説明

地上デジタル放送回線品質評価装置、評価方法及び評価プログラム

【課題】地上デジタル放送回線の品質を地上デジタル放送信号のCN比で評価する際に、デジタル干渉波、アナログ干渉波及び装置劣化の影響を考慮して、一層正確なCN比を算出する。
【解決手段】演算部10−2〜10−NのDU比加算部16−2〜16−Nが、自ら及び前段までの中継局のアナログ干渉波のDU比を加算し、等価CN比算出部12−2〜12−Nが、加算されたアナログ干渉波のDU比に対応するアナログ干渉波等価CN比を算出する。演算部10−2〜10−Nは、算出したアナログ干渉波等価CN比を、計算対象の中継局におけるアナログ干渉波等価CN比として扱う。そして、等価CN比加算部15−2〜15−Nが、デジタル干渉波等価CN比、装置劣化等価CN比、アナログ干渉波等価CN比等を加算し、出力信号CN比を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地上デジタル放送回線品質評価装置、評価方法及び評価プログラムに関し、特に、地上デジタル放送回線の品質を地上デジタル放送信号のCN比で評価する際に、正確なCN比を算出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地上デジタル放送信号に対するデジタル干渉波、アナログ干渉波及び装置劣化の影響は、等価CN比を算出することにより評価していた。この等価CN比は、デジタル干渉波、アナログ干渉波及び装置劣化による影響を、それらと同一の影響を与えるガウス雑音に対するCN比を用いて等価的に表現したものである。
【0003】
図7は、従来の地上デジタル放送回線品質評価装置の構成を示すブロック図である。この地上デジタル放送回線品質評価装置100は、デジタル干渉波の影響を示す等価CN比、アナログ干渉波の影響を示す等価CN比、及び、装置劣化の影響を示す等価CN比を一律に加算し、その加算結果の等価CN比によって地上デジタル放送回線の品質を評価するものである。
【0004】
地上デジタル放送回線品質評価装置100は、複数段の演算部110−1〜110−Nを備えている。演算部110−1〜110−Nは、それぞれの中継局に相当する処理部であり、送信局からの地上デジタル放送波を入力信号としたCN比(入力信号CN比)を入力し、妨害局からのデジタル干渉波の影響、アナログ干渉波の影響及び中継局自体の装置劣化の影響を示すそれぞれの等価CN比を加算し、それぞれの中継局に相当する演算部110−1〜110−Nの出力信号として、出力信号CN比を出力する。
【0005】
1段目の演算部110−1は、送信局から送信された地上デジタル放送波を再送信する中継局に相当し、地上デジタル放送波の入力信号CN比、第1のデジタル妨害局から送信された第1のデジタル干渉波のDU比、第1のアナログ妨害局から送信された第1のアナログ干渉波のDU比、及び、1段目の演算部110−1に対応する中継局に設置された送信機自体の第1の装置劣化量を入力する。そして、これらのCN比、DU比及び劣化量に基づいて出力信号CN比を算出し、2段目の演算部110−2(図示せず)に出力する。
【0006】
具体的には、演算部110−1の等価CN比算出部111−1は、第1のデジタル干渉波のDU比を入力し、第1のデジタル干渉波のDU比から第1のデジタル干渉波等価CN比を算出し、等価CN比加算部114−1に出力する。また、等価CN比算出部112−1は、第1のアナログ干渉波のDU比を入力し、第1のアナログ干渉波のDU比から第1のアナログ干渉波等価CN比を算出し、等価CN比加算部114−1に出力する。また、等価CN比算出部113−1は、第1の装置劣化量を入力し、第1の装置劣化量から第1の装置劣化等価CN比を算出し、等価CN比加算部114−1に出力する。
【0007】
等価CN比加算部114−1は、入力信号CN比、等価CN比算出部111−1からの第1のデジタル干渉波等価CN比、等価CN比算出部112−1からの第1のアナログ干渉波等価CN比、及び等価CN比算出部113−1からの第1の装置劣化等価CN比を入力し、これらの等価CN比を加算し、加算結果を出力信号CN比として出力する。
【0008】
2段目の演算部110−2(図示せず)は、1段目の演算部110−1に対応する中継局から受信した地上デジタル放送波を再送信する中継局に相当し、演算部110−1からの出力信号CN比、第2のデジタル妨害局から送信された第2のデジタル干渉波のDU比、第2のアナログ妨害局から送信された第2のアナログ干渉波のDU比、及び、2段目の演算部110−2に対応する中継局に設置された送信機自体の第2の装置劣化量を入力し、これらのCN比、DU比及び劣化量に基づいて出力信号CN比を算出し、3段目の演算部110−3(図示せず)に出力する。このような演算を繰り返すことにより、(N−1)段目の演算部110−(N−1)(図示せず)により演算された出力信号CN比は、N段目の演算部110−Nに出力される。
【0009】
N段目の演算部110−Nは、(N−1)段目の演算部110−(N−1)(図示せず)に対応する中継局から受信した地上デジタル放送波を再送信する中継局に相当し、演算部110−(N−1)からの出力信号CN比、第Nのデジタル妨害局から送信された第Nのデジタル干渉波のDU比、第Nのアナログ妨害局から送信された第Nのアナログ干渉波のDU比、及び、N段目の演算部110−Nに対応する中継局に設置された送信機自体の第Nの装置劣化量を入力し、これらのCN比、DU比及び劣化量に基づいて出力信号CN比を算出して出力する。尚、演算部110−2〜110−Nの構成は、演算部110−1の構成と同一である。
【0010】
図8は、図7に示した従来の地上デジタル放送回線品質評価装置100による処理の概要を説明する図である。図8(A)は、アナログ干渉波の影響を受けたOFDM信号(被アナログ干渉信号)を示す図であり、図8(B)は、被アナログ干渉信号の等価CN比を示す図であり、図8(C)は、等価CN比の加算処理を示す図である。図8(A)に示すように、地上デジタル放送波であるOFDM信号がアナログ干渉波の影響を受けて混信すると、被アナログ干渉信号となる。
【0011】
また、図8(B)は、被アナログ干渉信号を等価CN比に換算すると、被アナログ干渉信号が等価なガウス雑音を持つ信号となることを示している。この被アナログ干渉信号の等価CN比は、アナログ干渉波と同一の劣化を与えるガウス雑音に対するCN比で等価的に表現される。これは、図7に示した演算部110−1〜110−Nの等価CN比算出部112−1〜112−Nがアナログ干渉波のDU比からアナログ干渉波等価CN比を算出する処理を示している。
【0012】
また、図8(C)は、等価CN比の加算結果は、等価雑音を電力加算した信号のCN比により求められることを示している。すなわち、等価CN比の加算結果は、等価雑音を電力加算し、その加算後の信号における等価CN比と同一である。これは、図7に示した演算部110−1〜110−Nの等価CN比加算部114−1〜114−Nがそれぞれの等価CN比を加算する処理を示している。
【0013】
尚、図7及び図8に示した地上デジタル放送信号の伝送方式については、例えば、非特許文献1に記載されている。また、CN比等を用いて地上デジタル放送信号を評価する技術については、例えば、特許文献1〜3に記載されている。
【0014】
【非特許文献1】地上デジタルテレビジョン放送の伝送方式、標準規格 ARIB STD−B31、社団法人 電波産業界
【特許文献1】特開2006−246083号公報
【特許文献2】特開2006−246082号公報
【特許文献3】特開2006−157333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところで、OFDM信号のサブキャリアがデジタル干渉波及び装置劣化の影響を受けたとしても、サブキャリア間の影響の差が小さいことから、デジタル干渉波及び装置劣化の影響は、概ねガウス雑音で等価的に表現することができる。つまり、図8(C)に示したように、デジタル干渉波等価CN比と装置劣化等価CN比との加算結果は、実際の信号の等価CN比と同一になる。
【0016】
しかしながら、アナログ干渉波等価CN比どうしを加算した場合には、その加算結果は、実際の信号の等価CN比と同一にはならない。これは、アナログ干渉波が、アナログ干渉波の映像搬送波及び音声搬送波周辺のOFDM信号サブキャリアに対して大きく影響するため、周波数特性の面でガウス雑音と異なるからである。つまり、アナログ干渉波はガウス雑音と異なる特性を有しているため、ガウス雑音に対して等価的に表現した等価CN比で加算した場合には、実際の信号の等価CN比にはならず、正確な結果を得ることができないからである。
【0017】
図7に示した地上デジタル放送回線品質評価装置100において、1段目の演算部110−1により出力される出力信号CN比は、等価CN比加算部114−1がアナログ干渉波等価CN比どうしを加算しないから、実際の信号の等価CN比と同一となる。これに対し、2段目からN段目までの演算部110−2〜110−Nは、前段の演算部110−1〜110−(N−1)により出力される、アナログ干渉波等価CN比を含む出力信号CN比と、等価CN比算出部112−2〜112−Nにより出力されるアナログ干渉波等価CN比とを加算する。このため、演算部110−2〜110−Nにより出力される出力信号CN比は、実際の信号の等価CN比と異なってしまう。
【0018】
つまり、従来の地上デジタル放送回線品質評価装置100では、等価CN比を加算する場合に、デジタル干渉波、アナログ干渉波及び装置劣化の影響をガウス雑音で等価的に表現できることが必要であるが、アナログ干渉波等価CN比どうしを加算する場合には、アナログ干渉波が周波数特性の面でガウス雑音と異なるため、正確な出力信号CN比を算出することができないという問題があった。
【0019】
そこで、前記課題を解決するため、本発明の目的は、地上デジタル放送回線の品質を地上デジタル放送信号のCN比で評価する際に、デジタル干渉波、アナログ干渉波及び装置劣化の影響を考慮して、一層正確なCN比を算出可能な地上デジタル放送回線品質評価装置、評価方法及び評価プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記課題を解決するため、請求項1の発明は、地上デジタル放送回線の品質を、複数段の演算部によって出力されるそれぞれの出力信号CN比で評価する地上デジタル放送回線品質評価装置において、1段目の演算部が、第1のデジタル妨害局から送信された第1のデジタル干渉波のDU比を入力し、等価CN比を算出する第1のデジタル干渉波等価CN比算出部と、当該1段目の演算部に対応する中継局に設置された送信機における第1の装置劣化量を入力し、等価CN比を算出する第1の装置劣化等価CN比算出部と、送信局から送信された地上デジタル放送波を入力信号とした入力信号CN比と、前記第1のデジタル干渉波等価CN比算出部により算出された等価CN比と、前記第1の装置劣化等価CN比算出部により算出された等価CN比とを加算する第1の等価CN比加算部と、第1のアナログ妨害局から送信された第1のアナログ干渉波のDU比を入力し、等価CN比を算出する第1のアナログ干渉波等価CN比算出部と、前記第1の等価CN比加算部により加算された等価CN比の加算結果と、前記第1のアナログ干渉波等価CN比算出部により算出された等価CN比とを加算し、第1の出力信号CN比を出力する第1の全等価CN比加算部と、を備え、Nを2以上の整数として、N段目の演算部が、第Nのデジタル妨害局から送信された第Nのデジタル干渉波のDU比を入力し、等価CN比を算出する第Nのデジタル干渉波等価CN比算出部と、当該N段目の演算部に対応する中継局に設置された送信機における第Nの装置劣化量を入力し、等価CN比を算出する第Nの装置劣化等価CN比算出部と、前段の等価CN比加算部により加算された等価CN比の加算結果と、前記第Nのデジタル干渉波等価CN比算出部により算出された等価CN比と、前記第Nの装置劣化等価CN比算出部により算出された等価CN比とを加算する第Nの等価CN比加算部と、第Nのアナログ妨害局から送信された第Nのアナログ干渉波のDU比を入力すると共に、前段が1段目の場合は前記第1のアナログ干渉波等価CN比算出部に入力した第1のアナログ干渉波のDU比、または、前段が2段目以降の場合は前段までのアナログ干渉波のDU比の加算結果を入力し、前記第Nのアナログ干渉波のDU比と、第1のアナログ干渉波のDU比またはDU比の加算結果とを加算し、DU比の加算結果を出力する第Nのアナログ干渉波DU比加算部と、前記第Nのアナログ干渉波DU比加算部により出力されたDU比の加算結果を入力し、等価CN比を算出する第Nのアナログ干渉波等価CN比算出部と、前記第Nの等価CN比加算部により加算された等価CN比の加算結果と、前記第Nのアナログ干渉波等価CN比算出部により算出された等価CN比とを加算し、第Nの出力信号CN比を出力する第Nの全等価CN比加算部と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の地上デジタル放送回線品質評価装置において、前記N段目の演算部が、第Nのデジタル妨害局から送信された第Nのデジタル干渉波のDU比を入力し、等価CN比を算出する第Nのデジタル干渉波等価CN比算出部と、当該N段目の演算部に対応する中継局に設置された送信機における第Nの装置劣化量を入力し、等価CN比を算出する第Nの装置劣化等価CN比算出部と、第Nのアナログ妨害局から送信された第Nのアナログ干渉波のDU比を入力し、等価CN比を算出する第Nのアナログ干渉波等価CN比算出部と、前段の等価CN比加算部により加算された等価CN比の加算結果と、前記第Nのデジタル干渉波等価CN比算出部により算出された等価CN比と、前記第Nの装置劣化等価CN比算出部により算出された等価CN比とを加算する第Nの等価CN比加算部と、前記第Nのアナログ干渉波等価CN比算出部により算出された等価CN比を入力すると共に、前段が1段目の場合は前記第1のアナログ干渉波等価CN比算出部により算出された等価CN比、または、前段が2段目以降の場合は前段までのアナログ干渉波の等価CN比のうち最も小さい等価CN比を入力し、入力した2つの等価CN比を比較し、小さい方の等価CN比を出力する第Nのアナログ干渉波等価CN比比較部と、
前記第Nの等価CN比加算部により加算された等価CN比の加算結果と、前記第Nのアナログ干渉波等価CN比比較部により出力された等価CN比とを加算し、第Nの出力信号CN比を出力する第Nの全等価CN比加算部と、を備えたことを特徴とする。
【0022】
また、請求項3の発明は、請求項2に記載の地上デジタル放送回線品質評価装置において、前記N段目またはその前段の演算部が、前記N段目の演算部に対応する中継局に設置された送信機またはその前段の演算部に対応する中継局に設置された送信機のうちの少なくとも一方の送信機に、受信信号に対してしきい値判定を行うシンボル判定機能を有することを特徴とする。
【0023】
また、請求項4の発明は、地上デジタル放送回線の品質を、複数段の演算部によって出力されるそれぞれの出力信号CN比で評価する地上デジタル放送回線品質評価装置において、1段目の演算部が、第1のデジタル妨害局から送信された第1のデジタル干渉波のDU比を入力し、等価CN比を算出する第1のデジタル干渉波等価CN比算出部と、当該1段目の演算部に対応する中継局に設置された送信機における第1の装置劣化量を入力し、等価CN比を算出する第1の装置劣化等価CN比算出部と、送信局から送信された地上デジタル放送波を入力信号とした入力信号CN比と、前記第1のデジタル干渉波等価CN比算出部により算出された等価CN比と、前記第1の装置劣化等価CN比算出部により算出された等価CN比とを加算する第1の等価CN比加算部と、第1のアナログ妨害局から送信された第1のアナログ干渉波のDU比を入力し、等価CN比を算出する第1のアナログ干渉波等価CN比算出部と、前記第1の等価CN比加算部により加算された等価CN比の加算結果と、前記第1のアナログ干渉波等価CN比算出部により算出された等価CN比とを加算し、第1の出力信号CN比を出力する第1の全等価CN比加算部と、を備え、Mを3以上の整数として、2段目からM段目の演算部に、請求項1に記載のN段目の演算部、及び、請求項2または3に記載のN段目の演算部を含むことを特徴とする。
【0024】
また、請求項5の発明は、複数段の演算部を備えた地上デジタル放送回線品質評価装置によって、送信局から送信された地上デジタル放送波を入力信号とした入力信号CN比と、デジタル妨害局から送信されたデジタル干渉波のDU比と、アナログ妨害局から送信されたアナログ干渉波のDU比と、前記演算部に対応する中継局に設置された送信機における装置劣化量とを入力し、それぞれ出力信号CN比を演算し、前記出力信号CN比により地上デジタル放送回線の品質を評価する方法において、1段目の演算部によって、第1のデジタル干渉波のDU比から第1のデジタル干渉波等価CN比を算出し、第1の装置劣化量から第1の装置劣化等価CN比を算出し、前記入力信号CN比と、前記第1のデジタル干渉波等価CN比と、前記第1の装置劣化等価CN比とを加算し、等価CN比の加算結果を出力する第1−1のステップと、第1のアナログ干渉波のDU比から等価CN比を算出する第1−2のステップと、前記第1−1のステップにより出力した等価CN比の加算結果と、前記第1−2のステップにより算出した等価CN比とを加算し、第1の出力信号CN比を出力する第1−3のステップと、を有し、Nを2以上の整数として、N段目の演算部によって、第Nのデジタル干渉波のDU比から第Nのデジタル干渉波等価CN比を算出し、第Nの装置劣化量から第Nの装置劣化等価CN比を算出し、前段のステップにより出力した等価CN比の加算結果と、前記第Nのデジタル干渉波等価CN比と、前記第Nの装置劣化等価CN比とを加算し、等価CN比の加算結果を出力する第N−1のステップと、
第Nのアナログ干渉波のDU比と、前段が1段目の場合は前記第1−2のステップにおける第1のアナログ干渉波のDU比、または、前段が2段目以降の場合は前段までのアナログ干渉波のDU比の加算結果とを加算し、DU比の加算結果を出力する第N−2のステップと、前記第N−2のステップにより出力したDU比の加算結果から等価CN比を算出する第N−3のステップと、前記第N−1のステップにより出力した等価CN比の加算結果と、前記第N−3のステップにより出力した等価CN比とを加算し、第Nの出力信号CN比を出力する第N−4のステップと、を有することを特徴とする。
【0025】
また、請求項6の発明は、請求項5に記載の地上デジタル放送回線品質評価方法において、前記N段目の演算部によって、第Nのデジタル干渉波のDU比から第Nのデジタル干渉波等価CN比を算出し、第Nの装置劣化量から第Nの装置劣化等価CN比を算出し、前段のステップにより出力した等価CN比の加算結果と、前記第Nのデジタル干渉波等価CN比と、前記第Nの装置劣化等価CN比とを加算し、等価CN比の加算結果を出力する第N−1のステップと、第Nのアナログ干渉波のDU比から等価CN比を算出する第N−2のステップと、前記第N−2のステップにより算出した等価CN比と、前段が1段目の場合は前記第1−2のステップにより算出した等価CN比、または、前段が2段目以降の場合は前段までのアナログ干渉波の等価CN比のうち最も小さい等価CN比とを比較し、小さい方の等価CN比を出力する第N−3のステップと、前記第N−1のステップにより出力した等価CN比の加算結果と、前記第N−3のステップにより出力した等価CN比とを加算し、第Nの出力信号CN比を出力する第N−4のステップと、を有することを特徴とする。
【0026】
また、請求項7の発明は、複数段の演算部によって、送信局から送信された地上デジタル放送波を入力信号とした入力信号CN比と、デジタル妨害局から送信されたデジタル干渉波のDU比と、アナログ妨害局から送信されたアナログ干渉波のDU比と、前記演算部に対応する中継局に設置された送信機における装置劣化量とを入力し、それぞれ出力信号CN比を演算し、前記出力信号CN比により地上デジタル放送回線の品質を評価するプログラムであって、コンピュータに、1段目の演算部によって、第1のデジタル干渉波のDU比から第1のデジタル干渉波等価CN比を算出し、第1の装置劣化量から第1の装置劣化等価CN比を算出し、前記入力信号CN比と、前記第1のデジタル干渉波等価CN比と、前記第1の装置劣化等価CN比とを加算し、等価CN比の加算結果を出力する第1−1のステップと、第1のアナログ干渉波のDU比から等価CN比を算出する第1−2のステップと、前記第1−1のステップにより出力した等価CN比の加算結果と、前記第1−2のステップにより算出した等価CN比とを加算し、第1の出力信号CN比を出力する第1−3のステップと、を実行させ、Nを2以上の整数として、N段目の演算部によって、第Nのデジタル干渉波のDU比から第Nのデジタル干渉波等価CN比を算出し、第Nの装置劣化量から第Nの装置劣化等価CN比を算出し、前段のステップにより出力した等価CN比の加算結果と、前記第Nのデジタル干渉波等価CN比と、前記第Nの装置劣化等価CN比とを加算し、等価CN比の加算結果を出力する第N−1のステップと、第Nのアナログ干渉波のDU比と、前段が1段目の場合は前記第1−2のステップにおける第1のアナログ干渉波のDU比、または、前段が2段目以降の場合は前段までのアナログ干渉波のDU比の加算結果とを加算し、DU比の加算結果を出力する第N−2のステップと、前記第N−2のステップにより出力したDU比の加算結果から等価CN比を算出する第N−3のステップと、前記第N−1のステップにより出力した等価CN比の加算結果と、前記第N−3のステップにより出力した等価CN比とを加算し、第Nの出力信号CN比を出力する第N−4のステップと、を実行させることを特徴とする。
【0027】
また、請求項8の発明は、請求項7に記載の地上デジタル放送回線品質評価プログラムにおいて、前記コンピュータに、前記N段目の演算部によって、第Nのデジタル干渉波のDU比から第Nのデジタル干渉波等価CN比を算出し、第Nの装置劣化量から第Nの装置劣化等価CN比を算出し、前段のステップにより出力した等価CN比の加算結果と、前記第Nのデジタル干渉波等価CN比と、前記第Nの装置劣化等価CN比とを加算し、等価CN比の加算結果を出力する第N−1のステップと、第Nのアナログ干渉波のDU比から等価CN比を算出する第N−2のステップと、前記第N−2のステップにより算出した等価CN比と、前段が1段目の場合は前記第1−2のステップにより算出した等価CN比、または、前段が2段目以降の場合は前段までのアナログ干渉波の等価CN比のうち最も小さい等価CN比とを比較し、小さい方の等価CN比を出力する第N−3のステップと、前記第N−1のステップにより出力した等価CN比の加算結果と、前記第N−3のステップにより出力した等価CN比とを加算し、第Nの出力信号CN比を出力する第N−4のステップと、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
以上のように、本発明によれば、アナログ干渉波の等価CN比は、アナログ干渉波等価CN比どうしを加算して求めるのではなく、アナログ干渉波のDU比の加算結果から求めるか、または、アナログ干渉波等価CN比どうしを比較して小さい方を選択するようにした。これにより、アナログ干渉波が周波数特性の面でガウス雑音と異なる特性を有することに起因して、アナログ干渉波等価CN比どうしを加算することで、正確な出力信号CN比を算出することができないという問題を解決することができる。したがって、地上デジタル放送回線の品質を地上デジタル放送信号のCN比で評価する際に、デジタル干渉波、アナログ干渉波及び装置劣化の影響を考慮して、一層正確なCN比を算出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて詳細に説明する。本発明の実施形態による第1(実施例1)の地上デジタル放送回線品質評価装置は、計算対象の中継局におけるアナログ干渉波のDU比と、1つ手前の中継局までのアナログ干渉波のDU比とを加算し、加算結果のDU比を、計算対象の中継局におけるアナログ干渉波のDU比として扱うものである。これはアナログ被干渉波にアナログ波が干渉する場合、元々のアナログ干渉を受けていない信号に2つのアナログ波が干渉すると捉え、このとき、この2つのアナログ波をエネルギー加算(D/Uを電力加算)して1つのアナログ干渉波と考えるもので、種々の測定結果からこの手順が合理的な処理と確認できたからである。そして、このDU比に対応する等価CN比を求め、計算対象の中継局におけるアナログ干渉波の等価CN比として扱う。実施例1は、アナログ干渉波どうしを合成する場合に用いられる。すなわち、計算対象の中継局にアナログ干渉波が存在し、前段の中継局にもアナログ干渉波が存在する場合に用いられる。
【0030】
また、本発明の実施形態による第2(実施例2)の地上デジタル放送回線品質評価装置は、計算対象の中継局におけるアナログ干渉波の等価CN比と、1つ手前の中継局におけるアナログ干渉波の等価CN比とを比較し、小さい方の等価CN比を、計算対象の中継局におけるアナログ干渉波の等価CN比として扱う。実施例2は、送信機がシンボル判定処理を行う場合、すなわち、計算対象の中継局に設置された送信機がシンボル判定処理を行う場合、前段の中継局に設置された送信機がシンボル判定を行う場合、または、計算対象の中継局に設置された送信機及び前段の中継局に設置された送信機がそれぞれシンボル判定を行う場合に用いられる。詳細については、後述する。
【0031】
また、本発明の実施形態による第3(実施例3)の地上デジタル放送回線品質評価装置は、実施例1の地上デジタル放送回線品質評価装置と実施例2の地上デジタル放送回線品質評価装置とを組み合わせて、アナログ干渉波の等価CN比を求める。以下、実施例1,2,3について詳細に説明する。
【0032】
〔実施例1〕
まず、実施例1について詳細に説明する。実施例1は、前述のように、アナログ干渉波のDU比を加算し、その結果を、計算対象の中継局におけるアナログ干渉波のDU比として扱い、そのDU比に対応する等価CN比を求めるものである。
【0033】
図1は、本発明の実施形態による第1(実施例1)の地上デジタル放送回線品質評価装置の構成を示すブロック図である。この地上デジタル放送回線品質評価装置1は、複数段の演算部10−1〜10−Nを備えている。
【0034】
1段目の演算部10−1は、送信局から送信された地上デジタル放送波を再送信する中継局に相当し、地上デジタル放送波の入力信号CN比、第1のデジタル妨害局から送信された第1のデジタル干渉波のDU比、第1のアナログ妨害局から送信された第1のアナログ干渉波のDU比、及び、1段目の演算部10−1に対応する中継局に設置された送信機自体の第1の装置劣化量を入力し、これらのCN比、DU比及び劣化量に基づいて出力信号CN比を算出する。また、第1のデジタル干渉波等価CN比と第1の装置劣化等価CN比とを加算した結果を、2段目の演算部10−2に出力する。
【0035】
具体的には、演算部10−1の等価CN比算出部11−1は、第1のデジタル干渉波のDU比を入力し、第1のデジタル干渉波のDU比から第1のデジタル干渉波等価CN比を算出し、等価CN比加算部14−1に出力する。また、等価CN比算出部13−1は、第1の装置劣化量を入力し、第1の装置劣化量から第1の装置劣化等価CN比を算出し、等価CN比加算部14−1に出力する。
【0036】
等価CN比加算部14−1は、等価CN比算出部11−1からの第1のデジタル干渉波等価CN比及び等価CN比算出部13−1からの第1の装置劣化等価CN比を入力し、これらの等価CN比を加算し、加算結果を等価CN比加算部15−1及び2段目の演算部10−2に出力する。等価CN比の加算式を以下に示す。
【数1】


ここで、第1の等価CN比をC/N、第2の等価CN比をC/N、第1の等価CN比と第2の等価CN比の加算結果をC/Naddとする。
【0037】
等価CN比算出部12−1は、第1のアナログ干渉波のDU比を入力し、第1のアナログ干渉波のDU比から第1のアナログ干渉波等価CN比を算出し、等価CN比加算部15−1に出力する。等価CN比加算部15−1は、等価CN比加算部14−1からの加算結果である等価CN比、及び等価CN比算出部12−1からの第1のアナログ干渉波等価CN比を入力し、これらの等価CN比を加算し、加算結果を第1の出力信号CN比として出力する。
【0038】
2段目の演算部10−2は、1段目の演算部10−1に対応する中継局から受信した地上デジタル放送波を再送信する中継局に相当し、演算部10−1からの等価CN比(第1のデジタル干渉波等価CN比と第1の装置劣化等価CN比との加算結果)、第1のアナログ妨害局から送信された第1のアナログ干渉波のDU比、第2のデジタル妨害局から送信された第2のデジタル干渉波のDU比、第2のアナログ妨害局から送信された第2のアナログ干渉波のDU比、及び、2段目の演算部10−2に対応する中継局自体の第2の装置劣化量を入力し、これらのCN比、DU比及び劣化量に基づいて第2の出力信号CN比を算出する。また、演算部10−1からの等価CN比と、第2のデジタル干渉波等価CN比と、第2の装置劣化等価CN比とを加算した結果を、3段目の演算部10−3(図示せず)に出力する。
【0039】
具体的には、演算部10−2の等価CN比算出部11−2は、第2のデジタル干渉波のDU比を入力し、第2のデジタル干渉波のDU比から第2のデジタル干渉波等価CN比を算出し、等価CN比加算部14−2に出力する。また、等価CN比算出部13−2は、第2の装置劣化量を入力し、第2の装置劣化量から第2の装置劣化等価CN比を算出し、等価CN比加算部14−2に出力する。
【0040】
等価CN比加算部14−2は、演算部10−1の等価CN比加算部14−1からの加算結果である等価CN比、等価CN比算出部11−2からの第2のデジタル干渉波等価CN比及び等価CN比算出部13−2からの第2の装置劣化等価CN比を入力し、これらの等価CN比を加算し、加算結果を等価CN比加算部15−2及び3段目の演算部10−3(図示せず)に出力する。
【0041】
DU比加算部16−2は、第2のアナログ妨害局からの第2のアナログ干渉波のDU比及び第1のアナログ妨害局からの第1のアナログ干渉波のDU比を入力し、これらのアナログ干渉波のDU比を加算し、加算結果を等価CN比算出12−2及び演算部10−3(図示せず)に出力する。すなわち、アナログ干渉波のDU比から正規化したアナログ干渉波の電力を求め、求めた電力を加算することでアナログ干渉波のDU比を加算する。DU比の加算式を以下に示す。
【数2】


ここで、第1のDU比をD/U、第2のDU比をD/U、第1のDU比と第2のDU比の加算結果をD/Uaddとする。
【0042】
等価CN比算出部12−2は、DU比加算部16−2から加算結果であるアナログ干渉波のDU比を入力し、このアナログ干渉波のDU比からアナログ干渉波等価CN比を算出し、等価CN比加算部15−2に出力する。
【0043】
等価CN比加算部15−2は、等価CN比加算部14−2からの加算結果である等価CN比、及び等価CN比算出部12−2からのアナログ干渉波等価CN比を入力し、これらの等価CN比を加算し、加算結果を第1の出力信号CN比として出力する。
【0044】
このような演算を繰り返すことにより、(N−1)段目の演算部10−(N−1)(図示せず)により演算された等価CN比の加算結果(送信局からの入力信号CN比、第1から第(N−1)までのデジタル妨害局からのデジタル干渉波等価CN比、及び1段目から(N−1)段目の演算部10−1〜10−(N−1)における装置劣化量から算出した装置劣化等価CN比)は、N段目の演算部10−Nの等価CN比加算部14−Nに出力される。また、(N−1)段目の演算部10−(N−1)(図示せず)により演算されたDU比の加算結果(第1から第(N−1)までのアナログ妨害局からのアナログ干渉波のDU比を加算した結果)は、N段目の演算部10−NのDU比加算部16−Nに出力される。
【0045】
N段目の演算部10−Nは、(N−1)段目の演算部10−(N−1)に対応する中継局から受信した地上デジタル放送波を再送信する中継局に相当し、演算部10−(N−1)からの等価CN比、第1から第(N−1)のアナログ妨害局から送信されたアナログ干渉波のDU比の加算結果(第1から第(N−1)までのアナログ干渉波DU比の加算結果)、第Nのデジタル妨害局から送信された第Nのデジタル干渉波のDU比、第Nのアナログ妨害局から送信された第Nのアナログ干渉波のDU比、及び、N段目の演算部10−Nに対応する中継局に設置された送信機自体の第Nの装置劣化量を入力し、これらのCN比、DU比及び劣化量に基づいて第Nの出力信号CN比を算出する。
【0046】
具体的には、演算部10−Nの等価CN比算出部11−Nは、第Nのデジタル干渉波のDU比を入力し、第Nのデジタル干渉波のDU比から第Nのデジタル干渉波等価CN比を算出し、等価CN比加算部14−Nに出力する。また、等価CN比算出部13−Nは、第Nの装置劣化量を入力し、第Nの装置劣化量から第Nの装置劣化等価CN比を算出し、等価CN比加算部14−Nに出力する。
【0047】
等価CN比加算部14−Nは、(N−1)段目の演算部10−(N−1)における等価CN比加算部14−(N−1)からの加算結果である等価CN比、等価CN比算出部11−Nからの第Nのデジタル干渉波等価CN比及び等価CN比算出部13−Nからの第Nの装置劣化等価CN比を入力し、これらの等価CN比を加算し、加算結果を等価CN比加算部15−Nに出力する。
【0048】
DU比加算部16−Nは、第Nのアナログ妨害局からの第Nのアナログ干渉波のDU比を入力すると共に、(N−1)段目の演算部10−1(N−1)におけるDU比加算部16−(N−1)から、第1から第N−1までのアナログ干渉波のDU比の加算結果を入力し、これらのアナログ干渉波のDU比を加算し、加算結果を等価CN比算出12−Nに出力する。
【0049】
等価CN比算出部12−Nは、DU比加算部16−Nから加算結果であるアナログ干渉波のDU比を入力し、このアナログ干渉波のDU比からアナログ干渉波等価CN比を算出し、等価CN比加算部15−Nに出力する。
【0050】
等価CN比加算部15−Nは、等価CN比加算部14−Nからの加算結果である等価CN比、及び等価CN比算出部12−Nからのアナログ干渉波等価CN比を入力し、これらの等価CN比を加算し、加算結果を第Nの出力信号CN比として出力する。
【0051】
図4(A)は、図1に示した実施例1の処理の概要を説明する図である。図4(A)に示すように、実施例1は、地上デジタル放送波であるOFDM信号がアナログ干渉波の影響を受けて混信した被アナログ干渉信号と、次の中継局におけるアナログ干渉波とを合成する場合、アナログ干渉波のDU比を加算する。すなわち、アナログ干渉波のDU比から正規化したアナログ干渉波の電力を求め、求めた電力を加算することでアナログ干渉波のDU比を加算する。
【0052】
以上のように、実施例1の地上デジタル放送回線品質評価装置1によれば、演算部10−2〜10−Nが、自らの中継局及び手前までの中継局におけるアナログ干渉波のDU比を加算し、加算結果のDU比を、計算対象の中継局におけるアナログ干渉波のDU比として扱い、等価CN比算出部12−2〜12−Nが、このDU比に対応する等価CN比を算出し、計算対象の中継局におけるアナログ干渉波等価CN比として扱うようにした。従来は、各中継局におけるアナログ干渉波のDU比から等価CN比を算出し、その等価CN比を、計算対象の中継局におけるアナログ干渉波等価CN比として扱い、アナログ干渉波等価CN比どうしの等価CN比を加算していたため、正確な出力信号CN比を算出することができなかった。これは、アナログ干渉波等価CN比どうしを加算するときに、アナログ干渉波が周波数特性の面でガウス雑音と異なるからである。実施例1では、アナログ干渉波等価CN比どうしを加算するのではなく、DU比を加算して等価CN比を算出するようにした。これにより、アナログ干渉波がガウス雑音と異なる特性を有することに起因して、正確な出力信号CN比を算出することができないという問題を解決することができる。したがって、地上デジタル放送回線の品質を地上デジタル放送信号のCN比で評価する際に、デジタル干渉波、アナログ干渉波及び装置劣化の影響を考慮して、一層正確なCN比を算出することができる。
【0053】
尚、第1のデジタル妨害局から送信された第1のデジタル干渉波のDU比には、複数のデジタル妨害局から送信されたそれぞれのデジタル干渉波のDU比を加算したものも含む。同様に、第1のアナログ妨害局から送信された第1のアナログ干渉波のDU比には、複数のアナログ妨害局から送信されたそれぞれのアナログ干渉波のDU比を加算したものも含む。第2〜第Nのデジタル妨害局及びアナログ妨害局についても同様である。また、以下に示す実施例2,3についても同様である。
【0054】
〔実施例2〕
次に、実施例2について詳細に説明する。実施例2は、前述のように、アナログ干渉波等価CN比を比較し、小さい方の等価CN比を、計算対象の中継局におけるアナログ干渉波等価CN比として扱うものである。
【0055】
図2は、本発明の実施形態による第2(実施例2)の地上デジタル放送回線品質評価装置の構成を示すブロック図である。この地上デジタル放送回線品質評価装置2は、複数段の演算部20−1〜20−Nを備えている。
【0056】
図1に示した実施例1の地上デジタル放送回線品質評価装置1と図2に示す実施例2の地上デジタル放送回線品質評価装置2とを比較すると、実施例2の地上デジタル放送回線品質評価装置2は、実施例1のDU比加算部16−2〜16−Nの代わりに等価CN比比較部27−2〜27−Nを備えている点で相違する。実施例2の等価CN比算出部21−1〜21−N、等価CN比算出部23−1〜23−N、等価CN比加算部24−1〜24−N及び等価CN比加算部25−1〜25−Nは、実施例1の等価CN比算出部11−1〜11−N、等価CN比算出部13−1〜13−N、等価CN比加算部14−1〜14−N及び等価CN比加算部15−1〜15−Nにそれぞれ相当する。これらの構成部については既に実施例1において記載したので、ここでは説明を省略する。
【0057】
2段目の演算部20−2は、1段目の演算部20−1に対応する中継局から受信した地上デジタル放送波を再送信する中継局に相当し、演算部20−1の等価CN比加算部24−1からの加算結果、演算部20−1における等価CN比算出部22−1からのアナログ干渉波等価CN比、第2のデジタル妨害局から送信された第2のデジタル干渉波のDU比、第2のアナログ妨害局から送信された第2のアナログ干渉波のDU比、及び、2段目の演算部20−1に対応する中継局に設置された送信機自体の第2の装置劣化量を入力し、これらのCN比、DU比及び劣化量に基づいて第2の出力信号CN比を算出する。また、演算部20−1の等価CN比加算部24−1からの加算結果と第2のデジタル干渉波等価CN比と第2の装置劣化等価CN比とを加算した結果、及び、第1のアナログ干渉波等価CN比と第2のアナログ干渉波等価CN比との比較結果として、小さい方のアナログ干渉波等価CN比を3段目の演算部20−3(図示せず)に出力する。
【0058】
具体的には、演算部20−2の等価CN比算出部22−2は、第2のアナログ干渉波のDU比から第2のアナログ干渉波等価CN比を算出し、等価CN比比較部27−2に出力する。等価CN比比較部27−2は、等価CN比算出部22−2から第2のアナログ干渉波等価CN比を入力すると共に、1段目の演算部20−1の等価CN比算出部22−1から第1のアナログ干渉波等価CN比を入力し、入力した2つの等価CN比を比較し、小さい方の等価CN比を等価CN比加算部25−2及び演算部20−3(図示せず)に出力する。
【0059】
等価CN比加算部25−2は、等価CN比比較部27−2からの比較結果、及び等価CN比加算部24−2からの加算結果を入力し、これらの等価CN比を加算し、加算結果を第2の出力信号CN比として出力する。
【0060】
このような演算を繰り返すことにより、(N−1)段目の演算部20−(N−1)(図示せず)により演算された等価CN比の加算結果(送信局からの入力信号CN比、第1から第(N−1)までのデジタル妨害局からのデジタル干渉波等価CN比、及び1段目から(N−1)段目の演算部20−1〜20−(N−1)における装置劣化量から算出した等価CN比の加算結果)は、N段目の演算部20−Nの等価CN比加算部24−Nに出力される。また、(N−1)段目の演算部20−(N−1)(図示せず)により演算されたアナログ干渉波等価CN比の比較結果(第1から第(N−1)までのアナログ干渉波等価CN比のうち最も小さい等価CN比)は、N段目の演算部20−Nの等価CN比比較部27−Nに出力される。
【0061】
N段目の演算部20−Nは、(N−1)段目の演算部20−(N−1)に対応する中継局から受信した地上デジタル放送波を再送信する中継局に相当し、演算部20−(N−1)の等価CN比加算部24−(N−1)からの加算結果(入力信号CN比と、第1から第(N−1)までのデジタル妨害局からのデジタル干渉波等価CN比と、1段目から(N−1)段目までの演算部20−1〜20−(N−1)における装置劣化等価CN比との加算結果)及び第1から第(N−1)までのアナログ干渉波等価CN比のうち最も小さい等価CN比、第Nのデジタル妨害局から送信された第Nのデジタル干渉波のDU比、第Nのアナログ妨害局から送信された第Nのアナログ干渉波のDU比、及び、N段目の演算部20−Nに対応する中継局に設置された送信機自体の第Nの装置劣化量を入力し、これらのCN比、DU比及び劣化量に基づいて第Nの出力信号CN比を算出する。
【0062】
具体的には、演算部20−Nの等価CN比算出部22−Nは、第Nのアナログ干渉波のDU比から第Nのアナログ干渉波等価CN比を算出し、等価CN比比較部27−Nに出力する。等価CN比比較部27−Nは、等価CN比算出部22−Nから第Nのアナログ干渉波等価CN比を入力すると共に、(N−1)段目の演算部20−(N−1)における等価CN比比較部27−(N−1)から第1から第(N−1)までのアナログ干渉波等価CN比を入力し、入力した2つの等価CN比を比較し、小さい方の等価CN比を等価CN比加算部25−Nに出力する。
【0063】
等価CN比加算部25−Nは、等価CN比比較部27−Nからの比較結果、及び等価CN比加算部24−Nからの加算結果を入力し、これらの等価CN比を加算し、加算結果を第Nの出力信号CN比として出力する。
【0064】
図4(B)は、図2に示した実施例2の処理の概要を説明する図である。図4(B)に示すように、実施例2は、等価雑音をもつ2つの信号のうち、等価CN比の小さい信号を選択するものである。すなわち、実施例2は、2つのアナログ干渉波等価CN比を比較し、値が小さい方のアナログ干渉波等価CN比を選択する。
【0065】
以上のように、実施例2の地上デジタル放送回線品質評価装置2によれば、演算部20−2〜20−Nが、自らの中継局及び手前までの中継局におけるアナログ干渉波等価CN比のうちの最も小さい等価CN比を、計算対象の中継局におけるアナログ干渉波等価CN比として扱うようにした。従来は、各中継局におけるアナログ干渉波のDU比から等価CN比を算出し、その等価CN比を、計算対象の中継局におけるアナログ干渉波等価CN比として扱い、アナログ干渉波等価CN比どうしを加算していたため、正確な出力信号CN比を算出することができなかった。これは、アナログ干渉波等価CN比どうしを加算するときに、アナログ干渉波が周波数特性の面でガウス雑音と異なるからである。実施例2では、アナログ干渉波等価CN比どうしを加算するのではなく、アナログ干渉波等価CN比のうちの最も小さい等価CN比を、計算対象の中継局におけるアナログ干渉波等価CN比として扱うようにした。これにより、アナログ干渉波がガウス雑音と異なる特性を有することに起因して、正確な出力信号CN比を算出することができないという問題を解決することができる。したがって、地上デジタル放送回線の品質を地上デジタル放送信号のCN比で評価する際に、デジタル干渉波、アナログ干渉波及び装置劣化の影響を考慮して、一層正確なCN比を算出することができる。
【0066】
この実施例2の地上デジタル放送回線品質評価装置2は、特に、中継局に設置された送信機がシンボル判定処理を行う場合に有効である。図5及び図6は、実施例2の地上デジタル放送回線品質評価装置による効果を説明する図である。図5(A)は、通常の送信機の基本構成を示す概略図である。この送信機は、地上デジタル放送波、アナログ干渉波等を受信する受信アンテナ、受信した信号の周波数を変換する周波数変換部、周波数変換した信号の電力を増幅する電力増幅部、及び、電力増幅した信号を送信する送信アンテナを備えている。
【0067】
図5(B)は、シンボル判定機能を有する送信機の基本構成を示す概略図である。この送信機は、図5(A)に示した通常の送信機と同様の構成をしている点で同一であるが、周波数変換部がシンボル判定処理を行う点で通常の送信機と相違する。シンボル判定処理とは、周波数変換部における等化処理後の信号をしきい値判定する処理をいい、受信信号に含まれる雑音を削除し、信号劣化を防止するためのものである。これにより、受信信号のCN比を改善することができる。
【0068】
図5(C)は、シンボル判定処理による通常の効果を説明する図である。図5(C)に示すように、等価雑音をもつ信号に対してシンボル判定処理を行うことにより、雑音が削除されてCN比が改善される。しかしながら、被アナログ干渉信号(地上デジタル放送波であるOFDM信号がアナログ干渉波の影響を受けて混信した信号)に対してシンボル判定処理を行った場合には、雑音が削除されてCN比が改善されるとは限らない。
【0069】
図5(D)は、被アナログ干渉信号の場合のシンボル判定処理による効果を説明する図である。図5(D)に示すように、被アナログ干渉信号に対してシンボル判定処理を行った場合、シンボル判定処理はしきい値判定処理であることから、アナログ干渉波の影響を十分に受けているサブキャリアのCN比が0dBになる。これにより、シンボル判定後の被アナログ干渉信号は、修復不可能な誤りを含む信号となってしまう。以下、このような信号をシンボル判定誤り後の信号という。
【0070】
図6(A)は、シンボル判定誤り後の信号とアナログ干渉波との合成で、合成後にシンボル判定が行われない場合について説明する図である。図6(A)は、図2に示した実施例2の地上デジタル放送回線品質評価装置2において、例えば、1段目の演算部20−1に対応する中継局に設置された送信機がシンボル判定機能を有し、2段目の演算部20−2に対応する中継局に設置された送信機がシンボル判定機能を有していない場合を示している。つまり、シンボル判定誤り後の信号が1段目の演算部20−1における送信機からの信号であり、アナログ干渉波が2段目の演算部20−2により受信される信号である。図6(A)の上段は、シンボル判定誤り後の信号、アナログ干渉波、及びこれらを合成した被アナログ干渉信号(判定誤りあり)を示している。被アナログ干渉信号(判定誤りあり)は、シンボル判定誤りを起こしたサブキャリアを含んでいる。
【0071】
一般に、一度シンボル判定誤りを起こしたサブキャリアを含むシンボル判定誤り後の信号が、再びアナログ干渉波による影響を受けたとしても、その品質はさほど変化しない。つまり、合成後の被アナログ干渉信号(判定誤りあり)の等価CN比は、元のシンボル判定誤り後の信号の等価CN比に比べてさほど変化しない。しかし、合成するアナログ干渉波の影響を示すアナログ干渉波等価CN比が、シンボル判定誤り後の信号の等価CN比を下回る場合、被アナログ干渉信号の品質の方がシンボル判定誤り後の信号よりも悪いため、合成後の被アナログ干渉信号(判定誤りあり)の等価CN比は、シンボル判定誤り後の信号の等価CN比に比べて変化する。そこで、前述の例では、2段目の演算部20−2は、1段目の演算部20−1における等価CN比算出部22−1から出力されるシンボル判定誤り後の信号の等価CN比と、2段目の演算部20−2における等価CN比算出部22−2から出力されるアナログ干渉波等価CN比とを比較し、小さい方の等価CN比をアナログ干渉波等価CN比として扱い、第2の出力信号CN比を算出する。
【0072】
図6(B)は、シンボル判定誤り後の信号とアナログ干渉波との合成で、合成後にシンボル判定処理が行われる場合について説明する図である。図6(B)は、図2に示した実施例2の地上デジタル放送回線品質評価装置2において、例えば、1段目の演算部20−1に対応する中継局に設置された送信機がシンボル判定機能を有し、2段目の演算部20−2に対応する中継局に設置された送信機もシンボル判定機能を有する場合を示している。つまり、図6(B)上段の左側に示したシンボル判定誤り後の信号が1段目の演算部20−1における送信機からの信号であり、中央に示したアナログ干渉波が2段目の演算部20−2により受信される信号であり、右に示した信号がこれらを合成し、合成後にシンボル判定処理が行われたシンボル判定誤り後の信号である。
【0073】
図6(A)と同様に、一度シンボル判定誤りを起こしたサブキャリアを含むシンボル判定誤り後の信号が、再びアナログ干渉波による影響を受けたとしても、その品質はさほど変化しない。つまり、合成後のシンボル判定誤り後の信号の等価CN比は、元のシンボル判定誤り後の信号の等価CN比に比べてさほど変化しない。そこで、前述の例では、2段目の演算部20−2は、1段目の演算部20−1における等価CN比算出部22−1から出力されるシンボル判定誤り後の信号の等価CN比と、2段目の演算部20−2における等価CN比算出部22−2から出力されるシンボル判定誤り後の信号の等価CN比とを比較し、小さい方の等価CN比をアナログ干渉波等価CN比として扱い、第2の出力信号CN比を算出する。
【0074】
〔実施例3〕
次に、実施例3について詳細に説明する。実施例3は、前述のように、実施例1及び実施例2を組み合わせて、アナログ干渉波等価CN比を求めるものである。
【0075】
図3は、本発明の実施形態による第3(実施例3)の地上デジタル放送回線品質評価装置の構成を示すブロック図である。この地上デジタル放送回線品質評価装置3は、複数段の演算部30−1〜30−Nを備えている。
【0076】
図1に示した実施例1の地上デジタル放送回線品質評価装置1及び図2に示した地上デジタル放送回線品質評価装置2と、図3に示す実施例3の地上デジタル放送回線品質評価装置3とを比較すると、実施例3の地上デジタル放送回線品質評価装置3は、演算部30−2〜30−Nが演算部10−2〜10−N及び演算部20−2〜20−Nを組み合わせた構成となっている点で相違する。実施例3の等価CN比算出部31−1〜31−N、等価CN比算出部33−1〜33−N、等価CN比加算部34−1〜34−N及び等価CN比加算部35−1〜35−Nは、実施例1の等価CN比算出部11−1〜11−N、等価CN比算出部13−1〜13−N、等価CN比加算部14−1〜14−N及び等価CN比加算部15−1〜15−Nにそれぞれ相当すると共に、実施例2の等価CN比算出部21−1〜21−N、等価CN比算出部23−1〜23−N、等価CN比加算部24−1〜24−N及び等価CN比加算部25−1〜25−Nにそれぞれ相当する。これらの構成部については既に実施例1において記載したので、ここでは説明を省略する。
【0077】
2段目の演算部30−2は、図1に示した実施例1の演算部10−2〜10−Nと同じ構成をしている。同様に、3段目の演算部30−3(図示せず)は、図2に示した実施例2の演算部20−2〜20−Nと同じ構成をしている。同様にして、N段目の演算部30−Nは、図2に示した実施例2の演算部20−2〜20−Nと同じ構成をしている。
【0078】
以上のように、実施例3の地上デジタル放送回線品質評価装置3によれば、演算部30−2〜30−Nを、実施例1の演算部10−2〜10−Nと実施例2の演算部20−2〜20−Nとを組み合わせることにより構成した。すなわち、演算部30−2〜30−Nは、自らの中継局及び手前までの中継局におけるアナログ干渉波のDU比を加算し、このDU比に対応する等価CN比を求め、または、自らの中継局及び手前までの中継局におけるアナログ干渉波等価CN比のうちの最も小さい等価CN比を求め、計算対象の中継局におけるアナログ干渉波等価CN比として扱うようにした。これにより、実施例1及び実施例2と同様に、アナログ干渉波がガウス雑音と異なる特性を有することに起因して、正確な出力信号CN比を算出することができないという従来の問題を解決することができる。したがって、地上デジタル放送回線の品質を地上デジタル放送信号のCN比で評価する際に、デジタル干渉波、アナログ干渉波及び装置劣化の影響を考慮して、一層正確なCN比を算出することができる。
【0079】
尚、地上デジタル放送回線品質評価装置1,2,3は、CPU、RAM等の揮発性の記憶媒体、ROM等の不揮発性の記憶媒体、及びインターフェース等を備えたコンピュータによって構成される。地上デジタル放送回線品質評価装置1に備えた演算部10−1〜10−N、地上デジタル放送回線品質評価装置2に備えた演算部20−1〜20−N及び地上デジタル放送回線品質評価装置3に備えた演算部30−1〜30−Nの各機能は、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現される。また、これらのプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記憶媒体に格納して頒布することもできる。
【0080】
以上、実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、各中継局に相当する演算部10−1〜10−N,20−1〜20−N,30−1〜30−Nが入力するアナログ干渉波は、アナログテレビが受信するアナログ放送波のみならず、周波数特性に偏りのある信号も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施形態による第1(実施例1)の地上デジタル放送回線品質評価装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態による第2(実施例2)の地上デジタル放送回線品質評価装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態による第3(実施例3)の地上デジタル放送回線品質評価装置の構成を示すブロック図である。
【図4】実施例1及び実施例2の地上デジタル放送回線品質評価装置による処理の概要を説明する図である。
【図5】実施例2の地上デジタル放送回線品質評価装置による効果を説明する図である。
【図6】実施例2の地上デジタル放送回線品質評価装置による効果を説明する、図5に続く図である。
【図7】従来の地上デジタル放送回線品質評価装置の構成を示すブロック図である。
【図8】従来の地上デジタル放送回線品質装置による処理の概要を説明する図である。
【符号の説明】
【0082】
1,2,3,100 地上デジタル放送回線品質評価装置
10,20,30,110 演算部
11,12,13,21,22,23,31,32,33,111,112,113 等価CN比算出部
14,15,24,25,34,35,114 等価CN比加算部
16,36 DU比加算部
27,37 等価CN比比較部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上デジタル放送回線の品質を、複数段の演算部によって出力されるそれぞれの出力信号CN比で評価する地上デジタル放送回線品質評価装置において、
1段目の演算部は、
第1のデジタル妨害局から送信された第1のデジタル干渉波のDU比を入力し、等価CN比を算出する第1のデジタル干渉波等価CN比算出部と、
当該1段目の演算部に対応する中継局に設置された送信機における第1の装置劣化量を入力し、等価CN比を算出する第1の装置劣化等価CN比算出部と、
送信局から送信された地上デジタル放送波を入力信号とした入力信号CN比と、前記第1のデジタル干渉波等価CN比算出部により算出された等価CN比と、前記第1の装置劣化等価CN比算出部により算出された等価CN比とを加算する第1の等価CN比加算部と、
第1のアナログ妨害局から送信された第1のアナログ干渉波のDU比を入力し、等価CN比を算出する第1のアナログ干渉波等価CN比算出部と、
前記第1の等価CN比加算部により加算された等価CN比の加算結果と、前記第1のアナログ干渉波等価CN比算出部により算出された等価CN比とを加算し、第1の出力信号CN比を出力する第1の全等価CN比加算部と、を備え、
Nを2以上の整数として、
N段目の演算部は、
第Nのデジタル妨害局から送信された第Nのデジタル干渉波のDU比を入力し、等価CN比を算出する第Nのデジタル干渉波等価CN比算出部と、
当該N段目の演算部に対応する中継局に設置された送信機における第Nの装置劣化量を入力し、等価CN比を算出する第Nの装置劣化等価CN比算出部と、
前段の等価CN比加算部により加算された等価CN比の加算結果と、前記第Nのデジタル干渉波等価CN比算出部により算出された等価CN比と、前記第Nの装置劣化等価CN比算出部により算出された等価CN比とを加算する第Nの等価CN比加算部と、
第Nのアナログ妨害局から送信された第Nのアナログ干渉波のDU比を入力すると共に、前段が1段目の場合は前記第1のアナログ干渉波等価CN比算出部に入力した第1のアナログ干渉波のDU比、または、前段が2段目以降の場合は前段までのアナログ干渉波のDU比の加算結果を入力し、前記第Nのアナログ干渉波のDU比と、第1のアナログ干渉波のDU比またはDU比の加算結果とを加算し、DU比の加算結果を出力する第Nのアナログ干渉波DU比加算部と、
前記第Nのアナログ干渉波DU比加算部により出力されたDU比の加算結果を入力し、等価CN比を算出する第Nのアナログ干渉波等価CN比算出部と、
前記第Nの等価CN比加算部により加算された等価CN比の加算結果と、前記第Nのアナログ干渉波等価CN比算出部により算出された等価CN比とを加算し、第Nの出力信号CN比を出力する第Nの全等価CN比加算部と、を備えたことを特徴とする地上デジタル放送回線品質評価装置。
【請求項2】
請求項1に記載の地上デジタル放送回線品質評価装置において、
前記N段目の演算部は、
第Nのデジタル妨害局から送信された第Nのデジタル干渉波のDU比を入力し、等価CN比を算出する第Nのデジタル干渉波等価CN比算出部と、
当該N段目の演算部に対応する中継局に設置された送信機における第Nの装置劣化量を入力し、等価CN比を算出する第Nの装置劣化等価CN比算出部と、
第Nのアナログ妨害局から送信された第Nのアナログ干渉波のDU比を入力し、等価CN比を算出する第Nのアナログ干渉波等価CN比算出部と、
前段の等価CN比加算部により加算された等価CN比の加算結果と、前記第Nのデジタル干渉波等価CN比算出部により算出された等価CN比と、前記第Nの装置劣化等価CN比算出部により算出された等価CN比とを加算する第Nの等価CN比加算部と、
前記第Nのアナログ干渉波等価CN比算出部により算出された等価CN比を入力すると共に、前段が1段目の場合は前記第1のアナログ干渉波等価CN比算出部により算出された等価CN比、または、前段が2段目以降の場合は前段までのアナログ干渉波の等価CN比のうち最も小さい等価CN比を入力し、入力した2つの等価CN比を比較し、小さい方の等価CN比を出力する第Nのアナログ干渉波等価CN比比較部と、
前記第Nの等価CN比加算部により加算された等価CN比の加算結果と、前記第Nのアナログ干渉波等価CN比比較部により出力された等価CN比とを加算し、第Nの出力信号CN比を出力する第Nの全等価CN比加算部と、を備えたことを特徴とする地上デジタル放送回線品質評価装置。
【請求項3】
請求項2に記載の地上デジタル放送回線品質評価装置において、
前記N段目またはその前段の演算部は、前記N段目の演算部に対応する中継局に設置された送信機またはその前段の演算部に対応する中継局に設置された送信機のうちの少なくとも一方の送信機に、受信信号に対してしきい値判定を行うシンボル判定機能を有することを特徴とする地上デジタル放送回線品質評価装置。
【請求項4】
地上デジタル放送回線の品質を、複数段の演算部によって出力されるそれぞれの出力信号CN比で評価する地上デジタル放送回線品質評価装置において、
1段目の演算部は、
第1のデジタル妨害局から送信された第1のデジタル干渉波のDU比を入力し、等価CN比を算出する第1のデジタル干渉波等価CN比算出部と、
当該1段目の演算部に対応する中継局に設置された送信機における第1の装置劣化量を入力し、等価CN比を算出する第1の装置劣化等価CN比算出部と、
送信局から送信された地上デジタル放送波を入力信号とした入力信号CN比と、前記第1のデジタル干渉波等価CN比算出部により算出された等価CN比と、前記第1の装置劣化等価CN比算出部により算出された等価CN比とを加算する第1の等価CN比加算部と、
第1のアナログ妨害局から送信された第1のアナログ干渉波のDU比を入力し、等価CN比を算出する第1のアナログ干渉波等価CN比算出部と、
前記第1の等価CN比加算部により加算された等価CN比の加算結果と、前記第1のアナログ干渉波等価CN比算出部により算出された等価CN比とを加算し、第1の出力信号CN比を出力する第1の全等価CN比加算部と、を備え、
Mを3以上の整数として、
2段目からM段目の演算部に、請求項1に記載のN段目の演算部、及び、請求項2または3に記載のN段目の演算部を含むことを特徴とする地上デジタル放送回線品質評価装置。
【請求項5】
複数段の演算部を備えた地上デジタル放送回線品質評価装置によって、送信局から送信された地上デジタル放送波を入力信号とした入力信号CN比と、デジタル妨害局から送信されたデジタル干渉波のDU比と、アナログ妨害局から送信されたアナログ干渉波のDU比と、前記演算部に対応する中継局に設置された送信機における装置劣化量とを入力し、それぞれ出力信号CN比を演算し、前記出力信号CN比により地上デジタル放送回線の品質を評価する方法において、
1段目の演算部によって、
第1のデジタル干渉波のDU比から第1のデジタル干渉波等価CN比を算出し、第1の装置劣化量から第1の装置劣化等価CN比を算出し、前記入力信号CN比と、前記第1のデジタル干渉波等価CN比と、前記第1の装置劣化等価CN比とを加算し、等価CN比の加算結果を出力する第1−1のステップと、
第1のアナログ干渉波のDU比から等価CN比を算出する第1−2のステップと、
前記第1−1のステップにより出力した等価CN比の加算結果と、前記第1−2のステップにより算出した等価CN比とを加算し、第1の出力信号CN比を出力する第1−3のステップと、を有し、
Nを2以上の整数として、N段目の演算部によって、
第Nのデジタル干渉波のDU比から第Nのデジタル干渉波等価CN比を算出し、第Nの装置劣化量から第Nの装置劣化等価CN比を算出し、前段のステップにより出力した等価CN比の加算結果と、前記第Nのデジタル干渉波等価CN比と、前記第Nの装置劣化等価CN比とを加算し、等価CN比の加算結果を出力する第N−1のステップと、
第Nのアナログ干渉波のDU比と、前段が1段目の場合は前記第1−2のステップにおける第1のアナログ干渉波のDU比、または、前段が2段目以降の場合は前段までのアナログ干渉波のDU比の加算結果とを加算し、DU比の加算結果を出力する第N−2のステップと、
前記第N−2のステップにより出力したDU比の加算結果から等価CN比を算出する第N−3のステップと、
前記第N−1のステップにより出力した等価CN比の加算結果と、前記第N−3のステップにより出力した等価CN比とを加算し、第Nの出力信号CN比を出力する第N−4のステップと、を有することを特徴とする地上デジタル放送回線品質評価方法。
【請求項6】
請求項5に記載の地上デジタル放送回線品質評価方法において、
前記N段目の演算部によって、
第Nのデジタル干渉波のDU比から第Nのデジタル干渉波等価CN比を算出し、第Nの装置劣化量から第Nの装置劣化等価CN比を算出し、前段のステップにより出力した等価CN比の加算結果と、前記第Nのデジタル干渉波等価CN比と、前記第Nの装置劣化等価CN比とを加算し、等価CN比の加算結果を出力する第N−1のステップと、
第Nのアナログ干渉波のDU比から等価CN比を算出する第N−2のステップと、
前記第N−2のステップにより算出した等価CN比と、前段が1段目の場合は前記第1−2のステップにより算出した等価CN比、または、前段が2段目以降の場合は前段までのアナログ干渉波の等価CN比のうち最も小さい等価CN比とを比較し、小さい方の等価CN比を出力する第N−3のステップと、
前記第N−1のステップにより出力した等価CN比の加算結果と、前記第N−3のステップにより出力した等価CN比とを加算し、第Nの出力信号CN比を出力する第N−4のステップと、を有することを特徴とする地上デジタル放送回線品質評価方法。
【請求項7】
複数段の演算部によって、送信局から送信された地上デジタル放送波を入力信号とした入力信号CN比と、デジタル妨害局から送信されたデジタル干渉波のDU比と、アナログ妨害局から送信されたアナログ干渉波のDU比と、前記演算部に対応する中継局に設置された送信機における装置劣化量とを入力し、それぞれ出力信号CN比を演算し、前記出力信号CN比により地上デジタル放送回線の品質を評価するプログラムであって、コンピュータに、
1段目の演算部によって、
第1のデジタル干渉波のDU比から第1のデジタル干渉波等価CN比を算出し、第1の装置劣化量から第1の装置劣化等価CN比を算出し、前記入力信号CN比と、前記第1のデジタル干渉波等価CN比と、前記第1の装置劣化等価CN比とを加算し、等価CN比の加算結果を出力する第1−1のステップと、
第1のアナログ干渉波のDU比から等価CN比を算出する第1−2のステップと、
前記第1−1のステップにより出力した等価CN比の加算結果と、前記第1−2のステップにより算出した等価CN比とを加算し、第1の出力信号CN比を出力する第1−3のステップと、を実行させ、
Nを2以上の整数として、N段目の演算部によって、
第Nのデジタル干渉波のDU比から第Nのデジタル干渉波等価CN比を算出し、第Nの装置劣化量から第Nの装置劣化等価CN比を算出し、前段のステップにより出力した等価CN比の加算結果と、前記第Nのデジタル干渉波等価CN比と、前記第Nの装置劣化等価CN比とを加算し、等価CN比の加算結果を出力する第N−1のステップと、
第Nのアナログ干渉波のDU比と、前段が1段目の場合は前記第1−2のステップにおける第1のアナログ干渉波のDU比、または、前段が2段目以降の場合は前段までのアナログ干渉波のDU比の加算結果とを加算し、DU比の加算結果を出力する第N−2のステップと、
前記第N−2のステップにより出力したDU比の加算結果から等価CN比を算出する第N−3のステップと、
前記第N−1のステップにより出力した等価CN比の加算結果と、前記第N−3のステップにより出力した等価CN比とを加算し、第Nの出力信号CN比を出力する第N−4のステップと、を実行させることを特徴とする地上デジタル放送回線品質評価プログラム。
【請求項8】
請求項7に記載の地上デジタル放送回線品質評価プログラムにおいて、前記コンピュータに、
前記N段目の演算部によって、
第Nのデジタル干渉波のDU比から第Nのデジタル干渉波等価CN比を算出し、第Nの装置劣化量から第Nの装置劣化等価CN比を算出し、前段のステップにより出力した等価CN比の加算結果と、前記第Nのデジタル干渉波等価CN比と、前記第Nの装置劣化等価CN比とを加算し、等価CN比の加算結果を出力する第N−1のステップと、
第Nのアナログ干渉波のDU比から等価CN比を算出する第N−2のステップと、
前記第N−2のステップにより算出した等価CN比と、前段が1段目の場合は前記第1−2のステップにより算出した等価CN比、または、前段が2段目以降の場合は前段までのアナログ干渉波の等価CN比のうち最も小さい等価CN比とを比較し、小さい方の等価CN比を出力する第N−3のステップと、
前記第N−1のステップにより出力した等価CN比の加算結果と、前記第N−3のステップにより出力した等価CN比とを加算し、第Nの出力信号CN比を出力する第N−4のステップと、を実行させることを特徴とする地上デジタル放送回線品質評価プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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