計算出部と、直近を除く前記所定回数分の発注基準日間隔の合計を算出する第二の発注基準日間隔合計算出部と、第二の発注基準日間隔の合計を第一の発注基準日間隔の合計で除算することにより発注基準点間隔比率を算出する発注基準点間隔比率算出部と、発注基準点間隔比率に発注点を乗算することにより発注点を設定する発注点設定部とを備えている。
【0006】
本願請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の在庫管理システムにおいて、製品の在庫量が発注点より下回った場合に、発注量を決定する発注量決定部を備え、製品情報記憶部は製品の発注量を含む製品情報を記憶し、発注点設定部により発注点が引き上げられた場合に、発注量決定部は予め設定した発注量に発注点の引き上げ分を加算して発注量を決定することを特徴としている。
【0007】
本願請求項3記載の発明は、上記請求項1又は2記載の在庫管理システムにおいて、発注基準日を発注基準日間隔の開始日と、発注基準日間隔の終了日と、発注基準日間隔の開始日にも終了日にもなる日のいずれかに分類する発注基準日分類部を備え、発注基準日データ記憶部は発注基準日と発注基準日分類部により分類された分類結果とを対応させた発注基準日データを記憶し、発注基準日間隔算出部は発注基準日データを利用して発注基準日間隔の終了日から開始日を減算することにより発注基準日間隔を算出し、発注基準日分類部は発注基準日を通常は発注基準日間隔の開始日にも終了日にもなる日として分類し、発注点設定部により発注点が引き下げられた場合に、発注基準日分類部は更新直後の発注基準日を発注基準日間隔の開始日に分類するとともに、更新直前の発注基準日を発注基準日間隔の終了日に再分類することを特徴としている。
【0008】
本願請求項4記載の発明は、上記請求項3記載の在庫管理システムにおいて、発注基準日が発注基準日間隔の開始日にも終了日にもなる日である場合にだけ、発注点設定部は発注点の設定を行うことを特徴としている。
【0009】
本願請求項5記載の発明は、上記請求項1乃至4のいずれか一項記載の在庫管理システムにおいて、発注基準日間隔の合計を算出するために用いられる間隔参照回数を間隔参照回数テーブルとして記憶する間隔参照回数テーブル記憶部と、製品情報を間隔参照回数テーブルに照合して間隔参照回数を決定する間隔参照回数決定部とを備え、製品情報記憶部は製品の需要変動に応じたランクを含む製品情報を記憶し、間隔参照回数テーブル記憶部は需要変動に応じたランクと間隔参照回数を関連付けて記憶し、間隔参照回数決定部は製品の需要変動に応じたランクを間隔参照回数テーブルに照合して間隔参照回数を決定し、第一の発注基準日間隔合計算出部と第二の発注基準日間隔合計算出部は間隔参照回数決定部により決定された間隔参照回数を利用して発注基準日間隔の合計を算出することを特徴としている。
【0010】
本願請求項6記載の発明は、上記請求項1乃至4のいずれか一項記載の在庫管理システムにおいて、発注基準日間隔の合計を算出するために用いられる間隔参照回数を間隔参照回数テーブルとして記憶する間隔参照回数テーブル記憶部と、製品情報を間隔参照回数テーブルに照合して間隔参照回数を決定する間隔参照回数決定部とを備え、製品情報記憶部は製品の発注実績回数を含む製品情報を記憶し、間隔参照回数テーブル記憶部は発注実績回数と間隔参照回数を関連付けて記憶し、間隔参照回数決定部は製品の発注実績回数を間隔参照回数テーブルに照合して間隔参照回数を決定し、第一の発注基準日間隔合計算出部と第二の発注基準日間隔合計算出部は間隔参照回数決定部により決定された間隔参照回数を利用して発注基準日間隔の合計を算出することを特徴としている。
【0011】
本願請求項7記載の発明は、上記請求項6記載の在庫管理システムにおいて、製品の欠品が生じた場合に、製品情報記憶部は記憶している発注実績回数をリセットすることを特徴としている。
【0012】
本願請求項8記載の発明は、上記請求項5乃至7のいずれか一項記載の在庫管理システムにおいて、切り上げ単位を利用して発注点の切り上げを行う発注点切り上げ部を備え、製品情報記憶部は発注点を切り上げるための発注点管理単位を含む製品情報を記憶し、間隔参照回数テーブル記憶部は発注点管理単位の整数倍である切り上げ単位と間隔参照回数を関連付けて記憶し、発注点切り上げ部は間隔参照回数決定部により決定された間隔参照回数と関連付けられた切り上げ単位を利用して発注点の切り上げを行うことを特徴としている。
【0013】
本願請求項9記載の発明は、上記請求項1乃至4のいずれか一項記載の在庫管理システムにおいて、各製品に共通して使用される共通部品の在庫量を共通部品の発注点に基づいて管理する場合に、各製品の下限在庫を利用して各製品の引当比率をそれぞれ算出する引当比率算出部と、共通部品の発注点に各製品の発注基準点間隔比率と引当比率を乗算することにより発注点引当比率をそれぞれ算出する発注点引当比率算出部と、各製品の発注点引当比率を加算することにより共通部品の発注点を設定する共通部品発注点設定部と、発注基準日間隔の合計を算出するために用いられる間隔参照回数を間隔参照回数テーブルとして記憶する間隔参照回数テーブル記憶部と、製品情報を間隔参照回数テーブルに照合して間隔参照回数を決定する間隔参照回数決定部とを備え、製品情報記憶部は各製品の需要変動に応じたランク、下限在庫を含む製品情報を記憶し、間隔参照回数テーブル記憶部は需要変動に応じたランクと間隔参照回数を関連付けて記憶し、間隔参照回数決定部は各製品の需要変動に応じたランクを間隔参照回数テーブルに照合して各製品の間隔参照回数をそれぞれ決定し、第一の発注基準日間隔合計算出部と第二の発注基準日間隔合計算出部は間隔参照回数決定部により決定された間隔参照回数を利用して発注基準日間隔の合計を製品ごとにそれぞれ算出し、発注基準点間隔比率算出部は第二の発注基準日間隔の合計を第一の発注基準日間隔の合計で除算することにより発注基準点間隔比率を製品ごとにそれぞれ算出することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本願請求項1記載の発明の在庫管理システムにおいては、発注基準日間隔を利用して発注点の設定を行うことにより、発注点設定方法を簡略化することができる。また、発注基準点を発注点より上に設定すると、在庫量が発注基準点に到達した日に発注点の設定を行うことができるので、例えば、需要の急激な増加が起きていると予測される場合に、発注点を引き上げることで発注日を早め、入荷までに欠品が発生するのを効果的に防止することができる。
【0015】
本願請求項2記載の発明の在庫管理システムにおいては、特に、発注点の引き上げ分を予め設定した発注量に加算するようにしたものであるから、断続的に発注点の引き上げが行われてしまうことを防ぐことができる。
【0016】
本願請求項3記載の発明の在庫管理システムにおいては、特に、発注点が引き下げられた場合に、更新直前の発注基準日から更新直後の発注基準日までの期間を発注基準日間隔の算出期間から除くことができるようにしたものであるから、発注点が引き下げられた場合に、適切な需要予測を行うことができる。
【0017】
本願請求項4記載の発明の在庫管理システムにおいては、特に、発注基準日が発注基準日間隔の開始日にも終了日にもなる日である場合にだけ、発注点の設定を行うようにしたものであるから、発注点が引き下げられた場合に、更新直後の発注基準日で発注点の設定が行われるのを防ぐことができる。
【0018】
本願請求項5記載の発明の在庫管理システムにおいては、特に、発注基準点間隔の参照回数を変化させるものであるから、間隔参照回数を少なくして直近の需要状態に対応させたり、間隔参照回数を多くして長期的な需要変動の平均化に対応させたりすることができる。
【0019】
本願請求項6記載の発明の在庫管理システムにおいては、特に、発注実績回数に応じて間隔参照回数を決定するようにしたので、例えば新商品など、販売開始時の変化の大きい需要状態と、その後の安定した需要状態とに合わせた発注点の変更を迅速に行うことができる。
【0020】
本願請求項7記載の発明の在庫管理システムにおいては、特に、製品の欠品が生じた場合に発注実績回数をリセットすることで、直近の需要に合った適正な発注点の再設定を行うことができる。また、安定した需要状態になるまで、間隔参照回数を変化させることができるので、以後の欠品発生をより少なくすることができる。
【0021】
本願請求項8記載の発明の在庫管理システムにおいては、特に、発注点の切り上げを行うことで、頻繁な発注点の変更を防止して、システムの負荷を軽減させることができる。
【0022】
本願請求項9記載の発明の在庫管理システムにおいては、特に、発注点引当比率を算出して共通部品の発注点設定を行うことにより、共通部品の発注点に各製品の需要変動を反映させることができ、一部製品の需要変動が大きい場合でも、引当比率に応じた影響に留めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1乃至図14は、本願発明の第1の実施形態である在庫管理システムを示している。この在庫管理システム20は、図1に示すように、記憶手段21と、設定手段22と、判断手段23と、算出手段24と、処理手段25とから構成されている。
【0024】
記憶手段21は、製品情報を記憶する製品情報記憶部1と、発注基準日データを記憶する発注基準日データ記憶部5と、間隔参照回数テーブル記憶部13とを備えている。設定手段22は、発注基準点を設定する発注基準点設定部2と、発注基準日設定部4と、発注点設定部10とを備えている。判断手段23は、基準在庫量判断部3と、在庫量判断部19とを備えている。算出手段24は、発注基準日間隔を算出する発注基準日間隔算出部6と、第一の発注基準日間隔合計算出部7と、第二の発注基準日間隔合計算出部8と、発注基準点間隔比率算出部9とを備えている。処理手段25は、発注量決定部11と、発注基準日分類部12と、間隔参照回数決定部14と、発注点切り上げ部15とを備えている。
【0025】
製品情報記憶部1は、図2に示すように、製品の発注量、発注点、発注点追加数、発注基準点、需要変動区分、発注実績回数、発注点管理単位を製品情報として記憶している。ここで、製品の発注量は予め設定された値であり、発注点は発注点設定部10により適宜、設定される値である。また、発注点追加数は必要に応じて変更が可能な値である。さらに、発注基準点は、発注基準点設定部2により発注点に発注点追加数を加算して算出され、適宜、更新される値である。需要変動区分は必要に応じて変更が可能な値であり、ここでは需要変動が大きい製品の需要変動区分を1、需要変動が大きくも小さくもない製品の需要変動区分を2、需要変動が小さい製品の需要変動区分を3、として3段階のランク設定をしているが、必要に応じてランク設定の数を増やしたり減らしたりしてもよい。発注実績回数は製品の発注した回数を累積して記憶するものである。発注点管理単位は、発注点の切り上げ時に用いられる基本単位であるから、例えば、2、5、10、20など発注点管理が容易となる数字が好ましい。
【0026】
発注基準点設定部2は、製品情報記憶部1に記憶されている発注点に発注点追加数を加算して発注基準点を設定する。
【0027】
基準在庫量判断部3は、製品の在庫量が製品情報記憶部1に記憶されている発注基準点より下回ったか否かを判断するものである。
【0028】
発注基準日設定部4は、基準在庫量判断部3により在庫量が発注基準点を下回ったと判断された場合に、在庫量が発注基準点を下回った日を発注基準日として設定する。
【0029】
発注基準日データ記憶部5は、図3(c)に示すように、製品の発注基準日、分類区分、発注基準日間隔を発注基準日データとして記憶している。ここで、製品の発注基準日は発注基準日設定部4により設定された日である。分類区分は後述する発注基準日分類部12にて設定される発注基準日の分類区分であり、ここでは発注基準日が発注基準日間隔の開始日にも終了日にもなる日を分類区分の1、発注基準日が発注基準日間隔の終了日になる日を分類区分の2、発注基準日が発注基準日間隔の開始日になる日を分類区分の3、として設定している。発注基準日間隔は発注基準日間隔算出部6にて算出される発注基準日の間隔である。
【0030】
発注基準日間隔算出部6は発注基準日データの分類区分にしたがって、発注基準日間隔の終了日から開始日を減算することにより1回当たりの発注基準日間隔を算出する。つまり、次式にしたがって発注基準日間隔を算出することになる。
1回当たりの発注基準日間隔=発注基準日間隔の終了日−発注基準日間隔の開始日
図3(c)を用いて説明すると、10月5日、10月12日はいずれも発注基準日間隔の開始日にも終了日にもなる分類区分1の日であるから、10月12日から10月5日を減算することにより、発注基準日間隔は7日となる。10月24日は発注基準日間隔の終了日である分類区分2の日であるから、10月24日から10月12日を減算することにより、発注基準日間隔は12日となる。10月26日は発注基準日間隔の開始日である分類区分3の日であるから、10月26日から10月24日を減算する処理は行わない。11月7日は発注基準日間隔の開始日にも終了日にもなる分類区分1の日であるから、11月7日から10月26日を減算することにより、発注基準日間隔は12日となる。
【0031】
第一の発注基準日間隔合計算出部7は、直近を含む所定回数分の発注基準日間隔の合計を算出する。図4を用いて説明すると、直近である12月6日を含み、参照回数を2回とした場合、12月6日から11月30日までの発注基準日間隔は6日であり、11月30日から11月24日までの発注基準日間隔は6日であるから、合計すると12日になる。なお、第一の発注基準日間隔合計算出部7は、後述する間隔参照回数決定部14により決定された間隔参照回数を利用して発注基準日間隔の合計を算出してもよい。
【0032】
第二の発注基準日間隔合計算出部8は、直近を除く所定回数分の発注基準日間隔の合計を算出する。ここで、発注基準日間隔の参照回数は第一の発注基準日間隔合計算出部7における参照回数と同一であれば、参照する発注基準日間隔が一部重複してもよいし、第一の発注基準日間隔合計算出部7で参照した発注基準日間隔より以前の発注基準日間隔を参照してもよい。図4を用いて説明すると、直近である12月6日を除き、参照回数を2回とし、第一の発注基準日間隔合計算出部7で参照した発注基準日間隔より以前の発注基準日間隔を参照した場合、11月24日から11月18日までの発注基準日間隔は6日であり、11月18日から11月10日までの発注基準日間隔は8日であるから、合計すると14日になる。なお、第二の発注基準日間隔合計算出部8は、後述する間隔参照回数決定部14により決定された間隔参照回数を利用して発注基準日間隔の合計を算出してもよい。
【0033】
発注基準点間隔比率算出部9は、第二の発注基準日間隔の合計を第一の発注基準日間隔の合計で除算することにより発注基準点間隔比率を算出する。つまり、次式にしたがって発注基準点間隔比率を算出することになる。
発注基準点間隔比率=第二の発注基準日間隔の合計/第一の発注基準日間隔の合計
上述の算出結果を用いると、第一の発注基準日間隔の合計は12日で、第二の発注基準日間隔の合計は14日であるから、14日を12日で除算することにより、発注基準点間隔比率は14/12となる。
【0034】
発注点設定部10は、発注基準点間隔比率に発注点を乗算することにより新たな発注点を設定する。つまり、次式にしたがって発注点を設定することになる。
新たな発注点=発注点×発注基準点間隔比率
図2の製品情報より製品Bの発注点は300であり、上述の発注基準点間隔比率は14/12であるから、新たな発注点は300×14/12=350となる。なお、発注点設定部10は、発注基準日が発注基準日間隔の開始日にも終了日にもなる分類区分1の日にだけ、発注点の設定を行う。
【0035】
発注量決定部11は、製品の在庫量が発注点より下回った場合に発注量を決定する。通常は図2の製品情報に基づき、予め設定した一定量を発注量として決定する。しかし、発注点設定部10により発注点が引き上げられた場合には、予め設定した発注量に発注点の引き上げ分を加算して発注量を決定する。
【0036】
発注基準日分類部12は、発注基準日を発注基準日間隔の開始日と、発注基準日間隔の終了日と、発注基準日間隔の開始日にも終了日にもなる日のいずれかに分類し、分類区分を設定する。ここでは発注基準日が発注基準日間隔の開始日にも終了日にもなる日を分類区分の1、発注基準日が発注基準日間隔の終了日になる日を分類区分の2、発注基準日が発注基準日間隔の開始日になる日を分類区分の3、として設定している。通常は発注基準日を発注基準日間隔の開始日にも終了日にもなる日として分類区分の1に設定する。しかし、発注点設定部10により発注点が引き下げられた場合には、更新直後の発注基準日を発注基準日間隔の開始日として分類区分の3に設定するとともに、更新直前の発注基準日を発注基準日間隔の終了日として分類区分の2に再設定する。ここで、図3(a)〜(c)、図5(a)〜(c)を用いて詳細に説明する。図5(a)に示すように、在庫量が発注基準点に到達した場合には、図3(a)に示すように、発注基準日分類部12は10月24日を発注基準日間隔の開始日にも終了日にもなる日として分類区分の1に設定する。ここで、発注基準日間隔の参照回数を1回、第二の発注基準日間隔合計算出部8が第一の発注基準日間隔合計算出部7で参照した発注基準日間隔より以前の発注基準日間隔を参照した場合、発注基準点間隔比率は7/12となる。よって、図5(b)に示すように、新たな発注点は発注点×(7/12)となる。図5(c)に示すように、発注点が引き下げられ、その後、在庫量が発注基準点に到達した場合には、図3(b)に示すように、発注基準日分類部12は更新直後の発注基準日である10月26日を発注基準日間隔の開始日として分類区分の3に設定するとともに、更新直前の発注基準日である10月24日を発注基準日間隔の終了日として分類区分の2に再設定する。なお、10月26日は発注基準日間隔の開始日であるから、発注点の設定は行われない。さらに、発注基準点が発注点と一致するので、10月26日に在庫量が発注点を下回ったと判断され、発注が行われる。そして、図3(c)に示すように、11月7日は10月24日に引き下げられた発注点(発注基準点)に在庫量が到達した日を示す。
【0037】
間隔参照回数テーブル記憶部13は、図6に示すように、間隔参照回数と需要変動区分、間隔参照回数と発注実績回数、間隔参照回数と発注点管理単位の整数倍である切り上げ単位をそれぞれ関連付けた間隔参照回数テーブルを記憶している。
【0038】
間隔参照回数決定部14は、製品情報の需要変動区分を間隔参照回数テーブルに照合して間隔参照回数を決定したり、製品情報の発注実績回数を間隔参照回数テーブルに照合して間隔参照回数を決定したりする。そして、第一の発注基準日間隔合計算出部7と第二の発注基準日間隔合計算出部8は間隔参照回数決定部14により決定された間隔参照回数を利用して発注基準日間隔の合計を算出する。ここで、図2、図6を用いて詳細に説明する。図2に示すように、製品Aの需要変動区分は3、製品Bの需要変動区分は2、製品Cの需要変動区分は1である。また、図6に示すように、需要変動区分1の間隔参照回数は1回、需要変動区分2の間隔参照回数は2回、需要変動区分3の間隔参照回数は4回である。そうすると、製品Aの需要変動区分は3であるから間隔参照回数は4回となり、製品Bの需要変動区分は2であるから間隔参照回数は2回となり、製品Cの需要変動区分は1であるから間隔参照回数は1回となる。同様に、製品Aの発注実績回数は8回であるから間隔参照回数は4回となり、製品Bの発注実績回数は4回であるから間隔参照回数は2回となり、製品Cの発注実績回数は2回であるから間隔参照回数は1回となる。これにより、間隔参照回数を少なくして直近の需要状態に対応させたり、間隔参照回数を多くして長期的な需要変動の平均化に対応させたりすることができる。
【0039】
発注点切り上げ部15は、間隔参照回数決定部14により決定された間隔参照回数と関連付けられた切り上げ単位を利用して発注点の切り上げを行う。ここで、図2、図6を用いて詳細に説明する。例えば、間隔参照回数決定部14が製品情報の需要変動区分に応じて間隔参照回数を決定した場合には、製品Bの需要変動区分は2、発注点管理単位は5であるから、間隔参照回数は2回となり、切り上げ単位は発注点管理単位×2=5×2=10となる。よって、発注点設定部10にて新たな発注点が165と算出された場合、切り上げ単位は10であるから、切り上げを行うと新たな発注点は170になる。また、製品Bの需要変動区分が3に変更されると、間隔参照回数は4回となり、切り上げ単位は発注点管理単位×4=5×4=20となる。よって、発注点設定部10にて新たな発注点が165と算出された場合、切り上げ単位は20であるから、切り上げを行うと新たな発注点は180になる。同様に、製品Bの需要変動区分が1に変更されると、間隔参照回数は1回となり、切り上げ単位は発注点管理単位×1=5×1=5となる。よって、発注点設定部10にて新たな発注点が165と算出された場合、切り上げ単位は5であるから、切り上げを行っても新たな発注点は165である。
【0040】
在庫量判断部19は、製品の在庫量が製品情報記憶部1に記憶されている発注点より下回ったか否かを判断したり、製品の欠品が発生したか否かを判断したりするものである。
【0041】
以下、この在庫管理システム20の発注処理について図7を用いて説明する。まず、発注基準点設定部2は、製品情報記憶部1に記憶されている発注点に発注点追加数を加算して発注基準点を設定する(ステップS11)。次に、基準在庫量判断部3は、製品の在庫量が発注基準点より下回ったか否かを判断する(ステップS12)。次に、発注基準日設定部4は、基準在庫量判断部3により在庫量が発注基準点を下回ったと判断された場合に、在庫量が発注基準点を下回った日を発注基準日として設定し、発注基準日データ記憶部5は、製品の発注基準日、分類区分、発注基準日間隔を発注基準日データとして記憶する(ステップS13)。次に、発注点設定部10は、発注基準日データに基づいて発注点を設定する(ステップS14)。次に、在庫量判断部19は、製品の在庫量が製品情報記憶部1に記憶されている発注点より下回ったか否かを判断する(ステップS15)。次に、在庫量判断部19により在庫量が発注点を下回ったと判断された場合に、発注されるようにする(ステップS16)。
【0042】
ここで、図7の発注点設定処理(ステップS14)について図8乃至図10を用いて詳細に説明する。図8に示すように、まず、間隔参照回数決定部14は、製品情報の需要変動区分を間隔参照回数テーブルに照合して間隔参照回数を決定する(ステップS21)。次に、第一の発注基準日間隔合計算出部7は、間隔参照回数決定部14により決定された間隔参照回数を利用して発注基準日間隔の合計を算出する(ステップS22)。次に、第二の発注基準日間隔合計算出部8は、間隔参照回数決定部14により決定された間隔参照回数を利用して発注基準日間隔の合計を算出する(ステップS23)。次に、発注基準点間隔比率算出部9は、第二の発注基準日間隔の合計を第一の発注基準日間隔の合計で除算することにより発注基準点間隔比率を算出する(ステップS24)。次に、発注点設定部10は、発注基準点間隔比率に発注点を乗算することにより新たな発注点を設定する(ステップS25)。次に、必要に応じて、発注点切り上げ部15は、間隔参照回数決定部14により決定された間隔参照回数と関連付けられた切り上げ単位を利用して発注点の切り上げを行う(ステップS26)。これにより、発注点の切り上げを行うことで、頻繁な発注点の変更を防止して、システムの負荷を軽減させることができる。
【0043】
図9(a)に示すように、在庫量が発注基準点に到達した場合には、図10に示すように、発注基準日分類部12は10月16日を発注基準日間隔の開始日にも終了日にもなる日として分類区分の1に設定する。ここで、発注基準日間隔の参照回数を1回、第二の発注基準日間隔合計算出部8が第一の発注基準日間隔合計算出部7で参照した発注基準日間隔より以前の発注基準日間隔を参照した場合、発注基準点間隔比率は7/4となる。よって、図9(b)に示すように、新たな発注点は発注点×(7/4)となる。この場合、図9(c)に示すように、発注点が引き上げられ、在庫量が発注点を下回ったと判断されるので、10月16日に発注が行われる。この際、発注量決定部11は、予め設定した発注量に発注点の引き上げ分を加算して発注量を決定する。
【0044】
ここで、発注量の決定について、図11(a)、(b)を用いて説明する。図11(a)は発注点引き上げ時に予め設定した発注量に発注点の引き上げ分を加算して発注量を決定している。この場合、需要拡大に合わせて発注点を引き上げても、発注点の引き上げ分が発注量に加算されているので、引き上げ後の発注点を在庫量が下回るまで時間的猶予がある。一方、図11(b)は発注点引き上げ時に発注点の引き上げ分を加算しないで発注量を決定している。この場合、需要拡大に合わせて発注点を引き上げると、直ちに在庫量が引き上げ後の発注点を下回ってしまう。つまり、発注基準日間隔が短くなり、断続的に発注点の引き上げが行われてしまう。
【0045】
以下、発注点と発注基準点の関係について図12を用いて説明する。発注点追加数を0にすると、発注点と発注基準点は一致する。この場合、発注のタイミングが遅くなり、需要の急激な拡大が生じると、発注から入荷までに欠品が発生するおそれがある。一方、図2に示すように、例えば製品Bの発注点追加数を100にすると、発注基準点は400となり、発注基準点は発注点より上になる。この場合、在庫量が発注基準点に到達したときに、発注点の設定ができるので、需要の急激な拡大が生じた場合には、必要に応じて発注点を早く引き上げることができる。よって、発注点が早く引き上げられると、発注日が早くなり、発注から入荷までに欠品が発生するおそれが少なくなる。
【0046】
以下、製品の発注実績回数に応じて間隔参照回数を決定する処理について、図13を用いて説明する。まず、間隔参照回数決定部14は製品情報記憶部1に記憶されている発注実績回数を取得する(ステップS31)。次に、製品情報の発注実績回数を間隔参照回数テーブルに照合し、発注実績回数が0〜3回なら間隔参照回数を1回に決定する(ステップS32)。次に、発注実績回数が4〜7回なら間隔参照回数を2回に決定する(ステップS33)。次に、発注実績回数が8回以上なら間隔参照回数を4回に決定する(ステップS34)。これにより、例えば新商品など、販売開始時の変化の大きい需要状態と、その後の安定した需要状態とに合わせた発注点の変更を迅速に行うことができる。
【0047】
以下、欠品が生じた場合の間隔参照回数を決定する処理について、図14を用いて説明する。まず、間隔参照回数決定部14は製品情報記憶部1に記憶されている発注実績回数を取得する。そして、製品情報の発注実績回数を間隔参照回数テーブルに照合して間隔参照回数を決定する。(ステップS41)。次に、在庫量判断部19は、欠品が発生したか否かを判断する(ステップS42)。次に、欠品が発生した場合には、製品情報記憶部1に記憶されている発注実績回数をリセットする(ステップS43)。これにより、直近の需要に合った適正な発注点の再設定を行うことができる。また、安定した需要状態になるまで、間隔参照回数を変化させることができるので、以後の欠品発生をより少なくすることができる。
【0048】
したがって、発注基準日間隔を利用して発注点の設定を行うことにより、発注点設定方法を簡略化することができる。また、発注基準点を発注点より上に設定すると、在庫量が発注基準点に到達した日に発注点の設定を行うことができるので、例えば、需要の急激な増加が起きていると予測される場合に、発注点を引き上げることで発注日を早め、入荷までに欠品が発生するのを効果的に防止することができる。さらに、発注点の引き上げ分を予め設定した発注量に加算するようにしたので、断続的に発注点の引き上げが行われてしまうことを防ぐことができる。そして、発注点が引き下げられた場合に、更新直前の発注基準日から更新直後の発注基準日までの期間を発注基準日間隔の算出期間から除くことができるようにしたので、発注点が引き下げられた場合に、適切な需要予測を行うことができる。加えて、発注基準日が発注基準日間隔の開始日にも終了日にもなる日である場合に、発注点の設定を行うようにしたので、発注点が引き下げられた場合に、更新直後の発注基準日で発注点の設定が行われるのを防ぐことができる。
【0049】
図15乃至図17は、本願発明の第2の実施形態である在庫管理システムを示している。ここでは、上記第1の実施形態と相違する事項についてのみ説明し、その他の事項(構成、作用効果等)については、上記第1の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。この在庫管理システム20は、図15に示すように、記憶手段21と、設定手段22と、判断手段23と、算出手段24と、処理手段25とから構成されている。
【0050】
記憶手段21は、製品情報を記憶する製品情報記憶部1と、発注基準日データを記憶する発注基準日データ記憶部5と、間隔参照回数テーブル記憶部13とを備えている。設定手段22は、発注基準点を設定する発注基準点設定部2と、発注基準日設定部4と、共通部品発注点設定部18とを備えている。判断手段23は、基準在庫量判断部3と、在庫量判断部19とを備えている。算出手段24は、発注基準日間隔を算出する発注基準日間隔算出部6と、第一の発注基準日間隔合計算出部7と、第二の発注基準日間隔合計算出部8と、発注基準点間隔比率算出部9と、引当比率算出部16と、発注点引当比率算出部17とを備えている。処理手段25は、発注量決定部11と、発注基準日分類部12と、間隔参照回数決定部14と、発注点切り上げ部15とを備えている。この場合、各製品に共通して使用される共通部品の在庫量を共通部品の発注点に基づいて管理している。
【0051】
製品情報記憶部1は、図16に示すように、共通部品dの発注量、発注点、発注点追加数、発注基準点を製品情報として記憶している。また、共通部品dを使用する製品D、E、Fの下限在庫、需要変動区分を記憶している。ここで、各製品の下限在庫は引当比率を算出するために用いられる値であり、各製品の在庫量がこの下限在庫を下回ったか否か判断するために用いられるわけではない。
【0052】
間隔参照回数決定部14は、各製品の需要変動区分を間隔参照回数テーブルに照合して各製品の間隔参照回数をそれぞれ決定する。ここで、図6、図16を用いて詳細に説明する。図16に示すように、製品Dの需要変動区分は3、製品Eの需要変動区分は3、製品Fの需要変動区分は1である。また、図6に示すように、需要変動区分1の間隔参照回数は1回、需要変動区分2の間隔参照回数は2回、需要変動区分3の間隔参照回数は4回である。そうすると、製品Dの需要変動区分は3であるから間隔参照回数は4回となり、製品Eの需要変動区分は3であるから間隔参照回数は4回となり、製品Fの需要変動区分は1であるから間隔参照回数は1回となる。
【0053】
第一の発注基準日間隔合計算出部7は、間隔参照回数決定部14により決定された間隔参照回数を利用して発注基準日間隔の合計を製品ごとにそれぞれ算出する。ここで、図16を用いて詳細に説明する。製品Dの間隔参照回数は4回であるから、12月8日から11月8日までの発注基準日間隔の合計を算出すると30になる。製品Eの間隔参照回数は4回であるから、12月8日から11月8日までの発注基準日間隔の合計を算出すると30になる。製品Fの間隔参照回数は1回であるから、12月8日から12月2日までの発注基準日間隔の合計を算出すると6になる。
【0054】
第二の発注基準日間隔合計算出部8は、間隔参照回数決定部14により決定された間隔参照回数を利用して発注基準日間隔の合計を製品ごとにそれぞれ算出する。ここで、図16を用いて詳細に説明する。第一の発注基準日間隔合計算出部7で参照した発注基準日間隔より以前の発注基準日間隔を参照した場合、製品Dの間隔参照回数は4回であるから、11月8日から10月5日までの発注基準日間隔の合計を算出すると34になる。製品Eの間隔参照回数は4回であるから、11月8日から10月5日までの発注基準日間隔の合計を算出すると34になる。製品Fの間隔参照回数は1回であるから、12月2日から11月24日までの発注基準日間隔の合計を算出すると8になる。
【0055】
発注基準点間隔比率算出部9は、第二の発注基準日間隔の合計を第一の発注基準日間隔の合計で除算することにより発注基準点間隔比率を製品ごとにそれぞれ算出する。上述の算出結果を用いると、製品Dの発注基準点間隔比率は34/30、製品Eの発注基準点間隔比率は34/30、製品Fの発注基準点間隔比率は8/6になる。
【0056】
引当比率算出部16は、製品情報記憶部1に記憶された各製品の下限在庫を利用して各製品の引当比率をそれぞれ算出する。図16を用いて説明すると、製品Dの下限在庫は300、製品Eの下限在庫は200、製品Fの下限在庫は100であるから、製品Dの引当比率は300/(300+200+100)=3/6、製品Eの引当比率は200/(300+200+100)=2/6、製品Fの引当比率は100/(300+200+100)=1/6となる。
【0057】
発注点引当比率算出部17は、共通部品の発注点に各製品の発注基準点間隔比率と引当比率を乗算することにより発注点引当比率をそれぞれ算出する。上述の算出結果と図16の共通部品の発注点を用いると、製品Dの発注点引当比率は540×(34/30)×3/6=306、製品Eの発注点引当比率は540×(34/30)×2/6=204、製品Fの発注点引当比率は540×(8/6)×1/6=120になる。
【0058】
共通部品発注点設定部18は、各製品の発注点引当比率を加算することにより共通部品の発注点を設定する。上述の算出結果を用いると、共通部品dの新たな発注点は306+204+120=630になる。
【0059】
したがって、発注点引当比率を算出して共通部品の発注点設定を行うことにより、共通部品の発注点に各製品の需要変動を反映させることができ、一部製品の需要変動が大きい場合でも、引当比率に応じた影響に留めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本願発明の第1の実施形態である在庫管理システムのシステム構成図。
【図2】同在庫管理システムの製品情報の一例を示した図。
【図3】同在庫管理システムの発注基準日データの一例を(a)から(c)にわたって、経時的に示した図。
【図4】同在庫管理システムの発注基準日データの一例を示した図。
【図5】同在庫管理システムの在庫量変動を経時的に示した図。
【図6】同在庫管理システムの間隔参照回数テーブルの一例を示した図。
【図7】同在庫管理システムの発注処理を示すフローチャート。
【図8】同在庫管理システムの発注点設定処理を示すフローチャート。
【図9】同在庫管理システムの在庫量変動を経時的に示した図。
【図10】同在庫管理システムの発注基準日データの一例を示した図。
【図11】同在庫管理システムの在庫量変動を示した図であり、(a)は発注点引き上げ時に予め設定した発注量に発注点の引き上げ分を加算する場合を示し、(b)は発注点引き上げ時に予め設定した発注量に発注点の引き上げ分を加算しない場合をそれぞれ示している。
【図12】同在庫管理システムの在庫量変動に発注点と発注基準点を追加して示した図。
【図13】同在庫管理システムの間隔参照回数決定処理を示すフローチャート。
【図14】同在庫管理システムの欠品時における間隔参照回数決定処理を示すフローチャート。
【図15】本願発明の第2の実施形態である在庫管理システムのシステム構成図。
【図16】同在庫管理システムの製品情報の一例を示した図。
【図17】同在庫管理システムの発注基準日データの一例を示した図。
【図18】従来例の在庫管理装置における発注点設定処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0061】
1 製品情報記憶部
2 発注基準点設定部
3 基準在庫量判断部
4 発注基準日設定部
5 発注基準日データ記憶部
6 発注基準日間隔算出部
7 第一の発注基準日間隔合計算出部
8 第二の発注基準日間隔合計算出部
9 発注基準点間隔比率算出部
10 発注点設定部
11 発注量決定部
12 発注基準日分類部
13 間隔参照回数テーブル記憶部
14 間隔参照回数決定部
15 発注点切り上げ部
16 引当比率算出部
17 発注点引当比率算出部
18 共通部品発注点設定部
19 在庫量判断部
20 在庫管理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品の在庫量が発注点より下回った場合に、発注されるようになした在庫管理システムにおいて、
製品の発注点、発注点追加数、発注基準点を含む製品情報を記憶する製品情報記憶部と、
発注点に発注点追加数を加算して発注基準点を設定する発注基準点設定部と、
在庫量が発注基準点より下回ったか否かを判断する基準在庫量判断部と、
基準在庫量判断部により在庫量が発注基準点を下回ったと判断された場合に、
在庫量が発注基準点を下回った日を発注基準日として設定する発注基準日設定部と、
発注基準日を発注基準日データとして記憶する発注基準日データ記憶部と、
発注基準日データを利用して発注基準日間隔を算出する発注基準日間隔算出部と、
直近を含む所定回数分の発注基準日間隔の合計を算出する第一の発注基準日間隔合計算出部と、
直近を除く前記所定回数分の発注基準日間隔の合計を算出する第二の発注基準日間隔合計算出部と、
第二の発注基準日間隔の合計を第一の発注基準日間隔の合計で除算することにより発注基準点間隔比率を算出する発注基準点間隔比率算出部と、
発注基準点間隔比率に発注点を乗算することにより発注点を設定する発注点設定部とを備えることを特徴とする在庫管理システム。
【請求項2】
製品の在庫量が発注点より下回った場合に、発注量を決定する発注量決定部を備え、
製品情報記憶部は製品の発注量を含む製品情報を記憶し、
発注点設定部により発注点が引き上げられた場合に、
発注量決定部は予め設定した発注量に発注点の引き上げ分を加算して発注量を決定することを特徴とする請求項1記載の在庫管理システム。
【請求項3】
発注基準日を発注基準日間隔の開始日と、発注基準日間隔の終了日と、発注基準日間隔の開始日にも終了日にもなる日のいずれかに分類する発注基準日分類部を備え、
発注基準日データ記憶部は発注基準日と発注基準日分類部により分類された分類結果とを対応させた発注基準日データを記憶し、
発注基準日間隔算出部は発注基準日データを利用して発注基準日間隔の終了日から開始日を減算することにより発注基準日間隔を算出し、
発注基準日分類部は発注基準日を通常は発注基準日間隔の開始日にも終了日にもなる日として分類し、
発注点設定部により発注点が引き下げられた場合に、
発注基準日分類部は更新直後の発注基準日を発注基準日間隔の開始日に分類するとともに、
更新直前の発注基準日を発注基準日間隔の終了日に再分類することを特徴とする請求項1又は2記載の在庫管理システム。
【請求項4】
発注基準日が発注基準日間隔の開始日にも終了日にもなる日である場合にだけ、
発注点設定部は発注点の設定を行うことを特徴とする請求項3記載の在庫管理システム。
【請求項5】
発注基準日間隔の合計を算出するために用いられる間隔参照回数を間隔参照回数テーブルとして記憶する間隔参照回数テーブル記憶部と、
製品情報を間隔参照回数テーブルに照合して間隔参照回数を決定する間隔参照回数決定部とを備え、
製品情報記憶部は製品の需要変動に応じたランクを含む製品情報を記憶し、
間隔参照回数テーブル記憶部は需要変動に応じたランクと間隔参照回数を関連付けて記憶し、
間隔参照回数決定部は製品の需要変動に応じたランクを間隔参照回数テーブルに照合して間隔参照回数を決定し、
第一の発注基準日間隔合計算出部と第二の発注基準日間隔合計算出部は間隔参照回数決定部により決定された間隔参照回数を利用して発注基準日間隔の合計を算出することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の在庫管理システム。
【請求項6】
発注基準日間隔の合計を算出するために用いられる間隔参照回数を間隔参照回数テーブルとして記憶する間隔参照回数テーブル記憶部と、
製品情報を間隔参照回数テーブルに照合して間隔参照回数を決定する間隔参照回数決定部とを備え、
製品情報記憶部は製品の発注実績回数を含む製品情報を記憶し、
間隔参照回数テーブル記憶部は発注実績回数と間隔参照回数を関連付けて記憶し、
間隔参照回数決定部は製品の発注実績回数を間隔参照回数テーブルに照合して間隔参照回数を決定し、
第一の発注基準日間隔合計算出部と第二の発注基準日間隔合計算出部は間隔参照回数決定部により決定された間隔参照回数を利用して発注基準日間隔の合計を算出することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の在庫管理システム。
【請求項7】
製品の欠品が生じた場合に、製品情報記憶部は記憶している発注実績回数をリセットすることを特徴とする請求項6記載の在庫管理システム。
【請求項8】
切り上げ単位を利用して発注点の切り上げを行う発注点切り上げ部を備え、
製品情報記憶部は発注点を切り上げるための発注点管理単位を含む製品情報を記憶し、
間隔参照回数テーブル記憶部は発注点管理単位の整数倍である切り上げ単位と間隔参照回数を関連付けて記憶し、
発注点切り上げ部は間隔参照回数決定部により決定された間隔参照回数と関連付けられた切り上げ単位を利用して発注点の切り上げを行うことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項記載の在庫管理システム。
【請求項9】
各製品に共通して使用される共通部品の在庫量を共通部品の発注点に基づいて管理する場合に、
各製品の下限在庫を利用して各製品の引当比率をそれぞれ算出する引当比率算出部と、
共通部品の発注点に各製品の発注基準点間隔比率と引当比率を乗算することにより発注点引当比率をそれぞれ算出する発注点引当比率算出部と、
各製品の発注点引当比率を加算することにより共通部品の発注点を設定する共通部品発注点設定部と、
発注基準日間隔の合計を算出するために用いられる間隔参照回数を間隔参照回数テーブルとして記憶する間隔参照回数テーブル記憶部と、
製品情報を間隔参照回数テーブルに照合して間隔参照回数を決定する間隔参照回数決定部とを備え、
製品情報記憶部は各製品の需要変動に応じたランク、下限在庫を含む製品情報を記憶し、
間隔参照回数テーブル記憶部は需要変動に応じたランクと間隔参照回数を関連付けて記憶し、
間隔参照回数決定部は各製品の需要変動に応じたランクを間隔参照回数テーブルに照合して各製品の間隔参照回数をそれぞれ決定し、
第一の発注基準日間隔合計算出部と第二の発注基準日間隔合計算出部は間隔参照回数決定部により決定された間隔参照回数を利用して発注基準日間隔の合計を製品ごとにそれぞれ算出し、
発注基準点間隔比率算出部は第二の発注基準日間隔の合計を第一の発注基準日間隔の合計で除算することにより発注基準点間隔比率を製品ごとにそれぞれ算出することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の在庫管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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